キュリウム

外見がいけん
	銀ぎん白色はくしょく;
一般いっぱん特性とくせい
名称めいしょう, 記号きごう, 番号ばんごう	キュリウム, Cm, 96
分類ぶんるい	アクチノイド
族ぞく, 周期しゅうき, ブロック	n/a, 7, f
原子げんし量りょう	[247]
電子でんし配置はいち	[Rn] 5f7 6d1 7s2
電子でんし殻から	2, 8, 18, 32, 25, 9, 2（画像がぞう）
物理ぶつり特性とくせい
相そう	固体こたい
密度みつど（室温しつおん付近ふきん）	13.51 g/cm3
融点ゆうてん	1613 K, 1340 °C, 2444 °F
沸点ふってん	3383 K, 3110 °C, 5630 °F
融解ゆうかい熱ねつ	? 15 kJ/mol
蒸気じょうき圧あつ
原子げんし特性とくせい
酸化さんか数すう	4, 3（両性りょうせい酸化さんか物ぶつ）
電気でんき陰性いんせい度ど	1.3（ポーリングの値ね）
イオン化いおんかエネルギー	1st: 581 kJ/mol
原子げんし半径はんけい	174 pm
共有きょうゆう結合けつごう半径はんけい	169 ± 3 pm
その他た
結晶けっしょう構造こうぞう	六方ろっぽう晶あきら系けい
磁性じせい	反はん強つよし磁性じせい（52 Kで常つね磁性じせいに転移てんい）
電気でんき抵抗ていこう率りつ	1.25 µΩおめが⋅m
CAS登録とうろく番号ばんごう	7440-51-9
主おもな同位どうい体たい
	詳細しょうさいはキュリウムの同位どうい体たいを参照さんしょう
	表示ひょうじ;

キュリウム (英えい: curium [ˈkjʊəriəm]) は原子げんし番号ばんごう96の元素げんそ。元素げんそ記号きごうは Cm。アクチノイド元素げんその一ひとつ。超ちょうウラン元素げんそでもある。安定あんてい同位どうい体たいは存在そんざいしない。

銀ぎん白色はくしょくの金属きんぞくで、常温じょうおん、常つね圧あつで安定あんていな結晶けっしょう構造こうぞうは面めん心こころ立方りっぽう構造こうぞう (αあるふぁ、fcc)で、約やく500℃で体からだ心こころ立方りっぽう(βべーた、dcc)、更さらに約やく1000℃で六方ろっぽう最さい密みつ充填じゅうてん構造こうぞう(γがんま、hcp)が安定あんていとなる。比重ひじゅうは理論りろん値ちで13.51、融点ゆうてんは1340 °C (1350 °C)、沸点ふってんは3520 °C。原子げんし価かは+3、+4価か。

名称めいしょう

元素げんそ名めいは、キュリー夫妻ふさい（ピエール・キュリー、マリ・キュリー）に由来ゆらいする^[2]。

歴史れきし

1944年ねん、シーボーグ等ひとし（米国べいこく）により、プルトニウム239に32 × 10⁶ eVのαあるふぁ粒子りゅうしをぶつけることにより、キュリウム242（半減はんげん期き163日にち）が作つくられた^[2]。その後ご、いくつかの同位どうい体たいが発見はっけんされたが、最もっとも半減はんげん期きが長ながいものはキュリウム247の1560万まん年ねんである^[2]。最もっとも大量たいりょうに入手にゅうしゅできるのはキュリウム244（半減はんげん期き18.1年ねん）。

アメリシウムに中性子ちゅうせいしを照射しょうしゃすることによってキュリウムが人工じんこう的てきに作つくられる（アメリシウム243 + 中性子ちゅうせいし → キュリウム244）。

特徴とくちょう

レーザー光こう (396.6 nm)で励起れいきしたトリス(ヒドロトリス)ピラゾリルボラト-キュリウム(III) tris(hydrotris)pyrazolylborato-Cm(III) 複ふく合体がったい溶液ようえき中ちゅうのキュリウム(III)イオン Cm³⁺ の蛍光けいこう。（レーザー誘さそえ起おこり蛍光けいこう法ほう）

キュリウムは銀ぎん白色はくしょくの金属きんぞくで安定あんてい同位どうい体たいは存在そんざいせず、すべてが放射ほうしゃ性せいである。化学かがく的てき性質せいしつはガドリニウムに似にるが、ガドリニウムよりも複雑ふくざつな結晶けっしょう構造こうぞうを持もつ。

同位どうい体たい

詳細しょうさいは「キュリウムの同位どうい体たい」を参照さんしょう

キュリウムには19の同位どうい体たいが存在そんざいする。しかし安定あんてい同位どうい体たいは存在そんざいせず、すべてが放射ほうしゃ性せいである。さらにキュリウムには四よっつの核かく異性いせい体たいが存在そんざいする。質量しつりょう範囲はんいは233から252まで。最もっとも半減はんげん期きが長ながいのはキュリウム247で1560万まん年ねんの半減はんげん期きを持もつ。その他たにも、34000年ねんの半減はんげん期きを持もつキュリウム248、9000年ねんの半減はんげん期きを持もつキュリウム250、8500年ねんの半減はんげん期きを持もつキュリウム245などが比較的ひかくてき安定あんていしている。

残のこりの同位どうい体たいは30年ねん未満みまんの半減はんげん期きを持もっており、その大半たいはんは35日にち未満みまんの半減はんげん期きを持もっている。

キュリウムの化合かごう物ぶつ

用途ようと

原子力げんしりょく電池でんちや、惑星わくせい探査たんさ機きのαあるふぁプロトンX線せん分光ぶんこう計けい、実験じっけん用ようのアルファ線あるふぁせん源げんとしての用途ようとがある。

放射ほうしゃ性せい廃棄はいき物ぶつとして

原子力げんしりょく発電はつでんの使用しよう済ずみ核かく燃料ねんりょうを再さい処理しょりした際さいに発生はっせいする廃液はいえき（高こうレベル放射ほうしゃ性せい廃棄はいき物ぶつ）中ちゅうには、キュリウムのほかアメリシウムなどの半減はんげん期きの長ながい核種かくしゅが含ふくまれる。これら核種かくしゅはマイナーアクチニドと呼よばれる。キュリウムを含ふくむ高こうレベル放射ほうしゃ性せい廃棄はいき物ぶつはガラス固化こか体たいに加工かこうされ、日本にっぽんの場合ばあいは高こうレベル放射ほうしゃ性せい廃棄はいき物ぶつ貯蔵ちょぞう管理かんりセンターで保管ほかん。ゆくゆくは地層ちそう処分しょぶんされる^[3]^[4]。

出典しゅってん

^ ^a ^b Schenkel, R (1977). “The electrical resistivity of 244Cm metal”. Solid State Communications 23: 389. doi:10.1016/0038-1098(77)90239-3.
^ ^a ^b ^c 桜井さくらい弘ひろし『元素げんそ111の新しん知識ちしき』講談社こうだんしゃ、1998年ねん、394～395頁ぺーじ。ISBN 4-06-257192-7。
^ 根岸ねぎし仁ひとし, 上出かみで英樹ひでき, 前田まえだ誠一郎せいいちろう, 中村なかむら博文ひろぶみ, 安部あべ智之としゆき「最先端さいせんたんの研究けんきゅう開発かいはつ日本にっぽん原子力げんしりょく研究けんきゅう開発かいはつ機構きこう : 第だい4回かい今いまこそ，高速こうそく炉ろの話はなし：持続じぞく性せいあるエネルギー供給きょうきゅうへ」『日本にっぽん原子力げんしりょく学会がっかい誌しATOMOΣしぐま』第だい62巻かん第だい8号ごう、日本にっぽん原子力げんしりょく学会がっかい、2020年ねん、438-441頁ぺーじ、doi:10.3327/jaesjb.62.8_438、2024年ねん1月がつ6日にち閲覧えつらん。
^ “返還へんかんされるガラス固化こか体たいについて”. 日本原燃にほんげんねん. 2023年ねん11月8日にち閲覧えつらん。

[res-1] Schenkel, R (1977). “The electrical resistivity of 244Cm metal”. Solid State Communications 23: 389. doi:10.1016/0038-1098(77)90239-3.

[sakurai-2] 桜井さくらい弘ひろし『元素げんそ111の新しん知識ちしき』講談社こうだんしゃ、1998年ねん、394～395頁ぺーじ。ISBN 4-06-257192-7。

[3] 根岸ねぎし仁ひとし, 上出かみで英樹ひでき, 前田まえだ誠一郎せいいちろう, 中村なかむら博文ひろぶみ, 安部あべ智之としゆき「最先端さいせんたんの研究けんきゅう開発かいはつ日本にっぽん原子力げんしりょく研究けんきゅう開発かいはつ機構きこう : 第だい4回かい今いまこそ，高速こうそく炉ろの話はなし：持続じぞく性せいあるエネルギー供給きょうきゅうへ」『日本にっぽん原子力げんしりょく学会がっかい誌しATOMOΣしぐま』第だい62巻かん第だい8号ごう、日本にっぽん原子力げんしりょく学会がっかい、2020年ねん、438-441頁ぺーじ、doi:10.3327/jaesjb.62.8_438、2024年ねん1月がつ6日にち閲覧えつらん。

[4] “返還へんかんされるガラス固化こか体たいについて”. 日本原燃にほんげんねん. 2023年ねん11月8日にち閲覧えつらん。

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