砂漠さばく

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ナミビアナミブ砂漠さばく

砂漠さばく(さばくか)とは、もともと植生しょくせいおおわれた土地とちが、不毛ふもうになっていく現象げんしょうをいう。 また、ここでいう砂漠さばくは「植物しょくぶつ生育せいいく農業のうぎょうてきさない土地とち」といった意味いみつよく、かならずしも乾燥かんそうした地域ちいき意味いみする砂漠さばく気候きこうの「砂漠さばく」を意味いみしない。

いちれいとして、あめ極端きょくたんおおいために表面ひょうめん土壌どじょうながされて植物しょくぶつそだたなくなったり、適度てきどあめや灌水、移流いりゅうきりなどの水分すいぶん供給きょうきゅうがあっても流砂りゅうしゃ低温ていおん塩化えんかにより砂漠さばくしてしまうことがある。

乾燥かんそうたい移動いどうなど気候きこう変化へんかによる自然しぜん現象げんしょうとしての砂漠さばくもあるが、人為じんいてきかつだい規模きぼ農耕のうこうすえ砂漠さばくしてしまった地域ちいきは、気候きこう変化へんか土壌どじょう流出りゅうしゅつなど地表ちひょう構造こうぞうくずれることから、植生しょくせい復活ふっかつ困難こんなんになるれいおおい。

砂漠さばくした土地とちみどり植生しょくせいもど活動かつどう緑化りょくかという。またもともと砂漠さばくであった土地とち緑化りょくか砂漠さばく緑化りょくかという。ただし、砂漠さばく緑化りょくか失敗しっぱいして砂漠さばくとは、通常つうじょうばない。

砂漠さばくおも種類しゅるい[編集へんしゅう]

縮小しゅくしょうするチャド1960年代ねんだいから2000ねんにかけて、みずうみ面積めんせきの94%がうしなわれた。

砂漠さばく過程かてい砂漠さばく進行しんこうしている地域ちいきによってそれぞれことなるが、おもなものとして土壌どじょう流出りゅうしゅつ塩性えんせいすながある。

土壌どじょう流出りゅうしゅつ
有機物ゆうきぶつなどの養分ようぶんふく農作物のうさくもつそだつことのできる土壌どじょうあめ洪水こうずいなどにより流出りゅうしゅつすること。風化ふうかすすんでいない基盤きばん露出ろしゅつ保水ほすいせいうしなわれる。インド中東ちゅうとう黄土おうど高原こうげんなどでられる。また、雨量うりょうおお地域ちいきでの焼畑やきばた農業のうぎょうなども、保水ほすい植生しょくせいうしなわれるために同様どうよう過程かている。
塩性えんせい
土壌どじょうちゅうにおける塩類えんるい濃度のうど上昇じょうしょうし、植物しょくぶつ育成いくせいできなくなること。
塩類えんるいふくみず土壌どじょうから外部がいぶ流出りゅうしゅつするりょうよりも蒸散じょうさんりょうのほうがおお場合ばあい塩類えんるい地表ちひょうへの上昇じょうしょうによって発生はっせいする。塩類えんるいきゃくすい灌漑かんがいでもたらされる場合ばあいと、もともとの塩類えんるい土壌どじょう表面ひょうめんからみずだけが蒸散じょうさんすることにより深部しんぶからのぼってくる場合ばあいとがあるが、いずれも土壌どじょう表層ひょうそう塩類えんるい滞留たいりゅう塩類えんるい集積しゅうせき)してしまう。
塩類えんるい集積しゅうせき進行しんこうした地面じめんはコンクリートにちか性質せいしつつため農作業のうさぎょうにも困難こんなんをきたす。そのためしばしば耕作こうさく放牧ほうぼく土地とち利用りようそのものが放棄ほうきされることがある。アラル海あらるかい周辺しゅうへんなど中央ちゅうおうアジアのステップ開発かいはつ地帯ちたいのいくつかでられる。
流砂りゅうしゃすな
周辺しゅうへんにあった砂丘さきゅうから砂漠さばくではない地域ちいきすなながみ、表土ひょうどおおってしまって砂漠さばく一部いちぶとしてしまうこと。この場合ばあい表層ひょうそうすな除去じょきょすることで再生さいせい比較的ひかくてき容易よういであるので、防砂ぼうさおも対策たいさくとなる。オーストラリア顕著けんちょだが研究けんきゅうすすんでいる。
自転じてんじく移動いどう
サハラ砂漠さはらさばく場合ばあい、かつてはみどりあふれる土地とちだったが、およそ2まん5,800ねん周期しゅうき発生はっせいする地球ちきゅうとし運動うんどうにより地軸ちじく回転かいてんし、5,000ねんまえ降雨こうう地域ちいきみなみ移動いどうしたことによりサハラが乾燥かんそうはじめたことが原因げんいんとされる[1]

砂漠さばくした地域ちいきとその原因げんいん[編集へんしゅう]

世界せかい砂漠さばく危険きけんマップ

中東ちゅうとうとくメソポタミア現在げんざいイラク)は、農業のうぎょうはじめられた最初さいしょ文明ぶんめいきた地域ちいきといわれている。ここはみどりゆたかで土壌どじょうえていたが、過度かど農業のうぎょう活動かつどうにより土壌どじょうかわいていったことと、かわ上流じょうりゅうにあった森林しんりん伐採ばっさいによって上流じょうりゅうったあめ一気いっきかわながむことにより洪水こうずい発生はっせいし、下流かりゅう表土ひょうどながった。また、灌漑かんがいによって表土ひょうど塩性えんせいまねいた。さらには上流じょうりゅうからアルカリ性あるかりせい土砂どしゃながみ、植物しょくぶつ成育せいいくかなくなった。

同様どうようのプロセスはエジプトインダスかわ流域りゅういきでもきている。インダスかわ流域りゅういき発達はったつしたインダス文明ぶんめいは、メソポタミア文明ぶんめい(シュメール)との交流こうりゅうつよく、同様どうよう農業のうぎょう活動かつどうおこなったとおもわれる。森林しんりん煉瓦れんがつくるために伐採ばっさいされた。

農耕のうこう地帯ちたいではしばしば土壌どじょう維持いじ再生さいせいりょく無視むししただい規模きぼ農地のうち開発かいはつおこなわれ、結果けっかてきに「砂漠さばく」をまねいたれいがある。

モザンビークの砂漠さばくは、砂嵐すなあらしなどによる砂丘さきゅうでのすな移動いどうによって悪化あっかしており、環境かんきょうじょう特徴とくちょうや、地球ちきゅう温暖おんだんふく気候きこう変動へんどうなど、複数ふくすう要因よういんによって砂漠さばく加速かそくしている[2]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 世界せかい最大さいだい砂漠さばくである「サハラ砂漠さはらさばく」はかつてみどりにあふれていた”. GIGAZINE (2019ねん9がつ3にち). 2021ねん3がつ16にち閲覧えつらん
  2. ^ 深刻しんこくする環境かんきょう問題もんだいえるモーリタニア |”. GNV. 2020ねん1がつ3にち閲覧えつらん
  3. ^ アフリカの巨大きょだいみどりかべサハラ砂漠さはらさばく拡大かくだい防止ぼうしけて”. GNV (2017ねん4がつ13にち). 2021ねん3がつ29にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]