パニア

パニア(英えい: Pannier)とは、ウマやロバ、ラクダなどの家畜かちく（使役しえき動物どうぶつ）に、荷物にもつを背負しょわせるための鞍くらに取とり付つけた背負せおいかご、バッグや荷台にだい（荷鞍にぐら）のことである。あるいは、馬うまの背せの両側りょうがわに吊つり下さげて対たいになったかごや荷物にもつの様ようからの連想れんそうが語源ごげんとなっている「対たいになったもの」も指さす。

家畜かちく輸送ゆそうのパニア[編集へんしゅう]

家畜かちく輸送ゆそう（駄だ獣しし）では、帆布ほぬのや皮革ひかく、籐とう篭かごでできたパニアを用もちいる。そして農産物のうさんぶつや、岩塩がんえん、生活せいかつ物資ぶっしなど様々さまざまな品物しなものをパニアで運はこぶ。家畜かちくによる運搬うんぱんには、自動車じどうしゃの通行つうこうが不可能ふかのうな狭隘きょうあい道路どうろ(きょうあいどうろ)や険けわしい悪あく路ろでも荷物にもつを運はこぶことができる長所ちょうしょがある。近年きんねんでは中国ちゅうごくの山間さんかん部ぶでも電化でんかがされている地域ちいきもあり、険けわしい山道さんどうにおいて家電かでん製品せいひんを生活せいかつ物資ぶっしとともにパニアで運はこぶ事例じれいもテレビ番組ばんぐみなどで報告ほうこくされている。

自転車じてんしゃのパニア[編集へんしゅう]

キャンピング車しゃなどによる長距離ちょうきょりのサイクリングにパニアを用もちいる。自転車じてんしゃの前側まえがわまたは後うしろ側がわにある荷台にだいの両りょう脇わきにパニアバッグやサイドバッグを取とり付つけて荷物にもつを入いれる。また実用じつよう車しゃにおいては、トートバッグやかごを荷台にだいに下さげて使つかうこともある。

自転車じてんしゃ用ようサドルバッグの発明はつめいについては、1884年ねん 6月3日にちに左右さゆうのバッグが別々べつべつになったパニアバッグ（日本にっぽんではサイドバッグともいう）がニュージャージ州しゅうカムデンのジョーン・ウッド(英えい: John B. Wood) によってアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく特許とっきょ第だい 299,609号ごうが取得しゅとくされている。

自転車じてんしゃの使用しよう例れい[編集へんしゅう]

日本にっぽんでは、平成へいせいの天皇てんのうとなった上皇じょうこう明仁あきひとと上うえ皇后こうごう美智子みちこがかつてサイクリングに用もちいたサイクリング車しゃの装備そうびにもパニアが使つかわれていた^{[要よう出典しゅってん]}。当時とうじ、皇室こうしつに納おさめられたサイクリング車しゃは、自転車じてんしゃ文化ぶんかセンター（日本にっぽん自転車じてんしゃ普及ふきゅう協会きょうかいの運営うんえいによる博物館はくぶつかんで科学かがく技術ぎじゅつ館かんと同おなじ建物たてもの内ないにある）にて収蔵しゅうぞうおよび展示てんじがされている^{[要よう出典しゅってん]}。

オートバイのパニア[編集へんしゅう]

オートバイにおけるパニアでは、車体しゃたい後方こうほうの後のち輪わの両りょう脇わき、シート後方こうほうないしタンデムシートの両側りょうがわに取とり付つけられる^[1]。

キャビネット型がた（荷物にもつを入いれる箱はこ）の場合ばあいは「パニアケース」と呼よばれることが多おおい^[1]。バッグ型がたの場合ばあいは「サドルバッグ」と呼よばれることが多おおい^[2]。

オートバイ用ようサドルバッグの発明はつめいについては1961年ねん 4月がつ11日にちにジョージア州しゅうアトランタのルース・グリーブス(英えい: Ruth K. Greaves) によってアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく特許とっきょ第だい 2,979,098号ごうが取得しゅとくされている。

「サドルバッグ」も参照さんしょう

鉄道てつどうのパニア[編集へんしゅう]

パニアタンク（英えい: Pannier tank）と呼よばれるタンク機関きかん車しゃの一種いっしゅ。ボイラーから張はり出だすように水みずタンクを設置せっちしており、タンクと床ゆかとの間あいだに空間くうかんがある。イギリスのグレート・ウェスタン鉄道てつどうで多おおく使つかわれた。同種どうしゅの機関きかん車しゃの日本にっぽん国内こくないでの使用しよう例れいはない。

『汽車きしゃのえほん』とそのテレビ番組ばんぐみ『きかんしゃトーマス』に登場とうじょうするダックがこのパニアタンク機関きかん車しゃである。グレート・ウェスタン鉄道てつどうの「8750（または5700）クラス」がモデルになっているが、この型かたはパニアタンク機関きかん車しゃの代名詞だいめいし的てき存在そんざいでもある。