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人種じんしゅ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ハクスリーによる人種じんしゅ区分くぶん (1870ねん)
ネグロイド人種じんしゅコーカソイド人種じんしゅ オーストラロイド人種じんしゅモンゴロイド人種じんしゅ
Meyers Konversations-Lexikon (1885–1890)
人種じんしゅ分布ぶんぷ地図ちず
コーカソイド:
ネグロイド:
Uncertain:
モンゴロイド:

人種じんしゅ(じんしゅ、英語えいご:Race)とは、ヒトの分類ぶんるい概念がいねん[注釈ちゅうしゃく 1][1][2]

  1. ホモ・サピエンスと、その亜種あしゅ相当そうとうするとなされる集団しゅうだん[3][注釈ちゅうしゃく 2]
  2. 自然しぜんてき骨格こっかく皮膚ひふ毛髪もうはつとう遺伝いでんてき形質けいしつてき特徴とくちょう区分くぶんした生物せいぶつがくてき区分くぶん
  3. よん大人おとなしゅネグロイド黒色こくしょく人種じんしゅぐん)、コーカソイド白色はくしょく人種じんしゅぐん)、モンゴロイド黄色おうしょく人種じんしゅぐん)、オーストラロイド黒褐色こっかっしょく人種じんしゅぐん))などの現生げんなま人類じんるい集団しゅうだん[4][5]英語えいご raceの日本語にほんご訳語やくご[注釈ちゅうしゃく 3]
  4. 現生げんなま人類じんるい地位ちい職業しょくぎょう環境かんきょう生活せいかつ習慣しゅうかん気質きしつちがいで区分くぶんしたもの[4]
  5. 血筋ちすじ血統けっとう[4]

なお、日本語にほんごとしての用例ようれいふるく、日本にっぽんにおいて確認かくにんされる「人種じんしゅ」はいずれも、

  1. 人類じんるいのたね[4]人類じんるいもととなるもの。始祖しそ。また、人類じんるい[4]1358ねんころ成立せいりつしたとされる「神道しんとうしゅう」に「神明しんめいこくまもときは、人種じんしゅ繁昌はんじょう天下てんかほとばしれり」とある[4]ほうえんたまりんいち〕ほか------だまちりしょう(1563)などにも用例ようれいがある。
  2. そのにいる人数にんずう。また、やくてられる人数にんずう人材じんざい[4]落窪物語ものがたり平家ひらか物語ものがたり用例ようれいがある[4]
  3. 1844ねんごろ成立せいりつしたとされる『随筆ずいひつひゃくくさ』には「伊能いのうアイヌ人種じんしゅ」の用例ようれいがある[4]

というものであり、ヒトの分類ぶんるいてはめるようになったのは西洋せいよう文化ぶんかおお流入りゅうにゅうした江戸えど末期まっきとされる[6]

人種じんしゅ(ヒトの分類ぶんるい)の概念がいねん虚構きょこうであるとするかんがかたから、人種じんしゅ主義しゅぎへの批判ひはん反論はんろんなどの議論ぎろんつづいている(後述こうじゅつ[7][8]が、ほんこうではヒトの分類ぶんるいじょうにおける人種じんしゅあつかう。

学説がくせつ

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もともとは、たねとしてのホモ・サピエンスのすぐ下位かい、あるいは、それに分類ぶんるいぐんとして提唱ていしょうされてきたもの[9]であり、遺伝いでんてき多少たしょうとも隔離かくりされた集団しゅうだんで、のどのような隔離かくり集団しゅうだんともことなった集団しゅうだん遺伝子いでんし組成そせいゆうするもの[10]とされていた[注釈ちゅうしゃく 4]近代きんだいにおいては、とく奴隷どれい貿易ぼうえきアフリカひとらを人身じんしん売買ばいばいする過程かていで、分類ぶんるいおよび認識にんしきもとめられた。17世紀せいきには、フランソワ・ベルニエフランス語ふらんすごばんが『人種じんしゅによるしん大地だいち分割ぶんかつろん』(1684)を出版しゅっぱんし、人間にんげん人種じんしゅによって分類ぶんるいすることをろんじた。このように、国民こくみんふく共通きょうつう祖先そせんつと想定そうていされる一群いちぐん人々ひとびとという意味いみでの人種じんしゅ(race)の概念がいねんは、18世紀せいきなかばになるまでに、すでにられていた[11]。しかし、人種じんしゅかんする偏見へんけん先入観せんにゅうかんは、1750ねんから1950ねんあいだ最高潮さいこうちょうたっした[11]

ブルーメンバッハ

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学説がくせつてきにはドイツ医師いしヨハン・フリードリッヒ・ブルーメンバッハによる分類ぶんるい人種じんしゅ理論りろん嚆矢こうしこうしとされている。ブルーメンバッハは1775ねんゲッティンゲン大学だいがく提出ていしゅつした論文ろんぶん De generis humani varietate nativa (ヒトの自然しぜんてき変種へんしゅ)において頭蓋骨ずがいこつ比較ひかく研究けんきゅうなどを基礎きそに、コーカシア(白色はくしょく人種じんしゅ)、モンゴリカ(黄色おうしょく人種じんしゅ)、エチオピカ(黒色こくしょく人種じんしゅ)、アメリカナ(赤色あかいろ人種じんしゅ)、マライカ(茶色ちゃいろ人種じんしゅ)の5しゅ分類ぶんるいした。

ブルーメンバッハの分類ぶんるい方法ほうほうおよび定義ていぎ特徴とくちょうは、ユダヤ=キリスト教きりすときょうてき文化ぶんかおよび当時とうじのヨーロッパじん伝統でんとうつよ影響えいきょうけていることにある。たとえばコーカシアという定義ていぎは、旧約きゅうやく聖書せいしょでノアのはこぶね辿たどいたとされる中央ちゅうおうアジアのコーカサス地方ちほう命名めいめい由来ゆらいとしており、実際じっさいのヨーロッパじん居住きょじゅう地域ちいき特徴とくちょうとは関係かんけいのない定義ていぎである。また、モンゴリカという定義ていぎたんなる「モンゴルじん」という意味いみであり、当時とうじのヨーロッパじんられていたモンゴル帝国ていこく人々ひとびとあらわしているにすぎない。

初期しょき人類じんるいがく成立せいりつしたこの時代じだいのヨーロッパは、いまだユダヤ=キリスト教きりすときょうてき文化ぶんか伝統でんとう支配しはいされていた時代じだいであった。この時代じだい、『創世そうせい』のノアのはこぶね辿たどいたとされたアララトさんがある中央ちゅうおうアジアのコーカサス地方ちほうは、アルメニア教会きょうかいなどにとっては聖地せいちとされており、かつきゅうやく聖書せいしょ創世そうせい1-6しょうでは、しろいろひかりひるにんぜんあらわし、くろいろやみよるししあくあらわしていた。このことから、当時とうじ人類じんるいがく主導しゅどうしたヨーロッパじん自分じぶんたちを「ノアのはこぶねで、コーカサス地方ちほう辿たどいた人々ひとびと子孫しそんで、ぜんであるしろひと」という趣旨しゅしで、みずからをコーカソイド定義ていぎした[12]

実際じっさいブルーメンバッハは、様々さまざま人間にんげん集団しゅうだんのなかで「コーカサス出身しゅっしん」の「しろはだ人々ひとびと」がもっとうつくしくすべての人間にんげん集団しゅうだんの「基本形きほんけい」で、の4つの人類じんるい集団しゅうだんはそれから「退化たいか」したものだと定義ていぎしている。このような宗教しゅうきょうてき影響えいきょうから、現在げんざいおなじコーカソイドに分類ぶんるいされる、イタリアなど南欧なんおうけん居住きょじゅうするキリスト教徒きりすときょうと白人はくじんトルコおよパレスチナ地方ちほうなど中近東ちゅうきんとう居住きょじゅうする異教徒いきょうとのイスラム教徒きょうとムスリム)は有色ゆうしょく人種じんしゅ規定きていするなど、現在げんざい人類じんるいがくてきレベルで判断はんだんすると非合理ひごうりてきかつ恣意しいてき分類ぶんるい概念がいねんとなっている[13]

1813ねんにはブルーメンバッハの影響えいきょうジェイムズ・C・プリチャード英語えいごばんが『人類じんるい自然しぜん』(Researches into the Physical History of Man)を出版しゅっぱんし、ウィリアム・ロレンス英語えいごばんウィリアム・ウェルズ英語えいごばんとともに人間にんげん進化しんかろん展開てんかいした。ただし、プリチャードらはあくまで自然しぜん科学かがくしゃであり、たとえば「人類じんるい原型げんけい黒人こくじんしゅであることをしめおおくのデータがある」ともべている。ブルーメンバッハの影響えいきょうけたほか学者がくしゃにはトマス・ヘンリー・ハクスリーウィリアム・H・フラワー英語えいごばんなどがいる。

キュヴィエ

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ブルーメンバッハの5だい分類ぶんるいや、アンドレ・デュメリルが『分析ぶんせき動物どうぶつがく』(Zoologie analytique, 1806ねん)で主張しゅちょうした6だい分類ぶんるい[14]など、最初さいしょ人種じんしゅ分類ぶんるいはその種類しゅるい明確めいかく定義ていぎされていなかった。しかし次第しだいにこうした分類ぶんるいについての意見いけんは、パリ大学だいがく学長がくちょうジョルジュ・キュヴィエ自著じちょ動物界どうぶつかいフランス語ふらんすごばん』で提示ていじした「ネグロイド・コーカソイド・モンゴロイド」の3だい分類ぶんるいほう主流しゅりゅうとなりはじめる(この段階だんかいではのちにオーストラロイドとされたひとたちはモンゴロイドにふくめられていた)。モンゴロイド領土りょうどこそいくひろげるものの文明ぶんめい程度ていどひくく、ネグロイド野蛮やばんじん集団しゅうだんで、コーカソイド世界せかい文明ぶんめいささえてきた存在そんざいとする、白人はくじん至上しじょう主義しゅぎ一層いっそうつよくしたこの思想しそうヨーロッパひろれられた。その背景はいけいには、キリスト教きりすときょう聖書せいしょ登場とうじょうするノアに3にん息子むすこたとする記述きじゅつ合致がっちしていたからだともわれ、実際じっさいキリスト教きりすときょう原理げんり主義しゅぎものなかにはいまでもノアの息子むすこセムがモンゴロイド、ハムがネグロイド、ヤペテがコーカソイドの祖先そせんになったとしんじている人々ひとびと存在そんざいする。

一方いっぽうでキュヴィエは今日きょうにおいてすらしばしば白人はくじん主義しゅぎしゃあいだ議論ぎろんになる、アラブじん分類ぶんるいかんしてかれらを白人はくじんふくめている。完全かんぜん同格どうかくあつかったわけではなく、白人はくじんさら欧州おうしゅうけい中東ちゅうとうけい分類ぶんるい可能かのうで、前者ぜんしゃ科学かがく文明ぶんめい創出そうしゅつした偉大いだい種族しゅぞくとしながら後者こうしゃはそこから退化たいかした、いわば「不出来ふできおとうと」とかんがえていた。しかし、それでもこの時点じてんではヨーロッパじん学者がくしゃたちはアラブじんみずからがおな起源きげん同胞どうほうであることを積極せっきょくてき肯定こうていするきがあった。しかし、時代じだいくだるにつれてフランスなどが中東ちゅうとう地方ちほう植民しょくみんすると、徐々じょじょにアラブじん侮蔑ぶべつする記述きじゅつ研究けんきゅうえていった。1889ねんのフランスの新聞しんぶん「ル・プチ・ジュルナール」に掲載けいさいされた人種じんしゅでは、アラブじんがあからさまに黒人こくじんおな風貌ふうぼうえがかれている。

ダーウィニズム

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チャールズ・ダーウィン有名ゆうめいな『たね起源きげん』を発表はっぴょうしたのちの1871ねんに『人間にんげん進化しんかせい淘汰とうた原題げんだい The Descent Of Man And Selection In Relation To Sex)』を発表はっぴょうする。かれ意見いけんは「進化しんかにおいては利他りたてき部族ぶぞく有利ゆうりであったが、ときに利己りこてき部族ぶぞくによってほろぼされることもあったであろう」というものであったが、ひろられるにつれて「つねつよ部族ぶぞくによってよわ部族ぶぞくえられてきた」とられてしまった。そのため、「イギリスのような文明ぶんめいされた国民こくみんによって、野蛮やばん部族ぶぞく破壊はかいされるのはけられない」といった言説げんせつられるように、帝国ていこく主義しゅぎ人種じんしゅ差別さべつ正当せいとうする主張しゅちょう援用えんようされることになる。これがダーウィニズムのはじまりである。

ダーウィン自身じしん人種じんしゅあいだにおける生物せいぶつがくてき差異さい非常ひじょうちいさいとし、奴隷どれい制度せいど奴隷どれい虐待ぎゃくたい植民しょくみんしゃへの差別さべつてき待遇たいぐうには反対はんたいしていた。以下いかうえげた文献ぶんけんからの引用いんようしるす。

ひとのいかなる動物どうぶつよりも慎重しんちょう研究けんきゅうされてきたが、かれらがひとつのたねあるいは人種じんしゅなされるべきかどうか、有能ゆうのう調査ちょうさしゃあいだにも多様たよう意見いけんがあり、どれもありそうである:2(ヴァレイ)、3(ジャッキノー)、4(カント)、5(ブルーメンバハ)、6(ビュフォン)、7(ハンター)、8(アガシー)、11(ピカリング)、15(ボリセントヴィンセント)、16(デ・ムーラン)、22(モートン)、60(クロフォード)そしてバークによれば63。この判断はんだん多様たようせい人種じんしゅたねとしてみとめられるべきではないとうことを意味いみしない。しかし、人々ひとびと連続れんぞくてきわっていき、はっきりとした区別くべつがほとんど不可能ふかのうなことをあらわしている。 — Darwin, C.、The Descent of Man

自然しぜん選択せんたくせつ支持しじしゃたとえばアルフレッド・ウォレスはより極端きょくたん社会しゃかい主義しゅぎしゃ平等びょうどう主義しゅぎしゃであった。社会しゃかいダーウィニズム自然しぜん選択せんたくせつ支持しじしていなかったほか進化しんかろんしゃたとえばハーバート・スペンサーや、ドイツで明確めいかく差別さべつ主義しゅぎてき進化しんかかん発展はってんさせたエルンスト・ヘッケルらによって形作かたちづくられた。

福沢ふくさわ諭吉ゆきち

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日本にっぽんにおけるはじめての学説がくせつは、明治めいじ初期しょき日本人にっぽんじん人種じんしゅかんとして福澤ふくさわ諭吉ゆきちの『掌中しょうちゅう万国ばんこく一覧いちらん[15]ることができる。

世界中せかいじゅう人口じんこう

世界中せかいじゅう人口じんこう大凡おおよそじゅうおくきんかしこれをしゅわか
白皙はくせき人種じんしゅすなわおうともみ人種じんしゅ
よんおくせんまんにん
黄色おうしょく人種じんしゅすなわ亜細亜あじあ人種じんしゅ
よんおくろくせんまんにん
赤色あかいろ人種じんしゅすなわ亜米利加あめりか人種じんしゅ
いちせんまんにん
黒色こくしょく人種じんしゅすなわ利加りか人種じんしゅ
ななせんまんにん
茶色ちゃいろ人種じんしゅすなわ諸島しょとう人種じんしゅ
よんせんまんにん

— 福澤ふくさわ諭吉ゆきち、『掌中しょうちゅう万国ばんこく一覧いちらん』18-19ぺーじ
前条ぜんじょうごと世界せかい人員じんいんわかち其性情せいじょう風俗ふうぞく大概たいがいろんずることひだりごと
(いち)白皙はくせき人種じんしゅ
皮膚ひふうるわしく毛髪もうはつほそにしてながいただきこつだいにして前額ぜんがく(ヒタイ)たか容貌ようぼう骨格こっかくよしなり其精しん聡明そうめいにして文明ぶんめい極度きょくどたっきのせいありこれを人種じんしゅさいとすおうともみいちしゅう亜細亜あじあ西方せいほう利加りか北方ほっぽう、及ひ亜米利加あめりか住居じゅうきょするしろ哲人てつじんは此種類しゅるいひとなり
()黄色おうしょく人種じんしゅ
皮膚ひふいろにしてあぶらごと毛髪もうはつながくしてくろちょくくにしてつよしとうじょうやや四角よつかどにして前額ぜんがくひくく腮骨たいらにしてひろはなみじかほそく且其がい眥斜にのぼれり其人の性情せいじょうよく艱苦かんく勉励べんれいごとすと雖ども其才力さいりょくせまくして事物じぶつ進歩しんぽはなはおそささえフヒンランド」(魯西りょう西北せいほく)「ラプランドル」(同上どうじょうフヒンランド北方ほっぽう)とうきょみんは此種類しゅるいひとなり
(さん)赤色あかいろ人種じんしゅ
皮膚ひふ赤色あかいろ茶色ちゃいろとをおびどうごとく、黒髪くろかみちょくくしてながく、いただきこつしょうにして腮(ホウ)ほねたか前額ぜんがくひくくちひろ眼光がんこうくらくしてふかはなじょうとがきょくつりごとまたわしくちばし(クチバシ)のごと体格たいかく長大ちょうだいにして強壮きょうそう性情せいじょうけわしくしてたたかえこの復讎ふくしゅうねんつねぜっることなし南北なんぼく亜米利加あめりか土人どじんは此種類しゅるいひとなりただしこの人種じんしゅ白皙はくせきじん文明ぶんめいおもむくにしたがえ次第しだい衰微すいび人員じんいん減少げんしょうすとうん
(よん)黒色こくしょく人種じんしゅ
皮膚ひふいろくろめくかみ(チヾレゲ)羊毛ようもうたばねたるがあたまじょうほそながく腮(ホウ)ほねたかく顋(アギト)ほね突出とっしゅつ前額ぜんがくひくはなひらたくだいにして突出とっしゅつくちだいにしてくちびるあつし其身体しんたい強壮きょうそうにして活溌かっぱつことをなすべしと雖ども性質せいしつ懶惰らんだにして開化かいか進歩しんぽあじらず利加りか沙漠さばく南方なんぽう土民どみんおようれやつため亜米利加あめりかうつりせる黒奴こくどとうは此種類しゅるいひとなり
()茶色ちゃいろ人種じんしゅ
皮膚ひふ茶色ちゃいろにしてしぶ(シブ)のごと黒髪くろかみあらにしてなが前額ぜんがくひくくしてひろくちだいにしてはなみじかく眥(マシリ)ははすのぼること黄色きいろ人種じんしゅごとし其性情せいじょう猛烈もうれつ復讎ふくしゅうねんはなはもりなり太平洋たいへいよう利加りか海岸かいがんちか諸島しょとうおよび「マラッカ」(ひがし印度いんど)とう土民どみんはこの種類しゅるいひとなり — 福澤ふくさわ諭吉ゆきち、『掌中しょうちゅう万国ばんこく一覧いちらん』21-26ぺーじ

優生ゆうせいがく

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ダーウィンの従弟じゅうていである統計とうけい学者がくしゃフランシス・ゴルトン(1822-1911)は1883ねん優生ゆうせいがくという言葉ことばはじめてもちい、1869ねんには『遺伝いでんてき天才てんさい』を発表はっぴょう家畜かちく品種ひんしゅ改良かいりょう同様どうようひと人為じんい選択せんたくによって社会しゃかい進化しんかするとかんがえた。またアルチュール・ド・ゴビノーは『人種じんしゅ不平等ふびょうどうろん』(1855)を執筆しっぴつしている。

優生ゆうせいがく社会しゃかいダーウィニズムを極端きょくたんなまでに政治せいじてき利用りようした事例じれいとしてはナチズムがある。ナチスは優生ゆうせいがくもとづき障害しょうがいしゃ虐殺ぎゃくさつしている。優生ゆうせいがくてき観点かんてん近年きんねんまで日本にっぽん優生ゆうせい保護ほごほうにも反映はんえいされており、またスウェーデンでも犯罪はんざいしゃ断種だんしゅ手術しゅじゅつほどこすこともあった。

20世紀せいき後半こうはん定説ていせつ

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過去かこ様々さまざま人種じんしゅ分類ぶんるいこころみられたが、1950年代ねんだい以降いこう徐々じょじょコーカソイドネグロイドモンゴロイドオーストラロイドの「4大人おとなしゅ」といういいかた有力ゆうりょくとなっていき(これ以前いぜんには日本にっぽんではオーストラロイドがなくモンゴロイドにふくめられ「3大人おとなしゅ」とされることがおおかった)、通俗つうぞくてきには現在げんざいでもしばしばこの4大人おとなしゅ分類ぶんるい前提ぜんてい議論ぎろんされることがある。当初とうしょこれらの用語ようごはそれぞれ白色はくしょく人種じんしゅ黒色こくしょく人種じんしゅ黄色おうしょく人種じんしゅ褐色かっしょく人種じんしゅともいわれたが、中東ちゅうとう・インド大陸たいりくしょ民族みんぞくはすでにコーカソイドに分類ぶんるいされていた。

その現在げんざいまでのあいだに、モンゴロイドのなかからアメリンド赤色あかいろ人種じんしゅ)とアイノイドとを区別くべつしたりあるいはネグロイドのなかからカポイドけたりひとしせつこころみられている。(この場合ばあいカポイドをのぞくネグロイドをコンゴイドともいう)

遺伝いでんがく人種じんしゅ分類ぶんるい

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1930年代ねんだいから1945ねんわたっておこなわれた国民こくみん社会しゃかい主義しゅぎドイツ労働ろうどうしゃとうによる人種じんしゅ主義しゅぎてき政策せいさくは、ホロコーストポライモスなどのおおきな被害ひがいをもたらした。この反省はんせいから、1950ねん人種じんしゅ偏見へんけん人種じんしゅ主義しゅぎ暴力ぼうりょく対峙たいじするための科学かがくてき知識ちしき普及ふきゅうのために国際こくさい連合れんごう教育きょういく科学かがく文化ぶんか機関きかん(ユネスコ)が『人種じんしゅかんする声明せいめい』を発表はっぴょうする。この声明せいめい生物せいぶつ科学かがく社会しゃかい科学かがく専門せんもんからなる国際こくさい委員いいんかいによる検討けんとうのち自然しぜん人類じんるい学者がくしゃのA・モンタギューによって起草きそうされた。声明せいめい(1950)では、人間にんげん集団しゅうだんられる差異さいは、精神せいしんてき特徴とくちょうかんしてはられず、人種じんしゅとは遺伝子いでんし身体しんたい形質けいしつ頻度ひんどによってことなる集団しゅうだんしており、この差異さい進化しんかてき産物さんぶつであると同時どうじ動的どうてきなプロセスにあるという科学かがくてき定義ていぎべ、過去かこ人種じんしゅ概念がいねん生物せいぶつがくてき特徴とくちょうだけでなく、宗教しゅうきょう文化ぶんかいたるまでの統一とういつてき差異さいとしてかたられており、それが人種じんしゅあいだ不平等ふびょうどう暴力ぼうりょく正当せいとうつながっていたことを「神話しんわとしての人種じんしゅ」というかたち否定ひていした。この声明せいめい自体じたいにはテオドシウス・ドブジャンスキーなどおおくの遺伝いでん学者がくしゃ自然しぜん人類じんるい学者がくしゃがすぐさま反対はんたいしたが、この声明せいめいによって人種じんしゅ概念がいねん本質ほんしつてき特徴とくちょうもとづく類型るいけいではなく、頻度ひんど差異さいという連続れんぞくてき差異さいによって定義ていぎされた集団しゅうだん概念がいねん一般いっぱんしめされたとかんがえられる[16]1952ねんクロード・レヴィ=ストロースはユネスコの依頼いらいにより、『人種じんしゅ歴史れきし[17]執筆しっぴつし、文化ぶんか人類じんるい学者がくしゃなか人種じんしゅ概念がいねん無効むこうせい一般いっぱんされた。

1960年代ねんだいには人類じんるい全体ぜんたい変異へんいのバリエーションのうち85%はどの人種じんしゅにも存在そんざいし、人種じんしゅ民族みんぞく固有こゆう変異へんいは15%であると見積みつもられた(ただしこの推定すいていには最大さいだい30%とするせつまで議論ぎろんがある)。これは当時とうじかんがえられていたよりもはるかに人種じんしゅあいだ遺伝いでんてき差異さいちいさいことをしめしていた。また人類じんるい全体ぜんたい遺伝いでんてき多様たようせい自体じたいおおくの動物どうぶつよりもちいさく、たとえばチンパンジー遺伝いでんてき多様たようせいの4ぶんの1でしかない[18]

そこからかるように、ひと外見がいけんじょう差異さいはゲノムのわずかな部分ぶぶんによってもたらされる。したがって外見がいけんてき特徴とくちょうによってひと分類ぶんるいすることは厳密げんみつせい正当せいとうせいいていると主張しゅちょうするものおおい。また外観がいかんてき特徴とくちょうもとづく人種じんしゅ分類ぶんるい伝統でんとうてき人種じんしゅ差別さべつもちいられてきたこと、おな人種じんしゅ分類ぶんるいされる人々ひとびとかならずしもおな外観がいかんてき特徴とくちょうゆうしていないこと、おな人種じんしゅとされる人々ひとびとかならずしもおな文化ぶんか共有きょうゆうしていないことなどの問題もんだいがあり、DNA分析ぶんせきによる遺伝いでんがく進歩しんぽしたこともくわわって、人種じんしゅ分類ぶんるいほうもちいられなくなりつつあり、かわりに民族みんぞく集団しゅうだん連続れんぞくてき遺伝いでんてき特徴とくちょうをあらわすクラインといった概念がいねんもちいられるようになってきている。その結果けっか最近さいきん人種じんしゅ分類ぶんるい人類じんるいたんいちしゅであることを前提ぜんていにしつつ、地域ちいきてき特徴とくちょう集団しゅうだんとして、やく1まんねんまえ居住きょじゅう地域ちいき基準きじゅんとし、アフリカじん西にしユーラシアじん、サフールじんひがしユーラシアじん南北なんぼくアメリカじんというように、地域ちいき名称めいしょうぶことが提唱ていしょうされている[19]。。

人種じんしゅ概念がいねん否定ひてい潮流ちょうりゅう

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現代げんだいにおいて人種じんしゅという概念がいねん科学かがくてき否定ひていされ有効ゆうこうではないとされるかんがえがひろまってきており、人類じんるい学者がくしゃ社会しゃかい学者がくしゃなかには人種じんしゅ社会しゃかいてき要因よういんによって構築こうちくされた制度せいどであり、実在じつざいしないと提唱ていしょうするものおおくいる [13]たとえば、フランツ・ボアズ米国べいこくへやってきた移民いみんとそのどもの頭蓋とうがい研究けんきゅうして、環境かんきょう影響えいきょう強調きょうちょうし、「人種じんしゅ」という概念がいねんを「文化ぶんか」にえるべきだとはや時期じきから主張しゅちょうしていた[20]

白人はくじんなどの人種じんしゅ概念がいねんはその成立せいりつ過程かていにおいて多分たぶん偏見へんけんや、宗教しゅうきょうをはじめとする文化ぶんかてき判断はんだん要素ようそふくんでおり、民族みんぞく社会しゃかい科学かがくてき部分ぶぶんつとする論者ろんしゃおおい。

人間にんげん生物せいぶつがくてき遺伝子いでんしてきこまかくていけば差異さいはあり、また個人こじん特徴とくちょう多様たようである、しかし、ひと生物せいぶつがくてき差異さい遺伝子いでんし差異さい人種じんしゅとしてひとけるほどのおおきなものではなく、現代げんだいじん単一たんいつたねである。ひと科学かがくてき差異さいがあったとしても、人種じんしゅ概念がいねん歴史れきしつくしたものであり、生物せいぶつがくてき遺伝子いでんしてきちいさな差異さいをもって人種じんしゅとしてける行為こうい人種じんしゅ差別さべつてき行為こういでもある[21][22]」というのが現在げんざい潮流ちょうりゅうである。

一方いっぽう人種じんしゅ概念がいねん社会しゃかい構築こうちくぶつであるという見解けんかい懐疑かいぎてき意見いけんもあり[23]事実じじつたいする言明げんめい社会しゃかい運動うんどう(たとえ差別さべつ追放ついほうなど動機どうき妥当だとうだとしても)にもとづいてはならないという批判ひはんがある[24]遺伝いでん関係かんけい不明瞭ふめいりょうなことから、遺伝いでんがく志向しこうつよ人類じんるい学者がくしゃ人種じんしゅという概念がいねんみとめない潮流ちょうりゅうにあるが、現実げんじつ身体しんたいてき特徴とくちょう類似るいじせい人類じんるい集団しゅうだん地域ちいきてき分布ぶんぷすることを無視むしすることはできない[25]、との見解けんかいもある。むしろ、近年きんねん分子ぶんし人類じんるいがくしめミトコンドリアDNAハプログループY染色せんしょくたいハプログループといった遺伝子いでんし指標しひょう拡散かくさん経路けいろは、従来じゅうらい形質けいしつ人類じんるいがくしめした人種じんしゅ区分くぶんおおむ一致いっちしている[26][27]が、最近さいきん人類じんるい学者がくしゃは、政治せいじてき曲解きょっかいおそれて、人種じんしゅそのものにれることをける傾向けいこうがある[25]医学いがくにおいては人種じんしゅとして分類ぶんるいしないことが、ぎゃくにマイノリティの抹殺まっさつ無視むしにつながるとする意見いけんもある[28]

人種じんしゅ概念がいねんたいする声明せいめいなど
ユネスコは1951ねん人種じんしゅ本質ほんしつ人種じんしゅちがいにかんする声明せいめい」を作成さくせいし、りょう声明せいめいにおいて人種じんしゅ生物せいぶつがくてき差異さい存在そんざいしないと断言だんげんし、人種じんしゅとは「社会しゃかいてき神話しんわ」であると強調きょうちょうした[注釈ちゅうしゃく 5][22][29]

アメリカでは、1996ねんアメリカ自然しぜん人類じんるい学会がっかい(AAPA)が19世紀せいきから20世紀せいき初頭しょとうにかけてつくられてきた生物せいぶつがくてきな「人種じんしゅ概念がいねん無効むこうせい一般いっぱん周知しゅうちするための声明せいめいした[注釈ちゅうしゃく 6][21][30][31]。1998ねん5がつ17にちアメリカ人類じんるい学会がっかい(AAA)の理事りじかいによって「『人種じんしゅ』についてのアメリカ人類じんるい学会がっかい声明せいめい」がだされ、今世紀こんせいき科学かがくてき知識ちしき進歩しんぽにより、ひと集団しゅうだん生物せいぶつがくてき明確めいかく区別くべつですることのできる集団しゅうだんではないことがあきらかになったとした[注釈ちゅうしゃく 7][8][32]

日本にっぽんでは1995ねん日本にっぽん学術がくじゅつ会議かいぎしたに、「人種じんしゅ民族みんぞく概念がいねん検討けんとうしょう委員いいんかい設置せっちされ、2001ねんに「人種じんしゅ概念がいねん科学かがくてきではないと確認かくにんしたと最終さいしゅう報告ほうこくされた[8][33]

伝統でんとうてき人種じんしゅ分類ぶんるいれいはだいろ

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Felix von Luschan によるはだいろのカラーチャート
各国かっこく先住民せんじゅうみん皮膚ひふしょく分配ぶんぱいしたマップ

はだいろ実際じっさい居住きょじゅう地域ちいき環境かんきょう影響えいきょうけるために、はだいろ風貌ふうぼうによって集団しゅうだんあいだ遺伝いでんてき距離きょりはかることはできないとされる。ただしおな緯度いどでも人種じんしゅによって濃淡のうたん差異さいがある。たとえばモンゴロイドであるアメリカ先住民せんじゅうみん赤道せきどういきにおいてもネグロイドオーストラロイドほど黒褐色こっかっしょくにならない。アボリジニ比較的ひかくてきちゅう緯度いどにおいても皮膚ひふしょくうすくならない。これらは適応てきおうのみならず、皮膚ひふいろ遺伝いでんてきにも支配しはいされていることを示唆しさしている。また、現生げんなま人類じんるい祖先そせんネグロイドのような黒褐色こっかっしょく皮膚ひふっており、アフリカ、ユーラシアにおいてモンゴロイドコーカソイド独立どくりつ皮膚ひふ白色はくしょくさせたとかんがえられ、りょう人種じんしゅにおけるはだ白色はくしょくさせる遺伝子いでんしことなると推定すいていされている。

DNA分析ぶんせきによる分類ぶんるいれい

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人類じんるい集団しゅうだん遺伝いでんてき系統けいとう

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ひだりかたマイクロサテライトによりもとめられた人類じんるい集団しゅうだん系統けいとうじゅである[34]。この系統けいとうじゅ意味いみするところは、最初さいしょにアフリカじんとその集団しゅうだん分岐ぶんきしたこと、つぎにヨーロッパじんとその集団しゅうだん分岐ぶんきしたこと、そのつぎひがし東南とうなんアジアじんとオーストラリアじん分岐ぶんきし、最後さいごおおきな分岐ぶんきとしてひがし東南とうなんアジアじんとアメリカ先住民せんじゅうみん分岐ぶんきしたということである。この系統けいとうじゅられた主要しゅよう特徴とくちょうは、従来じゅうらいタンパク質たんぱくしつがた最近さいきんかくDNAのがたによってあきらかにされた人類じんるい集団しゅうだんあいだ系統けいとう関係かんけい大筋おおすじにおいて一致いっちする。(外部がいぶリンクを参照さんしょう

近年きんねん遺伝子いでんし研究けんきゅうにより、ちゅうのようにきたアフリカじん中東ちゅうとうじん遺伝子いでんしてきにヨーロッパじんちかいが、長年ながねんあいだにサハラ以南いなんのアフリカじん同化どうかしていることもあり、ヨーロッパじんとサハラ以南いなんのアフリカじんあいだ位置いちしている。同様どうように、中央ちゅうおうアジアじんやインドじん地理ちりてき配置はいちからヨーロッパじんひがしアジアじん(オーストラリア先住民せんじゅうみん、アメリカ先住民せんじゅうみんふくむ)のあいだ位置いちしている。[35]

みぎ世界せかいの18にんるい集団しゅうだん遺伝いでんてききんえん関係かんけいを23種類しゅるい遺伝子いでんし情報じょうほうをもとに近隣きんりん結合けつごうほうによって作成さくせいされた人種じんしゅ遺伝いでんてききんえんである。この分析ぶんせき証明しょうめいする人類じんるい集団しゅうだん系統けいとうは、アフリカン(ネグロイド)からコーカソイド白人はくじん)が分岐ぶんきし、コーカソイドからオセアニアン(オーストラロイド)・イーストアジアン(モンゴロイド)が分岐ぶんき、そしてイーストアジアンからネイティブアメリカンが分岐ぶんきした、とうものである。この人類じんるい集団しゅうだんきんえん関係かんけい上記じょうき遺伝いでんてき系統けいとうじゅ現在げんざい人類じんるい集団しゅうだん地理ちりてき配置はいち一致いっちする。

ただしこれらの系統けいとうじゅには混血こんけつ歴史れきし反映はんえいされないため、より厳密げんみつ手法しゅほうハプログループによる系統けいとう分析ぶんせきすべきという意見いけんもある。

近年きんねん研究けんきゅうにおいては現生げんなま人類じんるい分類ぶんるいちゅう純粋じゅんすいホモ・サピエンス従来じゅうらいのネグロイド)と、ホモ・サピエンスの祖先そせんと「ホモ・ネアンデルターレンシス」との雑種ざっしゅ(ネグロイド以外いがい現生げんなま人類じんるい)が存在そんざいするとの論文ろんぶん発表はっぴょうされている[36]

最近さいきん研究けんきゅうから、ひがしアジアじん(モンゴロイド)を特徴付とくちょうづける遺伝子いでんしがあることがわかった[37][38]

Y染色せんしょくたい・mtDNAハプログループと人種じんしゅ

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Y染色せんしょくたいハプログループの拡散かくさん人種じんしゅ

ミトコンドリアDNAやY染色せんしょくたいのようなゲノムのくみえしない部分ぶぶんもちいた系統けいとうじゅ作成さくせいは、集団しゅうだん移動いどうとルーツを辿たどるのにもちいられる。たとえば日本人にっぽんじんのミトコンドリアDNAのハプロタイプ割合わりあいと、周辺しゅうへん集団しゅうだん韓国かんこく中国ちゅうごく台湾たいわん、シベリア先住民せんじゅうみんなど)を比較ひかくすることで、祖先そせんがどのようなルートを辿たどって日本にっぽん列島れっとうにたどりいたかを推定すいていできる。

崎谷さきやみつる人類じんるいY染色せんしょくたいハプログループおよびミトコンドリアDNAハプログループがアフリカイラン付近ふきん起点きてんにしてみなみルート(イランからインド、オーストラリアへ)、きたルート(イランからアルタイ山脈さんみゃく付近ふきんへ)、西にしルート(イランから中東ちゅうとうカフカス山脈さんみゃく付近ふきんへ)の3ルートで拡散かくさんしたとしている[39][40]。なお、かけによって人類じんるい分類ぶんるいする人種じんしゅ父系ふけい先祖せんぞからのみ遺伝いでんされるY染色せんしょくたい根本こんぽんてきことなる概念がいねんであり、混同こんどうすることははなはだしく不合理ふごうりである。

  • だしアフリカ…ABE
  • みなみルート… C1a1C1b2D1F*K*MSHL
  • きたルート…C2NOP
  • 西にしルート…C1a2IJGT

人種じんしゅ要因よういん

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人種じんしゅ概念がいねん誕生たんじょうした要因よういんおおきく2つにけられる。1つは外見がいけんじょう表現ひょうげんがた差異さい存在そんざいするため、もう1つはそのような外見がいけんじょう差異さい認識にんしきする人間にんげん認知にんち能力のうりょく存在そんざいするためである。

集団しゅうだんあいだ表現ひょうげんがた差異さいは、ぜん地球ちきゅうてき距離きょり山脈さんみゃく気候きこう要因よういんなど地理ちりてき障壁しょうへきによって遺伝子いでんし流動りゅうどう制限せいげんされたことなる集団しゅうだん時間じかん経過けいかとともにことなる自然しぜん選択せんたくけたり(せい選択せんたくかかわっているかもれない)、ことなる遺伝いでんてき浮動ふどう経験けいけんすることでされる。

2つの集団しゅうだん全体ぜんたい十分じゅうぶん交流こうりゅうしていれば、それぞれの集団しゅうだんちゅう遺伝子いでんし頻度ひんど平均へいきんされ、表現ひょうげんがた差異さいされない。このメカニズムはことなるたねつくたね分化ぶんかのメカニズムの一部いちぶであり、十分じゅうぶん時間じかん、2つの集団しゅうだん遺伝子いでんし流動りゅうどう制限せいげんされつづければその集団しゅうだん別個べっこの2しゅとなる。自然しぜんなかにも人種じんしゅおなじように、連続れんぞくした亜種あしゅつらなりをしめすクラインを形成けいせいするたね存在そんざいする(たとえば輪状りんじょうしゅ

人類じんるいアフリカ単一たんいつ起源きげんせつのモデル[41]
人類じんるいのアフリカ単一たんいつ起源きげんせつ
現生げんなま人類じんるい起源きげん分散ぶんさん説明せつめいする理論りろんは2つあり、1つはアフリカ単一たんいつ起源きげんせつ、もう1つは地域ちいき起源きげんせつである。どちらのせつ十分じゅうぶんさかのぼれば人類じんるい起源きげんはアフリカであることに同意どういしており、おおきなちがいはいつ我々われわれ祖先そせんがアフリカを出発しゅっぱつしたかである。DNA分析ぶんせきによれば、ぜん人類じんるい共通きょうつう祖先そせんとおくとも25まんねんまえには存在そんざいしていたとされる(これは共通きょうつう祖先そせんが100まんねん以上いじょうさかのぼると見積みつもる地域ちいき起源きげんせつへの重大じゅうだい反証はんしょうである)。つまり人類じんるいのアフリカ単一たんいつ起源きげんせつもとづけば、やく25まんねんまえ以降いこうアフリカをたした人類じんるいが、距離きょり山脈さんみゃくなど地理ちりてき障壁しょうへきによって遺伝子いでんし流動りゅうどう制限せいげんされた結果けっかことなる遺伝いでんてき特徴とくちょうった集団しゅうだん成立せいりつしたとされる。
人種じんしゅてき境界きょうかい地理ちりてき境界きょうかい一致いっちする(移動いどうさまたげとなる自然しぜん環境かんきょう人種じんしゅ誕生たんじょうさせた)
上述じょうじゅつの「人類じんるい集団しゅうだん遺伝いでんてき系統けいとう-1.2」も参照さんしょう
また、「人類じんるい集団しゅうだん遺伝いでんてき系統けいとう-1・2」を世界せかい地図ちずかさわせると、ネグロイドはアフリカ大陸たいりく、コーカソイドはユーラシア大陸たいりくヒマラヤ山脈ひまらやさんみゃくおよびアラカン山脈さんみゃく南西なんせいがわ(DNA分析ぶんせきによればインド・アラブ・トルコじんもコーカソイドである)、モンゴロイドはヒマラヤ山脈ひまらやさんみゃくおよびアラカン山脈さんみゃくひがしおよび北側きたがわ、オーストラロイドはインド大陸たいりくからオーストラリア大陸たいりくとスンダ列島れっとう周辺しゅうへん、そしてネイティブアメリカンは南北なんぼくアメリカ大陸あめりかたいりく分布ぶんぷすることがかる。
つまり、アフリカたした現生げんなま人類じんるい祖先そせんかく大陸たいりく移住いじゅうしたのち、ジブラルタル海峡かいきょう地中海ちちゅうかい・スエズ地峡ちきょう紅海こうかいヒマラヤ山脈ひまらやさんみゃく・アラカン山脈さんみゃく中央ちゅうおうアジアの乾燥かんそう地帯ちたいリング海りんぐかいかいとう自然しぜん環境かんきょうにより、それぞれ交流こうりゅう遮断しゃだんされた地域ちいきが、そのまま現在げんざい主要しゅよう人種じんしゅ居住きょじゅう地域ちいきとなっている。
人種じんしゅあいだ遺伝いでんてき距離きょり地理ちりてき距離きょり相関そうかんがある
人種じんしゅあいだ遺伝いでんてき距離きょりと、対象たいしょうとなる人種じんしゅ人種じんしゅ居住きょじゅうする地理ちりてき距離きょり相関そうかんがある。つまり、人類じんるい誕生たんじょうであるアフリカにむネグロイドとかく人種じんしゅとの遺伝いでんてき距離きょりは、かく人種じんしゅ地域ちいきのアフリカからの地理ちりてき距離きょりはなれているほどおおきくなる。
れい:「人類じんるい集団しゅうだん遺伝いでんてき系統けいとう-1・2」にあるとおり、アフリカじんとの遺伝いでんてき距離きょりがもっともちかいのはアフリカ大陸たいりく隣接りんせつである地中海ちちゅうかい沿岸えんがんのユーラシア大陸たいりくコーカソイドであり、ぎゃくにもっとも遺伝いでんてき距離きょりとおいのは、アフリカ大陸たいりくから地理ちりてきもっととおアメリカ大陸あめりかたいりくネイティブアメリカンである。

人種じんしゅ知覚ちかくする人間にんげん認知にんち能力のうりょく

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人種じんしゅ差別さべつ人種じんしゅもとづいたステレオタイプ意識いしきてき抑制よくせいできるが、人種じんしゅ認識にんしき自動的じどうてき無意識むいしきおこなわれるようである。なぜ人間にんげん人種じんしゅ敏感びんかんなのかを説明せつめいする仮説かせつおおきくけると3つある。石器せっき時代じだい祖先そせんころは、人種じんしゅ出会であうことはまずく、したがって人種じんしゅ見分みわける能力のうりょく能力のうりょく副産物ふくさんぶつであるとかんがえられる[18]

  1. いろかたち見分みわける視覚しかく能力のうりょくはだいろ感知かんちするだけであり、人種じんしゅ概念がいねん実在じつざいしない社会しゃかい構築こうちくぶつぎない。
  2. 人種じんしゅ認識にんしき自然しぜん物体ぶったい区別くべつする本質ほんしつ主義しゅぎてき生得しょうとくてき推論すいろんシステムの副産物ふくさんぶつである。本質ほんしつ主義しゅぎてき推論すいろんシステムとは、たとえば無機物むきぶつ動物どうぶつ植物しょくぶつ区別くべつし、それぞれに共通きょうつう特性とくせいたとえば動物どうぶつならうごく、げる、おそいかかってくる)があると理解りかいする専門せんもんされた認知にんち能力のうりょくのことで、外見がいけんことなるひとにはことなる本質ほんしつ存在そんざいすると直観ちょっかんする。
  3. 人種じんしゅ認識にんしき連合れんごう協力きょうりょくのために進化しんかした計算けいさんてきメカニズムの副産物ふくさんぶつである。

実験じっけんによれば、無意識むいしき人種じんしゅひと区別くべつするが、顕著けんちょ目印めじるしがあるとそちらに注目ちゅうもくし、人種じんしゅによるカテゴリおこなわれなくなるようである(対照たいしょうてき性別せいべつによるカテゴリ根強ねづよのこった)[42]。またおなじチームを応援おうえんするなどの共通きょうつうてんがある場合ばあいには、人種じんしゅてき偏見へんけんやステレオタイプよわまるようである。

行政ぎょうせいてき概念がいねんとしての人種じんしゅ

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アメリカ食品しょくひん医薬品いやくひんきょく(Food and Drug Administration、FDA))は2005ねん特定とくてい人種じんしゅよう医薬いやく承認しょうにんした。認可にんかされたくすりバイディル英語えいごばんはアフリカけいアメリカじん専用せんよう心不全しんふぜん治療ちりょうやくとして喧伝けんでんされたもので、患者かんじゃ個人こじん特定とくてい遺伝子いでんしはたらくようデザインされた医薬いやく目指めざすオーダーメード医療いりょう時代じだいけた第一歩だいいっぽとして,FDAはこの承認しょうにんひろくアピールした。もっとも、このくすり人種じんしゅ関係かんけいなく処方しょほうされている2つのジェネリックやくごうざいであり、しかもいかなる遺伝子いでんしとの相関そうかんつかっておらず、人種じんしゅくらべてバイディルがアフリカけいアメリカじんによくいたり、ちがった効果こうか発揮はっきしたりすることをうらづけるたしかな証拠しょうこはない[43]結局けっきょく発売はつばいもとのNitroMedしゃは2008ねんに、発売はつばい中止ちゅうしした[44]

人種じんしゅ民族みんぞく相違そうい混同こんどう

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人種じんしゅ」と「民族みんぞく」という概念がいねん相違そうい混同こんどうから、以下いかのような事例じれい存在そんざいする。

ユダヤじん
ユダヤじんはセムけいとされ『旧約きゅうやく聖書せいしょとう記述きじゅつ人種じんしゅ概念がいねん形成けいせいするさいおおいに利用りようされた。しかし、現代げんだいイスラエル国家こっかは"ユダヤじん人種じんしゅわずユダヤきょう信仰しんこう中心ちゅうしんとしたユダヤ文化ぶんか共有きょうゆうする民族みんぞく総称そうしょうにすぎない"としている。イスラエルに「移住いじゅう」するユダヤじんには様々さまざま人種じんしゅふくまれている。
日本人にっぽんじん
日本人にっぽんじんについては、長谷部はせべげんじんが「日本人にっぽんじんしゅ」の存在そんざい主張しゅちょうしたこともあるが、学会がっかい主流しゅりゅうをなす意見いけんでは、日本人にっぽんじんという人種じんしゅ存在そんざいせず、日本人にっぽんじんという言葉ことば日本にっぽん国籍こくせき日本にっぽん国民こくみんことす。
人食ひとく人種じんしゅ
ひといをおこな民族みんぞくのことであり、人食ひとく人種じんしゅばれる人々ひとびとは、ここで定義ていぎされる人種じんしゅではない。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ なお、今日きょうではヒトの分類ぶんるい科学かがくてき妥当だとうせいみとめられず、社会しゃかいつくした文化ぶんかてき概念がいねんとみなされている。
  2. ^ 人種じんしゅ生物せいぶつがくてきたね亜種あしゅではなく、現生げんなまするヒトは、遺伝いでんてきに、たね亜種あしゅあたいするほど差異さい存在そんざいしないとされる。この場合ばあいの「たね」は、生物せいぶつがく概念がいねんとしての「たね」と混同こんどうしてはならない。英語えいごでは、生物せいぶつがくてきな「たね」は speciesであり、人種じんしゅはraceであり、両者りょうしゃはまったくことなる単語たんごである。にもかかわらず、日本語にほんごではおなじ「たね」という訳語やくご採用さいようされているので、両者りょうしゃ混同こんどうされやすい。「人種じんしゅ」の「たね」が意図いとしているのは、あくまでも現生げんなま人類じんるいを、さらにこまかく形質けいしつてき特徴とくちょうによって区分くぶんするこころみである。しかも、この区分くぶん基準きじゅんは、時代じだい社会しゃかいによってことなる流動的りゅうどうてきなものであることに留意りゅういする必要ひつようがある。[よう出典しゅってん]
  3. ^ おな漢字かんじ表記ひょうきの「たね」は生物せいぶつがくてきたね(species)とはことなる。
  4. ^ 生物せいぶつにおける亜種あしゅ該当がいとうする。
  5. ^ 「すべての人間にんげん単一たんいつたねぞくし、共通きょうつう先祖せんぞ子孫しそんである。すべての人間にんげん尊厳そんげん権利けんりにおいて平等びょうどうまれ、だれもがくことのできない一員いちいんとして人類じんるい形成けいせいしている」
  6. ^ 人類じんるい多様たようせい人類じんるい環境かんきょう適応てきおう選択せんたくされ、また遺伝いでんてき浮動ふどう遺伝いでんてき混入こんにゅうによってまれてきたもので、その多様たようせい連続れんぞくてきで、カテゴリーにけられるものではない」
  7. ^ 遺伝いでんがく(DNAなど)の解析かいせきからられた証拠しょうこは、やく94%の身体しんたいてき変異へんいがいわゆる人種じんしゅ集団しゅうだんないにあることをしめしている。従来じゅうらい地理ちりてき人種じんしゅてき」グループけでは、その遺伝子いでんしやく6%においてのみたがいにことなる。このことは、ひと遺伝子いでんし変異へんい集団しゅうだんあいだよりも集団しゅうだんないおおきく変異へんいしていることを意味いみしている。隣接りんせつする集団しゅうだんでは、遺伝子いでんしとその表現ひょうげんがた(物理ぶつりてき)発現はつげん重複じゅうふくおおく、歴史れきしつうじて、ことなる集団しゅうだん接触せっしょくするたびに交配こうはいおこなわれてきた。遺伝いでん物質ぶっしつ継続けいぞくてき共有きょうゆうは、人類じんるい全体ぜんたい単一たんいつしゅとして維持いじしてきた。」

出典しゅってん

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  44. ^ Kaiser Health Disparities Report: A Weekly Look At Race, Ethnicity And Health, Science & Medicine NitroMed To End Promotion of Heart Failure Medication Specifically Approved for Blacks”. kaisernetwork.org. 2010ねん1がつ22にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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