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交絡

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交絡(こうらく、えい: confounding)は、統計とうけいモデルのなか従属じゅうぞく変数へんすう独立どくりつ変数へんすう両方りょうほうに(肯定こうていてきまたは否定ひていてきに)相関そうかんする外部がいぶ変数へんすう存在そんざいすること。そのような外部がいぶ変数へんすう交絡変数へんすう(confounding variable)、交絡因子いんし(confounding factor、confounder)、潜伏せんぷく変数へんすう(lurking variable)などとぶ。科学かがくてき研究けんきゅうでは、だい一種いっしゅ過誤かご従属じゅうぞく変数へんすう独立どくりつ変数へんすうとの因果いんが関係かんけいにあるというにせ陽性ようせい結論けつろん)とばれるこれらの要因よういんけるように制御せいぎょする必要ひつようがある。2つの観測かんそくされた変数へんすうのそのような関係かんけい擬似ぎじ相関そうかんという。すなわち交絡が存在そんざいする場合ばあい観測かんそくされた現象げんしょうしん原因げんいんが交絡変数へんすうであるにもかかわらず、独立どくりつ変数へんすう原因げんいん推論すいろんしてしまうおそれがある。

概要がいよう

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定義ていぎじょう、交絡変数へんすう想定そうていされる原因げんいん結果けっか両方りょうほう関連かんれんしている。交絡変数へんすう原因げんいん結果けっか中間ちゅうかん位置いちすることはない。AがCの原因げんいん想定そうていされるとき、交絡変数へんすうBはAを原因げんいんとしてきるのではないし、またBによってつねにCがきるとはかぎらない。たとえば、女性じょせいであることはつね喫煙きつえん原因げんいんとはならないし、喫煙きつえんつねがん原因げんいんとはかぎらない。したがって、女性じょせいであることとがんになることの因果いんが関係かんけい研究けんきゅうするさいには、かんがえられる交絡変数へんすうとして「喫煙きつえん」を考慮こうりょすべきである。さらに、2つのリスクグループ(たとえば男性だんせい女性じょせい)があるとき、交絡変数へんすうはそれぞれのグループでつねことなる普及ふきゅうりつたとえば喫煙きつえんりつ)となっている。(Hennekens, Buring & Mayrent, 1987)

統計とうけいがくてき研究けんきゅうにおける因果いんが関係かんけい判定はんてい基準きじゅんさかんに研究けんきゅうされてきたが、ジューディア・パール統計とうけいがくてき概念がいねんだけで交絡変数へんすう定義ていぎすることはできず、そのためにはある程度ていど因果いんがてき想定そうてい必要ひつようであることをしめした[1]。Austin Bradford Hill は1965ねん論文ろんぶん因果いんが関係かんけい判定はんてい基準きじゅん提案ていあんした[2]おおくの疫学えきがくしゃはこれを交絡と因果いんが関係かんけいかんがえる出発しゅっぱつてんとして採用さいようした。しかし、これはせいぜいヒューリスティックてき価値かちしかない。因果いんがグラフによって因果いんがてき想定そうていあらわさいには、backdoorバックドアといわれる簡単かんたん基準きじゅんによって、交絡変数へんすう集合しゅうごう特定とくていすることが可能かのうである。

研究けんきゅうにおける交絡の回避かいひ方法ほうほう

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研究けんきゅうにおいて、交絡変数へんすう積極せっきょくてき除去じょきょしたり制御せいぎょしたりする方法ほうほうがいくつか存在そんざいする[3]

ケースコントロール研究けんきゅう(case-control studies)
ケースぐんとコントロールぐん共通きょうつうする交絡変数へんすうそろえて変数へんすう比較ひかくする方法ほうほうたとえば、67さい患者かんじゃ心筋梗塞しんきんこうそく原因げんいん研究けんきゅうするときに年齢ねんれいが交絡変数へんすうになるとかんがえられるならば、67さいのその患者かんじゃ(ケース)と67さい健常けんじょうしゃ(コントロール)を対照たいしょうする。ケースコントロール研究けんきゅうでは、対照たいしょうする変数へんすう年齢ねんれい性別せいべつであることがおおい。
コホート研究けんきゅう(cohort studies)
ある交絡変数へんすうひとしい集団しゅうだんなか変数へんすう比較ひかくする方法ほうほうたとえば、年齢ねんれいが交絡変数へんすうになるとかんがえられるとき、年齢ねんれいそうをそろえた集団しゅうだん(コホート)を対象たいしょうとして観測かんそくする。その集団しゅうだんなかで、たとえば心筋梗塞しんきんこうそく原因げんいんとして運動うんどうりょう多寡たか対照たいしょうする。
そう(stratification)
心筋梗塞しんきんこうそくにおいて、運動うんどうりょうおおいほど罹患りかんする割合わりあいひくく、年齢ねんれいが交絡変数へんすうになりうると仮定かていする。このとき、サンプリングされたデータは年齢ねんれいそうによってそうされる。すなわち、運動うんどうりょう心筋梗塞しんきんこうそく関係かんけい年齢ねんれいそうごとに分析ぶんせきする。年齢ねんれいそうによって罹患りかんりつしょうじるなら、年齢ねんれいが交絡変数へんすうであるとかんがえられる。そうされたデータをあつか統計とうけい手法しゅほうとしてマンテル=ヘンツェルほうなどがある。

これらの手法しゅほうにはそれぞれ欠点けってんがある。たとえば、ケースコントロール研究けんきゅう対象たいしょうしゃ(ケース)が、ある病気びょうきにかかった45さいのアラスカ出身しゅっしん黒人こくじんで、フットボール選手せんしゅで、菜食さいしょく主義しゅぎしゃで、教育きょういくしゃとしてはたらいているひとであったとする。対照たいしょうしゃとして、属性ぞくせいがほとんどおなじでその病気びょうき罹患りかんしていないてんだけがことなるひとつけなければならないが、これは大変たいへん作業さぎょうである。また、つね過大かだい対応たいおう過少かしょう対応たいおうのリスクがつきまとう。コホート研究けんきゅうでは、研究けんきゅう対象たいしょうから除外じょがいされるひとがあまりにもおおくなる傾向けいこうがあり、そうではそううすくなりすぎる(標本ひょうほんサイズがちいさすぎる)傾向けいこうがある。

既知きちの交絡変数へんすう測定そくていすることによって交絡を制御せいぎょし、それらを変量へんりょう解析かいせきにおけるきょう変動へんどうとする方法ほうほうもある。ただし、そう比較ひかくして、交絡変数へんすうつよさにかんする情報じょうほうをほとんどられないという欠点けってんがある。

重要じゅうよう問題もんだいとして、交絡変数へんすうかならずしも判別はんべつ測定そくてい可能かのうであるとはかぎらない。疫学えきがくでは交絡を完全かんぜん制御せいぎょできないことをして残余ざんよ交絡(residual confounding)という。標本ひょうほんサイズがおおきいならば、作為さくい無作為むさくい割付わりつけ)がもっと方法ほうほうであることがおおく、その場合ばあいは(既知きちのものも未知みちのものもふくめた)すべての交絡変数へんすうすべての研究けんきゅう対象たいしょうぐんひとしく分散ぶんさんしているとかんがえられる。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Pearl, Judea (2000). Causality: Models, Reasoning, and Inference. Cambridge University Press. ISBN 0-521-77362-8 
  2. ^ Bradford Hill, Austin (1965). “The environment or disease: association or causation?”. Proc R Soc Med 58 (May): 295–300. PMID 14283879. http://www.edwardtufte.com/tufte/hill. 
  3. ^ Hennekens, Charles H; Buring, Julie E; Mayrent, Sherry L (1987). Epidemiology in Medicine. Lippincott Williams & Wilkins. ISBN 0-316-35636-0 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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