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ファージ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
シネココッカスぞくファージ(Synechococcus Phage)S-PM2ウイルスの透過とうかがた電子でんし顕微鏡けんびきょうぞう

ファージえい: phage)は、細菌さいきん細菌さいきん感染かんせんして複製ふくせいするウイルスで、正式せいしきにはバクテリオファージえい: bacteriophage)とばれる。ファージの基本きほん構造こうぞうは、タンパク質たんぱくしつそとから遺伝いでん情報じょうほうにな核酸かくさん (おもほんくさりDNA) からなる。ファージが感染かんせんした細菌さいきん細胞さいぼうまく破壊はかいされる溶菌ようきんという現象げんしょうこし、細胞さいぼうのこさない。細菌さいきんくされるかのように死滅しめつするため、これにちなんで「細菌さいきん(bacteria)をべるもの(ギリシア:phagos)」をあらわす「バクテリオファージ(bacteriophage)」というがつけられた。

概要がいよう

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T4バクテリオファージのイラスト

バクテリオファージは、DNAまたはRNAゲノムカプセルしたタンパク質たんぱくしつ構成こうせいされ、単純たんじゅんなものから精巧せいこうなものまである。それらのゲノムは、わずか4つの遺伝子いでんしれいMS2)からすう100の遺伝子いでんしまでをコードしている。ファージは、細菌さいきん細胞さいぼうしつにゲノムを注入ちゅうにゅうしたのち細菌さいきんない複製ふくせいする。

バクテリオファージは、生物せいぶつけんもっと一般いっぱんてき多様たよう存在そんざいである[1]。バクテリオファージはひろしそんウイルスであり、細菌さいきん存在そんざいする場所ばしょならどこにでも存在そんざいする。地球ちきゅうじょうには、バクテリオファージが1031以上いじょう存在そんざいすると推定すいていされており、これは細菌さいきんふく地球ちきゅうじょうほかのすべての生物せいぶつわせたかずよりもおおくなっている[2]。ウイルスは、世界せかいうみ水柱みずばしら水面すいめんからそこしつへのみず概念的がいねんてきはしら)にもっと豊富ほうふ生物せいぶつがくてき実体じったいであり、原核げんかく生物せいぶついで2番目ばんめおおきなバイオマス構成こうせい要素ようそであり[3]表面ひょうめん微生物びせいぶつマットで1ミリリットルたり9x108ウイルス検出けんしゅつされ[4]海洋かいよう細菌さいきん英語えいごばん最大さいだい70%がファージに感染かんせんしている可能かのうせいがある[5]

バクテリオファージは、20世紀せいき初頭しょとうに、アーネスト・ハンキンとフレデリック・トウォートによってそれぞれ独立どくりつ発見はっけんされ、カナダ生物せいぶつ学者がくしゃフェリックス・デレーユによって溶菌ようきん作用さよう見出みいだされた。初期しょき分子生物学ぶんしせいぶつがくにおいてモデル生物せいぶつとしてさかんにもちいられた。またファージのゲノム改変かいへんされ、遺伝子いでんし導入どうにゅうDNA断片だんぺんのライブラリ作成さくせいなどにももちいられている。有名ゆうめいなファージのひとつにはラムダファージλらむだファージ)があり、大腸菌だいちょうきん感染かんせんする。ぜんゲノムの解読かいどくはラムダファージでおこなわれた(ゲノムプロジェクト)。また、ウイルス粒子りゅうし非常ひじょう複雑ふくざつ形態けいたいT4ファージもよくられている。

20世紀せいき後半こうはんから、きゅうソビエト連邦れんぽう中央ちゅうおうヨーロッパ、およびフランス抗生こうせい物質ぶっしつ代替だいたいひんとして使用しようされてきた[6][7]。ファージは、おおくの細菌さいきんざいたいせいかぶたいする治療ちりょうほうとしてかんがえられている(ファージセラピー参照さんしょう[8]一方いっぽうイノウイルスInoviridae)のファージは、肺炎はいえん嚢胞のうほうせい線維せんいしょう関与かんよするバイオフィルム複雑ふくざつして、病気びょうき根絶こんぜつするための薬剤やくざいから細菌さいきん保護ほごし、持続じぞくてき感染かんせん促進そくしんすることがしめされている[9]

構造こうぞう

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(ひだり)ファージT4の解剖かいぼうがくてき構造こうぞうと、(みぎ)感染かんせんサイクルのしき

バクテリオファージにはおおくの種類しゅるいられており、そのおおきさは25〜200nm程度ていどである。形状けいじょう様々さまざま種類しゅるいられており、おおくのたねせいじゅう面体めんていようカプシド頭部とうぶとしてそこからびている。なかにはかく生物せいぶつ感染かんせんするウイルスのように、単純たんじゅんあたま部分ぶぶんのみをたねもある。ファージの細菌さいきん細胞さいぼうそと発達はったつしたさいかちまくや、ペプチドグリカンから細胞さいぼうかべ突破とっぱして、細菌さいきん細胞さいぼうないにファージの核酸かくさんおく機能きのうつ。たとえばT4ファージの先端せんたんにある基盤きばん構成こうせいする蛋白質たんぱくしつにはリゾチームとして機能きのうする部分ぶぶんがあり、これがペプチドグリカン加水かすい分解ぶんかいして細菌さいきん細胞さいぼうかべあなける。ファージのは、細菌さいきん細胞さいぼう核酸かくさんおくとき収縮しゅうしゅくするなが柔軟じゅうなん屈曲くっきょくするが収縮しゅうしゅくはしないなが収縮しゅうしゅくしないみじかの3種類しゅるいがある。たとえばT4ファージはながくて収縮しゅうしゅくするタイプ、ラムダファージはながくて屈曲くっきょくするタイプのっている。

分類ぶんるい

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バクテリオファージP22は、みじか収縮しゅうしゅくせいつことから、形態けいたい学的がくてきにはポドウイルス英語えいごばん(Podoviridae)にぞくしている。

バクテリオファージは生物せいぶつけん豊富ほうふ存在そんざいし、それぞれゲノムやライフスタイルがことなる。ファージは、国際こくさいウイルス分類ぶんるい委員いいんかい(ICTV)により、形態けいたいがく核酸かくさんにより分類ぶんるいされている。

原核げんかく生物せいぶつ細菌さいきんおよび細菌さいきん)ウイルスのICTV分類ぶんるい[1]
形態けいたい 核酸かくさん れい
Belfryvirales Turriviridae Enveloped, isometric Linear dsDNA
Caudovirales Ackermannviridae Nonenveloped, contractile tail Linear dsDNA
Myoviridae Nonenveloped, contractile tail Linear dsDNA T4, Mu, P1, P2
Siphoviridae Nonenveloped, noncontractile tail (long) Linear dsDNA λらむだ, T5, HK97, N15
Podoviridae Nonenveloped, noncontractile tail (short) Linear dsDNA T7, T3, Φふぁい29, P22
Halopanivirales Sphaerolipoviridae Enveloped, isometric Linear dsDNA
Haloruvirales Pleolipoviridae Enveloped, pleomorphic Circular ssDNA, circular dsDNA, or linear dsDNA
Kalamavirales Tectiviridae Nonenveloped, isometric Linear dsDNA
Levivirales Leviviridae Nonenveloped, isometric Linear ssRNA MS2, Qβべーた
Ligamenvirales Lipothrixviridae Enveloped, rod-shaped Linear dsDNA Acidianus filamentous virus 1
Rudiviridae Nonenveloped, rod-shaped Linear dsDNA Sulfolobus islandicus rod-shaped virus 1
Mindivirales Cystoviridae Enveloped, spherical Segmented dsRNA Φふぁい6
Petitvirales Microviridae Nonenveloped, isometric Circular ssDNA ΦふぁいX174
Tubulavirales Inoviridae Nonenveloped, filamentous Circular ssDNA M13
Vinavirales Corticoviridae Nonenveloped, isometric Circular dsDNA PM2
Unassigned Ampullaviridae Enveloped, bottle-shaped Linear dsDNA
Bicaudaviridae Nonenveloped, lemon-shaped Circular dsDNA
Clavaviridae Nonenveloped, rod-shaped Circular dsDNA
Finnlakeviridae dsDNA FLiP[10]
Fuselloviridae Nonenveloped, lemon-shaped Circular dsDNA
Globuloviridae Enveloped, isometric Linear dsDNA
Guttaviridae Nonenveloped, ovoid Circular dsDNA
Plasmaviridae Enveloped, pleomorphic Circular dsDNA
Portogloboviridae Enveloped, isometric Circular dsDNA
Spiraviridae Nonnveloped, rod-shaped Circular ssDNA
Tristromaviridae Enveloped, rod-shaped Linear dsDNA

ピコビルナPicobirnaviridae)のメンバーは細菌さいきん感染かんせんするが、哺乳類ほにゅうるいには感染かんせんしないことが示唆しさされている[11]

もうひとつの提案ていあんされているファミリーは、Autolykiviridae(dsDNA)である[12]

歴史れきし

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フェリックス・デレーユ

1896ねんイギリス細菌さいきん学者がくしゃアーネスト・ハンキン英語えいごばんは、インドガンジスがわヤムナーがわみずふくまれるなにかがコレラたいして顕著けんちょ抗菌こうきん作用さようしめし、それは非常ひじょうこまかい磁器じきフィルターを通過つうかできることを報告ほうこくした[13]。1915ねん、ロンドンのブラウン研究所けんきゅうじょ監督かんとくであるイギリス細菌さいきん学者がくしゃフレデリック・トウォート英語えいごばんは、細菌さいきん感染かんせんして死滅しめつさせるちいさな病原びょうげんたい発見はっけんした。かれは、その病原びょうげんたいつぎのいずれかにちがいないとかんがえた。

  1. 細菌さいきんライフサイクル段階だんかい
  2. 細菌さいきん自身じしんさんせいする酵素こうそ、または、
  3. 細菌さいきん寄生きせいして破壊はかいするウイルス[14]

トウォートの研究けんきゅうは、だいいち世界せかい大戦たいせん勃発ぼっぱつ資金しきん不足ふそく抗生こうせい物質ぶっしつ発見はっけんによって中断ちゅうだんされた。

独立どくりつして、パリパスツール研究所けんきゅうじょはたらいていたフランスけいカナダじん微生物びせいぶつ学者がくしゃフェリックス・デレーユは、1917ねん9がつ3にちに「赤痢せきりきん拮抗きっこうするえない微生物びせいぶつ」を発見はっけんしたと発表はっぴょうした。デレーユにとって、かれ発見はっけん本質ほんしつについては疑問ぎもん余地よちはなかった。「一瞬いっしゅんにしてわたし理解りかいした。(寒天かんてん培地ばいちうえの)透明とうめいなゾーンの原因げんいんは、実際じっさいにはえない微生物びせいぶつ...細菌さいきん寄生きせいするウイルスだった。[15]」デレーユはこのウイルスをバクテリオファージ、バクテリアイーターとんだ。(ギリシャのphageinから「むさぼりう」という意味いみ)。かれはまた、赤痢せきりくるしんでいた男性だんせいがバクテリオファージによって健康けんこうもどしたという劇的げきてき記録きろくのこしている[16]。バクテリオファージについてのおおくの研究けんきゅうおこない、ファージセラピー概念がいねん導入どうにゅうしたのはデレーユであった[17]

はん世紀せいき以上いじょうの1969ねんマックス・デルブリュックアルフレッド・ハーシーサルバドール・ルリアは、ウイルスの複製ふくせいとその遺伝子いでんし発見はっけんによりノーベル生理学せいりがく医学いがくしょう受賞じゅしょうした[18]

応用おうよう

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ファージセラピー

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ファージは、抗菌こうきんざいであることが発見はっけんされ、1920年代ねんだいから1930年代ねんだいにかけて、きゅうソビエト連邦れんぽううち共和きょうわこくジョージアで、細菌さいきん感染かんせんしょう治療ちりょうするために使用しようされた(ジョージアの細菌さいきん学者がくしゃギオルギ・エリアバが、バクテリオファージの共同きょうどう発見はっけんしゃであるフェリックス・デレーユたすけをり、開拓かいたくした)。それらは赤軍せきぐん兵士へいし治療ちりょうふくめて、ひろ使用しようされた。しかし、いくつかの理由りゆうから欧米おうべい諸国しょこくでの一般いっぱんてき使用しよう放棄ほうきされた。

  • 抗生こうせい物質ぶっしつ発見はっけんされてひろ販売はんばいされた。それらは、製造せいぞう保管ほかん、および処方しょほう容易よういであった。
  • ファージの医学いがくてき試験しけんおこなわれたが、基本きほんてき理解りかい不足ふそくから、これらの試験しけん妥当だとうせい疑問ぎもんしょうじた[19]
  • ソビエト連邦れんぽうでの研究けんきゅう出版しゅっぱんおもロシアジョージアおこなわれ、ながあいだ国際こくさいてきには追随ついずいされていなかった。

冷戦れいせん終結しゅうけつ、ファージの使用しようは、ロシア[20]、ジョージア、中央ちゅうおうおよびひがしヨーロッパのほか場所ばしょ継続けいぞくされている。最初さいしょ制御せいぎょ作為さくいじゅうめくらけん臨床りんしょう試験しけんは、2009ねん6がつJournal of Wound Care報告ほうこくされ、ヒト患者かんじゃ下肢かし感染かんせんせい静脈じょうみゃく潰瘍かいよう治療ちりょうするためのバクテリオファージカクテルについて安全あんぜんせい有効ゆうこうせい評価ひょうかした[21]アメリカ食品しょくひん医薬品いやくひんきょく(FDA)はこの試験しけんだいIあい臨床りんしょう試験しけんとして承認しょうにんした。どう試験しけん結果けっか、バクテリオファージの治療ちりょう応用おうよう安全あんぜんせいしめしたが、有効ゆうこうせいしめされなかった。著者ちょしゃらは、標準ひょうじゅんてき創傷そうしょう治療ちりょう一部いちぶである特定とくてい化学かがく物質ぶっしつラクトフェリンぎんなど)の使用しようが、バクテリオファージの生存せいぞん阻害そがいした可能かのうせいがあると説明せつめいした[21]。そのまもなく、西にしヨーロッパでべつ対照たいしょう臨床りんしょう試験しけんみどりうみきんによってこされたみみ感染かんせんしょう治療ちりょう)が、2009ねん8がつのジャーナルClinical Otolaryngology報告ほうこくされた[22]。この研究けんきゅうでは、バクテリオファージ製剤せいざいはヒトの慢性まんせいみみ感染かんせんしょう治療ちりょう安全あんぜん効果こうかてきであると結論けつろんづけている。さらに、感染かんせんした火傷かしょう創傷そうしょう嚢胞のうほうせい線維せんいしょうともなはい感染かんせんしょうなど、さまざまな疾患しっかんたいするバクテリオファージの有効ゆうこうせい評価ひょうかする動物どうぶつ実験じっけんやその実験じっけんてき臨床りんしょう試験しけん数多かずおおおこなわれてきた[22]

一方いっぽう、バクテリオファージの研究けんきゅうしゃは、抗生こうせい物質ぶっしつたいせい克服こくふくするための遺伝子いでんし改変かいへんウイルスの開発かいはつや、バイオフィルムマトリクスを分解ぶんかいする酵素こうそをコードするファージ遺伝子いでんし、ファージの構造こうぞうタンパク質たんぱくしつ細菌さいきん細胞さいぼうかべ溶解ようかいする酵素こうそなどの遺伝子いでんし改変かいへんおこなってきた[4][5][6]小型こがたたんがたのT4ファージは、人体じんたいにおける大腸菌だいちょうきん検出けんしゅつ有用ゆうようであることをしめ結果けっかている[23]

ざいたいせいアシネトバクター・バウマニ(MDR A. baumannii)の鼻腔びこう感染かんせんモデルマウスをもちいて、ファージカクテルの治療ちりょう効果こうか評価ひょうかした。ファージカクテルで治療ちりょうしたマウスは、感染かんせん7にち治療ちりょうマウスにくらべて2.3ばいたか生存せいぞんりつしめした[24]。2017ねん、MDR A. baumanniiによって膵臓すいぞう障害しょうがいけた患者かんじゃは、複数ふくすう抗生こうせい物質ぶっしつ投与とうよされたにもかかわらず、患者かんじゃ健康けんこう状態じょうたいは4ヶ月かげつあいだ悪化あっかつづけた。効果こうかてき抗生こうせい物質ぶっしつがないため、患者かんじゃはMDR A. baumanniiたいして有効ゆうこうであることが実証じっしょうされている9種類しゅるいのファージをふくむファージカクテルをもちいたファージ療法りょうほうけた。この治療ちりょうけると、患者かんじゃ下降かこうしていた臨床りんしょう経過けいか一転いってんし、健康けんこう状態じょうたいもどった[25]

デレーユは「バクテリオファージは、下水道げすいどう、パイプからの廃棄はいきぶつ流入りゅうにゅうするかわ回復かいふく患者かんじゃ便びんなかなど、バクテリアが繁殖はんしょくする場所ばしょならどこにでもあることをすぐにった」[26]。これには、インドのガンジスがわなど、伝統でんとうてき治癒ちゆりょくがあるとかんがえられてきたかわふくまれている[27]

その

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食品しょくひん業界ぎょうかい
2006ねん以降いこうアメリカ食品しょくひん医薬品いやくひんきょく(FDA)とアメリカ農務のうむしょう(USDA)は、いくつかのバクテリオファージ製品せいひん承認しょうにんしている。LMP-102(Intralytix)は、加工かこう(RTE)鶏肉とりにくおよびにく製品せいひん治療ちりょう承認しょうにんされた。同年どうねん、FDAは、一般いっぱん安全あんぜんみとめられる(GRAS)ステータスをあたえるために、チーズにバクテリオファージを使用しようしてリステリア・モノサイトゲネスきんころすLISTEX(マイクレオス英語えいごばんによって開発かいはつ製造せいぞうされた)を承認しょうにんした[28]。2007ねん7がつには、すべての食品しょくひんでのおなじバクテリオファージの使用しよう承認しょうにんされた[29]。2011ねん、USDAは、LISTEXをクリーンラベル加工かこうすけざいとして、USDAにふくまれることを確認かくにんした[30]食品しょくひん安全あんぜん分野ぶんやでは、さまざまな食品しょくひんちゅうほか食物しょくもつ由来ゆらい病原びょうげんたい制御せいぎょするため、実行じっこう可能かのう選択肢せんたくしとして、溶菌ようきんせいファージがあるかどうかの研究けんきゅうつづけられている。
酪農らくのう
環境かんきょうちゅう存在そんざいするバクテリオファージは、チーズスターター培養ばいようぶつ発酵はっこう失敗しっぱいこす可能かのうせいがある。これを回避かいひするために、混合こんごうかぶスターター培養ばいよう培養ばいようぶつローテーション計画けいかく使用しようすることができる[31]
診断しんだんほう
2011ねん、FDAは、体外たいがい(in vitro)診断しんだんよう最初さいしょのバクテリオファージにもとづく製品せいひん承認しょうにんした[32]。KeyPath MRSA/MSSA血液けつえき培養ばいよう検査けんさでは、バクテリオファージのカクテルを使用しようして、陽性ようせい血液けつえき培養ばいようぶつちゅう黄色おうしょくブドウ球菌きゅうきんStaphylococcus aureus)を検出けんしゅつし、メチシリン耐性たいせいまたは感受性かんじゅせい判定はんていする。この検査けんさでは、標準ひょうじゅんてき微生物びせいぶつ同定どうていおよび感受性かんじゅせい検査けんさほうでは2~3にちかかるのにたいし、やく5あいだ結果けっかられる。これは、FDAによって承認しょうにんされた最初さいしょ迅速じんそく抗生こうせい物質ぶっしつ感受性かんじゅせい検査けんさである[33]
生物せいぶつ兵器へいき毒素どくそへの対抗たいこう
欧米おうべい政府せいふ機関きかんすうねんまえから、炭疽たんそきんボツリヌスきんなどの生物せいぶつ兵器へいき毒素どくそ対抗たいこうするためのファージの利用りようについて、ジョージアきゅうソビエト連邦れんぽう協力きょうりょくもとめてきた[34]米国べいこく研究けんきゅうグループあいだ開発かいはつつづけられている。その用途ようととしては、植物しょくぶつ野菜やさい生産せいさんぶつ腐敗ふはい細菌さいきん感染かんせん蔓延まんえんから保護ほごするための園芸えんげいでの散布さんぷなどがある。バクテリオファージのほか用途ようとは、病院びょういんなどの環境かんきょう表面ひょうめん殺生せっしょうぶつざいとして、また、臨床りんしょう現場げんば使用しようするまえカテーテル医療いりょう機器きき予防よぼう処置しょちとしてである。ファージを乾燥かんそうした表面ひょうめんたとえばユニフォーム、カーテン、または手術しゅじゅつよう縫合ほうごういとなどに適用てきようする技術ぎじゅつ現在げんざい存在そんざいしている。Clinical Otolaryngology[22]報告ほうこくされた臨床りんしょう試験しけんでは、ペットけん中耳炎ちゅうじえん獣医じゅういがくてき治療ちりょう成功せいこうしている。
SEPTIC英語えいごばんきん検出けんしゅつ同定どうていほう
この手法しゅほうは、ファージ感染かんせんのイオン放出ほうしゅつとその動態どうたい利用りようしたたか特異とくいせい検出けんしゅつ速度そくど実現じつげんしている[35]
ファージディスプレイ
これは、表面ひょうめんタンパク質たんぱくしつ連結れんけつした可変かへんペプチドをゆうするファージのライブラリーにかかわるファージのべつ使用しようほうである。かくファージゲノムは、その表面ひょうめん発現はつげんしているタンパク質たんぱくしつ変異へんいたいをコードし(その由来ゆらい)、変異へんいペプチドとそのエンコード遺伝子いでんしとのあいだのリンクを提供ていきょうする。ライブラリーからの変異へんいファージは、固定こていされた分子ぶんしたとえば、ボツリヌス毒素どくそ)を中和ちゅうわするために、その結合けつごう親和しんわせいつうじて選抜せんばつされる。結合けつごうし、選抜せんばつされたファージは、感受性かんじゅせいのある細菌さいきんかぶさい感染かんせんさせて増殖ぞうしょくすることができ、それにより、さらなる研究けんきゅうのためにファージにコードされたペプチドを回収かいしゅうすることができる[36]
抗菌こうきんやく発見はっけん
ファージタンパクしつはしばしば抗菌こうきん活性かっせいち、ペプチドミメティック英語えいごばん、すなわちペプチドを模倣もほうする薬剤やくざいのリードとなる可能かのうせいがある[37]ファージリガンド技術ぎじゅつ英語えいごばんは、細菌さいきん細菌さいきん成分せいぶんエンドトキシンなど)の結合けつごう細菌さいきん溶解ようかいなど、さまざまな用途ようとにファージタンパクしつ利用りようする[38]
基礎きそ研究けんきゅう
バクテリオファージは遺伝子いでんしかず生物せいぶつくらべてずくなく、また増殖ぞうしょく容易よういなことから、進化しんか生態せいたいがく原理げんり研究けんきゅうするための重要じゅうようモデル生物せいぶつである[39]
遺伝子いでんし工学こうがく
テンペレートファージを利用りようして宿主しゅくしゅ細菌さいきん任意にんい遺伝子いでんし導入どうにゅうする技術ぎじゅつ開発かいはつされた。この技術ぎじゅつ形質けいしつ導入どうにゅうばれ、ラムダファージによる大腸菌だいちょうきんへの形質けいしつ導入どうにゅうが、分子生物学ぶんしせいぶつがく分野ぶんや繁用はんようされている。
ファージがたべつ
ファージは種類しゅるいによって宿主しゅくしゅとする細菌さいきんことなり、しかもその選択せんたくせいたかい。このためおなしゅぞくする細菌さいきんであっても、かぶによって特定とくていのファージに感染かんせんするものとしないものがある。この現象げんしょう利用りようして同種どうしゅ細菌さいきんをさらにこまかく判別はんべつすることが可能かのうであり、この方法ほうほうをファージがたべつぶ。ファージがたべつによる分類ぶんるい黄色おうしょくブドウ球菌きゅうきんサルモネラもちいられており、これらのきんなかでもとく病原びょうげんせいたかいものであるかどうかを識別しきべつすることが可能かのうである。

複製ふくせい

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うえ溶菌ようきんサイクル(lytic cycle)と比較ひかくした、(した)溶原サイクル(lysogenic cycle)
バクテリオファージのDNAを細菌さいきん細胞さいぼう注入ちゅうにゅうする工程こうていしめ

バクテリオファージは「溶菌ようきんサイクル英語えいごばん」と「溶原サイクル」をっている。

T4ファージのような溶菌ようきんせいファージ (ビルレントファージえい: virulent phage)でられる溶菌ようきんサイクル英語えいごばんlytic cycle)では、ウイルスが即時そくじ複製ふくせいされたのち細菌さいきん細胞さいぼう破壊はかいされ(溶解ようかいして)死滅しめつする。細胞さいぼう破壊はかいされるとすぐに、ファージの子孫しそんあたらしい宿主しゅくしゅつけて感染かんせんできる。溶菌ようきんせいファージは、ファージセラピーようとしてよりてきしている。一部いちぶ溶菌ようきんせいファージは、細胞さいぼうがいのファージ濃度のうどたか場合ばあいには、完成かんせいしたファージ子孫しそんがすぐに細胞さいぼうがい溶解ようかいしないという、溶菌ようきん阻害そがいえい: lysis inhibition)としてられる現象げんしょうこす。この機構きこうは、つぎべる溶原せいファージ(プロファージ)が休眠きゅうみん状態じょうたいになる機構きこうとはことなり、通常つうじょう一時いちじてきなものである。

対照たいしょうてきに、溶原サイクルlysogenic cycle)は、宿主しゅくしゅ細胞さいぼう即時そくじ溶解ようかいをもたらさない。溶原せいけることができるそれらのファージは溶原せいファージ (テンペレートファージえい: temperate phages) としてられている。それらのウイルスゲノムは、宿主しゅくしゅのDNAと統合とうごうされ、宿主しゅくしゅDNAと一緒いっしょ比較的ひかくてき無害むがい複製ふくせいされるか、あるいはプラスミドとして宿主しゅくしゅ細胞さいぼうない独立どくりつして存在そんざいすることもある。ウイルスは、(おそらく栄養分えいようぶん枯渇こかつ原因げんいんで)宿主しゅくしゅ状態じょうたい悪化あっかするまで休眠きゅうみん状態じょうたいのままで、その内在ないざいせい英語えいごばんファージ(プロファージとしてられている)は活動かつどうてきになる。この時点じてんで、プロファージは生殖せいしょくサイクルを開始かいしし、宿主しゅくしゅ細胞さいぼう溶解ようかいをもたらす。溶原サイクルが宿主しゅくしゅ細胞さいぼう生存せいぞん繁殖はんしょく可能かのうにするので、ウイルスはその細胞さいぼうのすべての子孫しそん複製ふくせいされる。この現象げんしょう溶原ばれ、プロファージを保有ほゆうする細菌さいきん溶原きんぶ。溶原サイクルと溶菌ようきんサイクルにしたがうことがられているバクテリオファージのれいには、大腸菌だいちょうきんラムダファージ英語えいごばんがある[40]

テンペレートファージのなかには抗生こうせい物質ぶっしつへのたいせい遺伝子いでんし毒素どくそ遺伝子いでんしっているものがあり、細菌さいきんゲノムあたらしい機能きのう追加ついかすることによってその遺伝いでん形質けいしつ細菌さいきん獲得かくとくすることがある。これは、溶原変換へんかんえい: lysogenic conversion)とばれる現象げんしょうであり、これによって薬剤やくざいたいせいつよし毒性どくせい細菌さいきん出現しゅつげんすることは、医学いがくじょう重要じゅうよう問題もんだいかんがえられている。このような実例じつれいとしてO157ベロ毒素どくそげられる。ベロ毒素どくそ一部いちぶ赤痢せきりきんさんせいする志賀しが毒素どくそおなじものであり、それらの赤痢せきりきん感染かんせんしていた毒素どくそ遺伝子いでんしふくむファージが大腸菌だいちょうきん感染かんせんしてベロ毒素どくそさんせい大腸菌だいちょうきん出現しゅつげんしたとかんがえられている。同様どうようれいとして、バクテリオファージによって、無害むがいコリネバクテリウム・ジフテリアエ英語えいごばんCorynebacterium diphtheriae)やビブリオ・コレラエ英語えいごばんVibrio cholerae)の菌株きんしゅの、それぞれジフテリアコレラこすつよ毒性どくせい菌株きんしゅへの変換へんかんがある[41][42]。これらの毒素どくそをコードするプロファージを標的ひょうてきとした特定とくてい細菌さいきん感染かんせんしょうたたか戦略せんりゃく提案ていあんされている[43]

付着ふちゃく浸透しんとう

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細菌さいきん細胞さいぼう付着ふちゃくしたバクテリオファージの電子でんし顕微鏡けんびきょう写真しゃしん。このウイルスはコリファージT1のおおきさおよび形状けいじょうをしている。

細菌さいきん細胞さいぼうは、糖類とうるい細胞さいぼうかべによって保護ほごされている。糖類とうるいは、免疫めんえき宿主しゅくしゅ防御ぼうぎょ抗生こうせい物質ぶっしつ両方りょうほうから細菌さいきん細胞さいぼう保護ほごする重要じゅうよう病原びょうげんせい因子いんしである[44]。バクテリオファージは、宿主しゅくしゅ細胞さいぼう侵入しんにゅうするために、リポ糖類とうるいタイコさんタンパク質たんぱくしつ、あるいはむち(べんもう)など、細菌さいきん表面ひょうめんにある特定とくてい受容じゅようたい結合けつごうする。この特異とくいせいは、バクテリオファージが、結合けつごう可能かのう受容じゅようたい特定とくてい細菌さいきんのみに感染かんせんすることを意味いみし、これがファージの宿主しゅくしゅ範囲はんい決定けっていする。エンドリシンのような糖類とうるい分解ぶんかい酵素こうそは、厳密げんみつにプログラムされたファージ感染かんせんプロセスの初期しょき段階だんかいで、宿主しゅくしゅさいかちまく(きょうまく)外層がいそう酵素こうそてき分解ぶんかいするビリオン関連かんれんタンパク質たんぱくしつである。宿主しゅくしゅ増殖ぞうしょく条件じょうけんはまた、ファージが宿主しゅくしゅ付着ふちゃくして侵入しんにゅうする能力のうりょく影響えいきょうあたえる[45]。ファージビリオンは独立どくりつして移動いどうしないので、血液けつえき、リンパ循環じゅんかん灌漑かんがい(かんがい)、土壌どじょうすいなどの溶液ようえきちゅうにある場合ばあいただしい受容じゅようたいとのランダムな遭遇そうぐうたよらなければならない。

ミオウイルス・バクテリオファージは、皮下ひか注射ちゅうしゃのようなうごきを利用りようして、その遺伝いでん物質ぶっしつ細胞さいぼうない注入ちゅうにゅうする。適切てきせつ受容じゅようたい接触せっしょくしたのち繊維せんい屈曲くっきょくして基盤きばん細胞さいぼう表面ひょうめんちかづける。これは可逆かぎゃくてき結合けつごうとしてられている。一度いちど完全かんぜん付着ふちゃくすると、可逆かぎゃくてき結合けつごう開始かいしされ、おそらくなか存在そんざいするATPたすけをりて、収縮しゅうしゅく[5]細菌さいきんまくかいして遺伝いでん物質ぶっしつ注入ちゅうにゅうする[46]注入ちゅうにゅうは、細胞さいぼうちかくで収縮しゅうしゅくするがわ移動いどうし、もどすことによる、シャフトの一種いっしゅ運動うんどうによっておこなわれる。ポドウイルスは、ミオウイルスのような細長ほそながさやたないので、わりに、ちいさなのような繊維せんい酵素こうそてき使つかって、細胞さいぼうまく一部いちぶ分解ぶんかいしてから遺伝いでん物質ぶっしつ注入ちゅうにゅうする。

タンパク質たんぱくしつ核酸かくさん合成ごうせい

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すうふん以内いないに、細菌さいきんリボソームがウイルスのmRNAをタンパク質たんぱくしつ翻訳ほんやくはじめる。RNAベースのファージの場合ばあいRNA複製ふくせい酵素こうそはプロセスの初期しょき合成ごうせいされる。タンパク質たんぱくしつは、細菌さいきんRNAポリメラーゼ修飾しゅうしょくするので、ウイルスのmRNAを優先ゆうせんてき転写てんしゃする。宿主しゅくしゅタンパク質たんぱくしつ核酸かくさん正常せいじょう合成ごうせい阻害そがいされ、わりにウイルス産物さんぶつさんせい余儀よぎなくされる。これらの産物さんぶつは、細胞さいぼうないあたらしいウイルスの一部いちぶとなり、あたらしいウイルスのてに寄与きよするヘルパータンパク質たんぱくしつ、または細胞さいぼう溶解ようかい関与かんよするタンパク質たんぱくしつとなる。Walter Fiersベルギーゲント大学だいがく)は、1972ねん遺伝子いでんし完全かんぜんなヌクレオチド配列はいれつはじめて確立かくりつし、1976ねんにはバクテリオファージMS2のウイルスゲノムを確立かくりつした[47]。いくつかのdsDNAバクテリオファージはリボソームタンパクしつをコードしており、ファージ感染かんせんタンパク質たんぱくしつ翻訳ほんやく調節ちょうせつしているとかんがえられている[48]

ウイルス

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T4ファージ場合ばあいあたらしいウイルス粒子りゅうしてには、ファージの形態けいたい形成けいせいなか触媒しょくばいてき作用さようするヘルパータンパク質たんぱくしつたすけが必要ひつようである[49]最初さいしょ基盤きばんてられ、そのがそのうえ構築こうちくされる。別々べつべつてられた頭部とうぶカプシドは、自発じはつてき一緒いっしょてられる。ファージT4ビリオンてのさいには、ファージ遺伝子いでんしがコードする形態けいたい形成けいせいタンパク質たんぱくしつ特徴とくちょうてき配列はいれつ相互そうご作用さようする。ウイルス感染かんせんさんされるこれらのタンパク質たんぱくしつのそれぞれのりょう適切てきせつなバランスで維持いじすることが、正常せいじょうなファージT4の形態けいたい形成けいせい重要じゅうようであるとかんがえられている[50]。DNAは頭部とうぶない効率こうりつてき充填じゅうてんされる。全体ぜんたいのプロセスはやく15ふん終了しゅうりょうする。

ウイルスの放出ほうしゅつ

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ファージは、細胞さいぼう溶解ようかいし、または場合ばあいによっては、出芽しゅつがによって放出ほうしゅつされる。ったファージによる細胞さいぼう溶解ようかいは、エンドライシン英語えいごばんばれる酵素こうそによっておこなわれ、細胞さいぼうかべペプチドグリカン攻撃こうげきして破壊はかいする。まったくことなるタイプのファージである繊維状せんいじょうファージは、宿主しゅくしゅ細胞さいぼうあたらしいウイルス粒子りゅうし継続けいぞくてき分泌ぶんぴつさせる。放出ほうしゅつされたウイルスは遊離ゆうりしたものとして説明せつめいされており、欠陥けっかんがないかぎりは、あたらしい細菌さいきん感染かんせんする可能かのうせいがある。出芽しゅつがは、特定とくていマイコプラズマMycoplasma)ファージと関連かんれんしている。ウイルス放出ほうしゅつとは対照たいしょうてきに、溶原サイクルしめすファージは、宿主しゅくしゅころすのではなく、むしろプロファージとして長期ちょうき滞在たいざいしゃとなる。

コミュニケーション

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2017ねん研究けんきゅうでは、バクテリオファージΦふぁい3Tがみじかいウイルスせいタンパク質たんぱくしつつくり、宿主しゅくしゅ細菌さいきんころわりに休眠きゅうみん状態じょうたいにあるほかのバクテリオファージにシグナルをおくることがあきらかになった。アービトリウム英語えいごばんは、このタンパク質たんぱくしつ発見はっけんした研究けんきゅうしゃがつけた名前なまえである[51][52]

ゲノム構造こうぞう

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環境かんきょうちゅうすうひゃくまん種類しゅるいのファージが存在そんざいすることから、ファージのゲノムはさまざまなかたちおおきさをっているとかんがえられる。MS2のようなRNAファージは、わずかすう1,000塩基えんき最小さいしょうのゲノムをっている。しかし、T4のようなDNAファージのなかには、すう100遺伝子いでんしおおきなゲノムをつものもあり、カプシドおおきさや形状けいじょうは、ゲノムのおおきさとともに変化へんかする[53]最大さいだいのバクテリオファージのゲノムは735 kbのおおきさにもなる[54]

バクテリオファージのゲノムは、高度こうどモザイクされていることがある。すなわち、おおくのファージしゅのゲノムは、多数たすう個別こべつのモジュールで構成こうせいされているようにえる。これらのモジュールは、ことなる配列はいれつのファージしゅられることがある。マイコバクテリオファージ英語えいごばんや、マイコバクテリア宿主しゅくしゅつバクテリオファージは、このモザイクせいすぐれたれい提供ていきょうしてきた。これらのマイコバクテリオファージでは、遺伝子いでんししなぞろえは、部位ぶい特異とくいてきぐみ英語えいごばん一定いってい配列はいれつしょう同性どうせいったセグメントあいだでのDNAくさり交換こうかん)および正統せいとうてきぐみ英語えいごばん細菌さいきん宿主しゅくしゅ遺伝子いでんし配列はいれつのファージゲノム獲得かくとく結果けっか)をかえした結果けっかである可能かのうせいがある[55]細菌さいきんウイルスのゲノムを形成けいせいする進化しんか機構きこうは、ファミリーあいだことなり、核酸かくさん種類しゅるい、ウイルス構造こうぞう特徴とくちょう、ウイルスのライフサイクルのモードに依存いぞんしている[56]

システム生物せいぶつがく

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ファージはしばしば宿主しゅくしゅ劇的げきてき影響えいきょうをおよぼす。その結果けっかとして、感染かんせんした細菌さいきん転写てんしゃパターンがおおきく変化へんかすることがある。たとえば、溶原せいファージPaP3によるみどりうみきんPseudomonas aeruginosa)の感染かんせんは、その宿主しゅくしゅ遺伝子いでんしの38% (2160/5633) の発現はつげん変化へんかさせた。これらの効果こうかおおくはおそらく間接かんせつてきなものであるため、細菌さいきんとファージのあいだ直接的ちょくせつてき相互そうご作用さよう特定とくていすることが課題かだいとなっている[57]

ファージとその宿主しゅくしゅあいだタンパク質たんぱくしつあいだ相互そうご作用さようをマッピングするために、いくつかのこころみがなされてきた。たとえば、バクテリオファージラムダは、31しゅ相互そうご作用さようによって、その宿主しゅくしゅである大腸菌だいちょうきんE. coli)と相互そうご作用さようすることがわかった。しかし、だい規模きぼ研究けんきゅうでは62しゅ相互そうご作用さようあきらかになり、そのほとんどがあたらしかった。かえしになるが、これらの相互そうご作用さようおおくの重要じゅうようせいあきらかになっておらず、これらの研究けんきゅうは、いくつかの重要じゅうよう相互そうご作用さようと、その役割やくわりあきらかにされていないおおくの間接かんせつてき相互そうご作用さよう存在そんざいする可能かのうせいがあることを示唆しさしている[58]

環境かんきょうちゅう

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メタゲノミクスにより、以前いぜん不可能ふかのうだったバクテリオファージの水中すいちゅうでの検出けんしゅつ可能かのうにした[59]

また、バクテリオファージは、河川かせん水系すいけいとく地表ちひょうすい地下水ちかすい相互そうご作用さよう発生はっせいする場所ばしょでのみず文学ぶんがくてきトレースやモデリングにも使用しようされている。ファージの使用しようは、地下水ちかすい通過つうかするさい吸収きゅうしゅういちじるしくすくなく、非常ひじょうひく濃度のうど容易ようい検出けんしゅつできるため、従来じゅうらい染料せんりょうマーカーよりもこのまれている[60]汚染おせんされていないみずには、1 mlあたりやく2×108のバクテリオファージがふくまれている可能かのうせいがある[61]

バクテリオファージは、おも形質けいしつ導入どうにゅうかいしてだけでなく、形質けいしつ転換てんかんかいして、自然しぜん環境かんきょうにおける遺伝子いでんし水平すいへい伝播でんぱひろ寄与きよしているとかんがえられている[62]。メタゲノミクスにもとづく研究けんきゅうはまた、さまざまな環境かんきょうからのウイルスくさむら(virome)が、ざいたいせいをもたらす可能かのうせいのある遺伝子いでんしふくめ、抗生こうせい物質ぶっしつたいせい遺伝子いでんし保有ほゆうしていることをあきらかにした[63]

モデルバクテリオファージ

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つぎのバクテリオファージが広範囲こうはんい研究けんきゅうされている。

参照さんしょう項目こうもく

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参考さんこう書目しょもく

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外部がいぶリンク

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