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顕微鏡的多発血管炎 - Wikipedia コンテンツにスキップ

顕微鏡けんびきょうてき多発たはつ血管けっかんえん

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顕微鏡けんびきょうてき多発たはつ血管けっかんえんけんびきょうてきたはつけっかんえん,Microscopic PolyAngitis; MPA)とは、ANCA関連かんれん血管けっかんえん症候群しょうこうぐんのうち、肉芽にくがしゅ性病せいびょうへんのみられないもの。

組織そしき所見しょけん[編集へんしゅう]

毛細血管もうさいけっかんほそ動脈どうみゃくほそ静脈じょうみゃく血管けっかんかべ炎症えんしょうをおこし、出血しゅっけつしたり血栓けっせん形成けいせいしたりする。

主要しゅよう症候しょうこう[編集へんしゅう]

毛細血管もうさいけっかんおお腎臓じんぞうはいこうはつ部位ぶい

検査けんさ所見しょけん[編集へんしゅう]

診断しんだん基準きじゅん[編集へんしゅう]

  • なまけんじんせいけん)が可能かのう場合ばあいは、確定かくてい診断しんだんのためにおこなう。
  • 主要しゅよう症候しょうこうの2項目こうもく組織そしき所見しょけん、または、主要しゅよう症候しょうこうの1./2.をふくめた2項目こうもく+MPO-ANCA陽性ようせい

治療ちりょう[編集へんしゅう]

2011ねん現在げんざい各国かっこく治療ちりょうガイドラインひとしは、のANCA関連かんれん血管けっかんえん症候群しょうこうぐんこうさんだませい多発たはつ血管けっかんえんせい肉芽にくがしゅしょう多発たはつ血管けっかんえんせい肉芽にくがしゅしょう)と共通きょうつう

血管けっかん炎症えんしょう完全かんぜん消失しょうしつさせて(寛解かんかい導入どうにゅう療法りょうほう)、その状態じょうたい維持いじする(寛解かんかい維持いじ療法りょうほう)。 寛解かんかい判定はんていには、条件じょうけんとしてCRPが正常せいじょう範囲はんいであるほか、BVAS(血管けっかんえん症候群しょうこうぐん参照さんしょうとうもちいる。

早期そうき診断しんだん早期そうき治療ちりょうきわめて重要じゅうよう。その場合ばあいやく3~6かげつ寛解かんかいいたることが期待きたいできる。治療ちりょうおくれると、臓器ぞうき機能きのう障害しょうがいのこる。

ステロイドけいこう炎症えんしょうやく[編集へんしゅう]

ステロイドけいこう炎症えんしょうやくとうしつコルチコイド(GC)が治療ちりょう中心ちゅうしん初期しょき投与とうよりょうから次第しだい減量げんりょうし、再燃さいねんなどがなければ通常つうじょう18カ月かげつ

チアマゾールやPTUによるMPO-ANCA血管けっかんえん症候群しょうこうぐん場合ばあいには、中止ちゅうしする必要ひつようがある。

  • プレドニゾロン(PSL)連日れんじつ経口けいこう投与とうよ初期しょき投与とうよりょう体重たいじゅう1kgあたり1にち0.3~1.0mg。病状びょうじょうかる場合ばあい老齢ろうれい場合ばあいとう
  • メチルプレドニゾロン(M-PSL)しずかちゅう療法りょうほう病状びょうじょうおも場合ばあい老齢ろうれいでない場合ばあいとう終了しゅうりょう上記じょうき経口けいこう投与とうよ

免疫めんえき抑制よくせいやく[編集へんしゅう]

免疫めんえき抑制よくせいやく併用へいよう療法りょうほうは、病状びょうじょうおも場合ばあいのほか、副作用ふくさようつよとうしつコルチコイドをなるべくすくなくするため積極せっきょくてきにももちいられる。

寛解かんかいられてもANCAが陰性いんせいしない場合ばあい再燃さいねんこう頻度ひんどであるため、5年間ねんかん継続けいぞくすることもある。

日本にっぽんでは、けい症例しょうれい再燃さいねんおおかったが、免疫めんえき抑制よくせいやく使用しようすくなかったこと原因げんいん推定すいていされている。

下記かきの2しゅおも[1]

シクロホスファミド(CY)
おも寛解かんかい導入どうにゅう療法りょうほう連日れんじつ経口けいこう投与とうよまたはシクロホスファミドしずかちゅうパルス療法りょうほう(IVCY)。せいちゅうパルス療法りょうほう標準ひょうじゅんてき連日れんじつ経口けいこう服用ふくよう療法りょうほうほうそう投与とうよりょうおおく、副作用ふくさよう膀胱ぼうこう毒性どくせいつよい。
アザチオプリン(AZA)
おも寛解かんかい維持いじ療法りょうほう。シクロホスファミドより副作用ふくさようすくない。
メトトレキサート(MTX)
海外かいがいでの使用しよう実績じっせきがあるものの、日本にっぽんでは保険ほけん適応てきおうはない。

分子ぶんし標的ひょうてき治療ちりょうやく[編集へんしゅう]

リンパだま成熟せいじゅくB細胞さいぼうたいする抗体こうたいである。体内たいないのすべての成熟せいじゅくB細胞さいぼう除去じょきょすることで、自己じこ抗体こうたいさんせいするB細胞さいぼう排除はいじょすることで、自己じこ抗体こうたいさんせい抑制よくせいする。海外かいがいでの臨床りんしょう試験しけん結果けっか[2]公知こうち申請しんせいにより保険ほけん収載しゅうさいとなった[3]

血漿けっしょう交換こうかん療法りょうほう[編集へんしゅう]

もっと重症じゅうしょう場合ばあいじん改善かいぜん海外かいがい確認かくにんされたが、生命せいめい改善かいぜん確認かくにんされていない。

血栓けっせん治療ちりょうなど[編集へんしゅう]

血管けっかんうち狭窄きょうさく血栓けっせんに、こう凝固ぎょうこ療法りょうほう血管けっかん拡張かくちょうざいプロスタグランジン製剤せいざい)など。 とうしつコルチコイドの副作用ふくさようとしても血栓けっせんがおこりやすくなる。

治療ちりょう副作用ふくさようとその対策たいさく[編集へんしゅう]

一般いっぱんてきにもステロイドの副作用ふくさようおおられているが、日本にっぽんでは、AE(有害ゆうがい事象じしょう)の主因しゅいん推定すいていしている。

感染かんせんしょう[編集へんしゅう]

一般いっぱん感染かんせんしょうはもちろん日和見ひよりみ感染かんせんのリスクもある。なまワクチン使用しようすべきではない。免疫めんえき抑制よくせいやく併用へいよう療法りょうほうでは、とく留意りゅういすること推奨すいしょうされる。とうしつコルチコイドの使用しようりょうおおほどおおい。 また、日本にっぽん重症じゅうしょう感染かんせんしょうおおい。

一般いっぱんてき対策たいさくとして、イソジンガーグル、入院にゅういんでの面会めんかい制限せいげん個室こしつなど。

膀胱ぼうこう毒性どくせい[編集へんしゅう]

免疫めんえき抑制よくせいやくシクロホスファミド副作用ふくさようの、出血しゅっけつせい膀胱ぼうこうえんと催腫瘍しゅよう作用さようせいちゅうパルス療法りょうほうより連日れんじつ経口けいこう服用ふくよう療法りょうほうほうが、そう投与とうよりょうおお膀胱ぼうこう毒性どくせいつよい。代謝たいしゃぶつアクロレイン尿にょう排出はいしゅつされておこる。

膀胱ぼうこう尿にょうをためないように、点滴てんてき経口けいこう水分すいぶん摂取せっしゅおおくし、頻繁ひんぱん排尿はいにょう推奨すいしょうされている。予防よぼうやくのmesna(メスナ)は、日本にっぽんでは血管けっかんえんたいする健康けんこう保険ほけん適用てきようはない。 もっと感度かんど検査けんさ定期ていきてき尿にょう検査けんさであり、催腫瘍しゅよう作用さようのため、シクロホスファミド使用しよう終了しゅうりょうおこなう。

出血しゅっけつせい膀胱ぼうこうえん発症はっしょうしたら、使用しようめ、免疫めんえき抑制よくせいやくえるとうのぞましい。

骨粗鬆症こつそしょうしょう[編集へんしゅう]

とうしつコルチコイドの副作用ふくさようともに、じん機能きのう低下ていかによるほねミネラル代謝たいしゃ異常いじょうによる。ステロイドせい骨粗鬆症こつそしょうしょう予防よぼうガイドラインなどにより、積極せっきょくてき治療ちりょう早期そうきから開始かいしする必要ひつようがある。

歴史れきし[編集へんしゅう]

病気びょうき発見はっけん認知にんち)の歴史れきしてき変遷へんせん[編集へんしゅう]

従来じゅうらい結節けっせつせい多発たはつ動脈どうみゃくえん以下いかPN)とかんがえられてきた疾患しっかんなかほそ動脈どうみゃくでも壊死えしせい血管けっかんえんこす一群いちぐん報告ほうこくされ、このよう経過けいか辿たど一群いちぐんをPNとはけてほんしょうとした。2006ねん6がつ10日とおか (土) 22:01 (UTC)現在げんざいではほんしょうとPNはことなる疾患しっかんかんがえられている。

各国かっこくにおいて[編集へんしゅう]

日本にっぽん[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 病気びょうきがみえるVol.6 メディックメディアしゃ発行はっこう ISBN 978-4-89632-309-2
  2. ^ https://www.nejm.jp/abstract/vol371.p1771
  3. ^ https://www.ryumachi-jp.com/info/130708_rituximab_sta.pdf

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 小林こばやし茂人しげと血管けっかんえん症候群しょうこうぐん」『家庭かてい医学いがく』、gooヘルスケア
  • 免疫めんえき疾患しっかん調査ちょうさ研究けんきゅうはん(難治なんじせい血管けっかんえん)『 結節けっせつせい動脈どうみゃく周囲しゅういえん (2)顕微鏡けんびきょうてき多発たはつ血管けっかんえん公費こうひ対象たいしょう)』難病なんびょう情報じょうほうセンター、2011ねん7がつ29にち
  • 日本にっぽんリウマチ財団ざいだん全身ぜんしんせい血管けっかんえん」リウマチ情報じょうほうセンター

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]