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無機むき化合かごうぶつ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

無機むき化合かごうぶつ(むきかごうぶつ、英語えいご: inorganic compound)は、有機ゆうき化合かごうぶつ以外いがい化合かごうぶつであり、具体ぐたいてきには単純たんじゅん一部いちぶ炭素たんそ化合かごうぶつしたしめす)と、炭素たんそ以外いがい元素げんそ構成こうせいされる化合かごうぶつである[1][2]無機むきには「生命せいめいりょくゆうさない」という意味いみがある[3]

炭素たんそ化合かごうぶつのうち無機むき化合かごうぶつ分類ぶんるいされるものには、グラファイトダイヤモンドなど炭素たんそ同素体どうそたい一酸化いっさんか炭素たんそ二酸化炭素にさんかたんそ二硫化炭素にりゅうかたんそなど陰性いんせい元素げんそつく化合かごうぶつ、あるいは炭酸たんさんカルシウムなどの金属きんぞく炭酸たんさんしお青酸せいさん金属きんぞく青酸せいさんしお金属きんぞくシアンさんしお金属きんぞくチオシアンさんしお金属きんぞく炭化物たんかぶつなどのしおげられる。

無機むき化合かごうぶつ化学かがくてき性質せいしつは、元素げんそあたい電子でんしさいそとから電子でんし)のかずおうじて性質せいしつ多彩たさい変化へんかする。とく典型てんけい元素げんそ周期しゅうきひょうぞく番号ばんごう周期しゅうきにそれぞれ特有とくゆう性質せいしつ関連かんれんられている。

典型てんけい元素げんそ

遷移せんい元素げんそ場合ばあいは、d電子でんしすう変化へんかともない、固有こゆう性質せいしつつが、単純たんじゅん周期しゅうきひょうぞくから簡単かんたん性質せいしつ予測よそくすることがむずかしくなり、元素げんそごとに多彩たさい性格せいかく発揮はっきすることがられている。

無機むき化合かごうぶつれい[編集へんしゅう]

金属きんぞく元素げんそ典型てんけい元素げんそ遷移せんい元素げんそ)および非金属ひきんぞく元素げんそホウ素ほうそケイ素けいそなど)の化合かごうぶつがあり、化合かごうぶつには、水素すいそ化合かごうぶつ酸化さんかぶつオキソさん水酸化物すいさんかぶつハロゲン化物ばけもの硫酸りゅうさんしお硝酸しょうさんしお炭酸たんさんしお酢酸さくさんしお金属きんぞく錯体さくたいはい化合かごうぶつ)などがある。

たとえば、

などがある。

れい無機むき化合かごうぶつ一覧いちらんくわしい。

歴史れきし[編集へんしゅう]

錬金術れんきんじゅつ成果せいか書物しょもつとして中世ちゅうせいヨーロッパにつたえられ、その博物学はくぶつがくてき知識ちしき集合しゅうごう近代きんだい化学かがくいしずえとなったがそのほとんどは無機むき化合かごうぶつについての知見ちけんであったし、化学かがく自身じしん研究けんきゅう対象たいしょうにより分類ぶんるい区別くべつすることもなかったため、18世紀せいき以前いぜん化学かがく無機むき化学かがくとは同義どうぎであった。

18世紀せいきわりころから19世紀せいき初頭しょとうにかけて、発見はっけんされるいわゆる有機ゆうき化合かごうぶつ種類しゅるい増加ぞうかするにつれ、起源きげんによる物質ぶっしつ分類ぶんるい研究けんきゅう対象たいしょうによる研究けんきゅう領域りょういき区分くぶんこころみられるようになった。1806ねんごろ、スウェーデンの イェンス・ベルセリウスは、ゆう機体きたい意味いみする "organ" から有機ゆうき化学かがく (organicchemistry) や有機ゆうき化合かごうぶつ (organic compound) というかたりはじめて使用しようした。それが学術がくじゅつ学問がくもん領域りょういきとして定着ていちゃくするにつれて、有機ゆうき化学かがくおよび有機ゆうき化合かごうぶつ相対そうたいする学問がくもん領域りょういきとして無機むき化学かがく無機むき化合かごうぶつという概念がいねんしょうじた。

また、1828ねんにはフリードリヒ・ヴェーラーによってシアンさんアンモニウムを尿素にょうそ変換へんかんするヴェーラー合成ごうせい発見はっけんした。

有機ゆうき化学かがくにおいてはもとにより反応はんのうせいあるいは特性とくせいおおきくことなることから、無機むき化学かがくくらべてはや段階だんかいから、もと研究けんきゅうつうじて構造こうぞうろん反応はんのうろん展開てんかいしていった。一方いっぽう近代きんだい無機むき化学かがくにおいては周期しゅうきりつをはじめとする組成そせいろん中心ちゅうしんとした研究けんきゅう中心ちゅうしんであった。無機むき化学かがくにおける構造こうぞうろん起源きげんとなるのは、1883ねんにドイツの アルフレッド・ウェルナーが提唱ていしょうしたはい理論りろんはいせつ)である。その金属きんぞく錯体さくたい中心ちゅうしん無機むき化学かがく展開てんかいし、錯体さくたい化学かがくにおいて機構きこうづくり化学かがく確立かくりつされた。20世紀せいき後半こうはんはいると電子でんし顕微鏡けんびきょうやXせん構造こうぞう解析かいせきなどサブミクロンサイズの物理ぶつり計測けいそく可能かのうになることで構造こうぞうろん飛躍ひやくてき発展はってんせることになる。今日きょう無機むき化学かがくにおいては高温こうおんちょう伝導でんどう物質ぶっしつのペロブスカイトしょうなど構造こうぞうろん中心ちゅうしんとした研究けんきゅう主流しゅりゅうとなっている。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 無機むき化合かごうぶつ」、『理化学りかがく辞典じてん』、だい5はん CD-ROMばん岩波書店いわなみしょてん、1998ねん
  2. ^ 大滝おおたき 仁志ひとし、「無機むき化合かごうぶつ」、『世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん』、だいはん CD-ROMばん平凡社へいぼんしゃ、1998ねん
  3. ^ 広辞苑こうじえん だいろくはん』「無機むき

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]