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かん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
プラスチックの配管はいかん部品ぶひん

かん(くだ、かん)とは、中空なかぞら細長ほそなが構造こうぞうである。チューブえい: tube)ともう。自然しぜんかいでは生物せいぶつ様々さまざまなものがられ、人工じんこうぶつでは金属きんぞくガラスゴムプラスチックコンクリートなどによってつくられ、利用りようされる。

概要がいよう

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かんは、細長ほそながかたちで、外側そとがわがある程度ていどかたい、もしくは弾性だんせいのある素材そざいつくられており、内部ないぶ空洞くうどうがあり、それがすくなくとも一方いっぽうそとくちひらいているものをす。みじかくてかたいものはつつ細長ほそながくてやわらかいものはホースながくてかたいものはパイプということもある。チューブは英語えいご tube片仮名かたかな表記ひょうきであるが、現在げんざい日本語にほんごではチューブというと特定とくてい形状けいじょう加工かこうされたタイヤ内部ないぶ部品ぶひんや、流動りゅうどうぶつよう容器ようきなどをも意味いみする。

なか空洞くうどうであるために、かるく、しかもちから比較的ひかくてき均一きんいつ分散ぶんさんする形状けいじょうのため丈夫じょうぶである。そのため、その形態けいたい維持いじする仕組しくみとしても機能きのうするが、内側うちがわ空洞くうどう部分ぶぶんにものをめ、あるいは流体りゅうたいながすのに使つかわれることおおい。

生物せいぶつにはこの構造こうぞうったものが多数たすうあり、そのおおくは微小びしょう見分みわけにくいが、目立めだつものはふるくから道具どうぐとして利用りようされた。たとえば竹筒たけづつワラほねなどがこれにたる。人工じんこうてきにこのような構造こうぞうつくるのは容易よういではないが、金属きんぞくやプラスチックなどの素材そざいや、その加工かこう技術ぎじゅつ発達はったつにより、現在げんざいでは様々さまざまなものがつくられ、利用りようされている。

性質せいしつ

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かんという構造こうぞうは、以下いかのような特徴とくちょうっている。

  • かるい。中空ちゅうくうであるためにちゅう構造こうぞうよりかるくなっている。
  • いちつづきの空洞くうどうつ。細長ほそなが容器ようきとして使つかえるほか、これをとおして流体りゅうたいらさずにはこぶことができる。とく液体えきたいたいしてはサイフォン原理げんり使つかえるのが利点りてんである。さらに、液体えきたいかんめると、一端いったんからくわえられた圧力あつりょくはしへとつたえることが出来できる。そのさいかんげれば任意にんい方向ほうこうつたえられる利点りてんがある(油圧ゆあつなど)。
  • 多数たすうならべた場合ばあいなか空気くうきそうつことになるので断熱だんねつ効果こうかもある。
  • かん断面だんめん円形えんけいであるか、それにちかい。円形えんけいだん面積めんせきたりのしゅうもっとちいさいから、同一どういつりょう素材そざいであれば、よりひろながかんつくれる。また、強度きょうどてきにもすぐれている。細長ほそながものてる場合ばあいおもものうえせる場合ばあいにはちゅうであるほうがよいが、そうでないなられにくくてかるいことは非常ひじょう有利ゆうりである。たけくきネギなどはこのれいである。
  • 多数たすうかんたばになった構造こうぞう上記じょうきのような特徴とくちょうっている。なお、多数たすうどういちみちかん平行へいこう配置はいちして、それらがたがいにけられた場合ばあい個々ここかんたがいに密着みっちゃくして往々おうおうにして六角形ろっかっけいになる。これはいわゆるハニカム構造こうぞうである。
  • かんはそのふとさがわらないようにつくると、その内部ないぶつたわるなみはその内側うちがわじこめられ、ひろがってゆけない。その結果けっかなみ拡散かくさんせず、よわまらずにとおくにつたわる。伝声管でんせいかん音波おんぱかんじこめることでとおくにつたえるものである。
  • 同様どうようかんはそのふとさがわらないようにつくると、その内部ないぶくわわる圧力あつりょくわらず均一きんいつつたえることができる。これを利用りようしてなか作動さどう充填じゅうてんして動作どうささせる油圧ゆあつ装置そうちつくられている。

生物せいぶつにおけるれい

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かんつくかた

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かんつくるには、様々さまざま方法ほうほうがある。はじめからかんかたちつくるのもあるが、なにかを変形へんけいすることもある。

  • 平面へいめん左右さゆうげ、そのりょうはし接着せっちゃくさせる。脊椎動物せきついどうぶつ神経しんけいかんはらちょうはいはい背面はいめんそと胚葉はいようがくぼみ、みぞとなったのち、その上側うわがわ左右さゆう融合ゆうごうしてかんとなる。カヤツリグサなどにられる円筒えんとうがたになったさやも、本来ほんらい平面へいめんであるものがいて、そのりょうはし癒合ゆごうしたものとられる。口吻こうふん吸血きゅうけつもちいられるかんは、上唇うわくちびる円筒えんとうじょういて形成けいせいされており、その外側そとがわだいあごしょうあごしも咽頭いんとうえられる。
  • 複数ふくすういたわせる。チョウ口吻こうふんえきうためのストローになっているが、これはといじょうになった細長ほそながしょうあごがい左右さゆうからわせることでつくられる。それにたいしてカメムシくちはり形成けいせいには、だいあごしょうあごの2つい要素ようそあずかっているが、実際じっさいかんになるのはやはりしょうあごほうで、2ほんみぞきざまれたしょうあごはりわさることで、内部ないぶ食物しょくもつ吸収きゅうしゅうよう唾液だえきおくす2ほんかん形成けいせいされる。
  • ほそぼう円周えんしゅうじょう配置はいちヒゲムシ触手しょくしゅおおいものには触手しょくしゅによるかんつくれいられる。また、微小びしょうかんときにこのかたち配列はいれつし、その内部ないぶ物質ぶっしつ輸送ゆそうおこなわれるれいがある。太陽たいようちゅう吸管ちゅう参照さんしょう
  • 円周えんしゅうかたち素材そざいげてゆく。ハチの微小びしょうかんとうはこれ。
  • 既存きそんなが構造こうぞう内部ないぶ空洞くうどうつくる。道管どうかん場合ばあい、まず細長ほそなが細胞さいぼうができ、その細胞さいぼうかべあつくなったのち細胞さいぼうんで細胞さいぼうしつがなくなり、りょうはし細胞さいぼうかべこわれてかんとなる。
  • うすいものをく。たとえばバナナなどのいわゆるにせくきさやかさねたようなものである。
  • 細長ほそながひも螺旋らせんじょういてく。タバコモザイクウイルスDNA蛋白質たんぱくしつひも螺旋らせんがった構造こうぞうをしている。たまきがた動物どうぶつのヒゲムシにはなが一本いっぽん触手しょくしゅち、これを螺旋らせんじょうにしてその内部ないぶ空洞くうどう消化しょうかおこなうとられるものがある。
  • 液体えきたいがその表面ひょうめん固体こたいする場合ばあい内部ないぶ液体えきたい部分ぶぶんがさらにながれると、次第しだい円筒えんとうがたかん形成けいせいされる。鍾乳洞しょうにゅうどうられるストローはこれにるいする。
  • 棒状ぼうじょう構造こうぞう外側そとがわ物質ぶっしつ固形こけいさせる。細長ほそながむしが、からだひょうから粘液ねんえきしてぼそつぶあつめて棲管をつくるのはこれにたる。チクワたけ魚肉ぎょにく製品せいひんきつけ、いてつくる。
  • めんなかをつまんでる、あるいはむことで細長ほそながつつつくる。動物どうぶつ発生はっせいにおけるはらちょう形成けいせいなど。
  • まずふとかんつくっておき、これをばしてながくてほそかんつくることもある。パスツールピペットのようなほそいガラスかんはこれでつくる。進化しんかてきには、タツノオトシゴクダヤガラくちばされたものとなせる。
  • ほそかんつくり、なか空気くうき圧力あつりょくをかけ、ばしながら、膨張ぼうちょうさせることでうすふとかんつくることもある。ポリぶくろはフイルムじょううすくしたポリエチレンなどの合成ごうせい樹脂じゅしかんしつぶして、そこねつ溶着ようちゃくさせることでつくられるが、うすかんのまま使つかれいもある。

かん補強ほきょう

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かんかたち強度きょうどてきすぐれたものではあるが、実際じっさいつよさは素材そざいやそのつく次第しだいでもある。内部ないぶ液体えきたいとおすもので、それほど圧力あつりょくのかからないものであれば、それほどつよさも必要ひつようなく、普通ふつうえき圧力あつりょくてそのかたちたもち、内圧ないあつがればつぶれる。

しかし、つねにあるふとさをたも必要ひつようがある場合ばあいもあり、その場合ばあいかんかべ補強ほきょうはいる。補強ほきょうにも様々さまざまれいがあるが、よくられるかたち繊維状せんいじょうのものをえんたまきにしたものをならべる、あるいは螺旋らせんにしてものをれるというのがある。道管どうかんには螺旋らせんじょうかべもんつものがあるが、人工じんこうてきなホースのそれによくている。

利用りよう

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かん利用りようするのには以下いかのような場合ばあいがある。

容器ようき
細長ほそなが容器ようきとして使つかう。必要ひつようおうじてけたりする。腸詰ちょうづケーシングもこの範疇はんちゅうはいる。
流体りゅうたい移動いどう
ホース、パイプ、たてといなど。必要ひつようおうじてわせ、あるいは分岐ぶんきさせることがでいる。
支柱しちゅう建材けんざい
かるくて丈夫じょうぶてん利用りようする。
細長ほそながもの保護ほご
電線でんせんなかおさめる電線でんせんかんなど。
楽器がっき
おとひびかせるのにかん利用りようされる。ながさをえることで音程おんてい調節ちょうせつできる。直接ちょくせつ楽器がっきとするのはいわゆる管楽器かんがっきであるが、パイプオルガンチューブラーベルドレミパイプもそうである。てつきんなどのように、楽器がっき本体ほんたいべつにあり、かん共鳴きょうめいかんとしてそなえるれいもある。

これらすべてにかかわるれいたけである。たけ非常ひじょう多様たよう利用りようがあるが、そのおおくにたけふしくか、とせばかんとなることが関係かんけいしている。

かんかかわる生物せいぶつめい

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生物せいぶつ学名がくめい分類ぶんるい階級かいきゅう名称めいしょうラテン語らてんご由来ゆらいするものがおおく、ラテン語らてんごかん意味いみする siphotubus、それが形容詞けいようしした tubulosus ひとし名前なまえつものがある。上記じょうきのクダクラゲ(Siphonophora)やかん(Tubulidentata、-denta = )などは元々もともとかん」を意味いみするこれらの単語たんご由来ゆらいしており、和名わみょうはその直訳ちょくやくである。

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 勝本かつもとけん ちょ, 『きんがくラテン語らてんご命名めいめいほう』, 日本にっぽんきん学会がっかい関東かんとう支部しぶ, 1996ねん

関連かんれん用語ようご

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