形質けいしつ転換てんかん

分子生物学ぶんしせいぶつがくにおいて形質けいしつ転換てんかん（けいしつてんかん、Transformation）は、細胞さいぼう外部がいぶからDNAを導入どうにゅうし、その遺伝いでん的てき性質せいしつを変かえること、またその操作そうさを意味いみする。

英語えいごのtransformation には上記じょうきの意味いみに加くわえて、正常せいじょうな動物どうぶつ細胞さいぼうが無む制限せいげんに分裂ぶんれつを行おこなうようになる、つまりがん化かの意味いみ（悪性あくせい形質けいしつ転換てんかんを参照さんしょう）や、化生かせいの中なかで特とくにダイナミックなもの（幹みき細胞さいぼうまで脱だっ分化ぶんかしたり組織そしきの基本形きほんけいの壁かべを越こえて変化へんかしたりするもの）の意味いみを含ふくみ、混同こんどうを避さけるため、動物どうぶつ細胞さいぼうへの遺伝子いでんし導入どうにゅうはトランスフェクション（英えい：transfection）が通常つうじょう使用しようされる。またファージやウイルスを用もちいた遺伝子いでんし導入どうにゅうは形質けいしつ導入どうにゅう（英えい：transduction）と呼よばれる。

形質けいしつ転換てんかんは、1928年ねんフレデリック・グリフィス（Frederick Griffith）によって肺炎はいえん双球菌そうきゅうきんに対たいする実験じっけん（グリフィスの実験じっけん）により発見はっけんされた。自然しぜん界かいにおいて普通ふつうに起おこりうる形質けいしつ転換てんかんは実験じっけん室しつ内ないにおいては人為じんい的てきに作成さくせい出来できるようになった。

バクテリアに対たいする形質けいしつ転換てんかんとしては、電気でんきパルスにより瞬間しゅんかん的てきに細胞さいぼうに穴あなを開あけるエレクトロポレーション法ほうや、塩化えんかカルシウム存在そんざい下かでコンピテントセル化かした菌きんを用もちいる方法ほうほうが広ひろく使用しようされている。通常つうじょうはファージ、プラスミドなどのベクターを用もちいて外来がいらい遺伝子いでんしを導入どうにゅうする。植物しょくぶつ細胞さいぼうに対たいしてはアグロバクテリウム、パーティクル・ガン法ほうやエレクトロポレーションがよく使用しようされる。糸状いとじょう菌きんなどに対たいしてはプロトプラスト-PEG法ほうやエレクトロポレーション法ほう、酵母こうぼに対たいしてはLi法ほうなどがよく使用しようされる。また、この他ほかにもBiolistic法ほうなどもある。

これらの形質けいしつ転換てんかん法ほうは、生物せいぶつ学がくの研究けんきゅうにとって欠かかすことのできないツールである。この形質けいしつ転換てんかん法ほうの開発かいはつによって、現在げんざいのバイオテクノロジーの発展はってんがあった。

応用おうようとしては発現はつげん誘導ゆうどうプロモーターを用もちいた転換てんかん、ジーントラップ法ほう、エンハンサートラップ法ほう、アクティベーションタギング法ほうなどが挙あげられる。

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