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とうくさり

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
とう脂質ししつ一種いっしゅであるガングリオシドGQ1b

とうくさり(とうさ、英語えいご: glycan)とは、各種かくしゅとうグリコシド結合けつごうによって、くさりのように[1]つながりあった一群いちぐん化合かごうぶつす。結合けつごうしたとうかずは2つからすうまんまで様々さまざまであり、10程度ていどまでのものをオリゴとうともぶ。多数たすうαあるふぁ-グルコース分子ぶんしからが直線ちょくせんじょう結合けつごうしたアミロースセルロースもっと単純たんじゅんとうくさりといえる。

とうくさりとう同士どうしだけでなく、タンパク質たんぱくしつ脂質ししつそのてい分子ぶんしとも結合けつごうして多様たよう分子ぶんしつくす。これらとうタンパク質たんぱくしつとう脂質ししつ生体せいたいない重要じゅうよう生理せいり作用さようになう。

とうくさりは、タンパク質たんぱくしつDNAゲノムつづだいさん生命せいめいくさり[1](バイオポリマー)とばれる。前者ぜんしゃふたつにくらおくれていた研究けんきゅう本格ほんかくしつつあり、日本にっぽん東海とうかい国立こくりつ大学だいがく機構きこうなどがとうくさりのデータベースなどのプロジェクトに2023年度ねんどから着手ちゃくしゅした[1]

生体せいたいないでのとうくさり

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アミロースやアミロペクチングリコーゲンなどは、グルコースを多数たすう結合けつごうさせて、体内たいないでのエネルギーげんとして保存ほぞんしやすいかたち蓄積ちくせきしたものといえる。またセルロースやキチンなどは丈夫じょうぶ繊維せんいになるため、動植物どうしょくぶつからだ構築こうちくする素材そざいとして重要じゅうようである。とうタンパク質たんぱくしつとうくさりには、セリンスレオニンヒドロキシもとαあるふぁ結合けつごうしているO-グリコシド結合けつごうとうくさりと、アスパラギンアミノもとβべーた結合けつごうしているN-グリコシド結合けつごうとうくさりがある。N-グリコシド結合けつごうとうくさりはサイトソルとしょう胞体合成ごうせいされ、オリゴとう転移てんい酵素こうそ(OST)によってタンパク質たんぱくしつのアスパラギンに結合けつごうさせられる。このとうくさりねつショックタンパクしつフォールディングかかわっているものもあり、それらはシャペロンといわれる。O-グリコシド結合けつごうとうくさりにはムチンかたとうくさりプロテオグリカンとう脂質ししつなどがある。

細胞さいぼう表面ひょうめんにもシアルさんふくガングリオシドなどのとうくさり存在そんざいしており、これらは細胞さいぼう接着せっちゃく抗原こうげん抗体こうたい反応はんのうウイルス感染かんせんなど細胞さいぼうのコミュニケーションに重要じゅうよう役割やくわりになう。たとえば血液けつえきがた(ABOしき)のちがいをつくしているのも、とうくさり構造こうぞうである。また生理せいり活性かっせいてい分子ぶんしなかにもとうくさりつものがあり、これらはDNAの特定とくてい配置はいち認識にんしきして結合けつごうするなどしてその作用さようをアシストしている。

構造こうぞう多様たようせい

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とうくさりタンパク質たんぱくしつ、DNAにつづだい3のバイオポリマーとばれるが、その重要じゅうよう特性とくせい構造こうぞう多様たようせいにある。タンパク質たんぱくしつ・DNAの素材そざいであるアミノ酸あみのさん核酸かくさん塩基えんきいちれつならぶことしかできないのにたいし、とう多数たすうのヒドロキシもとすべ結合けつごう活用かつようしうるため、枝分えだわかれして複雑ふくざつ構造こうぞうつくすことができる。またグリコシド結合けつごうαあるふぁβべーた異性いせいたいかんがわせれば、かんがえられるとうくさりかずはさらにえる。とう種類しゅるい自体じたいペントースヘキソースアミノとうウロンさんるいデオキシとうなどバリエーションがおおいため、とうくさり種類しゅるいじつ膨大ぼうだいなものになる。とうくさり情報じょうほうにな分子ぶんしであるのは、こうした条件じょうけんによっているといえる。

とうくさり合成ごうせい

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遺伝子いでんし工学こうがく進展しんてんによりタンパク質たんぱくしつ合成ごうせい簡単かんたんにできるようになったのにたいし、とうくさり合成ごうせい純粋じゅんすい化学かがく合成ごうせいたよらざるをず、これがとうくさり機能きのう解明かいめいはばおおきな要因よういんとなっている。化学かがく合成ごうせいによる手段しゅだんも、前述ぜんじゅつしたようにとうくさり構造こうぞう複雑ふくざつであるためじゅうふん発展はってんしているとはがたい。

まずとう特定とくていのヒドロキシもとだけを反応はんのうさせるために、のヒドロキシもととの反応はんのうせい利用りようして保護ほごもとをかける必要ひつようがある。様々さまざま条件じょうけんだつ保護ほごできる保護ほごもと開発かいはつされており、グルコースなど一般いっぱんてきとうには選択せんたくてき保護ほごおこなうための手段しゅだん確立かくりつされている。ただしこの保護ほごだけでも段階だんかいようし、たか技術ぎじゅつ必要ひつようとなる。

グリコシル反応はんのうにおいとう、フッとう、アセトイミデート、チオグリコシドなど様々さまざま誘導体ゆうどうたいもちい、立体りったい制御せいぎょしながらとう同士どうし結合けつごうさせる反応はんのう数多かずおお開発かいはつされている。ただしこれらによってもまだおさむりつ選択せんたくせいなど十分じゅうぶんとはがたく、自由じゆう必要ひつようとうくさりつくせる段階だんかいにはまだとおいのが現状げんじょうである。かたあい合成ごうせいによって効率こうりつよく合成ごうせいおこな手段しゅだん検討けんとうされつつある。

また、近年きんねんとう転移てんい酵素こうそもちいた酵素こうそ合成ごうせいさかんにおこなわれてている。シアルさん転移てんい酵素こうそガラクトース転移てんい酵素こうそフコース転移てんい酵素こうそなどの一部いちぶとう核酸かくさん供与きょうよたいとして、適切てきせつ基質きしつ選択せんたくすることで、こうおさむりつこう選択せんたくてき目的もくてきとう導入どうにゅうすることができる。

化学かがく合成ごうせい酵素こうそ合成ごうせい併用へいようした、chemo-enzymatic な方法ほうほうは、生理せいり活性かっせいとうくさり合成ごうせいする有力ゆうりょく方法ほうほうひとつになっている。

脚注きゃくちゅう

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