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寒天かんてん培地ばいち

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

寒天かんてん培地ばいち(かんてんばいち、Agar medium)とは、寒天かんてんもちいた培地ばいちのこと。とくに、寒天かんてんやく1.5%の濃度のうどくわえて固化こかさせた固形こけい培地ばいちのことを意味いみする場合ばあいおおい。微生物びせいぶつがく植物しょくぶつがく分野ぶんやで、微生物びせいぶつ細胞さいぼう培養ばいようするためにもちいられる。対象たいしょうとする生物せいぶつ種類しゅるい用途ようとおうじてさまざまな処方しょほうがある。

寒天かんてん培地ばいちのはじまり

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微生物びせいぶつ培養ばいようにおいて初期しょき使つかわれたのは、さまざまな栄養素えいようそふくんだ水溶液すいようえき、いわゆる液体えきたい培地ばいちであった。液体えきたい培地ばいち欠点けってんひとつは、雑菌ざっきん混入こんにゅう(コンタミネーション)によわいことである。混入こんにゅうしてくることをふせぐのはどのような方法ほうほうでも簡単かんたんではないことにわりがないのであるが、液体えきたい培地ばいち場合ばあい混入こんにゅうしてきたことそのものがわからない場合ばあいがあり、それが判明はんめいしたとしても、混入こんにゅうした雑菌ざっきんなどを除去じょきょするのも、本来ほんらい目的もくてきだった生物せいぶつをそこから確保かくほすることもむずかしい。そのてん改良かいりょうしたのが固体こたい培地ばいちである。固体こたいであれば、その表面ひょうめんちた微生物びせいぶつ繁殖はんしょくしても、おおくの場合ばあいにはそのてん中心ちゅうしんとしたコロニーつくるので、その部分ぶぶんだけコンタミ排除はいじょしたり、培養ばいよう対象たいしょうしてふたた純粋じゅんすい培養ばいようなおすことも可能かのうである。

他方たほう液体えきたい培地ばいちでは、どのような成分せいぶん添加てんかするかの自由じゆうおおきく、さまざまな処方しょほう自由じゆうつくれる。しかし、ジャガイモって使つかうなど、既成きせい固形こけいぶつ培地ばいちにするのでは、そのてん不自由ふじゆうである。そこで、液体えきたい培地ばいちなんらかの物質ぶっしつによってかためてしまう方法ほうほう考案こうあんされた。当初とうしょゼラチンなどももちいられたが、寒天かんてんがその目的もくてき非常ひじょう便利べんりであることが判明はんめいし、現在げんざいのようにひろ使つかわれることになった。同時どうじに、寒天かんてん培地ばいち充填じゅうてんして使用しようする容器ようきとして、シャーレ(ペトリさら)も開発かいはつされた。これらの微生物びせいぶつ培養ばいよう技術ぎじゅつ改良かいりょうは、おもにロベルト・コッホしたおこなわれたものである。

寒天かんてん培地ばいち利点りてん

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寒天かんてん培地ばいち固体こたい利用りようするのは、微生物びせいぶつ研究けんきゅう使用しようするじょうで、非常ひじょうすぐれた性質せいしつがあるからである。

  • 寒天かんてんは、溶液ようえきのpHを極端きょくたん上下じょうげさせる物質ぶっしつでなければ、たいていの水溶すいようせい物質ぶっしつませ、固化こかさせることができる。このことは、さまざまな液体えきたい培地ばいちを、寒天かんてんくわえることで固体こたい培地ばいちとして使つかえることを意味いみする。
  • 寒天かんてん分解ぶんかいする能力のうりょくのある生物せいぶつがほとんどいない。したがって、さまざまな微生物びせいぶつ培養ばいようする場合ばあいに、途中とちゅう分解ぶんかいされて液化えきかしてしまうことがすくない。
  • 寒天かんてん高温こうおんでも化学かがくてき安定あんていで、培地ばいちくわえたままオートクレーブ滅菌めっきん (121 °C) が可能かのうである。加熱かねつによって分解ぶんかいされないためふく生成せいせいぶつをほとんど生成せいせいせず、またもともと化学かがくてき純度じゅんどたかいものがられやすいために、微生物びせいぶつ生育せいいく検査けんさ試験しけん結果けっか誤差ごさにくい。
  • 純度じゅんどたか寒天かんてん無色むしょく透明とうめいであり、培地ばいちじょう成長せいちょうする微生物びせいぶつ観察かんさつするじょう非常ひじょう便利べんりである。また、やわらかいが弾力だんりょくがあるため、刃物はものったりけずったりといった加工かこうもしやすい。混入こんにゅうした微生物びせいぶつがあってもそれを確認かくにんがしやすいうえ、その部分ぶぶん除去じょきょするのも比較的ひかくてき簡単かんたんである。また、カビなどの場合ばあい寒天かんてんじょう成長せいちょうするものを、そのままって封入ふうにゅうしてプレパラートとすることもできる。
  • 寒天かんてんはおおむね 96 °C で融解ゆうかいし、やすと 60 °C 以下いかかたまる。比較的ひかくてき低温ていおん固化こかするこの性質せいしつのため、かたまる寸前すんぜん寒天かんてんきた微生物びせいぶつ混入こんにゅうし、寒天かんてんないわせてから固化こかさせるこんしゃくによる希釈きしゃく平板へいばんほうおこなうこともできる。土壌どじょうなどに混在こんざいしている細菌さいきんかず測定そくていなどでは有効ゆうこう技術ぎじゅつである。

寒天かんてんそのものは、糖類とうるいではあるが上記じょうきのようにほとんどの生物せいぶつがこれを分解ぶんかいできないために、実質じっしつてきには栄養えいようげんとしては利用りようされることがなく、一般いっぱんには栄養素えいようそ追加ついかすることで培地ばいちとして利用りよう可能かのうになる。しかし、試料しりょうふくまれる栄養分えいようぶんのみで十分じゅうぶん場合ばあいなど、寒天かんてんのみの培地ばいち使つかわれるれいもある。

に、このような性質せいしつかして、生物せいぶつ研究けんきゅう道具どうぐとして寒天かんてん利用りようしたれい数多かずおおい。有名ゆうめいれいとして、発生はっせいがくでのヴァルタ―・フォークト局所きょくしょ生体せいたい染色せんしょくほう植物しょくぶつ生理学せいりがくでの新芽しんめさきオーキシン移動いどう実験じっけんなどがある。

分類ぶんるい

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平板へいばん培地ばいち
ひだりぶためた状態じょうたい
みぎぶたけた状態じょうたい
ひだり斜面しゃめん培地ばいち
なかはん斜面しゃめん培地ばいち
みぎ高層こうそう培地ばいち

寒天かんてんふく培地ばいちには、その寒天かんてん濃度のうどによって、やく1.5%(液体えきたい培地ばいち1Lに1.5gの寒天かんてんくわえる場合ばあいもある)の濃度のうどくわえて完全かんぜん固形こけいしたもの(固形こけい培地ばいち)と、0.2-0.4%の濃度のうどくわえてはん流動りゅうどう状態じょうたいにしたもの(はん流動りゅうどう培地ばいち)がある。また、このほかにも目的もくてきおうじて寒天かんてん濃度のうどえたものも存在そんざいする。

もちいる容器ようきや、固化こかさせたのち形状けいじょうによって、平板へいばん培地ばいち斜面しゃめん培地ばいちはん斜面しゃめん培地ばいち高層こうそう培地ばいち分類ぶんるいされる。

平板へいばん培地ばいち(へいばんばいち)
シャーレもちいてつくった固形こけい培地ばいちで、微生物びせいぶつ分離ぶんり培養ばいようもっとひろもちいられる培地ばいちひとつである。
斜面しゃめん培地ばいち(しゃめんばいち、スラントともぶ)
試験管しけんかんない斜面しゃめんをつくるようにかためた固形こけい培地ばいちで、表面積ひょうめんせきひろく、また外部がいぶからの雑菌ざっきん混入こんにゅうらしやすいという特徴とくちょうから、こう気性きしょう微生物びせいぶつ純粋じゅんすい培養ばいようし、保存ほぞんするときにもちいられる。
はん斜面しゃめん培地ばいち(はんしゃめんばいち)
試験管しけんかんれた培地ばいち上部じょうぶやくさんぶんいちからよんぶんいち斜面しゃめんになった固形こけい培地ばいちである。使用しよう頻度ひんどひくいが、TSI寒天かんてん培地ばいちなど鑑別かんべつ培養ばいようのための培地ばいち一部いちぶが、はん斜面しゃめん培地ばいちとしてもちいられる。
高層こうそう培地ばいち(こうそうばいち)
試験管しけんかん直立ちょくりつさせた状態じょうたいかためたはん流動りゅうどう培地ばいちまたは固形こけい培地ばいちである。はん流動りゅうどう高層こうそう培地ばいちは、こう気性きしょうから(へんせい嫌気いやけせいまで、幅広はばひろ微生物びせいぶつ純粋じゅんすい培養ばいよう保存ほぞん繁用はんようされるほか病院びょういん患者かんじゃからられた検査けんさ材料ざいりょう直接ちょくせつ穿刺せんし(せんし)して輸送ゆそう培養ばいようおこなうことがある。また鑑別かんべつ培養ばいようもちいる場合ばあい高層こうそう上面うわつら部分ぶぶん底部ていぶ酸素さんそ濃度のうどちがいを利用りようして、その微生物びせいぶつ酸素さんそ要求ようきゅうせい検討けんとうしたり、運動うんどうせいのある微生物びせいぶつはん流動りゅうどう培地ばいちちゅうおよいでひろがることを利用りようして、微生物びせいぶつ運動うんどうせい検討けんとうするためにもちいられる。固形こけい高層こうそう培地ばいちとしては鑑別かんべつ培養ばいようもちいられるものに一部いちぶられるが、そのれいすくない。

使用しよう目的もくてきてんからは、複数ふくすう微生物びせいぶつふくまれている材料ざいりょう野外やがい試料しりょうから微生物びせいぶつ分離ぶんりするために使つかわれる分離ぶんり培地ばいち微生物びせいぶつかぶ継続けいぞく培養ばいようするための培養ばいよう培地ばいち特定とくてい微生物びせいぶつ見分みわけるために生化学せいかがくてき性状せいじょう調しらべるための鑑別かんべつ培地ばいちがある。分離ぶんり培地ばいちのうち、ある微生物びせいぶつだけが使つか栄養えいようげん微生物びせいぶつ増殖ぞうしょくおさえる物質ぶっしつくわえて、特定とくてい微生物びせいぶつだけが選択せんたくてき増殖ぞうしょくするようにしたものを選択せんたく分離ぶんり培地ばいちぶ。

使用しよう方法ほうほう

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寒天かんてん培地ばいち作製さくせい

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平板へいばん培地ばいち場合ばあいフラスコなどのガラス容器ようき精製水せいせいすい寒天かんてんふく培地ばいち成分せいぶん適量てきりょうずつ注入ちゅうにゅうし、これをオートクレーブ(飽和ほうわ水蒸気すいじょうきちゅうで 121 °C、2気圧きあつ、15ふん処理しょり滅菌めっきんし、ある程度ていどめてから滅菌めっきんしたシャーレにぶんちゅうしてたいらなところにしずかおけして固化こかさせる。滅菌めっきん不要ふようなもの(一部いちぶ選択せんたく分離ぶんり培地ばいちなど)では、寒天かんてん完全かんぜん溶解ようかいするまでぬくしてからシャーレで固化こかさせる場合ばあいもある。

斜面しゃめんはん斜面しゃめん高層こうそう培地ばいち場合ばあい精製水せいせいすい寒天かんてんふく培地ばいち成分せいぶんぬくして寒天かんてん完全かんぜん溶解ようかいさせたのち試験管しけんかんぶんちゅうしてオートクレーブ滅菌めっきんする。斜面しゃめんはん斜面しゃめん培地ばいち場合ばあいは、滅菌めっきんえてから寒天かんてん固化こかするまえ試験管しけんかんななめにかせ、しずかおけした状態じょうたい固化こかさせる。

あるいは、フラスコなどのなかみず培地ばいち成分せいぶん混合こんごうし、加熱かねつしてこれをかしたのち、シャーレいちまいぶんずつ試験管しけんかんぶんちゅう、これに培養ばいようせんをつけてオートクレーブにかける。平板へいばん培地ばいちつくるときには必要ひつようすうだけ試験管しけんかんしてかし、滅菌めっきんみのシャーレにそそいで固化こかさせる。保存ほぞん移送いそうには試験管しけんかんほう便利べんりなので、かずおおいときにはこのほう使つかいやすい。

寒天かんてん培地ばいち使つかった培養ばいよう

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平板へいばん培地ばいち斜面しゃめん培地ばいち場合ばあいおも目的もくてき微生物びせいぶつ培地ばいち表面ひょうめん白金はっきんみみなどをもちいて塗抹とまつし、室温しつおんあるいはふらんなどで一定いってい期間きかん培養ばいようして微生物びせいぶつ増殖ぞうしょくさせる。塗抹とまつされた微生物びせいぶつはそれぞれが塗抹とまつされた場所ばしょ分裂ぶんれつ増殖ぞうしょくかえしてコロニー形成けいせいする。独立どくりつしたコロニーのひとひとつは、基本きほんてきにそれぞれいち微生物びせいぶつ細胞さいぼう由来ゆらいするとかんがえられるため、平板へいばん培地ばいちではそこから微生物びせいぶつ分離ぶんりしてあらたな培地ばいちじょううつし、さらに培養ばいようすることで個々ここ微生物びせいぶつたんはなれすることが出来できる(純粋じゅんすい培養ばいよう)。また塗抹とまつするわりに、目的もくてき微生物びせいぶつふく材料ざいりょう寒天かんてん固化こかするまえくわえて固化こかさせたのち培養ばいようする方法ほうほうこんしゃく培養ばいようほう)もある。

また、固形こけいぶつ表面ひょうめんから出現しゅつげんするものをるためには、平板へいばん培地ばいちじょう試料しりょうせ、そのまま培養ばいようする直接ちょくせつ接種せっしゅほうがある。

はん流動りゅうどう高層こうそう培地ばいち場合ばあいおも目的もくてき微生物びせいぶつ白金はっきんみみなどにり、培地ばいち穿刺せんしして接種せっしゅしたのち同様どうよう培養ばいようする。こう気性きしょうきん培地ばいち表面ひょうめんに、へんせい嫌気いやけせいきん培地ばいち底部ていぶに、通性つうせい嫌気いやけせいきん表面ひょうめんからそこにかけて増殖ぞうしょくする。また運動うんどうせいのない細菌さいきん穿刺せんしした軌跡きせき部分ぶぶんのみで増殖ぞうしょくするが、運動うんどうせいがある細菌さいきん培地ばいち全体ぜんたい増殖ぞうしょくする。

特殊とくしゅ使つかかたとして、寒天かんてん表面ひょうめん一種いっしゅ作業さぎょうだいとして使つか場合ばあいがある。たとえば、水生すいせい不完全ふかんぜんきん分離ぶんりには、流水りゅうすいよりあつめた試料しりょう顕微鏡けんびきょう観察かんさつして胞子ほうしさがし、これをマイクロピペットでげ、寒天かんてん培地ばいち表面ひょうめん滴下てきかする。そのままでは混在こんざいしていた細菌さいきんるいなどが繁殖はんしょくしてくるおそれがあるので、白金はっきんせん胞子ほうしのそばの寒天かんてんめんしずかにれると、寒天かんてん表面ひょうめんわずかに存在そんざいするゆう離水りすいぶん寒天かんてんめんはりあいだたされ、胞子ほうしはそのみずまれる。そのまま寒天かんてん表面ひょうめんはりれば、胞子ほうしはりさき付着ふちゃくして移動いどうするので、試料しりょう滴下てきかしたてんからかずmmはなしたところへ移動いどうさせれば、発芽はつがした胞子ほうし単独たんどくはなせるようになる。

分子生物学ぶんしせいぶつがくけい実験じっけんけいで、大腸菌だいちょうきんなどをもちいてクローニングスクリーニングおこな場合ばあいは、プラスミドをとりこんだ(形質けいしつ転換てんかんした)細胞さいぼう選別せんべつするために、種々しゅじゅ抗生こうせい物質ぶっしつ添加てんかした平板へいばん培地ばいち利用りようされる。プラスミドにはマーカー遺伝子いでんしとして抗生こうせい物質ぶっしつたいするたいせい遺伝子いでんしまれているため、形質けいしつ転換てんかんした細胞さいぼうのみが増殖ぞうしょくし、コロニーを形成けいせいすることができる。コロニーを均等きんとう分散ぶんさんさせるために、きんふくんだ溶液ようえき培地ばいちじょうき、スプレッダーとばれるガラスのぼうひろげる操作そうさおこなうことがおおい。

使用しよう処理しょり

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使用しよう培地ばいちには培養ばいよう増殖ぞうしょくした大量たいりょう微生物びせいぶつふくまれているため、医学いがく環境かんきょう衛生えいせいじょう観点かんてんから、その微生物びせいぶつ病原びょうげんせい有無うむかかわらず滅菌めっきんして処分しょぶんしなければならない。使用しよう培地ばいち滅菌めっきんには、比較的ひかくてき小規模しょうきぼ場合ばあいはオートクレーブ処理しょりもちいられる。場合ばあいによっては焼却しょうきゃく処分しょぶんして滅菌めっきん同時どうじ廃棄はいきぶつとして処理しょりすることもある。

オートクレーブで処理しょりする場合ばあい使つかわった寒天かんてん培地ばいちをステンレスせいビーカーなどのたい熱性ねっせい容器ようきれ、オートクレーブ装置そうちれて滅菌めっきんする。滅菌めっきん培地ばいちにはきた微生物びせいぶつふくまれていないため、実験じっけんしつなどでは通常つうじょう実験じっけん廃液はいえき同様どうようあつかうことができる。滅菌めっきん直後ちょくご加熱かねつによって寒天かんてん溶解ようかいし、やや粘性ねんせいのある液状えきじょうをなしているが、めるとふたた容器ようきないかたまってしまうので、廃液はいえきとして処理しょりする場合ばあい固化こかするまえ大量たいりょうみずうすめながらあらながす。たい熱性ねっせいのポリぶくろれたままオートクレーブ滅菌めっきんし、めてふたたかたまったのち固形こけい廃棄はいきぶつ実験じっけん廃棄はいきぶつ医療いりょう廃棄はいきぶつ)として焼却しょうきゃく処理しょりする場合ばあいもある。

代表だいひょうてき寒天かんてん培地ばいち

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細菌さいきんよう寒天かんてん培地ばいち

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普通ふつう寒天かんてん培地ばいち
もっとも基本きほんてき組成そせいにくエキス、ペプトン、塩化えんかナトリウム、寒天かんてん)の寒天かんてん培地ばいちひとつ。一般いっぱんてき細菌さいきん分離ぶんり培養ばいよう各種かくしゅ検査けんさよう
SCD寒天かんてん培地ばいち(ソイビーンカゼイン寒天かんてん培地ばいち
普通ふつう寒天かんてん培地ばいち標準ひょうじゅん寒天かんてん培地ばいちなどとならび、選択せんたくせいひくく、広範囲こうはんいきん発育はついくさせることが出来できる。
チョコレート寒天かんてん培地ばいち (Chocolate agar, CHOC)
普通ふつう寒天かんてん血液けつえきくわえてオートクレーブにかけた、チョコレートしょく培地ばいち血液けつえき由来ゆらい成分せいぶんふくみ、栄養えいよう要求ようきゅうきびしい細菌さいきん分離ぶんり培養ばいようよう
血液けつえき寒天かんてん培地ばいち (Blood agar plate, BAP)
血液けつえき寒天かんてん培地ばいちは、感染かんせん診断しんだんするのにも使つかわれる。ブドウ球菌きゅうきんみぎ連鎖れんさ球菌きゅうきん
普通ふつう寒天かんてんをオートクレーブにかけたのち冷却れいきゃくし、かたまるまえ新鮮しんせん赤血球せっけっきゅうくわえた培地ばいち溶血ようけつせい試験しけん栄養えいよう要求ようきゅうきびしい細菌さいきん分離ぶんり培養ばいようよう
GAM寒天かんてん培地ばいち
嫌気いやけせいきん分離ぶんり培養ばいようよう嫌気いやけせいきん薬剤やくざい感受性かんじゅせい試験しけんにももちいられる。
ブドウ球菌きゅうきん培地ばいち、マンニット食塩しょくえん培地ばいち
ブドウ球菌きゅうきん選択せんたく分離ぶんり培地ばいちしお濃度のうどたかく (7.5%) 、病原びょうげんブドウ球菌きゅうきん鑑別かんべつのためにマンニット、ゼラチンなどをふくむ。
SSB寒天かんてん培地ばいち、サルモネラ・シゲラ寒天かんてん培地ばいち(SS寒天かんてん培地ばいち)
ちょうない細菌さいきんとくにサルモネラ、赤痢せきりきん選択せんたく分離ぶんり培地ばいち
左上ひだりうえ:マッコンキー寒天かんてん培地ばいちみぎじょう:SS寒天かんてん培地ばいち左下ひだりした亜硫酸ありゅうさんビスマス寒天かんてん培地ばいちみぎ:ブリリアントグリーン寒天かんてん培地ばいち
マッコンキー寒天かんてん培地ばいち、ドリガルスキー寒天かんてん培地ばいちDHL寒天かんてん培地ばいち
ちょうない細菌さいきん選択せんたく分離ぶんり培地ばいち
TCBS寒天かんてん培地ばいち、ビブリオ寒天かんてん培地ばいち
ちょうえんビブリオ、コレラきん選択せんたく分離ぶんり培地ばいち
TSI寒天かんてん培地ばいち、クリグラー寒天かんてん培地ばいち
ちょうない細菌さいきん鑑別かんべつ培養ばいようようとう分解ぶんかいせい、ガスさんせい硫化りゅうか水素すいそさんせい判定はんてい可能かのう
SIM培地ばいち
ちょうない細菌さいきん鑑別かんべつ培養ばいようようはん流動りゅうどう培地ばいち硫化りゅうか水素すいそさんせい、インドールさんせい運動うんどうせい判定はんてい可能かのう
ミュラー・ヒントン寒天かんてん培地ばいち感性かんせいディスク培地ばいち
薬剤やくざい感受性かんじゅせい試験しけんよう
LB寒天かんてん培地ばいち
基本きほんてき組成そせい培地ばいちひとつ。とく分子生物学ぶんしせいぶつがく分野ぶんや大腸菌だいちょうきん培養ばいようもちいる。
アルギニン・グリセロール・塩類えんるい寒天かんてん培地ばいち(AGS寒天かんてん培地ばいち
おも放線ほうせんきん選択せんたくおおもちいられる。
肉汁にくじゅう寒天かんてん培地ばいち
ベアードパーカー寒天かんてん培地ばいち
滅菌めっきんテルルさん卵黄らんおうえきくわえる。黄色おうしょくブドウ球菌きゅうきんとそのブドウ球菌きゅうきんいち鑑別かんべつもちいる。
NGKG(NaClグルシル・キム・ゴッファート)培地ばいち
セレウスきんいち鑑別かんべつもちいる。
加糖かとう肉汁にくじゅう寒天かんてん培地ばいち
コロイダルキチン-無機むきしお寒天かんてん培地ばいち
カニから由来ゆらいキチン(コロイダルキチン)をくわえた培地ばいち。キチンを加水かすい分解ぶんかいする酵素こうそであるキチナーゼさんせいするきん培養ばいようもちいる。
グリセリン-ツァペック寒天かんてん培地ばいち
酵母こうぼエキス-麦芽ばくがエキス寒天かんてん培地ばいち
ワックスマン寒天かんてん培地ばいち

きんよう寒天かんてん培地ばいち

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寒天かんてん培地ばいち (WA)
まった栄養分えいようぶんふくまない培地ばいち直接ちょくせつ接種せっしゅほうのための土台どだいや、分離ぶんり培地ばいちとしてもちいられる。
麦芽ばくがエキス寒天かんてん培地ばいち (MA)
ごく一般いっぱんてきに、さまざまなきん培養ばいよう使つかわれる。きん保存ほぞんようとしてもすぐれている。麦芽ばくがエキスをらして分離ぶんり培地ばいちとして使用しようすることもある。
魚肉ぎょにく寒天かんてん培地ばいち
バチルス・チューリンゲンシス(昆虫こんちゅう病原菌びょうげんきん)の培養ばいようもちいられる。
麦芽ばくが寒天かんてん培地ばいち
麦芽ばくがじる使つかった培地ばいち
ツァペック-ドックス寒天かんてん培地ばいち
YM寒天かんてん培地ばいち
斜面しゃめん培地ばいちおおもちいられる。酵母こうぼたんはなれこのんで使つかわれるが、基本きほんてきにはどの微生物びせいぶつにも対応たいおうできる。
バレイショ-ニンジン寒天かんてん培地ばいち (PCA)
同上どうじょう栄養分えいようぶんおおくないので分離ぶんり培地ばいちにも使用しようする
バレイショ-ブドウ糖ぶどうとう寒天かんてん培地ばいち (potato dextrose agar, PDA)
ごく一般いっぱんてききん培養ばいよう保存ほぞん使つかわれる。炭素たんそげん糖分とうぶん)を豊富ほうふふくむので菌糸きんし生育せいいくがよい。ブドウ糖ぶどうとうわりにショとうもちいたPSA培地ばいちもよく使つかわれる。
サブロー寒天かんてん培地ばいち
ブドウ糖ぶどうとう濃度のうどたかく (4%) きん増殖ぞうしょくてきする。サブローは考案こうあんしゃ (Sabouraud) の名前なまえ一般いっぱんきん分離ぶんり培養ばいようよう
コーンミール寒天かんてん培地ばいち
一般いっぱん菌類きんるい培養ばいよう保存ほぞん、あるいはあつまく胞子ほうし形成けいせいうながすために使つかわれる。また、カンジダぞく胞子ほうし形成けいせいてきし、とくにカンジダ・アルビカンス(あつまく胞子ほうしつくる)の鑑別かんべつよう
ツァペック寒天かんてん培地ばいち
合成ごうせい培地ばいちで、有機物ゆうきぶつはショとうのみ、無機むき塩類えんるいのみで構成こうせいされている。ビタミン要求ようきゅうせいのあるものにはてきさない。菌糸きんし成長せいちょうはあまりよくないが、形態けいたい観察かんさつにはむしろ便利べんりである。
YpSs寒天かんてん培地ばいち
でんぷんおよび酵母こうぼエキスを炭素たんそげん窒素ちっそげんとして含有がんゆうし、それにリンさんカリウムと硫酸りゅうさんマグネシウムとが添加てんかされている。下等かとう菌類きんるい培養ばいように。また、にせ菌類きんるいであるたまごきんミズカビ)の培養ばいようもちいる。
合成ごうせいムコール寒天かんてん培地ばいち (SMS)
ケカビるい純粋じゅんすい培養ばいよう同定どうていのために考案こうあんされた人工じんこう培地ばいち
MY20寒天かんてん培地ばいち
グルコースを20%ふくみ、コウジカビぞくなど糖分とうぶんたか環境かんきょう生育せいいくするこう稠性のカビの培養ばいようもちいる。
Gorodkowa寒天かんてん培地ばいち
胞子ほうし形成けいせい使つか培地ばいち
オレンジジュース寒天かんてん
柑橘類かんきつるい発生はっせいする菌類きんるい検査けんさもちいる。
V8ジュース寒天かんてん培地ばいち
キャンベル・スープ・カンパニーせい野菜やさいジュース「V8野菜やさいジュース」をもちいた培地ばいちエキビョウキン培養ばいようとくたまご胞子ほうし形成けいせいもちいる。

植物しょくぶつよう寒天かんてん培地ばいち

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ムラシゲ&スクーグ寒天かんてん培地ばいち(MS寒天かんてん培地ばいち
植物しょくぶつ組織そしき培養ばいよう、カルス培養ばいよう一般いっぱんてきもちいられる。

関連かんれん項目こうもく

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