生物せいぶつ統計とうけい学がく

生物せいぶつ統計とうけい学がく（せいぶつとうけいがく、英語えいご：biostatistics）または生物せいぶつ測定そくてい学がく（せいぶつそくていがく、biometry^[1]^[2]^[3]）は、統計とうけい学がくの生物せいぶつ学がくに対たいする応用おうよう領域りょういきで、様々さまざまな生物せいぶつ学がく領域りょういきを含ふくむ。^[4]^[5]^[6]特とくに医学いがくと農学のうがくへの応用おうようが重要じゅうようである。^[3]^[7]^[8]医学いがくでは「生物せいぶつ統計とうけい学がく」、農学のうがくでは「生物せいぶつ測定そくてい学がく」の名なを用もちいることが多おおい。古ふるくは"biometrics"の名なが使つかわれたが、現在げんざいバイオメトリクスという呼称こしょうは異ことなる分野ぶんやを指さす語かたりとなっている。^[9]^[10]^[11]^[12]しかしバイオメトリクスの基本きほん的てきな理念りねんや方法ほうほう論ろん（例たとえば指紋しもんによる個人こじん識別しきべつ）は古典こてん的てきな生物せいぶつ統計とうけい学がくにルーツを求もとめることができる。また理論りろん生物せいぶつ学がくとも密接みっせつな関係かんけいがある。

歴史れきし

生物せいぶつ統計とうけい学がく的てきな研究けんきゅうは、現代げんだいの生物せいぶつ学がくおよび統計とうけい学がくの成立せいりつに重要じゅうような役割やくわりを果はたした。

チャールズ・ダーウィンのいとこに当あたるゴルトンや、その後継こうけい者しゃの数学すうがく者しゃカール・ピアソンらは、19世紀せいきから20世紀せいきにかけて進化しんかを数量すうりょう的てきに研究けんきゅうすることを試こころみ、その過程かていで統計とうけい学がくを進歩しんぽさせた。^[13]^[14]20世紀せいき初頭しょとうにメンデルの法則ほうそくが再さい発見はっけんされ、^[15]^[16]一見いっけん矛盾むじゅんする進化しんかと遺伝いでんとをどう整合せいごう的てきに理解りかいするかが、ピアソンら生物せいぶつ統計とうけい学者がくしゃとベイトソンら遺伝いでん学者がくしゃとの間あいだで重大じゅうだい問題もんだいとして議論ぎろんされた。その後ご1930年代ねんだいまでに統一とういつ的てきモデルが作つくられ、ネオダーウィニズムが成立せいりつした。^[17]これを主導しゅどうしたのも統計とうけい学がく的てき研究けんきゅうであり、これによって統計とうけい学がくが生物せいぶつ学がくにおける重要じゅうような方法ほうほう論ろんとして確立かくりつした。R.A.フィッシャーは生物せいぶつ学がく研究けんきゅうの過程かていで基本きほん的てきな統計とうけい学がく的てき方法ほうほうを確立かくりつし、シーウォル・ライトとJ・B・S・ホールデンも統計とうけい学がく的てき方法ほうほうにより集団しゅうだん遺伝いでん学がくを確立かくりつした。^[18]^[19]^[20]統計とうけい学がくと進化しんか生物せいぶつ学がくは一体いったいのものとして発展はってんしたわけである。

またこれと並行へいこうして、ダーシー・トムソンの行おこなった生物せいぶつの形態けいたいの数学すうがく的てき研究けんきゅう（著書ちょしょ"On Growth and Form"にまとめられた）も、生物せいぶつ学がくの量的りょうてき研究けんきゅうにおける先駆さきがけとなった。^[21]

脚注きゃくちゅう

^ Causton, D. R., & Venus, J. C. (1981). The biometry of plant growth. Edward Arnold.
^ Pearl, R. (1923). Introduction to medical biometry and statistics. WB Saunders.
^ ^a ^b Wood, J. W. (2017). Dynamics of human reproduction: biology, biometry, demography. Routledge.
^ Rohlf, F. J., & Sokal, R. (1973). Introduction to biostatistics. San Francisco: WH Freeman.
^ Rosner, B. (2015). Fundamentals of biostatistics. Nelson Education.
^ Pagano, M., & Gauvreau, K. (2018). Principles of biostatistics. CRC Press.
^ Daniel, W. W., & Cross, C. L. (2018). Biostatistics: a foundation for analysis in the health sciences. Wiley.
^ Fisher, L. D. (2004). Biostatistics: a methodology for the health sciences. John Wiley & Sons, Inc..
^ Jain, A. K., Flynn, P., & Ross, A. A. (Eds.). (2007). Handbook of biometrics. Springer Science & Business Media.
^ Bolle, R. M., Connell, J. H., Pankanti, S., Ratha, N. K., & Senior, A. W. (2013). Guide to biometrics. Springer Science & Business Media.
^ Jain, A. K., Ross, A. A., & Nandakumar, K. (2011). Introduction to biometrics. Springer Science & Business Media.
^ Li, S. Z., & Jain, A. (2015). Encyclopedia of biometrics. Springer Publishing Company, Incorporated.
^ Porter, T. M. (2006). Karl Pearson: The scientific life in a statistical age. Greenwood Publishing Group.
^ Magnello, M. E. (2009). Karl Pearson and the establishment of mathematical statistics. International Statistical Review, 77(1), 3-29.
^ Allen, G. E. (2003). Mendel and modern genetics: the legacy for today. Endeavour, 27(2), 63-68.
^ Fairbanks, D. J., & Rytting, B. (2001). Mendelian controversies: a botanical and historical review. American Journal of Botany, 88(5), 737-752.
^ Berry, R. J. (1982). Neo-Darwinism. Edward Arnold (Publishers) Limited.
^ Crow, J. F. (1987). Population genetics history: a personal view. Annual review of genetics, 21(1), 1-22.
^ Hartl, D. L., Clark, A. G., & Clark, A. G. (1997). Principles of population genetics (Vol. 116). Sunderland, MA: Sinauer associates.
^ Hill, W. G. (2014). Applications of population genetics to animal breeding, from Wright, Fisher and Lush to genomic prediction. Genetics, 196(1), 1-16.
^ 1917. On Growth and Form. Cambridge University Press. (邦訳ほうやく）『生物せいぶつのかたち』 (UP選書せんしょ (121)) ダーシー・トムソン (著ちょ), 柳田やなぎだ友道ともみち　他た (翻訳ほんやく), 東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱん会かい (1973/01) ISBN 978-4130060219

外部がいぶリンク

日本にっぽん計量けいりょう生物せいぶつ学会がっかい

[1] Causton, D. R., & Venus, J. C. (1981). The biometry of plant growth. Edward Arnold.

[2] Pearl, R. (1923). Introduction to medical biometry and statistics. WB Saunders.

[wood-3] Wood, J. W. (2017). Dynamics of human reproduction: biology, biometry, demography. Routledge.

[4] Rohlf, F. J., & Sokal, R. (1973). Introduction to biostatistics. San Francisco: WH Freeman.

[5] Rosner, B. (2015). Fundamentals of biostatistics. Nelson Education.

[6] Pagano, M., & Gauvreau, K. (2018). Principles of biostatistics. CRC Press.

[7] Daniel, W. W., & Cross, C. L. (2018). Biostatistics: a foundation for analysis in the health sciences. Wiley.

[8] Fisher, L. D. (2004). Biostatistics: a methodology for the health sciences. John Wiley & Sons, Inc..

[9] Jain, A. K., Flynn, P., & Ross, A. A. (Eds.). (2007). Handbook of biometrics. Springer Science & Business Media.

[10] Bolle, R. M., Connell, J. H., Pankanti, S., Ratha, N. K., & Senior, A. W. (2013). Guide to biometrics. Springer Science & Business Media.

[11] Jain, A. K., Ross, A. A., & Nandakumar, K. (2011). Introduction to biometrics. Springer Science & Business Media.

[12] Li, S. Z., & Jain, A. (2015). Encyclopedia of biometrics. Springer Publishing Company, Incorporated.

[13] Porter, T. M. (2006). Karl Pearson: The scientific life in a statistical age. Greenwood Publishing Group.

[14] Magnello, M. E. (2009). Karl Pearson and the establishment of mathematical statistics. International Statistical Review, 77(1), 3-29.

[15] Allen, G. E. (2003). Mendel and modern genetics: the legacy for today. Endeavour, 27(2), 63-68.

[16] Fairbanks, D. J., & Rytting, B. (2001). Mendelian controversies: a botanical and historical review. American Journal of Botany, 88(5), 737-752.

[17] Berry, R. J. (1982). Neo-Darwinism. Edward Arnold (Publishers) Limited.

[18] Crow, J. F. (1987). Population genetics history: a personal view. Annual review of genetics, 21(1), 1-22.

[19] Hartl, D. L., Clark, A. G., & Clark, A. G. (1997). Principles of population genetics (Vol. 116). Sunderland, MA: Sinauer associates.

[20] Hill, W. G. (2014). Applications of population genetics to animal breeding, from Wright, Fisher and Lush to genomic prediction. Genetics, 196(1), 1-16.

[21] 1917. On Growth and Form. Cambridge University Press. (邦訳ほうやく）『生物せいぶつのかたち』 (UP選書せんしょ (121)) ダーシー・トムソン (著ちょ), 柳田やなぎだ友道ともみち　他た (翻訳ほんやく), 東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱん会かい (1973/01) ISBN 978-4130060219

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表ひょう話はなし編へん歴れき生物せいぶつ学がく
対象たいしょう生物せいぶつ学がく	ウイルス学がく寄生虫きせいちゅう学がく植物しょくぶつ学がく真ま菌きん学がく人類じんるい学がく動物どうぶつ学がく微生物びせいぶつ学がく分子生物学ぶんしせいぶつがく
生理せいり・生化学せいかがく	生化学せいかがく生理学せいりがく栄養えいよう学がく疫学えきがく毒性どくせい学がく病理びょうり学がく免疫めんえき学がく薬理やくり学がく
細胞さいぼう・組織そしき学がく	解剖かいぼう学がく形態けいたい学がく細胞さいぼう生物せいぶつ学がく神経しんけい科学かがく組織そしき学がく発生はっせい学がく発生はっせい生物せいぶつ学がく
ゲノム・遺伝いでん学がく	遺伝いでん学がく古典こてん遺伝いでん学がくゲノミクス分子ぶんし遺伝いでん学がく集団しゅうだん遺伝いでん学がく逆ぎゃく遺伝いでん学がく
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応用おうよう・学際がくさい領域りょういき	保全ほぜん遺伝いでん学がく宇宙うちゅう生物せいぶつ学がく構造こうぞう生物せいぶつ学がく時間じかん生物せいぶつ学がく数理すうり生物せいぶつ学がく量子りょうし生物せいぶつ学がく理論りろん生物せいぶつ学がくシステム生物せいぶつ学がく生物せいぶつ音響おんきょう学がく生物せいぶつ情報じょうほう科学かがく生物せいぶつ地理ちり学がく生物せいぶつ統計とうけい学がく生物せいぶつ物理ぶつり学がく生体せいたい力学りきがく生命せいめい記号きごう論ろん生命せいめい倫理りんり学がく
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生物せいぶつ統計とうけい学がくと疫学えきがく	統計とうけい的てき仮説かせつコホート研究けんきゅう症例しょうれい対照たいしょう研究けんきゅうランダム化か比較ひかく試験しけん臨床りんしょう疫学えきがく ROC曲線きょくせんスチューデントのt検定けんてい Z-テスト分散ぶんさん分析ぶんせき回帰かいき相対そうたいリスク統計とうけいソフトウェア SAS SPSS Stata
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