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ボーリウム

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シーボーギウム ボーリウム ハッシウム
Re

Bh

不明ふめい
外見がいけん
不明ふめい
一般いっぱん特性とくせい
名称めいしょう, 記号きごう, 番号ばんごう ボーリウム, Bh, 107
分類ぶんるい 遷移せんい金属きんぞく
ぞく, 周期しゅうき, ブロック 7, 7, d
原子げんしりょう [270]
電子でんし配置はいち [Rn] 5f14 6d5 7s2計算けいさん[1]
電子でんしから 2, 8, 18, 32, 32, 13, 2(推定すいてい)(画像がぞう
物理ぶつり特性とくせい
密度みつど室温しつおん付近ふきん 37.1 g/cm3
原子げんし特性とくせい
酸化さんかすう 7
イオン化いおんかエネルギー だい1: 740(概算がいさん[1] kJ/mol
だい2: 1690(概算がいさん[1] kJ/mol
だい3: 2570(概算がいさん[1] kJ/mol
原子げんし半径はんけい 127 pm
共有きょうゆう結合けつごう半径はんけい 141 pm
その
結晶けっしょう構造こうぞう 六方ろっぽうさいみつ充填じゅうてん構造こうぞう
CAS登録とうろく番号ばんごう 54037-14-8
おも同位どういたい
詳細しょうさいボーリウムの同位どういたい参照さんしょう
同位どういたい NA 半減はんげん DM DE (MeV) DP
267Bh syn 17 s αあるふぁ 8.83 263Db
270Bh syn 61 s αあるふぁ 8.93 266Db
271Bh syn αあるふぁ 267Db
272Bh syn 9.8 s αあるふぁ 9.02 268Db
274Bh syn 44s[2] αあるふぁ 8.8 270Db
半減はんげん1 s以上いじょう同位どういたいのみ記載きさい

ボーリウムえい: bohrium)は、原子げんし番号ばんごう107の元素げんそ元素げんそ記号きごうBh天然てんねんには存在そんざいしない人工じんこう放射ほうしゃせい元素げんそであり[3]名称めいしょうデンマーク物理ぶつり学者がくしゃニールス・ボーアにちなむ[4]

既知きち同位どういたいはすべて非常ひじょう放射ほうしゃせいたかい。られているなかもっと安定あんていした同位どういたい270Bhであり半減はんげんやく61びょうであるが、確認かくにん278Bhの半減はんげんやく690びょうである可能かのうせいがある。

周期しゅうきひょうでは、Dブロック元素げんそちょうアクチノイド元素げんそである。だい7周期しゅうき元素げんそであり、遷移せんい金属きんぞくで6d系列けいれつの5番目ばんめ元素げんそとしてだい7ぞく元素げんそぞくする。化学かがく実験じっけんによりボーリウムはだい7ぞくレニウムよりおも同族どうぞくたいとしてうことが確認かくにんされている。化学かがくてき特性とくせい部分ぶぶんてきにしか特徴とくちょうづけられていないが、だい7ぞく元素げんそ特性とくせいとよく比較ひかくされる。

歴史れきし

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元素げんそ107は当初とうしょデンマークのかく物理ぶつり学者がくしゃニールス・ボーアにちなんでニールスボーリウム(Ns)という名前なまえ提案ていあんされた。この名前なまえはのちにIUPACによりボーリウム(Bh)に変更へんこうされた。

発見はっけん

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2つのグループがこの元素げんそ発見はっけん主張しゅちょうした。ボーリウムの証拠しょうこ最初さいしょ1976ねんユーリイ・オガネシアンひきいるソ連それん研究けんきゅうチームにより報告ほうこくされた。そこではビスマス209なまり208のターゲットにそれぞれクロム54とマンガン55の加速かそくされた原子核げんしかくまれた[5]。2つの活動かつどうられ、1つは1-2ミリびょう半減はんげんち、もう1つはやく5びょう半減はんげんっていた。これら2つの活動かつどう強度きょうど実験じっけんつうじて一定いっていであったため、1番目ばんめ活動かつどう同位どういたいボーリウム261によるものであり、2番目ばんめはそのむすめドブニウム257によるものであると提案ていあんされた。のちにドブニウムの同位どういたいはドブニウム258に修正しゅうせいされ、これの半減はんげん実際じっさいに5びょうである(ドブニウム257の半減はんげんは1びょうである)。しかし、そのおや観測かんそくされた半減はんげんは1981ねんダルムシュタットでボーリウムが決定的けっていてき発見はっけんされたのち観測かんそくされた半減はんげんよりもはるかにみじかい。IUPAC/IUPAP Transfermium Working Group (TWG)はドブニウム258はおそらくこの実験じっけんられたが、そのおやであるボーリウム262を生成せいせいしたという証拠しょうこ十分じゅうぶん説得せっとくりょくがないと結論けつろんけた[4][6]

1981ねん、ダルムシュタットにあるじゅうイオン研究所けんきゅうじょ(GSI Helmholtzzentrum für Schwerionenforschung)のペーター・アルムブルスターゴットフリート・ミュンツェンベルクひきいられたドイツの研究けんきゅうチームはビスマス209のターゲットにクロム54の加速かそくした原子核げんしかく衝突しょうとつさせ、ボーリウム262の同位どういたいの5つの原子げんし生成せいせいした[4][7]

209
83
Bi
+ 54
24
Cr
262
107
Bh
+ n

この発見はっけんは、生成せいせいしたボーリウム原子げんしから既知きちであったフェルミウムカリホルニウム同位どういたいへのアルファ崩壊ほうかい連鎖れんさ詳細しょうさい測定そくていすることでさらに裏付うらづけられた。IUPAC/IUPAP Transfermium Working Group (TWG)は1992ねん報告ほうこくしょでGSIの共同きょうどう研究けんきゅう公式こうしき発見はっけんとして認証にんしょうした[6]

提案ていあんされた名前なまえ

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1992ねん9がつ、ドイツのグループはデンマークの物理ぶつり学者がくしゃニールス・ボーアとなえてニールスボーリウム(記号きごうNs)という名前なまえ提案ていあんした。ドゥブナ合同ごうどう原子核げんしかく研究所けんきゅうじょソ連それん科学かがくしゃたちはこの名前なまえ元素げんそ105にけることを提案ていあんし(最終さいしゅうてき元素げんそ105はドブニウムと命名めいめいされた)、ドイツのチームはボーアとドゥブナのチームがはじめて低温ていおんかく融合ゆうごう反応はんのう提案ていあん元素げんそ105の命名めいめいかんする議論ぎろんされている問題もんだい解決かいけつしたという事実じじつ両方りょうほうみとめたいとかんがえていた。ドゥブナのチームはドイツのグループの元素げんそ107にたいする命名めいめい提案ていあん同意どういした[8]

104から106の元素げんそ命名めいめいについては論争ろんそうがあった。IUPACはこの元素げんそ一時いちじてき系統けいとうてき名前なまえとしてウンニルセプチウム(えい: Unnilseptium, Uns)をっていた[9]。1994ねん、IUPACの委員いいんかい元素げんそ名前なまえ科学かがくしゃ完全かんぜん名前なまえ使用しようする前例ぜんれいがなかったため、元素げんそ107をニールスボーリウムではなくボーリウムとすることをすすめた[9][10]名前なまえホウ素ほうそ(ボロン)と混同こんどうされるかもしれずとくにそれぞれのオキソアニオンはともにボーレイト(bohrate, borate)となるため、ボーリウムは発見はっけんしゃらにより反対はんたいされた。この問題もんだいはIUPACのデンマーク支部しぶわたされたが、これにもかかわらずボーリウムという名前なまえ賛成さんせいしたため1997ねん元素げんそ107の名前なまえとしてボーリウムが国際こくさいてきみとめられた[9]ホウ素ほうそとボーリウムそれぞれのオキソアニオンの名前なまえ英語えいご同音どうおんであるが、変更へんこうされていない[11]

2000ねんスイス塩化えんかボーリウムさん(BhO3Cl)が合成ごうせいされている。沸点ふってんは151℃[12]

同位どういたい

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ボーリウムの同位どういたい
同位どういたい
半減はんげん
[13][14]
崩壊ほうかいモード[13][14] 発見はっけんねん 反応はんのう
260Bh 35 ms αあるふぁ 2007 209Bi(52Cr,n)[15]
261Bh 11.8 ms αあるふぁ 1986 209Bi(54Cr,2n)[16]
262Bh 84 ms αあるふぁ 1981 209Bi(54Cr,n)[7]
262mBh 9.6 ms αあるふぁ 1981 209Bi(54Cr,n)[7]
264Bh 0.97 s αあるふぁ 1994 272Rg(—,2αあるふぁ)[17]
265Bh 0.9 s αあるふぁ 2004 243Am(26Mg,4n)[18]
266Bh 0.9 s αあるふぁ 2000 249Bk(22Ne,5n)[19]
267Bh 17 s αあるふぁ 2000 249Bk(22Ne,4n)[19]
270Bh 61 s αあるふぁ 2006 282Nh(—,3αあるふぁ)[20]
271Bh 1.2 s αあるふぁ 2003 287Mc(—,4αあるふぁ)[20]
272Bh 9.8 s αあるふぁ 2005 288Mc(—,4αあるふぁ)[20]
274Bh 40 s αあるふぁ 2009 294Ts(—,5αあるふぁ)[2]
278Bh 11.5 min? SF 1998? 290Fl(e,νにゅーe3αあるふぁ)?

ボーリウムには安定あんてい同位どういたいおよび自然しぜん発生はっせいする同位どういたいはない。実験じっけんしつでは2つの原子げんし融合ゆうごうさせるかよりおも元素げんそ崩壊ほうかい観測かんそくすることによりいくつかの放射ほうしゃせい同位どういたい合成ごうせいされている。ことなる12同位どういたい原子げんし質量しつりょう260–262, 264–267, 270–272, 274, 278で報告ほうこくされている。そのうち1つのボーリウム262は既知きちじゅん安定あんてい状態じょうたいつ。確認かくにん278Bhをのぞくこれらすべての同位どういたいはアルファ崩壊ほうかいによってのみ崩壊ほうかいするが、いくつか未知みちのボーリウム同位どういたい自発じはつ核分裂かくぶんれつこすと予測よそくされている[13]

かる同位どういたいほう通常つうじょう半減はんげんみじかく、260Bh, 261Bh, 262Bh, 262mBhの半減はんげんは100ms未満みまん観測かんそくされている。264Bh, 265Bh, 266Bh, 271Bhはやく1びょうでより安定あんていしており、267Bhと272Bhの半減はんげんやく10びょうである。もっとおも同位どういたいもっと安定あんていしており、270Bhと274Bhの半減はんげんはそれぞれ61 s と 40 sと測定そくていされており、さらにおも未確認みかくにん同位どういたい278Bhはやく690 sとさらになが半減はんげんつとおもわれる。

質量しつりょう260, 261, 262のもっと陽子ようしおお同位どういたいは、低温ていおんかく融合ゆうごうにより直接ちょくせつ生成せいせいされ、質量しつりょうが262と264の同位どういたいはマイトネリウムとレントゲニウムの崩壊ほうかい系列けいれつ報告ほうこくされ、質量しつりょうが265, 266, 267の中性子ちゅうせいしおお同位どういたいはアクチノイドのターゲットに照射しょうしゃすることで生成せいせいされた。質量しつりょうが270, 271, 272, 274, および278(確認かくにん)のもっと中性子ちゅうせいしおおい5つはそれぞれ282Nh, 287Mc, 288Mc, 294Ts, および290Flの崩壊ほうかい連鎖れんさあらわれる。これら11個いっこ同位どういたい半減はんげん262mBhのやく10ミリびょうから270Bhと274Bhのやく1ふんまであり、確認かくにん278Bhではやく12ふんたっする。これは半減はんげんもっとなが既知きちちょうじゅう核種かくしゅの1つである[21]

予測よそくされる特性とくせい

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ボーリウムやその化合かごうぶつ特性とくせいはほとんど測定そくていされていない。これは生産せいさん非常ひじょうかぎられ高価こうかであるのと[22]ボーリウム(およびそのおや)が非常ひじょう急速きゅうそく崩壊ほうかいするという事実じじつによる。いくつかのめずらしい化学かがく関連かんれん特性とくせい測定そくていされたが、ボーリウム金属きんぞく特性とくせい不明ふめいのままであり予測よそくのみできる。

化学かがくてき特性とくせい

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周期しゅうきひょうにおいて遷移せんい金属きんぞくの6d系列けいれつの5番目ばんめ元素げんそであり、だい7ぞくもっとおも元素げんそでありマンガンテクネチウムレニウムした位置いちする。このぞく元素げんそすべ酸化さんか状態じょうたい+7を容易よういにとりくだるにつれて状態じょうたいがより安定あんていする。よって、ボーリウムは安定あんていした+7状態じょうたい形成けいせいすると予想よそうされる。テクネチウムは安定あんていした+4状態じょうたいしめすが、レニウムは+4と+3状態じょうたいしめす。したがってボーリウムはこれらのひく状態じょうたいしめ可能かのうせいもある[23]たかい+7酸化さんか状態じょうたいはオキシアニオンに存在そんざいする可能かのうせいたかく、たとえばマンガンさんしおテウネチウムさんしおレニウムさんしお類似るいじボーリウムさんしお(BhO
4
)である。しかしながら、ボーリウム(VII)は水溶液すいようえきちゅう不安定ふあんていである可能かのうせいたかく、おそらくより安定あんていしたボーリウム(IV)に容易ようい還元かんげんされる[24]

テクネチウムとレニウムは揮発きはつせいなな酸化さんかぶつM2O7 (M = Tc, Re)を形成けいせいすることがられているため、ボーリウムも揮発きはつせい酸化さんかぶつBh2O7形成けいせいするはずである。この酸化さんかぶつみず溶解ようかいボーリウムさんしおHBhO4形成けいせいするはずである。レニウムとテクネチウムは酸化さんかぶつのハロゲンにより様々さまざまなオキシハロゲン化物ばけもの形成けいせいする。酸化さんかぶつ塩素えんそによりオキシ塩化えんかぶつMO3Clを形成けいせいするため、BhO3Clもこの反応はんのう形成けいせいされるはずである。レニウム化合かごうぶつReOF5とReF7くわえてフッ素ふっそによりおも元素げんそでMO3FとMO2F3形成けいせいされる。したがって、ボーリウムのオキシフッ化物ばけもの形成けいせいはエカレニウムの特性とくせいしめすのに役立やくだ[25]。オキシ塩化えんかぶつ非対称ひたいしょうであり、ぞくしたにいくにつれて双極そうきょくモーメントはおおきくなるはずであり、揮発きはつせいちいさくなる(TcO3Cl > ReO3Cl > BhO3Cl)。これはこれら3つの化合かごうぶつ吸着きゅうちゃくエンタルピー測定そくていすることにより実験じっけんてき確認かくにんされた。TcO3ClとReO3Clのはそれぞれ−51 kJ/molと−61 kJ/molである。BhO3Clの実験じっけんは−77.8 kJ/molであり、理論りろんてき予想よそうされるである−78.5 kJ/molに非常ひじょうちか[24]

物理ぶつりてき特性とくせい原子げんし

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ボーリウムは通常つうじょう条件下じょうけんかでは固体こたいであると予想よそうされ、よりかる同族どうぞくたいであるレニウムと同様どうよう六方ろっぽうさいみつ結晶けっしょう構造こうぞう(c/a = 1.62)と予想よそうされている[26]密度みつどやく37.1 g/cm3非常ひじょうおも金属きんぞくであるとかんがえられ、これは118の既知きち元素げんそなかで3番目ばんめたかく、うえにはマイトネリウム (37.4 g/cm3) とハッシウム (41 g/cm3)があり、この2つは周期しゅうきひょうでボーリウムのつぎ2つの元素げんそである。比較ひかくすると、密度みつど測定そくていされた元素げんそなかもっと密度みつどたか既知きち元素げんそであるオスミウム密度みつどはわずか22.61 g/cm3である。これはボーリウムのたか原子げんしりょうランタノイドとアクチノイドの収縮しゅうしゅく、および相対そうたいろん効果こうかによるものであるが、このりょう測定そくていするのに十分じゅうぶんなボーリウムを生産せいさんすることは現実げんじつてきではなく、試料しりょうはすぐに崩壊ほうかいするであろう[24]

原子げんし半径はんけいやく128 pmと予想よそうされている[24]。7s軌道きどう相対そうたいろんてき安定あんていと6d軌道きどう不安定ふあんていにより、Bh+イオンは[Rn] 5f14 6d4 7s2電子でんし配置はいちつと予測よそくされ、7s電子でんしではなく6d電子でんし放出ほうしゅつする。これはよりかる同族どうぞくたいであるマンガンとテクネチウムの挙動きょどう反対はんたいである。一方いっぽうでレニウムは同族どうぞくたいのボーリウムとおなじく6s電子でんし放出ほうしゅつするまえに5d電子でんし放出ほうしゅつする。これは相対そうたいろん効果こうかだい6周期しゅうきまでにおおきくなるためであり、きむ黄色おうしょく水銀すいぎんひく融点ゆうてん原因げんいんでもある。Bh2+イオンの電子でんし配置はいちは[Rn] 5f14 6d3 7s2であると予想よそうされる。これにたいしてRe2+イオンは[Xe] 4f14 5d5という電子でんし配置はいちであることが予想よそうされ、この場合ばあいはマンガンやテクネチウムに類似るいじしている[24]。6はいで7のボーリウムのイオン半径はんけいは58 pmと予想よそうされる(7のマンガン、テクネチウム、レニウムはそれぞれ46, 57, 53 pmである)。5のボーリウムは83 pmとおおきいイオン半径はんけいであるとかんがえられている[24]

実験じっけん化学かがく

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1995ねん元素げんそ分離ぶんりこころみにかんする最初さいしょ報告ほうこく成功せいこうであり、ボーリウム(比較ひかくのためにかる同族どうぞくたいであるテクネチウムとレニウムを使用しよう)を研究けんきゅうする最善さいぜん方法ほうほう研究けんきゅうするあらたな理論りろん研究けんきゅううながし、3アクチノイドだい5ぞく元素げんそポロニウムなどの不要ふよう汚染おせん元素げんそのぞいた[27]

2000ねん相対そうたいろん効果こうか重要じゅうようであるにもかかわらず、ボーリウムは典型てんけいてきだい7ぞく元素げんそのようにいことが確認かくにんされた[28]パウル・シェラー研究所けんきゅうじょ(PSI)のチームは249Bkと22Neイオン反応はんのう生成せいせいした267Bhの6原子げんしもちいて化学かがく反応はんのうおこなった。られた原子げんしねつ平衡へいこうされ、HCl/O2混合こんごうぶつ反応はんのう揮発きはつせいのオキシ塩化えんかぶつ形成けいせいされた。この反応はんのうによりかる同族どうぞくたいであるテクネチウム(108Tc)とレニウム(169Re)の同位どういたい生成せいせいした。等温とうおん吸着きゅうちゃく曲線きょくせん測定そくていすると、オキシ塩化えんかレニウムと同様どうよう性質せいしつ揮発きはつせいオキシ塩化えんかぶつ形成けいせいされているつよ証拠しょうこ確認かくにんされた。これによりボーリウムはだい7ぞく元素げんそ典型てんけいとなった[29]。この実験じっけんではテクネチウム、レニウム、ボーリウムのオキシ塩化えんかぶつ吸着きゅうちゃくエントロピーが測定そくていされ、理論りろんてき予測よそくとよく一致いっちし、だい7ぞくでオキシ塩化えんかぶつ揮発きはつせい低下ていかすることを示唆しさしている[24]

2 Bh + 3 O2 + 2 HCl → 2 BhO3Cl + H2

おも元素げんそむすめとして生成せいせいされたボーリウムの半減はんげんながおも同位どういたい将来しょうらいてき放射ほうしゃ化学かがく実験じっけん有利ゆうり性質せいしつっている。おも同位どういたい274Bhは生産せいさんするときに希少きしょう放射ほうしゃせいたかバークリウムのターゲットを必要ひつようとするが、同位どういたい272Bh, 271Bh, 270Bhはより容易ようい生成せいせいできるモスコビウムニホニウム同位どういたいむすめとして容易ようい生成せいせいすることができる[30]

出典しゅってん

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書誌しょし情報じょうほう

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外部がいぶリンク

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(University of Nottingham)