典型 てんけい 的 てき な原核 げんかく 細菌 さいきん の構造 こうぞう
原核 げんかく 生物 せいぶつ (げんかくせいぶつ、英 えい : prokaryote, or procaryote [ 1] )は、核 かく や他 た の膜 まく 結合 けつごう 細胞 さいぼう 小 しょう 器官 きかん を持 も たない単細胞 たんさいぼう 生物 せいぶつ である[ 2] 。原核 げんかく 生物 せいぶつ という用語 ようご は、古代 こだい ギリシア語 ご の πρό (pró)「前 まえ 」と κάρυον (káruon)「仁 ひとし 、核 かく 」に由来 ゆらい する[ 3] [ 4] 。エドゥアール・シャットン の研究 けんきゅう に基 もと づく2帝 みかど 系 けい (英語 えいご 版 ばん ) では、原核 げんかく 生物 せいぶつ は原核 げんかく 生物 せいぶつ 帝 みかど (Prokaryota )に分類 ぶんるい されていた[ 5] 。しかし、分子 ぶんし 的 てき 分析 ぶんせき に基 もと づく3ドメイン系 けい (英語 えいご 版 ばん ) では、原核 げんかく 生物 せいぶつ は 細菌 さいきん (Bacteria 、旧 きゅう : Eubacteria )と古 こ 細菌 さいきん (Archaea 、旧 きゅう : Archaebacteria )の2つのドメイン に分 わ けられる。細胞 さいぼう 核 かく (核 かく )を持 も つ生物 せいぶつ は、第 だい 3のドメインである真 ま 核 かく 生物 せいぶつ (Eukaryota or Eucarya )に位置 いち づけられる[ 6] 。
原核 げんかく 生物 せいぶつ は真 ま 核 かく 生物 せいぶつ よりも先 さき に進化 しんか し、真 ま 核 かく 細胞 さいぼう を特徴 とくちょう づける核 かく 、ミトコンドリア 、その他 た の明確 めいかく な細胞 さいぼう 小 しょう 器官 きかん のほとんどを持 も たない。かつては、原核 げんかく 生物 せいぶつ の細胞 さいぼう 質 しつ 内 うち に細胞 さいぼう 構成 こうせい 要素 ようそ は存在 そんざい しないと考 かんが えられていたが(細胞 さいぼう 外 がい 膜 まく を除 のぞ いて)、タンパク質 たんぱくしつ の殻 から (例 れい :エンカプスリン・タンパク質 しつ ケージ (英語 えいご 版 ばん ) )に囲 かこ まれた準 じゅん 細胞 さいぼう 小 しょう 器官 きかん と考 かんが えられる細菌 さいきん 微小 びしょう 区画 くかく (英語 えいご 版 ばん ) が[ 7] [ 8] 、他 た の原核 げんかく 生物 せいぶつ の細胞 さいぼう 小 しょう 器官 きかん とともに発見 はっけん された[ 9] 。シアノバクテリア のような一部 いちぶ の原核 げんかく 生物 せいぶつ は、単細胞 たんさいぼう である一方 いっぽう で、バイオフィルム によってまとまったコロニー を形成 けいせい することがあり、大 おお きなコロニーでは多層 たそう の微生物 びせいぶつ マット を形成 けいせい することがある。粘液 ねんえき 細菌 さいきん のように、生活 せいかつ 環 たまき に多 た 細胞 さいぼう の段階 だんかい を含 ふく むものもある[ 10] 。原核 げんかく 生物 せいぶつ は無性 むしょう 生殖 せいしょく を行 おこな い、配偶 はいぐう 子 こ の融合 ゆうごう を伴 ともな わない二 に 分裂 ぶんれつ によって生殖 せいしょく するが、遺伝子 いでんし の水平 すいへい 伝播 でんぱ は起 お こりうる。
分子 ぶんし 的 てき 研究 けんきゅう (英語 えいご 版 ばん ) は、生命 せいめい の3ドメインの進化 しんか と相互 そうご 関係 かんけい について洞察 どうさつ を与 あた えてきた[ 11] 。原核 げんかく 生物 せいぶつ と真 ま 核 かく 生物 せいぶつ の区別 くべつ は、2つの大 おお きく異 こと なるレベルの細胞 さいぼう 組織 そしき の存在 そんざい を反映 はんえい している。染色 せんしょく 体 たい DNA を含 ふく む皮膜 ひまく を持 も つ核 かく と、ミトコンドリアなど他 た の特徴 とくちょう 的 てき な膜 まく 結合 けつごう 細胞 さいぼう 小 しょう 器官 きかん を持 も つのは真 ま 核 かく 細胞 さいぼう だけである。原核 げんかく 生物 せいぶつ の特徴 とくちょう 的 てき な種 たね には、好 こう 極限 きょくげん 性 せい 細菌 さいきん やメタン菌 きん があり、これらはいくつかの極限 きょくげん 環境 かんきょう でよく見 み られる[ 2] 。
原核 げんかく 生物 せいぶつ と真 ま 核 かく 生物 せいぶつ の区別 くべつ は、微生物 びせいぶつ 学者 がくしゃ のロジャー・スタニエ (英語 えいご 版 ばん ) とC・B・ヴァン・ニール が1962年 ねん に発表 はっぴょう した論文 ろんぶん 『The concept of a bacterium (細菌 さいきん の概念 がいねん )』[ 12] で確立 かくりつ された(ただし、原核 げんかく 生物 せいぶつ はprocaryote、真 ま 核 かく 生物 せいぶつ はeucaryoteと表記 ひょうき された)。この論文 ろんぶん では、1937年 ねん のエドゥアール・シャットン の著書 ちょしょ 『Titres et Travaux Scientifiques 』[ 13] を引用 いんよう してこれらの用語 ようご を使用 しよう し、区別 くべつ を認 みと めている。このような分類 ぶんるい をした理由 りゆう の一 ひと つは、当時 とうじ はよく藍 あい 藻類 そうるい (らんそうるい、英 えい : blue-green algae )と呼 よ んでいたもの(現在 げんざい のシアノバクテリア )を植物 しょくぶつ として分類 ぶんるい せず、細菌 さいきん と合 あ わせたグループにするためであった。
原核 げんかく 生物 せいぶつ の細胞 さいぼう 骨格 こっかく は、真 ま 核 かく 生物 せいぶつ のそれよりも原始 げんし 的 てき である。アクチン とチューブリン の相 あい 同体 どうたい (MreB (英語 えいご 版 ばん ) とFtsZ )の他 ほか に、鞭 むち 毛 げ (べんもう)を構成 こうせい するらせん状 じょう に配列 はいれつ したフラジェリン は、細菌 さいきん の基本 きほん 的 てき な細胞 さいぼう 生理 せいり 反応 はんのう である走 はし 化 か 性 せい の構造 こうぞう 的 てき 基礎 きそ を提供 ていきょう することから、細菌 さいきん で最 もっと も重要 じゅうよう な細胞 さいぼう 骨格 こっかく タンパク質 たんぱくしつ の一 ひと つである。少 すく なくとも一部 いちぶ の原核 げんかく 生物 せいぶつ はまた、原始 げんし 的 てき な細胞 さいぼう 小 しょう 器官 きかん と見 み なせる細胞 さいぼう 内 ない 構造 こうぞう 体 たい を含 ふく んでいる。
膜 まく 系 けい 細胞 さいぼう 小 しょう 器官 きかん (細胞 さいぼう 内 ない 膜 まく )は、光合成 こうごうせい や化学 かがく 無機 むき 栄養 えいよう (英語 えいご 版 ばん ) などの特殊 とくしゅ な代謝 たいしゃ 特性 とくせい に特 とく 化 か した液 えき 胞や膜 まく 系 けい など、いくつかの原核 げんかく 生物 せいぶつ のグループで知 し られている。さらに、いくつかの種 たね には、特定 とくてい の生理 せいり 的 てき 役割 やくわり を担 にな う炭水化物 たんすいかぶつ に包 つつ まれた微小 びしょう 区画 くかく が存在 そんざい する(たとえば、カルボキシソーム やガス空 そら 胞)。
原核 げんかく 生物 せいぶつ と他 た の生物 せいぶつ や化合 かごう 物 ぶつ の大 おお きさの比較 ひかく ほとんどの原核 げんかく 生物 せいぶつ の大 おお きさは1 µm-10 µmであるが、0.2 µm(マイコプラズマ・ジェニタリウム )から750 µm(チオマルガリータ・ナミビエンシス (英語 えいご 版 ばん ) )までさまざまである。
原核 げんかく 細胞 さいぼう はさまざまな形状 けいじょう をしている。細菌 さいきん の基本 きほん 的 てき な形 かたち は、次 つぎ の4つである[ 14] 。
球菌 きゅうきん - 球形 きゅうけい または卵 たまご 形 がた の細菌 さいきん は球菌 きゅうきん (複 ふく : cocci、単 たん : coccus)と呼 よ ばれる。たとえば、連鎖 れんさ 球菌 きゅうきん 、ブドウ球菌 きゅうきん 。
桿菌 かんきん - 円筒 えんとう 状 じょう の細菌 さいきん は桿菌 かんきん (かんきん、複 ふく : bacilli、単 たん : rod, or bacillus)と呼 よ ばれる。
らせん状 じょう 細菌 さいきん (英語 えいご 版 ばん ) - 桿菌 かんきん の中 なか にはらせん状 じょう にねじれたものがあり、スピリラ(複 ふく : spirilla、単 たん : spirillum)とも呼 よ ばれる。
ビブリオ - 巴 ともえ (ともえ)形 かたち 、コンマ型 がた のもの。
古 こ 細菌 さいきん のハロクアドラトゥム属 ぞく (英語 えいご 版 ばん ) は、平 たい らな四角形 しかっけい の細胞 さいぼう である[ 15] 。
細菌 さいきん と古 こ 細菌 さいきん は無性 むしょう 生殖 せいしょく を行 おこな い、通常 つうじょう は二 に 分裂 ぶんれつ によって生殖 せいしょく する。それでも遺伝子 いでんし 交換 こうかん や組 く み換 か え は起 お こるが、これは遺伝子 いでんし の水平 すいへい 伝播 でんぱ の一 いち 形態 けいたい であって複製 ふくせい 過程 かてい ではなく、単 たん に細菌 さいきん 接合 せつごう (英語 えいご 版 ばん ) のように2つの細胞 さいぼう 間 あいだ でDNA転移 てんい を伴 ともな うだけである。
原核 げんかく 細胞 さいぼう 間 あいだ のDNA転移 てんい は細菌 さいきん と古 こ 細菌 さいきん で起 お こるが、主 おも に細菌 さいきん で研究 けんきゅう されてきた。細菌 さいきん では、遺伝子 いでんし 転移 てんい は3つの過程 かてい で起 お こる。すなわち(1)細菌 さいきん ウイルス(バクテリオファージ )を介 かい した形質 けいしつ 導入 どうにゅう 、(2)プラスミド を介 かい した接合 せつごう (英語 えいご 版 ばん ) 、(3)自然 しぜん 形質 けいしつ 転換 てんかん である。バクテリオファージによる細菌 さいきん 遺伝子 いでんし の形質 けいしつ 導入 どうにゅう は、宿主 しゅくしゅ 細菌 さいきん の適応 てきおう というよりも、ウイルス 粒子 りゅうし の細胞 さいぼう 内 ない 集合 しゅうごう の際 さい の偶発 ぐうはつ 的 てき な誤 あやま りを反映 はんえい しているようである。細菌 さいきん DNAの転移 てんい は、(細菌 さいきん 遺伝子 いでんし ではなく)バクテリオファージの遺伝子 いでんし の制御 せいぎょ 下 か にある。よく研究 けんきゅう されている大腸菌 だいちょうきん (Escherichia coli )系 けい における接合 せつごう はプラスミド遺伝子 いでんし によって制御 せいぎょ されており、ある細菌 さいきん 宿主 しゅくしゅ から別 べつ の宿主 しゅくしゅ にプラスミドの複製 ふくせい を分配 ぶんぱい するための適応 てきおう である。この過程 かてい でまれに、プラスミドが宿主 しゅくしゅ 細菌 さいきん の染色 せんしょく 体 たい に組 く み込 こ まれ、その後 ご 、宿主 しゅくしゅ 細菌 さいきん のDNAの一部 いちぶ が別 べつ の細菌 さいきん に転移 てんい することがある。プラスミドを介 かい した宿主 しゅくしゅ 細菌 さいきん のDNA転移 てんい (接合 せつごう )もまた、細菌 さいきん 適応 てきおう というよりは、偶発 ぐうはつ 的 てき な過程 かてい のようである。
自然 しぜん な細菌 さいきん 性 せい 形質 けいしつ 転換 てんかん は、培地 ばいち を介 かい したある細菌 さいきん から別 べつ の細菌 さいきん へのDNA転移 てんい を伴 ともな う。形質 けいしつ 転換 てんかん は、複雑 ふくざつ な過程 かてい を実行 じっこう するために特異 とくい 的 てき に相互 そうご 作用 さよう する多 おお くの細菌 さいきん 遺伝子 いでんし 産物 さんぶつ に依存 いぞん するため、導入 どうにゅう や接合 せつごう とは異 こと なり、DNA転移 てんい を伴 ともな う細菌 さいきん 適応 てきおう であることは明 あき らかである[ 16] 。細菌 さいきん がドナーDNAを自身 じしん の染色 せんしょく 体 たい に結合 けつごう し、取 と り入 い れ、組 く み換 か えるには、まずコンピテンス と呼 よ ばれる特別 とくべつ な生理学 せいりがく 的 てき 状態 じょうたい になる必要 ひつよう がある。枯草 かれくさ 菌 きん (Bacillus subtilis )ではコンピテンスの発現 はつげん に約 やく 40個 こ の遺伝子 いでんし が必要 ひつよう とされる[ 17] 。枯草 かれくさ 菌 きん の形質 けいしつ 転換 てんかん の際 さい に転移 てんい するDNAの長 なが さは、染色 せんしょく 体 たい 全体 ぜんたい の3分 ぶん の1に及 およ ぶことがある[ 18] [ 19] 。形質 けいしつ 転換 てんかん はDNA転移 てんい の一般 いっぱん 的 てき な様式 ようしき であり、今 いま のところ67種 しゅ の原核 げんかく 生物 せいぶつ が天然 てんねん に形質 けいしつ 転換 てんかん 能 のう を備 そな えていることが知 し られている[ 20] 。
古 こ 細菌 さいきん の中 なか では、ハロバクテリウム・ボルカニ (英語 えいご 版 ばん ) (Halobacterium volcanii )が細胞 さいぼう 間 あいだ に細胞 さいぼう 質 しつ 間 あいだ 橋 きょう を形成 けいせい し、ある細胞 さいぼう から別 べつ の細胞 さいぼう へのDNA転移 てんい に使 つか われているようである[ 21] 。別 べつ の古 こ 細菌 さいきん 、スルフォロブス・ソルファタリカス (英語 えいご 版 ばん ) (Sulfolobus solfataricus )は、直接 ちょくせつ 接触 せっしょく することで細胞 さいぼう 間 あいだ でDNAを転移 てんい させる。Frolsら(2008)は、スルフォロブス・ソルファタリカスをDNA損傷 そんしょう 因子 いんし に暴露 ばくろ すると細胞 さいぼう 凝集 ぎょうしゅう が起 お こることを発見 はっけん し、細胞 さいぼう 凝集 ぎょうしゅう が細胞 さいぼう 間 あいだ のDNA転移 てんい を促進 そくしん し、相 あい 同 どう 組 く み換 か え による損傷 そんしょう DNAの修復 しゅうふく を促進 そくしん する可能 かのう 性 せい を示唆 しさ した[ 22] 。
原核 げんかく 生物 せいぶつ は厳密 げんみつ には単細胞 たんさいぼう 生物 せいぶつ であると考 かんが えられているが、そのほとんどは安定 あんてい した凝集 ぎょうしゅう 群集 ぐんしゅう を形成 けいせい することができる[ 23] 。このような群集 ぐんしゅう が安定 あんてい 化 か ポリマーマトリックス(粘液 ねんえき )に包 つつ まれている場合 ばあい 、バイオフィルム と呼 よ ぶことがある[ 24] 。バイオフィルム中 ちゅう の細胞 さいぼう は、しばしば時間 じかん 的 てき /空間 くうかん 的 てき に異 こと なる遺伝子 いでんし 発現 はつげん パターン(表現 ひょうげん 型 がた の分化 ぶんか )を示 しめ す。また、多 た 細胞 さいぼう 真 ま 核 かく 生物 せいぶつ と同様 どうよう に、こうした発現 はつげん の変化 へんか はしばしば、細胞 さいぼう 間 あいだ でのシグナル伝達 でんたつ 、すなわちクオラムセンシング として知 し られる現象 げんしょう に起因 きいん しているように見 み える。
バイオフィルムは高度 こうど に不 ふ 均一 きんいつ で構造 こうぞう 的 てき にも複雑 ふくざつ であり、固体 こたい 表面 ひょうめん に付着 ふちゃく したり、液体 えきたい -空気 くうき 界面 かいめん 、あるいは液体 えきたい -液体 えきたい 界面 かいめん に存在 そんざい する可能 かのう 性 せい さえある。細菌 さいきん バイオフィルムは多 おお くの場合 ばあい 、マイクロコロニー(細菌 さいきん とマトリックスのほぼドーム状 じょう の塊 かたまり )で構成 こうせい され、培地 ばいち (たとえば水 みず )が流 なが れやすい空隙 くうげき によって隔 へだ てられている。マイクロコロニーは基質 きしつ (英語 えいご 版 ばん ) 上 うえ で結合 けつごう して連続 れんぞく 層 そう を形成 けいせい し、マイクロコロニーを隔 へだ てる流 りゅう 路 ろ 網 もう を閉鎖 へいさ することもある。このような構造 こうぞう の複雑 ふくざつ さと、バイオフィルム全体 ぜんたい にわたる培地 ばいち の移動 いどう によって酸素 さんそ の制限 せいげん (拡散 かくさん の規模 きぼ を超 こ えて拡大 かくだい するあらゆるものの遍在 へんざい 的 てき な課題 かだい )が少 すく なくとも部分 ぶぶん 的 てき に緩和 かんわ されるという観察 かんさつ とが相 あい まって、これが循環 じゅんかん 系 けい を構成 こうせい しているのではないかと推測 すいそく する者 もの もおり[ 25] 、多 おお くの研究 けんきゅう 者 しゃ が原核 げんかく 生物 せいぶつ 群集 ぐんしゅう を多 た 細胞 さいぼう 性 せい (multicellular)と呼 よ ぶようになった(たとえば[ 26] )。細胞 さいぼう 発現 はつげん の変動 へんどう 、集団 しゅうだん 行動 こうどう 、シグナル伝達 でんたつ 、プログラム細胞 さいぼう 死 し 、そして(場合 ばあい によっては)個別 こべつ の生物 せいぶつ 学 がく 的 てき 拡散 かくさん 現象 げんしょう (英語 えいご 版 ばん ) はどれも、この方向 ほうこう を指 さ ししているようである[ 27] 。しかし、このようなコロニーは、(動物 どうぶつ や植物 しょくぶつ が単一 たんいつ 細胞 さいぼう から成長 せいちょう するに)単一 たんいつ の始祖 しそ によって形成 けいせい されることはほとんどなく、多 おお くの理論 りろん 的 てき 問題 もんだい を提起 ていき する。協力 きょうりょく 関係 かんけい (英語 えいご 版 ばん ) や多 た 細胞 さいぼう 性 せい の進化 しんか (英語 えいご 版 ばん ) に関 かん するほとんど説明 せつめい は、個体 こたい 群 ぐん (またはコロニー、あるいは生物 せいぶつ 全体 ぜんたい )のメンバー間 あいだ の高度 こうど な関連 かんれん 性 せい に焦点 しょうてん を当 あ ててきた。ある遺伝子 いでんし の複製 ふくせい が集団 しゅうだん のすべてのメンバーに存在 そんざい する場合 ばあい 、メンバー間 あいだ の協同 きょうどう を促進 そくしん する行動 こうどう により、それらのメンバーは利己 りこ 的 てき な個体 こたい からなる同様 どうよう の集団 しゅうだん よりも(平均 へいきん して)高 たか い適応 てきおう 度 ど を持 も つことができるのかもしれない[ 28] 。
もしこのような原核 げんかく 生物 せいぶつ の社会 しゃかい 性 せい が例外 れいがい 的 てき でなく、規則 きそく 性 せい に基 もと づくことが証明 しょうめい されれば、原核 げんかく 生物 せいぶつ 全般 ぜんぱん に対 たい する我々 われわれ の見方 みかた や、医学 いがく における原核 げんかく 生物 せいぶつ の扱 あつか い方 かた に重大 じゅうだい な影響 えいきょう を与 あた えることになるだろう[ 29] 。細菌 さいきん バイオフィルムは、自由 じゆう 生活 せいかつ 性 せい の単細胞 たんさいぼう よりも抗生 こうせい 物質 ぶっしつ に対 たい して100倍 ばい もの耐 たい 性 せい を持 も つ可能 かのう 性 せい があり、一度 いちど 表面 ひょうめん にコロニーを形成 けいせい すると除去 じょきょ することはほぼ不可能 ふかのう になる[ 30] 。細菌 さいきん 接合 せつごう (英語 えいご 版 ばん ) やクオラムセンシングを介 かい した病原 びょうげん 性 せい (en:英語 えいご 版 ばん ) など、細菌 さいきん 性 せい 協同 きょうどう 作用 さよう の別 べつ の側面 そくめん は、関連 かんれん 疾患 しっかん の治療 ちりょう を目指 めざ す研究 けんきゅう 者 しゃ や医療 いりょう 関係 かんけい 者 しゃ にさらなる課題 かだい をもたらす。
真 ま 核 かく 生物 せいぶつ (Eukaryota) と原核 げんかく 生物 せいぶつ (Prokaryota) の起源 きげん を示 しめ す、生物 せいぶつ の系統 けいとう 発生 はっせい と共生 きょうせい 進化 しんか の樹 き
2012年 ねん にリチャード・イーゲルが提唱 ていしょう した、原核 げんかく 生物 せいぶつ から真 ま 核 かく 生物 せいぶつ が出現 しゅつげん したのではなく、真 ま 核 かく 生物 せいぶつ が初期 しょき に出現 しゅつげん したという生命 せいめい の起源 きげん の図 ず 。原核 げんかく 生物 せいぶつ と真 ま 核 かく 生物 せいぶつ の相対 そうたい 的 てき な位置 いち づけに関 かん する多 おお くの見解 けんかい のうちの1つであるこの見解 けんかい は、普遍 ふへん 的 てき な共通 きょうつう 祖先 そせん が比較的 ひかくてき 大 おお きく複雑 ふくざつ であったことを示唆 しさ している[ 31] 。
生物 せいぶつ の進化 しんか に関 かん する現在 げんざい の一般 いっぱん 的 てき なモデルは、最初 さいしょ の生物 せいぶつ は原始 げんし 細胞 さいぼう (英語 えいご 版 ばん ) から進化 しんか した何 なん らかの原核 げんかく 生物 せいぶつ で、真 ま 核 かく 生物 せいぶつ は生命 せいめい の歴史 れきし の後半 こうはん に進化 しんか したというものである[ 32] 。一部 いちぶ の著者 ちょしゃ はこの結論 けつろん に疑問 ぎもん を呈 てい しており、現在 げんざい の原核 げんかく 生物 せいぶつ 種 しゅ は、より複雑 ふくざつ な真 ま 核 かく 生物 せいぶつ の祖先 そせん から単純 たんじゅん 化 か の過程 かてい を経 へ て進化 しんか した可能 かのう 性 せい があると主張 しゅちょう している[ 33] [ 34] [ 35] 。
また、生命 せいめい の3つのドメインは、単一 たんいつ の遺伝子 いでんし 給源 きゅうげん を形成 けいせい する多様 たよう な細胞 さいぼう の集合 しゅうごう から同時 どうじ に発生 はっせい したと主張 しゅちょう する者 もの もいる[ 36] 。この論争 ろんそう は2005年 ねん に次 つぎ のように要約 ようやく された[ 37] 。
細胞 さいぼう 進化 しんか の全体 ぜんたい 像 ぞう における真 ま 核 かく 生物 せいぶつ の位置 いち づけについて、生物 せいぶつ 学者 がくしゃ の間 あいだ で一致 いっち を得 え ていない。真 ま 核 かく 生物 せいぶつ の起源 きげん と位置 いち づけに関 かん する現在 げんざい の意見 いけん は、幅広 はばひろ い範囲 はんい に及 およ んでいる。たとえば、真 ま 核 かく 生物 せいぶつ が進化 しんか の中 なか で最初 さいしょ に出現 しゅつげん し、原核 げんかく 生物 せいぶつ はその子孫 しそん であるという見解 けんかい 、真 ま 核 かく 生物 せいぶつ は真正 しんせい 細菌 さいきん や古 こ 細菌 さいきん と同 どう 時期 じき に出現 しゅつげん したため、原核 げんかく 生物 せいぶつ と同 どう 程度 ていど の年代 ねんだい と順位 じゅんい を持 も つ一 いち 次 じ 的 てき な子孫 しそん であるという見解 けんかい 、真 ま 核 かく 生物 せいぶつ は核 かく の内部 ないぶ 共生 きょうせい 起源 きげん を伴 ともな う共生 きょうせい 的 てき な事象 じしょう を通 つう じて生 しょう じた、真 ま 核 かく 生物 せいぶつ は内部 ないぶ 共生 きょうせい を伴 ともな わずに生 しょう じた、真 ま 核 かく 生物 せいぶつ は鞭 むち 毛 げ と核 かく の内部 ないぶ 共生 きょうせい 的 てき 起源 きげん を同時 どうじ に伴 ともな う共生 きょうせい 的 てき な事象 じしょう を通 つう じて出現 しゅつげん したなどの見解 けんかい に加 くわ え、他 ほか にも多 おお くのモデルがあり、それらは別 べつ の場所 ばしょ で検討 けんとう され、要約 ようやく されている。
知 し られている最古 さいこ の原核 げんかく 生物 せいぶつ の化石 かせき は約 やく 35億 おく 年 ねん 前 まえ のもので、これは地球 ちきゅう の地殻 ちかく が形成 けいせい されてからわずか約 やく 10億 おく 年 ねん 後 ご のことである。真 ま 核 かく 生物 せいぶつ が化石 かせき 記録 きろく に現 あらわ れるのはその後 ご で、複数 ふくすう の原核 げんかく 生物 せいぶつ の祖先 そせん の内部 ないぶ 共生 きょうせい (内 うち 共生 きょうせい )から進化 しんか して形成 けいせい された可能 かのう 性 せい がある。最古 さいこ の真 ま 核 かく 生物 せいぶつ の化石 かせき は約 やく 17億 おく 年 ねん 前 まえ のものである。しかし、真 ま 核 かく 生物 せいぶつ が30億 おく 年 ねん 前 まえ に出現 しゅつげん したという遺伝 いでん 学 がく 的 てき な証拠 しょうこ もある[ 38] 。
宇宙 うちゅう で生命 せいめい が存在 そんざい することが知 し られているのは地球 ちきゅう だけだが、火星 かせい には化石 かせき あるいは生 い きている原核 げんかく 生物 せいぶつ の証拠 しょうこ があるとする説 せつ もある[ 39] [ 40] 。しかし、この可能 かのう 性 せい についてはかなりの議論 ぎろん と懐疑 かいぎ が残 のこ されている[ 41] [ 42] 。
原核 げんかく 生物 せいぶつ の多様 たよう 性 せい と真 ま 核 かく 生物 せいぶつ の共生 きょうせい 起源 きげん を示 しめ す環状 かんじょう 系統 けいとう 樹 じゅ
原核 げんかく 生物 せいぶつ は、その長 なが い存在 そんざい 期間 きかん を通 つう じて大 おお きく多様 たよう 化 か してきた。原核 げんかく 生物 せいぶつ の代謝 たいしゃ は、真 ま 核 かく 生物 せいぶつ の代謝 たいしゃ よりもはるかに多様 たよう であり、非常 ひじょう に多 おお くの特徴 とくちょう 的 てき な原核 げんかく 生物 せいぶつ が出現 しゅつげん した。たとえば、真 ま 核 かく 生物 せいぶつ のように光合成 こうごうせい や有機 ゆうき 化合 かごう 物 ぶつ をエネルギー源 げん とするだけでなく、硫化 りゅうか 水素 すいそ のような無機 むき 化合 かごう 物 ぶつ からもエネルギーを得 え る原核 げんかく 生物 せいぶつ もある。これによって原核 げんかく 生物 せいぶつ は、低温 ていおん 生物 せいぶつ 学 がく で研究 けんきゅう される南極 なんきょく の雪 ゆき 面 めん のように寒冷 かんれい な環境 かんきょう でも、海底 かいてい の熱 ねつ 水 すい 噴出 ふんしゅつ 孔 あな や、陸上 りくじょう の熱 ねつ 水 すい 泉 いずみ のような高温 こうおん の環境 かんきょう でも、繁栄 はんえい することができる。
原核 げんかく 生物 せいぶつ は地球 ちきゅう 上 じょう のほぼすべての環境 かんきょう に生息 せいそく している。一部 いちぶ の古 こ 細菌 さいきん や細菌 さいきん は好 こう 極限 きょくげん 性 せい 細菌 さいきん であり、高温 こうおん (好 こう 熱 ねつ 菌 きん )や高 こう 塩分 えんぶん (好 こう 塩 しお 菌 きん )のような過酷 かこく な条件下 じょうけんか で繁殖 はんしょく する[ 43] 。古 こ 細菌 さいきん の多 おお くは海洋 かいよう でプランクトン として成長 せいちょう する。共生 きょうせい 原核 げんかく 生物 せいぶつ は、ヒト を含 ふく む他 ほか の生物 せいぶつ の体内 たいない や体 からだ 表 ひょう に生息 せいそく している。原核 げんかく 生物 せいぶつ は、土壌 どじょう (根 ね 圏 けん や根 ね 鞘 さや を含 ふく む)に多 おお く生息 せいそく している。土壌 どじょう の原核 げんかく 生物 せいぶつ は、人間 にんげん の近 ちか くに存在 そんざい し、農業 のうぎょう にとって経済 けいざい 的 てき に非常 ひじょう に重要 じゅうよう (英語 えいご 版 ばん ) であるにもかかわらず、まだ十分 じゅうぶん に解明 かいめい されていない[ 44] 。
1977年 ねん 、カール・ウーズ は、2つの生物 せいぶつ 群 ぐん における構造 こうぞう と遺伝 いでん 学 がく の大 おお きな違 ちが いから、原核 げんかく 生物 せいぶつ を細菌 さいきん と古 こ 細菌 さいきん (当初 とうしょ は真正 しんせい 細菌 さいきん (Eubacteria)と古 こ 細菌 さいきん (Archaebacteria))に分割 ぶんかつ することを提案 ていあん した。古 こ 細菌 さいきん は当初 とうしょ 、極端 きょくたん な温度 おんど 、pH 、放射線 ほうしゃせん のような劣悪 れつあく な条件下 じょうけんか でのみ生息 せいそく する好 こう 極限 きょくげん 性 せい 細菌 さいきん であると考 かんが えられていたが、その後 ご 、あらゆる種類 しゅるい の生息 せいそく 地 ち で発見 はっけん されるようになった。その結果 けっか 、真 ま 核 かく 生物 せいぶつ 、細菌 さいきん 、古 こ 細菌 さいきん は、従来 じゅうらい の2帝 みかど 系 けい (英語 えいご 版 ばん ) に代 か わって3ドメイン系 けい (英語 えいご 版 ばん ) と呼 よ ばれるようになった[ 45] [ 46] 。
Hugら(2016)によるゲノム解析 かいせき による配列 はいれつ 決定 けってい に基 もと づく系統 けいとう 解析 かいせき によれば、それらの関係 かんけい は次 つぎ の系統 けいとう 樹 じゅ のようになる[ 47] 。
リボソームタンパク質 しつ (英語 えいご 版 ばん ) の配列 はいれつ に基 もと づく無根 むこん 系統 けいとう 樹 じゅ のメタゲノム 表現 ひょうげん は原核 げんかく 生物 せいぶつ の多様 たよう 性 せい を示 しめ している。上部 じょうぶ (左 ひだり と右 みぎ ) は細菌 さいきん (Bacteria)、下部 かぶ は古 こ 細菌 さいきん (Archaea)、右 みぎ 下 か の緑色 みどりいろ は真 ま 核 かく 生物 せいぶつ (Eukaryotes), 2016年 ねん [ 47]
真 ま 核 かく 生物 せいぶつ と原核 げんかく 生物 せいぶつ の比較 ひかく
原核 げんかく 生物 せいぶつ と真 ま 核 かく 生物 せいぶつ との境界 きょうかい は、通常 つうじょう 、生物 せいぶつ 間 あいだ の最 もっと も重要 じゅうよう な区別 くべつ または違 ちが いであると考 かんが えられている。その違 ちが いは、真 ま 核 かく 生物 せいぶつ の細胞 さいぼう がDNA を含 ふく む「真 しん の核 かく 」を持 も つのに対 たい し、原核 げんかく 生物 せいぶつ の細胞 さいぼう には核 かく がないことである。
真 ま 核 かく 生物 せいぶつ も原核 げんかく 生物 せいぶつ も、タンパク質 たんぱくしつ を作 つく るリボソーム と呼 よ ばれる大 おお きなRNA /タンパク質 たんぱくしつ 構造 こうぞう 体 たい を持 も つが、原核 げんかく 生物 せいぶつ のリボソームは真 ま 核 かく 生物 せいぶつ のそれよりも小 ちい さい。多 おお くの真 ま 核 かく 細胞 さいぼう に見 み られるミトコンドリア と葉 は 緑 みどり 体 たい という2つの細胞 さいぼう 小 しょう 器官 きかん は、原核 げんかく 生物 せいぶつ に見 み られるものと同様 どうよう の大 おお きさと構造 こうぞう を持 も つリボソームを含 ふく んでいる[ 48] 。これは、ミトコンドリアと葉 は 緑 みどり 体 たい が自由 じゆう 生活 せいかつ 性 せい の細菌 さいきん の子孫 しそん であることを示 しめ す多 おお くの証拠 しょうこ のひとつである。細胞 さいぼう 内 ない 共生 きょうせい 説 せつ は、初期 しょき の真 ま 核 かく 細胞 さいぼう が食 しょく 作用 さよう によって原始 げんし 的 てき な原核 げんかく 細胞 さいぼう を取 と り込 こ み、その構造 こうぞう を組 く み入 い れるように自 みずか らを適応 てきおう させた結果 けっか 、ミトコンドリアや葉 は 緑 みどり 体 たい が形成 けいせい されたというものである。
原核 げんかく 生物 せいぶつ のゲノム は、核 かく 様 さま 体 たい と呼 よ ばれる細胞 さいぼう 質 しつ 内 うち のDNAとタンパク質 たんぱくしつ の複 ふく 合体 がったい の中 なか にあり、核 かく 膜 まく を持 も たない[ 49] 。この複 ふく 合体 がったい には、安定 あんてい した染色 せんしょく 体 たい DNAの環状 かんじょう 2本 ほん 鎖 くさり 分子 ぶんし が1つ含 ふく まれていて、真 ま 核 かく 細胞 さいぼう で見 み られる複数 ふくすう の密 みつ で高度 こうど に組織 そしき 化 か された線 せん 状 じょう 染色 せんしょく 体 たい とは対照 たいしょう 的 てき である。さらに、原核 げんかく 生物 せいぶつ の重要 じゅうよう な遺伝子 いでんし の多 おお くは、プラスミド と呼 よ ばれる別 べつ の環状 かんじょう DNA構造 こうぞう 体 たい に保持 ほじ されている[ 3] 。真 ま 核 かく 生物 せいぶつ と同様 どうよう に、原核 げんかく 生物 せいぶつ も遺伝 いでん 物質 ぶっしつ を部分 ぶぶん 的 てき に複製 ふくせい することがあり、部分 ぶぶん 的 てき に複製 ふくせい された単数 たんすう 体 たい の染色 せんしょく 体 たい 構成 こうせい を持 も つことができ、これはメロ二 に 倍 ばい 体 たい (英語 えいご 版 ばん ) として知 し られる状態 じょうたい である[ 50] 。
原核 げんかく 生物 せいぶつ にはミトコンドリア と葉 は 緑 みどり 体 たい がない。その代 か わりに、酸化 さんか 的 てき リン酸化 さんか や光合成 こうごうせい などの過程 かてい が、原核 げんかく 生物 せいぶつ の細胞 さいぼう 膜 まく を隔 へだ てて行 おこな われる[ 51] 。また原核 げんかく 生物 せいぶつ は、原核 げんかく 細胞 さいぼう 骨格 こっかく のようないくつかの内部 ないぶ 構造 こうぞう を持 も っている[ 52] [ 53] 。細菌 さいきん 門 もん であるプランクトミケス門 もん (Planctomycetota )は、核 かく 様 さま 体 たい の周囲 しゅうい に膜 まく を持 も ち、他 た の膜 まく 結合 けつごう 細胞 さいぼう 構造 こうぞう を含 ふく むことが示唆 しさ されている[ 54] 。しかし、さらなる調査 ちょうさ により、プランクトミケス門 もん の菌 きん 体 たい は区画 くかく 化 か も核 かく 形成 けいせい もされておらず、他 た の細菌 さいきん 膜 まく 系 けい と同様 どうよう に相互 そうご に関連 かんれん していることがわかった[ 55] 。
原核 げんかく 生物 せいぶつ の多様 たよう 性 せい を示 しめ す系統 けいとう 樹 じゅ [ 56] 。この2018年 ねん の提案 ていあん は、真 ま 核 かく 生物 せいぶつ (Eukaryota) は古 こ 細菌 さいきん のアスガルド群 ぐん (Asgard) から出現 しゅつげん したというもので、エオサイト仮説 かせつ [ 57] の現代 げんだい 版 ばん である。以前 いぜん の仮定 かてい に対 たい し、細菌 さいきん (Bacteria) とそれ以外 いがい の区別 くべつ は生物 せいぶつ 間 あいだ の最 もっと も重要 じゅうよう な違 ちが いである。
原核 げんかく 細胞 さいぼう は通常 つうじょう 、真 ま 核 かく 細胞 さいぼう よりもはるかに小 ちい さい[ 3] 。そのため、原核 げんかく 生物 せいぶつ は体積 たいせき に対 たい する表面積 ひょうめんせき の比 ひ (英語 えいご 版 ばん ) が大 おお きく、真 ま 核 かく 生物 せいぶつ よりも代謝 たいしゃ 率 りつ や成長 せいちょう 速度 そくど が高 たか く、その結果 けっか 、世代 せだい 時間 じかん は短 みじか くなる[ 3] 。
真 ま 核 かく 生物 せいぶつ のルーツは古 こ 細菌 さいきん のアスガルド群 ぐん 、おそらくヘイムダル古 こ 細菌 さいきん (Heimdallarchaeota )にある(あるいは少 すく なくともその隣 となり にある)という証拠 しょうこ が増 ふ えつつある[ 56] 。この考 かんが えは1984年 ねん のエオサイト仮説 かせつ [ 57] の現代 げんだい 版 ばん ともいえ、エオサイトはテルモプロテオータ(Thermoproteota )の古 ふる い同義語 どうぎご で、当時 とうじ はまだ知 し られていなかったアスガルド群 ぐん の近 ちか くに存在 そんざい する分類 ぶんるい 群 ぐん である。たとえば、通常 つうじょう は真 ま 核 かく 生物 せいぶつ の核 かく にDNAを収納 しゅうのう するヒストン はいくつかの古 こ 細菌 さいきん 群 ぐん でも見 み つかっており、相 あい 同 どう 性 せい を示 しめ す証拠 しょうこ となっている。この考 かんが えは、細胞 さいぼう 内 ない 共生 きょうせい 説 せつ によれば、最初 さいしょ の真 ま 核 かく 細胞 さいぼう (LECA )を形成 けいせい したアルファプロテオバクテリア を飲 の み込 こ んだ真 ま 核 かく 細胞 さいぼう の謎 なぞ に包 つつ まれた祖先 そせん (英語 えいご 版 ばん ) を解明 かいめい するかもしれない。さらに、細胞 さいぼう 核 かく ウイルス起源 きげん 説 せつ と呼 よ ばれるウイルスによる貢献 こうけん があった可能 かのう 性 せい もある。古 こ 細菌 さいきん と真 ま 核 かく 生物 せいぶつ からなる非 ひ 細菌 さいきん 群 ぐん は、2002年 ねん にトーマス・キャバリエ=スミス によってネオムラ と呼 よ ばれた[ 58] 。しかし分岐 ぶんき 学 がく 的 てき な見地 けんち では、鳥類 ちょうるい は恐竜 きょうりゅう であるのと同 おな じ意味 いみ で、真 ま 核 かく 生物 せいぶつ は古 こ 細菌 さいきん である(鳥類 ちょうるい は恐竜 きょうりゅう の分類 ぶんるい 群 ぐん であるマニラプトル類 るい から進化 しんか した)。対照 たいしょう 的 てき に真 ま 核 かく 生物 せいぶつ を除 のぞ く古 こ 細菌 さいきん は、鳥類 ちょうるい を除 のぞ く恐竜 きょうりゅう と同 おな じように、側 がわ 系統 けいとう 群 ぐん であるように見 み える。
原核 げんかく 生物 せいぶつ が2つの系統 けいとう に分 わ かれる可能 かのう 性 せい [ 編集 へんしゅう ]
原核 げんかく 生物 せいぶつ と真 ま 核 かく 生物 せいぶつ という基本 きほん 的 てき な区別 くべつ という前述 ぜんじゅつ の仮定 かてい と異 こと なり、生物 せいぶつ 相 しょう の最 もっと も重要 じゅうよう な違 ちが いは、細菌 さいきん とそれ以外 いがい (古 こ 細菌 さいきん と真 ま 核 かく 生物 せいぶつ )の区別 くべつ かもしれない[ 56] 。たとえば、DNA複製 ふくせい は細菌 さいきん と古 こ 細菌 さいきん (真 ま 核 かく 生物 せいぶつ の核 かく も含 ふく む)では根本 こんぽん 的 てき に異 こと なっており、これら2つのグループ間 あいだ では相 あい 同 どう ではないのかもしれない[ 59] 。また、ATP合成 ごうせい 酵素 こうそ はすべての生物 せいぶつ で共通 きょうつう (相 あい 同 どう )であるが、細菌 さいきん (ミトコンドリア や葉 は 緑 みどり 体 たい などの真 ま 核 かく 生物 せいぶつ の細胞 さいぼう 小 しょう 器官 きかん を含 ふく む)と古 こ 細菌 さいきん /真 ま 核 かく 生物 せいぶつ の核 かく グループでは大 おお きく異 こと なる。すべての生命 せいめい の最後 さいご の共通 きょうつう 祖先 そせん (英語 えいご 版 ばん ) (LUCA、最終 さいしゅう 普遍 ふへん 共通 きょうつう 祖先 そせん と呼 よ ばれる)は、このタンパク質 たんぱくしつ 複 ふく 合体 がったい の初期 しょき バージョンを持 も っていたはずである。ATP合成 ごうせい 酵素 こうそ は偏 へん 性 せい であり膜 まく 結合 けつごう 型 がた であるので、LUCAが細胞 さいぼう 生物 せいぶつ であったという仮説 かせつ を支持 しじ している。LUCAがDNAを欠 か いたリボサイト (リボセルとも呼 よ ばれる)であったかもしれないが、原始 げんし 的 てき な自己 じこ 複製 ふくせい 体 たい (英語 えいご 版 ばん ) としてのリボソーム によってRNA ゲノムを構築 こうちく していたかもしれないことから、RNAワールド仮説 かせつ はこのシナリオを明確 めいかく にするかもしれない[ 60] 。オリゴペプチド が原始 げんし 核酸 かくさん と同時 どうじ に構築 こうちく された可能 かのう 性 せい があるという考 かんが えに基 もと づくペプチドRNAワールド仮説 かせつ (英語 えいご 版 ばん ) (RNPワールド (英語 えいご 版 ばん ) )も、LUCAとしてのリボサイト (英語 えいご 版 ばん ) の概念 がいねん を支持 しじ している。ゲノムの物質 ぶっしつ 的 てき 基盤 きばん としてのDNAの特徴 とくちょう は、その後 ご 、細菌 さいきん と古 こ 細菌 さいきん (そして、後 のち には真 ま 核 かく 生物 せいぶつ の核 かく に)で別々 べつべつ に組 く み入 い れられた可能 かのう 性 せい があり、おそらく何 なん らかのウイルス(レトロウイルス はRNAをDNAに逆 ぎゃく 転写 てんしゃ することができる)の助 たす けを借 か りたのだろう[ 61] 。その結果 けっか 、細菌 さいきん と古 こ 細菌 さいきん からなる原核 げんかく 生物 せいぶつ も多 た 系統 けいとう 化 か したのかもしれない。
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