リツキシマブ

リツキシマブ^?

モノクローナル抗体こうたい
種類しゅるい	全長ぜんちょう抗体こうたい
原料げんりょう	キメラ (マウス/ヒト)
抗原こうげん	CD20
臨床りんしょうデータ
販売はんばい名めい	リツキサン, Rituxan
Drugs.com	monograph
胎児たいじ危険きけん度ど分類ぶんるい	US: C (no adequate human studies)
法的ほうてき規制きせい	JP: 処方箋しょほうせん医薬品いやくひん US: ℞-only
投与とうよ経路けいろ	静脈じょうみゃく内ない投与とうよ (点滴てんてき)
薬物やくぶつ動態どうたいデータ
生物せいぶつ学がく的てき利用りよう能のう	100% (静脈じょうみゃく内ない投与とうよ)
半減はんげん期き	30 ～ 400 時間じかん (投与とうよ量りょう・治療ちりょう計画けいかくによって異ことなる)
排泄はいせつ	不ふ詳しょう
識別しきべつ
CAS番号ばんごう	174722-31-7
ATCコード	L01XC02 (WHO)
DrugBank	DB00073
UNII	4F4X42SYQ6
KEGG	D02994
ChEMBL	CHEMBL1201576
化学かがく的てきデータ
化学かがく式しき	C6416H9874N1688O1987S44
分子ぶんし量りょう	143859.7 g/mol

リツキシマブ（Rituximab）は、抗こうヒトCD20ヒト・マウスキメラ抗体こうたいからなるモノクローナル抗体こうたいであり、その製剤せいざいは分子ぶんし標的ひょうてき治療ちりょう薬やくのひとつとして抗こうがん剤ざい・免疫めんえき抑制よくせい剤ざいなどとして使用しようされている。製剤せいざいとしてのリツキシマブが注射ちゅうしゃ剤ざいであり、日本にっぽんはリツキサン (Rituxan) の商品しょうひん名めいで全薬工業ぜんやくこうぎょうおよび中外製薬ちゅうがいせいやくから発売はつばいされている。バイオシミラー後発こうはつ品ひんも日本にっぽんでは販売はんばいされている。（ファイザーとサンドより製造せいぞう販売はんばい）

リツキシマブは2011年ねんには金額きんがくベースにおいて世界せかいでベストセラーの抗こうがん剤ざいとなっている。この背景はいけいには各国かっこくでの治療ちりょう適応てきおう疾患しっかんの拡大かくだいのほか、薬剤やくざい価格かかくが高価こうかであることがあり、日本にっぽんでも1瓶びん（500mg／50mL）あたりの薬価やっか（保険ほけん適用てきよう前まえ）が約やく21万まん円えん（2008年ねん薬価やっか改正かいせい時点じてん）に設定せっていされている。2015年ねんの全ぜん世界せかい売上うりあげ高だかは全ぜん医薬品いやくひんで5位い、抗こうがん剤ざいでは1位いであった。2017年ねんは売上うりあげ高だか8位い、抗こうがん剤ざいとしては依然いぜん1位いであった。

概要がいよう

ヒトCD20はヒトリンパ球だまB細胞さいぼうのみに発現はつげんし、正常せいじょう・腫瘍しゅよう細胞さいぼうは問とわず、preB～成熟せいじゅくB細胞さいぼうにかけて細胞さいぼう膜まく表面ひょうめんに認みとめられる。preB、形質けいしつ細胞さいぼうにはCD20はみられない。ヒトCD20に対たいする抗体こうたいはヒトは持もたないため、マウスのヒトCD20に対たいする抗体こうたいの可変かへん領域りょういきFabとヒト定常ていじょう領域りょういきFcをキメラとして、1991年ねん米国べいこくのIDEC Pharmaceuticals社しゃ（現げんBiogen社しゃ）がリツキシマブを創製そうせいした。日本にっぽんでの健康けんこう保険ほけん適応てきおうは、CD20陽性ようせいのB細胞さいぼう性せい非ひホジキンリンパ腫しゅ、免疫めんえき抑制よくせい状態じょうたい下かのCD20陽性ようせいのB細胞さいぼう性せいリンパ増殖ぞうしょく性せい疾患しっかん、多発たはつ血管けっかん炎えん性せい肉芽にくが腫しゅ症しょう、顕微鏡けんびきょう的てき多発たはつ血管けっかん炎えん。非ひホジキンリンパ腫しゅ、リンパ増殖ぞうしょく性せい疾患しっかんの治療ちりょうでは単独たんどくでの使用しようも行おこなわれるが、CHOP療法りょうほうとの併用へいようも行おこなわれている。

リツキシマブはANCA関連かんれん血管けっかん炎えんに対たいする治療ちりょう薬やくのひとつで、好こう酸さん球だま性せい多発たはつ血管けっかん炎えん性せい肉芽にくが腫しゅ症しょうでも効果こうかがみられている。ANCA関連かんれん血管けっかん炎えんに対たいする寛解かんかい維持いじ療法りょうほうでリツキシマブ群ぐんはアザチオプリン群ぐんに比くらべ有意ゆういに寛解かんかい維持いじできていた。

また、臓器ぞうき移植いしょくの際さいの拒絶きょぜつ反応はんのう治療ちりょうや、腎じん炎えんなどこれまで治療ちりょうが困難こんなんであった一部いちぶの自己じこ免疫めんえき疾患しっかんへの効果こうかも期待きたいされており、関節かんせつリウマチ、全身ぜんしん性せいエリテマトーデス（SLE）については各国かっこくで治験ちけんが進すすんでいる。また日本にっぽんでは2008年ねんより小児しょうに難治なんじ性せいネフローゼ症候群しょうこうぐん、特発とくはつ性せい血小板けっしょうばん減少げんしょう性せい紫斑しはん病びょうでの治験ちけんが行おこなわれている。2014年ねん、小児しょうに難治なんじ性せいネフローゼ症候群しょうこうぐんにリツキシマブが効果こうかを示しめすことが報告ほうこくされた。

悪性あくせいリンパ腫りんぱしゅに対たいしては、同どう効こう薬やくに⁹⁰Y Ibritumomab, ¹³¹I Tositumomabなどがある。

適応てきおう

• CD20陽性ようせいの非ひホジキンリンパ腫しゅ (NHL)
• CD20陽性ようせいの慢性まんせいリンパ性せい白血病はっけつびょう (CLL)
• 免疫めんえき抑制よくせい状態じょうたい下かのCD20陽性ようせいのB細胞さいぼう性せいリンパ増殖ぞうしょく性せい疾患しっかん
• 多発たはつ血管けっかん炎えん性せい肉芽にくが腫しゅ症しょう（GPA、旧称きゅうしょう：ヴェゲナー肉芽にくが腫しゅ症しょう (Wegener's granulomatosis)）
• 顕微鏡けんびきょう的てき多発たはつ血管けっかん炎えん (MPA)
• 難治なんじ性せいのネフローゼ症候群しょうこうぐん（頻しき回かい再発さいはつ型がたあるいはステロイド依存いぞん性せいを示しめす場合ばあい）
• 腎じん移植いしょく・肝かん移植いしょくにおけるABO血液けつえき型がた不適合ふてきごう移植いしょく例れいに対たいする免疫めんえき抑制よくせい治療ちりょう
• 慢性まんせい特発とくはつ性せい血小板けっしょうばん減少げんしょう性せい紫斑しはん病びょう (ITP)
• 後天こうてん性せい血栓けっせん性せい血小板けっしょうばん減少げんしょう性せい紫斑しはん病びょう (TTP)
• インジウム (¹¹¹In) イブリツモマブ・チウキセタン注射ちゅうしゃ液えきおよびイットリウム (⁹⁰Y) イブリツモマブ・チウキセタン注射ちゅうしゃ液えき投与とうよの前ぜん投与とうよ
• 全ぜん身性みじょう強きょう皮かわ症しょう
• 難治なんじ性せいの尋常じんじょう性せい天てん疱瘡ほうそう及および落葉らくよう状じょう天てん疱瘡ほうそう
• 視神経ししんけい脊髄せきずい炎えんスペクトラム障害しょうがい（視神経ししんけい脊髄せきずい炎えんを含ふくむ）の再発さいはつ予防よぼう

副作用ふくさよう

B型がた肝炎かんえんウイルスキャリアの患者かんじゃで、本ほん剤ざいの投与とうよでの免疫めんえき抑制よくせいによるウイルス活性かっせい化かで劇げき症しょう肝炎かんえんまたは肝炎かんえん増悪ぞうあくを生しょうじることがある。

関連かんれん事項じこう

• オファツムマブ - ヒト型がた抗こうCD20モノクローナル抗体こうたい製剤せいざい
• オビヌツズマブ - 糖とう鎖くさり改変かいへん型がたタイプII抗こうCD20モノクローナル抗体こうたい製剤せいざい