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害虫がいちゅう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
いなごがいをもたらすバッタ

害虫がいちゅう(がいちゅう)とは、人間にんげんヒト)や家畜かちくペット農産物のうさんぶつ財産ざいさんなどにとって有害ゆうがい作用さようをもたらすむしおも脊椎動物せきついどうぶつでもあるしょう動物どうぶつとく昆虫こんちゅうるいなどの節足動物せっそくどうぶつるいをいう。日本語にほんごでは「おじゃまちゅう[1][2]」(おじゃまむし)ともぶ。駆除くじょには殺虫さっちゅうざい使つかわれる。

一方いっぽう害虫がいちゅう捕食ほしょくするもの、商品しょうひん作物さくもつ受粉じゅふんたすけるもの、人間にんげん資源しげん提供ていきょうするものなどやくつものは益虫えきちゅうという。

害虫がいちゅうによる損害そんがい

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様々さまざまかたちでヒトに被害ひがいあたえるものにたいする呼称こしょうである。ヒトの生活せいかつのあらゆるめんで、それをがいするむしがいるのでそのかた様々さまざまである。つねにヒトにがいをなしつづけるものもあれば、偶発ぐうはつてきにヒトにがいあたえる、というものもある。前者ぜんしゃであれば、つね注意ちゅういおこたわけにはいかない。吸血きゅうけつせい昆虫こんちゅうや、農業のうぎょう害虫がいちゅうがそれにあたる。

ある視点してんたとき、そのむしがいをなすのであれば、それを害虫がいちゅうというのであって、べつ視点してんでそのむしればむしろヒトにとっての利益りえきになる益虫えきちゅう判断はんだんできる場合ばあいもある。生物せいぶつたがいに複雑ふくざつ関係かんけいをもって生活せいかつしており、ある生物せいぶつしゅ個体こたいすう増加ぞうか減少げんしょうが、生物せいぶつ群集ぐんしゅう全体ぜんたい予測よそくできない変化へんかこす場合ばあいもありる。駆除くじょ対象たいしょうとすべきかどうかには慎重しんちょう判断はんだん必要ひつようである。野外やがいの、それも人里ひとざとはなれたところにたときのみ危険きけんあたえるようなものにたいしては、人間にんげんがわ配慮はいりょすべきである。

農作物のうさくもつたいするがい

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農業のうぎょう害虫がいちゅうともいわれ、きわめて沢山たくさんれいがある。収穫しゅうかく保存ほぞんちゅう農作物のうさくもつ加害かがいするものは貯穀害虫がいちゅうという[よう出典しゅってん]農業のうぎょうにおいては、害虫がいちゅうへの対応たいおういわゆる防除ぼうじょヒト農作のうさく開始かいしからもっと重要じゅうよう課題かだいひとつで、ありつづけている。ふるくは虫送むしおくなど、害虫がいちゅう行事ぎょうじがあり、最近さいきんでは農薬のうやく主体しゅたいとする防除ぼうじょほう発達はったつしている。農薬のうやくには副作用ふくさよう環境かんきょうへの影響えいきょうなど、様々さまざま問題もんだいもあり、現在げんざいでは出来できるだけ農薬のうやく使つかわない工夫くふうおこなわれる。天敵てんてき利用りようなど、自然しぜん作用さよう利用りようする防除ぼうじょほうなども施行しこうされている。

農業のうぎょう害虫がいちゅう
  • バッタ大量たいりょう発生はっせいすると移住いじゅうせいつようになるたね飛蝗ばったによるいなごがいは、アフリカみなみアジアとき甚大じんだいがいあたえる。
  • ウンカとくいねたいする被害ひがいおおきい。
  • ミバエ熱帯ねったい地方ちほうでは果樹かじゅおおきな被害ひがいあたえる。ウリミバエ沖縄諸島おきなわしょとうにいたが、にんちゅうという方法ほうほう根絶こんぜつされた。
  • アオムシ植物しょくぶつくす。葉菜類ようさいるいでは致命ちめいてきなダメージをう。とくモンシロチョウ幼虫ようちゅう有名ゆうめい
  • メイガ様々さまざま植物しょくぶつべるものがいる。稲作いなさくでは、ニカメイガとサンカメイガはかつてもっと重要じゅうよう害虫がいちゅうであった。
  • カメムシ植物しょくぶつしるう。様々さまざま農産物のうさんぶつ様々さまざまなものがつく。近年きんねん日本にっぽんではツヤアオカメやチャバネアオカメがだい発生はっせいするとしがあり、おおきな問題もんだいになっている。
  • アブラムシカイガラムシ植物しょくぶつしるう。いずれも繁殖はんしょくりょくつよく、植物しょくぶつじょうにコロニーをつくおおきな被害ひがいあたえる。
  • アザミウマ植物しょくぶつ果実かじつ表面ひょうめん加害かがいする。薬剤やくざい抵抗ていこうせいった種類しゅるい増加ぞうかして問題もんだいとなっている。
  • ハダニ植物しょくぶつ果実かじつ表皮ひょうひしるう。ミカンハダニなどでは薬剤やくざい抵抗ていこうせい問題もんだいになっている。
  • フシダニるい英語えいごばん植物しょくぶつしん果実かじつ生息せいそくする。被害ひがい状況じょうきょうからサビダニとばれるものもいる。
  • ウリハムシ:コガネムシとおな甲虫かぶとむしるい仲間なかまで、名前なまえしめすとおりキュウリ、メロン、スイカなどのウリ植物しょくぶつらす害虫がいちゅう
  • ナメクジ様々さまざま植物しょくぶつ果実かじつらす。カタツムリ同様どうよう
  • スクミリンゴガイ田植たうえしたイネのらす。
  • アメリカザリガニ水田すいでんあぜあなけ、イネのらす。
貯穀害虫がいちゅう

ひとし該当がいとうする。

ヒトやペット本体ほんたいへのがい

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ハマダラカ

ヒトやペットのったり、んだり、したり、からだ表面ひょうめん付着ふちゃくした病原びょうげんたい機械きかいてき運搬うんぱんすることによって被害ひがいあたえるむし衛生えいせい害虫がいちゅうばれる[よう出典しゅってん]

うもののなかには重要じゅうよう病気びょうき媒介ばいかいするものがあり、世界せかいてき駆除くじょ検討けんとうされているものもある。

ことがいあたえるものにはハチケムシなど、みつくものではムカデなど、機械きかいてき病原びょうげんたい運搬うんぱんするものとしてはハエゴキブリなどがげられる。たとえばハチの場合ばあいアシナガバチスズメバチ危険きけんされがちだが(どく死者ししゃている。)、ハチは肉食にくしょくでケムシなどをべるものであるから、ハチを駆除くじょすればケムシるい繁殖はんしょくしてしまう。

にヒトにがいあたえる昆虫こんちゅうには、からだどくつものがある。たとえば、ケムシとしてドクガ仲間なかまがある。チャドクガたまご幼虫ようちゅう毛虫けむし)、成虫せいちゅうとも体毛たいもうどくち、れると炎症えんしょうこす。体液たいえきどくアオバアリガタハネカクシなどは燈火ともしびることがあり、うっかりからだひょうじょうでつぶすと炎症えんしょうみずぶくれをしょうじることがある。前述ぜんじゅつのアシナガバチやスズメバチも、はりどく注入ちゅうにゅうすることでヒトにがいあたえる。

食品しょくひん産業さんぎょうたいするがい

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製品せいひん昆虫こんちゅう混入こんにゅうすることは企業きぎょうイメージの低下ていかまねきクレーム、回収かいしゅうなどの原因げんいんになる。食品しょくひん製造せいぞうじょうとく留意りゅういされる昆虫こんちゅう以下いかのようなものがげられる。

ゴキブリ、ハエなど一般いっぱんてき注意ちゅういされるもののほかわずかな食品しょくひんカスやそこから発生はっせいするカビとう摂食せっしょくして繁殖はんしょくする昆虫こんちゅう存在そんざいする。ヒョウホンムシカツオブシムシシバンムシコクヌストモドキヒラタムシコクゾウムシチビタケナガシンクイメイガシンクイムシ)、チャタテムシトビムシなど多岐たきわたる。

財産ざいさんたいするがい

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テントウムシやカメムシなど物陰ものかげ集団しゅうだん越冬えっとうする昆虫こんちゅう人家じんか越冬えっとう場所ばしょえらんだ場合ばあい往々おうおうにしてトラブルをこす。

家畜かちくたいするがい

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アブブユなどいにんでるものダニシラミなどの寄生虫きせいちゅう様々さまざま家畜かちく直接ちょくせつがいあたえ、病気びょうき媒介ばいかいするものもある。またカマキリミツバチ捕食ほしょくするため、養蜂ようほうでは害虫がいちゅうである[3]

文化財ぶんかざいたいするがい

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建造けんぞうぶつ博物館はくぶつかん美術館びじゅつかんなどに収蔵しゅうぞうされる古文書こもんじょ美術びじゅつ資料しりょうなどの文化財ぶんかざいおおくがかみぬのなどの有機ゆうきしつ材料ざいりょうでできているため、虫害ちゅうがいによる損傷そんしょう発生はっせいする。害虫がいちゅうによる文化財ぶんかざい損傷そんしょうむしそんばれ、文化財ぶんかざいへのむしそんおよぼす害虫がいちゅう文化財ぶんかざい害虫がいちゅうばれる。

博物館はくぶつかん施設しせつにおいては文化財ぶんかざい影響えいきょうあたえる照明しょうめい湿度しつど振動しんどうそら気質きしつなど環境かんきょうてき要因よういんとともに虫害ちゅうがい防止ぼうし考慮こうりょされ、施設しせつ内部ないぶ収蔵しゅうぞう建設けんせつ段階だんかいから気密きみつせいたかくするなど対策たいさくがなされ、また定期ていきてき薬剤やくざいによる燻蒸くんじょう作業さぎょうおこなわれている(一方いっぽうで、燻蒸くんじょう薬剤やくざいによる文化財ぶんかざいへの影響えいきょう考慮こうりょされる)。薬剤やくざいによる文化財ぶんかざいおよ人体じんたい環境かんきょうへの悪影響あくえいきょうけるため、だつ酸素さんそざいまたは窒素ちっそ二酸化炭素にさんかたんそなどの活性かっせい気体きたいもちいたてい酸素さんそ濃度のうど殺虫さっちゅうほう利用りようされている[4]

古文書こもんじょとく発見はっけんされた段階だんかいむしそんしょうじていることがおおく、損傷そんしょう状態じょうたいによっては文書ぶんしょ料紙りょうし同質どうしつ材料ざいりょうもちいての修復しゅうふくおこなわれる。翻刻ほんこくにあたっては、前後ぜんご文脈ぶんみゃくからむしそん部分ぶぶん文字もじ推測すいそくおぎなわれることもおおい。

心理しんりてきがい

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上記じょうきのような農作物のうさくもつ財産ざいさん人体じんたいあたえる具体ぐたいてきがいとくく、むしろ実際じっさいには害虫がいちゅう捕食ほしょくするなど人間にんげんにとっては益虫えきちゅうである場合ばあいすらあるにもかかわらず、外見がいけんうごきが気分きぶんがいするという主観しゅかんてき理由りゆうにより「害虫がいちゅう」に分類ぶんるいされるれい近年きんねんられるようになった。

不快ふかい害虫がいちゅう(ふかいがいちゅう)とばれており、クモゲジカマドウマヒヨケムシウデムシヤスデなどが代表だいひょうれい後天こうてんせい恐怖きょうふなどがこしたものであり、現代げんだいてき害虫がいちゅうえる。

近年きんねんでは街路がいろじゅ生息せいそくするさわらなければがいして無害むがいむしにまで駆除くじょ要請ようせいおおく、仙台せんだいいずみ区役所くやくしょには10ねん苦情くじょう倍増ばいぞう過去かこにおいてはその時期じき特有とくゆう現象げんしょうられていた現象げんしょうにまで行政ぎょうせい対処たいしょもとめられてしまい、手一杯ていっぱい状態じょうたいになっているという[5]

脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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  1. ^ 都市としにおけるおじゃまちゅうたちとの共存きょうぞん」『たまきどうこん』10かん3ごう日本にっぽん環境かんきょう動物どうぶつ昆虫こんちゅう学会がっかい、1999ねん、120-126ぺーじdoi:10.11257/jjeez.10.120
  2. ^ 害虫がいちゅうがく研究けんきゅうしつ鹿児島大学かごしまだいがく - 2023ねん7がつ13にち閲覧えつらん
  3. ^ ミツバチのいる農園のうえんより”. 香取かとり (2016ねん4がつ21にち). 2017ねん7がつ11にち閲覧えつらん
  4. ^ 書籍しょせき有害ゆうがい生物せいぶつ管理かんり -IPM(総合そうごうてき有害ゆうがい生物せいぶつ管理かんり)を中心ちゅうしんに-” (PDF). 木川きがわりか(東京とうきょう文化財ぶんかざい研究所けんきゅうじょ保存ほぞん科学かがく主任しゅにん研究けんきゅうかん). 2016ねん6がつ7にち閲覧えつらん
  5. ^ 街路がいろじゅむし恐々きょうきょう 苦情くじょう10ねん倍増ばいぞう 仙台せんだいいずみ区役所くやくしょ(リンクれ)

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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