この項目 こうもく では、昆虫 こんちゅう について説明 せつめい しています。魚 さかな の寄生虫 きせいちゅう については「チョウ (甲殻 こうかく 類 るい ) 」をご覧 らん ください。
チョウ (蝶 ちょう )は、昆虫 こんちゅう 綱 つな チョウ目 め (鱗翅 りんし 目 め 、ガ目 め とも)のうち、Rhopalocera に分類 ぶんるい される生物 せいぶつ の総称 そうしょう である。
チョウ目 め の21上 うえ 科 か のうち、アゲハチョウ上 うえ 科 か 、セセリチョウ上 うえ 科 か 、シャクガモドキ上 うえ 科 か の3上 うえ 科 か が、形態 けいたい 上 じょう のいくつかの特徴 とくちょう を共有 きょうゆう し、Rhopalocera に分類 ぶんるい される、すなわちチョウである。ただし、今世紀 こんせいき になってチョウ目 め についても遺伝子 いでんし の分子 ぶんし 系統 けいとう 解析 かいせき が行 おこな われるようになると、セセリチョウ上 うえ 科 か 、シャクガモドキ上 うえ 科 か いずれもアゲハチョウ上 うえ 科 か に含 ふく まれ、アゲハチョウ上 うえ 科 か が側 がわ 系統 けいとう 群 ぐん になるという結果 けっか が相次 あいつ いで示 しめ された。そのためセセリチョウ科 か とシャクガモドキ科 か をも含 ふく めて全体 ぜんたい をアゲハチョウ上 うえ 科 か 一 ひと つにまとめる分類 ぶんるい が提唱 ていしょう されている[ 2] 。
その他 た のチョウ目 め の種 たね はガ (蛾 が )と呼 よ ばれるが、チョウはチョウ目 め の系統 けいとう の中 なか でかなり深 ふか いところにある派生 はせい 的 てき な系統 けいとう で、それに対 たい しガは「チョウでない」としか定義 ていぎ できない側 がわ 系統 けいとう であり、チョウ目 め をチョウとガに分 わ けるのは自然 しぜん な分類 ぶんるい ではない。(チョウ目 め #チョウとガの区別 くべつ 参照 さんしょう )しかし、一般 いっぱん には完全 かんぜん に区別 くべつ して扱 あつか われる。
南極大陸 なんきょくたいりく 、大 おお きな砂漠 さばく の中心 ちゅうしん 部 ぶ 、万 まん 年 ねん 氷 ごおり 床 ゆか となる標高 ひょうこう 6,000メートル 以上 いじょう の高山 たかやま 帯 たい を除 のぞ く全 ぜん 世界 せかい の森林 しんりん ・草原 そうげん ・高山 たかやま など、ほぼ全 すべ ての陸上 りくじょう 環境 かんきょう に分布 ぶんぷ する[ 3] 。広 ひろ い分布 ぶんぷ 域 いき を持 も つものもいれば、その地域 ちいき の環境 かんきょう に特異 とくい 的 てき に適応 てきおう したものもいる。17,600種 しゅ ほどが知 し られている[ 3] 。
日本 にっぽん では250種類 しゅるい ほどが知 し られている[ 4] 。
おもな特徴 とくちょう としては以下 いか のようなものがあるが、ガとの明確 めいかく な区別 くべつ 点 てん はなく、総合 そうごう 的 てき なものとして判断 はんだん する。
チョウの触角 しょっかく
外見 がいけん 上 じょう 最 もっと も有用 ゆうよう な特徴 とくちょう は、触角 しょっかく の形状 けいじょう である。成虫 せいちゅう の触角 しょっかく は細長 ほそなが くまっすぐ伸 の び、先端 せんたん が棍棒 こんぼう 状 じょう にふくらむ。ただし、セセリチョウの触角 しょっかく は先端 せんたん が再 ふたた び細 ほそ くとがり鉤 かぎ 状 じょう に後方 こうほう に反 そ り返 かえ っている。一方 いっぽう 、ガの触角 しょっかく はクシ状 じょう や糸状 いとじょう である。日本 にっぽん における約 やく 2700種 しゅ のチョウやガは、これで区別 くべつ できる。ただし、カストニア科 か (Castniidae ) やマダラガ科 か (Zygaenidae ) の触角 しょっかく は棍棒 こんぼう 状 じょう である。
卵 たまご - 幼虫 ようちゅう - 蛹 さなぎ - 成虫 せいちゅう という完全 かんぜん 変態 へんたい をおこなう。幼虫 ようちゅう は外見 がいけん や行動 こうどう によってアオムシ 、イモムシ 、ケムシ などと呼 よ ばれる。
幼虫 ようちゅう はほとんどが植物 しょくぶつ 食 しょく で、種類 しゅるい によって食 た べる植物 しょくぶつ (食 しょく 草 そう )がほぼ決 き まっている。ただしシジミチョウ類 るい には例外 れいがい 的 てき なものが多 おお い。
蛹 さなぎ は尾 お 部 ぶ だけでぶら下 さ がる垂 たれ 蛹 さなぎ (すいよう)と、胸 むね に帯 おび 糸 いと をつけて体 からだ を上向 うわむ きにする帯 おび 蛹 さなぎ (たいよう)に大別 たいべつ できる。ただしセセリチョウやシジミチョウなどには例外 れいがい もある。
成虫 せいちゅう の4枚 まい の翅 (はね)、一般 いっぱん に言 い う羽 はね は鱗粉 りんぷん や毛 け でおおわれる。ただしマダラチョウは部分 ぶぶん 的 てき に鱗粉 りんぷん を欠 か く。
チョウの口吻 こうふん と複眼 ふくがん
棍棒 こんぼう 状 じょう の
触角 しょっかく を
持 も ち
昼 ひる 行 ぎょう 性 せい の
マダラガ科 か の
一種 いっしゅ
口吻 こうふん を
使 つか って
糖分 とうぶん を
吸 す い
上 あ げる
ナガサキアゲハ
チョウ目 め の中 なか でのチョウの位置 いち づけについては、細部 さいぶ については諸説 しょせつ あるが、おおよそ次 つぎ のようなものである[ 5] [ 6] 。チョウ目 め の系統 けいとう の中 なか でチョウはごく一部 いちぶ であるといえる。ただし、チョウ目 め の種 たね の98%は二 に 門 もん 類 るい に、半分 はんぶん 以上 いじょう は大型 おおがた 鱗翅類 りんしるい に属 ぞく し、種 たね 数 すう で言 い えばほとんどのガはチョウに非常 ひじょう に近 ちか い。
19世紀 せいき の分類 ぶんるい では、鱗翅 りんし 目 め を Diurni (昼 ひる 行 ぎょう 性 せい )と Nocturni (夜行 やこう 性 せい )や、Rhopalocera (棍棒 こんぼう 状 じょう の触角 しょっかく )と Heterocera (その他 た の触角 しょっかく )に2分 ふん する説 せつ もあった。それぞれ、前者 ぜんしゃ はチョウ、後者 こうしゃ はガを表 あらわ す。
このほかに、チョウといくつかのガを同 おな じグループとし、その他 た のガと2分 ふん する分類 ぶんるい もあった。そうした分類 ぶんるい 群 ぐん のうち、前者 ぜんしゃ のいくつかは現在 げんざい もチョウ目 め とチョウの間 あいだ の分類 ぶんるい 群 ぐん として残 のこ っているが、後者 こうしゃ (たとえば大型 おおがた 鱗翅類 りんしるい に対 たい する小型 こがた 鱗翅類 りんしるい Microlepidoptera )は側 がわ 系統 けいとう であり使 つか われない。
3上 うえ 科 か 7科 か が属 ぞく す(科 か は説 せつ によりやや増減 ぞうげん する)。ただし、セセリチョウ上 うえ 科 か とシャクガモドキ上 うえ 科 か は1上 うえ 科 か 1科 か の単 たん 型 がた で、残 のこ りの5科 か はアゲハチョウ上 うえ 科 か である。
これらの系統 けいとう 関係 かんけい は次 つぎ のとおり[ 7] 。
シャクガモドキ上 うえ 科 か (シャクガモドキ科 か )は最 もっと も基底 きてい 的 てき で、いくらかガの特徴 とくちょう を残 のこ す。セセリチョウ上 うえ 科 か (セセリチョウ科 か )はそれに次 つ ぐ。アゲハチョウ上 うえ 科 か は典型 てんけい 的 てき なチョウであるが、生活 せいかつ や外見 がいけん はグループにより差異 さい が大 おお きい。
シャクガモドキ上 うえ 科 か (シャクガモドキ科 か )は元々 もともと 、シャクガ に近 きん 縁 えん と思 おも われていたが、1986年 ねん Malcolm J. Scoble によりアゲハチョウ上 うえ 科 か に近 きん 縁 えん であることが指摘 してき され、チョウに含 ふく められた。
1科 か 1属 ぞく のみ。
シャクガモドキ科 か Hedylidae
すべて中南米 ちゅうなんべい 産 さん で、日本 にっぽん では産 さん しない。
1科 か のみ。
セセリチョウ科 か Hesperiidae
小型 こがた のチョウ。胴 どう が太 ふと くて翅が小 ちい さい。飛 と ぶのが比較的 ひかくてき 速 はや い。幼虫 ようちゅう の食 しょく 草 そう はイネ科 か 植物 しょくぶつ が多 おお い。
チャバネセセリ 、アオバセセリ 、イチモンジセセリ など。
アゲハチョウ科 か Papilionidae
大型 おおがた のチョウで、成虫 せいちゅう は種類 しゅるい によって翅の模様 もよう や突起 とっき が異 こと なる。幼虫 ようちゅう は刺激 しげき を与 あた えると頭部 とうぶ と胸部 きょうぶ の境界 きょうかい 部 ぶ から1対 つい の色 いろ 鮮 あざ やかな臭 におい 角 かく (体液 たいえき の圧力 あつりょく で反転 はんてん 突出 とっしゅつ し、異臭 いしゅう を放 はな つ)を突 つ き出 だ す。
ナミアゲハ 、キアゲハ 、カラスアゲハ 、クロアゲハ 、ジャコウアゲハ 、ナガサキアゲハ 、アオスジアゲハ 、トリバネアゲハ 類 るい 、ホソオチョウ 、ギフチョウ 、ウスバシロチョウ など。
シロチョウ科 か Pieridae
中型 ちゅうがた のチョウ。成虫 せいちゅう の羽 はね は突起 とっき が少 すく なく、白 しろ や黄色 おうしょく が多 おお い。幼虫 ようちゅう は緑色 みどりいろ で細長 ほそなが く、俗 ぞく にアオムシ とよばれる。
モンシロチョウ 、スジグロシロチョウ 、キチョウ 、モンキチョウ 、クモマツマキチョウ 、ツマベニチョウ など。
シジミタテハ科 か Riodinidae
シジミチョウ科 か に似 に るが、オスの前 ぜん 脚 あし がタテハチョウ科 か のように特殊 とくしゅ 化 か している。オーストラリアと南極 なんきょく 以外 いがい の全 ぜん 大陸 たいりく で産 さん するが日本 にっぽん にはいない。
シジミチョウ科 か Lycaenidae
小型 こがた のチョウ。成虫 せいちゅう の翅の模様 もよう は、表 ひょう と裏 うら で非常 ひじょう に異 こと なる。幼虫 ようちゅう の食 しょく 性 せい は多様 たよう で、アリ と共生 きょうせい するクロシジミ 、アリの卵 たまご や幼虫 ようちゅう を食 た べるゴマシジミ 、アブラムシを食 た べるゴイシシジミ などもいる。
ベニシジミ 、ヤマトシジミ 、ルリシジミ 、ムラサキシジミ 、ムラサキツバメ 、ミドリシジミ 、ウラナミシジミ など。
タテハチョウ科 か Nymphalidae
中型 ちゅうがた から大型 おおがた 。成虫 せいちゅう の翅は角 かく ばっていて、黄 き ・赤 あか ・青 あお など多彩 たさい 。また、成虫 せいちゅう の前 ぜん 脚 あし が退化 たいか して短 みじか くなっている。そのため一見 いっけん したところでは、昆虫 こんちゅう には6本 ほん あるはずの脚 あし が4本 ほん しかないように見 み える。幼虫 ようちゅう は突起 とっき や毛 もう 、角 かく をもつ。
キタテハ 、アカタテハ 、ルリタテハ 、オオムラサキ 、コムラサキ 、ツマグロヒョウモン 、ミスジチョウ 、コノハチョウ など。
以下 いか のチョウは長 なが く「科 か 」として扱 あつか われていたが、近年 きんねん ではタテハチョウ科 か の亜 あ 科 か として扱 あつか うことが多 おお い。
テングチョウ亜 あ 科 か Libytheinae
中型 ちゅうがた のチョウで、日本 にっぽん にはテングチョウ 1種 しゅ のみが分布 ぶんぷ している。食 しょく 草 そう はエノキ 。和名 わみょう は成虫 せいちゅう の頭 あたま の先端 せんたん が、天狗 てんぐ の鼻 はな のように突 つ き出 で ていることに由来 ゆらい する。
マダラチョウ亜 あ 科 か Danainae
中型 ちゅうがた から大型 おおがた 。成虫 せいちゅう の翅は体 からだ に対 たい して大 おお きく、丸 まる みがある。翅は部分 ぶぶん 的 てき に鱗粉 りんぷん を欠 か く。飛 と ぶ力 ちから が高 たか く、遠距離 えんきょり を移動 いどう する種類 しゅるい もいる。
オオゴマダラ 、アサギマダラ 、カバマダラ 、オオカバマダラ など。
ジャノメチョウ亜 あ 科 か Satyrinae
小型 こがた から中型 ちゅうがた 。成虫 せいちゅう の翅は眼 め 状 じょう 紋 もん があり、黄 き や褐色 かっしょく のものが多 おお い。また、森林 しんりん などの日陰 ひかげ で活動 かつどう するものが多 おお い。幼虫 ようちゅう は細長 ほそなが い形 かたち をしていて、おもにイネ科 か 植物 しょくぶつ を食 しょく 草 そう とする。
ヒメウラナミジャノメ 、キマダラヒカゲ 、タカネヒカゲ など。
モルフォチョウ亜 あ 科 か Morphinae
大型 おおがた のチョウで、中央 ちゅうおう アメリカ から南 みなみ アメリカ に分布 ぶんぷ する。翅は鱗粉 りんぷん の構造 こうぞう 色 しょく で金属 きんぞく 光沢 こうたく を放 はな つ。近年 きんねん はジャノメチョウ亜 あ 科 か モルフォチョウ族 ぞく Morphini とすることもある。
チョウは、美 うつく しくて無害 むがい な生 い き物 もの との感覚 かんかく があり、その他 た の虫 むし 一般 いっぱん と区別 くべつ されかねないくらいの評価 ひょうか がある。画題 がだい や意匠 いしょう としてもチョウはよく使 つか われる。花札 はなふだ の図柄 ずがら に「牡丹 ぼたん に蝶 ちょう 」がある。
Houston Museum of Natural Science
チョウは昆虫 こんちゅう 採集 さいしゅう 、およびそのコレクション としてもっとも愛 あい されてきた昆虫 こんちゅう である。そのためチョウに関 かん しては世界中 せかいじゅう どの地域 ちいき においても詳 くわ しい情報 じょうほう があるといっても過言 かごん ではない。たとえば日本 にっぽん に分布 ぶんぷ しないはずの物 もの で台風 たいふう などに運 はこ ばれて南方 なんぽう から運 はこ ばれて発見 はっけん されるものを迷蝶 というが、それが広 ひろ い分布 ぶんぷ 域 いき を持 も つものであっても、その斑紋 はんもん などから起源 きげん となった地域 ちいき が特定 とくてい 出来 でき る例 れい がある。
それ以外 いがい にも、鱗粉 りんぷん 転写 てんしゃ という方法 ほうほう でチョウの翅の模様 もよう を写 うつ し取 と り、これを工芸 こうげい 作品 さくひん として販売 はんばい する例 れい も知 し られている。現在 げんざい も熱帯 ねったい 地方 ちほう ではチョウの標本 ひょうほん やそれに基 もと づく工芸 こうげい 品 ひん は重要 じゅうよう な土産物 みやげもの である。
しかし、これらの採集 さいしゅう 圧 あつ によって絶滅 ぜつめつ の危機 きき に瀕 ひん した種 たね もあり、トリバネチョウ等 とう はワシントン条約 じょうやく によって販売 はんばい が制限 せいげん されている。
世界 せかい 各地 かくち にチョウが人 ひと の死 し や霊 れい に関連 かんれん する観念 かんねん が見 み られる。キリスト教 きりすときょう ではチョウは復活 ふっかつ の象徴 しょうちょう とされ、ギリシャ ではチョウは魂 たましい や不死 ふし の象徴 しょうちょう とされる[ 8] 。ビルマ語 ご に至 いた っては〈チョウ〉を表 あらわ す語 かたり လိပ်ပြာ /leʲʔpjà/ (レイッピャー)がそのまま〈魂 たましい 〉という意味 いみ で用 もち いられる場合 ばあい もある[ 9] 。
日本 にっぽん でも栃木 とちぎ 県 けん 宇都宮 うつのみや 市 し で、盆 ぼん 時期 じき の黒 くろ いチョウには仏 ほとけ が乗 の っているといい、千葉 ちば 県 けん でも夜 よる のチョウを仏 ふつ の使 つか いという[ 10] 。
チョウを死霊 しりょう の化身 けしん とみなす地方 ちほう もあり、立山 たてやま の追分 おいわけ 地蔵堂 じぞうどう で「生霊 いきりょう の市 し 」といって、毎年 まいとし 7月 がつ 15日 にち の夜 よる に多数 たすう のチョウが飛 と ぶという[ 8] 。秋田 あきた 県 けん 山本 やまもと 郡 ぐん ではチョウの柄 え の服 ふく を好 この む者 もの は短命 たんめい だという[ 10] 。高知 こうち 県 けん の伝説 でんせつ では、夜 よ ふけの道 みち で無数 むすう の白 しろ い蝶 ちょう が雪 ゆき のように舞 ま い、息 いき が詰 つ まるほどに人 ひと にまとわりつき、これに遭 あ うと病気 びょうき を患 わずら って死 し ぬといわれる怪異 かいい があり、同 どう 県 けん 香美 かがみ 郡 ぐん 富家 とみや 村 むら (現 げん ・香南 こうなん 市 し )ではこれを横死 おうし した人間 にんげん の亡霊 ぼうれい と伝 つた えている[ 11] 。「春 はる に最初 さいしょ に白 しろ いチョウを見 み ると、その年 とし の内 うち に家族 かぞく が死 し ぬ」「チョウが仏壇 ぶつだん や部屋 へや に現 あらわ れるのは死 し の前兆 ぜんちょう 」というい伝 いつた えもある[ 8] 。
奥州 おうしゅう 白石 しらいし では、チョウが大好 だいす きだった女性 じょせい が死 し に、遺体 いたい から虫 むし が湧 わ いて無数 むすう のチョウと化 か したという話 はなし が伝 つた わる。また秋田 あきた 県 けん 上総 かずさ 川 がわ の上流 じょうりゅう で、かつて備中 びっちゅう という侍 さむらい が沼 ぬま に落 お ちて死 し に、チョウに化身 けしん して沼 ぬま に住 す み着 つ き、現在 げんざい に至 いた るまで曇 くも った日 ひ や月 つき の夜 よる に飛 と び上 あ がって人 ひと を脅 おびや かすという。そのことからこの沼 ぬま を備中 びっちゅう 沼 ぬま 、または別 べつ 蝶 ちょう 沼 ぬま ともいう[ 12] 。
幼虫 ようちゅう はイモムシであり草食 そうしょく なので、食 しょく 草 そう が栽培 さいばい 植物 しょくぶつ であれば害虫 がいちゅう 扱 あつか いされる。日本 にっぽん ではモンシロチョウ がキャベツ などアブラナ科 か の野菜 やさい 、アゲハチョウ 類 るい がミカン 類 るい 、キアゲハ がニンジン などのセリ科 か の害虫 がいちゅう とされている。
17世紀 せいき 上半期 かみはんき 兜 かぶと
左右 さゆう 対称 たいしょう でその各 かく 端 はし が広 ひろ がっている形状 けいじょう を、蝶 ちょう が羽 はね を開 ひら いた姿 すがた に例 たと えて呼称 こしょう することがある。「蝶 ちょう ねじ 」「蝶番 ちょうつがい 」「蝶 ちょう ネクタイ 」「蝶結 ちょうむす び 」「バタフライ 」「バタフライ・ノット 」など。
花札 はなふだ の絵柄 えがら の一 ひと つに「牡丹 ぼたん に蝶 ちょう 」がある。「萩 はぎ に猪 いのしし 」「紅葉 こうよう に鹿 しか 」と組 く み合 あ わせると「猪 いの 鹿 しか 蝶 ちょう 」という役 やく になる。
日本語 にほんご では、ハエ、ハチ、バッタ、トンボ、セミなど多 おお くの虫 むし の名称 めいしょう が大和言葉 やまとことば (固有 こゆう 語 ご )であるのに対 たい し、この蝶 ちょう と蛾 が に関 かん しては漢語 かんご である。蝶 ちょう や蛾 が もかつては、かはひらこ、ひひる、ひむし、といった大和言葉 やまとことば で呼 よ ばれていたが、現在 げんざい ではそのような名称 めいしょう は一般 いっぱん 的 てき ではない。
万葉集 まんようしゅう には、蝶 ちょう を読 よ んだ歌 うた は一 ひと つもない。
「蝶 ちょう 」は中国 ちゅうごく の名 な であり、日本語 にほんご では本来 ほんらい 「てこな」「てんがらこ」「かはびらこ」などと言 い う[ 13] 。
揚羽蝶 あげはちょう ( あげはちょう )
対 たい い蝶 ちょう ( むかいちょう )
備前 びぜん 蝶 ちょう ( びぜんちょう )
家紋 かもん に、「蝶 ちょう 紋 もん (ちょうもん)」がある。桓武 かんむ 平 たいら 氏 し の一族 いちぞく やそれを称 しょう する一族 いちぞく 、末裔 まつえい を称 しょう する一族 いちぞく などによって用 もち いられることがあった。
平 たいら 氏 し を称 しょう した公家 くげ のほかに、織田 おだ 氏 し 、関 せき 氏 し 、谷 たに 氏 し などが用 もち いている。蝶 ちょう 紋 もん を用 もち いた大名 だいみょう で知 し られる池田 いけだ 氏 し のものは、織田 おだ 氏 し から下賜 かし されたものである。
代表 だいひょう 的 てき な図案 ずあん の「揚羽蝶 あげはちょう (あげはちょう)」は、特 とく にアゲハチョウを図案 ずあん 化 か したものではなく、羽 はね をあげて休 やす んでいる蝶 ちょう の姿 すがた を描 えが いたもので、「泊 とまり 蝶 ちょう (とまりちょう)」ともいう。ほかの図案 ずあん に、「臥 ふ せ・浮線(ふせ・ふせん)」「真向 まむ かい」「胡蝶 こちょう 」があり、構成 こうせい には、1つから6つの組 く み合 あ わせが見 み られ「対 たい い」「車 くるま 」「盛 も り」「寄 よ せ」などがある。
一般 いっぱん に、チョウの翅は細 ほそ い体 からだ に比 くら べて著 いちじる しく大 おお きく、カラフルな色彩 しきさい で人目 ひとめ に付 つ きやすいため、身近 みぢか な昆虫 こんちゅう として古 ふる くから親 した しまれている。研究 けんきゅう 者 しゃ もプロ・アマチュアを問 と わず数多 かずおお く、大阪府立大学 おおさかふりつだいがく や京都大学 きょうとだいがく など研究 けんきゅう 機関 きかん も各地 かくち にある。日本 にっぽん 蝶 ちょう 類 るい 学会 がっかい などの学会 がっかい がある。
国 くに を代表 だいひょう したり象徴 しょうちょう したりする国 くに 蝶 ちょう が制定 せいてい されることがある。同様 どうよう の目的 もくてき で自治体 じちたい の蝶 ちょう が制定 せいてい されることもある(例 れい :埼玉 さいたま 県 けん のミドリシジミ [ 14] 、沖縄 おきなわ 県 けん のオオゴマダラ [ 15] )。
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