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遠隔 えんかく 作用 さよう (えんかくさよう、英語 えいご : action at a distance, nonlocal interaction )あるいは遠隔 えんかく 作用 さよう 論 ろん とは、物体 ぶったい が空間 くうかん を隔 へだ てて直接 ちょくせつ 力 ちから を及 およ ぼす、とする描像・とらえ方 かた ・仮説 かせつ 。非 ひ 接触 せっしょく 力 りょく 。遠隔 えんかく 作用 さよう 論 ろん では、物体 ぶったい の間 あいだ の力 ちから は、物体 ぶったい の間 あいだ の距離 きょり がどれほど離 はな れていても瞬時 しゅんじ に伝 つた わる、と考 かんが える。対 たい となる概念 がいねん は近接 きんせつ 作用 さよう (論 ろん )。
ニュートン力学 りきがく などにおいて、遠隔 えんかく 作用 さよう で力 ちから を説明 せつめい すると、近接 きんせつ 作用 さよう とは異 こと なり、力 ちから の伝播 でんぱ 自体 じたい の速度 そくど を考 かんが えないでよいので、物体 ぶったい 同士 どうし の相互 そうご 作用 さよう は位置 いち にしかよらず、速度 そくど に依存 いぞん しない事 こと を意味 いみ するが、これは万有引力 ばんゆういんりょく による位置 いち エネルギー などのポテンシャルエネルギーが、位置 いち の関数 かんすう で表 あらわ せるのと同 おな じである。この事 こと は、ある慣性 かんせい 系 けい と、それに対 たい して等 とう 速度 そくど に移動 いどう する基準 きじゅん 系 けい で、ともに同 おな じ運動 うんどう 方程式 ほうていしき を保 たも つという相対性原理 そうたいせいげんり から直接 ちょくせつ 知 し ることができる[1] 。
ニュートン以前 いぜん の力学 りきがく では、<<力 ちから >>というのは物体 ぶったい が接触 せっしょく することで働 はたら く、とする近接 きんせつ 作用 さよう による説明 せつめい が主流 しゅりゅう であった。
例 たと えば、「重力 じゅうりょく は一体 いったい どのような原理 げんり で働 はたら くのか?」という問 と いは、17世紀 せいき のヨーロッパの自然 しぜん 哲学 てつがく 者 しゃ たち(現代 げんだい で言 い うところの自然 しぜん 科学 かがく 者 しゃ たち)の頭 あたま を悩 なや ませていたが、ヨーロッパ大陸 たいりく で活動 かつどう していたルネ・デカルト は近接 きんせつ 作用 さよう 論 ろん の一種 いっしゅ である渦動 かどう 説 せつ によって重力 じゅうりょく を説明 せつめい しようとした。それに対 たい してイギリスのアイザック・ニュートン は、ルネ・デカルトの渦動 かどう 説 せつ の説明 せつめい には無理 むり がある、と判断 はんだん し、万有引力 ばんゆういんりょく という考 かんが え方 かた (宇宙 うちゅう のあらゆる質点 しつてん (物体 ぶったい )が、互 たが いに引 ひ き合 あ う力 ちから を及 およ ぼしあっており、その力 ちから は質点 しつてん の間 あいだ の距離 きょり がどれほど離 はな れていても瞬時 しゅんじ に伝 つた わる、とする考 かんが え方 かた の理論 りろん )を構築 こうちく し、それを彼 かれ が構築 こうちく した力学 りきがく 体系 たいけい (その後 ご の人々 ひとびと が「ニュートン力学 りきがく 」と呼 よ ぶことになったもの)を解説 かいせつ した『自然 しぜん 哲学 てつがく の数学 すうがく 的 てき 諸 しょ 原理 げんり 』(1687年刊 ねんかん 、つまり17世紀 せいき 後半 こうはん )において発表 はっぴょう した。このニュートンの「万有引力 ばんゆういんりょく 」は遠隔 えんかく 作用 さよう 論 ろん である。
ニュートンが『自然 しぜん 哲学 てつがく の数学 すうがく 的 てき 諸 しょ 原理 げんり 』において解説 かいせつ した力学 りきがく 体系 たいけい と万有引力 ばんゆういんりょく 理論 りろん によって、人々 ひとびと はさまざまな物体 ぶったい や天体 てんたい の運動 うんどう を数値 すうち を用 もち いてかなり正確 せいかく に分析 ぶんせき しまた予想 よそう することができるようになった。そして当時 とうじ の学者 がくしゃ たちによって熱狂 ねっきょう 的 てき に支持 しじ されることになった(そして、自然 しぜん 哲学 てつがく の中 なか から近代 きんだい の自然 しぜん 科学 かがく が誕生 たんじょう することになった(科学 かがく 革命 かくめい ))。
ただしニュートン自身 じしん は遠隔 えんかく 作用 さよう に満足 まんぞく していた訳 わけ ではない。ニュートンは、リチャード・ベントレー への手紙 てがみ でこう述 の べている。
物質 ぶっしつ ではない
他 ほか の
何 なに かの
仲介 ちゅうかい なくして、
生 い きていない
物質 ぶっしつ が
互 たが いに
接触 せっしょく することなく
作用 さよう し、
影響 えいきょう を
及 およ ぼすとは
考 かんが えられません……
重力 じゅうりょく が
物質 ぶっしつ に
本来 ほんらい 備 そな わっている
性質 せいしつ であって、
物体 ぶったい が
他 た のものの
媒介 ばいかい なしに、
作用 さよう と
力 ちから が
伝達 でんたつ されることで、
真空 しんくう を
通 つう じて
別 べつ の
物 もの に
遠隔 えんかく で
作用 さよう するということは、
私 わたし にとって
非常 ひじょう に
不条理 ふじょうり であり、
哲学 てつがく 的 てき 問題 もんだい を
考察 こうさつ する
能力 のうりょく に
優 すぐ れた
人 ひと なら
誰 だれ もそのような
考 かんが えに
陥 おちい ることはないと
信 しん じています。
重力 じゅうりょく は、
常 つね に
特定 とくてい の
法則 ほうそく に
従 したが って
作用 さよう するエージェントによって
引 ひ き
起 お こされるに
違 ちが いありません。しかし、このエージェントが
物質 ぶっしつ であるか
否 ひ かについて、
私 わたし は
読者 どくしゃ の
考 かんが えるところに
任 まか せました。
[注 ちゅう 1]
—アイザック・ニュートン、ベントレーへの手紙 てがみ 、1693年 ねん
ニュートンは重力 じゅうりょく の原因 げんいん として非 ひ 物質 ぶっしつ 的 てき な存在 そんざい や、神 かみ の遍在 へんざい を考 かんが えていたとされる[3] [4] 。
18世紀 せいき を通 とお して、自然 しぜん 科学 かがく 者 しゃ の間 あいだ ではニュートン力学 りきがく が圧倒的 あっとうてき な権威 けんい を認 みと められており、重力 じゅうりょく や静電気 せいでんき 力 りょく などは遠隔 えんかく 点 てん にある物体 ぶったい 同士 どうし が作用 さよう によって直接 ちょくせつ 結 むす ばれているとする遠隔 えんかく 作用 さよう 論 ろん によって説明 せつめい がなされた。ほとんどすべての自然 しぜん 科学 かがく 者 しゃ たちが遠隔 えんかく 作用 さよう 論 ろん を前提 ぜんてい とした理論 りろん 体系 たいけい でものごとを見 み て分析 ぶんせき していた、といっても過言 かごん ではない。
ところが、その後 ご 19世紀 せいき に入 はい って、電磁 でんじ 誘導 ゆうどう などの現象 げんしょう が知 し られるようになった。当時 とうじ の科学 かがく 者 しゃ たちは、(ある意味 いみ 、当然 とうぜん のことながら)ニュートン力学 りきがく 流 りゅう の遠隔 えんかく 作用 さよう 論 ろん で電磁気 でんじき 現象 げんしょう や電磁 でんじ 誘導 ゆうどう などを説明 せつめい しようとしたのだが、その試 こころ みはいろいろあったものの、いずれもうまくゆかなかった。
マイケル・ファラデー は、遠隔 えんかく 作用 さよう 論 ろん を用 もち いる代 か わりに、<<場 ば >> という概念 がいねん (理論 りろん 的 てき 枠組 わくぐ み)によって電磁気 でんじき 現象 げんしょう を説明 せつめい する案 あん を提唱 ていしょう した。そしてジェームズ・クラーク・マクスウェル がファラデーのアイデアを取 と り入 い れた電磁気 でんじき 理論 りろん を構築 こうちく した。このマクスウェル理論 りろん をオリヴァー・ヘヴィサイド がベクトル解析 かいせき の形式 けいしき に書 か き直 なお し理論 りろん 体系 たいけい を完成 かんせい させた。この理論 りろん 体系 たいけい は、現代 げんだい では「古典 こてん 的 てき 電磁気 でんじき 学 がく 」と呼 よ ばれる。だがマクスウェルの理論 りろん 体系 たいけい とニュートン力学 りきがく の体系 たいけい との間 あいだ には形式 けいしき 的 てき に(決定的 けっていてき な)隔 へだ たり(矛盾 むじゅん )が生 しょう じており、それをどうしたら解決 かいけつ できるのか?ということについて当時 とうじ の科学 かがく 者 しゃ (物理 ぶつり 学者 がくしゃ )らは頭 あたま を悩 なや ませることになった。アルベルト・アインシュタイン が特殊 とくしゅ 相対性理論 そうたいせいりろん 続 つづ いて一般 いっぱん 相対性理論 そうたいせいりろん を発表 はっぴょう (1915年 ねん ~1916年 ねん 発表 はっぴょう )し、科学 かがく 者 しゃ によって広 ひろ く受 う け入 い れられることになったが、アインシュタインの相対性理論 そうたいせいりろん では、電磁気 でんじき 力 りょく は(そして重力 じゅうりょく も)場 じょう の理論 りろん を用 もち いた近接 きんせつ 作用 さよう の立場 たちば で説明 せつめい されていた。こうしてニュートン流 りゅう の遠隔 えんかく 作用 さよう による説明 せつめい は(第 だい 一線 いっせん の物理 ぶつり 学 がく からは)消 き えてゆくことになった。
ただし、現代 げんだい でも学生 がくせい が高校 こうこう の段階 だんかい でまず学 まな ぶのは遠隔 えんかく 作用 さよう 論 ろん を採用 さいよう している古典 こてん 力学 りきがく (ニュートン力学 りきがく )であり、また遠隔 えんかく 作用 さよう を採用 さいよう した考 かんが え方 かた やモデルや数式 すうしき で分析 ぶんせき や予測 よそく をすることは広 ひろ く行 おこな われている。なお、近接 きんせつ 作用 さよう 論 ろん で物体 ぶったい 間 あいだ の距離 きょり による遅延 ちえん があらわになるような場合 ばあい 、遠隔 えんかく 作用 さよう 論 ろん は誤 あやま った結論 けつろん を導 みちび く(あるいは補正 ほせい のための新 あら たな概念 がいねん を要 よう する)[5] 。近接 きんせつ 作用 さよう 論 ろん においては、力 ちから の伝播 でんぱ 速度 そくど に対 たい して距離 きょり が十分 じゅうぶん に小 ちい さい場合 ばあい は遠隔 えんかく 作用 さよう 論 ろん と近接 きんせつ 作用 さよう 論 ろん の結論 けつろん は近似 きんじ する(なお距離 きょり が「無視 むし できるほど小 ちい さい」場合 ばあい だけしか遠隔 えんかく 作用 さよう 論 ろん と近接 きんせつ 作用 さよう 論 ろん の結論 けつろん は一致 いっち しない)。
なお、20世紀 せいき 半 なか ばには量子力学 りょうしりきがく が勃興 ぼっこう し、物理 ぶつり 学 がく は相対性理論 そうたいせいりろん の段階 だんかい のさらに先 さき に進 すす み、変革 へんかく してゆくことになったわけだが、やがて、量子 りょうし のエンタングル状態 じょうたい は非 ひ 局所 きょくしょ 的 てき に(量子 りょうし 間 あいだ の距離 きょり を一気 いっき に飛 と び越 こ えて)そして非 ひ 作用 さよう 的 てき に相関 そうかん する、ということが理解 りかい されるようになった(量子 りょうし もつれ )。
^ 原文 げんぶん は "It is inconceivable that inanimate brute matter should, without the mediation of something else, which is not material, operate upon, and affect other matter without mutual contact; as it must do, if gravitation, in the sense of Epicurus, be essential and inherent in it. And this is the reason why I desired you would not ascribe innate gravity to me. That gravity should be innate, inherent, and essential to matter, so that one body may act upon another at a distance through a vacuum, without the mediation of anything else, by and through which their action and force may be conveyed from one to another, is to me so great an absurdity, that I believe no man who has in philosophical matters a competent faculty of thinking, can ever fall into it. Gravity must be caused by an agent acting constantly according to certain laws; but whether this agent be material or immaterial, I have left to the consideration of my readers."[2]