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ダクト

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天井てんじょうのない状態じょうたいでの空調くうちょうダクト

ダクトとは、気体きたいはこかんであり、おも建築けんちくぶつうち空調くうちょう換気かんき排煙はいえん目的もくてき設備せつびされる。エアダクトふう導管どうかん通風つうふうかんとも。ここでは建築けんちく設備せつびもちいられるものについて説明せつめいする。

概要がいよう[編集へんしゅう]

鉄板てっぱんせい矩形くけい部材ぶざいわせ、空調くうちょう機械きかいから居室きょしつなどへの空気くうきながどうとするもの。空気くうき調和ちょうわ設備せつび換気かんき設備せつび排煙はいえん設備せつびなどにもちいる建築けんちく設備せつびのひとつである。

形状けいじょうかくダクトと矩形くけい以外いがいにもえんかたち楕円だえんかたちがあり、送風そうふうあつりょくによって空気くうきながれるため、所定しょていふうりょう確保かくほするためには一定いっていだん面積めんせき必要ひつようである。極端きょくたんながくてほそいとふうりょうり、えない・あたたまらないの苦情くじょう原因げんいんとなる。

まるダクトと円形えんけいのものにはスパイラル[よう曖昧あいまい回避かいひ]ダクトや楕円だえんオーバルダクトがある。これらはスパイラルふう導管どうかんやオーバルふう導管どうかん呼称こしょうされることはすくなく、スパイラルダクトあるいはたんにスパイラルとばれる。

材質ざいしつ[編集へんしゅう]

亜鉛あえんめっき鉄板てっぱん
ガルバリウム鋼板こうはん

すみダクトやまるダクトは建築けんちく設計せっけいから施工しこうもとづいて製作せいさくおこなわれ、現場げんばわされて完成かんせいする。

などが使用しようされる。亜鉛あえんめっき鉄板てっぱんはダクトのしゅ用材ようざいであるが、ぼうさびめんでは最適さいてきとはいえず、みずじょう周辺しゅうへんではガルバリウムが使つかわれることもおおい。ぼうさびではステンレスが最適さいてきだが、素材そざい価格かかくたかいため使つかいづらくなってしまっている。ガルバリウムはてつははざいであることから最適さいてきとはいいがたい。医療いりょう現場げんばなどのクリーンルームではしお被覆ひふく鋼板こうはんもちいられることもある。

  • スーパーダイマ[1]亜鉛あえん85.8%、アルミニウム11%、マグネシウム3%、珪素けいそ0.2%の合金ごうきんめっき)
  • ZAM[2]亜鉛あえん91%、アルミニウム6%、マグネシウム3%の合金ごうきんめっき)
  • アルシート[3](アルミニウム、すず合金ごうきんめっき)

など。

いたあつ[編集へんしゅう]

鉄板てっぱんいたあつはダクトのおおきさにより変化へんかし、一般いっぱんダクトの場合ばあい0.5mm、0.6mm、0.8mm、1.0mm、1.2mmである。排煙はいえんようのダクトでは使用しよう空気圧くうきあつなどの関係かんけいから、おおむいち番手ばんてアップのいたあつ使用しようされる。また、とく強度きょうど出火しゅっか対策たいさくもとめられる区画くかくかべ貫通かんつうなど)においては、1.6mmの厚手あつで鋼板こうはん使用しようされることがある。1.6mmとなるとダクト製造せいぞういたいた接続せつぞくはぜもちいず、溶接ようせつにより接合せつごうされることがある。1.6mmのはぜ存在そんざいする。この場合ばあい三井みついはぜが一般いっぱんてきである。

接合せつごう[編集へんしゅう]

はぜの断面だんめんしき

すみダクトの部材ぶざいてはボタンパンチはぜによるのが主流しゅりゅうである。

製造せいぞう効率こうりつ良好りょうこうなため、なに指定していがなければボタンパンチはぜ(Button Punch Snap Lock)で製作せいさくされる。ただ、より強度きょうどもとめられるダクトにおいては、三井みついはぜ(ピッツバーグはぜ:Pittsburgh Lock)が指定していされることもある。なお、はぜの接合せつごう角度かくどきゅうになるダクトなどでは、指定していがなくとも三井みついはぜで製作せいさくされる。また、せいこうボックスの器具きぐ部分ぶぶんなど、内部ないぶにはぜのでっぱりがあるとこま場合ばあい三井みついはぜをもちいることもあるが、最近さいきんではスポット溶接ようせつでの製作せいさくがほとんどである。

接続せつぞく[編集へんしゅう]

ダクト同士どうし接続せつぞくは、ダクトはしにフランジ加工かこうをしてつなぐのが一般いっぱんてきであり、おもつぎふたつの方法ほうほう採用さいようされる。

きょういたフランジ接続せつぞくきょういた工法こうほう
すみダクトのはしそとおりにめくりげてフランジとし、四隅よすみけた部分ぶぶんにコーナーピースとばれる部材ぶざいいたあつは1.2mmまたは1.6mm)をけ、現場げんばでコーナーピース同士どうしボルトナット接続せつぞくする方法ほうほうである。「コーナーボルト工法こうほう」「TDC[4]」や「TFD」と通称つうしょうされる。ボルト・ナット固定こてい四隅よすみのみで、四隅よすみ以外いがいあたり部分ぶぶんはダクトクリップ(いたあつは1.0mm程度ていど)という金具かなぐ密着みっちゃくさせる。
コーナーピースとクリップ
アングルフランジ接続せつぞく(フランジ工法こうほう
てつやステンレスなどのアングルこう製作せいさくしたフランジを、ダクトのりょうはしリベットまたはスポット溶接ようせつなどでけ、現場げんばでそのフランジ同士どうしをボルト・ナットで固定こていしてつなぐ方法ほうほうである。たんに「フランジ」「FG」と通称つうしょうされる。一般いっぱんにボルトあな間隔かんかくは100mmであり、口径こうけいおおきなダクトではボルト・ナットのかずおおくなる。

近年きんねんはダクト製造せいぞう現場げんば作業さぎょう手数てかずがより効率こうりつてききょういた工法こうほう主流しゅりゅうであるが、排煙はいえんダクトなどの強度きょうど必要ひつようなダクトの場合ばあいはフランジ工法こうほう使用しようされることがある。また、まるダクトにもフランジがもちいられることがあり、その場合ばあい接続せつぞくさいしてあなわせが不要ふようになるように、フランジがまわるようにされた「ルーズ仕様しよう」がおおもちいられる。

なお接続せつぞくめんからの空気くうきれをふせぐため、片面かためん粘着ねんちゃくシートを貼付ちょうふしたはば10mm、あつみ5mm程度ていどクロロプレンフォームブチルゴムガスケット使用しようしてふうとめする。

補強ほきょう[編集へんしゅう]

たてダクトにれられた補強ほきょうダイヤ

内部ないぶ通過つうかする空気くうきながれによってダクトの鉄板てっぱん振動しんどうこしたり、過大かだい圧力あつりょく変形へんけいしたりするのをふせぐため、必要ひつようおうじて補強ほきょうする。

補強ほきょうざい
  • 中間ちゅうかん補強ほきょう - フランジ形状けいじょうのアングルこうなどをながいダクトのなかあいだける。ダクトのながさが分割ぶんかつされたのと同等どうとうになる。
  • たて補強ほきょう - 内部ないぶひとれるほど大型おおがたのダクトでは、気流きりゅう方向ほうこうにもアングルこうなどをける場合ばあいがある。
  • タイロッド - ダクトのうちすん保持ほじするようにぼう(Tie Rod)をける。ただしタイロッドだけでは鉄板てっぱん振動しんどうおさえられない場合ばあいもある。
いた自体じたい加工かこう
  • リブ - はば10mmほどのひもじょう補強ほきょうリブ(Bead)を気流きりゅう直角ちょっかく間隔かんかく300mmでほどこす。
  • タイルリブ - 碁盤ごばんじょうにリブをほどこす。
  • Zリブ - 鉄板てっぱん間隔かんかく75mmほどで山谷さんやうすげをほどこす。
  • ダイヤ - ダイヤモンドブレーキ(CrossBrake)。鉄板てっぱん対角線たいかくせんうすげをほどこす。

これらはそれぞれ単独たんどく使つかわれるよりも様々さまざまわされることのほうおおい。またいた自体じたい加工かこう方法ほうほうによってはいたあついち番手ばんて以上いじょうげたのとおな効果こうかられる場合ばあいもあり、より軽量けいりょうできることもある。

その[編集へんしゅう]

すみまる
すみダクトとまるダクトは「かくまる」とばれる変換へんかんダクトで接続せつぞくすることができる。
まるダクト同士どうし接続せつぞくは、おもみによっておこなわれる。まれるがわを「メス」「せいすん」「スパイラルサイズ」「内径ないけい」などといい、がわを「オス」「ニップルサイズ」「そとみち」などという。
たわみ継手つぎて
機器ききから排気はいきさいに、機械きかい振動しんどう騒音そうおん本管ほんかんつたえない目的もくてきで、おもにアルミニウム、ステンレス、てつなどの材料ざいりょう蛇腹じゃばらじょう形成けいせいされたフレキシブルダクトがおおもちいられる。そしてぼう目的もくてきで、ナイロンターポリンやアルミはくりガラスクロスなどでつくられたキャンバス通称つうしょうされるたわみ使つかわれる。たわみ製作せいさく方法ほうほうはミシンいが主流しゅりゅうではあるが、屋外おくがいもうけられるようなたわみおもにナイロンターポリン)では、生地きじ同士どうし溶着ようちゃくする「ウェルダー加工かこう」もおおかけられる。なお、現場げんばでカシめる場合ばあいは、おびばんあわせて発注はっちゅうする場合ばあいおおい。
保温ほおんフレキ
ピアノせん不織布ふしょくふ樹脂じゅしフィルムでいたコアに、グラスウールきつけ、しおビやアルミ蒸着じょうちゃくフィルムで外装がいそうしたフレキシブルダクト。ぼう消音しょうおん保温ほおんせいすぐれているが円形えんけいおも矩形くけい商品しょうひんはほとんどない。接続せつぞくめバンドでおこない、フランジ接続せつぞくなどはられない。急激きゅうげきげるとだん面積めんせきたもてない。メーカーの商品しょうひんめいにより、風神ふうじん、サイレントフレックス、ニューホース、グラスダクト、ライドフレックス、クールフレックス、ニューホープなどとばれる。
内面ないめん材質ざいしつによる分類ぶんるいでは、
  • 不織布ふしょくふ(Gタイプ、Nタイプ) - 消音しょうおんよう保温ほおんよう
  • 樹脂じゅしフィルム(Sタイプ) - 保温ほおんようたい湿性しっせいがあるので浴室よくしつみずまわりなど
シャフト(Shaft)
建築けんちくむくろたいシャフトきゅう排気はいきチャンバーにする場合ばあいは、コンクリートのままのシャフトをダクトとする。コンクリートダクトとばれる。また天井てんじょううらをダクトとして利用りようする場合ばあいがあり、ここでは天井てんじょう内部ないぶ全体ぜんたいがチャンバーとなる。

付属ふぞくぶつ[編集へんしゅう]

ダンパ(Damper)
開放かいほう状態じょうたいのダンパ
ふうりょう調節ちょうせつようのボリュームダンパ(VD)、遠隔えんかく操作そうさようのモーターダンパ(MD)、逆流ぎゃくりゅう防止ぼうしようのチャッキダンパ(CD)などが必要ひつようおうじてダクトに挿入そうにゅうされる。ゆかかべなどの防火ぼうか区画くかくをダクトが貫通かんつうする場合ばあい延焼えんしょう防止ぼうしあつ空気くうき噴出ふんしゅつふせため防火ぼうかダンパ(FD)がれられる。防火ぼうかダンパには、各個かっこ設定せっていされた溶融ようゆうヒューズけられており、設定せってい温度おんどえた空気くうき通過つうかするとヒューズがけてダンパが作動さどう通気つうき遮断しゃだんする。厨房ちゅうぼう排気はいき外部がいぶるところもおなじであるが、この場合ばあい換気扇かんきせんシャッターで代用だいようすることもある。
せいこう
ダクトの室内しつないがわまつはしけられる装置そうちで、おおきくけて吸込すいこめこう吹出ふきでこうがあり、さらにはねかた、シャッターやフィルターの有無うむなどにより、様々さまざま種類しゅるい分類ぶんるいされる。
  • 吹出ふきでこう - Hがたはね水平すいへいのタイプ)、Vがたはね垂直すいちょくのタイプ)、HVがたまえはね水平すいへいおく垂直すいちょく)、VHがたまえはね垂直すいちょくおく水平すいへい
  • 吸込すいこめこう - GHがたはね水平すいへいのタイプ)、GVがたはね垂直すいちょくのタイプ)
  • シャッター吹出ふきでこう - HSがた、VSがた、HVSがた、VHSがた
  • シャッター吸込すいこめこう - GHSがた、GVSがた
  • フィルタ吹出ふきでこう - H/Fがた、V/Fがた、HV/Fがた、VH/Fがた、HS/Fがた、VS/Fがた、HVS/Fがた、VHS/Fがた
  • フィルタ吸込すいこめこう - GH/Fがた、GV/Fがた、GHS/Fがた、GVS/Fがた
  • せんじょう吹出ふきでこう - ラインがた細長ほそなが長方形ちょうほうけい)の吹出ふきでこう
  • せんじょう吸込すいこめこう - ラインがた細長ほそなが長方形ちょうほうけい)の吸込すいこめこう
  • シーリングディフューザ - コーンがた円盤えんばんとうどうしんえんじょうかさわせたかたち吹出ふきでこう開発かいはつメーカーめいから「アネモ」とばれることもある。
ていふうりょう装置そうち(CAV)
装置そうち内部ないぶはね自動じどう開閉かいへいすることで、ダクトから室内しつないかぜりょう一定いってい調整ちょうせいする装置そうちである。
可変かへんふうりょう装置そうち(VAV)
室内しつない温度おんどとうおうじて、装置そうち内部ないぶはね自動じどう開閉かいへいすることで、ダクトから室内しつない供給きょうきゅうする冷気れいき暖気だんきとうふうりょう可変かへん調整ちょうせいする装置そうちである。

用途ようとべつ区分くぶん[編集へんしゅう]

空調くうちょう(SA,RA)[編集へんしゅう]

アネモ(Anemostat)[5] - 天井てんじょうから空気くうき場合ばあいこのような器具きぐからかぜてくる

冷風れいふうあるいは温風おんぷうながれるもの(きゅうSA)や、部屋へやより空調くうちょうへのかえり(かえRA)に使つかわれるもの。きゅう場合ばあい保温ほおん断熱だんねつされることがおおい。精密せいみつ部品ぶひん工場こうじょう食品しょくひん関係かんけいクリーンルームや、病院びょういん手術しゅじゅつしつなどの清浄せいじょう維持いじにも空気くうきえが必須ひっすであるので、一定いっていきゅう排気はいき必要ひつようである。

省略しょうりゃく記号きごうのSAは Supply Air、RAは Return Air頭文字かしらもじである。

排気はいき(EA)[編集へんしゅう]

一般いっぱん排気はいき(EA)や厨房ちゅうぼう排気はいきかれる。断熱だんねつされることはまれである。有機ゆうき溶剤ようざい局所きょくしょ排気はいき臭気しゅうき必要ひつようのない高温こうおん低温ていおん空気くうき排出はいしゅつすることもある。実験じっけん設備せつび放射線ほうしゃせん設備せつび排気はいきは、フィルター処理しょりしてから排気はいきされる。また、厨房ちゅうぼう排気はいき延焼えんしょう防止ぼうし油分ゆぶんのダクト内部ないぶへの付着ふちゃく防止ぼうしのため油分ゆぶん分離ぶんり装置そうち(グリスフィルターなど)をけることがおおい。蒸気じょうき分離ぶんり必要ひつよう場合ばあいもある。

省略しょうりゃく記号きごうのEAは Exhaust Air頭文字かしらもじである。

外気がいき(OA)[編集へんしゅう]

建物たてもの外部がいぶよりれるもの。かく部屋へや直接ちょくせつんだり、空調くうちょう混合こんごうしてSOAとしておくられる。昆虫こんちゅうとりまないように、目的もくてきおうじたメッシュ金網かなあみ必要ひつよう排気はいき(EA)に見合みあったりょうれないとドアがけづらいなどの状態じょうたいとなる。

省略しょうりゃく記号きごうのOAは Outdoor Air,Outside Air,Open Air などの頭文字かしらもじである。

排煙はいえん(SEAまたはSM)[編集へんしゅう]

火災かさい発生はっせい発生はっせいけむり外部がいぶ放出ほうしゅつするために利用りようされるもの。延焼えんしょう防止ぼうし目的もくてき断熱だんねつされることがおおい。通過つうか風速ふうそく高速こうそくで、せいあつこうあつとなるのでいたあつげるなど補強ほきょうめん注意ちゅうい必要ひつようとなる。

省略しょうりゃく記号きごうのSEAは Smoke Exhaust Air、SMは SMoke頭文字かしらもじである。

建設けんせつぎょうとしての位置いち[編集へんしゅう]

設備せつび工事こうじとしてのダクト設置せっち工事こうじは、建設けんせつぎょうのうちのかん工事こうじぎょう分類ぶんるいされる。工事こうじ例示れいじとしてダクト工事こうじ記載きさいされる。法律ほうりつじょうふう導管どうかんという言葉ことばはほとんどてこない。ぎょうとしていとなむには建設けんせつぎょう許可きょか必要ひつようである。この場合ばあい現場げんば営業えいぎょうしょ主任しゅにん技術ぎじゅつしゃになれるのは、かん工事こうじ施工しこう管理かんり技士ぎし実務じつむ経験けいけんしゃ(10ねん以上いじょう)などである。板金ばんきん工事こうじ技能ぎのうかん工事こうじぎょう主任しゅにん技術ぎじゅつしゃになれなかったが、平成へいせい27ねん4がつ1にちよりダクト板金ばんきん技能ぎのう主任しゅにん技術ぎじゅつしゃとなれることとなった。

歴史れきし[編集へんしゅう]

明治めいじ日本にっぽん冷暖房れいだんぼうはいってきたころに、アメリカよりダクトが導入どうにゅうされた。 当初とうしょ板金ばんきん工事こうじ(ブリキなど)の職人しょくにん従事じゅうじしていたので、技能ぎのう系統けいとうとしては板金ばんきん作業さぎょうになっているが、流体りゅうたい力学りきがくてきにも配管はいかん工事こうじちか業務ぎょうむである。

このころぼくつぼぼくゆびおりじゃくもちいた手作業てさぎょうによる部材ぶざい展開てんかい、「まとも」と大型おおがたはさみによるり、手折たおりのほんはぜによるて、リベットをハンマーでかしめたフランジ接続せつぞくで、現場げんばでの製作せいさく基本きほんであった。

昭和しょうわはいってピッツバーグはぜが導入どうにゅうされると作業さぎょうせいわずかに改善かいぜんされたが、はぜは手折たおりだったためいまだに板金ばんきん作業さぎょうわるところがかった。

昭和しょうわ40年代ねんだいはいってロール成形せいけい必要ひつようとするボタンパンチはぜが導入どうにゅうされると機械きかいすすはじめ、現場げんば製作せいさくをやめて工場こうじょう製作せいさく主流しゅりゅうとなっていった。

昭和しょうわ60ねん1985ねんごろ自動じどうプラズマ切断せつだんきょういた工法こうほうがアメリカより導入どうにゅうされて機械きかいなみ一気いっきひろまり、日本にっぽん国内こくないにおいてもダクト先進せんしん地域ちいきであるアメリカ、ヨーロッパなみ生産せいさんせい向上こうじょうした。

平成へいせい20ねんごろから輸送ゆそうちゅう体積たいせきらすために、はん完成かんせいひんたたんで出荷しゅっかして現場げんばてるなどの工夫くふう一部いちぶられる。しかし工場こうじょう完成かんせいひんとして製作せいさく出荷しゅっかして現場げんばけるのがなお一般いっぱんてきである。

ダクトの種類しゅるい[編集へんしゅう]

まっすぐのもの、まがったもの、とそれらのわせであり、現場げんば要求ようきゅうにしたがって様々さまざま形状けいじょう寸法すんぽうになる。

矩形くけいかくダクト)[編集へんしゅう]

すみダクトのちょくかんにドンけでつながるエルボとSカーブ
ちょくかん
おなじサイズで、ただまっすぐのダクト。じょうじゃく鉄板てっぱんからそのままれるものはていしゃくダクトとぶ。鉄板てっぱん素材そざいコイルはばが6フィート(1828mm)を標準ひょうじゅんとしているため、すみダクトの接続せつぞくめんあいだながさはきょういた工法こうほう場合ばあい1740mm、フランジ工法こうほう場合ばあい1815mmが標準ひょうじゅんである。部材ぶざい接合せつごうようのはぜを4箇所かしょもちいる4まいりのほかに、Lのがたげて2箇所かしょませたり、1まいいたげて1箇所かしょませるファブリとかたもある。
エルボ(elbow)
まがったダクト。角度かくどは90標準ひょうじゅんであるが、任意にんい度数どすうまでなんでも製作せいさく可能かのう。カーブしながら変形へんけいしたり、ねじれをくわえたりもできるが、だん面積めんせきすくなくなると抵抗ていこうす。内側うちがわアールの円弧えんこ中心ちゅうしんから接続せつぞくめん中心ちゅうしんまでが、そのダクトのはばサイズとひとしい場合ばあいを1アールとび(用語ようごてきにはまるダクトの用語ようごであり、すみダクトの場合ばあい通常つうじょうは、うちRを指定していして製作せいさく依頼いらいする必要ひつようがある)、そのエルボのうちアールの標準ひょうじゅんとしている。標準ひょうじゅん以下いかになる場合ばあい内部ないぶにガイドベーンをけて、圧力あつりょく損失そんしつ抵抗ていこうえないようにする必要ひつようがある。また、うちRによっては製作せいさくができない場合ばあいもあり、この場合ばあいは「内角ないかく」や「テーパー」などで対応たいおうする。また、建物たてもの壁面へきめん沿ってのぼってゆくたてかんなどでは、135°エルボの一体いったいぶつ製作せいさく無論むろん、90°と45°のわせも可能かのう)し、最後さいごあみえるかたちおおい。
ホッパー(hopper)
くち出口でぐちのサイズがちがうダクト。普通ふつうめんあいだ平行へいこうだが、角度かくどやねじれのついたものも製作せいさく可能かのう有効ゆうこう寸法すんぽうれていないと騒音そうおんもととなる。拡大かくだい縮小しゅくしょう角度かくど仕様しようしょにより指定していされるが15から30普通ふつうである。
Sカーブ(Sかんとも)
めんあいだ平行へいこうのままれたり上下じょうげするダクト。Sのじょう拡大かくだい縮小しゅくしょうねる場合ばあいもある。
分岐ぶんきかん
二股ふたまたまたなど接続せつぞくこうが3つ以上いじょうあるダクト。分岐ぶんき集合しゅうごうもちいる。最近さいきんではドンけ、ちょくけといって本管ほんかん開口かいこうして接続せつぞくする場合ばあいがほとんどである。分岐ぶんきかんとして製作せいさくする場合ばあいは、「ダキ」ともばれ、2つの分岐ぶんき場合ばあいおおいが、3分岐ぶんきでの製作せいさくももちろん可能かのうである。
フード(hood)
厨房ちゅうぼううちにおいて、火気かき使用しようする調理ちょうり器具きぐなどの上部じょうぶ設置せっちされ、調理ちょうり排気はいき効率こうりつてき捕捉ほそくするためにつけられる下部かぶ開放かいほうされたはこ。[はこがた]、[やまがた]や美観びかん性能せいのうそなえた[じゅう]などのかたちがある。下部かぶにはあぶらけとなるかえしがいている場合ばあいがほとんどであり、そのあぶらけにあぶらきのためのドレンコックが設置せっちされる場合ばあいもある。排気はいき側面そくめんまたは上面うわつらからされることがおおい。また、フライヤーうえ設置せっちして油煙ゆえん排気はいきする場合ばあいは、バッフルばんなどがそなえられたグリスフィルターの設置せっち義務付ぎむづけられており、そこを通過つうかした油煙ゆえんはフィルターを構成こうせいするステンレス鋼板こうはん衝突しょうとつして通過つうかするあいだ油分ゆぶんられオイルカップに排出はいしゅつされるため、ダクトないへの油分ゆぶん侵入しんにゅうふせいでいる。また、火災かさい防止ぼうし観点かんてんから、FS[ファイアーシャッター]や、フードからの排気はいきダクトにFD[ファイアーダンパー]がそなえられる。指定してい温度おんど以上いじょうになるとシャッターや羽根はね閉止へいしされて、高温こうおん空気くうきがダクトにながれて延焼えんしょうするのをふせぐ。ぎゃくに、しょくあらいやコンベクションのうえ設置せっちするフードには、基本きほんてき油分ゆぶんふくまれないことから、FSのみでグリスフィルターをもうけない場合ばあいおおい。材質ざいしつ亜鉛あえんめっき鉄板てっぱんやステンレス鋼板こうはん(SUS)がおおいが、国土こくど交通省こうつうしょう仕様しようしょでは「1mm以上いじょうのSUSにかぎる」となっている、亜鉛あえんめっき鉄板てっぱんつくるとさび食品しょくひんちる可能かのうせいがあるのでステンレス鋼板こうはんつくるのが基本きほん。SUS304での指定していおおいが、ぼうさびりょくおとるSUS430での製作せいさく近年きんねんしてきている。また、美観びかんからBA[ビーエー]などの光沢こうたくのある表面ひょうめん仕上しあのステンレス鋼板こうはん使用しようする場合ばあいおおいが、近年きんねん、No.4[ナンバーフォー]などの、多少たしょうくすみがかった仕様しようおおくなってきている。また高級こうきゅうてんなどでは、連続れんぞくした研磨けんまととのって見栄みばえも良好りょうこうなHL[ヘアーライン]の指定していおおい。
チャンバー(chamber)
気流きりゅう分岐ぶんき合流ごうりゅう必要ひつよう場所ばしょに、複数ふくすうのダクトをみ、おおきなサイズのボックスをけることがある。このボックスをチャンバーとぶ。用途ようとによってこんチャンバーなどと呼称こしょうされることもある。空調くうちょうがわおおきなはこつくり、風速ふうそく一定いっていにしたりするためにつくられるものきゅうチャンバー、かえってきた空気くうき一定いってい風速ふうそくせいあつむためのものかえチャンバーとして空調くうちょう隣接りんせつさせることもある。
すみまる(かくまる)
一方いっぽうくち円形えんけいで、他方たほうくち矩形くけいのもの。まるダクトとかくダクトの接続せつぞくもちいる。
すみダクトのちょくかん末端まったんじる閉止へいしばん(メクラばん
閉止へいしばん[6](フサギ、メクラとも)
配管はいかんされたダクトの末端まったん閉鎖へいさするときにもちいる鉄板てっぱん将来しょうらいのリニューアル工事こうじなどでダクトを延長えんちょうできるように、すみダクトの接続せつぞくめんのこしてぶたをする。
  • きょういた工法こうほう - 鉄板てっぱんの4へんを10mmげ、がっためん外側そとがわにして4すみをボルトでめ、そのげにダクトクリップをかける。
  • フランジ工法こうほう - ダクトのフランジとおなじサイズのフラットバー鉄板てっぱんけて、ボルトでめてける。
高速こうそくダクトとうには必要ひつようおうじてリブ補強ほきょうやアングル補強ほきょうれることもある。
きょういた・フランジどもに、ながさ50mmほどの閉塞へいそくしたぶたつくって実質じっしつてき閉止へいしばんとすることもある。ぞく弁当べんとうばこわれる形状けいじょうとなる。

円形えんけいまるダクト)[編集へんしゅう]

ちょくかん
ていしゃく4mのスパイラルかん標準ひょうじゅん使つかわれる。鉄板てっぱんまるめたシームかんあり)を使用しようする場合ばあいもあるが、この場合ばあいは1m間隔かんかく溶接ようせつおこなう。
エルボ
標準ひょうじゅん角度かくどが90と45がりかん。およそ直径ちょっけい200mm以下いかでは、プレス成形せいけいした2まい鉄板てっぱん気流きりゅう方向ほうこう接合はぎあわしたもの、それ以上いじょうでは気流きりゅう直角ちょっかく方向ほうこうに90で4分割ぶんかつだい口径こうけいは5分割ぶんかつ)、45で3分割ぶんかつしてはぜや溶接ようせつ接合はぎあわしたセクションエルボとする。必要ひつようがあれば30や60といった任意にんい角度かくどでも製作せいさくできる。
レジューサー(reducer)
くち出口でぐちのサイズがちがうもの。普通ふつうめんあいだ平行へいこうしん々)だが、角度かくどのついたものや、片側かたがわたいらにしたもの製作せいさく可能かのう通常つうじょうはホッパー(テーパー)で徐々じょじょしぼっていくが、エンドキャップ(閉止へいしカラー)に変換へんかんする口径こうけい開口かいこうし、カラーをけた「ドンけレジューサー」などとばれる製作せいさく可能かのうである。だが、ドンけレジューサーは、口径こうけい変換へんかんさいふうき、騒音そうおん原因げんいんにもなりる。
カラー(collar)
定着ていちゃくカラーとも。おもかくダクトやチャンバーからまるダクトをすときに使用しようされる。まるダクトからとき使つかわれる、しの根元ねもとされるがわみちわせたカーブをけたものは、ピンキーとばれる。また、カラーニップルとばれる継手つぎて存在そんざいし、これは、定着ていちゃくカラーにリブ(ヒモ)をれたかたちになり、おも保温ほおんフレキなどをけるさい使用しようする。
ニップル(nipple)
まるダクト同士どうしみによってつな継手つぎて。スパイラルサイズ(せいすん)よりも3mmほどちいさくつくられ、スパイラルかん同士どうし接続せつぞくする。通常つうじょうは、ストッパーとして外側そとがわにヒモ(リブ)がけられる。継手つぎて同士どうし接続せつぞくするなどの目的もくてきせいすん製作せいさくすることもあり、この場合ばあい内側うちがわにヒモをれることもある。
分岐ぶんきかん(Tかん、Yかん、TYかんなど)
まるダクトを分岐ぶんきする種類しゅるいみきとなるまっすぐな方向ほうこうたいし、えだ角度かくどによって名称めいしょうことなる。
  • Tかん - みきからえだが90るもの。チーズともばれる。
  • Yかん・トかん - みきからえだが45るもの。
  • TYかんとう - Yかんえだが45で、そこからふたたがり最終さいしゅうてきに90がりとなるもの。分岐ぶんき角度かくど指定していができパチンコY(フタマタY)かんや、二又ふたまた分岐ぶんきしたのちに45°がえしによって、結局けっきょく主管しゅかんより90°で分岐ぶんきまたTYなども製作せいさくできる。また特殊とくしゅなTかんとして。主管しゅかんよりもえだかんみちおおきいWTW(WRTやTかんWとも)かん(Y分岐ぶんき場合ばあいはフタマタRYなど)も製作せいさく可能かのうである。
  • RTまき・RYまき - 主管しゅかんをレジューサーとしてみち収縮しゅうしゅくさせ、分岐ぶんきへの通気つうきうながすもの。
閉止へいしカラー[6](フサギ、メクラとも)
配管はいかんされたダクトの末端まったん閉鎖へいさするときにもちいるカラー。将来しょうらいのリニューアル工事こうじなどではずして延長えんちょうできる。たてはしかんではメクラカラーにみずきのソケットなどをけることもある。発注はっちゅう受注じゅちゅうさいは、ニップルサイズかスパイラルサイズかの確認かくにん必要ひつようである。また、清掃せいそうこうとしてはずしができるように、けることも可能かのうである。発注はっちゅうさいには雨水あまみず流入りゅうにゅうなども加味かみして、本管ほんかんがわ、メクラがわ、どちらをせいすんにするか注意ちゅうい必要ひつようである。一体いったいがたとしてTかんやYかん主管しゅかん片端かたはしじたMTかんかたメクラTかん)なども存在そんざいする。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ スーパーダイマはしん日本にっぽん製鐵せいてつこう耐食性たいしょくせいめっき鋼板こうはん商品しょうひんめいである。
  2. ^ ZAMは日新製鋼にっしんせいこう株式会社かぶしきがいしゃこうたいしょく溶融ようゆうめっき鋼板こうはん商品しょうひんめいである。
  3. ^ アルシートはしん日本にっぽん製鐵せいてつ株式會社かぶしきがいしゃこう耐食性たいしょくせいめっき鋼板こうはん商品しょうひんめいである。アルミニウムめっき鋼板こうはんは1939ねんアメリカのアームコしゃによって製造せいぞうほう開発かいはつされた。
  4. ^ TDCはきょういた工法こうほうひとつ、アメリカのロックフォーマーしゃLOCKFORMER)の製品せいひんめいである。
  5. ^ AnemostatはMESTEK,INC.の登録とうろく商標しょうひょうである。
  6. ^ a b 業界ぎょうかいないではメクラの呼称こしょう標準ひょうじゅんてき使つかわれるが、差別さべつ用語ようご発音はつおんおなじなので項目こうもくめいとしては閉止へいしばん閉止へいしカラーとした。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 全国ぜんこくダクト工業こうぎょう団体だんたい連合れんごうかい 「ダクト教本きょうほん」。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]