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自転車じてんしゃようタイヤ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
自転車じてんしゃようタイヤ
冬季とうきもちいる自転車じてんしゃようスパイクタイヤ

自転車じてんしゃようタイヤ(じてんしゃようタイヤ)は、タイヤのうち自転車じてんしゃ車輪しゃりん装着そうちゃくされることを目的もくてきとしてつくられたもの。基本きほんてき構造こうぞう自動車じどうしゃもちいモーターサイクルもちい各種かくしゅ産業さんぎょうようのタイヤとおおきなはない。ただ、自転車じてんしゃ動力どうりょくげん人間にんげんであることに起因きいんし、体型たいけいしゅたる走行そうこう路面ろめんわせ効率こうりつのよいおおきさという要因よういん各国かっこくまちまちの規格きかく乱立らんりつなどから、サイズにかんするバリエーションが非常ひじょうおおい。

歴史れきし[編集へんしゅう]

自転車じてんしゃ車輪しゃりんは、その発生はっせい当時とうじてつせいでタイヤは固形こけいゴムいているものだった。心地ごこちたかめるためには車輪しゃりんみちおおきくする以外いがいはなく、ペニー・ファージングのように前輪ぜんりん巨大きょだいなものが発明はつめいされたりもした。1845ねんロバート・ウィリアム・トムソン英語えいごばん空気くうきりタイヤを考案こうあんし、特許とっきょ出願しゅつがんした[1][2]。このトムソンの特許とっきょ重要じゅうようせいは、社会しゃかいみとめられないまま時間じかんぎた[1]安全あんぜんがた自転車じてんしゃ登場とうじょうにより車輪しゃりんみち小径しょうけいになったのとほぼどう時期じき1888ねんイギリスダンロップによって空気くうきりタイヤが発明はつめいされ、商業しょうぎょうされた[1][2]。トムソンとダンロップとのあいだ特許とっきょけんあらそいが一時いちじ発生はっせいしたが、おさまった[1]

種類しゅるい[編集へんしゅう]

チューブラー[編集へんしゅう]

チューブラータイヤ

「チューブラータイヤ」はゴムせいのインナーチューブをふくろじょうぬの(「カーカス」または「ケーシング」とぶ)でぐるみ、接地せっちめんのトレッドにゴムをったタイヤのことである[3]自転車じてんしゃチューブをさら頑丈がんじょうなゴムの円周えんしゅうじょうカバー(ケーシング)でつつんだとかんがえればよい。専用せんようの「パイプリム」(成形せいけいされた環状かんじょう金属きんぞくパイプのリム)に装着そうちゃくする。

タイヤのもっとふるかたちであり、初期しょき安全あんぜんがた自転車じてんしゃはこのかたちであったが、現在げんざいではロードレーストラックレース競技きょうぎようや、一部いちぶ上級じょうきゅうしゃ愛好あいこうしゃ使用しようがほとんどの割合わりあいめる。また、その限界げんかい性能せいのうたかさから、実業じつぎょうだんのロードレースでは選手せんしゅの9わり以上いじょう試合しあいようタイヤとしてチューブラーを使用しようしている。

カーカス部分ぶぶん綿めんケブラー繊維せんいのような合成ごうせい繊維せんい一部いちぶ高級こうきゅうひんきぬ使用しようされる。ホイールのリムには、リムセメントとばれる接着せっちゃくざい専用せんよう両面りょうめんテープを使用しようけて使用しようする[3]単純たんじゅん構造こうぞうゆえにリム、タイヤ自体じたいども軽量けいりょうで、あじがしなやかであり、またリムのタイヤ接触せっしょくするどかくたないためパンクのしゅ原因げんいんのひとつであるリムちパンク(スネークバイト)がほとんこらず、したがってパンクしがたい。また構造こうぞうじょう断面だんめんえんたかいためコーナリングの挙動きょどうがつかみやすいなどのメリットもある。ちなみに最初さいしょツール・ド・フランスではタイヤはチューブラーしか選択肢せんたくしがなく、またルールも現在げんざいのチームせいちがいサポートカーもなく故障こしょう自前じまえ修理しゅうりしなければならないという原則げんそくがあったために、パンクしたらいたチューブラータイヤをいて無理矢理むりやりはがした選手せんしゅもいた。

チューブラーの欠点けってんは、修理しゅうり交換こうかん手間てまがかかるということと、ランニングコストたかことである。パンク修理しゅうり手間てま非常ひじょうにかかる(パンク位置いち見当けんとうける→りつけられているリムテープをはがす→たこいとせい縫合ほうごういとってく→これでやっとチューブがるのであなにパッチをる→タイヤないんでもどす→元通もとどお縫合ほうごうする→リムテープをりつける、が必要ひつようじょうに、修理しゅうりしても初期しょき性能せいのう復活ふっかつさせることがむずかしいので、事実じじつじょう使つかてである。またリムセメントを使用しようする場合ばあい、タイヤ交換こうかんには接着せっちゃく強度きょうどがるのをたねばならないぶん時間じかんがかかる[3]適当てきとう接着せっちゃくのまま出走しゅっそうしようものならタイヤがはずれる)。また近年きんねんえないシームレスも存在そんざいする。実際じっさいにはチューブをれるためにがあるのだが、外側そとがわにし、そのうえにタイヤトレッドをせるために、じょうがない。シームレスにしたことで精度せいど向上こうじょうなどが期待きたいできるが、パンク修理しゅうりはできないのでシーラントなどで予防よぼうする必要ひつようがある。

近年きんねんはリムセメントではなくせんよう両面りょうめんテープをもちいることもおおい。この方式ほうしきもちいることによってタイヤ交換こうかんようする時間じかん大幅おおはば短縮たんしゅくされる。くわえて、シーラントとばれるパンク防止ぼうしざい事前じぜん注入ちゅうにゅうすることで、もともとたかたいパンク性能せいのうがさらに改善かいぜんされるため、ランニングコストの低減ていげんとともに、クリンチャーにはないあじつことから、徐々じょじょ愛好あいこうしゃえる傾向けいこうにある。また、非常ひじょうすくないが、クリンチャーリムようのチューブラータイヤも存在そんざいする。チューブラータイヤのリムめんにクリンチャーリムのエッジにはまるようなとつがあり、この部分ぶぶんでリムと結合けつごうする。そのためリムないはば制限せいげんがある。心地ごこちはクリンチャーにちかい。チューブラータイヤは装着そうちゃくするときにリムセメントや専用せんようのテープが必要ひつようだが、このタイヤは必要ひつようがない。またチューブがないので装着そうちゃくにチューブをはさんでしまうようなこともない。

クリンチャー[編集へんしゅう]

クリンチャーしきタイヤの断面だんめん水色みずいろ部分ぶぶん異物いぶつ貫通かんつうふせぐための樹脂じゅしベルト

タイヤとチューブがべつからだになっている。タイヤのビード(後述こうじゅつ)をリム内側うちがわみぞっかけ、タイヤないおさめたチューブをふくらますことによってビードがリムにしつけられて、タイヤの形状けいじょう維持いじする[1]。チューブラーよりも手軽てがるであるため、現在げんざい主流しゅりゅうのタイプとなっており、ロードレーストラックレースひとし一部いちぶ競技きょうぎよう自転車じてんしゃのぞけばだい部分ぶぶんがクリンチャーである。やはり専用せんようの「WO(ワイアードオン)リム」に装着そうちゃくする。パイプリムとの互換ごかんせいは、一部いちぶ両用りょうようがた以外いがいはない(フランスのウォルバーしゃせい「スーパーチャンピオン・ミキステ」リムが両用りょうようがたとして有名ゆうめいだった)。

チューブラーとちがい、タイヤはリムにっかけて固定こていされているだけなので脱着だっちゃく簡単かんたん接着せっちゃくざい使用しようしないのでタイヤ装着そうちゃくすぐに走行そうこうできる。クリンチャータイヤがパンクした場合ばあいには、タイヤからなかのチューブをし、ゴムパッチでチューブのあなふさぐだけでパンク修理しゅうりできる。このように交換こうかん修理しゅうり容易よういメンテナンスせいすぐれ、さらにタイヤ・チューブのさい利用りよう可能かのう経済けいざいてき。タイヤ自体じたい比較的ひかくてき安価あんかである。また、断面だんめんかたちがチューブラーより四角しかくちかいため、グリップりょくたかいという長所ちょうしょもある。

欠点けってんとして、リムのサイドウォールと路面ろめんとのあいだにタイヤとチューブがつよはさまれることであなひらく「リムちパンク」がこりやすい。このときチューブにはへびんだようにふたつのあなならぶので「スネークバイト」の別名べつめいがある。また、リムへのタイヤの装着そうちゃく不良ふりょうなんらかの衝撃しょうげき原因げんいんでタイヤがリムからはなれたときなどに、はなれた部分ぶぶんのチューブがそとふくらんで破裂はれつすることがある(破裂はれつはタイヤのなかこることはなく、おおくの場合ばあい破裂はれつタイヤはもと状態じょうたいもどるので、タイヤのなか破裂はれつとしたとかんじる。)。ただしチューブの破裂はれつは、リムちパンクにくらべればきるかくりつ非常ひじょうちいさい。また、空気圧くうきあつげると、よこひろがろうとするのでよこ方向ほうこうのリムの強度きょうどげる必要ひつようがある。そのためチューブラーようのリムよりも重量じゅうりょうことおおい。

クリンチャータイヤには「ビード」とばれるタイヤのりょうはしがりがあり、これはタイヤをリムにけて固定こていする部分ぶぶんである[1]。このビードのがりには、従来じゅうらいすべ鉄線てっせんまれていたが、近年きんねんになってスポーツサイクルではより軽量けいりょうケブラーワイヤーがまれることがおおくなってきた。どちらがまれているかは、簡単かんたん判別はんべつできる。たためず、タイヤ単体たんたいでも円形えんけいたもっていれば鉄線てっせんやわらかくたためるものはケブラーである。

リムとのはめわせ方法ほうほうちがいでWO (Wired On)、HE (Hocked Edge)、BE (Beaded Edge) の3つに分類ぶんるいされる。WOはさらに英国えいこく規格きかくとフランス規格きかくかれている。タイヤサイズはいずれもタイヤがいみち×ふとさであらわす。

WO(ワイヤードオン)
WOは英国えいこく、フランスの規格きかく狭義きょうぎには英国えいこく規格きかくのものをWOとび、フランス規格きかくのものはクリンチャーと場合ばあいもある。ビード形状けいじょうえいふつ共通きょうつうだが、サイズの表記ひょうきことなり、英国えいこく規格きかくinch×inch分数ぶんすう表記ひょうきれい : 26×1-3/8)、フランス規格きかくmm×mm表記ひょうきれい : 700×23c)である。軽快けいかいしゃはWO英国えいこく規格きかくロードバイクトラックレーサーおよびおおくのクロスバイクはWOフランス規格きかくである。※フランス規格きかくれい23cのcは単位たんいではなく、リムがいみちの4規格きかくa・b・c・dのうちのcである。
HE(フックドエッジ)
HEは米国べいこく規格きかく。WOとはビード形状けいじょうことなり互換ごかんせいはない。またおなじインチすうでもWOよりいちまわちいさい。これは、この規格きかく標準ひょうじゅんふとさが2.125インチであり、このふとさのタイヤを装着そうちゃくしたさいに、みち相当そうとうそとみちとなるように設計せっけいされているのにたいし、実用じつようじょう標準ひょうじゅんのサイズではふとすぎるために、標準ひょうじゅんよりもほそいタイヤが多数たすうとなってしまったからである。サイズはinch×inch小数点しょうすうてん表記ひょうきれい : 26×1.75)。マウンテンバイクBMXたた自転車じてんしゃふく小径しょうけいしゃ子供こどもしゃ採用さいようする。
BE(ビーデッドエッジ)
BEはきかける部分ぶぶんよりしたがわみみていて、タイヤを装着そうちゃくするとチューブをタイヤがつつかたちとなる。通称つうしょうみみつきタイヤ」。リムちパンクにつよく、荷重かじゅうあくつよいが、おもい。サイズはWO英国えいこく規格きかく同様どうようでinch×inch分数ぶんすう表記ひょうき現在げんざいではかなりめずらしいタイプで、ふる運搬うんぱん用途ようと車両しゃりょう実用じつようしゃやリアカーとう)にられる。

チューブレス[編集へんしゅう]

チューブレスは2006ねん以降いこう普及ふきゅうしつつあるだい3のタイプで、およそクリンチャーからチューブをはいしたものとってよい。クリンチャーとことなるてんとして、空気くうきれないようにリム裏側うらがわにはスポークあな一切いっさいく、バルブはリムに直接ちょくせつ装着そうちゃくされ密封みっぷうされている。チューブレスタイヤはクリンチャータイヤとがよくてはいるが、一番いちばん内側うちがわには空気くうき保持ほじするためチューブに相当そうとうするブチルゴムそう追加ついかされており、ビード部分ぶぶんがより密閉みっぺいせいたか形状けいじょうになっている。しかし基本きほんてき構造こうぞうはクリンチャーと大差たいさないため、おおくのチューブレスようホイールは、バルブをはずちゅうにチューブをれてクリンチャーとして使用しようすることが出来できる(このタイプのホイールは2WAY-FITとばれる)。

チューブレスタイヤの最大さいだいのメリットはたいパンク性能せいのうたかさである。具体ぐたいてきには、構造こうぞうじょうリムちパンクは発生はっせいしない。異物いぶつさってパンクした場合ばあいにも、クリンチャーのチューブのようにおおきなあなひらきにくく急激きゅうげき減圧げんあつこらないので、かずkmはそのまま走行そうこうすることが出来できる。タイヤの内側うちがわはチューブとおな素材そざいなので、パッチを直接ちょくせつってパンク修理しゅうりすることも可能かのう。またチューブがいことによって、わずかだが走行そうこう抵抗ていこうちいさくなる。デメリットとしては、製品せいひんのラインナップがまだすくないためにホイール、タイヤともに選択肢せんたくしすくない。チューブレス対応たいおうホイールは一般いっぱんてき高価こうかである。ビードがかたくタイヤの脱着だっちゃく多少たしょうれが必要ひつようであるてんげられる。

リムちパンクがこらないという特性とくせいから、クリンチャータイヤでは不可能ふかのうだった低圧ていあつでの走行そうこう可能かのうになり、このメリットをかつかせるマウンテンバイク競技きょうぎにおいてシェアひろげ、主流しゅりゅうになりつつある。低圧ていあつにできるチューブレスタイヤでは従来じゅうらいのクリンチャータイヤよりグリップが向上こうじょうする。近年きんねん、ロードバイクようのチューブレスタイヤも市販しはんされるようになった。2010ねん8がつ時点じてんでは対応たいおうホイールはシマノカンパニョーロフルクラムケインクリークコリマエークラスから、タイヤはIRCハッチンソン[4]から発売はつばいされている。

タイヤサイズ[編集へんしゅう]

タイヤサイズの表示ひょうじれい

自転車じてんしゃようのタイヤは、たた自転車じてんしゃ使つかわれる6インチサイズから36インチサイズまで40種類しゅるい以上いじょう存在そんざいする。

タイヤサイズはそとみちとタイヤはば表記ひょうきされる。たとえば26×1 3/8と表記ひょうきされたタイヤは英国えいこく規格きかくの26インチサイズでタイヤはばが1 3/8インチ(やく35mm)となる。26インチサイズとはタイヤがいみちが26インチということではなく、みちである。HEタイヤはタイヤはば小数点しょうすうてん表記ひょうきされる。たとえば、26×1.75というタイヤは、HE規格きかくの26インチサイズ(英国えいこく規格きかくよりそとみちで40mmほどちいさい)でタイヤはばが1.75インチということになる。

分数ぶんすう表記ひょうき小数しょうすう表記ひょうきでの区別くべつ日本にっぽん国内こくないかける主要しゅよう製品せいひんだけに適用てきようされる。欧州おうしゅう一部いちぶ(ドイツ、オランダ)では小数点しょうすうてん表記ひょうき英国えいこく規格きかく分数ぶんすう表記ひょうき米国べいこく規格きかくである。

フランス規格きかく[編集へんしゅう]

26インチから28インチまでの
規格きかく対比たいひ(鈴木すずきくにとも 1989)
インチ表示ひょうじ フランスしき 国際こくさいしき
(ETRTO)
ビード
みち
26×1 3/8 650A 590 590
26×1 1/2 650B 584 584
26×1 3/4 650C 571 571
27×1 1/4 none 630 630
28×1 3/8 700A 642 642
28×1 1/2 700B 635 635
28×1 3/4
(28×1 5/8)
700C 622 622

フランス規格きかくはタイヤがいみちをミリメートルで表示ひょうじ[ちゅう 1]対応たいおうするタイヤのふとさをしめ記号きごうA・B・Cというをつけて表記ひょうきする[5]分類ぶんるい都合つごうでつけられるもので、おおむね「1 3/8がAサイズ、1 1/2がBサイズ、1 3/4がCサイズ[ちゅう 2]」とされているのだが、例外れいがいてきにAサイズがなんミリというまりは外形がいけいごとにことなるれいいくつかある[6]。イギリスしきのインチ表示ひょうじおなじくさきにタイヤがいみちめてあるので表記ひょうきA→B→Cとふとくなるにつれてリムそとみちおよびタイヤビードみちちいさくなる。たとえば28インチ≒711.2ミリメートルすなわち(28×25ミリメートルで)外形がいけい700の場合ばあいれいにすると、(1 3/8インチ相当そうとう)Aサイズのビードみち642ミリメートル、(1 1/2インチ相当そうとう)Bサイズのビードみち635ミリメートル、(1 3/4あるいは1 5/8インチ相当そうとう)Cサイズのビードみち622ミリメートルというぐあいになっている[5]。 というのが基本きほんてきかんがかたである。 しかし(NaCoR 1988;鈴木すずきくにとも 1989, p. 45)のひょうによれば、欧州おうしゅう諸国しょこくにおいても700のAサイズの使用しようれい皆無かいむであり、どうBサイズの使用しようれい一部いちぶくにのぞいてほとんどなくなっている。そしてCサイズようリムにたいしてほそいタイヤやふといタイヤが使つかわれるようになったこともあり、さらにふとさの数字すうじえて表記ひょうきする。たとえば700×23C(700C-23と表記ひょうきすることもある)という表示ひょうじは700Cサイズ(リムのはまごうみちが622mm)でタイヤはば23mmということになる。

ETRTO[編集へんしゅう]

自転車じてんしゃようタイヤの規格きかく乱立らんりつしているため、どのタイヤがどのリムに適合てきごうするか、表記ひょうきだけで判別はんべつすることがむずかしくなった。そこでクリンチャータイヤにおいてはETRTO (エトルト、European Tyre and Rim Technical Organisation英語えいごばんドイツばんフランス語ふらんすごばんオランダばん欧州おうしゅうタイヤおよびリム技術ぎじゅつ機構きこう) の統一とういつ基準きじゅんによるサイズが併記へいきされるようになった。

ETRTO表記ひょうきではタイヤはばまえに、タイヤのビードみち(リムにはまり部分ぶぶん直径ちょっけい)をハイフンで区切くぎって表記ひょうきする。前述ぜんじゅつのWO 26×1 3/8はETRTOでは37-590、26インチHE 26×1.75は47-559、700×23cは23-622となる。

自転車じてんしゃのタイヤを交換こうかんするとき、ETRTO表記ひょうきおなじであれば交換こうかんすることが可能かのうである。製造せいぞうメーカーによっては、ビードみち表記ひょうきが1mm程度ていどことなる場合ばあいも(16インチHEでの305と306)装着そうちゃく可能かのうである場合ばあいおおい。ただし、リムの形状けいじょうがHEかWOかで形状けいじょうことなるので注意ちゅうい必要ひつようである。

トレッドパターン[編集へんしゅう]

ブロックタイヤ
セミスリックタイヤ (KENDA)

路面ろめん直接ちょくせつれるタイヤの表層ひょうそう部分ぶぶんにはれていたり、ぬかるんでいる路面ろめんとタイヤのあいだ水分すいぶん排出はいしゅつしてすべりにくくするためのみぞがある。このみぞトレッドび、この部分ぶぶん突起とっきみぞ有無うむ以下いかのように分類ぶんるいできる。

ブロックタイヤ
表面ひょうめんおおきめの突起とっき多数たすうついているゴツゴツしたのタイヤ。オフロードようであり、おもマウンテンバイク使用しようする。いしのコースでは圧倒的あっとうてきなグリップを発揮はっきする。しかし表面ひょうめん凸凹でこぼこによってころがり抵抗ていこうおおきくなり、ペダリングのエネルギーがうばわれてぎがおもくなる。また、スリックタイヤと比較ひかくしたとき、ブロックの重量じゅうりょうのためタイヤがおもくなる。
スリックタイヤ
表面ひょうめん凹凸おうとついなめらかなタイヤ。多少たしょう模様もようがついているものもスリックタイヤにふくむ。れているとき舗装ほそう路用ろようで、おもロードバイククロスバイクられる。ころがり抵抗ていこうちいさいため、ぎがかるい。みぞがないため、雨天うてんでの使用しよう非常ひじょう危険きけんであることに留意りゅういされたい。
セミスリックタイヤ
センタースリックタイヤともいう。ブロックとスリックの中間ちゅうかんのタイヤ。オフロード舗装ほそう両方りょうほうはしることを想定そうていしている。おもマウンテンバイク使用しようする。トレッド中央ちゅうおうはスリックかごくあさいパターンで舗装ほそう直進ちょくしんころがり抵抗ていこうおさえ、サイドはブロックタイヤ同様どうよう突起とっき配置はいちされており、あくでのコーナリングに対応たいおうしている。デュアルパーパスタイヤ(トレールタイヤ)ともばれる。

チューブ[編集へんしゅう]

チューブ

チューブはクリンチャータイヤ特有とくゆう部品ぶひんで、タイヤない空気くうき保持ほじするためのおなじドーナッツじょうのゴム風船ふうせんのようなものである。

チューブにはバルブがあり、べん機構きこうにより空気くうき充填じゅうてんできる。チューブはブチルゴムラテックスポリウレタンなどでつくられる。チューブはタイヤがわリムがわせっしているが、リムがわスポークなどの突起とっきぶつあなひらきパンクをこす場合ばあいがある。これをふせぐため、リムがわにはリムテープ(「リムフラップ」「ふんどし」ともばれる)をりパンクを防止ぼうしする。

空気くうき保持ほじりょくたか安価あんか耐寒たいかんせいたかいブチルゴムが、材質ざいしつとしてもっとも普及ふきゅうしているが、競技きょうぎよう自転車じてんしゃでは、より軽量けいりょうなラテックスゴムがもちいられることもおおく、ポリウレタン樹脂じゅしもちいられる。これらのチューブは、軽量けいりょうでしなやかだが空気くうきけやすく、空気圧くうきあつのこまめな点検てんけん必要ひつようである。また、耐久たいきゅうせいもブチルゴムにおとる。

チューブは自転車じてんしゃ走行そうこう消耗しょうもうひんである。タイヤがころがると接地せっちめんでタイヤが変形へんけいし、内部ないぶのチューブとタイヤとがこすれあう。タイヤがころがるとタイヤ内面ないめんがチューブをけずり、うすくなることで空気くうきれをこしたりパンクをこすのである。これをふせぐために、タイヤ内面ないめんタルク粉末ふんまつ(タルカムパウダー)をりすべりをよくすることもある。空気圧くうきあつひくければタイヤの変形へんけいりょうおおきくなりチューブのりがはやくなる。パンク防止ぼうしには、リムちパンクをふせぐという意味いみでも、タイヤの空気圧くうきあつ適正てきせいたもつことが重要じゅうようである。また、適正てきせい空気圧くうきあつはほとんどの場合ばあい、タイヤのよこに〇〇PSI、〇BARなどと表示ひょうじされている。仏式ぶっしきバルブ、べいしきバルブの場合ばあいは、この数値すうち参考さんこう一般いっぱん販売はんばいされている空気圧くうきあつゲージきの自転車じてんしゃよう空気くうきれで手軽てがる適正てきせい空気圧くうきあつまで空気くうき充填じゅうてん加圧かあつできる。シティサイクル、軽快けいかいしゃとうおお採用さいようされているえいしきバルブの場合ばあいは、えいしきからべいしき変換へんかんするアダプターで外側そとがわべいしきバルブにすることにより空気圧くうきあつ計測けいそくしながら空気くうき充填じゅうてん出来できるようになる。

現在げんざいではチューブ部分ぶぶんがウレタン素材そざいになっているノーパンクのものも存在そんざいする。

バルブ[編集へんしゅう]

えいしきバルブの原理げんり
べいしきバルブの原理げんり

バルブ空気くうきれる部分ぶぶんべんである。ぜん5種類しゅるいがあり、そのうち日本にっぽん一般いっぱんられるのはJIS D 9422自転車じてんしゃようタイヤバルブ』に規定きていされているえいべいふつの3種類しゅるい主要しゅようである。かくバルブに合致がっちした空気くうき使つかわないとまさしく充填じゅうてんできない。空気くうきれのなかには、複数ふくすうのバルブに対応たいおうしたものおおくある。またバルブあいだ変換へんかんアダプターも200えん程度ていどられている。

えいしきバルブ(ウッズバルブ、ダンロップバルブ)Dunlop valve (Woods valve, Hollands valve, English valve)
スコットランドの発明はつめいジョン・ボイド・ダンロップちなんでダンロップバルブともばれる。日本にっぽんでは軽快けいかいしゃ中心ちゅうしんにもっとも普及ふきゅうしているバルブ。たか空気圧くうきあつには対応たいおうできず空気くうきれもしやすいがバルブの補修ほしゅう容易ようい。ただし、むしゴムとばれるほそいゴムチューブのべん劣化れっかしやすく、劣化れっかすすむと急速きゅうそく空気くうきれがこるため、定期ていきてき交換こうかん必要ひつようむしゴムを使つかわない改良かいりょうタイプの「スーパーバルブ」という製品せいひん発売はつばいされている。
べいしきバルブ(シュレーダーバルブ)Schrader valve (Auto, Moto, American valve)
ドイツけいアメリカじん発明はつめいオーガスト・シュレイダー英語えいごばんドイツばんちなんでシュレーダーバルブともばれる。おもマウンテンバイクBMXなどはげしいライディングを想定そうていした自転車じてんしゃ採用さいようされる。シティサイクルマウンテンバイクをベースにしたクロスバイクにもよく使つかわれている。構造こうぞう単純たんじゅんあつかいやすい。また頑丈がんじょう空気くうきれにくいがややおもい。自動車じどうしゃモーターサイクル共通きょうつうであるため、それらに空気くうき充填じゅうてんできる設備せつびがあれば基本きほんてきには共用きょうよう可能かのう。バルブがいみちえいしきおなためえいしきバルブ装備そうびしゃ相互そうご交換こうかんすることが可能かのうなほか、前述ぜんじゅつえいしきバルブのバルブコア部分ぶぶん交換こうかんすることでべいしきにできる「エアチェックアダプター」という商品しょうひん存在そんざいする。
仏式ぶっしきバルブ(フレンチバルブ、プレスタバルブ)Presta valve (Sclaverand valve, French valve)
ロードバイククロスバイク、XCようマウンテンバイクなどレースよう自転車じてんしゃでよく使つかわれる。チューブラータイヤもほとんどこのタイプである。こうあつ充填じゅうてん可能かのう先端せんたんちいさなナットゆるめ、いったんんでべんひらいてから充填じゅうてんする。軽量けいりょうだが構造こうぞうてき華奢きゃしゃ
競輪けいりんバルブ
基本きほんてき構造こうぞうえいしきおなじだが、ほそい。競輪けいりんようのチューブラータイヤで使用しようされる。競輪けいりんしゃをベースにしているためピストバイクにもそのまま使つかわれることがある。
イタリアンバルブ(レヂナバルブ)
外観がいかん仏式ぶっしきているが、バルブがねじめされておりはず交換こうかんできるようになっている。ヨーロッパ(イタリア、ドイツなど)の一般いっぱんしゃかけるが、日本にっぽん国内こくないではまずない。

べいしきバルブと仏式ぶっしきバルブはその構造こうぞうから専用せんよう圧力あつりょくけい使用しようして空気圧くうきあつ計測けいそくすることができる(べいしきなら自動車じどうしゃようゲージが使用しよう出来できるが、小型こがた自動車じどうしゃけゲージは最大さいだいでも500 kPaやく73 psi程度ていどまでしかはかれないため、これ以上いじょうこうあつタイヤの場合ばあい使用しようできない)。このため、空気圧くうきあつ調整ちょうせい管理かんり容易よういであることから、競技きょうぎ・スポーツよう自転車じてんしゃのほとんどには、べいしき仏式ぶっしきいずれかのバルブが採用さいようされている。


脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ めインチを単純たんじゅんに25mmで換算かんさんしたようなもの(鈴木すずきくにとも 1989, p. 40)。
  2. ^ たとえば700A、700B、700Cそれぞれビードみちにタイヤのふとさをして外形がいけい計算けいさんしてみると、700Aの外形がいけい=25.4×2×(1 3/8)+642=711.85、700Bの外形がいけい=25.4×2×(1 1/2)+635=711.2、700Cの外形がいけい=25.4×2×(1 3/4)+622=710.9、のようにおよそ28インチ=711.2ミリメートルの近傍きんぼうになる(鈴木すずきくにとも 1989, p. 41-42)。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d e f 堀江ほりえじゅんさく自転車じてんしゃタイヤのわだち」『日本にっぽんゴム協会きょうかいだい55かんだい1ごう日本にっぽんゴム協会きょうかい、1982ねん、3-11ぺーじdoi:10.2324/gomu.55.3 
  2. ^ a b 平田ひらたやすし「タイヤの変遷へんせんについて」『日本にっぽんゴム協会きょうかいだい68かんだい1ごう日本にっぽんゴム協会きょうかい、1995ねん、25-29ぺーじdoi:10.2324/gomu.68.25 
  3. ^ a b c 大武おおたけ義人よしひと競争きょうそうよう自転車じてんしゃタイヤ」『日本にっぽんゴム協会きょうかいだい80かんだい3ごう日本にっぽんゴム協会きょうかい、2007ねん、93-99ぺーじdoi:10.2324/gomu.80.93 
  4. ^ フランス語ふらんすごではHは発音はつおんされないため一般いっぱんてきにユッチソンとなるが、輸入ゆにゅうもとの「株式会社かぶしきがいしゃポディウム」は『ハッチンソン』としている。
  5. ^ a b 鈴木すずきくにとも 1989.
  6. ^ 鈴木すずきくにとも 1989, p. 40.

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 鈴木すずきくにとも (1989-11). “スポーツサイクリングしゃ宣言せんげん”. News Cycling (ベロ出版しゅっぱん) 27 (11): 38-45. 全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:00019178.