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キャリパーブレーキ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
シングルピボット・キャリパー(シマノ105〈BR-1050〉)
ダブルピボット・キャリパー

キャリパーブレーキ (caliper brake) とは自転車じてんしゃようブレーキいち形式けいしきである。

おもロードバイクシティサイクルもちいられ、後者こうしゃでは前輪ぜんりんのみがこの形式けいしきであることがおおい。

概要がいよう

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ロッドしきリムブレーキのち開発かいはつされたブレーキで、誕生たんじょう1900年代ねんだいまでさかのぼり、当初とうしょ安全あんぜんがた自転車じてんしゃ前輪ぜんりんようブレーキとして開発かいはつされた。現在げんざい一般いっぱんひろ販売はんばいされている自転車じてんしゃようブレーキのなかではもっとふる歴史れきしつ。

「キャリパー」の由来ゆらいは、機械きかい工作こうさくよう計測けいそく一種いっしゅである「キャリパース (calipers)」にていることからており、とくに「そとパス」とばれるタイプに類似るいじしている。

基本きほん構造こうぞう

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左右さゆう独立どくりつしたブレーキアーチが、交差こうさするかたちじく固定こていされており、それぞれのアーチからびるアームの間隔かんかくしぼることで、アーチの下端かたんけられた一対いっついブレーキシュー間隔かんかくちぢまり、車輪しゃりんリムはさむようになっている。

アームをしぼ手段しゅだんとしておもブレーキワイヤーもちいられ、とく現在げんざい主流しゅりゅうとなっているサイドプル方式ほうしき後述こうじゅつ)においてはワイヤー以外いがい余計よけい部品ぶひん必要ひつようとしない利点りてんがあり、またワイヤーとのわせでなければシステムが成立せいりつしないこともあって、このブレーキの普及ふきゅうワイヤーしきブレーキ普及ふきゅうと軌をひとつにした。

同一どういつ製品せいひんなかでも、前輪ぜんりんようこうようとで詳細しょうさいすこことなる。一部いちぶ例外れいがいのぞいて、前輪ぜんりんようフロントフォークのフォーククラウンに、こうよう左右さゆうシートステイむすぶブリッジじょうけられたあな貫通かんつうするかたちでねじめされるが、両者りょうしゃあつみがことなるため、貫通かんつうボルトのながさがことなる。また、通常つうじょう前輪ぜんりんようこうようとで車輪しゃりん回転かいてん方向ほうこうたいするブレーキ本体ほんたい方向ほうこうぎゃくになるため、ブレーキシューに方向ほうこうせいがある場合ばあいは、その方向ほうこう本体ほんたいたいして前後ぜんごぎゃくになる。

種類しゅるい

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構造こうぞうによってサイドプルとセンタープルに大別たいべつされ、サイドプルはシングルピボットとダブルピボットにわけられるため、全体ぜんたいとして3種類しゅるい区分くぶんされる[1]。また、かく種類しゅるいともに、用途ようとによってサイズのことなるものがあり、サイドプルにはひだりきとみぎきがある。

サイドプル・キャリパーブレーキ

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シングルピボット

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サイドプルの基本きほんてき形態けいたいである。1970年代ねんだいから1980年代ねんだいにかけて、ロードレースようのブレーキといえばこのタイプであった。現在げんざいではおもにシティサイクルとう前輪ぜんりんブレーキとして使つかわれ、安価あんか自転車じてんしゃようのブレーキとされるが、ダブルピボットよりも軽量けいりょうなために、例外れいがいてきにレースよう高級こうきゅうなシングルピボットも少数しょうすうながらのこっている[2]

制動せいどうりょくがダブルピボットにくらべるとよわく、左右さゆうのブレーキアーチとブレーキ本体ほんたいがまとめて一本いっぽんのボルトで固定こていされているので、動作どうさのバランスにややなんがある。安価あんかなものだとバランスのわるさからかた状態じょうたいになりやすい傾向けいこうがある。品質ひんしつたか製品せいひんならば、適切てきせつ整備せいびによってかた解消かいしょう可能かのうであり、かならかたきがこるわけではない。

ダブルピボット

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デュアルピボット (dual pivot caliper brake) ともばれる。現在げんざいスポーツサイクルの分野ぶんやでは「キャリパーブレーキ」とばれるものはこのタイプをことおおい。ふるくから発明はつめいはされていたものの、シングルピボットよりも複雑ふくざつ構造こうぞうのために、精密せいみつ加工かこう技術ぎじゅつもちいなければ不具合ふぐあいしょうじやすく、その存在そんざいながあいだわすられていた。その、1980年代ねんだいシマノしゃ現代げんだい技術ぎじゅつよみがえらせて普及ふきゅうさせた。以来いらい、ロードレースようのブレーキにおいてはこの形式けいしき主流しゅりゅうとなった。近年きんねんこう品質ひんしつシティサイクルや、電動でんどうアシスト自転車じてんしゃにも採用さいようひろがっている。

シングルピボットと基本きほんてき原理げんりおなじだが、決定的けっていてきちがいは、左右さゆうのブレーキアーチの作動さどうじく独立どくりつしていることである。これにより、てこ比率ひりつおおきくなることで、かる操作そうさりょく十分じゅうぶん制動せいどうりょくられるようになり、シングルピボットでこりやすかったかたきもすくなくなった。制動せいどうりょくはロードバイクには過不足かふそく程度ていどあり、調整ちょうせい比較的ひかくてき容易ようい

ひだりきとみぎ

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ロードバイクようのサイドプルは、ワイヤーがつながるアームが本体ほんたいかってひだりき、シティサイクルようではみぎくものがおおい。これはロードレースのさかんな欧州おうしゅうでは前輪ぜんりんのブレーキを左手ひだりて操作そうさするのにたいし、日本にっぽんでは右手みぎて操作そうさするためである[3]日本にっぽん国内こくないけされるロードバイクの場合ばあい、ワイヤーのまわしが少々しょうしょう不自然ふしぜんになるが、右手みぎてぜんブレーキをくようにける業者ぎょうしゃおおい。

センタープル・キャリパーブレーキ

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かつて1950年代ねんだいから1960年代ねんだい後期こうきにかけて、ロードレースかい席巻せっけんしたブレーキである。日本にっぽんでは1980年代ねんだいまでスポルティーフなどにももちいられていたもので、ダブルピボットで左右さゆうのブレーキアーチの中央ちゅうおうをワイヤーでるタイプのものである。基本きほん構造こうぞうおなじくする派生はせいがたとして、1980年代ねんだい後期こうきマウンテンバイクようブレーキとして開発かいはつされ、現在げんざいはその発展はってんがたBMXフリースタイルに使つかわれている「Uブレーキ」がある。

サイズによる細分さいぶん

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いずれのタイプにも、キャリパーアームのながさ(これを「リーチ」とぶ)のことなる製品せいひん存在そんざいする。ロードバイクようのものは剛性ごうせい確保かくほするためにリーチがみじかつくられており、ふといタイヤではブレーキアーチに干渉かんしょうしてしまう。このタイプは「ショートリーチ」とばれている。スポルティーフなどでどろよけをつけたい場合ばあいや、シティサイクルなどでふといタイヤとわせるために、リーチのながい「ミディアムリーチ」、「ロングリーチ」のものもある。リーチのながいものは、同時どうじはばひろ場合ばあいおおい。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 特許庁とっきょちょう資料しりょう自転車じてんしゃ/ブレーキ装置そうち
  2. ^ カンパニョーロしゃのRECORDとChorusのリアようブレーキがそのいちれいであるが、これはリアはフロントほどの制動せいどうりょく必要ひつようとしないため。
  3. ^ ブレーキレバーからブレーキ本体ほんたいへのワイヤーのながれを自然しぜんなものにするためにはアームの位置いちぎゃくにせざるをない。

関連かんれん項目こうもく

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