新興しんこう感染かんせん症しょう

新興しんこう感染かんせん症しょう（しんこうかんせんしょう、英えい: Emerging Infectious Disease）とは、その発症はっしょうがにわかに注目ちゅうもくされるようになった感染かんせん症しょうに対たいする総称そうしょうである。通常つうじょうは新興しんこう感染かんせん症例しょうれいは局地きょくち的てきあるいは、人物じんぶつの移動いどうによる国際こくさい的てきな感染かんせん拡大かくだいが公衆こうしゅう衛生えいせい上うえの問題もんだいとなるような感染かんせん症しょうについて取とり上あげられる。

病原びょうげん体たいとしてはウイルス、細菌さいきん、スピロヘータ、寄生虫きせいちゅうなど様々さまざまで、ウイルスによるものとしてはエイズ、エボラ出血熱えぼらしゅっけつねつ、ラッサ熱ねつなどがある。

世界せかい保健ほけん機関きかん（WHO）の定義ていぎによると、新興しんこう感染かんせん症しょうは「かつては知しられていなかった、この20年間ねんかんに新あたらしく認識にんしきされた感染かんせん症しょうで、局地きょくち的てきに、あるいは国際こくさい的てきに公衆こうしゅう衛生えいせい上じょうの問題もんだいとなる感染かんせん症しょう」とされている。この定義ていぎは1990年ねんに初はじめて発表はっぴょうされたものであり、1970年ねん以降いこうに発生はっせいしたものが新興しんこう感染かんせん症しょうとして扱あつかわれている。

なお、類似るいじした概念がいねんとして再興さいこう感染かんせん症しょうがある。

日本にっぽんの文部もんぶ科学かがく省しょうが、2005年度ねんどから5か年ねん計画けいかくで「新興しんこう・再興さいこう感染かんせん症しょう研究けんきゅう拠点きょてん形成けいせいプログラム」を行おこなっており、タイ王国おうこくには大阪大学おおさかだいがく、ベトナムには長崎大学ながさきだいがく、中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくには東京大学とうきょうだいがくが研究けんきゅう拠点きょてんを整備せいびしている。近々ちかぢか、フィリピンに東北大学とうほくだいがくが拠点きょてんを整備せいびする予定よていになっている。

主おもな新興しんこう感染かんせん症しょう

• ウイルス：ノロウイルス感染かんせん症しょう、ロタウイルス感染かんせん症しょう、重症じゅうしょう急性きゅうせい呼吸こきゅう器き症候群しょうこうぐん（SARS）、中東ちゅうとう呼吸こきゅう器き症候群しょうこうぐん（MERS）、新型しんがたコロナウイルス感染かんせん症しょう（COVID-19）、後天こうてん性せい免疫めんえき不全ふぜん症候群しょうこうぐん（AIDS）、成人せいじんT細胞さいぼう白血病はっけつびょう（ATL）、ウイルス性せい肝炎かんえん、ジカ熱ねつ、ウエストナイル熱ねつ、重症じゅうしょう熱性ねっせい血小板けっしょうばん減少げんしょう症候群しょうこうぐん（SFTS）、2009年ねんの新型しんがたインフルエンザ、鳥とりインフルエンザ、ハンタウイルス肺はい症候群しょうこうぐん、ラッサ熱ねつ、エボラ出血熱えぼらしゅっけつねつ、ニパウイルス感染かんせん症しょうなど
• 細菌さいきん：腸管ちょうかん出血しゅっけつ性せい大腸菌だいちょうきん（O157など）感染かんせん症しょう、ヘリコバクター・ピロリ感染かんせん症しょう、カンピロバクター症しょう、レジオネラ肺炎はいえん、多た剤ざい耐たい性せい肺結核はいけっかく、メチシリン耐たい性せい黄色おうしょくブドウ球菌きゅうきん（MRSA）感染かんせん症しょう、劇げき症しょう型がた溶血ようけつ性せいレンサ球菌きゅうきん感染かんせん症しょう、日本にっぽん紅べに斑むら熱ねつなど
• 寄生虫きせいちゅう：クリプトスポリジウム症しょう
• プリオン：クロイツフェルト・ヤコブ病びょう（CJD）

関連かんれん項目こうもく

• 感染かんせん症しょう / 伝染でんせん病びょう
• 再興さいこう感染かんせん症しょう / 人ひと獣じゅう共通きょうつう感染かんせん症しょう / 輸入ゆにゅう感染かんせん症しょう / 国際こくさい的てきに懸念けねんされる公衆こうしゅう衛生えいせい上じょうの緊急きんきゅう事態じたい
• 医師いし / 歯科しか医師いし / 感染かんせん症しょう専門医せんもんい / インフェクションコントロールドクター / 感染かんせん管理かんり看護かんご師し / 感染かんせん制御せいぎょ専門せんもん薬剤師やくざいし / 感染かんせん制御せいぎょ認定にんてい臨床りんしょう微生物びせいぶつ検査けんさ技師ぎし
• バイオセーフティーレベル
• 国立こくりつ感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょ / アメリカ疾病しっぺい予防よぼう管理かんりセンター / 世界せかい保健ほけん機関きかん