ボイラー

薪たきぎボイラー

ボイラー（英えい: boiler）は、水みずを沸わかし、湯ゆや水蒸気すいじょうきをつくりだす設備せつびや装置そうちのことである。日本にっぽん産業さんぎょう規格きかく（JIS）や学術がくじゅつ用語ようご集しゅうではボイラと表記ひょうきされるほか、汽缶きかん（きかん、汽罐きかん）、あるいは単たんに缶かんやカマともいう。

概要がいよう

ボイラーには、水蒸気すいじょうきを利用りようするためのボイラーと、湯ゆを利用りようするためのボイラーがある。

古ふるくは薪たきぎなどを燃料ねんりょうとして燃焼ねんしょうさせるタイプしかなかったが、ガスが供給きょうきゅうされるようになってからはガス式しきのボイラもあり、現代げんだいでは電気でんき式しきのボイラもある。燃料ねんりょうを用もちいるタイプはたいてい、燃焼ねんしょう室しつ（火ひ室しつ）と、その燃焼ねんしょうで得えた熱ねつを水みずに伝つたえる熱ねつ交換こうかん装置そうちを持もつ。

初期しょきの蒸気じょうき機関きかんはボイラーの爆発ばくはつ事故じこが多発たはつしたため、機械きかいの安全あんぜん性せいや製造せいぞう者しゃ責任せきにんのような考かんがえ方かたも生うまれ、製造せいぞう所しょや製造せいぞう年ねんなどを明示めいじするボイラープレートという手法しゅほうも考案こうあんされた。また同どう時期じきにはスターリングエンジンのような熱ねつ機関きかんも考案こうあんされた。

種類しゅるい、分類ぶんるい

媒質ばいしつによる分類ぶんるい

温水おんすいボイラー

温水おんすいを作つくるためのボイラーを温水おんすいボイラーと分類ぶんるいすることがある。湯ゆを利用りようするためのボイラーを（高圧こうあつ蒸気じょうきを発生はっせいさせないもの、ととらえて）無む圧あつボイラーと分類ぶんるいすることもある。ヨーロッパや北きたアメリカなど、気温きおんの比較的ひかくてき低ひくい地域ちいきでは、集合しゅうごう住宅じゅうたくでも戸建こだて住宅じゅうたくでもセントラルヒーティングがかなり普及ふきゅうしており、人々ひとびとに馴染なじまれているものである。特とくに寒さむいロシアでは、ひとつの市しのレベルでセントラルヒーティング方式ほうしきが大だい規模きぼに行おこなわれている場合ばあいがあり、街まち中ちゅうに配管はいかんがはりめぐらされ、各かく住宅じゅうたく（ロシアは街中まちじゅうは集合しゅうごう住宅じゅうたくが多おおい）に届とどけられている場合ばあいもある。温水おんすい暖房だんぼうや給湯きゅうとうのために使つかわれる。

蒸気じょうきボイラー

蒸気じょうきを発生はっせいさせるためのボイラーを蒸気じょうきボイラーと分類ぶんるいすることがある。蒸気じょうき機関きかん車しゃに大おおきな（蒸気じょうき）ボイラーが組くみ込こまれており、ボイラーが発生はっせいさせる水蒸気すいじょうきがシリンダーに送おくり込こまれピストンを押おすことが車輪しゃりんを回転かいてんさせる動力どうりょくとなっている。火力かりょく発電はつでん所しょでは、ボイラーで発生はっせいさせた水蒸気すいじょうきで蒸気じょうきタービンを回転かいてんさせ発電はつでん機きを動うごかし発電はつでんを行おこなっており、ボイラーは発電はつでん設備せつびのひとつである。原子力げんしりょく発電はつでん所しょは熱源ねつげんを原子力げんしりょくに置おき換かえた発電はつでん所しょであるが、原子力げんしりょくの特性とくせいもあり異ことなる発電はつでん方法ほうほうと見みなされている。

構造こうぞうによる分類ぶんるい

水みず管かんボイラー

伝つて熱ねつ部ぶが水みず管かんになっているもので、循環じゅんかん方法ほうほうにより以下いかのように分類ぶんるいされる。

貫流かんりゅうボイラー

水みずを水みず管かんの一方いっぽうから押おし込こみ循環じゅんかんさせること無なく蒸気じょうきに変かえるもの。水みずと蒸気じょうきの比重ひじゅうの差さがない超ちょう臨界りんかいボイラーや、急速きゅうそく起動きどうが必要ひつような小型こがたボイラーに用もちいられる。保有ほゆう水量すいりょうが少すくないため起動きどう性せいに優すぐれるが、負荷ふか追従ついしょう性せいに劣おとる。蒸気じょうき量りょうや蒸気じょうき温度おんどを安定あんていさせるためには水みずや蒸気じょうきの出入でいりと熱ねつの供給きょうきゅうをバランスさせる必要ひつようがあり、高度こうどな制御せいぎょ技術ぎじゅつが必要ひつようである。また、純度じゅんどの高たかい給水きゅうすいが必要ひつようである。

強制きょうせい循環じゅんかんボイラー

水みずを循環じゅんかんポンプで強制きょうせい的てきに循環じゅんかんさせるもの。運転うんてん圧力あつりょくが臨界りんかい圧あつに近ちかいと水みずと蒸気じょうきの比重ひじゅう差さが小ちいさくなるため、必然ひつぜん的てきに強制きょうせい循環じゅんかんボイラーとなる。

自然しぜん循環じゅんかんボイラー

水みずの温度おんどによる比重ひじゅうの差さで循環じゅんかんさせるもの。

丸まるボイラー

鋼鉄こうてつ製せいの水みずを満みたした缶かんを主体しゅたいとしたボイラー。保有ほゆう水量すいりょうが比較的ひかくてき多おおく、負荷ふかの変動へんどうに強つよい。その反面はんめん、立たち上あがりが遅おそく、万まん一いち爆発ばくはつ事故じこが起おきれば被害ひがいは甚大じんだいである。構造こうぞう上じょう中小ちゅうしょう規模きぼのものが多おおい。また、ボイラーにもよるが缶かん内ないに人ひとが入はいってスケールの除去じょきょが可能かのうで、水みず管かんボイラー程ほどは給水きゅうすいに神経質しんけいしつになる必要ひつようもない。

煙管きせるボイラー

水みず缶かんに多数たすう配置はいちした煙管きせるに燃焼ねんしょう室しつの燃焼ねんしょうガスを通とおすことにより熱ねっするもの。比較的ひかくてき掃除そうじしにくく、構造こうぞうが複雑ふくざつであるが、比較的ひかくてき効率こうりつよく、炉ろの形状けいじょうが自由じゆうであるので、粗悪そあく燃料ねんりょうにも適応てきおうし、木屑きくず炊たきや廃はい熱ねつ回収かいしゅうボイラーとして少数しょうすうながら新造しんぞうされている。陸りく用ようとしては煉瓦れんが組ぐみの炉ろを持もつものが多おおいが、四角しかくい箱はこ型がたの炉ろを組くみ込こんだものもある。代表だいひょう例れいが蒸気じょうき機関きかん車しゃのボイラーである。

炉ろ筒とうボイラー

水みず缶かん内ないに炉ろ筒とう（円筒えんとう形がたの燃焼ねんしょう室しつ）を設もうけたもの。炉ろ筒とうが一本いっぽんの物ものをコルニッシュボイラーといい、二に本ほんの物ものをランカシャーボイラーという。構造こうぞうが簡単かんたんで掃除そうじし易やすく古ふるくは普及ふきゅうしたが、その効率こうりつの悪わるさから今いまは新造しんぞうを見みない。伝つて熱ねつ面積めんせきと効率こうりつを稼かせぐ為ために、大掛おおがかりな煉瓦れんが組ぐみを持もつ。

炉ろ筒とう煙管きせるボイラー

炉ろ筒とうと煙管きせるとがあるもの。丸まるボイラーとしては最もっとも効率こうりつよく据付すえつけ面積めんせきも少すくなく、現在げんざい主流しゅりゅうのボイラーである。古ふるくは蒸気じょうき船用せんようボイラー（スコッチボイラー）として活躍かつやくしたが、陸りく用ようとしては通風つうふう抵抗ていこうが大おおきく、構造こうぞうも複雑ふくざつで掃除そうじも困難こんなんであるので、給水きゅうすい処理しょり装置そうちや電動でんどう通風つうふう機きや自動じどう制御せいぎょ装置そうち、重油じゅうゆ炊たきが一般いっぱん的てきになってから普及ふきゅうを見みた。使用しよう蒸気じょうき圧力あつりょくは10kgf/cm²程度ていどで、大だい容量ようりょうビルに用もちいられる。

立たてボイラー

縦たて型がたの水みず缶かん内ないに炉ろを設もうけたもの。炉ろを横切よこぎるように管かんを出だしたもの、煙管きせるボイラーの様ような縦たて方向ほうこうの煙管きせるを持もつもの、横よこ方向ほうこうに煙管きせるを持もつコックランボイラーがある。効率こうりつが低ひくく掃除そうじもし難がたいが、据付すえつけ面積めんせきが小ちいさく、煉瓦れんが組ぐみも不要ふようなので移動いどう用ようや小しょう工場こうじょう用ようとして普及ふきゅうした。小規模しょうきぼの温水おんすい暖房だんぼう・給湯きゅうとう用よう、船舶せんぱく補ほ機き用ようを除のぞき、新造しんぞうは稀まれである。

鋳鉄ちゅうてつボイラー

鋳鉄ちゅうてつを構造こうぞうとして用もちいたもので、鋼鉄こうてつに比くらべて耐食性たいしょくせいに優すぐれる。強度きょうどは低ひくく、急速きゅうそくな加熱かねつ・冷却れいきゃくを行おこなうと破損はそんすることがある。暖房だんぼう、給湯きゅうとう用ようとして建築けんちく設備せつびによく用もちいられる。

鋳鉄ちゅうてつセクショナルボイラー

セクションごとに分割ぶんかつしての搬入はんにゅうや、修理しゅうりが可能かのうである。高こう圧力あつりょくには適てきさない。

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  炉ろ筒とう煙管きせるボイラー
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  船舶せんぱく用水ようすい管かんボイラー模も式しき図ず（自然しぜん循環じゅんかんボイラー）
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  機関きかん車しゃのボイラーの構造こうぞう図ず
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  蒸気じょうき機関きかん車しゃの罐かん焚口たきぐちの一いち例れい（国鉄こくてつC12形かたち蒸気じょうき機関きかん車しゃ）
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  マルセイユ石鹸せっけん工場こうじょうのボイラー室しつ全景ぜんけい（1870年代ねんだい）J.フェラ画が
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  ロータリー式しきボイラー（1873年ねん）

用途ようと

業種ぎょうしゅごとのボイラーの用途ようとの例れい

• クリーニング業ごう：洗浄せんじょう・乾燥かんそう・プレス・アイロンなど
• ホテル、旅館りょかん業ごう：給湯きゅうとう・厨房ちゅうぼう・風呂ふろ・暖房だんぼうなど
• 製菓せいか業ごう：蒸むし器き・練ねり器き
• 給食きゅうしょくセンター：炊飯すいはん・洗浄せんじょう・給湯きゅうとう・消毒しょうどく
• 自動車じどうしゃ：洗浄せんじょう・乾燥かんそう
• 縫製ほうせい業ごう：アイロン・プレス
• 木工もっこう業ごう：加圧かあつ昇のぼり温あつし接着せっちゃく・乾燥かんそう
• 病院びょういん：給湯きゅうとう・厨房ちゅうぼう・暖房だんぼう・消毒しょうどく・殺菌さっきん・乾燥かんそう
• 発電はつでん：火力かりょく発電はつでん・バイオマス発電はつでん・原子力げんしりょく発電はつでん

水みずの流ながれ

1. 水みず処理しょり装置そうちで硬度こうど分ぶんを除去じょきょし、給水きゅうすいポンプで圧力あつりょくを上あげる。水位すいい検出けんしゅつ器きで水位すいいが調整ちょうせいされる。特とくに貫流かんりゅうボイラーは純度じゅんどの高たかい水みずが必要ひつようである。
2. 給水きゅうすい予熱よねつ器き（節ふし炭すみ器き）で給水きゅうすいを予熱よねつする。
3. 主しゅ伝つて熱ねつ部ぶの蒸発じょうはつ器きで燃焼ねんしょうガスと熱ねつ交換こうかんを行おこない、飽和ほうわ蒸気じょうきを発生はっせいする。
4. 汽水分離ぶんり器きで蒸気じょうきと液体えきたいとを分離ぶんりし、蒸気じょうきは次段じだんに送おくり、液体えきたいはボイラーに戻もどす。超ちょう臨界りんかい圧あつボイラーの場合ばあいは汽水分離ぶんり器きはない。
5. 飽和ほうわ蒸気じょうきを過熱かねつ器きで更さらに加熱かねつし、過熱かねつ蒸気じょうきとする。

空気くうき・排はいガスの流ながれ

1. 空気くうき予熱よねつ器きで燃焼ねんしょう用よう空気くうきの予熱よねつを行おこなう。
2. 燃焼ねんしょう室しつへ送風そうふう機き（押込おしごめ通風つうふう機き）で圧力あつりょくを上あげて供給きょうきゅうする。
3. 燃焼ねんしょう室しつで燃料ねんりょうと混合こんごうし燃焼ねんしょう・発熱はつねつさせる。
4. 伝つて熱ねつ部ぶで燃焼ねんしょうガスから水みずに熱ねつを与あたえる。
5. 給水きゅうすい予熱よねつ器き（節ふし炭すみ器き）で燃焼ねんしょうガスから給水きゅうすいに熱ねつを与あたえる。
6. 空気くうき予熱よねつ器きで燃焼ねんしょうガスの熱ねつを回収かいしゅうし、燃焼ねんしょう用よう空気くうきを予熱よねつする。
7. 誘引ゆういん通風つうふう機きでボイラーから燃焼ねんしょうガスを吸すい出だす（ボイラー内ないの燃焼ねんしょう圧力あつりょくを大気たいき圧あつとほぼ等ひとしく保たもつ平衡へいこう通風つうふうの場合ばあいに、押込おしごめ通風つうふう機きとともに設置せっちされる）。
8. 排煙はいえん処理しょり装置そうち（電気でんき集しゅう塵ちり器き・バグフィルタ、脱硝だつしょう装置そうち、脱硫だつりゅう装置そうちなど）で、煤すす塵ちり、窒素ちっそ酸化さんか物ぶつ、硫黄いおう酸化さんか物ぶつを除去じょきょし、有害ゆうがい物質ぶっしつの排出はいしゅつ濃度のうどを環境かんきょう基準きじゅんや自治体じちたい等ひとしとの協定きょうていに適合てきごうさせる。
9. 煙突えんとつから排はいガスを排出はいしゅつする（排はいガスを広範囲こうはんいに拡散かくさんさせる場合ばあいは高たかい煙突えんとつが設置せっちされる）。

燃料ねんりょう・燃もえ殻がらの流ながれ

1. 燃料ねんりょう貯蔵ちょぞうタンク・ボンベ、貯炭ちょたん場じょう・サイロなど
2. 燃料ねんりょう輸送ゆそう管かんまたはベルトコンベア
3. 微ほろ粉炭ふんたん機き：石炭せきたんを微粉びふん炭ずみとして燃焼ねんしょうする場合ばあいに必要ひつよう
4. バーナー：完全かんぜん燃焼ねんしょうにより効率こうりつの向上こうじょうを図はかるとともに、二に段だん燃焼ねんしょう・緩慢かんまん燃焼ねんしょうなどにより窒素ちっそ酸化さんか物ぶつの発生はっせいを抑制よくせいする
5. 灰はい処理しょり装置そうち：重油じゅうゆ灰はい、石炭せきたん灰はいなどを回収かいしゅうし、リサイクルや産廃さんぱいとして適てきした処理しょりを行おこなう

保安ほあん装置そうち

高温こうおん高だか圧あつの気体きたい・液体えきたいを封入ふうにゅうする圧力あつりょく容器ようきであるので、各種かくしゅ保安ほあん装置そうちが設置せっちされる。

水位すいい検出けんしゅつ器き

水位すいいが低ひくい状態じょうたいで燃焼ねんしょうを行おこなうと爆発ばくはつ・破裂はれつの危険きけんがある。そのため起動きどう時じなどに必かならず試験しけんが行おこなわれる。また、動作どうさ不良ふりょうに備そなえて複数個ふくすうこ設もうけられる。

圧力あつりょく検出けんしゅつ器き

圧力あつりょくが一定いっていとなるように制御せいぎょするために使用しようされる。

安全弁あんぜんべん

缶かんの圧力あつりょくが使用しよう圧あつを超こえた場合ばあいに蒸気じょうきを放出ほうしゅつする。複数個ふくすうこ設もうけられる。

炎ほのお検出けんしゅつ器き

失火しっかし未み燃焼ねんしょうガスが缶かん内ないに充満じゅうまんすると爆発ばくはつの恐おそれがあるため、炎ほのおが消きえると速すみやかに燃料ねんりょう供給きょうきゅうが停止ていしされ、強制きょうせい換気かんきが行おこなわれる。係員かかりいんが常駐じょうちゅうする場合ばあいや、石炭せきたん焚たき等とうの場合ばあいは省略しょうりゃくされる場合ばあいがある。

爆ばく発戸ほっと

失火しっか等とうにより未み燃焼ねんしょうガスが充満じゅうまんし、引火いんか・爆発ばくはつした場合ばあいに内圧ないあつによって開ひらき、人的じんてき被害ひがいや煙けむり道どう等ひとしの損傷そんしょうを軽減けいげんさせる。

消防しょうぼう設備せつび

火災報知器かさいほうちき・ガス漏もれ警報けいほう機き・消火しょうか器き・水みず噴霧ふんむ消火しょうか装置そうち

日本にっぽんにおける分類ぶんるいと法的ほうてき規制きせい

日本にっぽんの法規ほうき上じょうの分類ぶんるいや運用うんよう上じょうの分類ぶんるい

簡易かんいボイラー

労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせい法ほう施行しこう令れい第だい13条じょう第だい25号ごうに定さだめるボイラーの通称つうしょう。

小型こがたボイラー

労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせい法ほう施行しこう令れい第だい1条じょう第だい4号ごうに定さだめるボイラー（法令ほうれい上じょう「小型こがたボイラー」として定義ていぎされている）。

1. ゲージ圧力あつりょく0.1MPa以下いかで使用しようする蒸気じょうきボイラーで、伝つて熱ねつ面積めんせきが1平方へいほうメートル以下いかのもの又または胴どうの内径ないけいが300mm以下いかで、かつ、その長ながさが600mm以下いかのもの
2. 伝つて熱ねつ面積めんせきが3.5平方へいほうメートル以下いかの蒸気じょうきボイラーで、大気たいきに開放かいほうした内径ないけいが25mm以上いじょうの蒸気じょうき管かんを取とり付つけたもの又またはゲージ圧力あつりょく0.05MPa以下いかで、かつ、内径ないけいが25mm以上いじょうのU形かたち立りつ管かんを蒸気じょうき部ぶに取とり付つけたもの
3. ゲージ圧力あつりょく0.1MPa以下いかの温水おんすいボイラーで、伝つて熱ねつ面積めんせきが8平方へいほうメートル以下いかのもの
4. ゲージ圧力あつりょく0.2MPa以下いかの温水おんすいボイラーで、伝つて熱ねつ面積めんせきが2平方へいほうメートル以下いかのもの
5. ゲージ圧力あつりょく1MPa以下いかで使用しようする貫流かんりゅうボイラー（管かん寄よせの内径ないけいが150mmを超こえる多た管かん式しきのものを除のぞく）で、伝つて熱ねつ面積めんせきが10平方へいほうメートル以下いかのもの（気き水すい分離ぶんり器きを有ゆうするものにあっては、当該とうがい気き水すい分離ぶんり器きの内径ないけいが300mm以下いかで、かつ、その内容ないよう積せきが0.07立方りっぽうメートル以下いかのものに限かぎる。）

「ボイラー」

簡易かんいボイラー、小型こがたボイラーのいずれにも該当がいとうしない大型おおがたのボイラーを、日本にっぽんの法律ほうりつでは（修飾しゅうしょく語ごの無ない）「ボイラー」と呼よんでいる。

なお、ボイラーのうち労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせい法ほう施行しこう令れい第だい20条じょう第だい5号ごうにおいて「次つぎに掲かかげるボイラー」として定さだめられているもの。取扱とりあつかうための資格しかくなどの関係かんけいから、整理せいり上じょう、次つぎに該当がいとうするもの（小型こがたボイラー及および簡易かんいボイラーに該当がいとうするものを除のぞく）は通称つうしょうとして「小規模しょうきぼボイラー」と呼よばれている（法令ほうれい上じょうの名称めいしょうではない）。

1. 胴どうの内径ないけいが750mm以下いかで、かつ、その長ながさが1300mm以下いかの蒸気じょうきボイラー
2. 伝つて熱ねつ面積めんせきが3平方へいほうメートル以下いかの蒸気じょうきボイラー
3. 伝つて熱ねつ面積めんせきが14平方へいほうメートル以下いかの温水おんすいボイラー
4. 伝つて熱ねつ面積めんせきが30平方へいほうメートル以下いかの貫流かんりゅうボイラー（気き水すい分離ぶんり器きを有ゆうするものにあっては、当該とうがい気き水すい分離ぶんり器きの内径ないけいが400mm以下いかで、かつ、その内容ないよう積せきが0.4立方りっぽうメートル以下いかのものに限かぎる。）

日本にっぽんにおける法的ほうてき規制きせい

労働ろうどう基準きじゅん法ほう関係かんけい

ボイラーの取扱とりあつかいの業務ぎょうむ、溶接ようせつの業務ぎょうむについては、労働ろうどう基準きじゅん法ほう第だい62条じょう、年少ねんしょう者しゃ労働ろうどう基準きじゅん規則きそく第だい8条じょうにより18歳さい未満みまんの者ものを従事じゅうじさせることができない。同様どうように労働ろうどう基準きじゅん法ほう第だい64条じょうの3、女性じょせい労働ろうどう基準きじゅん規則きそく第だい2条じょうにより妊娠にんしん中なかの女性じょせいを従事じゅうじさせることができず、出産しゅっさん後こう1年ねんを経過けいかしない女性じょせいがこの業務ぎょうむに従事じゅうじしない旨むねを申もうし出でた場合ばあいも従事じゅうじさせることができない。

労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせい法ほう関係かんけい

労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせい法ほうに基もとづくボイラー及および圧力あつりょく容器ようき安全あんぜん規則きそくにより、設置せっち・定期ていき検査けんさ・取扱とりあつかいが規制きせいされている。

一定いってい以上いじょうの伝つて熱ねつ面積めんせき・最高さいこう圧力あつりょくのものの取扱とりあつかい・保安ほあん監督かんとくは、ボイラー技士ぎし免許めんきょ所持しょじ者しゃ・ボイラー取扱とりあつかい技能ぎのう講習こうしゅう修了しゅうりょう者しゃ・ボイラー取扱とりあつかい業務ぎょうむ特別とくべつ教育きょういく修了しゅうりょう者しゃが行おこなうこととなっている。また、整備せいびはボイラー整備せいび士しが行おこなうこととなっている。

また、発電はつでん所しょに設置せっちされるボイラーは電気でんき事業じぎょう法ほうに基もとづき技術ぎじゅつ基準きじゅん・設置せっち認可にんか・使用しよう前ぜん検査けんさ・定期ていき検査けんさなどが定さだめられており、また、保安ほあん責任せきにん者しゃとしてボイラー・タービン主任しゅにん技術ぎじゅつ者しゃを選任せんにんすることとなっている。

旧きゅう国鉄こくてつで蒸気じょうき機関きかん車しゃが現役げんえき（定期ていき列車れっしゃ）として使用しようされていた時代じだいは、国鉄こくてつの内規ないきによる資格しかく者しゃ育成いくせいやボイラー検査けんさが行おこなわれていたが、現在げんざいのJRや私鉄してつでイベント用ようとして運転うんてんされる蒸気じょうき機関きかん車しゃでは、機関きかん士しに対たいする上記じょうきボイラー技士ぎし免許めんきょの取得しゅとく勧奨かんしょうや、法ほうに基もとづく定期ていき検査けんさが行おこなわれている。

• 
  兵庫ひょうご県けん高砂たかさご市しにある梅うめヶ枝えだ湯ゆ（銭湯せんとう）のボイラー（銭湯せんとう用ようのボイラーは密閉みっぺい構造こうぞうでないため安全あんぜん規則きそくは適用てきようされない）

関連かんれん項目こうもく

理論りろん・構造こうぞう・取扱とりあつかい

• ボイラーの爆発ばくはつ
• 蒸気じょうき機関きかん
• 蒸気じょうきタービン
• 燃焼ねんしょう管理かんり
• 空そら焚たき
• 埋うめ火ひ
• 熱ねつ媒体ばいたい
• ポンプ
• シーケンス制御せいぎょ
• 蒸気じょうき機関きかん車しゃ
  • 蒸気じょうき機関きかん車しゃの構成こうせい要素ようそ
• 給湯きゅうとう器き
• ソーダ回収かいしゅうボイラー
• 原子げんし炉ろ圧力あつりょく容器ようき

資格しかく

• ボイラー取扱とりあつかい者しゃ
• ボイラー技士ぎし
• ボイラー溶接ようせつ士し
• ボイラー整備せいび士し
• ボイラー取扱とりあつかい作業さぎょう主任しゅにん者しゃ
• ボイラー・タービン主任しゅにん技術ぎじゅつ者しゃ
• 第だい一種圧力容器取扱作業主任者

その他た

• ボイラープレート - 原義げんぎはボイラーを製作せいさくするための圧延あつえん鋼板こうはんだが、様々さまざまな意味いみに派生はせいした。
• 火夫かふ
• ボイラー・メーカー - カクテルの一種いっしゅ

外部がいぶリンク

• （一いち社しゃ）日本にっぽんボイラ協会きょうかい
• （公社こうしゃ）ボイラ・クレーン安全あんぜん協会きょうかい
• （一いち社しゃ）日本にっぽんボイラ整備せいび据付すえつけ協会きょうかい