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みず文学ぶんがく

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

みず文学ぶんがく(すいもんがく、英語えいご: hydrology)とは、地球ちきゅううえみず循環じゅんかんおも対象たいしょうとする地球ちきゅう科学かがくいち分野ぶんやであり[1]しゅとして、陸地りくちにおけるみずをその循環じゅんかん過程かていから、地域ちいきてきみずのありかた分布ぶんぷ移動いどうみず収支しゅうしとう主眼しゅがんをおいて研究けんきゅうする科学かがくである。みずぶん科学かがく英語えいご: hydrologic science)ともよぶ。

研究けんきゅう対象たいしょうは、みず供給きょうきゅうげんとしての降水こうすい地域ちいきてき時間じかんてき分布ぶんぷ特性とくせい蒸発じょうはつ浸透しんとうりくすい地下水ちかすい移動いどうとう中心ちゅうしんとなる。

定義ていぎ

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みず文学ぶんがく定義ていぎは、国際こくさい連合れんごう教育きょういく科学かがく文化ぶんか機関きかん(ユネスコ)によって国際こくさいすい文学ぶんがく10ねん計画けいかく(International Hydrological Decade: IHD)の発足ほっそく前年ぜんねんたる1964ねんに、つぎのようにさだめられた。

Hydrology is the science which deals with the waters of the earth, their occurrence, circulation and distribution on the planet, their physical and chemical properties and their interactions with the physical and biological environment, including their responses to human activity. Hydrology is a field which covers the entire history of the cycle of water on the earth.[2]
みず文学ぶんがくとは地球ちきゅうみずあつか科学かがく、その発生はっせい循環じゅんかん分布ぶんぷ、その物理ぶつりてきおよび化学かがくてき特性とくせい、またそれら特性とくせい人間にんげん活動かつどうへの反応はんのうふくめての物理ぶつりてきおよび生物せいぶつてき環境かんきょうとの相互そうご作用さようあつか科学かがくである。すなわちみず文学ぶんがく地球ちきゅうじょうみずのサイクルのすべての歴史れきしをカバーする分野ぶんやである[2]

研究けんきゅう分野ぶんや

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みず生命せいめい維持いじ不可欠ふかけつ物質ぶっしつであり、学問がくもん対象たいしょうとしてのみでなくみず資源しげんとしても重要じゅうようである。近年きんねんみず資源しげんみず環境かんきょう関連かんれんした世界せかい規模きぼ問題もんだい多数たすう発生はっせいしているが、それらに対応たいおうするためには、みず循環じゅんかんについて正確せいかくふか理解りかいもとめられる[3]

みず文学ぶんがく理学りがく工学こうがく農学のうがくなどの様々さまざま分野ぶんやにおいて研究けんきゅうおこなわれてきており、横断おうだんてき研究けんきゅう領域りょういきという側面そくめんをもつ。研究けんきゅう分野ぶんやは、みず循環じゅんかんかくもと過程かてい、すなわち浸透しんとう[4]流出りゅうしゅつ[よう曖昧あいまい回避かいひ][5]ふけ発散はっさん地下水ちかすい流動りゅうどう湖沼こしょうかわどう流出りゅうしゅつなどを対象たいしょうとするもの、これらのかくもと過程かていにおける水質すいしつあつかうもの、地球ちきゅう全体ぜんたいなどさらにひろ領域りょういきみず循環じゅんかん[6][7]堆積たいせき[8]対象たいしょうとするものなどがある。また、社会しゃかいとの接点せってんあつか部分ぶぶんもある。

関連かんれんする学問がくもんとしては、理学りがくにおいては気象きしょうがく[9]りくすいがく湖沼こしょうがく地球ちきゅう化学かがく[8]生物せいぶつがく[10][11]工学こうがくでは土木どぼく工学こうがくにおける河川かせん工学こうがく[12]みず理学りがく、また農学のうがくにおける砂防さぼうがく灌漑かんがい工学こうがく[12]土壌どじょう物理ぶつりがくなどがある。広義こうぎみず文学ぶんがくは、このような関連かんれんする学問がくもんをすべて内包ないほうした総合そうごうてき学際がくさい領域りょういきであるとかんがえる場合ばあいもある。

分野ぶんや

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生態せいたいすい文学ぶんがく英語えいごばん森林しんりんすい文学ぶんがく[13]

参考さんこう文献ぶんけん

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おも執筆しっぴつしゃじゅん

  • 風間かざま さとしみず文学ぶんがく』コロナしゃ土木どぼく環境かんきょうけいコアテキストシリーズ〉、2011ねん、2ぺーじISBN 978-4-339-05628-0 
  • 徳井とくい利信としのぶ十和田湖とわだこヒメマス研究けんきゅう(Ⅱ):気候きこうならびにみず文学ぶんがくてき要因よういん」『北海道ほっかいどうさけ・ますふじょう研究けんきゅう報告ほうこくだい14ごう、さけ・ます資源しげん管理かんりセンター、1959ねん 
  • もり 和紀かずのりみず文科ぶんかがく基礎きそ科学かがくとしてのみず文学ぶんがく」『日本にっぽんすい文科ぶんか学会がっかいだい47かんだい1ごう日本にっぽんすい文科ぶんか学会がっかい、2017ねん4がつ、17-21ぺーじdoi:10.4145/jahs.47.17 
博士はかせ論文ろんぶん
欧文おうぶん
  • Boone, Aaron、Wetzel, Peter J.「グリッドない土壌どじょう特性とくせい変動へんどうをモデルするための大気たいき気候きこうモデルようのシンプルなスキーム」『Journal of the Meteorological Society of Japan』だい77かん1B、Meteorogical Society of Japan、1999ねん3がつ26にち、317-333ぺーじNDLJP:10611626  インターネット公開こうかい
  • Isenko, Evgeny (2006). “Water levels and temperatures in moulins, and other hydrological observations at Bashkara Glacier in Caucasus, Russia, in September 2005”. Bulletin of glaciological research (日本にっぽん雪氷せっぴょう学会がっかい !date= 2006-01) 23. ISSN 1884-8044. NDLJP:8958476.  インターネット公開こうかい仮題かだい「2005ねん9がつコーカサス(ロシア)にあるバシュカラ氷河ひょうがにおけるムーランの水位すいい水温すいおんそのみずぶん観測かんそく
  • Peña, Humberto; Escobar, Fernando (1987-03). “Aspects of glacial hydrology in Patagonia”. Bulletin of glacier research (日本にっぽん雪氷せっぴょう学会がっかい) 4. ISSN 1884-8044.  インターネット公開こうかいNDLJP:8958206仮題かだい「パタゴニアにおける氷河ひょうがすい文学ぶんがく要素ようそ

関連かんれん資料しりょう

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発行はっこうねんじゅん

  • みず文学ぶんがく研究けんきゅう報告ほうこく筑波大学つくばだいがく地球ちきゅう科学かがくけい すい文学ぶんがく分野ぶんや、1976ねん-。1〜3ごう:「筑波つくば研究けんきゅう学園がくえん都市とし付近ふきんみずぶん資料集しりょうしゅう」、4ごう以降いこう休刊きゅうかん
  • かやいさむ気候きこうがくみず文学ぶんがくのあいだで」東京教育大学とうきょうきょういくだいがく理学部りがくぶ地理ちりがく教室きょうしつ へん東京教育大学とうきょうきょういくだいがく地理ちりがく研究けんきゅう報告ほうこくだい21ごう東京教育大学とうきょうきょういくだいがく理学部りがくぶ、1977ねん、61-66ぺーじ(コマ番号ばんごう0035.jp2)、国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション、館内たてうち利用りよう図書館としょかん送信そうしん参加さんかかん個人こじん送信そうしん限定げんていdoi:10.11501/2247471
  • 学術がくじゅつ『长江流域りゅういき资源あずか环境』中国ちゅうごく、1992ねん-、ISSN 1004-8227(『長江ちょうこう流域りゅういき資源しげんあずか環境かんきょう』)。中国ちゅうごく湖北こほくしょう:《長江ちょうこう流域りゅういき資源しげんあずか環境かんきょう編輯へんしゅう国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん書誌しょしID:110978984564569国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション、館内たてうち利用りよう
  • 新藤しんどう静夫しずお千葉大学ちばだいがく)「みず文学ぶんがく立場たちばからとらえた地下水ちかすい汚染おせんとき空間くうかんてき特性とくせい」『滋賀しがけん琵琶湖びわこ研究所けんきゅうじょしょほうだい8ごう滋賀しがけん琵琶湖びわこ研究所けんきゅうじょ、1990ねん、26~43ぺーじ(コマ番号ばんごう0015.jp2)。国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション、館内たてうち利用りよう図書館としょかん送信そうしん参加さんかかん個人こじん送信そうしん限定げんていdoi:10.11501/3204944
  • 辻村つじむら真貴まきみず文学ぶんがくなにをめざすか」『地理ちりだい40かんだい1ごう古今ここん書院しょいん、1995ねん、29~33ぺーじ(コマ番号ばんごう0016.jp2)。国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション、館内たてうち利用りようdoi:10.11501/7893647
  • 佐竹さたけ ひろし東田ひがしだ もりよし沖縄おきなわけん八重山やえやま地方ちほう降水こうすいおよび地下水ちかすい同位どういたい組成そせいみず文学ぶんがくてき特徴とくちょう」『用水ようすい廃水はいすいだい39かんだい9ごう産業さんぎょう用水ようすい調査ちょうさかい、1997ねん、857~863ぺーじ(コマ番号ばんごう0055.jp2)。国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション、館内たてうち利用りようべつだい「Isotope Hydrology of Precipitations and Groundwaters on Yaeyama Region in Okinawa Prefecture」
  • W・ブルッツアート(Brutsaert, Wilfried)、杉田すぎた倫明みちあき やくみず文学ぶんがく筑波大学つくばだいがくすいぶん科学かがく研究けんきゅうしつ 監訳かんやく共立きょうりつ出版しゅっぱん、2008ねん5がつISBN 9784320047013[14]原題げんだいHydrology:an introduction』、ケンブリッジ大学けんぶりっじだいがく出版しゅっぱんきょく初版しょはん2005ねん
  • 杉田すぎた倫明みちあき田中たなかただし 編著へんちょだい1しょう みずぶん科学かがくとは」『みずぶん科学かがく筑波大学つくばだいがくすいぶん科学かがく研究けんきゅうしつ共立きょうりつ出版しゅっぱん、2009ねんISBN 9784320047044べつだい『Hydrologic science』。
    • 1.1「みず循環じゅんかん概念がいねん」1ぺーじ-。
    • 1.2「みず文学ぶんがくからみず文科ぶんかがくへ」5ぺーじ-。

出典しゅってん

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  1. ^ もり 2017, pp. 17–21
  2. ^ a b 風間かざま 2011, p. 2
  3. ^ 筑波大学つくばだいがくすいぶん科学かがく分野ぶんや: みずぶん科学かがくとは?”. www.geoenv.tsukuba.ac.jp. 筑波大学つくばだいがく. 2017ねん7がつ15にち閲覧えつらん
  4. ^ 岩井いわい 1998, pp. 18-, 20-, 25-, 「2-2 透水とうすいせい舗装ほそう構造こうぞう効用こうよう」、「2-3 透水とうすいせい舗装ほそうみず理学りがくてき特性とくせいおよびみず文学ぶんがくてき特性とくせい」、「2-4 透水とうすいせい舗装ほそうねつ環境かんきょう改善かいぜんたいする寄与きよ効果こうか
  5. ^ 岸井きしい 1993, pp. 9-, 24-, 38-, 「うら白川しらかわ流出りゅうしゅつ試験しけん」、「九州きゅうしゅう火山灰かざんばい地帯ちたい火山灰かざんばい地帯ちたい」、「基礎きそてき実験じっけん観測かんそく
  6. ^ Peña, Escobar 1987, "Aspects of glacial hydrology in Patagonia"
  7. ^ Isenko 2006, "Water levels and temperatures in moulins, and other hydrological observations at Bashkara Glacier in Caucasus, Russia, in September 2005 "
  8. ^ a b 金井かない 2000, pp. 83, 249-, 261-, 「新潟にいがたけん中束なかまるけ地区ちくにおけるウランのみず文学ぶんがくてき地球ちきゅう化学かがくてき研究けんきゅう」「岐阜ぎふけんひがし地域ちいきにおけるウラン系列けいれつ核種かくしゅ挙動きょどうとナチュラルアナログとしての有用ゆうようせい
  9. ^ Boone, Wetzel 1999, pp. 317–333
  10. ^ 徳井とくい 1959
  11. ^ 新山しんやま 1992, pp. 34, 46, 47, 「河畔かはんせいヤナギ植物しょくぶつ分布ぶんぷ生活せいかつたね共存きょうぞん
  12. ^ a b 1995, pp. 6, 7, 「Ostiakovしきおよ潅漑かんがい工学こうがくでの展開てんかい
  13. ^ 生態せいたいすい文学ぶんがく研究所けんきゅうじょ”. 生態せいたいすい文学ぶんがく研究所けんきゅうじょ (2023ねん8がつ25にち). 2023ねん11月4にち閲覧えつらん
  14. ^ 松島まつしま だい「『みず文学ぶんがく』, W.ブルッツアートちょ, 杉田すぎた倫明みちあきやく, 筑波大学つくばだいがくすいぶん科学かがく研究けんきゅうしつ監訳かんやく, 共立きょうりつ出版しゅっぱん, 2008ねん5がつ, 502ぺーじ, 9,000えん(本体ほんたい価格かかく), ISBN 978-4-320-04701-3」『天気てんきだい55かんだい10ごう、843ぺーじNDLJP:10607746  インターネット公開こうかい

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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