物理 ぶつり 学 がく における力 ちから ( ちから 、( 英 えい : force )とは、物体 ぶったい の状態 じょうたい を変化 へんか させる原因 げんいん となる作用 さよう であり、その作用 さよう の大 おお きさを表 あらわ す物理 ぶつり 量 りょう である。特 とく に質点 しつてん の動力 どうりょく 学 がく においては、質点 しつてん の運動 うんどう を変化 へんか させる状態 じょうたい 量 りょう のことをいう。広 ひろ がりを持 も つ物体 ぶったい の場合 ばあい は、運動 うんどう 状態 じょうたい とともにその形状 けいじょう を変化 へんか させる。
本 ほん 項 こう ではまず、古代 こだい の自然 しぜん 哲学 てつがく における力 ちから の扱 あつか いから始 はじ め近世 きんせい に確立 かくりつ された「ニュートン力学 りきがく 」や、古典 こてん 物理 ぶつり 学 がく における力学 りきがく 、すなわち古典 こてん 力学 りきがく の発展 はってん といった歴史 れきし について述 の べる。
次 つぎ に歴史 れきし から離 はな れ、現在 げんざい の一般 いっぱん 的 てき 視点 してん から古典 こてん 力学 りきがく における力 ちから について説明 せつめい し、その後 ご に古典 こてん 力学 りきがく と対置 たいち される量子力学 りょうしりきがく について少 すこ し触 ふ れる。
最後 さいご に、力 ちから の概念 がいねん について時折 ときおり なされてきた、「形而上学 けいじじょうがく 的 てき である」といったような批判 ひはん などについて、その重要 じゅうよう さもあり、項 こう を改 あらた めて扱 あつか う。
自然 しぜん 哲学 てつがく において、力 ちから という概念 がいねん は、何 なに かに内在 ないざい すると想定 そうてい されている場合 ばあい と、外 そと から影響 えいきょう を及 およ ぼすと想定 そうてい されている場合 ばあい がある。古代 こだい より思索 しさく が重 かさ ねられてきた。
プラトン は物質 ぶっしつ はプシュケー を持 も ち運動 うんどう を引 ひ き起 お こすと考 かんが え、デュナミス という言葉 ことば に他者 たしゃ へ働 はたら きかける力 ちから と他者 たしゃ から何 なに かを受 う け取 と る力 ちから という意味 いみ を持 も たせた。
アリストテレス は『自然 しぜん 学 がく 』という書 しょ を著 あらわ したが、物質 ぶっしつ の本性 ほんしょう を因 いん とする自然 しぜん な運動 うんどう と、物質 ぶっしつ に外 そと から強制 きょうせい 的 てき な力 ちから が働 はたら く運動 うんどう を区別 くべつ した。
6世紀 せいき のヨハネス・ピロポノス は、物質 ぶっしつ そのものに力 ちから があると考 かんが えた。
アラビア半島 はんとう の自然 しぜん 哲学 てつがく 者 しゃ ら(イスラム科学 かがく )の中 なか にはピロポノスの考 かんが えを継承 けいしょう する者 もの もいた。
14世紀 せいき のジャン・ビュリダン は、物 もの 自体 じたい に impetus (インペトゥス、いきおい)が込 こ められているとして、それによって物 もの の運動 うんどう を説明 せつめい した。これをインペトゥス理論 りろん と言 い う。
ステヴィンの機械 きかい 。斜面 しゃめん 上 じょう に等間隔 とうかんかく に重 おも さの等 ひと しい球 たま を配置 はいち する。それぞれの球 たま を縄 なわ で繋 つな ぎ鎖 くさり を作 つく る。このとき鎖 くさり が斜面 しゃめん 上 うえ の一方 いっぽう へと回転 かいてん するなら、これは永久 えいきゅう 機関 きかん として利用 りよう できる。
ベルギー 出身 しゅっしん のオランダ人 じん 工学 こうがく 者 しゃ シモン・ステヴィン (Simon Stevin 、1548 — 1620) は力 ちから の合成 ごうせい と分解 ぶんかい を正 まさ しく扱 あつか った人物 じんぶつ として有名 ゆうめい である。1586年 ねん に出版 しゅっぱん した著書 ちょしょ "De Beghinselen Der Weeghconst " の中 なか でステヴィンは斜面 しゃめん の問題 もんだい について考察 こうさつ し、「ステヴィンの機械 きかい 」と呼 よ ばれる架空 かくう の永久 えいきゅう 機関 きかん が実際 じっさい には動作 どうさ しないことを示 しめ した[注 ちゅう 1] 。つまり、どのような斜面 しゃめん に対 たい しても斜面 しゃめん の頂点 ちょうてん において力 ちから の釣 つ り合 あ いが保 たも たれるには力 ちから の平行四辺形 へいこうしへんけい が成 な り立 た っていなければならないことを見出 みいだ したのである。
力 ちから の合成 ごうせい と分解 ぶんかい の規則 きそく は、ステヴィンが最初 さいしょ に発見 はっけん したものではなく、それ以前 いぜん にもそれ以後 いご にも様々 さまざま な状況 じょうきょう や立場 たちば で論 ろん じられている。同 どう 時代 じだい の発見 はっけん として有名 ゆうめい なものとしてガリレオ・ガリレイ の理論 りろん がある。ガリレオは斜面 しゃめん の問題 もんだい がてこ などの他 ほか の機械 きかい の問題 もんだい に置 お き換 か えられることを見出 みいだ した。
その後 ご 、フランスの数学 すうがく 者 しゃ 、天文学 てんもんがく 者 しゃ であるフィリップ・ド・ラ・イール (1640 — 1718) は数学 すうがく 的 てき な形式 けいしき を整 ととの え、力 ちから を空間 くうかん ベクトル として表 あらわ すようになった[注 ちゅう 2] 。
ルネ・デカルト は渦動 かどう 説 せつ (Cartesian Vortex ) を唱 とな え、「空間 くうかん には隙間 すきま なく目 め に見 み えない何 なに かが満 み ちており、物 もの が移動 いどう すると渦 うず が生 しょう じている 」とし、物体 ぶったい はエーテル の渦 うず によって動 うご かされていると説明 せつめい した。
現代 げんだい の力学 りきがく に通 つう じる考 かんが え方 かた を体系 たいけい 化 か した人物 じんぶつ として、しばしばアイザック・ニュートン が挙 あ げられる。ニュートンはガリレオ・ガリレイ の動力 どうりょく 学 がく も学 まな んでいた。またデカルトの著書 ちょしょ を読 よ み、その渦動 かどう 説 せつ についても知 し っていた(ただしこの渦動 かどう 説 せつ の内容 ないよう については批判 ひはん 的 てき に見 み ていた)。
ニュートンは1665年 ねん から1666年 ねん にかけて数学 すうがく や自然 しぜん 科学 かがく について多 おお くの結果 けっか を得 え た。特 とく に物体 ぶったい の運動 うんどう について、力 ちから の平行四辺形 へいこうしへんけい の法則 ほうそく を発見 はっけん している。この結果 けっか は後 のち に『自然 しぜん 哲学 てつがく の数学 すうがく 的 てき 諸 しょ 原理 げんり 』(プリンキピア、1687年刊 ねんかん )の中 なか で運動 うんどう の第 だい 2法則 ほうそく を用 もち いて説明 せつめい されている[6] 。
ニュートンはその著書 ちょしょ 『自然 しぜん 哲学 てつがく の数学 すうがく 的 てき 諸 しょ 原理 げんり 』において、運動 うんどう 量 りょう (quantity of motion ) を物体 ぶったい の速度 そくど と質量 しつりょう (quantity of matter ) の積 せき として定義 ていぎ し、運動 うんどう の法則 ほうそく について述 の べている。ニュートンの運動 うんどう の第 だい 2法則 ほうそく は「運動 うんどう の変化 へんか は物体 ぶったい に与 あた えられた力 ちから に比例 ひれい し、その方向 ほうこう は与 あた えられた力 ちから の向 む きに生 しょう じる 」というもので、これは現代 げんだい 的 てき には以下 いか のように定式 ていしき 化 か される。
d
p
d
t
=
F
{\displaystyle {\frac {\mathrm {d} {\boldsymbol {p}}}{\mathrm {d} t}}={\boldsymbol {F}}\,}
[注 ちゅう 3]
ここで dp / dt は物体 ぶったい が持 も つ運動 うんどう 量 りょう p の時間 じかん 微分 びぶん 、F は物体 ぶったい にかかる力 ちから を表 あらわ す。このニュートンの第 だい 2法則 ほうそく は、運動 うんどう の第 だい 1法則 ほうそく が成 な り立 た つ慣性 かんせい 系 けい において成 な り立 た つ。
ニュートン自身 じしん は第 だい 2法則 ほうそく を微分 びぶん を用 もち いた形式 けいしき では述 の べていない。運動 うんどう の変化 へんか (alteration of motion ) を運動 うんどう 量 りょう の変化 へんか と解釈 かいしゃく するなら、それは力 ちから 積 せき に相当 そうとう する。
熱 ねつ 力学 りきがく が形成 けいせい される19世紀 せいき 前半 ぜんはん までは、現在 げんざい のエネルギー に相当 そうとう する概念 がいねん が力 ちから (羅 ら : vis , 英 えい : force , 独 どく : Kraft )と呼 よ ばれていた。
たとえば、ルドルフ・クラウジウス は1850年 ねん の論文 ろんぶん ,,Über die bewegende Kraft der Wärme "で熱 ねつ 力学 りきがく 第 だい 一 いち 法則 ほうそく について述 の べているが、Kraft という語 かたり を用 もち いているし、その英訳 えいやく でも Force が用 もち いられている。
現在 げんざい の運動 うんどう エネルギー に対応 たいおう する概念 がいねん について、1676年 ねん から1689年 ねん の頃 ころ にゴットフリート・ライプニッツ は vis viva と名付 なづ けた。これは当時 とうじ の運動 うんどう に関 かん する保存 ほぞん 則 そく の議論 ぎろん の中 なか で、保存 ほぞん 量 りょう として提案 ていあん されたものである。
1807年 ねん に、トマス・ヤング は vis viva にあたる概念 がいねん をエネルギー と名付 なづ けたが、直 す ぐ様 さま それが一般 いっぱん に用 もち いられることはなかった。力学 りきがく の言葉 ことば として運動 うんどう エネルギー や位置 いち エネルギー が定義 ていぎ されるのは1850年 ねん 以降 いこう のことで、運動 うんどう エネルギーは1850年 ねん 頃 ごろ にウィリアム・トムソン によって、位置 いち エネルギーは1853年 ねん にウィリアム・ランキン によってそれぞれ定義 ていぎ されている。
古典 こてん 力学 りきがく における力 ちから (英語 えいご : force )の、最 もっと も初等 しょとう 的 てき な定義 ていぎ は質量 しつりょう と加速度 かそくど の積 せき を力 ちから とするものである。
F
=
m
a
.
{\displaystyle {\boldsymbol {F}}=m{\boldsymbol {a}}.}
[注 ちゅう 3]
ここで F は物体 ぶったい に働 はたら く力 ちから 、m は物体 ぶったい の質量 しつりょう 、a は物体 ぶったい の加速度 かそくど を表 あらわ す[注 ちゅう 4] 。力 ちから は向 む きと大 おお きさによって特徴 とくちょう づけられ、一般 いっぱん にはベクトル量 りょう として表現 ひょうげん される。この定義 ていぎ はニュートン力学 りきがく [注 ちゅう 5] における運動 うんどう 量 りょう の定義 ていぎ と運動 うんどう の第 だい 2法則 ほうそく から導 みちび かれる。上述 じょうじゅつ の F = ma はしばしばニュートンの運動 うんどう 方程式 ほうていしき (あるいは短縮 たんしゅく して運動 うんどう 方程式 ほうていしき )と呼 よ ばれる。
一般 いっぱん に力 ちから は運動 うんどう の第 だい 2法則 ほうそく を満 み たし、物体 ぶったい に働 はたら く力 ちから の総和 そうわ (合力 ごうりょく )は運動 うんどう 量 りょう の時間 じかん 変化 へんか に等 ひと しい。
F
=
d
p
d
t
.
{\displaystyle {\boldsymbol {F}}={\frac {\mathrm {d} {\boldsymbol {p}}}{\mathrm {d} t}}\,.}
ここで F は物体 ぶったい に働 はたら く力 ちから 、p は物体 ぶったい の運動 うんどう 量 りょう 、t は慣性 かんせい 系 けい の時刻 じこく を表 あらわ す。ニュートン力学 りきがく において運動 うんどう 量 りょう は速度 そくど v と慣性 かんせい 質量 しつりょう m の積 せき で表 あらわ され、
p
=
m
v
{\displaystyle {\boldsymbol {p}}=m{\boldsymbol {v}}}
また速度 そくど v の時間 じかん 微分 びぶん は加速度 かそくど a であることから、物体 ぶったい の慣性 かんせい 質量 しつりょう は一定 いってい である場合 ばあい について、次 つぎ の関係 かんけい が成 な り立 た つ。
F
=
m
a
.
{\displaystyle {\boldsymbol {F}}=m{\boldsymbol {a}}\,.}
以上 いじょう は相対 そうたい 論 ろん を考 かんが えに入 い れない場合 ばあい である。そのため実際 じっさい には、慣性 かんせい 系 けい から見 み た対象 たいしょう の(相対 そうたい )速度 そくど が光速 こうそく に近 ちか くなると良 よ い近似 きんじ ではなくなる。特殊 とくしゅ 相対性理論 そうたいせいりろん では慣性 かんせい 系 けい の定義 ていぎ のほか、運動 うんどう 量 りょう の定義 ていぎ もまたニュートン力学 りきがく と異 こと なる。相対 そうたい 論 ろん 的 てき な粒子 りゅうし の運動 うんどう 量 りょう をニュートン力学 りきがく に合 あ わせて表現 ひょうげん すると、運動 うんどう 量 りょう は以下 いか のように修正 しゅうせい される。
p
=
m
1
−
v
2
/
c
2
v
.
{\displaystyle {\boldsymbol {p}}={\frac {m}{1-v^{2}/c^{2}}}{\boldsymbol {v}}.}
[注 ちゅう 6]
ここで c は光速 こうそく であり、m は不変 ふへん 質量 しつりょう (静止 せいし 質量 しつりょう )である。したがって、運動 うんどう 方程式 ほうていしき は以下 いか のようになる。
F
=
d
d
t
(
m
1
−
v
2
/
c
2
v
)
.
{\displaystyle {\boldsymbol {F}}={\frac {\mathrm {d} }{\mathrm {d} t}}\left({\frac {m}{1-v^{2}/c^{2}}}{\boldsymbol {v}}\right).}
光速 こうそく に対 たい して速度 そくど の大 おお きさ v が極 きわ めて小 ちい さければ、相対 そうたい 論 ろん 的 てき な運動 うんどう 量 りょう はニュートン力学 りきがく における定義 ていぎ とほとんど一致 いっち する。たとえば音速 おんそく は光速 こうそく の 0.0001% 程度 ていど であり、地球 ちきゅう 上 じょう で起 お こる大抵 たいてい の運動 うんどう に関 かん してはニュートン力学 りきがく を適用 てきよう することができる。
運動 うんどう の第 だい 2法則 ほうそく は慣性 かんせい 系 けい においてのみ成 な り立 た ち、慣性 かんせい 系 けい は運動 うんどう の第 だい 1法則 ほうそく によって定義 ていぎ される。一般 いっぱん に取 と り扱 あつか われる系 けい が完全 かんぜん な意味 いみ で慣性 かんせい 系 けい であることはなく、例 たと えば地上 ちじょう の運動 うんどう は少 すく なからず地球 ちきゅう の自転 じてん の影響 えいきょう を受 う けるが、自転 じてん によって生 しょう じる慣性 かんせい 力 りょく を運動 うんどう 方程式 ほうていしき に加 くわ えることで、非 ひ 慣性 かんせい 系 けい の運動 うんどう を慣性 かんせい 系 けい の場合 ばあい と同 おな じように取 と り扱 あつか うことができる。
ニュートン力学 りきがく では、運動 うんどう の第 だい 3法則 ほうそく が成 な り立 た つ。運動 うんどう の第 だい 3法則 ほうそく は「作用 さよう 反作用 はんさよう の法則 ほうそく 」とも呼 よ ばれ、作用 さよう (力 ちから )に対 たい してその対 たい となる反作用 はんさよう が必 かなら ず存在 そんざい することを述 の べる。例 たと えば物体 ぶったい Aから物体 ぶったい Bに及 およ ぼされる力 ちから F A → B が存在 そんざい するとき、それを打 う ち消 け す力 ちから F B → A が物体 ぶったい Bから物体 ぶったい Aへ及 およ ぼされる。両者 りょうしゃ の和 わ を考 かんが えるとこれは常 つね に 0 に等 ひと しくなる。
F
A
→
B
+
F
B
→
A
=
0.
{\displaystyle F_{\mathrm {A\to B} }+F_{\mathrm {B\to A} }=0.}
作用 さよう 反作用 はんさよう の法則 ほうそく は慣性 かんせい 力 りょく に対 たい しては成 な りたず、この意味 いみ で慣性 かんせい 力 りょく は見 み かけの力 ちから (fictitious force ) であるということができる。慣性 かんせい 力 りょく は慣性 かんせい 系 けい から非 ひ 慣性 かんせい 系 けい へ視点 してん を移 うつ した際 さい に現 あらわ れる力 ちから であり、その反作用 はんさよう は存在 そんざい しない。ニュートン力学 りきがく においては慣性 かんせい 力 りょく を除 のぞ くすべての力 ちから が物体 ぶったい 間 あいだ の相互 そうご 作用 さよう として理解 りかい されるが、電磁場 でんじば のような場 ば との相互 そうご 作用 さよう を含 ふく める場合 ばあい 、物体 ぶったい 間 あいだ だけで相互 そうご 作用 さよう が閉 と じるという前提 ぜんてい は破綻 はたん し、その結果 けっか として上述 じょうじゅつ の作用 さよう 反作用 はんさよう の法則 ほうそく が成 な りたなくなる。そのため、電磁場 でんじば を含 ふく む力学 りきがく においては、作用 さよう 反作用 はんさよう の法則 ほうそく は電磁気 でんじき 学 がく に適合 てきごう するように修正 しゅうせい される。
作用 さよう 反作用 はんさよう の法則 ほうそく はより一般 いっぱん 化 か され運動 うんどう 量 りょう 保存 ほぞん 則 そく として述 の べれられることがある。運動 うんどう 量 りょう 保存 ほぞん 則 そく に則 そく した立場 たちば では、力 ちから は物体 ぶったい 間 あいだ (あるいは物体 ぶったい と場 ば の間 あいだ )で行 おこな われる相互 そうご の運動 うんどう 量 りょう の授受 じゅじゅ を示 しめ すものと理解 りかい できる。ある時間 じかん に物体 ぶったい に及 およ ぼされる力 ちから の総和 そうわ と時間 じかん の積 せき 、すなわち力 ちから の時間 じかん に関 かん する積分 せきぶん は、その時間 じかん における物体 ぶったい の運動 うんどう 量 りょう の変化 へんか 量 りょう に等 ひと しい。この運動 うんどう 量 りょう の変化 へんか 量 りょう は力 ちから 積 せき と呼 よ ばれる。
古典 こてん 力学 りきがく で採用 さいよう される運動 うんどう の諸 しょ 法則 ほうそく によって定 さだ められる範囲 はんい では、力 ちから の定義 ていぎ は速度 そくど や加速度 かそくど のような運動 うんどう 学 がく 的 てき な量 りょう に比 くら べて抽象 ちゅうしょう 的 てき である。より具体 ぐたい 的 てき な定義 ていぎ は個々 ここ の現象 げんしょう 論 ろん によって与 あた えられる。多 おお くの場合 ばあい 、地球 ちきゅう の重力 じゅうりょく やばね の復元 ふくげん 力 りょく のように何 なん らかのポテンシャル を最小 さいしょう 化 か しようとする働 はたら きとして表 あらわ される。
通常 つうじょう 、力 ちから はそれが働 はたら く物体 ぶったい に付随 ふずい するものとして考 かんが えられるため、力 ちから に個々 ここ の作用 さよう 点 てん を付 ふ して特別 とくべつ に注意 ちゅうい を払 はら うことはない。しかしながらより一般 いっぱん 的 てき に、ある点 てん に対 たい してその点 てん を作用 さよう 点 てん とする力 ちから を与 あた える関数 かんすう を用 もち いて運動 うんどう を捉 とら えることもできる。そのような関数 かんすう は力 ちから の場 ば (field of force ) とか力 ちから 場 じょう と呼 よ ばれる。力 ちから の場 ば は、空間 くうかん の点 てん に対 たい してその点 てん に束縛 そくばく されたベクトルを与 あた える関数 かんすう であり、このような関数 かんすう はベクトル場 じょう と総称 そうしょう される。力 ちから の場 ば は、文脈 ぶんみゃく に応 おう じていくつか異 こと なる定義 ていぎ が与 あた えられる。一 ひと つの定義 ていぎ では、単位 たんい 質量 しつりょう の試験 しけん 物体 ぶったい に加 くわ えられる力 ちから を与 あた える場 ば をいい、別 べつ の定義 ていぎ では単 たん にある物体 ぶったい に働 はたら く力 ちから を与 あた える場 ば とされる。前者 ぜんしゃ の定義 ていぎ では、何 なん らかの単位 たんい 系 けい で質量 しつりょう が 1 となる[注 ちゅう 7] 物体 ぶったい に働 はたら く力 ちから を与 あた える。従 したが ってその量 りょう の次元 じげん は 力 ちから / 質量 しつりょう となる。後者 こうしゃ の定義 ていぎ は前者 ぜんしゃ の場 ば F (· ) に適当 てきとう な質量 しつりょう m を乗 じょう じた場 ば mF (· ) に相当 そうとう する。この場合 ばあい 、ある点 てん x で物体 ぶったい に働 はたら く力 ちから は mF (x ) と表 あらわ される。具体 ぐたい 的 てき な力 ちから の場 ば は何 なん らかのポテンシャル によって与 あた えられる。例 れい として、重力 じゅうりょく ポテンシャルや電磁 でんじ ポテンシャル などが挙 あ げられる。
力 ちから は文脈 ぶんみゃく によって、相互 そうご 作用 さよう (interaction )、作用 さよう (action ) などとも呼 よ ばれる。ただし、相互 そうご 作用 さよう は(本質 ほんしつ 的 てき には多 た 体 からだ 間 あいだ の)ポテンシャル を指 さ すこともあり、また作用 さよう は解析 かいせき 力学 りきがく においては力 ちから と異 こと なる概念 がいねん として定義 ていぎ されている。
力 ちから の量 りょう の次元 じげん は MLT−2 ([質量 しつりょう ]×[長 なが さ]×[時間 じかん ]−2 )である[注 ちゅう 8] 。力 ちから の次元 じげん が他 た の量 りょう の次元 じげん によって組 く み立 た てられることは、ニュートン力学 りきがく において力 ちから F が質量 しつりょう m と加速度 かそくど a の積 せき として与 あた えられること、
F
=
m
a
,
{\displaystyle {\boldsymbol {F}}=m{\boldsymbol {a}},}
加速度 かそくど a が、加 か 減速 げんそく される時間 じかん に対 たい する速度 そくど v の変化 へんか の割合 わりあい 、すなわち速度 そくど の時間 じかん 微分 びぶん として定義 ていぎ されること、
a
(
t
)
=
d
v
(
t
)
d
t
,
{\displaystyle {\boldsymbol {a}}(t)={\frac {\mathrm {d} {\boldsymbol {v}}(t)}{\mathrm {d} t}},}
速度 そくど v もまた、運動 うんどう する時間 じかん に対 たい する位置 いち x の変化 へんか の割合 わりあい として定義 ていぎ されること、
v
(
t
)
=
d
x
(
t
)
d
t
,
{\displaystyle {\boldsymbol {v}}(t)={\frac {\mathrm {d} {\boldsymbol {x}}(t)}{\mathrm {d} t}},}
から導 みちび かれる。位置 いち 、あるいは変位 へんい は基準 きじゅん 点 てん に対 たい する距離 きょり を測 はか ることによって決定 けってい でき、位置 いち の変化 へんか 量 りょう dx は長 なが さの次元 じげん (L) を持 も つ。速度 そくど は位置 いち の変化 へんか 量 りょう dx と時間 じかん dt の比 ひ なので、次元 じげん は長 なが さ (L) に時間 じかん (T) の逆数 ぎゃくすう を乗 じょう じた LT−1 となる。加速度 かそくど についても同様 どうよう の手続 てつづ きから量 りょう の次元 じげん が定 さだ まり、加速度 かそくど の量 りょう の次元 じげん は LT−2 である。力 ちから は加速度 かそくど に質量 しつりょう を乗 じょう じたものなので、量 りょう の次元 じげん も加速度 かそくど の量 りょう の次元 じげん に質量 しつりょう の次元 じげん (M) を掛 か けた MLT−2 となる。
力 ちから の単位 たんい もまた、それぞれの基本 きほん 量 りょう に対応 たいおう する基本 きほん 単位 たんい から組 く み立 た てられる。国際 こくさい 量 りょう 体系 たいけい では基本 きほん 量 りょう として質量 しつりょう 、時間 じかん 、長 なが さを採 と り、国際 こくさい 単位 たんい 系 けい では国際 こくさい 量 りょう 体系 たいけい に対応 たいおう して質量 しつりょう の単位 たんい をキログラム (kg)、時間 じかん の単位 たんい を秒 びょう (s)、長 なが さの単位 たんい をメートル (m) としてこれらを基本 きほん 単位 たんい としている。国際 こくさい 単位 たんい 系 けい に従 したが えば、力 ちから の単位 たんい は kg·m·s−2 と表 あらわ すことができる。また国際 こくさい 単位 たんい 系 けい では、目的 もくてき に応 おう じて組立 くみたて 単位 たんい が定義 ていぎ されており、力 ちから の単位 たんい としてニュートン (N) が定 さだ められている。ニュートンなどの組立 くみたて 単位 たんい はすべて基本 きほん 単位 たんい の代数 だいすう 操作 そうさ によって定義 ていぎ されており、ニュートンの場合 ばあい 、N = kg·m·s−2 と定義 ていぎ されている。
静 せい 力学 りきがく では力 ちから は基本 きほん 的 てき な状態 じょうたい 量 りょう になる。力 ちから を構成 こうせい する要素 ようそ は、力 ちから の大 おお きさ (magnitude )、力 ちから の向 む き (direction )、作用 さよう 線 せん の方向 ほうこう 、作用 さよう 線 せん の位置 いち である。力 ちから が及 およ ぼされる点 てん を作用 さよう 点 てん [注 ちゅう 9] (point of action ) と呼 よ ぶ。作用 さよう 線 せん (line of action ) とは作用 さよう 点 てん を通 とお り、力 ちから の向 む きに対 たい して平行 へいこう な直線 ちょくせん のことである。また、力 ちから が2体力 たいりょく である場合 ばあい には、力 ちから を及 およ ぼすものと力 ちから が及 およ ぼされるものとの組 くみ を考 かんが えることができる。すべての力 ちから が2体力 たいりょく であるなら、それぞれの力 ちから は互 たが いに独立 どくりつ であり、物体 ぶったい にかかる正味 しょうみ の力 ちから (net force ) はそれぞれの独立 どくりつ な力 ちから の単純 たんじゅん な和 わ として表 あらわ される。
たとえば、物体 ぶったい A に物体 ぶったい B, C が力 ちから を及 およ ぼしている場合 ばあい 、物体 ぶったい A に働 はたら く正味 しょうみ の力 ちから は、
F
A
=
F
B
→
A
+
F
C
→
A
{\displaystyle {\boldsymbol {F}}_{\mathrm {A} }={\boldsymbol {F}}_{\mathrm {B\to A} }+{\boldsymbol {F}}_{\mathrm {C\to A} }}
と分解 ぶんかい することができる。ここで F A は物体 ぶったい A に働 はたら く正味 しょうみ の力 ちから 、F B → A , F C → A はそれぞれ物体 ぶったい B, C が物体 ぶったい A に及 およ ぼしている力 ちから を表 あらわ す。このことは A に力 ちから を及 およ ぼす物体 ぶったい が増 ふ えても同様 どうよう に成 な り立 た つ。
解析 かいせき 力学 りきがく における力 ちから は、ニュートン力学 りきがく の定義 ていぎ と異 こと なり、オイラー=ラグランジュ方程式 ほうていしき を通 つう じて一般 いっぱん 化 か 運動 うんどう 量 りょう (generalized momentum) の時間 じかん 微分 びぶん に等 ひと しくなる関数 かんすう として与 あた えられる。一般 いっぱん 化 か 運動 うんどう 量 りょう の時間 じかん 微分 びぶん という意味 いみ での力 ちから は、一般 いっぱん 化 か 力 りょく (generalized force) あるいは広義 こうぎ の力 ちから と呼 よ ばれ、ニュートン力学 りきがく における力 ちから とは区別 くべつ される。
一般 いっぱん 化 か 運動 うんどう 量 りょう はラグランジアン の一般 いっぱん 化 か 速度 そくど による偏 へん 微分 びぶん として定義 ていぎ される。一般 いっぱん 化 か 運動 うんどう 量 りょう を P 、ラグランジアンを L 、一般 いっぱん 化 か 座標 ざひょう 系 けい の組 くみ を q 、一般 いっぱん 化 か 速度 そくど の組 くみ を · q と表 あらわ せば、一般 いっぱん 化 か 運動 うんどう 量 りょう は以下 いか のように定義 ていぎ される。
P
(
q
,
q
˙
,
t
)
=
∂
L
(
q
,
q
˙
,
t
)
∂
q
˙
.
{\displaystyle {\boldsymbol {P}}({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}},t)={\frac {\partial L({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}},t)}{\partial {\dot {\boldsymbol {q}}}}}.}
[注 ちゅう 10]
オイラー=ラグランジュ方程式 ほうていしき
∂
L
(
q
,
q
˙
,
t
)
∂
q
|
(
q
,
q
˙
)
=
(
q
(
t
)
,
q
˙
(
t
)
)
=
d
d
t
(
∂
L
(
q
,
q
˙
,
t
)
∂
q
˙
|
(
q
,
q
˙
)
=
(
q
(
t
)
,
q
˙
(
t
)
)
)
{\displaystyle \left.{\frac {\partial L({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}},t)}{\partial {\boldsymbol {q}}}}\right|_{({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}})=({\boldsymbol {q}}(t),{\dot {\boldsymbol {q}}}(t))}={\frac {\mathrm {d} }{\mathrm {d} t}}\left(\left.{\frac {\partial L({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}},t)}{\partial {\dot {\boldsymbol {q}}}}}\right|_{({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}})=({\boldsymbol {q}}(t),{\dot {\boldsymbol {q}}}(t))}\right)}
[注 ちゅう 11]
を一般 いっぱん 化 か 運動 うんどう 量 りょう P で書 か き換 か えると、以下 いか のように書 か ける。
∂
L
(
q
,
q
˙
,
t
)
∂
q
|
(
q
,
q
˙
)
=
(
q
(
t
)
,
q
˙
(
t
)
)
=
d
d
t
(
P
(
q
,
q
˙
,
t
)
|
(
q
,
q
˙
)
=
(
q
(
t
)
,
q
˙
(
t
)
)
)
{\displaystyle \left.{\frac {\partial L({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}},t)}{\partial {\boldsymbol {q}}}}\right|_{({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}})=({\boldsymbol {q}}(t),{\dot {\boldsymbol {q}}}(t))}={\frac {\mathrm {d} }{\mathrm {d} t}}\left(\left.{\boldsymbol {P}}({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}},t)\right|_{({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}})=({\boldsymbol {q}}(t),{\dot {\boldsymbol {q}}}(t))}\right)}
上記 じょうき のオイラー=ラグランジュ方程式 ほうていしき の右辺 うへん から、一般 いっぱん 化 か 力 りょく Ψ ぷさい [注 ちゅう 12] は次 つぎ のように定義 ていぎ される。
Ψ ぷさい
(
q
,
q
˙
,
t
)
=
∂
L
(
q
,
q
˙
,
t
)
∂
q
.
{\displaystyle {\boldsymbol {\Psi }}({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}},t)={\frac {\partial L({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}},t)}{\partial {\boldsymbol {q}}}}.}
オイラー=ラグランジュ方程式 ほうていしき
Ψ ぷさい
(
q
,
q
˙
,
t
)
|
(
q
,
q
˙
)
=
(
q
(
t
)
,
q
˙
(
t
)
)
=
d
d
t
(
P
(
q
,
q
˙
,
t
)
|
(
q
,
q
˙
)
=
(
q
(
t
)
,
q
˙
(
t
)
)
)
{\displaystyle \left.{\boldsymbol {\Psi }}({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}},t)\right|_{({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}})=({\boldsymbol {q}}(t),{\dot {\boldsymbol {q}}}(t))}={\frac {\mathrm {d} }{\mathrm {d} t}}\left(\left.{\boldsymbol {P}}({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}},t)\right|_{({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}})=({\boldsymbol {q}}(t),{\dot {\boldsymbol {q}}}(t))}\right)}
とニュートンの運動 うんどう 方程式 ほうていしき
F
(
t
)
=
d
d
t
p
(
t
)
{\displaystyle {\boldsymbol {F}}(t)={\frac {\mathrm {d} }{\mathrm {d} t}}{\boldsymbol {p}}(t)}
と見比 みくら べれば、左辺 さへん の一般 いっぱん 化 か 力 りょく Ψ ぷさい は力 ちから に相当 そうとう する量 りょう であることが分 わ かる。
その物体 ぶったい の速度 そくど が変化 へんか しないとき、力 ちから が釣 つ り合 あ っている と言 い う。例 たと えば、自動車 じどうしゃ が時速 じそく 40 km/h のまま直進 ちょくしん しているとき、車体 しゃたい にかかる力 ちから は釣 つ り合 あ っている。この時 とき 、エンジン等 とう によって動 うご かされた車輪 しゃりん が加速 かそく しようとする力 ちから と車軸 しゃじく の摩擦 まさつ や空気 くうき 抵抗 ていこう によって減速 げんそく しようとする力 ちから が釣 つ り合 あ っている、と考 かんが えるのである。
力 ちから の合成 ごうせい 力 ちから dT と力 ちから dN を合成 ごうせい した力 ちから dF は平行四辺形 へいこうしへんけい の法則 ほうそく によって対角線 たいかくせん として計算 けいさん できる。
力 ちから の合成 ごうせい とは、ある点 てん に働 はたら く複数 ふくすう の力 ちから を 1 つの等価 とうか な力 ちから として表 あらわ すことを言 い う。またその逆 ぎゃく の操作 そうさ を力 ちから の分解 ぶんかい (decomposition of force ) と呼 よ ぶ。合成 ごうせい された力 ちから のことを合力 ごうりょく (resultant force ) という。力 ちから はベクトル として定義 ていぎ されているので、ベクトル空間 くうかん における加法 かほう の規則 きそく に従 したが い合成 ごうせい と分解 ぶんかい を行 おこな うことができる。力 ちから と運動 うんどう 量 りょう がベクトルであることにより、運動 うんどう 方程式 ほうていしき を任意 にんい の成分 せいぶん に分解 ぶんかい することができる。この原理 げんり を運動 うんどう の独立 どくりつ 性 せい (independence of motions ) という。
分解 ぶんかい された力 ちから と元 もと の力 ちから 、あるいは合成 ごうせい される力 ちから とそれらの合力 ごうりょく の関係 かんけい を図形 ずけい 的 てき に表 あらわ すものとして、力 ちから の平行四辺形 へいこうしへんけい がしばしば用 もち いられる。力 ちから の分解 ぶんかい に関 かん して、2 成分 せいぶん に分解 ぶんかい された力 ちから は平行四辺形 へいこうしへんけい の辺 あたり をなし、その対角線 たいかくせん は元 もと の力 ちから となる。同様 どうよう に、2つの力 ちから が同 おな じ点 てん に働 はたら くと、それらは平行四辺形 へいこうしへんけい の辺 あたり をなす。2つの力 ちから の合力 ごうりょく は2つの力 ちから のなす平行四辺形 へいこうしへんけい の対角線 たいかくせん として図示 ずし される。力 ちから の分解 ぶんかい や合成 ごうせい を平行四辺形 へいこうしへんけい の組 く み合 あ わせによって表 あらわ すことができる、という法則 ほうそく を平行四辺形 へいこうしへんけい の法則 ほうそく (parallelogram law ) と呼 よ ぶ。平行四辺形 へいこうしへんけい の法則 ほうそく はまた、ニュートンの第 だい 4法則 ほうそく (Newton's fourth law ) とか力 ちから の重畳 ちょうじょう 原理 げんり (superposition principle of force ) とも呼 よ ばれる。
連続 れんぞく 体力 たいりょく 学 がく などの分野 ぶんや では、力 ちから は次 つぎ の 2 つに分類 ぶんるい される。
面積 めんせき 力 りょく
面 めん を通 とお して作用 さよう し、その大 おお きさが面積 めんせき に比例 ひれい する力 ちから 。表面 ひょうめん を横切 よこぎ る微視的 びしてき な運動 うんどう 量 りょう の流 ながれ 束 たば とも言 い え、表面 ひょうめん 力 りょく とも呼 よ ばれる。物体 ぶったい の面 めん を介 かい して作用 さよう するので近接 きんせつ 作用 さよう 力 ちから である。例 れい としては圧力 あつりょく 、応力 おうりょく 、表面張力 ひょうめんちょうりょく などが挙 あ げられる。
体積 たいせき 力 りょく
物体 ぶったい の体積 たいせき に比例 ひれい する力 ちから 。物体 ぶったい 力 りょく とも呼 よ ばれる。物体 ぶったい には直接 ちょくせつ 触 ふ れずに作用 さよう する力 ちから なので遠隔 えんかく 作用 さよう 力 ちから である。例 れい として重力 じゅうりょく 、遠心 えんしん 力 りょく 、コリオリの力 ちから 、電力 でんりょく などがある。
量子力学 りょうしりきがく では、場 ば の量子 りょうし 論 ろん により、宇宙 うちゅう における力 ちから の源 みなもと は基本 きほん 相互 そうご 作用 さよう による、電磁 でんじ 相互 そうご 作用 さよう ・弱 よわ い相互 そうご 作用 さよう ・強 つよ い相互 そうご 作用 さよう ・重力 じゅうりょく 相互 そうご 作用 さよう の 4つに整理 せいり された。ただし、重力 じゅうりょく は古典 こてん 物理 ぶつり 学 がく に属 ぞく する一般 いっぱん 相対性理論 そうたいせいりろん も関係 かんけい し、また、重力 じゅうりょく の量子 りょうし 化 か (量子 りょうし 重力 じゅうりょく 理論 りろん )は研究 けんきゅう の途上 とじょう である。一方 いっぽう で電磁 でんじ 相互 そうご 作用 さよう と弱 よわ い相互 そうご 作用 さよう とを統一 とういつ 的 てき に記述 きじゅつ する電 でん 弱 じゃく 統一 とういつ 理論 りろん はワインバーグ=サラム理論 りろん によって完成 かんせい した。その次 つぎ と言 い える強 つよ い相互 そうご 作用 さよう の統一 とういつ は大 だい 統一 とういつ 理論 りろん として研究 けんきゅう 中 ちゅう である。
その他 た 、主 おも な未 み 解決 かいけつ の問題 もんだい についての概観 がいかん は標準 ひょうじゅん 模型 もけい を参照 さんしょう のこと。
(古典 こてん 力学 りきがく の)力 りょく は物理 ぶつり 学 がく の根幹 こんかん にかかわるものであるが、力 ちから の定義 ていぎ づけは自明 じめい ではないともいわれる。アイザック・ニュートンは『自然 しぜん 哲学 てつがく の数学 すうがく 的 てき 諸 しょ 原理 げんり 』において力 ちから と質量 しつりょう について明確 めいかく な定義 ていぎ を与 あた えていない。現代 げんだい 的 てき な視点 してん では、ニュートン力学 りきがく における力 ちから は運動 うんどう の第 だい 2法則 ほうそく F = ma によって定義 ていぎ されるものと解釈 かいしゃく されるが、この解釈 かいしゃく のもとでは、比例 ひれい 定数 ていすう の慣性 かんせい 質量 しつりょう m が未定義 みていぎ な量 りょう であるため、力 ちから と慣性 かんせい 質量 しつりょう の定義 ていぎ が独立 どくりつ しておらず、不満 ふまん である。そのため、力 ちから と質量 しつりょう の定義 ていぎ を分離 ぶんり すべきという批判 ひはん がなされている。
アメリカ航空 こうくう 宇宙 うちゅう 局 きょく のサイトでは「自由 じゆう 物体 ぶったい の動 うご きに変化 へんか を起 お こしたり、あるいは固定 こてい 物体 ぶったい に応力 おうりょく を与 あた える基 もと となる agent (エージェント)[25] 」といった説明 せつめい になっている。
^ ステヴィンによるこの問題 もんだい の証明 しょうめい は Epitaph of Stevinus (ステウィヌスの碑 いしぶみ )と呼 よ ばれる。Stevinus はステヴィンのラテン語 らてんご 名 めい 。
^ ただし現在 げんざい 用 もち いられるベクトルの記法 きほう が発達 はったつ したのは19世紀 せいき 以降 いこう である。
^ a b 太字 ふとじ の変数 へんすう はベクトル 量 りょう を表 あらわ す。
^ 力 ちから 、質量 しつりょう 、加速度 かそくど の順序 じゅんじょ や記号 きごう は単 たん に慣習 かんしゅう 的 てき なものであり、文献 ぶんけん によって様々 さまざま な表現 ひょうげん がある。例 たと えば ma = F のように書 か かれている文献 ぶんけん も数多 かずおお くある。いずれにせよ、数学 すうがく 上 じょう あるいは物理 ぶつり 学 がく 上 じょう の意味 いみ は同 おな じである。
^ 古典 こてん 力学 りきがく のうち、非 ひ 相対 そうたい 論 ろん 的 てき な力学 りきがく をニュートン力学 りきがく と呼 よ ぶ。ただし文献 ぶんけん によっては古典 こてん 力学 りきがく に相対 そうたい 論 ろん を含 ふく めないものもある。
^ この運動 うんどう 量 りょう は四元 よつもと 運動 うんどう 量 りょう の空間 くうかん 成分 せいぶん である。
^ 科学 かがく 技術 ぎじゅつ 分野 ぶんや で一般 いっぱん 的 てき な国際 こくさい 単位 たんい 系 けい では質量 しつりょう の基本 きほん 単位 たんい はキログラム である。従 したが ってこの場合 ばあい の単位 たんい 質量 しつりょう は 1 kg となる。ヤード・ポンド法 ほう では質量 しつりょう の基本 きほん 単位 たんい はポンド となるため、単位 たんい 質量 しつりょう は 1 lb となる。
^ 記号 きごう に対 たい する上 うえ 付 つ きの添字 そえじ はその量 りょう のベキ を表 あらわ す。たとえば A2 は A × A を意味 いみ する。負数 ふすう のベキは逆数 ぎゃくすう のベキを表 あらわ し、たとえば B−2 は 1 / B × 1 / B 、つまり 1 / B×B を意味 いみ する。折衷 せっちゅう 的 てき な表現 ひょうげん として B−2 を 1 / B2 と表 あらわ すこともしばしばある。
^ 作用 さよう 点 てん はまた着 き 力点 りきてん とも呼 よ ばれる。
^ 関数 かんすう f (u ) のベクトル u による微分 びぶん は、ベクトル u の各 かく 成分 せいぶん ui , i = 1, 2, ..., d に対 たい する偏 へん 導 しるべ 関数 かんすう ∂f / ∂ui を成分 せいぶん に持 も つベクトル (∂f / ∂u1 , ∂f / ∂u2 , ..., ∂f / ∂ud ) 、つまり勾配 こうばい を与 あた える。
^ ここで · q (t ) は関数 かんすう q (t ) の t による微分 びぶん を表 あらわ す。この微分 びぶん の記法 きほう はニュートンの記法 きほう と呼 よ ばれる。
^ この記法 きほう はあまり一般 いっぱん 的 てき ではない。一般 いっぱん 化 か 力 りょく を表 あらわ す記号 きごう としてはしばしば Q が用 もち いられる。
英語 えいご 版 ばん ウィキソースに
本 ほん 記事 きじ に
関連 かんれん した
原文 げんぶん があります。
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線形 せんけい ・直線 ちょくせん 運動 うんどう の量 りょう
角度 かくど ・回転 かいてん 運動 うんどう の量 りょう
次元 じげん
—
L
L2
次元 じげん
—
—
—
T
時間 じかん : t s
absement : A m s (英語 えいご 版 ばん )
T
時間 じかん : t s
—
距離 きょり : d , 位置 いち : r , s , x , 変位 へんい m
面積 めんせき : A m2
—
角度 かくど : θ しーた , 角 かく 変位 へんい (英語 えいご 版 ばん ) : θ しーた rad
立体 りったい 角 かく : Ω おめが rad2 , sr
T−1
周波数 しゅうはすう : f s−1 , Hz
速 はや さ (速度 そくど の大 おお きさ): v , 速度 そくど : v m s−1
動 どう 粘 ねば 度 たび : ν にゅー ,比角 ひすみ 運動 うんどう 量 りょう (英語 えいご 版 ばん ) : h m2 s−1
T−1
周波数 しゅうはすう : f s−1 , Hz
角速度 かくそくど (の大 おお きさ): ω おめが , 角速度 かくそくど : ω おめが rad s−1
T−2
加速度 かそくど : a m s−2
T−2
角 すみ 加速度 かそくど : α あるふぁ rad s−2
T−3
躍 おど 度 たび : j m s−3
T−3
角 かく 躍 おど 度 たび : ζ ぜーた rad s−3
M
質量 しつりょう : m kg
M L2
慣性 かんせい モーメント : I kg m2
M T−1
運動 うんどう 量 りょう : p , 力 ちから 積 せき : J kg m s−1 , N s (英語 えいご 版 ばん )
作用 さよう : 𝒮 , actergy : ℵ kg m2 s−1 , J s (英語 えいご 版 ばん )
M L2 T−1
角 かく 運動 うんどう 量 りょう : L , 角力 すもう 積 せき : Δ でるた L kg m2 s−1
作用 さよう : 𝒮 , actergy: ℵ kg m2 s−1 , J s
M T−2
力 ちから : F , 重 おも さ : F g kg m s−2 , N
エネルギー : E , 仕事 しごと : W kg m2 s−2 , J
M L2 T−2
トルク : τ たう , 力 ちから のモーメント : M kg m2 s−2 , N m
エネルギー: E , 仕事 しごと : W kg m2 s−2 , J
M T−3
yank : Y kg m s−3 , N s−1
仕事率 しごとりつ : P kg m2 s−3 , W
M L2 T−3
rotatum : P kg m2 s−3 , N m s−1
仕事率 しごとりつ : P kg m2 s−3 , W