樹き状じょう細胞さいぼう

皮膚ひふの中なかの樹き状じょう細胞さいぼう

樹き状じょう細胞さいぼう（じゅじょうさいぼう、英えい: Dendritic cell）は、抗原こうげん提示ていじ細胞さいぼうとして機能きのうする免疫めんえき細胞さいぼうの一種いっしゅであり、哺乳類ほにゅうるいの免疫めんえき系けいの一部いちぶを担になっている。

皮膚ひふ組織そしきをはじめとして、外界がいかいに触ふれる鼻腔びこうや肺はい、胃い、腸管ちょうかんに存在そんざいし、その名なのとおり周囲しゅういに突起とっきを伸のばしている。表皮ひょうひの樹き状じょう細胞さいぼうはランゲルハンス細胞さいぼうと呼よばれる。

抗原こうげん提示ていじ細胞さいぼうは自分じぶんが取とり込こんだ抗原こうげんを、他たの免疫めんえき系けいの細胞さいぼうに伝つたえる役割やくわりを持もつ。抗原こうげんを取とり込こむと樹き状じょう細胞さいぼうは活性かっせい化かされ、リンパ節ぶしや脾臓ひぞうなどの二に次じリンパ器官きかんに移動いどうする。リンパ器官きかんでは取とり込こんだ抗原こうげんに特異とくい的てきなT細胞さいぼうを活性かっせい化かする。この活性かっせい化かは非常ひじょうに効率こうりつ的てきであり、T細胞さいぼうの活性かっせい化かにおいて、樹き状じょう細胞さいぼうはマクロファージよりも優すぐれている。 初期しょきの樹き状じょう細胞さいぼうは抗原こうげんを取とり込こむ能力のうりょく（貪食どんしょく作用さよう）を持もった末梢まっしょう組織そしきの状態じょうたいであり、未熟みじゅく樹じゅ状じょう細胞さいぼうと呼よばれる。

その後ご、リンパ節ぶしに移動いどうし、B7分子ぶんしを発現はつげんしてT細胞さいぼうを活性かっせい化かする能力のうりょくを獲得かくとくするとともに抗原こうげんを取とり込こむ能力のうりょくを失うしなった樹き状じょう細胞さいぼうを成熟せいじゅく樹じゅ状じょう細胞さいぼうと呼よぶ。

また、マクロファージが一般いっぱんに持もっているFcレセプター、およびC3bに対たいするレセプターについて、一般いっぱんに未熟みじゅく樹じゅ状じょう細胞さいぼうはFcレセプターを持もっているが、しかし成熟せいじゅく樹じゅ状じょう細胞さいぼうはFcレセプター、およびC3bに対たいするレセプターを持もっていないとされる。

また、リンパ節ぶしに入はいると樹き状じょう細胞さいぼうはケモカイン CCL18 を分泌ぶんぴつしてT細胞さいぼうを誘引ゆういんするとともに、接着せっちゃく分子ぶんし DC-SIGN によりT細胞さいぼうと強つよく結合けつごうするようになる。この状態じょうたいにおける成熟せいじゅく樹じゅ状じょう細胞さいぼうは、その形態けいたいから相互そうご連結れんけつ細ほそ網もう細胞さいぼう (interdigitating reticular cell) とも呼よばれる。

樹き状じょう細胞さいぼうは発現はつげんしている表面ひょうめん抗原こうげん分子ぶんし (CD, cluster of differentiation) によってさまざまなサブセットに分類ぶんるいされる。

発見はっけん

1973年ねん、カナダの免疫めんえき学者がくしゃ・細胞さいぼう生物せいぶつ学者がくしゃラルフ・スタインマン(1943-2011)は、マクロファージとは異ことなる大型おおがた星ほし状じょう細胞さいぼう（中枢ちゅうすう神経しんけい系けいのグリア細胞さいぼうの一ひとつアストロサイトとは別べつ）を発見はっけんし、樹き状じょう細胞さいぼうと命名めいめいした。この功績こうせきにより、スタインマンは、2011年ねんノーベル生理学せいりがく・医学いがく賞しょうを受賞じゅしょうした。

樹き状じょう細胞さいぼうの分類ぶんるい

• 　骨髄こつづい系けい樹じゅ状じょう細胞さいぼう（myeloid dendritic cell）
• 　形質けいしつ細胞さいぼう様さま樹じゅ状じょう細胞さいぼう（plasmacytoid dendritic cell)
• 　ランゲルハンス細胞さいぼう（Langerhans cell）
• 　指ゆび状じょう嵌入かんにゅう細胞さいぼう（interdigitating cell）
• 　ヴェール細胞さいぼう（veiled cell）
• 　真皮しんぴ内ない樹じゅ状じょう細胞さいぼう（dermal dendritic cell）

関連かんれん項目こうもく

• 濾胞樹じゅ状じょう細胞さいぼう - 今日きょうでは樹き状じょう細胞さいぼうと由来ゆらい・機能きのうの異ことなる細胞さいぼうと考かんがえられている。