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フレーム (自転車じてんしゃ)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ロードバイクのフレームのいちれい
マウンテンバイクのフレームのいちれい さんかく普通ふつうのシートステイ・チェーンステイではなくサスペンションが装備そうびされている

フレーム (frame) は、自転車じてんしゃ車体しゃたいで、前後ぜんご車輪しゃりん連結れんけつさせ体重たいじゅうささえる役割やくわりにな部分ぶぶん。その素材そざいかんしてはフレーム素材そざい (自転車じてんしゃ)参照さんしょうすること。

フレーム形状けいじょう種類しゅるい

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ごく簡単かんたんには、ダイヤモンドがた(ダイヤモンドフレーム)とその大別たいべつされる。規格きかくでは日本工業規格にほんこうぎょうきかくJIS D 9401(自転車じてんしゃ - フレーム)がある。防犯ぼうはん登録とうろくなどでの識別しきべつ目的もくてき、メーカーや販売はんばいてん分類ぶんるいなど、分類ぶんるいほうなどに小異しょういがあることもある。

  • ダイヤモンドがた
    • スタッガードがた
    トップチューブのサドルがわ位置いちげてななめにしたもの。
    (スタッガード: staggered は英単語えいたんご stagger の動詞どうしとしての過去かこ過去かこ完了かんりょうがたで、英語えいごではこのかたち自転車じてんしゃのフレームを場合ばあいstagger とすることがおおいが、日本にっぽんではむかしからスタッガーとぶことはほとんどなく、もっぱらスタッガードとんでいる)
    海外かいがいではstaggerをふくむトップチューブをげたものの総称そうしょうとしてステップスルーフレーム step-through frame (オープンフレーム open frame、 ローステップフレーム low-step frame)などとばれる。
    • ダブルループがた
    スタッガードのトップ/ダウンチューブを下向したむきに湾曲わんきょくさせ乗降じょうこうせいをより向上こうじょうさせたもの。
    • パラレルがた
    トップ/ダウンチューブを平行へいこうにしたもの。派生はせいてき形態けいたいとして、異形いぎょうパイプざい一般いっぱんした現在げんざいでは、極太ごくぶと楕円だえんがた角形かくがたのシングルチューブとしているものもおおい。
    • ミキストがた
    ヘッドからリアエンドまで一直線いっちょくせんにパイプがかよっているかたちのもの。
    • ベルソーがた
    ミキストの亜流ありゅうでトップチューブを下向したむきに湾曲わんきょくさせ乗降じょうこうせいをよりたかめている。
    • Hかたち
    トップチューブとダウンチューブのおおよそ中間ちゅうかん位置いちふといシングルチューブをつもの。
    側面そくめんからときにハンドルからフロントホークとシングルチューブ、シートチューブがH字形じけいになる。
    性能せいのうてきなメリットは中途半端ちゅうとはんぱだが、シンプルで軽快けいかい外観がいかん特徴とくちょう
    とくりたたみ自転車じてんしゃではヒンジをらせるシングルチューブの製品せいひんおおいこと。ヒンジの位置いちひくすぎずりたたみのさい作業さぎょうせいがいいことからおお採用さいようされる。
    • Uかたち
    Hがたよりもひく位置いちに、ダウンのみのシングルチューブをつもの。ハンドルからダウンチューブ、シートチューブまでのラインがU字形じけいになる。
    婦人ふじんよう電動でんどうアシスト自転車じてんしゃおおく、乗降じょうこうせい重視じゅうしした形態けいたいである。
    • Lかたち
    Uがた底部ていぶ延長えんちょうした直線ちょくせんつもの。前部ぜんぶチャイルドシート設置せっちクリアランスをおおきくした婦人ふじん家庭かていむけ。
    駐輪場ちゅうりんじょうなどでのまわしと乗降じょうこうせい考慮こうりょし、小径しょうけい車輪しゃりん全長ぜんちょうしゃだかおさえたものもおおい。
ばした、ダイヤモンドがたとは別個べっこ力学りきがくてき構造こうぞうもとづくフレーム。開発かいはつしゃペダーセン事業じぎょう失敗しっぱいしたことや、ダイヤモンドがたくら工数こうすうおお高価こうかなこともあり一旦いったんわすられたが、独特どくとく形状けいじょうへの根強ねづよ支持しじからリバイバルされ少数しょうすう生産せいさんされている。

ダイヤモンドフレームの特徴とくちょう

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ダイヤモンド(かた)フレームは、2三角形さんかっけいいちへん接合はぎあわした・または中央ちゅうおう頂点ちょうてん一本いっぽんせんでつないで分割ぶんかつした平行四辺形へいこうしへんけいをしている。前側まえがわまえさんかくうしがわこう三角さんかくなどとう。

ダイヤモンドがた安全あんぜんがた自転車じてんしゃ発明はつめいのちおおくの製作せいさくしゃ試行錯誤しこうさくごかえしてのこったデザインである。トラス構造こうぞうおな三角形さんかっけいわせで強度きょうどたかく、汎用はんよう鋼管こうかんわせで製作せいさくでき生産せいさんせいすぐれ、寸法すんぽう自由じゆうたか個々人ここじん体格たいかくわせたオーダーメイドも容易よういである。日本にっぽんのようにその台数だいすうおおくがダイヤモンドがたでないような文化ぶんかけんにおいても、ピクトグラムにおける自転車じてんしゃはもっぱらダイヤモンドがたであることなどからも、代表だいひょうてきなデザインであるとえる。現在げんざいあるほか形式けいしきも、おおくは乗降じょうこうせい観点かんてんからトップチューブの配置はいちをアレンジしたダイヤモンドがた派生はせいである。とくこう三角さんかくはほとんど変化へんかかったが、21世紀せいきはいころからロードバイクにおけるカーボンモノコックの採用さいようマウンテンバイクでのリアサスペンション搭載とうさいにより多彩たさい形態けいたいあらわれてきている。

トップチューブがあるために、乗車じょうしゃさいにはこううえまたぐか、リヤにおおきな荷物にもつがある場合ばあいあしおおきくげてまた必要ひつようがあり、女性じょせい場合ばあいスカートばきでの乗車じょうしゃには不向ふむきである。このため、現代げんだい日本にっぽんおおくの軽快けいかいしゃ男女だんじょ兼用けんようデザインとしておりダイヤモンドがたはほとんどない('90年代ねんだいのブリヂストン「メッセージ」など、過去かこ皆無かいむではなかった)。実用じつようしゃふるくからのかたであるためダイヤモンドがた基本きほんだが、そうでないものもある。また日本にっぽんにおいてむかしおこなわれた、子供こども変則へんそくてきかた三角さんかくり」[1]は、ダイヤモンドがたフレームならではのものであった。

現在げんざいのロードレースにおいて国際こくさい自転車じてんしゃ競技きょうぎ連合れんごう (UCI) は規定きていにより、ダイヤモンドフレーム以外いがいのフレームはみとめていない。UCIの管轄かんかつではないトライアスロンでは、そらりょく考慮こうりょした多様たよう形状けいじょうのフレームがられる。1990年代ねんだい中頃なかごろには、ロードレースタイムトライアル競技きょうぎ空気くうき抵抗ていこう軽減けいげんしたダイヤモンドがたでないフレームも使つかわれたことがあった。トラック競技きょうぎでは、アワーレコードにおいて1993ねんグレアム・オブリー記録きろく挑戦ちょうせん達成たっせいと、それ以降いこう何人なんにんかのアワーレコードでダイヤモンドがたでないフレームが使つかわれたが、UCIは2000ねんにそういった自転車じてんしゃでのアワーレコードをみとめないこととした。

マウンテンバイクは、初期しょきにはホリゾンタル(後述こうじゅつ)の、つづいてスローピングのダイヤモンドフレームを使用しようしてきたが、現在げんざいではサスペンション前後ぜんご装着そうちゃくしている車体しゃたいおおく、ぜん三角さんかくこう三角さんかく(うしろさんかく)が独立どくりつしてピボットをかいしてつながれサスペンションで衝撃しょうげきやわらげる「フルサスペンション」フレームが主流しゅりゅうになりつつある。くわしくはマウンテンバイク項目こうもく参考さんこうのこと。

たた自転車じてんしゃのように収納しゅうのうのための構造こうぞうであったり、リカンベントのように乗車じょうしゃ通常つうじょう自転車じてんしゃのような態勢たいせいらない特殊とくしゅ自転車じてんしゃ独自どくじのフレーム構造こうぞうである。

フレームの構造こうぞう

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各種かくしゅパイプの名称めいしょう

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自転車じてんしゃのフレームパイプ

ダイヤモンドフレームを構成こうせいするパイプは以下いかのようにかれており、各々おのおののパイプが「ラグ」というジョイントをもちいた溶接ようせつ、あるいは接着せっちゃくという方法ほうほうわさっている。

トップチューブ
うえパイプうえかんともいう。ヘッドチューブとシートチューブ上端じょうたんつなぐパイプ。
ヘッドチューブ
ヘッドパイプあたまかんともいう。ヘッドパーツがこのパイプの上下じょうげはさみ、フロントフォークのステアリングコラムが内部ないぶ貫通かんつうする。
ダウンチューブ
しもパイプしたかんともいう。ヘッドチューブとシートチューブ下端かたんつなぐパイプ。
シートチューブ
たてパイプだてかんともいう。トップチューブとダウンチューブをつなぐパイプ。シートポストがこのパイプにうえからまれる。
ボトムブラケットシェル
ダウンチューブ・シートチューブ・チェーンステイの交点こうてんで3ほんすべてをつなぐパイプ。この部分ぶぶん(のパーツぐん)をボトムブラケットう。
シートステー
バックホークともいう。シートチューブ上端じょうたんこうじくむすぶパイプ。左右さゆういちたいある。左右さゆうのシートステーは途中とちゅう1ほんみじかいパイプでつながれる。これを「シートステー・ブリッジ」とぶ。先端せんたんをトップチューブに固定こていするものは「クロスドシートシテー」とぶ。キャリパーブレーキをけるあながある。
チェーンステー
シートチューブ下端かたんこうじくむすぶパイプ。左右さゆういちたいある。左右さゆうのチェーンステーは途中とちゅう1ほんみじかいパイプでつながれる。これを「チェーンステー・ブリッジ」とぶが、フレームによっては省略しょうりゃくされることもある。
フロントフォーク
ぜんホークともいう。フロントフォークは前輪ぜんりんをフレームに固定こていして、路面ろめんからの衝撃しょうげき緩和かんわするはたらきをしている。正確せいかくにはフレームのなかにはふくまれないが、ロードバイクかぎっては便宜上べんぎじょうフレームの一部いちぶとしてあつかわれることがおおい。フロントフォーク参照さんしょう

フレームの各部かくぶ

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自転車じてんしゃフレーム各部かくぶおおまかな区分くわけとして以下いか呼称こしょうがある。

ぜん三角さんかく
トップチューブ、ヘッドチューブ、ダウンチューブ、シートチューブ、ボトムブラケットシェルをわせた総称そうしょう
こう三角さんかく(うしろさんかく)
リヤさんかくともいう。シートチューブ、ボトムブラケットシェル、シートステー、チェーンステーをあわせた総称そうしょう
エンド
車輪しゃりんとフレームをつなところ前輪ぜんりんがわを「フロントエンド」、こうがわを「リヤエンド」とぶ。

フレームの設計せっけい

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自転車じてんしゃフレームのジオメトリー

フレームを見極みきわめたり、製作せいさくするにあたり、以下いか数値すうち重要じゅうようとなる。総称そうしょうして「フレーム・スケルトン」とばれる。

トップチューブちょう

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ヘッドチューブのしんからシートチューブのしんまでのトップチューブのながさ。りゃくして「トップちょう」とぶこともある。ロードバイク適正てきせいサイズをえらうえでこの数値すうちさい重要じゅうようとなる。ただし最近さいきんのスローピングフレームはトップチューブ自体じたい水平すいへいでないので選択せんたくには注意ちゅういようする。しかしながら、大抵たいていのメーカーには実際じっさいながさの実質じっしつトップチューブちょうとホリゾンタルフレームに仮想かそうして計算けいさんじょうした仮想かそうトップチューブちょうなみしるしていることがおおい。

シートチューブちょう

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シートチューブのながさ。ほとんどの自転車じてんしゃ適正てきせいサイズをえらうえさい重要じゅうよう数値すうち。この数値すうちあやまると、極端きょくたんおおきくてあしくたびにトップチューブとまた接触せっしょくし、いたくてれないようなサイズのもの、ぎゃくちいぎてサドルピラーをいちはいげてもひざらず、はしることができないようなサイズのものをえらんでしまうことになる。ながさの表記ひょうき方法ほうほうには2種類しゅるいある。

  • C-C(センター - センター)ボトムブラケット中心ちゅうしん~トップチューブとの接合せつごうてんまで。別名べつめいしんしん」。
  • C-T(センター - トップ):ボトムブラケット中心ちゅうしん~シートチューブの天辺てっぺんまで。別名べつめいしん・トップ」。

またスローピングフレームではホリゾンタルフレームに換算かんさんしてした計算けいさんじょう仮想かそうシートチューブちょう表記ひょうきされることもある。

ホリゾンタルフレームにおいてC-T(センター - トップ)ながさは、(くつそこあつさを考慮こうりょして)乗車じょうしゃもちいるくついた状態じょうたい股下またしたから250mm いたながさが一般いっぱんてき目安めやすとされる。

ヘッドかく・シートかく

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ヘッドかく変更へんこうによるトレイルりょう変化へんか
みぎ:ヘッドかくおおきくすると、トレイルりょうすくなくなる。
ひだり:ヘッドかくちいさくすると、トレイルりょうおおくなる。

心地ごこちセルフステア特性とくせい)を決定けっていする数値すうちヘッドアングルシートアングルともぶ。軽快けいかいはし用途ようとロードバイクスポルティフで72-75舗装ほそうのぼざか考慮こうりょした車種しゃしゅマウンテンバイクランドナーなどで70-72実用じつようしゃなど最適さいてき乗車じょうしゃ速度そくどちいさい用途ようと車種しゃしゅは68程度ていどおおい。上述じょうじゅつのように用途ようとによって最適さいてきなヘッドかく・シートかくことなってくるが、一般いっぱんてきなスポーツサイクルにおいては72-73程度ていどのヘッドかく・シートかくあつかいやすくもっと基本きほんてきなヘッドかく・シートかくである。ヘッドかくおおきい (ヘッドチューブとフロントフォークがつ) ほど、機敏きびん操作そうさ可能かのうになるが安定あんていせいがなくなり、ヘッドかくちいさい (ヘッドチューブとフロントフォークがる) ほど、安定あんていかんすが操作そうさ鈍重どんじゅうになる。また、トレールが、おおきければおおきいほど直進ちょくしん安定あんていせいたかまる。ヘッドかくとシートかく同一どういつ数値すうちのものを「パラレル」、そうでないものは「アンパラレル」と表現ひょうげんすることがある。

ホイールベース

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直進ちょくしん安定あんていせい決定けっていする数値すうち一般いっぱんてきにはぜん車軸しゃじく-こう車軸しゃじくあいだ数値すうちみじかいと機敏きびんうごきが可能かのうになり、ながいと直進ちょくしん安定あんていせいす。競輪けいりんなどで使つかわれるトラックレーサーみじかめ、ランドナースポルティフながめにされている。
 「JIS D9301 一般いっぱん自転車じてんしゃ」でトウクリアランス(ペダル踏面の中心ちゅうしんからペダルじく直角ちょっかく方向ほうこうはかった、タイヤまたぜんどろよけまでの最短さいたん距離きょり)は「89mm以上いじょうでなければならない。ただし、トウクリップなどあし固定こてい装置そうちきのものには、適用てきようしない。」とさだめられている。フロントセンター(前輪ぜんりん車軸しゃじくとBBの距離きょり)はこの規定きていからあんみじかくすることができない(小径しょうけい自転車じてんしゃでは自転車じてんしゃ運転うんてん必要ひつようなコクピットちょう制約せいやく理由りゆうとなる)。また、リアセンター(こう車軸しゃじくとBBの距離きょり)はどうJISの操縦そうじゅう安定あんていせいからながさが規定きていされる。この結果けっか、ホイールベースは一定いっていながさが必要ひつようとなる。

BBがり、ボトムブラケットハイト

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車体しゃたい重心じゅうしんたかさをめるうえ重要じゅうよう数値すうちBBがりはハンガーがりハンガードロップボトムブラケットハイトはBBだかハンガーだかともぶ。BBがりとボトムブラケットハイトは相補そうほてき関係かんけいにある。ボトムブラケットの位置いちひくいとてい重心じゅうしんになり安定あんていするが、ひくすぎるとカーブをがったときにペダルが地面じめんたり転倒てんとうする危険きけんせいてくる。ボトムブラケットの位置いちたかいとオフロードでの走破そうはせいたかくなるが、たかすぎると左右さゆう不安定ふあんていになる。BBがりの絶対ぜったいてきなものではなく、車輪しゃりんみちによって相対そうたいてき変化へんかする。700Cではだいたい65-75mmほどに設定せっていされ、小径しょうけいになるほどこのすくなくなってマイナス(BBが前輪ぜんりんじくよりもたかくなる)のをとる。
 『JIS D9301 一般いっぱんよう自転車じてんしゃ』で「ペダル接地せっちかくは、25°(子供こどもしゃでは20°)以上いじょうでなければならない。」とされる。ペダル接地せっちかくでのBBたか地面じめんからBBまでのたかさ)はつぎしきあらわされる。これよりBBたかさは車輪しゃりんみちかかわらず概算がいさん260mm以上いじょう必要ひつようになるのがその理由りゆうである。

[ペダル接地せっちかくでのBBたかさ]=([車体しゃたい中心ちゅうしんからクランクのペダルめんまでの距離きょり]+[ペダルのはば])×tan ([ペダル接地せっちかく])+[ペダルあつさ]÷2+[クランクちょう]

チェーンステーちょう

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加速かそく機敏きびんさを決定けっていするじょう重要じゅうよう数値すうち。このみじかければみじかいほど加速かそくれがよくなるが、あまりにみじかいと車体しゃたい不安定ふあんていになり、またみじかすぎるとのちのタイヤの選択せんたくかぎられたり、走者そうしゃかかと変速へんそくはたじく接触せっしょくする可能かのうせい、またはこう自体じたい装着そうちゃく不能ふのうになってしまうので、数値すうち設定せっていには限界げんかいがある。車輪しゃりんみちによって相対そうたいてき数値すうち変化へんかし、700CではTTバイク中心ちゅうしんにしてシートチューブをげてまでチェーンステーちょうみじかくするれいもあるが(サーヴェロのPシリーズ、スペシャライズドのトランジションなど)、自転車じてんしゃ元々もともと重心じゅうしんっているものであるため650C以下いかのフレームでチェーンステーちょう限界げんかいまでめると重心じゅうしん位置いちこうちかづきすぎ車体しゃたい不安定ふあんていになる。またチェーンステーちょう規定きていするものとして、「JIS D9301 一般いっぱんよう自転車じてんしゃ」の操縦そうじゅう安定あんていせい規定きてい「サドルをさい後方こうほう位置いちにし、適応てきおう乗員じょういん体重たいじゅうの±5kgの乗員じょういんがそのさい後方こうほう座乗ざじょうして、両手りょうてでハンドルにぎりをつかんだときに、自転車じてんしゃおよ乗員じょういん合計ごうけい質量しつりょうの25%以上いじょうぜん車輪しゃりんにかからなければならない。」がある。自転車じてんしゃ乗車じょうしゃ姿勢しせいにも関連かんれんするが、チェーンステーちょうみじかくした場合ばあい、この規定きてい抵触ていしょくすることとなるのが、チェーンステーちょう無闇むやみみじかくできない理由りゆうでもある。

オフセット

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ヘッドチューブの角度かくど沿ってした延長えんちょうさせた位置いちからフロントフォークがどれだけまえているかをしめ数値すうち。この数値すうちおおきいと振動しんどう衝撃しょうげきたいせいすぐれるとわれている。よく勘違かんちがいされるが、オフセットがおおきいと直進ちょくしん安定あんていせい英語えいごばんし、またすくないと機敏きびんなハンドリングとなる(ホイール・アライメント#キャスタかく役割やくわりキャスタートレール参照さんしょう)というのは間違まちがいである。ホイールのみちと、ヘッドかく設定せっていによっては、オフセットにより操縦そうじゅう安定あんていせい影響えいきょうするトレールおおきくなることもあれば、ちいさくなることもある。また市販しはんカーボンせいフロントフォークにも既存きそんのバイクからの交換こうかん目安めやすのためにこの数値すうちかなら表記ひょうきされており、だいたい40-50mmくらいで設定せっていされている。ドミフォン競技きょうぎようのステイヤーバイクでは、ぜんはしするペーサーとばれるバイクにちかづくことを目的もくてき前輪ぜんりんちいさいみちのホイールがもちいられたため、オフセットがマイナス(ぎゃくがた)のフロントフォークが使つかわれたこともあった。この場合ばあいでもヘッドかく調整ちょうせいにより適切てきせつなキャスタートレールが設定せっていされている。

スタンドオーバーハイト

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地面じめんからトップチューブ中心ちゅうしんまでのたかさ。英語えいごでは「S.O.」と表記ひょうきされることがおおい。マスプロメーカーのロードバイクでは表記ひょうきされてはいるが、フレームのみ販売はんばいのメーカーだと表記ひょうきされていないことがおおい。またマウンテンバイクの場合ばあいはトップチューブのスローピングかくがきついので、トップチューブのどの位置いちをもって計測けいそくしているのかでスタンドオーバーハイトが大幅おおはばわるので注意ちゅういようする。

細部さいぶ処理しょり

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リアエンド処理しょり

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おも外装がいそう変速へんそく有無うむによってリアエンドの処理しょりわる。

ホリゾンタルドロップアウト
開口かいこうきが水平すいへいかそれにちか角度かくどのエンドのことで、チェーンのテンション調整ちょうせい可能かのうである。テンション調整ちょうせい必要ひつよう固定こていギアや、 (外装がいそう変速へんそくいため) テンショナーのシングルスピードひとしではこちらが使つかわれる。せいつめぎゃくつめがある。
  • せいつまエンド
トラックレーサー (ピスト) に使つかわれることからトラックエンドやピストエンドともばれる。真後まうしろに開口かいこうしており、トラックレーサーにかぎらずBMXや、クイックリリースが不要ふようシティサイクルにももちいられる。構造こうぞうじょうチェーンがはずれないのでこうをクイックリリースにする意味いみがなく、車軸しゃじくはナットでめる。
  • ぎゃくつまエンド
フォワードドロップアウトともいう。ロードしゃ使つかわれたことからトラックエンドにたいしロードエンドともばれる。ゆる角度かくど前方ぜんぽうなな下方かほう開口かいこうしており、こうのクイックリリースにも対応たいおうする。バーチカルドロップアウトをななめにばしたものとることもできる。汎用はんようせいたかく、ホイールハブのOLDはばさええば外装がいそう変速へんそくにもシングルスピードや固定こていギアにも対応たいおうできる。カンパニョーロ製造せいぞうしているためカンパニョーロタイプともばれる(クイックリリースナットがたるめんに「Campagnolo」の刻印こくいんがある)。
ストレートドロップアウト・バーチカルドロップアウト
ホリゾンタルドロップアウトにたいしバーチカルドロップアウトともばれる。開口かいこうがほぼしたいており、チェーンのテンション調整ちょうせいができないので固定こていギヤは不可能ふかのうであり、通常つうじょう外装がいそう変速へんそく必須ひっすである。ホイールの脱着だっちゃくがしやすいのでスポーツ自転車じてんしゃとくはなわこうきょうする車種しゃしゅでこのリアエンドを採用さいようするものがおおい。ぞくに「ストドロ」とりゃくす。
スルーアクスル
とくこう負荷ふかダウンヒルなどのMTBようとして開発かいはつされたあたらしい形式けいしきで、エンドきがたまきになっており、ホイールの位置いちわせて側面そくめんから車軸しゃじくんで固定こていする。従来じゅうらい形式けいしきして剛性ごうせいすぐれ、走行そうこうちゅうだつ事故じこ可能かのうせい軽減けいげんできることにくわえてディスクブレーキとの相性あいしょうがよいことから、2010年代ねんだい後半こうはんからMTB以外いがいにもディスクブレーキの普及ふきゅうのちってひろまるうごきをせている。

台座だいざ

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フレームに必要ひつよう各種かくしゅ部品ぶひんけるためにフレームに溶接ようせつする設置せっちを「台座だいざ」とぶ。1950年代ねんだいのロードバイクにはフレーム強度きょうどよわめるという観点かんてんから溶接ようせつ一切いっさいけ、金属きんぞくバンドでめてあった時代じだいもあった。

ブレーキ台座だいざ
MTB、BMXなどで カンチレバーブレーキVブレーキUブレーキをつけるために必要ひつようなもの。フロントフォークに1つい、シートステー・チェーンステーのどちらかに1たいある。2000年代ねんだいからMTBではディスクブレーキ主流しゅりゅうであり、ける台座だいざがフォーク左下ひだりしたはしフロントエンドちかくと、ひだりリアエンドちかくに形成けいせいされている。
レバー台座だいざ
初期しょきのロードバイクなどのようにダウンチューブようシフトレバー(いわゆるダブルレバー)を設置せっちするために必要ひつようなもの。バンドめでなければ特定とくていのメーカーの特定とくてい製品せいひん専用せんようになる。現在げんざいでもケーブルのまわしに必要ひつようなため、溶接ようせつされることがおおいが、シマノ一体いったいがたレバー「シマノ・トータル・ インテグレーション」登場とうじょうさせて以来いらい、ダウンチューブようシフトレバーがけられる台座だいざではなく、たんなるケーブルけを溶接ようせつすることがおおい。
フロント台座だいざ
マウンテンバイクのフロントディレイラーの一種いっしゅ特殊とくしゅ台座だいざ必要ひつようとするものがある。それをけるための台座だいざ現在げんざいではあまりられない。

ケーブル処理しょり

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無線むせん電動でんどうなどをのぞ機械きかいてき変速へんそくやブレーキを使用しようするためには操作そうさから動作どうさまでワイヤなどのケーブルをわせなくてはならない。ケーブルのとおかたで3種類しゅるい、そのための処理しょりが2種類しゅるいある。

トップルーティング
トップチューブじょうにケーブルをはわせる方法ほうほう。マウンテンバイク、シクロクロスなどに使用しようされる。どろまりにつよいが、ロードバイクのフロントディレイラーを使つか場合ばあい特殊とくしゅなアタッチメントでケーブルを反転はんてんさせなくてはならない。
ボトムルーティング
ダウンチューブに沿ってワイヤをはわせる従来じゅうらいからの古典こてんてき処理しょり。ロードバイク、一部いちぶシクロクロスおおい。ロードバイク、マウンテンバイク双方そうほうフロントディレイラーともこの方法ほうほう使つか種類しゅるいのものをそろえてある。
ケーブル内蔵ないぞう処理しょり
煩雑はんざつなケーブル処理しょりけるためにアウターケーブルごとフレームのなかれてしまう処理しょりランドナースポルティフなどの趣味しゅみ自転車じてんしゃカーボン使つかったダイヤモンドフレームのケーブル処理しょり使つかわれる。フレームの途中とちゅうでそのままアウターケーブルごと最初さいしょから最後さいごまでとおしてしまう方法ほうほうもあり、これを「フルアウター」とう。シフトレバー台座だいざじきけ(これをやると特定とくていのレバー以外いがいけられない)などと同様どうよう、「特殊とくしゅ工作こうさく」とばれる加工かこうひとつで、受注じゅちゅう製作せいさくのオーダーしゃおおい。2010年代ねんだい後半こうはんからはMTBでも主流しゅりゅうとなっている[2]

どろよけ、荷台にだいなど本来ほんらい自転車じてんしゃ走行そうこう機能きのうには関係かんけいがないものをけるネジあなを「ダボ」とぶ。英語えいごでは「eyelet」または「boss」とばれる。競技きょうぎよう自転車じてんしゃについていることはあまりないが、ランドナー、スポルティーフなどツーリングよう自転車じてんしゃにはほとんど必須ひっすえる工作こうさくである。

ダイヤモンドフレームの種類しゅるい

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ホリゾンタルフレーム

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ホリゾンタルフレームとは、トップチューブが地面じめん平行へいこうになっているフレームである。もともとのダイヤモンドフレームはこの形状けいじょうであり、ロードバイクはもちろん、初期しょきのマウンテンバイクもこの形状けいじょうだった。構造こうぞうじょうつぎべるスローピングにくら大柄おおがら重量じゅうりょうてきには不利ふりとなる。しかし、そのととのった外観がいかんこの愛好あいこうしゃおおくいる。トップチューブをかたにかけるかつぎを多用たようするシクロクロスではホリゾンタルフレームの愛用あいようしゃすくなくない。2014ねん現在げんざい、マスプロメーカーではホリゾンタルフレームのロードバイクはすくなくなってきているが、おもにオーダーによってクロムモリブデンこうつくるフレーム(ロードバイク、ランドナースポルティーフ」など)ではこのタイプの採用さいようおおい。また、完全かんぜんなホリゾンタルフレームはホリゾンタル換算かんさんトップチューブちょうとフレームサイズが同一どういつになるが、おな車種しゃしゅでもフレームサイズによって若干じゃっかんスローピングしているものもおおくあるため一般いっぱんてきにはホリゾンタル換算かんさんトップチューブちょうとフレームサイズのながさがおなじものがラインナップされてる車種しゃしゅはホリゾンタルフレームとばれる。

スローピングフレーム

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スローピングフレームとは、トップチューブのうしろががるようにけられているフレームである。フロントサスペンションのストロークのぶんヘッドがたかくなりがちなマウンテンバイクのフレームからはじまり、ロードバイクでも主流しゅりゅうはこのタイプになった。構造こうぞうじょう小柄こがらになることから、フレームの剛性ごうせい向上こうじょう軽量けいりょうてい重心じゅうしんといった利点りてんがある。工業こうぎょう製品せいひんとしての利点りてんおおく、ユーザーがわには身長しんちょうひくいライダーも乗車じょうしゃ可能かのうになるという利点りてん、メーカーがわにはこまかなフレームサイズを多種たしゅ用意よういする必要ひつようがないという利点りてんがある。トップチューブの傾斜けいしゃにはバリエーションがあり、傾斜けいしゃをゆるく水平すいへいちかくして「セミスローピング」などとしょうされるタイプもある。2014ねん現在げんざい、マスプロメーカーのロードバイクはおおくがこちらを採用さいようしている。個人こじんのフレームビルダーもてい重心じゅうしん足付あしつきのよさに注目ちゅうもくして採用さいようするところもある。台湾たいわんジャイアント・マニュファクチャリングが、スローピングフレームの採用さいよう有名ゆうめいである。

おなじくトップチューブがこうかたぶけするスタッガードがたとのちがいはシートステーの処理しょりである。staggerとは交互こうご、ずれる、ジグザグといった意味いみがあり、元来がんらいはトップチューブから後方こうほう連続れんぞくしているシートステーとのあいだにスタッガードでは段差だんさしょうじジグザグになっている。スローピングフレームはシートポストにたいしトップチューブとシートステー両方りょうほう取付とりつけ位置いちげており、よりかたぶけした印象いんしょうのフォルムとなる。

2020ねん現在げんざいではスポーツ自転車じてんしゃ流行りゅうこうけて、廉価れんかなシティサイクルでもスローピングないしはスタッガードのトップチューブをたかめにしたスローピングふうのデザインもかけられるようになっている。

一部いちぶのロードバイクでは高速こうそくせい追求ついきゅうして極端きょくたんぜんかたぶけ姿勢しせい搭乗とうじょうするためトップチューブの後方こうほうがわがっているぎゃくスローピング形状けいじょうのフレームも存在そんざいする。

ファニーバイク・ダイヤモンドフレーム

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ロードレースのタイムトライアル競技きょうぎのみにられたフレーム。現在げんざいはUCIにより、機材きざいは「ダイヤモンドフレームであること」「前後ぜんご車輪しゃりんみちおなじであること」という規定きていがあるため、ロードレースでの使用しようきんじられている。ただしUCIの管轄かんかつではないトライアスロンにかぎっては、これらの規定きていはなくダイヤモンドフレームもしばしば使用しようされる。

ファニーバイク
こうは700Cのまま、前輪ぜんりんのみ24もしくは26インチとう小径しょうけい車輪しゃりんにしたものである。前後ぜんごみち車輪しゃりん車体しゃたい外観がいかんが「Funny(おかしな)」と形容けいようされたためこのいたといわれる。乗車じょうしゃ姿勢しせい極端きょくたん前屈まえかがみのポジションになり空気くうき抵抗ていこうすくなくできるため、タイムトライアルレーサーとうに、また前輪ぜんりん26インチ・こう700Cようのそれは女性じょせい身長しんちょうひく男性だんせいなど前後ぜんごども700Cでは乗車じょうしゃできないひとけ(シートチューブちょう450mmモデル)に使用しようされた。個人こじん、チーム両方りょうほうのタイムトライアルに使用しようされていたが、チームでのタイムトライアルにおいて使用しようするさいは、ぜん走者そうしゃとの距離きょりすくなくし(前輪ぜんりんみちちいさいため、より近付ちかづくことができる)チーム全体ぜんたい空気くうき抵抗ていこうすくなくする効果こうかもある。
家庭かていようのママチャリにおいても、電動でんどうアシストの普及ふきゅうやチャイルドシート設置せっちスペースの拡大かくだいけて、車体しゃたい延長えんちょうまわしをさまたげないよう小径しょうけいしゃとすることがえてきているが、速力そくりょく考慮こうりょ前輪ぜんりんのみ小径しょうけいとしたファニーバイクがた少数しょうすう存在そんざいする。また性能せいのうじょう無意味むいみだがペニーファージングふうのレトロかん演出えんしゅつするためちいさくしたファッションサイクルも極少きょくしょうすうある。
ダイヤモンドフレーム
空気くうき抵抗ていこう向上こうじょう観点かんてんから従来じゅうらいのダイヤモンドフレーム以外いがいのフレーム形状けいじょう模索もさくはじまり、さらに金属きんぞく加工かこう技術ぎじゅつ向上こうじょう、カーボン素材そざい発達はったつにより一時期いちじき多種たしゅ多様たようなフレーム形状けいじょうられた。金属きんぞくフレームとしてはトップチューブがないもの(「ビーム形式けいしき」とばれる。beamでりょうこと)、一体いったい形成けいせいのものがあった。

ちゅう

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  1. ^ あしみじかいためトップチューブをまたげず、片足かたあしぜん三角さんかくとおしてペダルをぐ。『となりのトトロ』のカンタで有名ゆうめい
  2. ^ かくメーカーページでマウンテンバイクを参照さんしょう

関連かんれん項目こうもく

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