地域ちいき多様たよう性せい

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地域ちいき多様たよう性せい（ちいきたようせい、英語えいご：Regional diversity）は、地域ちいきの多様たよう性せいを示しめす概念がいねん。

概要がいよう[編集へんしゅう]

地域ちいき多様たよう性せいという語かたりは世界せかい各地かくちで用もちいられているが、概念がいねんとしての整理せいり・浸透しんとうは進すすんでいない。日本にっぽんでは後述こうじゅつのように地理ちり学がく界さかいが世界せかいの持続じぞく的てき発展はってんを意識いしきして概念がいねん提起ていきし、その後ご、概念がいねんとしての深化しんかが進すすめられている。また、環境かんきょう学がくや防災ぼうさい・減げん災わざわい、観光かんこう、文化ぶんか、教育きょういく、国土こくど政策せいさくなど幅広はばひろい分野ぶんやで用もちいられている。

用語ようごの履歴りれき[編集へんしゅう]

ここでは、日本にっぽんにおける動向どうこうを記しるす。

  • 2006年ねん - 地理ちり学者がくしゃの戸と所しょ隆たかしが、地域ちいきと文化ぶんか芸術げいじゅつ活動かつどうの関係かんけいを論ろんじる中なかで地域ちいき多様たよう性せいに触ふれる[2]。
  • 2010年ねん4月がつ - 日本にっぽん学術がくじゅつ会議かいぎの環境かんきょう学がく委員いいん会かいによる「環境かんきょう学がく分野ぶんやの展望てんぼう―持続じぞく可能かのうな社会しゃかいに向むけた国土こくど・地球ちきゅう環境かんきょう形成けいせいに対たいする環境かんきょう学がくからの提案ていあん―」において、「社会しゃかいの持続じぞく性せい」に向むけた「地域ちいき多様たよう性せいマネジメント」、地球ちきゅう公共こうきょう財ざいの特質とくしつとしての「地域ちいき多様たよう性せい」などの考かんがえ方かたが示しめされる[3]。
  • 2010年ねん9月がつ - ICHARM（水みず災害さいがい・リスクマネジメント国際こくさいセンター）と国際連合大学こくさいれんごうだいがくが、シンポジウム「洪水こうずい ～地域ちいき多様たよう性せいを有ゆうする世界せかい的てき問題もんだい～」を開催かいさい[4]。
  • 2010年ねん10月がつ - 地理ちり学者がくしゃの河本かわもと大地だいちが、地域ちいき多様たよう性せいと生物せいぶつ多様たよう性せいの関かかわりを論ろんじる[5]。
  • 2011年ねん12月 - 河本かわもと大地だいちが、ジオツーリズムや地域ちいきづくりとの関係かんけいを中心ちゅうしんに地域ちいき多様たよう性せいの概念がいねんを整理せいり[7]。
  • 2014年ねん7月がつ - 国土こくど交通省こうつうしょうの発表はっぴょうした「国土こくどのグランドデザイン2050」において、「各かく地域ちいきが『多様たよう性せい』を再さい構築こうちくし、自みずからの資源しげんに磨みがきをかける」こと、「複数ふくすうの地域ちいき間あいだの『連携れんけい』により、人ひと・モノ・情報じょうほうの交流こうりゅうを促進そくしん」することが掲かかげられる[9]。
  • 2016年ねん12月 - 小林こばやし哲あきらが『地域ちいきブランディングの論理ろんり―食しょく文化ぶんか資源しげんを活用かつようした地域ちいき多様たよう性せいの創出そうしゅつ』を出版しゅっぱん[10]。

活用かつよう実例じつれい[編集へんしゅう]

世界せかい遺産いさんでは、先さきに登録とうろくされた遺産いさんに類似るいじした別べつの遺産いさんは追従ついしょう登録とうろくが難むずかしいとされるが[11]、例たとえばヨーロッパではキリスト教きりすときょうの教会きょうかいが多数たすう登録とうろくされており「Cathedral Syndrome（聖堂せいどう症候群しょうこうぐん）」と揶揄やゆされる[12]。これは宗派しゅうはや時代じだい背景はいけいによる建築けんちく様式ようしきの違ちがいのみならず、民族みんぞくの嗜好しこうや国くにそして各かく地域ちいきの風土ふうどの違ちがいなどが意匠いしょうに差さをもたらし、そのわずかな違ちがいをユネスコが精査せいさ・顕彰けんしょうしているとされ、これが地域ちいき多様たよう性せいの主旨しゅしを反映はんえいしている[13]。

また、都市とし景観けいかんやアーバンデザイン（ランドスケープ・アーバニズム）にも関与かんよするユネスコは、画一かくいつ的てきな都市とし計画けいかくやまちづくりは一種いっしゅの都市とし環境かんきょう破壊はかいであり、精神せいしん衛生えいせい上うえでも人間にんげん居住きょじゅう科学かがくに反はんするものであると批判ひはんし、文化ぶんか的てき健全けんぜん性せいや文化ぶんか的てき自由じゆうの確保かくほのためにも、ニューアーバンアジェンダなどで多様たよう性せいのある地域ちいき景観けいかんの形成けいせいを呼よび掛かけている。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 早稲田大学わせだだいがくのサイト上じょうでの紹介しょうかい
  2. ^ 戸と所しょ 隆たかし（2006）：文化ぶんか資源しげんを活いかした創造そうぞう的てき地域ちいき多様たよう性せい社会しゃかいの構築こうちく. 文化ぶんか経済けいざい学がく, 5(2), pp.7-11.
  3. ^ 日本にっぽん学術がくじゅつ会議かいぎ環境かんきょう学がく委員いいん会かい「環境かんきょう学がく分野ぶんやの展望てんぼう―持続じぞく可能かのうな社会しゃかいに向むけた国土こくど・地球ちきゅう環境かんきょう形成けいせいに対たいする環境かんきょう学がくからの提案ていあん―」
  4. ^ ICHARMのサイト上じょうでの紹介しょうかい
  5. ^ 河本かわもと大地だいち（2010）：「地域ちいき多様たよう性せい」と生物せいぶつ多様たよう性せい―地理ちり的てきなものの見方みかた・考かんがえ方かたはここでも役立やくだつ―. 地理ちり, 55(10), pp.55-61.
  6. ^ 志村しむら 喬たかし（2011）：地域ちいき多様たよう性せいをふまえ持続じぞく可能かのうな空間くうかん環境かんきょうを実現じつげんする地理ちり教育きょういく―イギリスにおけるESD地理ちり教育きょういくから―. 社会しゃかい科か教育きょういく研究けんきゅう, 113, pp.9-20.
  7. ^ 河本かわもと大地だいち（2011）：ジオツーリズムと地理ちり学がく発はつ「地域ちいき多様たよう性せい」概念がいねん. 地学ちがく雑誌ざっし, 120(5), pp.775-785.
  8. ^ 河本かわもと大地だいち（2014）：「都市とし農村のうそん交流こうりゅう」を中心ちゅうしんとしてきた日本にっぽんのグリーンツーリズムの課題かだいとあり方かた―農村のうそん地域ちいきの未来みらい可能かのう性せいを高たかめるために―. 神戸こうべ夙川しゅくがわ学院がくいん大学だいがく観光かんこう文化ぶんか学部がくぶ紀要きよう (5), pp.64-72.
  9. ^ 国土こくど交通こうつう省しょう「国土こくどのグランドデザイン2050～対流たいりゅう促進そくしん型がた国土こくどの形成けいせい～」
  10. ^ 小林こばやし哲あきら 『地域ちいきブランディングの論理ろんり―食しょく文化ぶんか資源しげんを活用かつようした地域ちいき多様たよう性せいの創出そうしゅつ』有斐閣ゆうひかく 2016 ISBN 978-4641164802
  11. ^ 外務省がいむしょう「わかる！国際こくさい情勢じょうせいvol.33 ユネスコ（UNESCO）～人類じんるい共通きょうつうの遺産いさんを守まもるために」
  12. ^ How to make a world heritage site Raidió Teilifís Éireann 2018.6.25
  13. ^ Calligaro, Oriane (2014). From ‘European cultural heritage' to ‘cultural diversity'? The changing core values of European cultural policy. Politique européenne. ISBN 9782343052205. ISSN 1623-6297. 

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