(Translated by https://www.hiragana.jp/)
ラジウム - Wikipedia コンテンツにスキップ

ラジウム

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
フランシウム ラジウム アクチニウム
Ba

Ra

(Ubn)
外見がいけん
ぎん白色はくしょく
一般いっぱん特性とくせい
名称めいしょう, 記号きごう, 番号ばんごう ラジウム, Ra, 88
分類ぶんるい アルカリるい金属きんぞく
ぞく, 周期しゅうき, ブロック 2, 7, s
原子げんしりょう (226)
電子でんし配置はいち [Rn] 7s2
電子でんしから 2, 8, 18, 32, 18, 8, 2(画像がぞう
物理ぶつり特性とくせい
そう 固体こたい
密度みつど室温しつおん付近ふきん 5.5 g/cm3
融点ゆうてん 973 K, 700 °C, 1292 °F
沸点ふってん 2010 K, 1737 °C, 3159 °F
融解ゆうかいねつ 8.5 kJ/mol
蒸発じょうはつねつ 113 kJ/mol
蒸気じょうきあつ
圧力あつりょく (Pa) 1 10 100 1 k 10 k 100 k
温度おんど (K) 819 906 1037 1209 1446 1799
原子げんし特性とくせい
酸化さんかすう 2(つよ塩基えんきせい酸化さんかぶつ
電気でんき陰性いんせい 0.9(ポーリングの
イオン化いおんかエネルギー だい1: 509.3 kJ/mol
だい2: 979.0 kJ/mol
共有きょうゆう結合けつごう半径はんけい 221 ± 2 pm
ファンデルワールス半径はんけい 283 pm
その
結晶けっしょう構造こうぞう からだこころ立方りっぽう
磁性じせい はん磁性じせい
電気でんき抵抗ていこうりつ (20 °C) 1 μみゅーΩおめが⋅m
ねつ伝導でんどうりつ (300 K) 18.6 W/(m⋅K)
CAS登録とうろく番号ばんごう 7440-14-4
おも同位どういたい
詳細しょうさいラジウムの同位どういたい参照さんしょう
同位どういたい NA 半減はんげん DM DE (MeV) DP
223Ra trace 11.43 d αあるふぁ 5.99 219Rn
224Ra trace 3.6319 d αあるふぁ 5.789 220Rn
226Ra ~100 % 1601 y αあるふぁ 4.871 222Rn
228Ra trace 5.75 y βべーた- 0.046 228Ac

ラジウムどく: Radium [ˈraːdi̯ʊm]えい: radium [ˈreɪdiəm])は、原子げんし番号ばんごう88の元素げんそ元素げんそ記号きごうRaアルカリるい金属きんぞくひとつ。安定あんてい同位どういたい存在そんざいしない。天然てんねんには4種類しゅるい同位どういたい存在そんざいする。白色はくしょく金属きんぞくで、比重ひじゅうはおよそ5–6、融点ゆうてんは700 °C沸点ふってんは1140 °C常温じょうおんつねあつでの安定あんてい結晶けっしょう構造こうぞうからだこころ立方りっぽう構造こうぞう (BCC)。反応はんのうせいつよく、みずはげしく反応はんのうし、さんえき溶。空気くうきちゅう簡単かんたん酸化さんかされくらところ青白あおじろひかる。原子げんしは2化学かがくてき性質せいしつなどはバリウムる。ほのおしょく反応はんのう洋紅ようこうしょく

ラジウムがアルファ崩壊ほうかいしてラドンになる。ラジウムの放射能ほうしゃのうもとキュリー記号きごう Ci)という単位たんい定義ていぎされ、かつては放射能ほうしゃのう単位たんいとしてもちいられていた。現在げんざい放射能ほうしゃのう単位たんいベクレル記号きごう Bq)を使用しようすることになっており、1 Ci = 3.7×1010 Bqである。なお、ラジウム224、226、228は WHO下部かぶ機関きかん IARC より発癌はつがんせいがある (Type1) と勧告かんこくされている。

ラジウムそのものの崩壊ほうかいではアルファ線あるふぁせんしか放出ほうしゅつされないが、そのむすめ核種かくしゅ崩壊ほうかいタ線たせんガンマ線がんませんなども放出ほうしゅつされる。

名称めいしょう[編集へんしゅう]

放射線ほうしゃせんしているため、ラテン語らてんごradius にちなんで命名めいめいされた[1]

歴史れきし[編集へんしゅう]

1898ねんに、ピエール・キュリーマリ・キュリー夫妻ふさいらが放射線ほうしゃせん測定そくてい分光ぶんこうがくてき測定そくていおこなうことでラジウムを発見はっけんした。かれらはピッチブレンド(閃ウランこう)から元素げんそ分離ぶんりおこなっていたさいに、バリウム化学かがくてき挙動きょどうしめ部分ぶぶんたか放射能ほうしゃのう存在そんざいすることを見出みいだした。かれらはピッチブレンドのなかあらたな物質ぶっしつ存在そんざいするとかんがえ、このあらたな物質ぶっしつをバリウムから分離ぶんり精製せいせいした。この操作そうさによってリンこうはっする塩化えんかラジウムが分離ぶんりされた。これによりラジウムの存在そんざいしめされた。おっとであるピエール・キュリー死後しごマリ・キュリーはラジウムの研究けんきゅうつづ塩化えんかラジウムの電気でんき分解ぶんかいから金属きんぞくラジウムをることに成功せいこうした[1]

日本にっぽんにおける歴史れきし[編集へんしゅう]

1903ねん田中たなかたて愛橘あいきつによりはじめて日本にっぽんにラジウムがまれた。また翌年よくねんの1904ねんには、三浦みうら謹之すけが「ラヂウムに就て」という神経しんけいがく雑誌ざっし発表はっぴょうした。またかれは、東京とうきょう学会がっかい例会れいかいにおいて、ラジウムをもちいた治療ちりょうについて言及げんきゅうした。1906ねんには長岡ながおか半太郎はんたろうがラジウムの特徴とくちょうについて紹介しょうかいしている[2]

利用りよう[編集へんしゅう]

以前いぜんは、放射線ほうしゃせんみなもととして放射線ほうしゃせん治療ちりょう使用しようされたが、現在げんざい工業こうぎょうてき用途ようとはほとんどない[3]。また、1960年代ねんだい以前いぜん時計とけい文字もじばんなどの夜光やこう塗料とりょうとして利用りようされていた。当時とうじ、ラジウムは時計とけい手作業てさぎょうられていたが、作業さぎょうおこな女性じょせい労働ろうどうしゃ放射能ほうしゃのうつラジウムのいたふでをなめて穂先ほさきととのえていた。これにより時計とけい生産せいさんかかわる女性じょせいたちのあいだでラジウムが原因げんいんおもわれる病気びょうき多発たはつし、次々つぎつぎ死亡しぼうした。時計とけい工場こうじょう女性じょせい労働ろうどうしゃ訴訟そしょうこし、ラジウム・ガールズばれた。この訴訟そしょう従業じゅうぎょういん会社かいしゃうったえる権利けんり確立かくりつさせた最初さいしょれいとなり、労働ろうどうほう史上しじょう画期的かっきてき出来事できごととされている[4]
223Raは、ほね転移てんいのある去勢きょせい抵抗ていこうせい前立腺ぜんりつせんがんもちいられる。[5]

ラジウムに関連かんれんした事件じけん[編集へんしゅう]

  • 1920年代ねんだいから1930年代ねんだいにかけてアメリカでこった、夜光やこう塗料とりょう時計とけい文字もじばん作業さぎょうかかわった女性じょせい工場こうじょう労働ろうどうしゃ放射線ほうしゃせん障害しょうがいになった事件じけんとその訴訟そしょうラジウム・ガールズ参照さんしょう
  • 1920年代ねんだいにから1930年代ねんだいにかけてアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく販売はんばいされた「ラディトール」は、ラジウムをみず溶解ようかいさせた特許とっきょやく英語えいごばんであり、服用ふくようした人物じんぶつ健康けんこう被害ひがいをもたらした。同国どうこくソーシャライト実業じつぎょうエベン・バイヤーズほんくすりによる健康けんこう被害ひがいけ、死去しきょしている。
  • 2011ねん10月、日本にっぽん東京とうきょう世田谷せたがや木造もくぞう民家みんか床下ゆかしたからラジウム226と推定すいていされる物質ぶっしつ発見はっけんされた。時計とけいよう夜光やこう塗料とりょうとして使つかわれていたものとられる。この床下ゆかしたのラジウムは毎時まいじ600 μみゅーSv年間ねんかん5256 mSv)であった。ラジウムが発見はっけんされた場合ばあい処分しょぶん費用ひよう高額こうがくさとその負担ふたん問題もんだいとなっている[6]
  • 2014ねん6がつスイス北部ほくぶビエンヌ廃棄はいきぶつ処理しょりじょうに、120 kgぶんおよぶラジウムの廃棄はいきぶつまれていたことが発覚はっかく場所ばしょによっては、放射線ほうしゃせんりょう毎時まいじ300 μみゅーSvとなる場所ばしょもあった。廃棄はいきぶつは、道路どうろ工事こうじ最中さいちゅうつかったもので、時計とけい夜光やこう塗料とりょうもちいられていたものと推測すいそくされている。夜光やこう塗料とりょうとしてのラジウムは、スイスでは1963ねん使用しよう禁止きんしされていたことから、住民じゅうみん不安ふあんあたえないように事実じじつが1年間ねんかん隠匿いんとくされていた。
  • 厚生こうせい労働省ろうどうしょうの『放射ほうしゃせい物質ぶっしつとう運搬うんぱんかんする基準きじゅん平成へいせいじゅうななねんじゅういちがつじゅうよんにち厚生こうせい労働省ろうどうしょう告示こくじだいよんひゃくきゅうじゅういちごう)』は「容器ようき封入ふうにゅうすることをようする放射ほうしゃせい物質ぶっしつ」の基準きじゅんさだめているが[7]他方たほうラジウム223によって汚染おせんされたもの放射ほうしゃせい物質ぶっしつ濃度のうど基準きじゅんは、2016ねん現在げんざい、『放射ほうしゃせい物質ぶっしつとう運搬うんぱんかんする基準きじゅん一部いちぶ改正かいせいするけんあん)』により基準きじゅん見直みなおしがおこなわれている[8]

同位どういたい[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b 桜井さくらいひろし元素げんそ111のしん知識ちしき講談社こうだんしゃ、1998ねん、356-357ぺーじISBN 4-06-257192-7 
  2. ^ 稲本いなもと一夫かずお(1998)『初期しょきのラジウム利用りよう歴史れきし』、p137、138。
  3. ^ 「Newton別冊べっさつありとあらゆる「物質ぶっしつ」の基礎きそがわかる完全かんぜん図解ずかい周期しゅうきひょうだい2はん」 159ページ 2015ねん10がつ1にち閲覧えつらん
  4. ^ 世界せかい一番いちばんうつくしい元素げんそ図鑑ずかん』セオドア・グレイちょ そうもとしゃ
  5. ^ ゾーフィゴせいちゅう
  6. ^ 佐々木ささき康彦やすひこ (2011ねん11月16にち). “ラジウム処分しょぶん最終さいしゅう費用ひようすうせんまんえんおよ可能かのうせいも、「ごみの不法ふほう投棄とうきおなあつかいになる」(文部もんぶ科学かがくしょう)ため地権ちけんしゃ全額ぜんがく負担ふたんってまさかの展開てんかい”. BLOGOS. 2013ねん5がつ27にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2016ねん1がつ9にち閲覧えつらん
  7. ^ 厚生こうせい労働省ろうどうしょう放射ほうしゃせい物質ぶっしつとう運搬うんぱんかんする基準きじゅん、2005ねん11月24にち
  8. ^ 厚生こうせい労働省ろうどうしょう放射ほうしゃせい物質ぶっしつとう運搬うんぱんかんする基準きじゅん一部いちぶ改正かいせいするけんあん)にかんする意見いけん募集ぼしゅうについて』、2015ねん12月28にち

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]