ダニ (ダニ類 るい 、壁蝨 だに 、蜱、蟎、螕、英 えい :acarid 、学名 がくめい :Acari )は、鋏 やっとこ 角 かく 亜 あ 門 もん クモガタ綱 つな に属 ぞく する節足動物 せっそくどうぶつ の分類 ぶんるい 群 ぐん 。分類 ぶんるい 学 がく 上 うえ はダニ亜 あ 綱 つな もしくはダニ目 め とされる。小型 こがた の動物 どうぶつ で、体長 たいちょう 1mm以下 いか のものも多 おお い。
全 ぜん 世界 せかい で約 やく 4万 まん 5千 せん 種 しゅ とも言 い われており[ 1] 、形態 けいたい ・生態 せいたい ともに非常 ひじょう に多様 たよう 性 せい に富 と む。その単 たん 系統 けいとう 性 せい は分子 ぶんし 系統 けいとう 解析 かいせき により諸説 しょせつ に分 わ かれる[ 2] [ 3] [ 4] 。
ダニを意味 いみ する漢字 かんじ の内 うち 、中国 ちゅうごく 語 ご ではマダニ類 るい を蜱(pí )、それ以外 いがい のケダニ類 るい 、コナダニ類 るい などを蟎(mǎn )と区別 くべつ し、総称 そうしょう として蜱蟎と呼 よ ぶ[要 よう 出典 しゅってん ] 。
欧米 おうべい では大型 おおがた の吸血 きゅうけつ 性 せい のダニであるマダニ類 るい とそれ以外 いがい のダニを区別 くべつ し、前者 ぜんしゃ を英語 えいご でTick 、ドイツ語 ご でZecke、後者 こうしゃ を英語 えいご でMite 、ドイツ語 ご ではMilbeという。日本語 にほんご では「ダニ」 という単語 たんご 自体 じたい が害虫 がいちゅう をイメージさせるが、英語 えいご 圏 けん では一般 いっぱん 的 てき な不快 ふかい 感 かん が強 つよ いのは牧場 ぼくじょう で人畜 じんちく に害 がい を与 あた える "Tick" であり、"Mite" にはそれほど一般 いっぱん の不快 ふかい 感 かん は普遍 ふへん 的 てき ではない[ 5] 。
ササラダニ 研究 けんきゅう の第一人者 だいいちにんしゃ である青木 あおき 淳一 じゅんいち によると前者 ぜんしゃ を聞 き かせると大 おお きく顔 かお をしかめるが、後者 こうしゃ については単 たん に小 ちい さい虫 むし という印象 いんしょう しかないらしいとのこと[要 よう 出典 しゅってん ] 。
ダニを意味 いみ する日本語 にほんご の方言 ほうげん 語彙 ごい には、ごさらぎ (和歌山 わかやま 県 けん )・さらげ (熊本 くまもと 県 けん )・しだりめ (東京 とうきょう 都 と 八丈島 はちじょうじま )・たにこ (京都 きょうと 府 ふ )・たのほじ (島根 しまね 県 けん )・たんじろう (新潟 にいがた 県 けん 中魚沼 なかうおぬま 郡 ぐん )・だんにゃま (鹿児島 かごしま 県 けん )・ふつみ (山口 やまぐち 県 けん )・やえ (山口 やまぐち 県 けん )などがある。逆 ぎゃく に愛知 あいち 県 けん 知多 ちた 郡 ぐん では、だにがハエ の幼虫 ようちゅう を意味 いみ した[ 6] 。
また比喩 ひゆ 表現 ひょうげん として、寄生 きせい 性 せい の種 たね の一部 いちぶ が吸血 きゅうけつ 生物 せいぶつ として非常 ひじょう に特徴 とくちょう 的 てき であることを指 さ して、他人 たにん の稼 かせ ぎを巻 ま き上 あ げて生活 せいかつ するものに「社会 しゃかい のダニ」 などというい方 いかた をすることがある。この他 ほか 、人 ひと に嫌 きら われる者 もの の形容 けいよう に用 もち いることがある[ 7] 。
ダニの体制 たいせい (付属 ふぞく 肢 し は付 つ け根 ね のみ示 しめ される)
サビダニの一種 いっしゅ Aceria anthocoptes 。歩 ふ 脚 あし は2対 つい のみ、後 こう 体 からだ に二 に 次 じ 的 てき な環節 かんせつ がある。
Proctolaelaps longisetosus の顎 あご 体 からだ 部 ぶ 。鋏 やっとこ 角 かく と触 さわ 肢 し を示 しめ す。
ダニ類 るい の形態 けいたい は非常 ひじょう に多様 たよう 性 せい に富 と むが、概 がい して小型 こがた のものが多 おお い。マダニ 類 るい には吸血 きゅうけつ 時 じ に体長 たいちょう が1cm 以上 いじょう に肥大 ひだい するものもあるが、ほとんどのものはそれよりはるかに小 ちい さく、1mm 以下 いか のものも非常 ひじょう に多 おお い。体型 たいけい はずんぐりした楕円 だえん 形 がた のものが多 おお いが、扁平 へんぺい なものや細長 ほそなが いものもある。
基本 きほん 的 てき な形態 けいたい はクモガタ類 るい 全体 ぜんたい に共通 きょうつう する体制 たいせい として、体 からだ は先 さき 節 ぶし から第 だい 6体 からだ 節 ぶし まで含 ふく む前 ぜん 体 からだ (prosoma, または頭 あたま 胸部 きょうぶ )と、残 のこ りの体 からだ 節 ぶし を含 ふく む後 こう 体 からだ (opisthosoma, または腹部 ふくぶ )という2つの合体 がったい 節 ぶし に分 わ かれている[ 8] 。前 ぜん 体 からだ は原則 げんそく として順 じゅん に第 だい 1-6体 たい 節 ぶし に由来 ゆらい する鋏 やっとこ 角 かく (chelicera)、触 さわ 肢 し (pedipalp, palp)、および4対 つい の歩 ふ 脚 あし という計 けい 6対 つい の付属 ふぞく 肢 し (関節 かんせつ 肢 し )を持 も つ[ 9] 。
後 こう 体 からだ は付属 ふぞく 肢 し を持 も たず、後端 こうたん に尾 お 節 ぶし (telson)はない[ 8] 。
前 ぜん 体 からだ と後 こう 体 からだ は区別 くべつ できるものもあるが、密着 みっちゃく して明瞭 めいりょう でない種類 しゅるい が多 おお い。体 からだ 節 ぶし は互 たが いに癒合 ゆごう が著 いちじる しく、アシナガダニ 類 るい を除 のぞ いて後 こう 体 からだ は明確 めいかく な分節 ぶんせつ が見当 みあ たらず、正確 せいかく な体 からだ 節 ぶし 数 すう が判断 はんだん しにくい[ 8] (フシダニ 類 るい 、ニキビダニ 類 るい 等 とう には一見 いっけん 体 たい 節 ぶし に見 み える環節 かんせつ があるが、二 に 次 じ 的 てき な表皮 ひょうひ 構造 こうぞう で体 からだ 節 ぶし を反映 はんえい しない[ 10] )。そのためにダニ類 るい は次 つぎ の通 とお りに独自 どくじ の体制 たいせい の区分 くぶん 名 めい がある[ 11] [ 12] [ 8] [ 13] 。
最先端 さいせんたん の口器 こうき の部分 ぶぶん を顎 あご 体 からだ 部 ぶ (gnathosoma, capitulum)と呼 よ び、鋏 やっとこ 角 かく ・触 さわ 肢 し ・上唇 うわくちびる などの口器 こうき からなるが、これらの器官 きかん を持 も つ体 からだ 節 ぶし (先 さき 節 ぶし と第 だい 1-2体 たい 節 ぶし )自体 じたい はここに含 ふく まれない[ 13] 。
それ以外 いがい の本体 ほんたい 部 ぶ (先 さき 節 ぶし と第 だい 1-2体 たい 節 ぶし 本体 ほんたい および残 のこ り全 すべ ての体 からだ 節 ぶし )をまとめて胴体 どうたい 部 ぶ (idiosoma)という。これはさらに以下 いか のように分 わ ける。
4対 つい の歩 ふ 脚 あし を含 ふく む部分 ぶぶん を脚 あし 体 からだ 部 ぶ (podosoma)という。
4対 つい の歩 ふ 脚 あし のうち、前 ぜん 2対 つい の歩 ふ 脚 あし を含 ふく む部分 ぶぶん を前 ぜん 胴体 どうたい 部 ぶ (propodosoma)という。
後方 こうほう 2対 つい の歩 ふ 脚 あし を含 ふく む部分 ぶぶん を中 ちゅう 胴体 どうたい 部 ぶ (metapodosoma)という。
最 さい 後方 こうほう の歩 ふ 脚 あし より後 うし ろ、すなわち後 こう 体 からだ に等 ひと しい部分 ぶぶん を後 こう 胴体 どうたい 部 ぶ ともいう。
顎 あご 体 からだ 部 ぶ と前 ぜん 胴体 どうたい 部 ぶ を合 あ わせて前 ぜん 体 からだ 部 ぶ (proterosoma)、中 ちゅう 胴体 どうたい 部 ぶ と後 こう 胴体 どうたい 部 ぶ を合 あ わせて後 こう 体 からだ 部 ぶ (hysterosoma)ということもある。
鋏 やっとこ 角 かく は原則 げんそく として3節 せつ からなり、先端 せんたん 2節 せつ が鋏 やっとこ をなす。ただし形態 けいたい には変異 へんい が多 おお く、例 たと えばマダニ類 るい の鋏 やっとこ 角 かく は著 いちじる しく特 とく 化 か した針 はり 状 じょう で、イトダニ 類 るい の鋏 やっとこ 角 かく は4節 せつ に分 わか れている[ 14] 。ハダニ類 るい のように鋏 やっとこ 角 かく に出 で 糸 いと 器官 きかん をもつものもある。
触 さわ 肢 し は基本 きほん 的 てき には6節 せつ からなる歩 ふ 脚 あし に近 ちか い形 かたち であるが、節 ふし 数 すう を大 おお きく減 げん じたり、退 すさ 縮 ちぢみ して口器 こうき のようになるものもあるなど分類 ぶんるい 群 ぐん や種 たね により変異 へんい が著 いちじる しい。基部 きぶ の肢 し 節 ぶし (基 もと 節 ぶし coxa)は左右 さゆう 融合 ゆうごう し、前面 ぜんめん が口 くち 下 か 片 へん (hypostome)に発達 はったつ する。
歩 ふ 脚 あし は4対 つい が基本 きほん で、多 おお くの種 たね ではよく発達 はったつ するが、一部 いちぶ を退化 たいか させたものや無 む 脚 あし のものもある[ 10] 。幼体 ようたい は歩 ふ 脚 あし が3対 つい で脱皮 だっぴ 成長 せいちょう 途中 とちゅう で4対 つい に増 ふ えるが、実際 じっさい には卵 たまご 内 ない での発生 はっせい 過程 かてい では4対 つい が形成 けいせい されて、その後 ご 第 だい 4脚 きゃく が消失 しょうしつ し孵化 ふか 時 じ に3対 つい になる。
眼 め は全 すべ て単眼 たんがん で前 ぜん 胴体 どうたい 部 ぶ に持 も つが、欠 か くものも多 おお い。胸板 むないた ダニ類 るい は中 ちゅう 眼 め (median eye)1対 たい と側 がわ 眼 め (lateral eye)1-2対 つい を持 も つが、中 ちゅう 眼 め が1つの眼 め に融合 ゆうごう し、見 み かけ上 じょう 眼 め が3つとなる場合 ばあい がある。胸 むね 穴 あな ダニ類 るい は中 ちゅう 眼 め を持 も たず、側 がわ 眼 め を最多 さいた 3対 つい を持 も つ[ 15] 。感覚 かんかく 器官 きかん として体側 たいそく に体毛 たいもう をもつものもある。
呼吸 こきゅう 器官 きかん として気管 きかん 系 けい を持 も ち、その気 き 門 もん の位置 いち や構造 こうぞう は分類 ぶんるい 上 じょう 重視 じゅうし される。気管 きかん が退化 たいか し特定 とくてい の呼吸 こきゅう 器官 きかん を持 も たないものもあり、そのようなものは皮膚 ひふ 呼吸 こきゅう を行 おこな う。
ネコ に付着 ふちゃく 吸血 きゅうけつ し肥大 ひだい したマダニの1種 しゅ
ダニ類 るい は熱帯 ねったい から極 ごく 域 いき まで世界中 せかいじゅう に分布 ぶんぷ し、高山 たかやま から低地 ていち ・乾燥 かんそう 地 ち から湿地 しっち ・土壌 どじょう 中 ちゅう ・水中 すいちゅう ・家屋 かおく 内 ない や貯蔵 ちょぞう 食品 しょくひん 内 ない 等 とう の人工 じんこう 的 てき な環境 かんきょう 、さらには植物 しょくぶつ や動物 どうぶつ の体 からだ 組織 そしき 中 ちゅう まで様々 さまざま な環境 かんきょう に適応 てきおう して生息 せいそく する。一般 いっぱん に体 からだ が微小 びしょう であることから、様々 さまざま な微 ほろ 環境 かんきょう に応 おう じてそれぞれ異 こと なる種 たね が棲 す み分 わ けており、分布 ぶんぷ が局在 きょくざい している種 たね もあるがコスモポリタン 種 たね も多 おお い。また、一部 いちぶ の水生 すいせい ダニ類 るい では成体 せいたい が陸上 りくじょう で生活 せいかつ する等 ひとし 、成長 せいちょう 段階 だんかい により生息 せいそく 環境 かんきょう が変化 へんか する種 たね もいる。
食 しょく 性 せい もそれぞれの種 たね の生息 せいそく する微 ほろ 環境 かんきょう に適応 てきおう し、菌 きん 食 しょく 性 せい ・腐食 ふしょく 性 せい ・捕食 ほしょく 性 せい ・植 うえ 食 しょく 性 せい ・寄生 きせい 性 せい 等 とう クモ形 がた 類 るい としては非常 ひじょう に多様 たよう である。注目 ちゅうもく されることの多 おお い寄生 きせい 性 せい の種 たね についても、寄生 きせい 生物 せいぶつ として高度 こうど に適応 てきおう しているものから、宿主 しゅくしゅ に対 たい する捕食 ほしょく に近 ちか いもの、宿主 しゅくしゅ の体 からだ 組織 そしき を一種 いっしゅ の微 ほろ 環境 かんきょう として生息 せいそく しているものまで段階 だんかい は様々 さまざま である。また寄生 きせい 性 せい のツツガムシ類 るい やタカラダニ 類 るい 等 とう 幼体 ようたい 時 じ と成体 せいたい とで食 しょく 性 せい が変化 へんか するものもある。
繁殖 はんしょく は通常 つうじょう 、オス個体 こたい がメス個体 こたい に精 しらげ 包 つつみ を直接 ちょくせつ または間接 かんせつ 的 てき に渡 わた して受精 じゅせい させる両性 りょうせい 生殖 せいしょく だが、通常 つうじょう 時 じ はメスのみで単 たん 為 ため 生殖 せいしょく を行 おこな う種 たね も多 おお い。産卵 さんらん は土壌 どじょう 動物 どうぶつ のイレコダニ類 るい の様 よう に一 いち 回 かい に1個 いっこ しか産 う まないものから複数個 ふくすうこ 産 う むもの、体内 たいない で孵化 ふか して幼体 ようたい を産 う むものまで種 たね により異 こと なる。
幼体 ようたい は脱皮 だっぴ を繰 く り返 かえ し複数 ふくすう の令 れい 期 き を経 へ て成体 せいたい となるが、種 たね により特定 とくてい の段階 だんかい ないし環境 かんきょう の変化 へんか により、付属 ふぞく 肢 し や口器 こうき を退化 たいか させたシスト と呼 よ ばれる繭 まゆ 状 じょう の形態 けいたい になるものがある。単 たん に蛹 さなぎ 状 じょう の休眠 きゅうみん 状態 じょうたい をとるものから寒冷 かんれい や乾燥 かんそう 等 とう の環境 かんきょう 悪化 あっか に高度 こうど な耐 たい 性 せい を持 も つものまで様々 さまざま である。
ダニ類 るい は形態 けいたい が多様 たよう であるため、歩 ふ 脚 あし を発達 はったつ させて活発 かっぱつ に歩行 ほこう したり、遊泳 ゆうえい するものや跳躍 ちょうやく 能力 のうりょく をもつもの、歩 ふ 脚 あし を退化 たいか させて蠕動 ぜんどう を行 おこな うものや固着 こちゃく 生活 せいかつ を行 おこな うもの等 ひとし 様々 さまざま であるが、いずれの種 たね においても身体 しんたい が微小 びしょう であるため、個体 こたい としての運動 うんどう 能力 のうりょく は非常 ひじょう に限定 げんてい 的 てき である。しかし生態 せいたい も多様 たよう であることから、哺乳類 ほにゅうるい 等 とう の大型 おおがた 動物 どうぶつ や飛翔 ひしょう 能力 のうりょく のある昆虫 こんちゅう に寄生 きせい あるいは体 からだ 表 ひょう に付着 ふちゃく することにより長距離 ちょうきょり を移動 いどう するものなど、種 たね によっては大 おお きな移動 いどう 能力 のうりょく を獲得 かくとく している。特 とく に、ハダニ類 るい 等 とう 糸 いと を出 だ してバルーニング による移動 いどう を行 おこな う種 たね やシスト形態 けいたい 時 じ に風 ふう に飛 と ばされて分散 ぶんさん する種 たね などでは非常 ひじょう に広 ひろ い分布 ぶんぷ 域 いき を持 も つものがあり、1つの種 たね が汎 ひろし 世界 せかい 的 てき に分布 ぶんぷ しているものもある。
通常 つうじょう ダニ類 るい は医療 いりょう 上 じょう 、農業 のうぎょう 上等 じょうとう の有害 ゆうがい 生物 せいぶつ として捉 とら えられることが多 おお いが、その様 よう な種 たね はダニ類 るい 全体 ぜんたい としてはごく一部 いちぶ であり、大半 たいはん は人間 にんげん の活動 かつどう に無関係 むかんけい で、ササラダニ 類 るい 等 とう 土壌 どじょう 生活 せいかつ 性 せい のダニ類 るい などの分解 ぶんかい 者 しゃ や捕食 ほしょく 寄生 きせい により特定 とくてい の種 たね に対 たい する天敵 てんてき として機能 きのう しているもの等 ひとし 、生態 せいたい 系 けい を支 ささ える重要 じゅうよう な役割 やくわり を担 にな っている。
アダクチリディウム やアカロフェナックス・トリボリイ等 とう 、兄妹 きょうだい ・姉 あね 弟 おとうと で近親 きんしん 交配 こうはい を日常 にちじょう 的 てき に行 おこな う種 たね がいる[ 16] 。
ダニ類 るい は種 たね 数 すう ・個体 こたい 数 すう ともに膨大 ぼうだい であるため、人間 にんげん の活動 かつどう に関 かか わりのある種 しゅ は、ダニ類 るい 全体 ぜんたい に対 たい してはごく僅 わず かな割合 わりあい でしかないが、保健 ほけん 衛生 えいせい 上 じょう また農業 のうぎょう 上 じょう 有害 ゆうがい な生物 せいぶつ として、その影響 えいきょう は無視 むし できない。
ダニという場合 ばあい 、有害 ゆうがい な吸血 きゅうけつ 生物 せいぶつ のイメージが一般 いっぱん 的 てき だが、外部 がいぶ 寄生 きせい により吸血 きゅうけつ を行 おこな う代表 だいひょう 的 てき なものとしてマダニ 類 るい とイエダニ類 るい が挙 あ げられる。これらのダニ類 るい は通常 つうじょう はマダニがシカなどの野生 やせい 動物 どうぶつ を、イエダニが住 じゅう 家 か 性 せい のネズミ類 るい を寄生 きせい 対象 たいしょう としており、ワクモ やツツガムシ 等 とう 人間 にんげん 以外 いがい の生物 せいぶつ を宿主 しゅくしゅ としている種 たね でも、状況 じょうきょう により人間 にんげん を吸血 きゅうけつ し被害 ひがい を与 あた えるものがいる。現代 げんだい では日常 にちじょう 生活 せいかつ でこれらのダニの寄生 きせい を受 う ける機会 きかい はほとんどないが、アウトドアでのレジャー等 とう 野外 やがい 活動 かつどう 時 じ にマダニ類 るい やツツガムシ類 るい の被害 ひがい を受 う ける例 れい が増 ふ えている。これらの被害 ひがい を受 う けると、吸血 きゅうけつ 時 じ のダニの唾液 だえき 物質 ぶっしつ によるアレルギ あれるぎ ー性 せい の咬症の他 ほか 、マダニ類 るい の口器 こうき により傷口 きずぐち が化膿 かのう したり、場合 ばあい によってはリケッチア やウィルス等 とう による重 じゅう 篤 あつし な感染 かんせん 症 しょう を発症 はっしょう することがある。
直接 ちょくせつ 吸血 きゅうけつ はしないが、人体 じんたい の組織 そしき に寄生 きせい するダニとして、ヒゼンダニ とニキビダニ 類 るい が挙 あ げられる。ヒゼンダニは皮下 ひか に穿孔 せんこう して寄生 きせい し疥癬 かいせん という皮膚 ひふ 病 びょう を発症 はっしょう させる。ニキビダニ類 るい は主 おも に顔面 がんめん の毛 もう 包 つつみ に寄生 きせい しており、通常 つうじょう 無 む 症状 しょうじょう であることが多 おお いが体質 たいしつ や状況 じょうきょう によりアレルギ あれるぎ ー性 せい 皮膚 ひふ 炎 えん の原因 げんいん となる。
また人体 じんたい に寄生 きせい はしないが、住 じゅう 家 か 中 ちゅう の埃 ほこり (ハウスダスト )の中 なか も数 すう 種 しゅ のダニが生息 せいそく しており、これらは埃 ほこり 中 ちゅう の有機物 ゆうきぶつ を食 た べているので人体 じんたい への直接 ちょくせつ の加害 かがい はないが、糞 くそ や脱皮 だっぴ 殻 から 、個体 こたい の死骸 しがい 等 とう が皮膚 ひふ 炎 えん や気管支炎 きかんしえん 等 とう のアレルギ あれるぎ ー性 せい 疾患 しっかん を引 ひ き起 お こす元 もと (アレルゲン )になることがある。さらにこのダニ類 るい を捕食 ほしょく するツメダニ類 るい が繁殖 はんしょく し、偶発 ぐうはつ 的 てき に人体 じんたい を刺 さ す皮膚 ひふ 炎 えん も発生 はっせい している。
人体 じんたい に被害 ひがい を与 あた えるもの以外 いがい では、台所 だいどころ や食品 しょくひん 倉庫 そうこ でコナダニ の仲間 なかま が小麦粉 こむぎこ や乾物 かんぶつ 等 とう の貯蔵 ちょぞう 食品 しょくひん などに繁殖 はんしょく し、食品 しょくひん 工場 こうじょう 等 とう で大 おお きな損害 そんがい を与 あた えることがある。
農業 のうぎょう 害虫 がいちゅう として、植物 しょくぶつ に寄生 きせい するダニのうちでもハダニ類 るい には産業 さんぎょう 上 じょう 重要 じゅうよう なものが多 おお い。この仲間 なかま は植物 しょくぶつ の表面 ひょうめん にクモのように糸 いと を張 は り巡 めぐ らして巣 す をつくり集団 しゅうだん で生活 せいかつ する。植物 しょくぶつ 組織 そしき 内 ない に口器 こうき を挿入 そうにゅう し細胞 さいぼう の原 げん 形質 けいしつ を吸 す い取 と って摂食 せっしょく するが、刺 とげ 咬時に有害 ゆうがい な成分 せいぶん を分泌 ぶんぴつ するため葉 は が変色 へんしょく し、寄生 きせい 数 すう が多 おお い場合 ばあい 株 かぶ ごと枯死 こし することもある。殺 ころせ ダニ剤 ざい 等 とう の農薬 のうやく に抵抗 ていこう 性 せい を持 も ち、防除 ぼうじょ が困難 こんなん なケースも多 おお い。
ダニ類 るい が人間 にんげん の活動 かつどう に有用 ゆうよう に関与 かんよ している例 れい として、間接 かんせつ 的 てき には分解 ぶんかい 者 しゃ としての土壌 どじょう 動物 どうぶつ のダニ類 るい 等 とう 生態 せいたい 系 けい を支 ささ えている重要 じゅうよう なメンバーとしての働 はたら きなどを挙 あ げることができるが、直接的 ちょくせつてき な利用 りよう はあまり多 おお くない。産業 さんぎょう 上 じょう 重要 じゅうよう な例 れい として、農業 のうぎょう 害虫 がいちゅう のハダニ類 るい 防除 ぼうじょ に、カブリダニ 類 るい 等 とう これらの植物 しょくぶつ 寄生 きせい 性 せい ダニ類 るい の天敵 てんてき である捕食 ほしょく 性 せい のダニ類 るい が生物 せいぶつ 農薬 のうやく として用 もち いられている。
また、ヨーロッパ ではミモレット 、エダムチーズ 等 とう 伝統 でんとう 的 てき なチーズ の熟成 じゅくせい 法 ほう としてチーズダニが利用 りよう される[ 17] 。
ダニ類 るい は種類 しゅるい 数 すう も多 おお く、極 きわ めて多様 たよう なメンバーを含 ふく み科 か の数 かず も非常 ひじょう に多 おお い。分類 ぶんるい 階級 かいきゅう について、かつては目 め 階級 かいきゅう (ダニ目 め )であったが、のちに亜 あ 綱 つな 階級 かいきゅう (ダニ亜 あ 綱 つな )へ昇格 しょうかく されるようになった。この場合 ばあい 、ダニ類 るい の下位 かい 分類 ぶんるい は大 おお まかに胸 むね 穴 あな ダニ類 るい (胸 むね 穴 あな ダニ上目 うわめ 、マダニ目 め ・アシナガダニ目 め ・カタダニ目 め ・トゲダニ目 め を含 ふく む)と胸板 むないた ダニ類 るい (胸板 むないた ダニ上目 うわめ 、汎 ひろし ササラダニ目 め ・汎 ひろし ケダニ目 め を含 ふく む)の2群 ぐん としてまとめられる[ 21] [ 22] 。
従来 じゅうらい は単 たん 系統 けいとう 群 ぐん と考 かんが えられてきたが、分子 ぶんし 系統 けいとう 解析 かいせき によって諸説 しょせつ に分 わ かれる。胸 むね 穴 あな ダニ類 るい と胸板 むないた ダニ類 るい はそれぞれ別 べつ 系統 けいとう で、ダニ類 るい の多 た 系統 けいとう 性 せい を示唆 しさ する結果 けっか [ 3] があれば、両者 りょうしゃ は姉妹 しまい 群 ぐん でダニ類 るい の単 たん 系統 けいとう 性 せい を支持 しじ する結果 けっか もある[ 4] 。
以下 いか はダニ類 るい を従来 じゅうらい のダニ目 め とし、代表 だいひょう 的 てき な科 か のみを拾 ひろ い上 あ げる。また、この中 なか に諸説 しょせつ もあるので、注意 ちゅうい して頂 いただ きたい。
ダニ目 め (Acari )
アシナガダニ亜 あ 目 め
トゲダニ亜 あ 目 め (Mesostigmata )
ユメダニ科 か
イトダニ科 か
ヤドリダニ科 か
カブリダニ科 か
ワクモ科 か - イエダニ など
他 た
カタダニ亜 あ 目 め
マダニ亜 あ 目 め (Ixodida )
ケダニ亜 あ 目 め (Prostigmata )
テングダニ科 か
ハシリダニ科 か
ウシオダニ科 か - 海中 かいちゅう 性 せい
ハモリダニ科 か
タカラダニ科 か (Erythraeidae )
ツツガムシ 科 か (Trombiculidae ) - ネズミなどから吸血 きゅうけつ ・ツツガムシ病 びょう を媒介 ばいかい
ナミケダニ科 か (Trombidiidae )
ヒヤミズダニ科 か - 水中 すいちゅう 性 せい :以下 いか 、いわゆるミズダニ 類 るい 。
オオミズダニ科 か
オヨギダニ科 か
ツメダニ 科 か - 他 た のダニなどを捕食 ほしょく
ニキビダニ 科 か - 汗腺 かんせん の中 なか に寄生 きせい
ハダニ科 か - 植物 しょくぶつ の組織 そしき を食 く う・農業 のうぎょう 害虫 がいちゅう
シラミダニ科 か - 昆虫 こんちゅう に外部 がいぶ 寄生 きせい
ホコリダニ科 か
他 た
ササラダニ 亜 あ 目 め (Cryptostigmata ) - 植物 しょくぶつ 遺体 いたい などを食 く う土壌 どじょう 性 せい
ムカシササラダニ科 か
ヒワダニ科 か
チョウチンダニ科 か
マイコダニ科 か
フシイレコダニ科 か
ニセイレコダニ科 か
ツツハラダニ科 か
ヘソイレコダニ科 か
オニダニ科 か
ツキノワダニ科 か
ウズタカダニ科 か
ジュズダニモドキ科 か
ジュズダニ科 か
クモスケダニ科 か
ツヤタマゴダニ科 か
イブシダニ科 か
クワガタダニ科 か
ツブダニ科 か
ミズノロダニ科 か - 淡水 たんすい 性 せい
コバネダニ科 か
フリソデダニ科 か
他 た
コナダニ亜 あ 目 め (Astigmata )
以下 いか の分類 ぶんるい ・和名 わみょう は島野 しまの (2018, 2021) に従 したが ってダニ類 るい を胸 むね 穴 あな ダニ上目 うわめ と胸板 むないた ダニ上目 うわめ の2系統 けいとう に分 わ け、亜 あ 目 め までの分類 ぶんるい を示 しめ す[ 21] [ 22] 。
^ Zhang (2013)
^ 島野 しまの ・高久 たかく (2016)
^ a b Sharma, Prashant P.; Kaluziak, Stefan T.; Pérez-Porro, Alicia R.; González, Vanessa L.; Hormiga, Gustavo; Wheeler, Ward C.; Giribet, Gonzalo (2014-11-01). “Phylogenomic Interrogation of Arachnida Reveals Systemic Conflicts in Phylogenetic Signal” (英語 えいご ). Molecular Biology and Evolution 31 (11): 2963–2984. doi :10.1093/molbev/msu235 . ISSN 0737-4038 . https://academic.oup.com/mbe/article/31/11/2963/2925668 .
^ a b Lozano-Fernandez, Jesus; Tanner, Alastair R.; Giacomelli, Mattia; Carton, Robert; Vinther, Jakob; Edgecombe, Gregory D.; Pisani, Davide (2019-05-24). “Increasing species sampling in chelicerate genomic-scale datasets provides support for monophyly of Acari and Arachnida” (英語 えいご ). Nature Communications 10 (1): 1–8. doi :10.1038/s41467-019-10244-7 . ISSN 2041-1723 . https://www.nature.com/articles/s41467-019-10244-7 .
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