第だい3族ぞく元素げんそ

族ぞく	← 3 →
周期しゅうき
4	21 Sc
5	39 Y
6	57 〜71 *
7	89 〜103 *

第だい3族ぞく元素げんそ（だいさんぞくげんそ）とは周期しゅうき表ひょうの第だい3カラムに属ぞくする元素げんそ。ただし、IUPACが周期しゅうき表ひょうの公式こうしきな標準ひょうじゅんを定さだめていないため、採用さいようする周期しゅうき表ひょうにより複数ふくすうの異ことなる定義ていぎがある。

1. スカンジウム (₂₁Sc)、イットリウム (₃₉Y)、ランタン (₅₇La)、アクチニウム (₈₉Ac)
2. スカンジウム (₂₁Sc)、イットリウム (₃₉Y)、ルテチウム (₇₁Lu)、ローレンシウム (₁₀₃Lr)
3. スカンジウム (₂₁Sc)、イットリウム (₃₉Y)、ランタノイド (₅₇La-₇₁Lu)、アクチノイド (₈₉Ac-₁₀₃Lr)
4. スカンジウム (₂₁Sc)、イットリウム (₃₉Y)

以下いかでは、3.のグループについて述のべる。

スカンジウム族ぞくとも呼よばれる。スカンジウム族ぞくにも、第だい3族ぞくと同様どうように意味いみの曖昧あいまいさがある。

スカンジウム、イットリウム、ランタノイド（アクチノイドは含ふくまない）は、希土類きどるい元素げんそ（レアアース）と総称そうしょうされる。

第だい3族ぞくは第だい1族ぞくや第だい2族ぞくと異ことなり、閉殻になっていないd軌道きどう（あるいはf軌道きどう）を持もつことから遷移せんい元素げんそとして取とり扱あつかわれる。

性質せいしつ

${\ce {(n-1)d^1ns^2}}$の電子でんし配置はいちを持もつ。3価かの陽ひイオンとなりやすい。

内うち殻から電子でんしに不ふ対たい電子でんしや空そら軌道きどうを持もつ電子でんし構造こうぞうを有ゆうする。（dブロック元素げんそ、fブロック元素げんそ）

		電子でんし配置はいち	第だい1イオン化いおんかエネルギー (kJ mol-1)	第だい2イオン化いおんかエネルギー (kJ mol-1)	第だい3イオン化いおんかエネルギー （kJ mol-1）	電子でんし親和力しんわりょく （電子でんしボルト）	電気でんき陰性いんせい度ど (Allred-Rochow)	イオン半径はんけい (pm; M3+)	金属きんぞく結合けつごう半径はんけい (pm)	融点ゆうてん (K)	沸点ふってん (K)	酸化さんか還元かんげん 電位でんい E0 (V)
スカンジウム ${\ce {_21Sc}}$		[Ar]3d14s2	631.0	1235	2389	0.188	1.20	88 （6配はい位い） 101 （8配はい位い）	163	1814	3103	-2.03
イットリウム ${\ce {_39Y}}$		[Kr]4d15s2	615.6	1181	1980	0.307		104 （6配はい位い） 116 （8配はい位い）	178	1799	3609	-2.37
ランタノイド	ランタン ${\ce {_57La}}$	[Xe]5d16s2	538.1	1067	1850	0.5	108	117 （6配はい位い） 130 （8配はい位い）	1.87	1193	3730	-2.37
	セリウム ${\ce {_58Ce}}$	[Xe]4f15d16s2	534.4	1047	1949	<0.5	1.06	115 （6配はい位い） 128 （8配はい位い）	183	1071	3699	-2.34
	プラセオジム ${\ce {_59Pr}}$	[Xe]4f36s2	527.2	1018	2086	<0.5	1.07		182	1204	3793
	ネオジム ${\ce {_60Nd}}$	[Xe]4f46s2	533.1	1034		<0.5	1.07	112 （6配はい位い）	181	1297	3373	-2.32
	プロメチウム ${\ce {_61Pm}}$	[Xe]4f56s2	538.6	1052		<0.5			180	1373	3273
	サマリウム ${\ce {_62Sm}}$	[Xe]4f66s2	544.5	1068		<0.5			179	1345	2076	-2.30
	ユウロピウム ${\ce {_63Eu}}$	[Xe]4f76s2	547.1	1085		<0.5		109 （6配はい位い）	198	1099	1800	-1.99
	ガドリニウム ${\ce {_64Gd}}$	[Xe]4f75d16s2	593.4	1170		<0.5		108 （6配はい位い）	179	1585	3523
	テルビウム ${\ce {_65Tb}}$	[Xe]4f96s2	565.8	1112		<0.5			176	1629	3503
	ジスプロシウム ${\ce {_66Dy}}$	[Xe]4f106s2	573.0	1126		<0.5		105 （6配はい位い）	175	1680	2840
	ホルミウム ${\ce {_67Ho}}$	[Xe]4f116s2	581.0	1139		<0.5			174	1743	2968
	エルビウム ${\ce {_68Er}}$	[Xe]4f126s2	589.3	1151		<0.5			173	1795	3136
	ツリウム ${\ce {_69Tm}}$	[Xe]4f136s2	596.3	1163	2288	<0.5			172	1818	2220
	イッテルビウム ${\ce {_70Yb}}$	[Xe]4f146s2	603.4	1174	2430	<0.5			194	1097	1467	-2.22
	ルテチウム ${\ce {_71Lu}}$	[Xe]4f145d16s2	523.5	1340		<0.5	114	100 （6配はい位い）	1.72	1925	3675
アクチノイド	アクチニウム ${\ce {_89Ac}}$	[Rn]6d17s2	499	1170				126 （6配はい位い）	188	1323	3473	-2.13
	トリウム ${\ce {_90Th}}$	[Rn]6d27s2	587	1110	1930		1.11	108 （6配はい位い）	180	2028	5061
	プロトアクチニウム ${\ce {_91Pa}}$	[Rn]5f26d17s2	568						161	2113	4300
	ウラン ${\ce {_92U}}$	[Rn]5f36d17s2	597.3				1.22	117 （6配はい位い）	138	1405	2070	-1.80
	ネプツニウム ${\ce {_93Np}}$	[Rn]5f46d17s2	604.6						130	910	4273	-1.83
	プルトニウム ${\ce {_94Pu}}$	[Rn]5f67s2	560				1.22	114 （6配はい位い）	160	913	3503	-2.00
	アメリシウム ${\ce {_95Am}}$	[Rn]5f77s2	580						181	1449	2284	-2.07
	キュリウム ${\ce {_96Cm}}$	[Rn]5f76d17s2	588							1618
	バークリウム ${\ce {_97Bk}}$	[Rn]5f97s2	608							1323
	カリホルニウム ${\ce {_98Cf}}$	[Rn]5f107s2	610							1173
	アインスタイニウム ${\ce {_99Es}}$	[Rn]5f117s2	629							1133
	フェルミウム ${\ce {_100Fm}}$	[Rn]5f127s2	641
	メンデレビウム ${\ce {_101Md}}$	[Rn]5f137s2	650
	ノーベリウム ${\ce {_102No}}$	[Rn]5f147s2	660
	ローレンシウム ${\ce {_103Lr}}$	[Rn]5f147s27p1	470

第だい3族ぞく元素げんそは+3価か（あるいは+2価か）の状態じょうたいを取とり易やすく、化学かがく的てき性質せいしつも互たがいによく似にている。中なかでもイットリウムはジスプロシウムやホルミウムとよく似にている。

相違そうい点てんを挙あげると、スカンジウムはある程度ていどアルミニウムとの類似るいじ性せいを示しめし、共有きょうゆう結合けつごう半径はんけいもイオン半径はんけいも、どのランタノイド元素げんそよりも小ちいさい。またスカンジウムの酸化さんか物ぶつの塩基えんき性せいはランタノイド元素げんその酸化さんか物ぶつより弱よわく、スカンジウムの塩化えんか物ぶつはランタノイド元素げんその酸化さんか物ぶつより揮発きはつ性せいが高たかい。

一方いっぽう、イットリウムの共有きょうゆう結合けつごう半径はんけいもイオン半径はんけいもジスプロシウムやホルミウムとほぼ同おなじで、水酸化物すいさんかぶつの塩基えんき性せいなど化学かがく的てき性質せいしつも両者りょうしゃによく似にている。

アクチノイド元素げんそもランタノイド元素げんそと性質せいしつがよく似にているが、+5価か以上いじょうの高次こうじ酸化さんか状態じょうたいを取とりやすい傾向けいこうがある。またランタノイド元素げんそやアクチノイド元素げんそのイオンは有色ゆうしょくのものが多おおく、それらイオンの大半たいはんが常つね磁性じせいを示しめす（La³⁺、Ce⁴⁺、Yb²⁺、Lu³⁺が常つね磁性じせいを示しめさない）。

引用いんよう文献ぶんけん

1. 化学かがく便覧びんらん 基礎きそ編へん, 日本にっぽん化か学会がっかい編へん, 改訂かいてい5版はん, 丸善まるぜん
2. R.B.ヘスロップ, K. ジョーンズ, 無機むき化学かがく, 東京とうきょう化学かがく同人どうじん

関連かんれん項目こうもく

• 元素げんその族ぞく
• 周期しゅうき律りつ
• 周期しゅうき表ひょう
• 遷移せんい元素げんそ