化学 かがく 上 じょう の未 み 解決 かいけつ 問題 もんだい
配列 はいれつ および環境 かんきょう 情報 じょうほう のみに基 もと づいてポリペプチド 配列 はいれつ の二 に 次 じ 構造 こうぞう 、三 さん 次 じ 構造 こうぞう 、四 よん 次 じ 構造 こうぞう を予測 よそく することは可能 かのう か?逆 ぎゃく タンパク質 たんぱくしつ フォールディング問題 もんだい : 特定 とくてい の環境 かんきょう 条件下 じょうけんか で所与 しょよ の構造 こうぞう を採用 さいよう することになるポリペプチド配列 はいれつ を設計 せっけい することは可能 かのう か?[1] [2] これは近年 きんねん いくつかの小 しょう 球状 きゅうじょう タンパク質 たんぱくしつ で達成 たっせい されている[3] 。
フォールディング前 まえ とフォールディング後 ご のタンパク質 たんぱくしつ
タンパク質 たんぱくしつ フォールディングの結果 けっか
タンパク質 たんぱくしつ フォールディング (英語 えいご : Protein folding ) とは、タンパク質 たんぱくしつ 鎖 くさり がその本来 ほんらい の三 さん 次元 じげん 構造 こうぞう 、通常 つうじょう は生物 せいぶつ 学 がく 的 てき に機能 きのう するコンホメーション (立体 りったい 構造 こうぞう )を、迅速 じんそく かつ再現 さいげん 性 せい のある方法 ほうほう で獲得 かくとく する物理 ぶつり 的 てき なプロセス である。これは、ポリペプチド がランダムコイル からその特徴 とくちょう 的 てき で機能 きのう 的 てき な三 さん 次元 じげん 構造 こうぞう に折 お りたたまれる物理 ぶつり 的 てき な過程 かてい である[4] 。それぞれのタンパク質 たんぱくしつ は、mRNA の配列 はいれつ からアミノ酸 あみのさん の直 ちょく 鎖 くさり に翻訳 ほんやく されるとき、折 お りたたまれていないポリペプチドまたはランダムコイルとして存在 そんざい する。そのポリペプチドは、安定 あんてい した (長続 ながつづ きする) 立体 りったい 構造 こうぞう を欠 か いている (第 だい 1図 ず の左側 ひだりがわ )。そのポリペプチド鎖 くさり がリボソーム で合成 ごうせい されていく過程 かてい で、直 ちょく 鎖 くさり が三 さん 次元 じげん 構造 こうぞう に折 お りたたまれる。フォールディングは、ポリペプチド鎖 くさり の翻訳 ほんやく 中 ちゅう でも始 はじ まる。アミノ酸 あみのさん は互 たが いに相互 そうご 作用 さよう して、明確 めいかく に定義 ていぎ された三 さん 次元 じげん 構造 こうぞう 、つまり天然 てんねん 状態 じょうたい として知 し られている折 お りたたまれたタンパク質 たんぱくしつ (図 ず の右側 みぎがわ ) を生成 せいせい する。結果 けっか として生 しょう じる三 さん 次元 じげん 構造 こうぞう は、アミノ酸 あみのさん 配列 はいれつ または一 いち 次 じ 構造 こうぞう (アンフィンセンのドグマ ) によって決定 けってい される[5] 。
タンパク質 たんぱくしつ が機能 きのう を発揮 はっき するために正 ただ しい三 さん 次元 じげん 構造 こうぞう が不可欠 ふかけつ であるが、機能 きのう 性 せい タンパク質 たんぱくしつ の一部 いちぶ は折 お りたたまれていない状態 じょうたい のままになっていることがあり[6] 、ゆえにタンパク質 たんぱくしつ 動力 どうりょく 学 がく (英語 えいご 版 ばん ) が重要 じゅうよう となる。本来 ほんらい の構造 こうぞう に折 お りたたまれないと、一般 いっぱん に不 ふ 活性 かっせい なタンパク質 たんぱくしつ が生成 せいせい されるが、場合 ばあい によっては、誤 あやま って折 お りたたまれたタンパク質 たんぱくしつ の機能 きのう が改変 かいへん されたり、毒性 どくせい のある機能 きのう 性 せい を持 も つこともある。いくつかの神経 しんけい 変性 へんせい 疾患 しっかん やその他 た の疾患 しっかん は、誤 あやま って折 お りたたまれたタンパク質 たんぱくしつ によって形成 けいせい されたアミロイド 原 はら 線維 せんい の蓄積 ちくせき に起因 きいん すると考 かんが えられている[7] 。多 おお くのアレルギー は、一部 いちぶ のタンパク質 たんぱくしつ が正 まさ しく折 お りたたまれていないことが原因 げんいん で、免疫 めんえき 系 けい が特定 とくてい のタンパク質 たんぱくしつ 構造 こうぞう に対 たい する抗体 こうたい を産 さん 生 せい しないために引 ひ き起 お こされる[8] 。
タンパク質 たんぱくしつ の変性 へんせい は、折 お りたたまれた状態 じょうたい から折 お りたたまれていない状態 じょうたい に移行 いこう するプロセスである。これは、調理 ちょうり 、火傷 かしょう 、プロテオパチー 、その他 た の状況 じょうきょう で起 お こる。
フォールディング・プロセスの所要 しょよう 時間 じかん は、目的 もくてき のタンパク質 たんぱくしつ によって劇的 げきてき に異 こと なる。細胞 さいぼう 外 がい で調 しら べたとき、最 もっと も遅 おそ く折 お りたたまれるタンパク質 たんぱくしつ は、主 おも にプロリン 異性 いせい 化 か のために折 お りたたまれるのに数 すう 分 ふん から数時間 すうじかん を要 よう し、プロセスが完了 かんりょう するまでにチェックポイントのようないくつかの中 なか 間 あいだ 状態 じょうたい を通過 つうか する必要 ひつよう がある[9] 。一方 いっぽう 、長 なが さが100アミノ酸 あみのさん までの非常 ひじょう に小 ちい さなシングルドメイン タンパク質 たんぱくしつ は、通常 つうじょう 、1回 かい のステップで折 お りたたむことができる[10] 。時間 じかん スケールはミリ秒 びょう が一般 いっぱん 的 てき で、非常 ひじょう に速 はや い既知 きち のタンパク質 たんぱくしつ のフォールディング反応 はんのう は数 すう マイクロ秒 びょう 以内 いない に完了 かんりょう する[11] 。
タンパク質 たんぱくしつ のフォールディング過程 かてい [ 編集 へんしゅう ]
タンパク質 たんぱくしつ の一 いち 次 じ 構造 こうぞう である直線 ちょくせん 的 てき なアミノ酸 あみのさん 配列 はいれつ は、その本来 ほんらい のコンホメーションを決定 けってい する[12] 。特定 とくてい のアミノ酸 あみのさん 残 ざん 基 もと と、ポリペプチド鎖 くさり 内 ない におけるそれらの位置 いち は、タンパク質 たんぱくしつ のどの部分 ぶぶん が密接 みっせつ に折 お り重 かさ なり、その三 さん 次元 じげん 構造 こうぞう を形成 けいせい するかを決定 けってい する要因 よういん となる。アミノ酸 あみのさん 組成 そせい は配列 はいれつ ほど重要 じゅうよう ではない[13] 。しかし、フォールディングの本質 ほんしつ 的 てき な事実 じじつ は、各 かく タンパク質 たんぱくしつ のアミノ酸 あみのさん 配列 はいれつ が、本来 ほんらい の構造 こうぞう とその状態 じょうたい に到達 とうたつ するための経路 けいろ の両方 りょうほう を指定 してい する情報 じょうほう を含 ふく んでいることである。これは、ほぼ同 おな じアミノ酸 あみのさん 配列 はいれつ が常 つね に同 おな じように折 お りたためるということではない[14] 。類似 るいじ したタンパク質 たんぱくしつ でも、環境 かんきょう 要因 よういん によってコンホメーションは異 こと なり、どこで見 み つかったかによって異 こと なる方法 ほうほう で折 お りたたまれる。
α あるふぁ ヘリックス の螺旋 らせん 形成 けいせい
主 しゅ 鎖 くさり 内 ない に水素 すいそ 結合 けつごう を有 ゆう する反 はん 平行 へいこう β べーた プリーツシート
二 に 次 じ 構造 こうぞう の形成 けいせい は、タンパク質 たんぱくしつ がその本来 ほんらい の構造 こうぞう を取 と るための、フォールディング・プロセスの最初 さいしょ のステップである。二 に 次 じ 構造 こうぞう の特徴 とくちょう はα あるふぁ ヘリックス やβ べーた シート として知 し られている構造 こうぞう で、ライナス・ポーリング によって最初 さいしょ に述 の べられたように、分子 ぶんし 内 ない (英語 えいご 版 ばん ) 水素 すいそ 結合 けつごう によって安定 あんてい 化 か されているために急速 きゅうそく に折 お りたたまれる。分子 ぶんし 内 ない 水素 すいそ 結合 けつごう の形成 けいせい は、タンパク質 たんぱくしつ の安定 あんてい 性 せい に別 べつ の重要 じゅうよう な貢献 こうけん をしている[15] 。α あるふぁ ヘリックスは、主 しゅ 鎖 くさり の水素 すいそ 結合 けつごう により螺旋 らせん 状 じょう に形成 けいせい される (右 みぎ 図 ず 参照 さんしょう )[13] 。β べーた プリーツシートは、水素 すいそ 結合 けつごう を形成 けいせい するために主 しゅ 鎖 くさり が折 お り曲 ま がって形成 けいせい される構造 こうぞう である (左 ひだり 図 ず 参照 さんしょう )。水素 すいそ 結合 けつごう は、ペプチド結合 けつごう のアミド水素 すいそ とカルボニル酸素 さんそ の間 あいだ にある。逆 ぎゃく 平行 へいこう β べーた プリーツシートと平行 へいこう β べーた プリーツシートが存在 そんざい し、平行 へいこう β べーた シートによって形成 けいせい される傾斜 けいしゃ 水素 すいそ 結合 けつごう と比較 ひかく して、逆 ぎゃく 平行 へいこう β べーた プリーツシートの方 ほう が理想 りそう 的 てき な180度 ど の角度 かくど で水素 すいそ 結合 けつごう を形成 けいせい するため水素 すいそ 結合 けつごう の安定 あんてい 性 せい が高 たか くなっている[13] 。
α あるふぁ ヘリックスおよびβ べーた プリーツシートは、本質 ほんしつ 的 てき に両親 りょうしん 媒 なかだち 性 せい であるか、または親水 しんすい 性 せい 部分 ぶぶん と疎水 そすい 性 せい 部分 ぶぶん を含 ふく むことができる。二 に 次 じ 構造 こうぞう のこの性質 せいしつ はタンパク質 たんぱくしつ の三 さん 次 じ 構造 こうぞう 形成 けいせい を助 たす け、親水 しんすい 性 せい 側 がわ がタンパク質 たんぱくしつ を取 と り囲 かこ む水溶 すいよう 性 せい 環境 かんきょう に面 めん し、疎水 そすい 性 せい 側 がわ がタンパク質 たんぱくしつ の疎水 そすい 性 せい コアに面 めん するようにフォールディングが起 お こる[16] 。二 に 次 じ 構造 こうぞう は階層 かいそう 的 てき に三 さん 次 じ 構造 こうぞう の形成 けいせい によって取 と って代 か わられる。タンパク質 たんぱくしつ の三 さん 次 じ 構造 こうぞう が形成 けいせい され、疎水 そすい 性 せい 相互 そうご 作用 さよう によって安定 あんてい 化 か されると、2つのシステイン 残 ざん 基 もと 間 あいだ に形成 けいせい されたジスルフィド結合 けつごう の形 かたち で共有 きょうゆう 結合 けつごう が存在 そんざい することもある。タンパク質 たんぱくしつ の三 さん 次 じ 構造 こうぞう には、単一 たんいつ のポリペプチド鎖 くさり が含 ふく まれるが、折 お りたたまれたポリペプチド鎖 くさり の追加 ついか の相互 そうご 作用 さよう により四 よん 次 じ 構造 こうぞう が形成 けいせい される[17] 。
三 さん 次 じ 構造 こうぞう は、いくつかのタンパク質 たんぱくしつ の四 よん 次 じ 構造 こうぞう の形成 けいせい で取 と って代 か わられ、これには通常 つうじょう 、すでに折 お りたたまれてたサブユニットの「集合 しゅうごう 」または「会合 かいごう 」を含 ふく む。い換 いか えれば、複数 ふくすう のポリペプチド鎖 くさり が相互 そうご 作用 さよう して、完全 かんぜん に機能 きのう する四 よん 次 じ タンパク質 たんぱくしつ を形成 けいせい する可能 かのう 性 せい がある[13] 。
タンパク質 たんぱくしつ フォールディングの推進 すいしん 力 りょく [ 編集 へんしゅう ]
タンパク質 たんぱくしつ の構造 こうぞう をまとめた全 ぜん 形態 けいたい
フォールディングは、主 おも に疎水 そすい 性 せい 相互 そうご 作用 さよう 、分子 ぶんし 内 ない 水素 すいそ 結合 けつごう の形成 けいせい 、ファンデルワールス力 りょく によって導 みちび かれる自発 じはつ 的 てき 過程 かてい (英語 えいご 版 ばん ) であり、配 はい 座 ざ エントロピー によって対抗 たいこう を受 う ける[18] 。フォールディングのプロセスは、多 おお くの場合 ばあい 、共 きょう 翻訳 ほんやく 的 てき (部分 ぶぶん 的 てき な翻訳 ほんやく )に開始 かいし されるため、タンパク質 たんぱくしつ のC末端 まったん 部分 ぶぶん がまだリボソームによって合成 ごうせい されている間 あいだ に、先 さき に翻訳 ほんやく されたタンパク質 たんぱくしつ のN末端 まったん が折 お りたたみ始 はじ まる[19] 。ただし、タンパク質 たんぱくしつ 分子 ぶんし は、生 なま 合成 ごうせい 中 ちゅう または生 なま 合成 ごうせい 後 のち に自発 じはつ 的 てき に折 お りたたまれることがある[20] 。これらの高分子 こうぶんし は「自分 じぶん 自身 じしん で折 お りたためる 」と考 かんが えられるが、このプロセスは溶媒 ようばい (水 みず または脂質 ししつ 二 に 重層 じゅうそう )[21] 、塩 しお の濃度 のうど 、pH 、温度 おんど 、補助 ほじょ 因子 いんし および分子 ぶんし シャペロン の存在 そんざい にも依存 いぞん している。
タンパク質 たんぱくしつ は、可能 かのう な曲 ま げ角度 かくど またはコンホメーションが制限 せいげん されているため、フォールディング能力 のうりょく に制限 せいげん がある。タンパク質 たんぱくしつ フォールディングのこれらの許容 きょよう 角度 かくど は、ラマチャンドランプロット として知 し られている二 に 次元 じげん プロットで表 あらわ され、許容 きょよう 回転 かいてん のpsiとphi角度 かくど で示 しめ される[22] 。
疎水 そすい 性 せい 効果 こうか [ 編集 へんしゅう ]
疎水 そすい 性 せい 凝集 ぎょうしゅう (英語 えいご 版 ばん ) 。コンパクトなフォールディング (右側 みぎがわ )では、疎水 そすい 性 せい アミノ酸 あみのさん (黒 くろ い球体 きゅうたい として表示 ひょうじ ) が中央 ちゅうおう に向 む かって凝集 ぎょうしゅう し、水性 すいせい 環境 かんきょう から遮蔽 しゃへい された状態 じょうたい になる。タンパク質 たんぱくしつ のフォールディングが自発 じはつ 的 てき な反応 はんのう であるためには、細胞 さいぼう 内 ない で熱 ねつ 力学 りきがく 的 てき に有利 ゆうり でなければならない。タンパク質 たんぱくしつ のフォールディングは自発 じはつ 的 てき な反応 はんのう であることが知 し られているため、負 まけ のギブス自由 じゆう エネルギー 値 ね をとる必要 ひつよう がある。タンパク質 たんぱくしつ のフォールディングにおけるギブス自由 じゆう エネルギーはエンタルピー とエントロピー に直接 ちょくせつ 関係 かんけい している[13] 。負 まけ のデルタGが発生 はっせい し、タンパク質 たんぱくしつ のフォールディングが熱 ねつ 力学 りきがく 的 てき に有利 ゆうり になるためには、エンタルピー、エントロピー、またはその両方 りょうほう が有利 ゆうり でなければならない。
水分 すいぶん 子 こ が疎水 そすい 性 せい 溶質 ようしつ の近 ちか くでより整然 せいぜん となるにつれて、エントロピーは減少 げんしょう する。
水 みず にさらされる疎水 そすい 性 せい 側 がわ 鎖 くさり の数 かず を最小限 さいしょうげん にすることは、フォールディングプロセスの背後 はいご にある重要 じゅうよう な推進 すいしん 力 りょく である[23] 。疎水 そすい 効果 こうか とは、タンパク質 たんぱくしつ の疎水 そすい 性 せい 鎖 くさり がタンパク質 たんぱくしつ の中心 ちゅうしん 部 ぶ (親水 しんすい 性 せい 環境 かんきょう から離 はな れる) に凝集 ぎょうしゅう する現象 げんしょう である[13] 。水性 すいせい 環境 かんきょう 下 か では、水分 すいぶん 子 こ はタンパク質 たんぱくしつ の疎水 そすい 性 せい 領域 りょういき や側 がわ 鎖 くさり の周囲 しゅうい に凝集 ぎょうしゅう し、秩序 ちつじょ だった水分 すいぶん 子 こ の水 みず 殻 から を形成 けいせい する傾向 けいこう がある[24] 。疎水 そすい 性 せい 領域 りょういき を中心 ちゅうしん とした水分 すいぶん 子 こ の秩序 ちつじょ は系 けい 内 ない の秩序 ちつじょ を増大 ぞうだい させ、エントロピーの負 まけ の変化 へんか に寄与 きよ する (系 けい 内 ない のエントロピーは減少 げんしょう する)。水分 すいぶん 子 こ はこれらの水分 すいぶん 子 こ ケージに固定 こてい されており、疎水 そすい 性 せい 凝集 ぎょうしゅう (英語 えいご 版 ばん ) 、または疎水 そすい 性 せい 基 もと の内側 うちがわ へのフォールディングを促進 そくしん する。疎水 そすい 性 せい 凝集 ぎょうしゅう は、秩序 ちつじょ だった水分 すいぶん 子 こ を解放 かいほう する水 みず ケージの破壊 はかい を介 かい してシステムにエントロピーを導入 どうにゅう する[13] 。球状 きゅうじょう に折 お りたたまれたタンパク質 たんぱくしつ のコア内 ない で相互 そうご 作用 さよう する多数 たすう の疎水 そすい 性 せい 基 もと は、膨大 ぼうだい に蓄積 ちくせき されたファンデルワールス力 りょく (特 とく にロンドン分散 ぶんさん 力 りょく ) のため、折 お りたたみ後 ご のタンパク質 たんぱくしつ の安定 あんてい 性 せい に大 おお きく貢献 こうけん する[13] 。疎水 そすい 性 せい 効果 こうか は、大 おお きな疎水 そすい 性 せい 領域 りょういき を含 ふく む両親 りょうしん 媒 なかだち 性 せい 分子 ぶんし を含 ふく む水性 すいせい 媒体 ばいたい が存在 そんざい する場合 ばあい にのみ、熱 ねつ 力学 りきがく の推進 すいしん 力 りょく として存在 そんざい する[25] 。水素 すいそ 結合 けつごう の強 つよ さは環境 かんきょう に依存 いぞん するため、疎水 そすい 性 せい コアに包 つつ まれた水素 すいそ 結合 けつごう は、水性 すいせい 環境 かんきょう にさらされた水素 すいそ 結合 けつごう よりも天然 てんねん 状態 じょうたい の安定 あんてい 性 せい に寄与 きよ する[26] 。
球状 きゅうじょう の折 お りたたみを持 も つタンパク質 たんぱくしつ では、疎水 そすい 性 せい アミノ酸 あみのさん はランダムに分布 ぶんぷ したり、一緒 いっしょ にクラスター化 か されるのではなく、一 いち 次 じ 配列 はいれつ に沿 そ って散在 さんざい する傾向 けいこう がある[27] [28] 。しかし、天然 てんねん 変成 へんせい 傾向 けいこう のある新生 しんせい (de novo )タンパク質 たんぱくしつ は[29] [30] 、一 いち 次 じ 配列 はいれつ に沿 そ って疎水 そすい 性 せい アミノ酸 あみのさん がクラスター化 か するという逆 ぎゃく のパターンを示 しめ す[31] 。
小型 こがた 真 ま 核 かく 生物 せいぶつ の熱 ねつ ショックタンパク質 しつ の例 れい
分子 ぶんし シャペロン (英 えい : molecular chaperone ) は、生体 せいたい 内 ない (in vivo ) で他 た のタンパク質 たんぱくしつ を正 まさ しく折 お りたたむのに役立 やくだ つタンパク質 たんぱくしつ の一種 いっしゅ である。シャペロンは、すべての細胞 さいぼう 内 ない 区画 くかく に存在 そんざい し、ポリペプチド鎖 くさり と相互 そうご 作用 さよう して、タンパク質 たんぱくしつ の本来 ほんらい の三 さん 次元 じげん コンホメーションを形成 けいせい できるようにする。ただし、シャペロン自体 じたい は、それらが補助 ほじょ しているタンパク質 たんぱくしつ の最終 さいしゅう 構造 こうぞう には含 ふく まれていない[32] 。シャペロンは、新生 しんせい ポリペプチドがリボソームによって合成 ごうせい されている場合 ばあい でも、フォールディングを助 たす けることができる[33] 。分子 ぶんし シャペロンは、結合 けつごう することによって機能 きのう し、フォールディング経路 けいろ でタンパク質 たんぱくしつ の不安定 ふあんてい な構造 こうぞう を安定 あんてい 化 か させるが、シャペロンには、それらが補助 ほじょ しているタンパク質 たんぱくしつ の正 ただ しい本来 ほんらい の構造 こうぞう を知 し るために必要 ひつよう な情報 じょうほう は含 ふく まれておらず、むしろ、シャペロンは、誤 あやま った折 お りたたみ構造 こうぞう を防 ふせ ぐことによって機能 きのう する[33] 。このように、シャペロンは実際 じっさい には、本来 ほんらい の構造 こうぞう に向 む かうフォールディング経路 けいろ に関与 かんよ する個々 ここ のステップの速度 そくど を増加 ぞうか させることはなく、その代 か わりに、適切 てきせつ な中 なか 間 あいだ 体 たい の探索 たんさく を遅 おそ くする可能 かのう 性 せい のあるポリペプチド鎖 くさり の不要 ふよう な凝集 ぎょうしゅう を減 へ らすことで機能 きのう し、ポリペプチド鎖 くさり が正 ただ しいコンホメーションをとるためのより効率 こうりつ 的 てき な経路 けいろ を提供 ていきょう する[32] 。シャペロンは、フォールディング触媒 しょくばい と混同 こんどう されるべきではなく、フォールディング経路 けいろ の遅 おそ いステップを実際 じっさい に触媒 しょくばい する。フォールディング触媒 しょくばい の例 れい は、タンパク質 たんぱくしつ ジスルフィド異性 いせい 化 か 酵素 こうそ (protein disulfide isomerases)およびペプチジルプロリル異性 いせい 化 か 酵素 こうそ (peptidyl-prolyl isomerases)があり、それぞれジスルフィド結合 けつごう の形成 けいせい またはシスおよびトランス立体 りったい 異性 いせい 体 たい 間 あいだ の相互 そうご 変換 へんかん に関与 かんよ している可能 かのう 性 せい がある[33] 。シャペロンは、生体 せいたい 内 ない でのタンパク質 たんぱくしつ フォールディングのプロセスにおいて重要 じゅうよう であることが示 しめ されている。なぜなら、シャペロンは、タンパク質 たんぱくしつ が「生物 せいぶつ 学 がく 的 てき に適切 てきせつ な」状態 じょうたい になるために十分 じゅうぶん 効率 こうりつ 的 てき に適切 てきせつ な配列 はいれつ とコンホメーションをとるのに必要 ひつよう な手助 てだす けタンパク質 たんぱくしつ に提供 ていきょう するからである[34] 。これは、in vitro で行 おこな われたタンパク質 たんぱくしつ フォールディング実験 じっけん で実証 じっしょう されたように、ポリペプチド鎖 くさり は理論 りろん 的 てき にはシャペロンの助 たす けなしにその本来 ほんらい の構造 こうぞう に折 お りたたむことができることを意味 いみ するものであるが[34] 、このプロセスはあまりにも非 ひ 効率 こうりつ 的 てき であるか、または遅 おそ すぎて生物 せいぶつ 学 がく 的 てき システムには存在 そんざい しないことが判明 はんめい している。したがって、シャペロンは生体 せいたい 内 ない でのタンパク質 たんぱくしつ のフォールディングに必要 ひつよう である。シャペロンは、本来 ほんらい 構造 こうぞう の形成 けいせい を助 たす ける役割 やくわり に加 くわ えて、タンパク質 たんぱくしつ の輸送 ゆそう 、分解 ぶんかい 、さらには外部 がいぶ 変性 へんせい 因子 いんし にさらされた変性 へんせい タンパク質 たんぱくしつ が正 ただ しい本来 ほんらい の構造 こうぞう にリフォールディング(再 さい 折 お りたたみ)する機会 きかい を与 あた えるなど、様々 さまざま な役割 やくわり に関与 かんよ していることが明 あき らかになっている[35] 。
完全 かんぜん に変性 へんせい したタンパク質 たんぱくしつ は、三 さん 次 じ 構造 こうぞう と二 に 次 じ 構造 こうぞう の両方 りょうほう を欠 か いており、いわゆるランダムコイル として存在 そんざい している。特定 とくてい の条件下 じょうけんか では、一部 いちぶ のタンパク質 たんぱくしつ は再 さい 折 お りたたみ(リフォールド)する可能 かのう 性 せい があるが、多 おお くの場合 ばあい 、変性 へんせい は不 ふ 可逆 かぎゃく 的 てき である[36] 。細胞 さいぼう は、熱 ねつ 変性 へんせい の影響 えいきょう からタンパク質 たんぱくしつ を守 まも るために、熱 ねつ ショックタンパク質 しつ (シャペロンの一種 いっしゅ ) として知 し られる酵素 こうそ を用 もち いて、他 た のタンパク質 たんぱくしつ のフォールディングや折 お りたたまれた状態 じょうたい の維持 いじ を助 たす けている。熱 ねつ ショックタンパク質 しつ は、細菌 さいきん からヒトにいたるまで、調査 ちょうさ したすべての種 たね で発見 はっけん されており、非常 ひじょう に早 はや い段階 だんかい で進化 しんか し、重要 じゅうよう な機能 きのう を持 も っていることが示唆 しさ されている。一部 いちぶ のタンパク質 たんぱくしつ は、シャペロンの助 たす けを借 か りて他 た のタンパク質 たんぱくしつ との相互 そうご 作用 さよう によりフォールディングが中断 ちゅうだん されないように個々 ここ のタンパク質 たんぱくしつ を分離 ぶんり するか、誤 あやま って折 お りたたまれたタンパク質 たんぱくしつ を展開 てんかい して本来 ほんらい の正 ただ しい構造 こうぞう にリフォールディングをしない限 かぎ り、細胞 さいぼう 内 ない では全 まった く折 お りたたまれないことがある[37] 。この機能 きのう は、不溶性 ふようせい のアモルファス凝集 ぎょうしゅう 体 たい への沈殿 ちんでん のリスクを防 ふせ ぐために非常 ひじょう に重要 じゅうよう である。タンパク質 たんぱくしつ の変性 へんせい や天然 てんねん 状態 じょうたい の破壊 はかい に関与 かんよ する外部 がいぶ 要因 よういん には、温度 おんど 、外部 がいぶ 磁場 じば (電場 でんじょう 、磁場 じば )[38] 、分子 ぶんし クラウディング[39] 、さらにはタンパク質 たんぱくしつ のフォールディングに大 おお きな影響 えいきょう を与 あた える可能 かのう 性 せい のある空間 くうかん の制限 せいげん (すなわち閉 と じ込 こ め) が含 ふく まれる[40] 。高 こう 濃度 のうど の溶質 ようしつ 、極端 きょくたん なpH 、機械 きかい 的 てき な力 ちから 、化学 かがく 的 てき 変性 へんせい 剤 ざい の存在 そんざい も同様 どうよう にタンパク質 たんぱくしつ の変性 へんせい に寄与 きよ する。これらの個々 ここ の要因 よういん はストレスとしてまとめて分類 ぶんるい される。シャペロンは、細胞 さいぼう ストレス時 じ には高 こう 濃度 のうど で存在 そんざい し、変性 へんせい タンパク質 たんぱくしつ や誤 あやま って折 お りたたまれたタンパク質 たんぱくしつ だけでなく、新生 しんせい タンパク質 たんぱくしつ の適切 てきせつ なフォールディングを助 たす けることが示 しめ されている[32] 。
一部 いちぶ の条件下 じょうけんか では、タンパク質 たんぱくしつ は生化学 せいかがく 的 てき に機能 きのう する形 かたち に折 お りたたまれない。細胞 さいぼう が通常 つうじょう 生存 せいぞん する温度 おんど 範囲 はんい よりも高 たか い温度 おんど や低 ひく い温度 おんど では、熱 ねつ 的 てき に不安定 ふあんてい なタンパク質 たんぱくしつ は折 お りたたまれなかったり、変性 へんせい する (これが煮沸 しゃふつ すると卵白 らんぱく が不透明 ふとうめい になる理由 りゆう である)。しかし、タンパク質 たんぱくしつ の熱 ねつ 安定 あんてい 性 せい が一定 いってい であるとは限 かぎ らない。例 たと えば、超 ちょう 好 こう 熱性 ねっせい 細菌 さいきん は122 °Cの高温 こうおん で生育 せいいく することが確認 かくにん されているが[41] 、これにはもちろん、重要 じゅうよう なタンパク質 たんぱくしつ やタンパク質 たんぱくしつ 集合 しゅうごう 体 たい の完全 かんぜん な補 ほ 体 たい が、その温度 おんど 以上 いじょう で安定 あんてい している必要 ひつよう がある。
大腸菌 だいちょうきん はバクテリオファージT4 の宿主 しゅくしゅ であり、ファージにコードされたgp31タンパク質 たんぱくしつ は、大腸菌 だいちょうきん のシャペロンタンパク質 しつ GroES (英語 えいご 版 ばん ) と機能 きのう 的 てき に相 あい 同 どう であるように見 み え、感染 かんせん 時 じ にバクテリオファージT4ウイルス 粒子 りゅうし の組 く み立 た てにおいてそれを置 お き換 か えることができる[42] 。GroESと同様 どうよう に、gp31はGroEL (英語 えいご 版 ばん ) シャペロニンとの安定 あんてい な複 ふく 合体 がったい を形成 けいせい する。これはバクテリオファージT4メジャー・キャプシド・タンパク質 しつ gp23のin vivo でのフォールディングおよび組 く み立 た てに絶対 ぜったい 的 てき に必要 ひつよう である[42] 。
タンパク質 たんぱくしつ の誤 あやま ったフォールディングと神経 しんけい 変性 へんせい 疾患 しっかん [ 編集 へんしゅう ]
タンパク質 たんぱくしつ は、通常 つうじょう の天然 てんねん 状態 じょうたい を得 え られない場合 ばあい 、ミスフォールド(誤 あやま った折 お りたたみ)をしていると考 かんが えられる。これは、アミノ酸 あみのさん 配列 はいれつ の突然変異 とつぜんへんい または外部 がいぶ 要因 よういん による通常 つうじょう のフォールディングプロセスの混乱 こんらん が原因 げんいん である可能 かのう 性 せい がある[43] 。ミスフォールドされたタンパク質 たんぱくしつ は、通常 つうじょう 、クロスβ べーた 構造 こうぞう として知 し られる超 ちょう 分子 ぶんし 配列 はいれつ で組織 そしき 化 か されたβ べーた シート を含 ふく んでいる。これらのβ べーた シートが豊富 ほうふ に含 ふく んだ集合 しゅうごう 体 たい は、非常 ひじょう に安定 あんてい し極 きわ めて不溶性 ふようせい であり、一般 いっぱん にタンパク質 たんぱくしつ 分解 ぶんかい に対 たい して耐 たい 性 せい がある[44] 。これらのフィブリル 状 じょう 集合 しゅうごう 体 たい の構造 こうぞう 的 てき 安定 あんてい 性 せい は、β べーた ストランド間 あいだ の主 しゅ 鎖 くさり 水素 すいそ 結合 けつごう によって形成 けいせい されたタンパク質 たんぱくしつ モノマー間 あいだ の広範 こうはん な相互 そうご 作用 さよう によってもたらされる[44] 。タンパク質 たんぱくしつ のミスフォールディングは、他 た のタンパク質 たんぱくしつ の凝集 ぎょうしゅう 体 たい またはオリゴマー へのさらなるミスフォールディングや蓄積 ちくせき を引 ひ き起 お こす可能 かのう 性 せい がある。細胞 さいぼう 内 ない で凝集 ぎょうしゅう したタンパク質 たんぱくしつ のレベルが上昇 じょうしょう すると、変性 へんせい 疾患 しっかん や細胞 さいぼう 死 し を引 ひ き起 お こす可能 かのう 性 せい のあるアミロイド 様 よう 構造 こうぞう の形成 けいせい につながる[43] 。アミロイドは、分子 ぶんし 間 あいだ 水素 すいそ 結合 けつごう を含 ふく む線維状 せんいじょう 構造 こうぞう であり、極 きわ めて不溶性 ふようせい で、転換 てんかん されたタンパク質 たんぱくしつ の集合 しゅうごう 体 たい から作 つく られる[43] 。そのため、プロテアソーム経路 けいろ では、凝集 ぎょうしゅう する前 まえ にミスフォールドしたタンパク質 たんぱくしつ を分解 ぶんかい するのに十分 じゅうぶん な効率 こうりつ が得 え られない場合 ばあい がある。ミスフォールドされたタンパク質 たんぱくしつ は、互 たが いに相互 そうご 作用 さよう して構造 こうぞう 化 か された凝集 ぎょうしゅう 体 たい を形成 けいせい し、分子 ぶんし 間 あいだ 相互 そうご 作用 さよう を通 つう じて毒性 どくせい を獲得 かくとく する可能 かのう 性 せい がある[43] 。
凝集 ぎょうしゅう タンパク質 たんぱくしつ は、クロイツフェルト・ヤコブ病 びょう 、牛 うし 海綿 かいめん 状 じょう 脳症 のうしょう (狂牛病 きょきょうぎゅうびょう ) などのプリオン 関連 かんれん 疾患 しっかん 、アルツハイマー病 びょう および家族 かぞく 性 せい アミロイド(英語 えいご 版 ばん ) 心筋 しんきん 症 しょう または多 た 神経症 しんけいしょう などのアミロイド 関連 かんれん 疾患 しっかん [45] 、ならびにハンチントン病 びょう およびパーキンソン病 びょう などの細胞 さいぼう 内 ない 凝集 ぎょうしゅう 性 せい 疾患 しっかん と関連 かんれん している[7] [46] 。これらの加 か 齢 よわい 性 せい 変性 へんせい 疾患 しっかん は、不溶性 ふようせい の細胞 さいぼう 外 がい 凝集 ぎょうしゅう 体 たい および(または)クロスβ べーた アミロイド 原 はら 線維 せんい を含 ふく む細胞 さいぼう 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい へのミスフォールドタンパク質 しつ の凝集 ぎょうしゅう に関連 かんれん している。これは凝集 ぎょうしゅう 体 たい が原因 げんいん なのか、それとも単 たん にタンパク質 たんぱくしつ の恒常 こうじょう 性 せい の喪失 そうしつ 、合成 ごうせい 、フォールディング、凝集 ぎょうしゅう 、タンパク質 たんぱくしつ 代謝 たいしゃ 回転 かいてん のバランスを反映 はんえい しているだけなのかは完全 かんぜん には明 あき らかではない。最近 さいきん 、欧州 おうしゅう 医薬品 いやくひん 庁 ちょう は、トランスサイレチン アミロイド疾患 しっかん の治療 ちりょう のためのタファミディス (英語 えいご 版 ばん ) (Tafamidis)またはビンダケル (Vyndaqel; 四 よん 量 りょう 体 からだ トランスサイレチンの動態 どうたい 安定 あんてい 化 か 剤 ざい ) の使用 しよう を承認 しょうにん した。このことは、ヒトのアミロイド疾患 しっかん において、アミロイド原 げん 線維 せんい 形成 けいせい プロセス (原 はら 線維 せんい 自体 じたい ではなく) が、有 ゆう 糸 いと 分裂 ぶんれつ 後 ご の組織 そしき の変性 へんせい を引 ひ き起 お こすことを示唆 しさ している[47] 。フォールディングや機能 きのう ではなく、ミスフォールディングや過度 かど の分解 ぶんかい は、アンチトリプシン 関連 かんれん 肺気腫 はいきしゅ 、嚢胞 のうほう 性 せい 線維 せんい 症 しょう 、リソソーム蓄積 ちくせき 症 しょう などの多 おお くのプロテオパチー 疾患 しっかん を引 ひ き起 お こし、機能 きのう の喪失 そうしつ が障害 しょうがい の根源 こんげん となっている。後者 こうしゃ の疾患 しっかん を修正 しゅうせい するためにタンパク質 たんぱくしつ 補充 ほじゅう 療法 りょうほう が歴史 れきし 的 てき に使用 しよう されてきたが、新 あら たなアプローチは、薬理 やくり シャペロン(英語 えいご 版 ばん ) を使用 しよう して変異 へんい タンパク質 たんぱくしつ を折 お りたたんで機能 きのう させる状態 じょうたい にすることが挙 あ げられる。
タンパク質 たんぱくしつ のフォールディングを研究 けんきゅう するための実験 じっけん 技術 ぎじゅつ [ 編集 へんしゅう ]
タンパク質 たんぱくしつ のフォールディングに関 かん する推論 すいろん は、突然変異 とつぜんへんい 研究 けんきゅう (英語 えいご 版 ばん ) を通 つう じて行 おこな うことができるが、タンパク質 たんぱくしつ のフォールディングを研究 けんきゅう するための実験 じっけん 技術 ぎじゅつ は、通常 つうじょう 、タンパク質 たんぱくしつ の段階 だんかい 的 てき アンフォールディング(英語 えいご 版 ばん ) やフォールディングと、標準 ひょうじゅん 的 てき な非 ひ 結晶 けっしょう 学 がく 的 てき 技術 ぎじゅつ を用 もち いたコンホメーション変化 へんか の観察 かんさつ に依存 いぞん している。
X線 せん 結晶 けっしょう 構造 こうぞう 解析 かいせき [ 編集 へんしゅう ]
X線 せん 結晶 けっしょう 構造 こうぞう 解析 かいせき のステップ
X線 せん 結晶 けっしょう 構造 こうぞう 解析 かいせき は、折 お りたたまれたタンパク質 たんぱくしつ の三 さん 次元 じげん 構造 こうぞう を解読 かいどく するための、効率 こうりつ 的 てき で重要 じゅうよう な方法 ほうほう の一 ひと つである[48] 。X線 せん 結晶 けっしょう 構造 こうぞう 解析 かいせき を行 おこな うためには、対象 たいしょう となるタンパク質 たんぱくしつ が結晶 けっしょう 格子 こうし 内 ない に配置 はいち されている必要 ひつよう がある。タンパク質 たんぱくしつ を結晶 けっしょう 格子 こうし 内 ない に配置 はいち するためには、結晶 けっしょう 化 か に適 てき した溶媒 ようばい を用意 ようい し、溶液 ようえき 中 ちゅう で過飽和 かほうわ 状態 じょうたい の純粋 じゅんすい なタンパク質 たんぱくしつ を得 え て、溶液 ようえき 中 ちゅう で結晶 けっしょう を析出 せきしゅつ させる必要 ひつよう がある[49] 。タンパク質 たんぱくしつ が結晶 けっしょう 化 か されると、X線 せん ビームは結晶 けっしょう 格子 こうし を介 かい して集中 しゅうちゅう することができ、ビームを回折 かいせつ したり、様々 さまざま な方向 ほうこう にビームを外側 そとがわ に向 む けて発射 はっしゃ したりする。これらの出射 しゅっしゃ ビームは、内包 ないほう されたタンパク質 たんぱくしつ の特定 とくてい の三 さん 次元 じげん 構成 こうせい に相関 そうかん している。X線 せん は、タンパク質 たんぱくしつ の結晶 けっしょう 格子 こうし 内 ない の個々 ここ の原子 げんし を取 と り囲 かこ む電子 でんし 雲 くも と特異 とくい 的 てき に相互 そうご 作用 さよう し、識別 しきべつ 可能 かのう な回折 かいせつ パターンを生成 せいせい する[16] 。電子 でんし 密度 みつど 雲 くも をX線 せん の振幅 しんぷく を関連付 かんれんづ けることによってのみ、このパターンを読 よ み取 と ることができ、この方法 ほうほう を複雑 ふくざつ にする位相 いそう や位相 いそう 角 かく の仮定 かてい を導 みちび くことになる[50] 。フーリエ変換 へんかん という数学 すうがく 的 てき 基礎 きそ によって確立 かくりつ された関係 かんけい がなければ、「位相 いそう 問題 もんだい 」は回折 かいせつ パターン予測 よそく を非常 ひじょう に困難 こんなん にする[16] 。多重 たじゅう 同型 どうけい 置換 ちかん (英語 えいご 版 ばん ) のような新 あたら しい方法 ほうほう では、重金属 じゅうきんぞく イオンの存在 そんざい を利用 りよう してX線 せん をより予測 よそく 可能 かのう な方法 ほうほう で回折 かいせつ させ、関与 かんよ する変数 へんすう の数 かず を減 へ らして位相 いそう の問題 もんだい を解決 かいけつ している[48] 。
蛍光 けいこう 分光 ぶんこう 法 ほう [ 編集 へんしゅう ]
蛍光 けいこう 分光 ぶんこう 法 ほう は、タンパク質 たんぱくしつ の折 お りたたみ状態 じょうたい を調 しら べるための高 こう 感度 かんど な手法 しゅほう である。フェニルアラニン(Phe)、チロシン(Tyr)、トリプトファン(Trp)の3つのアミノ酸 あみのさん は固有 こゆう の蛍光 けいこう 特性 とくせい を持 も つが、TyrとTrpのみが量子 りょうし 収 おさむ 率 りつ が高 たか く、良好 りょうこう な蛍光 けいこう シグナルが得 え られるため、実験 じっけん 的 てき に使用 しよう されている。TrpとTyrは共 とも に280 nmの波長 はちょう で励起 れいき されるのに対 たい し、Trpだけは295 nmの波長 はちょう で励起 れいき される。それらの芳香 ほうこう 族 ぞく 性 せい のため、TrpとTyr残 ざん 基 もと は、タンパク質 たんぱくしつ の疎水 そすい 性 せい コア、2つのタンパク質 たんぱくしつ ドメイン間 あいだ の界面 かいめん 、またはオリゴマータンパク質 しつ のサブユニット間 あいだ の界面 かいめん に、完全 かんぜん または部分 ぶぶん 的 てき に埋 うず もれていることがよくある。この無 む 極性 きょくせい 環境 かんきょう では、これらの残 ざん 基 もと は高 たか い量子 りょうし 収 おさむ 率 りつ を持 も ち、それゆえ高 たか い蛍光 けいこう 強度 きょうど を示 しめ す。タンパク質 たんぱくしつ の3次 じ 構造 こうぞう や4次 じ 構造 こうぞう が破壊 はかい されると、これらの側 がわ 鎖 くさり は溶媒 ようばい の親水 しんすい 性 せい 環境 かんきょう にさらされるようになり、量子 りょうし 収 おさむ 率 りつ が低下 ていか して低 ひく い蛍光 けいこう 強度 きょうど になる。Trp残 ざん 基 もと については、その最大 さいだい 蛍光 けいこう 発光 はっこう の波長 はちょう も環境 かんきょう に依存 いぞん する。
蛍光 けいこう 分光 ぶんこう 法 ほう は、変性 へんせい 剤 ざい の値 ね の関数 かんすう として、蛍光 けいこう 発光 はっこう 強度 きょうど または最大 さいだい 発光 はっこう 波長 はちょう の変動 へんどう を測定 そくてい することにより、タンパク質 たんぱくしつ の平衡 へいこう アンフォールディング(英語 えいご 版 ばん ) を特徴付 とくちょうづ けるために使用 しよう される[51] [52] 。ここで変性 へんせい 剤 ざい は、化学 かがく 分子 ぶんし (尿素 にょうそ 、塩酸 えんさん グアニジニウム)、温度 おんど 、pH、圧力 あつりょく などである。互 たが いに異 こと なるが離散 りさん 的 てき なタンパク質 たんぱくしつ の状態 じょうたい 、すなわち天然 てんねん 状態 じょうたい 、中間 なかま 状態 じょうたい 、アンフォールド状態 じょうたい の間 あいだ の平衡 へいこう は、変性 へんせい 剤 ざい の値 ね に依存 いぞん するため、それらの平衡 へいこう 混合 こんごう 物 ぶつ の全体 ぜんたい 的 てき な蛍光 けいこう シグナルもこの値 ね に依存 いぞん する。このようにして、全体 ぜんたい 的 てき なタンパク質 たんぱくしつ シグナルを変性 へんせい 剤 ざい の値 ね に関連付 かんれんづ けるプロファイルが得 え られる[53] [54] 。平衡 へいこう アンフォールディングのプロファイルは、アンフォールディングの中 なか 間 あいだ 体 たい を検出 けんしゅつ し、識別 しきべつ することを可能 かのう にする。Hugues Bedouelleによって一般 いっぱん 的 てき な方程式 ほうていしき が開発 かいはつ され、そのようなプロファイルから、ホモマーまたはヘテロマーのタンパク質 たんぱくしつ のアンフォールディング平衡 へいこう を特徴 とくちょう づける熱 ねつ 力学 りきがく 的 てき パラメータを三 さん 量 りょう 体 からだ まで、および潜在 せんざい 的 てき には四 よん 量 りょう 体 からだ まで得 え ることができた[51] 。蛍光 けいこう 分光 ぶんこう 法 ほう は、ストップフロー (英語 えいご 版 ばん ) のような高速 こうそく 混合 こんごう 装置 そうち と組 く み合 あ わせて、タンパク質 たんぱくしつ のフォールディング動態 どうたい を測定 そくてい し[55] 、シェブロンプロット (英語 えいご 版 ばん ) を生成 せいせい し、Phi値 ち 分析 ぶんせき (英語 えいご 版 ばん ) を導出 どうしゅつ することができる。
円 えん 偏 へん 光 こう 二色 にしき 性 せい [ 編集 へんしゅう ]
円 えん 偏 へん 光 こう 二色 にしき 性 せい は、タンパク質 たんぱくしつ のフォールディングを研究 けんきゅう するための最 もっと も一般 いっぱん 的 てき で基本 きほん 的 てき なツールの一 ひと つである。円 えん 二 に 色 しょく 性 せい 分光 ぶんこう 法 ほう は、円 えん 偏 へん 光 こう の吸収 きゅうしゅう を測定 そくてい する。タンパク質 たんぱくしつ では、α あるふぁ ヘリックスやβ べーた シートなどの構造 こうぞう は不 ふ 斉 ひとし であるため、このような光 ひかり を吸収 きゅうしゅう する。この光 ひかり の吸収 きゅうしゅう は、タンパク質 たんぱくしつ アンサンブルの折 お りたたみ度合 どあ いのマーカーとして機能 きのう する。この技術 ぎじゅつ は、変性 へんせい 剤 ざい 濃度 のうど または温度 おんど 関数 かんすう としてこの吸収 きゅうしゅう の変化 へんか を測定 そくてい することにより、タンパク質 たんぱくしつ の平衡 へいこう アンフォールディング(英語 えいご 版 ばん ) を測定 そくてい するために使用 しよう されてきた。変性 へんせい 溶解 ようかい は、タンパク質 たんぱくしつ のm値 ね 、または変性 へんせい 剤 ざい 依存 いぞん 性 せい と同様 どうよう にアンフォールディングの自由 じゆう エネルギー を測定 そくてい する。温度 おんど 溶解 ようかい は、タンパク質 たんぱくしつ の変性 へんせい 温度 おんど (英語 えいご 版 ばん ) (Tm)を測定 そくてい する[51] 。蛍光 けいこう 分光 ぶんこう 法 ほう に関 かん しては、円 えん 二 に 色 しょく 性 せい 分光 ぶんこう 法 ほう をストップフローなどの高速 こうそく 混合 こんごう 装置 そうち と組 く み合 あ わせて、タンパク質 たんぱくしつ のフォールディング動態 どうたい を測定 そくてい し、シェブロンプロット (英語 えいご 版 ばん ) を生成 せいせい することができる。
タンパク質 たんぱくしつ の振動 しんどう 円 えん 二 に 色 しょく 性 せい [ 編集 へんしゅう ]
最近 さいきん 開発 かいはつ されたタンパク質 たんぱくしつ の振動 しんどう 円 えん 二 に 色 しょく 性 せい (英語 えいご 版 ばん ) (vibrational circular dichroism; VCD) 技術 ぎじゅつ は現在 げんざい 、フーリエ変換 へんかん (FT)機器 きき を用 もち いており、非常 ひじょう に大 おお きなタンパク質 たんぱくしつ 分子 ぶんし でも、溶液 ようえき 中 ちゅう のタンパク質 たんぱくしつ 構造 こうぞう を決定 けってい する強力 きょうりょく な手段 しゅだん を提供 ていきょう する。このようなタンパク質 たんぱくしつ のVCD研究 けんきゅう は、タンパク質 たんぱくしつ 結晶 けっしょう のX線 せん 回折 かいせつ 、重水 じゅうすい (D2 O)中 ちゅう のタンパク質 たんぱくしつ 溶液 ようえき のFT-IR データ、または第 だい 一 いち 原理 げんり 量子 りょうし 計算 けいさん と組 く み合 あ わせて、円 えん 偏 へん 光 こう 二色 にしき 性 せい (CD)からは得 え られない明確 めいかく な構造 こうぞう 決定 けってい を提供 ていきょう することがよくある[要 よう 出典 しゅってん ] 。
タンパク質 たんぱくしつ 核 かく 磁気 じき 共鳴 きょうめい 分光 ぶんこう 法 ほう [ 編集 へんしゅう ]
タンパク質 たんぱくしつ のフォールディングは、NMR分光 ぶんこう 法 ほう を使用 しよう して日常 にちじょう 的 てき に研究 けんきゅう されており、例 たと えば、その天然 てんねん 状態 じょうたい でのタンパク質 たんぱくしつ の主 しゅ 鎖 くさり アミドプロトンの水素 すいそ -重水素 じゅうすいそ 交換 こうかん (英語 えいご 版 ばん ) を監視 かんし することで、タンパク質 たんぱくしつ の残 ざん 基 もと 固有 こゆう の安定 あんてい 性 せい と全体 ぜんたい 的 てき な安定 あんてい 性 せい の両方 りょうほう を提供 ていきょう する[56] 。
二 に 重 じゅう 偏 へん 光 こう 干渉 かんしょう 法 ほう [ 編集 へんしゅう ]
二 に 重 じゅう 偏 へん 光 こう 干渉 かんしょう 法 ほう は、分子 ぶんし 層 そう の光学 こうがく 特性 とくせい を測定 そくてい する表面 ひょうめん ベースの技術 ぎじゅつ である。タンパク質 たんぱくしつ のフォールディングを特徴 とくちょう づけるために使用 しよう される場合 ばあい 、タンパク質 たんぱくしつ の単 たん 層 そう の全体 ぜんたい 的 てき なサイズとその密度 みつど をサブ・オングストーム分解能 ぶんかいのう でリアルタイムに測定 そくてい することによってコンホメーション を測定 そくてい するが[57] 、タンパク質 たんぱくしつ フォールディングの速度 そくど 論 ろん のリアルタイム測定 そくてい は、~10 Hz へるつ よりも遅 おそ いプロセスに限 かぎ られている。円 えん 偏 へん 光 こう 二色 にしき 性 せい と同様 どうよう に、フォールディングのための刺激 しげき は変性 へんせい 剤 ざい または温度 おんど である可能 かのう 性 せい がある。
高 こう 時間 じかん 分解能 ぶんかいのう でのフォールディングの研究 けんきゅう [ 編集 へんしゅう ]
タンパク質 たんぱくしつ のフォールディングの研究 けんきゅう は、高速 こうそく で時間 じかん 分解 ぶんかい 技術 ぎじゅつ の開発 かいはつ によって近年 きんねん 、大 おお きく進展 しんてん した。実験 じっけん 者 しゃ は、折 お りたたまれていないタンパク質 たんぱくしつ のサンプルのフォールディングを迅速 じんそく に誘発 ゆうはつ し、結果 けっか として生 しょう じるタンパク質 たんぱくしつ 動力 どうりょく 学 がく (英語 えいご 版 ばん ) を観察 かんさつ する。使用 しよう されている高速 こうそく 化 か 技術 ぎじゅつ には、中性子 ちゅうせいし 散乱 さんらん [58] 、超 ちょう 高速 こうそく 溶液 ようえき 混合 こんごう 、光化学 こうかがく 的 てき 手法 しゅほう 、レーザー温度 おんど ジャンプ(英語 えいご 版 ばん ) 分光 ぶんこう 法 ほう などがある。これらの技術 ぎじゅつ の開発 かいはつ に貢献 こうけん した多 おお くの科学 かがく 者 しゃ の中 なか には、Jeremy Cook, Heinrich Roder, Harry Gray, Martin Gruebele, Brian Dyer, William Eaton, Sheena Radford, Chris Dobson, Alan Fersht, Bengt Nölting, Lars Konermannがいる。
タンパク質 たんぱくしつ 分解 ぶんかい [ 編集 へんしゅう ]
タンパク質 たんぱくしつ 分解 ぶんかい (proteolysis) は、広範囲 こうはんい の溶液 ようえき 条件下 じょうけんか (例 れい : 高速 こうそく 並列 へいれつ タンパク質 たんぱくしつ 分解 ぶんかい (英語 えいご 版 ばん ) ) でアンフォールドされた画 が 分 ぶん を探索 たんさく するために日常 にちじょう 的 てき に使用 しよう されている[59] [60] 。
単一 たんいつ 分子 ぶんし 力 りょく 分光 ぶんこう 法 ほう [ 編集 へんしゅう ]
単 たん 離 はな されたタンパク質 たんぱくしつ やシャペロンを持 も つタンパク質 たんぱくしつ のフォールディング機構 きこう を理解 りかい するために、光 ひかり ピンセット やAFMなどの単一 たんいつ 分子 ぶんし 力 りょく 技術 ぎじゅつ (Single-molecule force spectroscopy) が用 もち いられてきた[61] 。光 ひかり ピンセットは、単一 たんいつ のタンパク質 たんぱくしつ 分子 ぶんし をC末端 まったん とN末端 まったん から引 ひ き伸 の ばし、それを展開 てんかい して、その後 ご のリフォールディングを研究 けんきゅう するために使用 しよう されてきた[62] 。この手法 しゅほう により、単一 たんいつ 分子 ぶんし レベルでフォールディング率 りつ を測定 そくてい できる。例 たと えば、光 ひかり ピンセットは最近 さいきん 、血液 けつえき 凝固 ぎょうこ に関与 かんよ するタンパク質 たんぱくしつ のフォールディングとアンフォールディングの研究 けんきゅう に応用 おうよう されている。ヴォン・ヴィレブランド因子 いんし (von Willebrand factor (vWF)) は、血液 けつえき 凝固 ぎょうこ プロセスに不可欠 ふかけつ な役割 やくわり を持 も つタンパク質 たんぱくしつ である。単一 たんいつ 分子 ぶんし の光 ひかり ピンセット測定 そくてい を使用 しよう して、カルシウム結合 けつごう vWFが血液 けつえき 中 ちゅう でせん断 だん 力 りょく センサーとして働 はたら くことを発見 はっけん した。せん断 だん 力 りょく はvWFのA2ドメインのアンフォールディングにつながり、そのリフォールディング速度 そくど はカルシウムの存在 そんざい 下 か で劇的 げきてき に向上 こうじょう する[63] 。最近 さいきん では、単純 たんじゅん な src SH3ドメイン が、力 ちから を受 う けると複数 ふくすう のアンフォールディング経路 けいろ にアクセスすることも明 あき らかにされた[64] 。
ビオチン標識 ひょうしき (Biotin painting) は、(未 ひつじ )フォールディング・タンパク質 しつ の状態 じょうたい 特異 とくい 的 てき な細胞 さいぼう スナップショットを可能 かのう にする。 ビオチン標識 ひょうしき は、予測 よそく される天然 てんねん 変成 へんせい タンパク質 たんぱくしつ への偏 かたよ りを示 しめ している[65] 。
タンパク質 たんぱくしつ フォールディングの計算 けいさん 科学 かがく 的 てき 研究 けんきゅう [ 編集 へんしゅう ]
タンパク質 たんぱくしつ フォールディングの計算 けいさん 科学 かがく 的 てき 研究 けんきゅう には、タンパク質 たんぱくしつ の安定 あんてい 性 せい 、速度 そくど 論 ろん 、および構造 こうぞう 予測 よそく に関連 かんれん する3つの主要 しゅよう な側面 そくめん が含 ふく まれる。以下 いか の最近 さいきん のレビューは、タンパク質 たんぱくしつ フォールディングに利用 りよう 可能 かのう な計算 けいさん 手法 しゅほう をまとめたものである[66] 。
レヴィンタールのパラドックス [ 編集 へんしゅう ]
1969年 ねん 、サイラス・レヴィンタール (英語 えいご 版 ばん ) は、折 お りたたまれていないポリペプチド鎖 くさり の自由 じゆう 度 ど が非常 ひじょう に大 おお きいため、タンパク質 たんぱくしつ 分子 ぶんし は天文学 てんもんがく 的 てき な数 かず の起 お こりうるコンホメーションを持 も っていることに着目 ちゃくもく した。彼 かれ の論文 ろんぶん の中 なか で、3300 または10143 という推定 すいてい がなされている[67] 。レヴィンタールのパラドックス は、タンパク質 たんぱくしつ が起 お こりうるすべてのコンホメーションを順次 じゅんじ サンプリングして折 お りたたまれた場合 ばあい 、たとえコンホメーションが高速 こうそく (ナノ秒 びょう またはピコ秒 びょう スケール) でサンプリングされたとしても、天文学 てんもんがく 的 てき な量 りょう の時間 じかん がかかるという観察 かんさつ に基 もと づく思考 しこう 実験 じっけん である[68] 。タンパク質 たんぱくしつ はこれよりもはるかに速 はや く折 お りたたまれるという観測 かんそく に基 もと づいて、レヴィンタールは、ランダムなコンホメーション探索 たんさく は発生 はっせい しないため、タンパク質 たんぱくしつ は一連 いちれん の準 じゅん 安定 あんてい な中間 ちゅうかん 状態 じょうたい を経 へ て折 お りたたまれなければならないと提案 ていあん した。
タンパク質 たんぱくしつ フォールディングのエネルギー地形 ちけい [ 編集 へんしゅう ]
折 お りたたまれていないポリペプチド鎖 くさり が本来 ほんらい の構造 こうぞう を取 と るようになるエネルギー・ファンネル(漏斗 ろうと )。
フォールディング中 ちゅう のタンパク質 たんぱくしつ の配 はい 位 い 空間 くうかん (英語 えいご 版 ばん ) は、エネルギー地形 ちけい (energy landscape) として可視 かし 化 か できる。Joseph BryngelsonとPeter Wolynes (英語 えいご 版 ばん ) によると、タンパク質 たんぱくしつ は最小 さいしょう フラストレーション原理 げんり に従 したが っており、自然 しぜん に進化 しんか したタンパク質 たんぱくしつ はフォールディング時 じ のエネルギー地形 ちけい を最適 さいてき 化 か し[69] 、自然 しぜん はタンパク質 たんぱくしつ の折 お りたたみ状態 じょうたい が十分 じゅうぶん に安定 あんてい するようにアミノ酸 あみのさん 配列 はいれつ を選択 せんたく していることを意味 いみ している。さらに、折 お りたたまれた状態 じょうたい の獲得 かくとく は、十分 じゅうぶん に高速 こうそく なプロセスにならなければならない。自然 しぜん がタンパク質 たんぱくしつ のフラストレーションのレベルを減 へ らしたとしても、タンパク質 たんぱくしつ のエネルギー地形 ちけい における局所 きょくしょ 的 てき な最小 さいしょう 値 ち が存在 そんざい することからもわかるように、ある程度 ていど のフラストレーションは今 いま のところ残 のこ っている。
これらの進化 しんか 的 てき に選択 せんたく された配列 はいれつ の結果 けっか として、タンパク質 たんぱくしつ は、天然 てんねん 状態 じょうたい に向 む かうグローバルな「ファンネル(漏斗 ろうと )状 じょう のエネルギー地形 ちけい 」(José Onuchic (英語 えいご 版 ばん ) の造語 ぞうご [70] ) を持 も っていると一般 いっぱん 的 てき に考 かんが えられている。この「フォールディング・ファンネル (英語 えいご 版 ばん ) 」地形 ちけい により、タンパク質 たんぱくしつ は、単一 たんいつ のメカニズムに限定 げんてい されるのではなく、多数 たすう の経路 けいろ や中 ちゅう 間 あいだ 体 たい のいずれかを介 かい して天然 てんねん 状態 じょうたい にフォールディングできる。この理論 りろん は、モデルタンパク質 たんぱくしつ の計算 けいさん シミュレーション(格子 こうし タンパク質 たんぱくしつ (英語 えいご 版 ばん ) )と実験 じっけん 的 てき 研究 けんきゅう の両方 りょうほう で支持 しじ されており[69] 、タンパク質 たんぱくしつ 構造 こうぞう の予測 よそく とタンパク質 たんぱくしつ 構造 こうぞう 設計 せっけい のための方法 ほうほう を改善 かいぜん するために使用 しよう されてきた[69] 。平準 へいじゅん 化 か 自由 じゆう エネルギー地形 ちけい によるタンパク質 たんぱくしつ フォールディングの説明 せつめい も、熱 ねつ 力学 りきがく 第 だい 2法則 ほうそく と合致 がっち している[71] 。物理 ぶつり 的 てき には、エネルギー地形 ちけい を、地理 ちり 的 てき な地形 ちけい のように、単 たん に最大 さいだい 値 ち 、鞍点 あんてん 、最小 さいしょう 値 ち 、ファンネルを持 も った可視 かし 化 か 可能 かのう なポテンシャル曲面 きょくめん や全 ぜん エネルギー曲面 きょくめん の観点 かんてん から考 かんが えることは、あるいはいくらか誤解 ごかい を招 まね く可能 かのう 性 せい がある。妥当 だとう な記述 きじゅつ は、実際 じっさい には、多様 たよう 体 たい が様々 さまざま なより複雑 ふくざつ な位相 いそう 形態 けいたい をとる可能 かのう 性 せい のある高 こう 次元 じげん の位相 いそう 空間 くうかん である[72] 。
折 お りたたまれていないポリペプチド鎖 くさり は、ファンネルの一番 いちばん 上 じょう に位置 いち し、折 お りたたまれていないバリエーションの数 かず が最 もっと も多 おお く、エネルギー状態 じょうたい は高 こう も高 たか くなる。このようなエネルギー地形 ちけい は、初期 しょき の可能 かのう 性 せい が多数 たすう あることを示 しめ しているが、可能 かのう なのは単一 たんいつ の天然 てんねん 状態 じょうたい のみである。しかし、それは可能 かのう な多 おお くのフォールディング経路 けいろ を明 あき らかにしていない。同 おな じ正確 せいかく なタンパク質 たんぱくしつ の異 こと なる分子 ぶんし は、同 おな じ天然 てんねん 構造 こうぞう に到達 とうたつ する限 かぎ り、わずかに異 こと なるフォールディング経路 けいろ をたどり、異 こと なる低 てい エネルギー中間 なかま 体 たい を探 さが すことができる場合 ばあい がある[73] 。異 こと なる経路 けいろ は、各 かく 経路 けいろ の熱 ねつ 力学 りきがく 的 てき な有利 ゆうり 性 せい に応 おう じて、異 こと なる利用 りよう 頻度 ひんど を持 も つ可能 かのう 性 せい がある。これは、ある経路 けいろ が他 た の経路 けいろ よりも熱 ねつ 力学 りきがく 的 てき に有利 ゆうり であることが分 わ かった場合 ばあい 、本来 ほんらい の構造 こうぞう を追求 ついきゅう するために、より頻繁 ひんぱん に使用 しよう される可能 かのう 性 せい が高 たか いことを意味 いみ する[73] 。タンパク質 たんぱくしつ が折 お りたたみ始 はじ め、さまざまなコンホメーションをとると、常 つね に以前 いぜん よりも熱 ねつ 力学 りきがく 的 てき に有利 ゆうり な構造 こうぞう を求 もと め、エネルギーファンネルを通過 つうか し続 つづ けることになる。二 に 次 じ 構造 こうぞう の形成 けいせい は、タンパク質 たんぱくしつ 内 ない の安定 あんてい 性 せい の向上 こうじょう を強 つよ く示 しめ しており、ポリペプチド骨格 こっかく によって想定 そうてい される二 に 次 じ 構造 こうぞう の一 ひと つの組 く み合 あ わせだけが最低 さいてい のエネルギーを持 も ち、ゆえにタンパク質 たんぱくしつ は天然 てんねん 状態 じょうたい で存在 そんざい することになる[73] 。ポリペプチドが折 お りたたみを開始 かいし すると形成 けいせい される最初 さいしょ の構造 こうぞう の中 なか には、α あるふぁ ヘリックスおよびβ べーた ターンがあり、α あるふぁ ヘリックスはわずか100ナノ秒 びょう で形成 けいせい され、β べーた ターンは1マイクロ秒 びょう で形成 けいせい される[32] 。
エネルギー・ファンネル地形 ちけい には、特定 とくてい のタンパク質 たんぱくしつ の遷移 せんい 状態 じょうたい が見 み られる鞍点 あんてん が存在 そんざい する[32] 。エネルギー・ファンネル図 ず の遷移 せんい 状態 じょうたい とは、タンパク質 たんぱくしつ が最終 さいしゅう 的 てき に本来 ほんらい の構造 こうぞう をとることを想定 そうてい した場合 ばあい 、そのタンパク質 たんぱくしつ のすべての分子 ぶんし がとらなければならないコンホメーションである。どのタンパク質 たんぱくしつ も、最初 さいしょ に遷移 せんい 状態 じょうたい を通過 つうか しなければ、本来 ほんらい の構造 こうぞう をとることはできない[32] 。遷移 せんい 状態 じょうたい は、単 たん なる別 べつ の中 なか 間 あいだ 段階 だんかい ではなく、天然 てんねん 状態 じょうたい の変化 へんか 形 がた または未熟 みじゅく な形 かたち と呼 よ ぶことができる[74] 。遷移 せんい 状態 じょうたい のフォールディングは律 りつ 速 そく であることが示 しめ されており、それが本来 ほんらい のフォールディングよりも高 たか いエネルギー状態 じょうたい で存在 そんざい しているとしても、本来 ほんらい の構造 こうぞう と極 きわ めて類似 るいじ する。遷移 せんい 状態 じょうたい の中 なか には、タンパク質 たんぱくしつ が折 お りたたむことができる核 かく (足場 あしば )となる構造 こうぞう が存在 そんざい しており、核 かく の上 うえ に構造 こうぞう が段階 だんかい 的 てき に完成 かんせい してゆく「凝縮 ぎょうしゅく 核 かく 形成 けいせい 」と呼 よ ばれるプロセスによって形成 けいせい される[74] 。
タンパク質 たんぱくしつ フォールディングのモデリング[ 編集 へんしゅう ]
Folding@home は、ここに示 しめ すようなマルコフ状態 じょうたい モデル を使用 しよう して、タンパク質 たんぱくしつ が初期 しょき のランダムなコイル状 じょう の状態 じょうたい (左 ひだり ) から自然 しぜん の三 さん 次元 じげん 構造 こうぞう (右 みぎ ) に凝集 ぎょうしゅう するときに取 と ることができる起 お こりうる形状 けいじょう やフォールディング経路 けいろ をモデル化 か する。
計算 けいさん によるタンパク質 たんぱくしつ 構造 こうぞう 予測 よそく のためのデ・ノボ (de novo ) または第 だい 一 いち 原理 げんり (ab initio ) 的 てき 手法 しゅほう は、どちらもタンパク質 たんぱくしつ フォールディングの実験 じっけん 的 てき 研究 けんきゅう に関連 かんれん しているが、厳密 げんみつ には区別 くべつ されるものである。分子 ぶんし 動力 どうりょく 学 がく 法 ほう (MD) は、タンパク質 たんぱくしつ のフォールディングと動力 どうりょく 学 がく をイン・シリコ (in silico) で研究 けんきゅう するための重要 じゅうよう なツールである[75] 。最初 さいしょ の平衡 へいこう フォールディング・シミュレーションは、暗黙 あんもく の溶媒 ようばい モデルとアンブレラ・サンプリング法 ほう を用 もち いて行 おこな われた[76] 。計算 けいさん コストが高 たか いため、明示 めいじ 的 てき な水 みず を用 もち いた第 だい 一 いち 原理 げんり 計算 けいさん によるフォールディング・シミュレーションは、ペプチドや非常 ひじょう に小 ちい さなタンパク質 たんぱくしつ に限定 げんてい される[77] [78] 。より大 おお きなタンパク質 たんぱくしつ のMDシミュレーションは、実験 じっけん 的 てき な構造 こうぞう の動力 どうりょく 学 がく 、または、その高温 こうおん アンフォールディングに限定 げんてい される。小 ちい さなサイズのタンパク質 たんぱくしつ (約 やく 50残 ざん 基 もと 以上 いじょう ) のフォールディングのような長時間 ちょうじかん のフォールディングプロセス (約 やく 1ミリ秒 びょう を超 こ える) は、粗 あら 視 し 化 か モデル(英語 えいご 版 ばん ) を用 もち いて解析 かいせき することができる[79] [80] [81] 。
スタンフォード大学 だいがく 教授 きょうじゅ のビジェイ・S・パンデ のグループが作成 さくせい した100ペタFLOP級 きゅう の分散 ぶんさん コンピューティング プロジェクト Folding@home は、ボランティアのパーソナルコンピュータのCPU とGPU のアイドル処理 しょり 時間 じかん を利用 りよう して、タンパク質 たんぱくしつ のフォールディングをシミュレーションする。このプロジェクトは、タンパク質 たんぱくしつ のフォールディングのミスフォールディング(誤 あやま った折 お りたたみ)を理解 りかい し、疾患 しっかん 研究 けんきゅう のための創 そう 薬 やく ドラッグデザイン を加速 かそく することを目的 もくてき としている。
D. E. Shaw Research社 しゃ (英語 えいご 版 ばん ) のカスタムASIC と相互 そうご 接続 せつぞく を中心 ちゅうしん に設計 せっけい ・構築 こうちく された超 ちょう 並列 へいれつ スーパーコンピュータAnton (アントン)で、長時間 ちょうじかん の連続 れんぞく 軌道 きどう シミュレーションが実行 じっこう された。Antonを使用 しよう して実行 じっこう されたシミュレーションの公開 こうかい された最長 さいちょう の結果 けっか は、355KでのNTL9の2.936ミリ秒 びょう のシミュレーションである[82] 。
注釈 ちゅうしゃく と出典 しゅってん [ 編集 へんしゅう ]
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Voet & Voet "Biochemistry" 3rd edition, Wiley (2004)
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