(Translated by https://www.hiragana.jp/)
Vブレーキ - Wikipedia コンテンツにスキップ

Vブレーキ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
Vブレーキ

Vブレーキ(ブイブレーキ、V-brake)とは、自転車じてんしゃもちいられるリムブレーキ一種いっしゅである。ワイヤーしきリムブレーキのなかではもっと強力きょうりょく制動せいどうりょくつ。

同様どうよう基本きほん構造こうぞうつブレーキはふるくから存在そんざいしていたが、ひろ普及ふきゅうしたのは日本にっぽんシマノしゃが1990年代ねんだい後半こうはんマウンテンバイクようブレーキとして製品せいひんしてからである。「Vブレーキ」の名称めいしょうはこのさいあたえられたシマノの商標しょうひょう[1]であるが、日本にっぽん国内こくないではこの形態けいたいのブレーキをあらわ一般いっぱん名詞めいしとして定着ていちゃくしている。ぎゃくハの字形じけいひらいたブレーキアームがアルファベットの「V」を連想れんそうさせることが、この名前なまえ由来ゆらいになった。なお日本工業規格にほんこうぎょうきかくJIS D 9414(自転車じてんしゃ - ブレーキ)においてはカンチレバーVかたちとされている。また英語えいごでは Linear Pull (Cantilever) brake または direct Pull (Cantilever) brake ともばれる。こちらはこの形態けいたい動作どうさ原理げんり端的たんてきあらわした命名めいめいといえる。

構造こうぞう[編集へんしゅう]

2ほんのブレーキアームの下端かたんフロントフォークおよび(フレームの)シートステイじょう台座だいざにボルトで固定こていされる。りょうアームの上端じょうたんは、よこ方向ほうこうからはいってくるブレーキワイヤーでつながっているが、この部分ぶぶんはタイヤがげるどろなどがねかかる位置いちにあり、また水平すいへい方向ほうこう配置はいちされているために雨水あまみずなどが浸入しんにゅうしやすいため、エラストマーせいのブーツで保護ほごされる。横向よこむきのワイヤーをうえへと方向ほうこう転換てんかんさせるためにリードパイプという部品ぶひんわせるのが普通ふつうである。

ブレーキレバーをにぎると、ワイヤーでつながれたアームの間隔かんかくじ、アームの中間ちゅうかんけられたブレーキシューがリムけられる。

てこ」の比率ひりつおおきく、Vブレーキ以外いがいのブレーキよりもブレーキワイヤー作動さどうりょうおおくする必要ひつようがあるため、ブレーキレバーは基本きほんてき専用せんようまた兼用けんようのものを使用しようする。

ブレーキブースタのいちれい

Vブレーキは強力きょうりょくにリムをはさけることが可能かのうであるが、これは同時どうじにブレーキ台座だいざひら方向ほうこうに、つよはんちからがかかるということでもある。そこでブレーキブースターばれる馬蹄ばていかた部品ぶひん追加ついかし、台座だいざひらくのを防止ぼうしする場合ばあいがある。

また、Vブレーキにはパラレルリンク機構きこうというシステムも存在そんざいする。通常つうじょうのVブレーキは、ブレーキシューが台座だいざ中心ちゅうしん円弧えんこじょううごくが、パラレルリンク機構きこうでは、左右さゆうのブレーキパッドが平行へいこう動作どうさする。これによりブレーキタッチの上質じょうしつや、ブレーキパッド位置いち調整ちょうせい容易よういしている。反面はんめん複雑ふくざつ重量じゅうりょうす。

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

メリット[編集へんしゅう]

  • ながいアームによる「てこ」の比率ひりつおおきさと、直線ちょくせんてき損失そんしつすくないちからつたわりかたによって、このブレーキの普及ふきゅう以前いぜん使つかわれていたカンチレバーブレーキ略称りゃくしょう・カンチブレーキ)にくらべてはるかにつよ制動せいどうりょくられる。
  • ブレーキワイヤーのまわしの自由じゆうたかく、カンチブレーキでは別個べっこ必要ひつようなアウターワイヤー台座だいざ不要ふようである(カンチでは前輪ぜんりんではブレーキ真上まうえのハンドルちかくに、こうではフレームのシートポストクランプ、またはリアステイブリッジに台座だいざ必要ひつよう)。
  • ディスクブレーキくら部品ぶひんすうすくないためメンテナンスがしやすく、価格かかく安価あんかである。
  • はなわこうなどで前後ぜんごをはずしてもディスクブレーキほどあつかいに注意ちゅういをしなくてもよい。

デメリット[編集へんしゅう]

  • すべてのリムブレーキ同様どうよう、リムのよごれやゆがみによって悪影響あくえいきょうけやすい。ブレーキシューとともにリムも摩耗まもうする。
  • つよ制動せいどうりょくられる反面はんめんきゅうブレーキ(パニックブレーキ)においては、鋭敏えいびんがる強力きょうりょく制動せいどうりょくにより車輪しゃりんロックおよびその結果けっかしょうじるジャックナイフやスリップを誘発ゆうはつしやすい。この鋭敏えいびんなブレーキのきによる転倒てんとう事故じこいたるリスクをげる目的もくてきや、よりマイルドなブレーキのタッチを目的もくてきためパワーモジュレーターという部品ぶひんがある。

パワーモジュレータ[編集へんしゅう]

Vブレーキようパワーモジュレータ

パワーモジュレータはVブレーキのワイヤー中間ちゅうかん装置そうちである。シマノしゃ製品せいひんなかにははじめからこれをんだVブレーキもある。

パワーモジュレータには内部ないぶつよいスプリングがまれており、ブレーキレバーをはじめるとまずブレーキシューがよわちからでリムに接触せっしょくし、つぎにリードかん経由けいゆしてはんちからもどり、リードかんとアウターワイヤーにはさまれたパワーモジュレータが作動さどうはじめスプリングが圧縮あっしゅくされていく。ブレーキをくインナーワイヤーのちからはブレーキシューをリムにけるちからとなると同時どうじにこのスプリングを圧縮あっしゅくするちからがされていく。スプリングがつよ圧縮あっしゅくされていくにつれちからはブレーキシューにおおつたわるようになり、ついにスプリングが完全かんぜん圧縮あっしゅくされるとパワーモジュレータは作動さどう終了しゅうりょうりょくはダイレクトにブレーキにつたわる。パワーモジュレータはブレーキレバーをりょうたいしてブレーキりょく最大さいだいになるまでのりょうおおきくし、鋭敏えいびんなブレーキりょくがりを緩和かんわする調整ちょうせい装置そうちとしてはたらく。

シマノしゃせいブレーキレバーの一部いちぶにはVブレーキとカンチ・ローラーブレーキ両方りょうほう対応たいおうするモデルがあり、この場合ばあいブレーキレバーはながいもの(4フィンガーレバーとばれる)が使用しようされている。これをそのままVブレーキに使用しようすると専用せんようのレバー(2フィンガーレバー)よりも極端きょくたんつよ制動せいどうりょく発生はっせいしてしまうため、Vブレーキに使用しようするさいには同社どうしゃせいパワーモジュレータを併用へいようするようアナウンスされている。(パワーモジュレータ使用しようのVブレーキに対応たいおうという意味いみである。)

なお、パワーモジュレータを使用しようすることによってブレーキレバーをすこいたくらいではタイヤがロックするほどの急激きゅうげきなブレーキりょくからなくなるが、いちはいまで一気いっきにレバーをいてしまえばパワーモジュレータは動作どうさ範囲はんいえ(動作どうさ範囲はんいないでも条件じょうけんによっては)タイヤはロックしてしまう。ABS装置そうちとはことなりタイヤロックを完全かんぜん防止ぼうしするため装置そうちではない。また、ブレーキりょく増強ぞうきょうしたりきをくするため装置そうちではない

ミニVブレーキ[編集へんしゅう]

Vブレーキにはアームのながさをみじかくして、ロードバイクようのブレーキレバーのきしろで操作そうさ出来できるようにした「ミニVブレーキ」または「ショートVブレーキ」とばれるものも存在そんざいしており、クロスバイクマウンテンバイクにドロップハンドルをける改造かいぞうほどこさいによくもちいられる。ただし左右さゆうのアームをつなぐワイヤーの位置いちひくくなるため、ふといタイヤとはわせられない。テクトロしゃのRX3、RX5が代表だいひょうてき

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 商標しょうひょう公報こうほう4612297”. 特許庁とっきょちょう. 2018ねん3がつ26にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]