ハイブリドーマ技術 ぎじゅつ とモノクローナル抗体 こうたい 作成 さくせい の概要 がいよう を示 しめ した模 も 式 しき 図 ず [1] [2] 。抗原 こうげん を誘発 ゆうはつ したマウスの脾臓 ひぞう 細胞 さいぼう と、骨髄腫 こつづいしゅ 細胞 さいぼう を融合 ゆうごう してハイブリドーマを作成 さくせい する。ハイブリドーマをHAT培地 ばいち で培養 ばいよう し、優 すぐ れた特性 とくせい を持 も つ細胞 さいぼう のクローンからモノクローナル抗体 こうたい を採取 さいしゅ する。
モノクローナル抗体 こうたい (モノクローナルこうたい、英 えい : monoclonal antibody 、mAb またはmoAb )は、単一 たんいつ の抗体 こうたい 産 さん 生 せい 細胞 さいぼう をクローニング して作 つく られた抗体 こうたい である。このようにして得 え られた後続 こうぞく の抗体 こうたい は、すべて単一 たんいつ の親 しん 細胞 さいぼう までさかのぼる。
通常 つうじょう の抗体 こうたい (ポリクローナル抗体 こうたい )は抗原 こうげん で免疫 めんえき した動物 どうぶつ の血清 けっせい から調製 ちょうせい するため、いろいろな抗体 こうたい 分 ぶん 子種 こだね の混合 こんごう 物 ぶつ となるが、モノクローナル抗体 こうたい は抗体 こうたい 分 ぶん 子種 こだね が均一 きんいつ である。抗原 こうげん は複数 ふくすう のエピトープ (抗原 こうげん 決定 けってい 基 もと 。抗体 こうたい によって認識 にんしき される抗原 こうげん の部分 ぶぶん )を持 も つことが多 おお く、ポリクローナル抗体 こうたい は各々 おのおの のエピトープに対 たい する抗体 こうたい の混合 こんごう 物 ぶつ となるため、厳密 げんみつ には抗原 こうげん 特異 とくい 性 せい が互 たが いに異 こと なる抗体 こうたい 分子 ぶんし が含 ふく まれている。これに対 たい し、モノクローナル抗体 こうたい では用 もち いる抗原 こうげん のエピトープが単一 たんいつ であるため、抗原 こうげん 特異 とくい 性 せい も単一 たんいつ である。また、1つのモノクローナル抗体 こうたい の治療 ちりょう 対象 たいしょう を2つのエピトープに増 ふ やすことで、二 に 重 じゅう 特異 とくい 性 せい モノクローナル抗体 こうたい を設計 せっけい することもできる。
通常 つうじょう 、抗体 こうたい 産 さん 生 せい 細胞 さいぼう と骨髄腫 こつづいしゅ 細胞 さいぼう とを細胞 さいぼう 融合 ゆうごう させることで自律 じりつ 増殖 ぞうしょく 能 のう を持 も たせた融合 ゆうごう 細胞 さいぼう ハイブリドーマ (hybridoma) を作成 さくせい し、目的 もくてき の抗原 こうげん 特異 とくい 性 せい をもつ融合 ゆうごう 細胞 さいぼう のみを選別 せんべつ (スクリーニング)し、これを抗原 こうげん 細胞 さいぼう とする。この抗原 こうげん 細胞 さいぼう を培養 ばいよう し、分泌 ぶんぴつ 物 ぶつ を精製 せいせい して目的 もくてき のモノクローナル抗体 こうたい が作製 さくせい される。事実 じじつ 上 じょう 、あらゆる適切 てきせつ な物質 ぶっしつ に特異 とくい 的 てき に結合 けつごう するモノクローナル抗体 こうたい を作製 さくせい し、その物質 ぶっしつ を検出 けんしゅつ または精製 せいせい することができる。この機能 きのう は、生化学 せいかがく 、分子生物学 ぶんしせいぶつがく 、および医学 いがく の分野 ぶんや で重要 じゅうよう なツールとなっている。
1900年代 ねんだい 、免疫 めんえき 学者 がくしゃ のパウル・エールリヒ は、病気 びょうき の原因 げんいん となる生物 せいぶつ を選択 せんたく 的 てき に標的 ひょうてき とし、その生物 せいぶつ に対 たい して毒素 どくそ を送達 そうたつ できる化合 かごう 物 ぶつ として「魔法 まほう の弾丸 だんがん 」(Zauberkugel )のアイデアを提案 ていあん した。これはモノクローナル抗体 こうたい やモノクローナル薬物 やくぶつ 複 ふく 合体 がったい の概念 がいねん を支持 しじ した。エールリヒおよびイリヤ・メチニコフ は、免疫 めんえき 学 がく の理論 りろん 的 てき 基礎 きそ を提供 ていきょう したことで、1908年 ねん のノーベル生理学 せいりがく ・医学 いがく 賞 しょう を受賞 じゅしょう した。
1970年代 ねんだい になると、単一 たんいつ の抗体 こうたい を産 さん 生 せい するリンパ球 だま が、B細胞 さいぼう の癌 がん である多発 たはつ 性 せい 骨髄腫 こつづいしゅ という形 かたち で知 し られるようになった。これらの異常 いじょう な抗体 こうたい またはパラプロテイン (英語 えいご 版 ばん ) は、抗体 こうたい の構造 こうぞう を研究 けんきゅう するために使用 しよう されたが、特定 とくてい の抗原 こうげん に特異 とくい 的 てき な同一 どういつ の抗体 こうたい を作 つく ることはまだできなかった[3] :324 。1973年 ねん 、Jerrold Schwaber は、ヒトとマウスのハイブリッド細胞 さいぼう を使用 しよう したモノクローナル抗体 こうたい の生産 せいさん について説明 せつめい した[4] 。この研究 けんきゅう は、ヒト由来 ゆらい のハイブリドーマ を使用 しよう している人々 ひとびと の間 あいだ で広 ひろ く引用 いんよう されている[5] 。1975年 ねん 、ジョルジュ・ケーラー とセーサル・ミルスタイン は、骨髄腫 こつづいしゅ 細胞 さいぼう 株 かぶ とB細胞 さいぼう を融合 ゆうごう させて、既知 きち の抗原 こうげん に特異 とくい 的 てき で不死 ふし 化 か された抗体 こうたい を産 さん 生 せい する、ハイブリドーマを作成 さくせい することに成功 せいこう した[6] 。彼 かれ らおよびニールス・カイ・イェルネ は、この発見 はっけん により、1984年 ねん にノーベル生理学 せいりがく ・医学 いがく 賞 しょう を受賞 じゅしょう した[6] 。
1988年 ねん 、グレッグ・ウィンター と彼 かれ のチームは、モノクローナル抗体 こうたい をヒト化 か する技術 ぎじゅつ を開拓 かいたく し[7] 、多 おお くのモノクローナル抗体 こうたい が一部 いちぶ の患者 かんじゃ に引 ひ き起 お こした反応 はんのう を解消 かいしょう した。1990年代 ねんだい に入 はい ると、モノクローナル抗体 こうたい を治療 ちりょう に用 もち いる研究 けんきゅう が進展 しんてん し、2018年 ねん には、抑制 よくせい 性 せい 連鎖 れんさ を防 ふせ ぐモノクローナル抗体 こうたい を使用 しよう した負 まけ の免疫 めんえき 調節 ちょうせつ の阻害 そがい による癌 がん 治療 ちりょう 法 ほう の発見 はっけん により、ジェームズ・P・アリソン と本 ほん 庶佑 がノーベル生理学 せいりがく ・医学 いがく 賞 しょう を受賞 じゅしょう した[8] 。
モノクローナル抗体 こうたい を作 つく る細胞 さいぼう の培養 ばいよう 物 ぶつ のスライドを見 み る研究 けんきゅう 者 しゃ たち。これらは実験 じっけん 室 しつ で培養 ばいよう され、研究 けんきゅう 者 しゃ はその中 なか から最 もっと も有望 ゆうぼう なものを選 えら ぶために産物 さんぶつ を分析 ぶんせき している。
モノクローナル抗体 こうたい は、この写真 しゃしん に示 しめ されているボトルで無制限 むせいげん に増殖 ぞうしょく させることができる。
検査 けんさ 技師 ぎし が研究 けんきゅう テスト用 よう の液体 えきたい をウェル に手 て で充填 じゅうてん する。このテストでは、目的 もくてき の抗体 こうたい を産 さん 生 せい するためにハイブリッドを大量 たいりょう に増殖 ぞうしょく させた培養 ばいよう 液 えき を調整 ちょうせい する。これは、骨髄腫 こつづいしゅ 細胞 さいぼう とマウスのリンパ球 だま を融合 ゆうごう させてハイブリッド細胞 さいぼう (ハイブリドーマ )を形成 けいせい することで行 おこな われる。
検査 けんさ 技師 ぎし は、準備 じゅんび したスライドを溶液 ようえき に浸 ひた す。この技師 ぎし は、研究 けんきゅう 者 しゃ のためにモノクローナル抗体 こうたい のスライドを作成 さくせい する。示 しめ されている細胞 さいぼう は、ヒトの乳癌 にゅうがん を標識 ひょうしき している。
モノクローナル抗体 こうたい の作製 さくせい の背後 はいご にある研究 けんきゅう の多 おお くは、ハイブリドーマ の作製 さくせい に根 ね ざしている。ハイブリドーマ作成 さくせい には、目的 もくてき の抗原 こうげん に特異 とくい 的 てき な抗体 こうたい を産 さん 生 せい する抗原 こうげん 特異 とくい 的 てき 血漿 けっしょう /形質 けいしつ 芽 め 細胞 さいぼう (ASPC)を特定 とくてい し、これらの細胞 さいぼう と骨髄腫 こつづいしゅ 細胞 さいぼう を融合 ゆうごう させる ことが含 ふく まれる[6] 。ウサギのB細胞 さいぼう を使 つか って、ウサギ・ハイブリドーマ (英語 えいご 版 ばん ) を形成 けいせい することができる。隣接 りんせつ する細胞 さいぼう 膜 まく を融合 ゆうごう させるためにポリエチレングリコール [9] を用 もち いるが成功 せいこう 率 りつ が低 ひく いため、融合 ゆうごう 細胞 さいぼう のみが増殖 ぞうしょく できる選択 せんたく 培地 ばいち を使用 しよう する。これが可能 かのう なのは、骨髄腫 こつづいしゅ 細胞 さいぼう が、核酸 かくさん のサルベージ合成 ごうせい に必要 ひつよう な酵素 こうそ であるヒポキサンチン-グアニン-ホスホリボシルトランスフェラーゼ (HGPRT)を合成 ごうせい する能力 のうりょく を失 うしな っているためである。HGPRTが欠損 けっそん していても、de novoプリン合成 ごうせい 経路 けいろ (英語 えいご 版 ばん ) が破壊 はかい されない限 かぎ り、これらの細胞 さいぼう にとっては問題 もんだい にならない。細胞 さいぼう をアミノプテリン (英語 えいご 版 ばん ) (葉酸 ようさん 類似 るいじ 物質 ぶっしつ で、ジヒドロ葉酸 ようさん 還元 かんげん 酵素 こうそ (DHFR)を阻害 そがい する)にさらすと、細胞 さいぼう は de novo 経路 けいろ を使用 しよう できなくなり、核酸 かくさん に対 たい して完全 かんぜん な栄養 えいよう 要求 ようきゅう 性 せい になるため、生 い き延 の びるために補給 ほきゅう が必要 ひつよう となる。
選択 せんたく 培地 ばいち は、ヒポキサンチン 、アミノプテリン、チミジン を含 ふく むため、HAT培地 ばいち (英語 えいご 版 ばん ) と呼 よ ばれている。この培地 ばいち は、融合 ゆうごう 細胞 さいぼう (ハイブリドーマ )に選択 せんたく 的 てき である。未 み 融合 ゆうごう の骨髄腫 こつづいしゅ 細胞 さいぼう は、HGPRTが欠損 けっそん しているため、DNAを複製 ふくせい することができず、増殖 ぞうしょく できない。未 み 融合 ゆうごう の脾臓 ひぞう 細胞 さいぼう は、その寿命 じゅみょう が限 かぎ られているため、無制限 むせいげん に増殖 ぞうしょく することはできない。ハイブリドーマと呼 よ ばれる融合 ゆうごう したハイブリッド細胞 さいぼう のみが、培地 ばいち 中 ちゅう で無制限 むせいげん に増殖 ぞうしょく することができる。その理由 りゆう は、脾臓 ひぞう 細胞 さいぼう パートナーがHGPRTを供給 きょうきゅう し、骨髄腫 こつづいしゅ 細胞 さいぼう パートナーがそれを不死 ふし にする特性 とくせい (癌 がん 細胞 さいぼう に似 に ている)を持 も つためである。
次 つぎ に、この細胞 さいぼう の混合 こんごう 物 ぶつ を希釈 きしゃく し、マイクロタイター ウェル上 じょう で単一 たんいつ の親 しん 細胞 さいぼう からクローンを増殖 ぞうしょく させる。その後 ご 、異 こと なるクローンによって分泌 ぶんぴつ された抗体 こうたい は、抗原 こうげん に結合 けつごう する能力 のうりょく (ELISA や抗原 こうげん マイクロアレイ アッセイなどの試験 しけん で)や、またはイムノドットブロット で評価 ひょうか される。そして、最 もっと も生産 せいさん 的 てき で安定 あんてい したクローンが将来 しょうらい の使用 しよう のために選択 せんたく される。
このハイブリドーマは、適切 てきせつ な細胞 さいぼう 培養 ばいよう 培地 ばいち で無制限 むせいげん に増殖 ぞうしょく させることができる。それらはまた、マウスに注射 ちゅうしゃ することもできる(腸 ちょう を囲 かこ む腹膜 ふくまく 腔内 うち )。そこで腹水 ふくすい と呼 よ ばれる抗体 こうたい を多 おお く含 ふく む液体 えきたい を分泌 ぶんぴつ する腫瘍 しゅよう を生成 せいせい する。
ハイブリドーマの増殖 ぞうしょく をさらに促進 そくしん するために、器 うつわ 内 ない (in vitro) での選択 せんたく の際 さい に培地 ばいち を濃縮 のうしゅく しなければならない。これは、フィーダー繊維 せんい 細胞 さいぼう の層 そう や、ブライクローンなどの補助 ほじょ 媒体 ばいたい を使用 しよう することで実施 じっし される。マクロファージで調整 ちょうせい した培地 ばいち を使用 しよう することができる。腹水 ふくすい 手法 しゅほう は動物 どうぶつ に苦痛 くつう を与 あた えるため、通常 つうじょう は細胞 さいぼう 培養 ばいよう での製造 せいぞう が望 のぞ ましい。代替 だいたい 技術 ぎじゅつ が存在 そんざい する場合 ばあい 、腹水 ふくすい は非 ひ 倫理 りんり 的 てき と見 み なされる[10] 。
モノクローナル抗体 こうたい の新規 しんき 開発 かいはつ 技術 ぎじゅつ [ 編集 へんしゅう ]
近年 きんねん 、ファージディスプレイ [11] 、単一 たんいつ B細胞 さいぼう 培養 ばいよう [12] 、さまざまなB細胞 さいぼう 集団 しゅうだん からの単一 たんいつ 細胞 さいぼう 増幅 ぞうふく [13] [14] [15] [16] [17] 、単一 たんいつ 形質 けいしつ 細胞 さいぼう 解析 かいせき 技術 ぎじゅつ など、いくつかのモノクローナル抗体 こうたい 技術 ぎじゅつ が開発 かいはつ された[18] 。従来 じゅうらい のハイブリドーマ技術 ぎじゅつ とは異 こと なり、新 あたら しい技術 ぎじゅつ は分子生物学 ぶんしせいぶつがく 的 てき 手法 しゅほう を用 もち いて、抗体 こうたい 遺伝子 いでんし の重 じゅう 鎖 くさり と軽 けい 鎖 くさり をPCR で増幅 ぞうふく し、組 くみ 換 か え技術 ぎじゅつ で細菌 さいきん や哺乳類 ほにゅうるい 系 けい で生産 せいさん する。新 あたら しい技術 ぎじゅつ の利点 りてん の一 ひと つは、ウサギ、ラマ、ニワトリ、その他 た の実験 じっけん 室 しつ で一般 いっぱん 的 てき な実験 じっけん 動物 どうぶつ など、複数 ふくすう の動物 どうぶつ で適用 てきよう できることである。
培養 ばいよう したハイブリドーマの培地 ばいち サンプルまたは腹水 ふくすい 液 えき サンプルをいずれかを入手 にゅうしゅ した後 のち 、目的 もくてき の抗体 こうたい を抽出 ちゅうしゅつ する必要 ひつよう がある。細胞 さいぼう 培養 ばいよう 液 えき サンプルの夾雑 きょうざつ 物 ぶつ (きょうざつぶつ)は、主 おも に成長 せいちょう 因子 いんし 、ホルモン 、トランスフェリン などの培地 ばいち 成分 せいぶん で構成 こうせい されている。一方 いっぽう 、生体 せいたい 内 ない (in vivo )サンプルには、宿主 しゅくしゅ の抗体 こうたい 、プロテアーゼ 、ヌクレアーゼ 、核酸 かくさん 、ウイルス が含 ふく まれている可能 かのう 性 せい がある。どちらの場合 ばあい も、サイトカイン のようなハイブリドーマによる他 た の分泌 ぶんぴつ 物 ぶつ が存在 そんざい する可能 かのう 性 せい がある。また、細菌 さいきん 汚染 おせん があり、その結果 けっか 、細菌 さいきん が分泌 ぶんぴつ する内 うち 毒素 どくそ が存在 そんざい する可能 かのう 性 せい もある。細胞 さいぼう 培養 ばいよう に必要 ひつよう な培地 ばいち の複雑 ふくざつ さ、ひいては混 こん 入物 いれもの に応 おう じて、どちらか一方 いっぽう の方法 ほうほう (in vivo またはin vitro )が好 この ましい場合 ばあい がある。
サンプルは、まず前 ぜん 処理 しょり をするか精製 せいせい の準備 じゅんび をする。最初 さいしょ に細胞 さいぼう 、細胞 さいぼう 組織 そしき 片 へん 、脂質 ししつ 、および凝固 ぎょうこ 物 ぶつ を、通常 つうじょう は遠心 えんしん 分離 ぶんり によって除去 じょきょ し、その後 ご に0.45 µmのフィルターでろ過 か する。これらの大 おお きな粒子 りゅうし は、後 ご の精製 せいせい 工程 こうてい で膜 まく ファウリング(英語 えいご 版 ばん ) と呼 よ ばれる現象 げんしょう を引 ひ き起 お こすことがある。さらに、特 とく に分泌 ぶんぴつ 量 りょう の少 すく ない細胞 さいぼう 株 かぶ で目的 もくてき の抗体 こうたい が作 つく られている場合 ばあい 、サンプル中 ちゅう の生成 せいせい 物 ぶつ の濃度 のうど が十分 じゅうぶん でない可能 かのう 性 せい もある。そのため、サンプルを限外 げんがい 濾過 ろか または透析 とうせき によって濃縮 のうしゅく する。
帯電 たいでん した不純物 ふじゅんぶつ の多 おお くは、核酸 かくさん やエンドトキシンなどの陰 かげ イオン である。これらは、イオン交換 こうかん クロマトグラフィー によって分離 ぶんり することができる[19] 。目的 もくてき の抗体 こうたい がカラムに結合 けつごう しながら陰 かげ イオンが流 なが れるような低 ひく いpHで陽 ひ イオン交換 こうかん クロマトグラフィーを使用 しよう し、目的 もくてき の抗体 こうたい がカラムに結合 けつごう しながら流 なが れるような高 たか いpHで陰 かげ イオン交換 こうかん クロマトグラフィー(英語 えいご 版 ばん ) を使用 しよう する。また、さまざまなタンパク質 たんぱくしつ を、その等 ひとし 電 でん 点 てん (pI)に基 もと づいて、陰 かげ イオンとともに分離 ぶんり することができる。タンパク質 たんぱくしつ では、等 ひとし 電 でん 点 てん (pI)は、タンパク質 たんぱくしつ が正味 しょうみ の電荷 でんか を持 も たないpHと定義 ていぎ される。pH > pIの場合 ばあい 、タンパク質 たんぱくしつ は正味 しょうみ の負 ふ 電荷 でんか を持 も ち、pH < pIの場合 ばあい 、タンパク質 たんぱくしつ は正味 しょうみ の正 せい 電荷 でんか を持 も つ。たとえば、アルブミン のpIは4.8であり、ほとんどのモノクローナル抗体 こうたい のpIが6.1であるのと比 くら べて著 いちじる しく低 ひく い。したがって、pHが4.8から6.1の間 あいだ では、アルブミン分子 ぶんし の平均 へいきん 電荷 でんか はより負 まけ になる可能 かのう 性 せい が高 たか く、mAbs分子 ぶんし は正 まさ に帯電 たいでん しているため、両者 りょうしゃ を分離 ぶんり することができる。一方 いっぽう 、トランスフェリンのpIは5.9なので、この方法 ほうほう では簡単 かんたん には分離 ぶんり できない。良好 りょうこう な分離 ぶんり のためには、少 すく なくともpIの差 さ は1を必要 ひつよう とする。
その代 か わりに、トランスフェリンは、サイズ排除 はいじょ クロマトグラフィー によって除去 じょきょ することができる。この方法 ほうほう は、より信頼 しんらい 性 せい の高 たか いクロマトグラフィー技術 ぎじゅつ の一 ひと つである。タンパク質 たんぱくしつ を扱 あつか っているので、電荷 でんか や親和 しんわ 性 せい などの特性 とくせい は一貫 いっかん しておらず、pHによって分子 ぶんし がプロトン化 か および脱 だつ プロトン化 か されるため変化 へんか するが、サイズは比較的 ひかくてき 一定 いってい に保 たも たれる。それでもなお、低 てい 分解能 ぶんかいのう 、低 てい 容量 ようりょう 、低 ひく 溶出 ようしゅつ 時間 じかん などの欠点 けってん がある。
はるかに迅速 じんそく な単一 たんいつ ステップの分離 ぶんり 方法 ほうほう として、プロテインA/G (英語 えいご 版 ばん ) アフィニティークロマトグラフィー がある。この抗体 こうたい は、プロテインA/Gに選択 せんたく 的 てき に結合 けつごう するため、高 こう レベルの純度 じゅんど (通常 つうじょう 80%以上 いじょう )が得 え られる。しかし、この方法 ほうほう は一般 いっぱん 的 てき に過酷 かこく な条件 じょうけん で行 おこな われるため、損傷 そんしょう を受 う けやすい抗体 こうたい には問題 もんだい がある可能 かのう 性 せい がある。pHが低 ひく いと、結合 けつごう が切断 せつだん されて抗体 こうたい がカラムから外 はず れることがある。製品 せいひん に影響 えいきょう を与 あた える可能 かのう 性 せい があることに加 くわ え、pHが低 ひく いとプロテインA/G自体 じたい がカラムから漏 も れ出 だ し、溶出 ようしゅつ したサンプルに混入 こんにゅう する可能 かのう 性 せい がある。敏感 びんかん な抗体 こうたい が低 てい pHにさらされるのを防 ふせ ぐために、高塩 たかしお 濃度 のうど を採用 さいよう した穏 おだ やかな溶出 ようしゅつ バッファーシステムを利用 りよう できる。固定 こてい 化 か プロテインA/Gはより高価 こうか な樹脂 じゅし であるため、この方法 ほうほう ではコストも重要 じゅうよう な考慮 こうりょ 事項 じこう となる。
単一 たんいつ の工程 こうてい で最大 さいだい の純度 じゅんど を達成 たっせい するために、抗体 こうたい に特異 とくい 性 せい を持 も たせるために抗原 こうげん を使用 しよう して、アフィニティ精製 せいせい を行 おこな うことができる。この方法 ほうほう では、抗体 こうたい を生成 せいせい するために用 もち いる抗原 こうげん は、アガロース 担体に共有 きょうゆう 結合 けつごう する。抗原 こうげん がペプチド の場合 ばあい 、一般 いっぱん 的 てき には末端 まったん にシステイン を持 も つように合成 ごうせい される。これにより、開発 かいはつ 時 じ にKLH (英語 えいご 版 ばん ) などのキャリアタンパク質 たんぱくしつ に選択 せんたく 的 てき に結合 けつごう させ、精製 せいせい を保持 ほじ することができる。その後 ご 、抗体 こうたい 含有 がんゆう 培地 ばいち を、固定 こてい 化 か された抗原 こうげん とインキュベートする。このとき、抗体 こうたい はバッチ式 しき またはカラムを通過 つうか させることにより選択 せんたく 的 てき に結合 けつごう し不純物 ふじゅんぶつ を洗 あら い流 なが す間 あいだ 保持 ほじ される。その後 ご 、低 てい pHバッファーまたはより穏 おだ やかな高塩 たかしお 濃度 のうど 溶出 ようしゅつ バッファーで溶出 ようしゅつ し、担体から精製 せいせい された抗体 こうたい を回収 かいしゅう する。
モノクローナル抗体 こうたい やその他 た の組 くみ 換 か え生物 せいぶつ 学 がく 的 てき 製品 せいひん では、製品 せいひん の不 ふ 均一 きんいつ 性 せい が普通 ふつう に見 み られ、一般 いっぱん 的 てき には発現 はつげん 時 じ の上流 じょうりゅう 側 がわ 、または製造 せいぞう 時 じ の下流 かりゅう 側 がわ のいずれかでもたらされる[要 よう 出典 しゅってん ] 。
これらの変異 へんい 体 たい は、典型 てんけい 的 てき には、凝集 ぎょうしゅう 体 たい 、脱 だつ アミド化 か 生成 せいせい 物 ぶつ 、グリコシル化 か 変異 へんい 体 たい 、アミノ酸 あみのさん 側 がわ 鎖 くさり の酸化 さんか 物 ぶつ 、さらにはアミノおよびカルボキシル末 まつ 端 はし のアミノ酸 あみのさん 付加 ふか 物 ぶつ である[20] 。このような微小 びしょう な構造 こうぞう 変化 へんか は、前 ぜん 臨床 りんしょう 試験 しけん の安定 あんてい 性 せい とプロセスの最適 さいてき 化 か 、ひいては治療 ちりょう 薬 やく の効力 こうりょく 、バイオアベイラビリティ 、および免疫 めんえき 原 ばら 性 せい に影響 えいきょう を及 およ ぼす可能 かのう 性 せい がある。モノクローナル抗体 こうたい のプロセス流 りゅう における一般 いっぱん 的 てき に受 う け入 い れられている精製 せいせい 方法 ほうほう は、プロテインA (英語 えいご 版 ばん ) による製品 せいひん ターゲットの捕捉 ほそく 、溶出 ようしゅつ 、潜在 せんざい 的 てき な哺乳 ほにゅう 動物 どうぶつ ウイルスを不 ふ 活性 かっせい 化 か するための酸性 さんせい 化 か 、それに続 つづ くイオンクロマトグラフィー (最初 さいしょ に陰 かげ イオンビーズ(英語 えいご 版 ばん ) 、次 つぎ に陽 ひ イオンビーズ)が含 ふく まれる[要 よう 出典 しゅってん ] 。
置換 ちかん クロマトグラフィー(英語 えいご 版 ばん ) は、これらのあまり見 み られない変異 へんい 体 たい を、動物 どうぶつ の薬物 やくぶつ 動態 どうたい 試験 しけん などの前 ぜん 臨床 りんしょう 評価 ひょうか レジメンに適 てき した量 りょう で同定 どうてい し、特性 とくせい を明 あき らかにするために使用 しよう されている[21] [22] 。前 ぜん 臨床 りんしょう 開発 かいはつ 段階 だんかい で得 え られた知識 ちしき は、製品 せいひん の品質 ひんしつ に対 たい する理解 りかい を深 ふか めるために重要 じゅうよう であり、リスク管理 かんり や規制 きせい の柔軟 じゅうなん 性 せい を高 たか めるための基礎 きそ となる。最近 さいきん の米国 べいこく 食品 しょくひん 医薬品 いやくひん 局 きょく (FDA)のクオリティ・バイ・デザイン イニシアチブは、開発 かいはつ に関 かん するガイダンスを提供 ていきょう し、製品 せいひん の製造 せいぞう 可能 かのう 性 せい を高 たか めながら、有効 ゆうこう 性 せい と安全 あんぜん 性 せい プロファイルを最大 さいだい 化 か するような製品 せいひん およびプロセスの設計 せっけい を促進 そくしん しようとするものである[23] 。
組 くみ 換 か え(英語 えいご 版 ばん ) モノクローナル抗体 こうたい の作製 さくせい には、レパートリークローニング 、CRISPR/Cas9 、またはファージディスプレイ /酵母 こうぼ ディスプレイ技術 ぎじゅつ が用 もち いられる[24] 。組 くみ 換 か え抗体 こうたい (英語 えいご 版 ばん ) 工学 こうがく では、マウスではなくウイルス や酵母 こうぼ を使用 しよう して抗体 こうたい を作製 さくせい する。これらの技術 ぎじゅつ は、免疫 めんえき グロブリン遺伝子 いでんし セグメントの迅速 じんそく なクローニングに基 もと づき、アミノ酸 あみのさん 配列 はいれつ がわずかに異 こと なる抗体 こうたい のライブラリを作成 さくせい し、そこから目的 もくてき の特異 とくい 性 せい を持 も つ抗体 こうたい を選択 せんたく することができる[25] 。ファージ抗体 こうたい ライブラリは、ファージ抗原 こうげん ライブラリの別 べつ 形 がた である[26] 。これらの技術 ぎじゅつ は、抗体 こうたい が抗原 こうげん を認識 にんしき する特異 とくい 性 せい 、さまざまな環境 かんきょう 条件 じょうけん での安定 あんてい 性 せい 、治療 ちりょう 効果 こうか 、および診断 しんだん 用途 ようと での検出 けんしゅつ 性 せい を高 たか めるために使用 しよう することができる[27] 。発酵 はっこう 槽 そう は大 だい 規模 きぼ な抗体 こうたい 生産 せいさん に使用 しよう されている。
マウスとヒトの抗体 こうたい は構造 こうぞう 的 てき には類似 るいじ しているが、マウス モノクローナル抗体 こうたい をヒトに注射 ちゅうしゃ したときに、それらの違 ちが いは免疫 めんえき 応答 おうとう を引 ひ き起 お こすのに十分 じゅうぶん であり、その結果 けっか は、マウスモノクローナル抗体 こうたい は血液 けつえき 中 ちゅう から速 すみ やかに除去 じょきょ され、全身 ぜんしん 性 せい の炎症 えんしょう 作用 さよう およびヒト抗 こう マウス抗体 こうたい (英語 えいご 版 ばん ) (HAMA)の産 さん 生 せい をもたらす。
組 くみ 換 か えDNA は、滞留 たいりゅう 時間 じかん を長 なが くするために1980年代 ねんだい 後半 こうはん から探究 たんきゅう されてきた。ある研究 けんきゅう アプローチにおいて、モノクローナル抗体 こうたい の結合 けつごう 部分 ぶぶん をコードするマウスDNAを、生 なま 細胞 さいぼう の中 なか でヒトの抗体 こうたい 産 さん 生 せい DNAと融合 ゆうごう させた。この「キメラ 」または「ヒト化 か 」されたDNAを細胞 さいぼう 培養 ばいよう で発現 はつげん させると、一部 いちぶ マウスで一部 いちぶ ヒトの抗体 こうたい を産 さん 生 せい する[28] [29] 。
ヒトのモノクローナル抗体 こうたい を単 たん 離 はなれ するために開発 かいはつ された4つのアプローチ[18] 。
モノクローナル抗体 こうたい を作製 さくせい できるという発見 はっけん 以来 いらい 、科学 かがく 者 しゃ たちは、ヒト化 か 抗体 こうたい またはキメラ抗体 こうたい の副作用 ふくさよう を軽減 けいげん するために、完全 かんぜん ヒト製品 せいひん の作製 さくせい を目標 もくひょう としてきた。いくつかの成功 せいこう したアプローチとして、トランスジェニックマウス (英語 えいご 版 ばん ) [30] 、ファージディスプレイ [11] 、単一 たんいつ B細胞 さいぼう クローニングが確認 かくにん されている[18] 。
2016年 ねん 11月 がつ 現在 げんざい 、市販 しはん されている完全 かんぜん ヒトモノクローナル抗体 こうたい 治療 ちりょう 薬 やく 19種 しゅ のうち、13種 しゅ がトランスジェニック マウス技術 ぎじゅつ に由来 ゆらい している。
トランスジェニック技術 ぎじゅつ を採用 さいよう して市場 いちば に出 だ している組織 そしき は次 つぎ のとおりである。
ファージディスプレイ は、繊維状 せんいじょう ファージ の外皮 がいひ タンパク質 たんぱくしつ (Phage major coat protein)上 じょう で可変 かへん 抗体 こうたい ドメインを発現 はつげん させるために使用 しよう 可能 かのう である[39] [40] [41] 。これらのファージディスプレイ抗体 こうたい は、さまざまな研究 けんきゅう 用途 ようと に使用 しよう できる[42] [43] 。ProAbは1997年 ねん 12月に発表 はっぴょう され[44] 、罹患 りかん 組織 そしき と非 ひ 罹患 りかん 組織 そしき に対 たい する抗体 こうたい ライブラリのハイスループットスクリーニングを行 おこな うもので、Proximolはフリーラジカル酵素 こうそ 反応 はんのう を利用 りよう して、特定 とくてい のタンパク質 たんぱくしつ に近接 きんせつ する分子 ぶんし を標識 ひょうしき するものである[45] [46] 。
モノクローナル抗体 こうたい は、癌 がん 、心 こころ 血管 けっかん 疾患 しっかん 、炎症 えんしょう 性 せい 疾患 しっかん 、黄 き 斑 むら 変性 へんせい 症 しょう 、移植 いしょく 拒絶 きょぜつ 反応 はんのう 、多発 たはつ 性 せい 硬化 こうか 症 しょう 、ウイルス感染 かんせん 症 しょう の治療 ちりょう に承認 しょうにん されている。
2006年 ねん 8月 がつ 、米国 べいこく 研究 けんきゅう 製薬 せいやく 工業 こうぎょう 協会 きょうかい (英語 えいご 版 ばん ) の報告 ほうこく によると、米国 べいこく 企業 きぎょう は160種類 しゅるい のモノクローナル抗体 こうたい を臨床 りんしょう 試験 しけん 中 ちゅう または米国 べいこく 食品 しょくひん 医薬品 いやくひん 局 きょく の承認 しょうにん を待 ま っている[47] 。
モノクローナル抗体 こうたい の製造 せいぞう は、複雑 ふくざつ なプロセスが関与 かんよ したり、その全般 ぜんぱん 的 てき な分子 ぶんし サイズのため、低 てい 分子 ぶんし 化合 かごう 物 ぶつ よりもコストが高 たか く、これらはすべて新 あたら しい化学 かがく 物質 ぶっしつ を患者 かんじゃ に提供 ていきょう するための膨大 ぼうだい な研究 けんきゅう 開発 かいはつ 費 ひ に追加 ついか される。それらは、製造 せいぞう 業者 ぎょうしゃ が多額 たがく の投資 とうし 費用 ひよう を回収 かいしゅう できるように価格 かかく 設定 せってい されており、米国 べいこく のように価格 かかく 統制 とうせい がない場合 ばあい は、価値 かち が高 たか いほど価格 かかく が高 たか くなることがある。ピッツバーグ大学 だいがく の7人 にん の研究 けんきゅう 者 しゃ は、患者 かんじゃ 一 いち 人 にん 当 あ たり「mAb療法 りょうほう の年間 ねんかん 費用 ひよう は、腫瘍 しゅよう 学 がく および血液 けつえき 学 がく の領域 りょういき では他 た の疾病 しっぺい よりも約 やく 10万 まん ドル高 たか い」と結論 けつろん づけた。新 しん 血管 けっかん 疾患 しっかん や代謝 たいしゃ 性 せい 疾患 しっかん 、免疫 めんえき 領域 りょういき 、感染 かんせん 症 しょう 、アレルギー、眼科 がんか の各 かく 領域 りょういき と比較 ひかく された[48] 。
ある物質 ぶっしつ に対 たい するモノクローナル抗体 こうたい ができれば、それを使 つか ってその物質 ぶっしつ の存在 そんざい を検出 けんしゅつ することができる。タンパク質 たんぱくしつ は、ウェスタンブロット やイムノドットブロット を使用 しよう して検出 けんしゅつ できる。免疫 めんえき 組織 そしき 化学 かがく 検査 けんさ では、モノクローナル抗体 こうたい を使用 しよう して、固定 こてい 組織 そしき 切片 せっぺん 中 ちゅう の抗原 こうげん を検出 けんしゅつ でき、同様 どうよう に、免疫 めんえき 蛍光 けいこう 検査 けんさ では、凍結 とうけつ 組織 そしき 切片 せっぺん または生 なま 細胞 さいぼう 中 ちゅう の物質 ぶっしつ を検出 けんしゅつ できる。
抗体 こうたい はまた、免疫 めんえき 沈降 ちんこう 法 ほう を使用 しよう して、混合 こんごう 物 ぶつ から標的 ひょうてき 化合 かごう 物 ぶつ を精製 せいせい するためにも使用 しよう される。
治療 ちりょう 用 よう モノクローナル抗体 こうたい は、標的 ひょうてき 分子 ぶんし の機能 きのう の遮断 しゃだん 、標的 ひょうてき 分子 ぶんし を発現 はつげん している細胞 さいぼう のアポトーシス 誘導 ゆうどう 、またはシグナル伝達 でんたつ 経路 けいろ の調節 ちょうせつ など、複数 ふくすう の機構 きこう を通 つう じて作用 さよう する[49] [50] 。
モノクローナル抗体 こうたい の臨床 りんしょう 適用 てきよう [ 編集 へんしゅう ]
1970年代 ねんだい に発明 はつめい されたモノクローナル抗体 こうたい は臨床 りんしょう に革命 かくめい 的 てき な変化 へんか を起 お こすといわれたが、その後 ご ほぼ20年間 ねんかん 、臨床 りんしょう 試験 しけん は上手 うま くいかなかった。これは主 おも に、マウス の抗体 こうたい はヒト に抗原 こうげん 認識 にんしき されることが原因 げんいん であった。しかし1990年代 ねんだい になって、CHO細胞 さいぼう 内 うち に、マウスでなくヒトの免疫 めんえき グロブリン遺伝子 いでんし を発現 はつげん するプラスミド を直接 ちょくせつ 形質 けいしつ 転換 てんかん する方法 ほうほう が開発 かいはつ されて以降 いこう 、この問題 もんだい は克服 こくふく された。この方法 ほうほう はさらに進化 しんか し、現在 げんざい ではハイブリドーマを使用 しよう せず、ファージディスプレイにより1兆 ちょう 個 こ の分子 ぶんし からなる莫大 ばくだい なクローンライブラリーから最適 さいてき 抗体 こうたい がスクリーニングされ、その遺伝子 いでんし をCHO細胞 さいぼう で大量 たいりょう 生産 せいさん する方法 ほうほう が用 もち いられている。もしくは、ヒトの抗体 こうたい を生産 せいさん するトランスジェニックマウス を使 つか い、直接 ちょくせつ ヒト抗体 こうたい を得 え る方法 ほうほう が用 もち いられる。これらの方法 ほうほう は、前 ぜん 臨床 りんしょう 段階 だんかい までの開発 かいはつ 費 ひ がわずか約 やく 2億 おく 円 えん で済 す むといわれており、従来 じゅうらい の古典 こてん 的 てき 化学 かがく 薬品 やくひん にかかる20億 おく 円 えん と比較 ひかく して非常 ひじょう に効率 こうりつ がよい。ただし細胞 さいぼう 培養 ばいよう を必要 ひつよう とするため、最終 さいしゅう 製品 せいひん の製造 せいぞう 費用 ひよう は化学 かがく 合成 ごうせい による化学 かがく 薬品 やくひん と比 くら べると、非常 ひじょう に高 たか い。
モノクローナル抗体 こうたい はタンパク質 たんぱくしつ 薬品 やくひん であり、いわゆる化学 かがく 薬品 やくひん と違 ちが い経口 けいこう 投与 とうよ ができない(普通 ふつう 週 しゅう 一 いち 回 かい の注射 ちゅうしゃ )、製造 せいぞう 費用 ひよう が非常 ひじょう に高 たか い、細胞 さいぼう 内部 ないぶ に侵入 しんにゅう できないなどの欠点 けってん を持 も つ。しかしいったん標的 ひょうてき 分子 ぶんし に結合 けつごう すると、患者 かんじゃ 自身 じしん の免疫 めんえき 機構 きこう が働 はたら いて標的 ひょうてき 分子 ぶんし を含 ふく むがん細胞 さいぼう を高率 こうりつ で破壊 はかい できるなどの利点 りてん をもつ。また、免疫 めんえき グロブリン自体 じたい はヒトの体内 たいない に存在 そんざい する分子 ぶんし なので、それ自身 じしん による副作用 ふくさよう は予想 よそう しやすい。
原理 げんり 的 てき にはポリクローナル抗体 こうたい も臨床 りんしょう に使用 しよう 可能 かのう であるが、人間 にんげん の患者 かんじゃ への薬品 やくひん として使用 しよう するためには、薬品 やくひん 内 ない の分子 ぶんし が化学 かがく 的 てき に厳密 げんみつ に定義 ていぎ され、さらにそれらを極 きわ めて高 こう 純度 じゅんど でかつ安定 あんてい 的 てき に大量 たいりょう 生産 せいさん する必要 ひつよう があり、現実 げんじつ にはほぼ不可能 ふかのう であるといわれている。 ヒト血漿 けっしょう 由来 ゆらい (血液 けつえき 製剤 せいざい )の免疫 めんえき グロブリン製剤 せいざい は一種 いっしゅ のポリクローナル抗体 こうたい であり、様々 さまざま な難病 なんびょう に対 たい して使用 しよう され有効 ゆうこう 性 せい を示 しめ している。しかし、これら血液 けつえき 由来 ゆらい の免疫 めんえき グロブリン製剤 せいざい が組 くみ 換 か え抗体 こうたい 医薬品 いやくひん に容易 ようい に置 お き換 か えることができないのは、上記 じょうき の品質 ひんしつ 管理 かんり の困難 こんなん さからである。
癌 がん の治療 ちりょう 法 ほう の一 ひと つとして、癌 がん 細胞 さいぼう に特異 とくい 的 てき な抗原 こうげん にのみ結合 けつごう し、標的 ひょうてき となる癌 がん 細胞 さいぼう に対 たい する免疫 めんえき 応答 おうとう を誘発 ゆうはつ するモノクローナル抗体 こうたい が考 かんが えられる。このようなモノクローナル抗体 こうたい は、毒素 どくそ 、放射 ほうしゃ 性 せい 同位 どうい 体 たい 、サイトカイン 、その他 た の活性 かっせい コンジュゲートの送達 そうたつ 用 よう に修飾 しゅうしょく することができる。あるいは、Fab領域 りょういき (英語 えいご 版 ばん ) で標的 ひょうてき 抗原 こうげん およびコンジュゲート(またはエフェクター細胞 さいぼう )の両方 りょうほう に結合 けつごう できる二 に 重 じゅう 特異 とくい 性 せい 抗体 こうたい を設計 せっけい できる。すべてのインタクト抗体 こうたい は、そのFc領域 りょういき で細胞 さいぼう 受容 じゅよう 体 たい または他 た のタンパク質 たんぱくしつ に結合 けつごう することができる。
癌 がん に対 たい するモノクローナル抗体 こうたい 。ADEPT (英語 えいご 版 ばん ) :抗体 こうたい 指向 しこう 性 せい 酵素 こうそ プロドラッグ療法 りょうほう 、ADCC :抗体 こうたい 依存 いぞん 性 せい 細胞 さいぼう 傷害 しょうがい 、CDC :補 ほ 体 たい 依存 いぞん 性 せい 細胞 さいぼう 傷害 しょうがい 、MAb:モノクローナル抗体 こうたい 、scFv :単 たん 鎖 くさり 可変 かへん フラグメント[51] 。 米国 べいこく 食品 しょくひん 医薬品 いやくひん 局 きょく (FDA)が癌 がん に対 たい して承認 しょうにん しているモノクローナル抗体 こうたい は次 つぎ のとおりである[52] 。
自己 じこ 免疫 めんえき 疾患 しっかん に用 もち いられるモノクローナル抗体 こうたい にはインフリキシマブ やアダリムマブ があり、TNF-α あるふぁ に結合 けつごう して阻害 そがい することにより、関節 かんせつ リウマチ 、クローン病 びょう 、潰瘍 かいよう 性 せい 大腸 だいちょう 炎 えん 、強直 きょうちょく 性 せい 脊椎 せきつい 炎 えん に効果 こうか がある[53] 。バシリキシマブ とダクリズマブ (英語 えいご 版 ばん ) は、活性 かっせい 化 か T細胞 さいぼう のIL-2 を阻害 そがい することにより、腎 じん 移植 いしょく の急性 きゅうせい 拒絶 きょぜつ 反応 はんのう を予防 よぼう に役立 やくだ つ[53] 。オマリズマブ は、ヒト免疫 めんえき グロブリンE (IgE)を阻害 そがい し、中等 ちゅうとう 症 しょう から重症 じゅうしょう のアレルギ あれるぎ ー性 せい 喘息 ぜんそく の治療 ちりょう に有用 ゆうよう である。
治療 ちりょう 用 よう モノクローナル抗体 こうたい の例 れい [ 編集 へんしゅう ]
研究 けんきゅう 用 よう のモノクローナル抗体 こうたい は、抗体 こうたい サプライヤーから直接 ちょくせつ またはCiteAb (英語 えいご 版 ばん ) のような専門 せんもん 家 か 検索 けんさく エンジンを使用 しよう して入手 にゅうしゅ することができる。次 つぎ は臨床 りんしょう 的 てき に重要 じゅうよう なモノクローナル抗体 こうたい の例 れい である。
モノクローナル抗体 こうたい を使用 しよう したイムノクロマト法 ほう で各種 かくしゅ の迅速 じんそく 診断 しんだん キットが販売 はんばい されている。5分 ふん から15分 ふん で診断 しんだん できる。 たとえば、感染 かんせん 症 しょう にはインフルエンザウイルス 、RSウイルス 、A群 ぐん β べーた 溶連菌 ようれんきん 、アデノウイルス 、肺炎 はいえん マイコプラズマ 、ヒトメタニュウモウイルス 、ノロウイルス 、ロタウイルス 、肺炎 はいえん 球菌 きゅうきん 、レジオネラ 、病原 びょうげん 性 せい 大腸菌 だいちょうきん O157 、便 びん 中 ちゅう ピロリ菌 きん などである。
心筋 しんきん 炎 えん や心筋梗塞 しんきんこうそく には、トロポニン Tの迅速 じんそく 診断 しんだん キットがある。
ベバシズマブ やセツキシマブ などのいくつかのモノクローナル抗体 こうたい は、さまざまな種類 しゅるい の副作用 ふくさよう を引 ひ き起 お こす可能 かのう 性 せい がある[57] 。これらの副作用 ふくさよう は、一般 いっぱん 的 てき な副作用 ふくさよう と重 じゅう 篤 あつし な副作用 ふくさよう に分類 ぶんるい される[58] 。
一般 いっぱん 的 てき な副作用 ふくさよう には次 つぎ のものがある。
めまい
頭痛 ずつう
アレルギー
下痢 げり
咳 せき
発熱 はつねつ
かゆみ
背中 せなか の痛 いた み
全身 ぜんしん の脱力 だつりょく 感 かん
食欲 しょくよく 不振 ふしん
不眠症 ふみんしょう
便秘 べんぴ [59]
重大 じゅうだい な副作用 ふくさよう の可能 かのう 性 せい として次 つぎ のものがある。
米 べい バイオテクノロジー産業 さんぎょう における役割 やくわり [ 編集 へんしゅう ]
モノクローナル抗体 こうたい は1990年代 ねんだい 後半 こうはん から、バイオテクノロジー 産業 さんぎょう に革命 かくめい をもたらし、現在 げんざい のバイオテクノロジー薬品 やくひん のほぼ3分 ぶん の1はモノクローナル抗体 こうたい である。1997年 ねん にGENENTECH社 しゃ のRituxan 抗体 こうたい が抗 こう CD20抗体 こうたい として非 ひ ホジキンリンパ腫 しゅ (NHL) に対 たい して認可 にんか されたのをはじめ、Herceptin , Avastin などのシグナルトランスダクションやアンジオジェネシスを標的 ひょうてき とする新型 しんがた をふくめ、現在 げんざい 15以上 いじょう のモノクローナル抗体 こうたい ががん治療 ちりょう などに使 つか われ、少 すく なくとも100を超 こ えるモノクローナル抗体 こうたい がPhaseI・II・IIIの臨床 りんしょう 試験 しけん で開発 かいはつ されている。特 とく にがん治療 ちりょう において使 つか われ、2004年 ねん の売 う り上 あ げは約 やく 60億 おく ドル、2008年 ねん までにモノクローナル抗体 こうたい の売 う り上 あ げは150億 おく ドルを超 こ えると予想 よそう される。また、次世代 じせだい モノクローナル抗体 こうたい で呼 よ ばれる、放射 ほうしゃ 性 せい 同位 どうい 体 たい を結合 けつごう したものや、抗体 こうたい 可変 かへん 部位 ぶい のみの極小 きょくしょう 型 がた 、などの新型 しんがた が開発 かいはつ されている。
成功 せいこう した抗体 こうたい の売 う り上 あ げは莫大 ばくだい で、2004年 ねん は抗 こう TNF-α あるふぁ 抗体 こうたい Remicade (Centocor社 しゃ )がトップで21億 おく ドル、Rituxanが17億 おく ドルとブロックバスター製品 せいひん となっている。特 とく にGENENTECH社 しゃ が開発 かいはつ した3つのモノクローナル抗体 こうたい 製品 せいひん (Rituxan, Herceptin, Avastin)はその全 すべ てがFDAから認可 にんか されており、その全 すべ てがヒット製品 せいひん になっている。一般 いっぱん に4-6年 ねん に及 およ ぶ臨床 りんしょう 試験 しけん で製品 せいひん が生 い き残 のこ る確 かく 率 りつ はわずか20%であることから考 かんが えて、これは米 べい 製薬 せいやく 業界 ぎょうかい 史上 しじょう 稀 まれ にみる成功 せいこう である。
モノクローナル抗体 こうたい が最 もっと も成功 せいこう した要因 よういん のひとつは、抗体 こうたい はもともと生体 せいたい 防御 ぼうぎょ タンパク質 たんぱくしつ として進化 しんか した分子 ぶんし なので、他 た のタンパク質 たんぱくしつ と比 くら べ極 きわ めて安定 あんてい 性 せい の高 たか く半減 はんげん 期 き が長 なが いこと、標的 ひょうてき と結合 けつごう した後 のち 、身体 しんたい の免疫 めんえき 機構 きこう を利用 りよう するため、増幅 ぞうふく 効果 こうか を期待 きたい できることなどである。これとくらべ、同 おな じく1990年代 ねんだい から開発 かいはつ 中 ちゅう のアンチセンス (antisense) 薬品 やくひん は、標的 ひょうてき 細胞 さいぼう 内 ない の核 かく 内 ない に輸送 ゆそう すること自体 じたい が至難 しなん の業 わざ であることから、GENTA社 しゃ やISIS社 しゃ が莫大 ばくだい な開発 かいはつ 費 ひ を投 とう じた製品 せいひん はほぼ全 すべ て失敗 しっぱい に終 お わっている。
日本 にっぽん で上市 かみいち されている医薬品 いやくひん [ 編集 へんしゅう ]
モノクローナル抗体 こうたい 薬 やく の名称 めいしょう は語尾 ごび が"-mab"(Monoclonal AntiBodies)であらわされる。
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