虫送 り
概要
[かつては
実 盛 について
[『
この
季語
[また、
歴史
[年表
[先史 時代
[縄文 時代 (※時代 区分 については諸説 あり。最 も早 い説 で前期 、遅 い説 で末期 ) -稲作 (陸稲 栽培 )の日本 伝来 。日本 列島 においてまだ少数 派 であった稲作 の担 い手 は、稲 を害 する虫 に悩 まされたであろう[24]が、当時 の大 多数 の日本人 にとって“稲 虫 ”の害 はまだ他人事 であったと思 われる。弥生 時代 早期 (旧来 の縄文 時代 末期 ) -日本 列島 における稲作 の本格 的 普及 。このとき以来 、稲作 の担 い手 と収穫 を当 てにする共同 体 にとって、稲 を害 する虫 の存在 は常 に付 きまとう大 きな脅威 となった[24]。
古代
[大宝 元年 8月 (701年 9月頃 [* 4]、飛鳥 時代 末期 ) -三河 国 (現在 の愛知 県 東部 地域 )を始 めとする17か国 に蝗 害 あり/『続 日本 紀 』巻 2大宝 元年 8月 辛 酉 条 に基 づく。以後 、数 年 おきに蝗 害 の記録 あり。天平 21年 /天平 感 宝 元年 /天平 勝 宝 元年 (749年 、奈良 時代 中期 ) -下総 国 (現在 の千葉 県 北部 ・茨城 県 西部 地域 等 )に蝗 害 あり/『続 日本 紀 』に基 づく。弘 仁 3年 (812年 、平安 時代 初期 ) -薩摩 国 (現在 の鹿児島 県 西部 地域 )に蝗 害 あり/ウンカによる。『日本 後 紀 』巻 22弘 仁 3年 条 に基 づく。寿 永 2年 6月1日 (西暦 換算 :1183年 6月22日 、平安 時代 末期 ) -篠原 の戦 いで平 氏 武将 ・斎藤 実 盛 (斎藤 別当 実 盛 )が戦死 /その最期 を伝 える逸話 が、後世 、主 として西日本 で稲 虫 を追 い払 う呪術 的 神事 と強 く結 びつくこととなる。
中世
[- 16
世紀 の初 め頃 [24](戦国 時代 中期 ) -各地 の農村 で虫送 りが行 われ始 める[24]。 天文 9年 (1540年 、戦国 時代 末期 ) -天文 の飢饉 が発生 /前年 に発生 した大雨 ・洪水 ・蝗 害 により、この年 の年明 け以降 、近畿 地方 を中心 とした各地 が飢饉 に見舞 われ、時 疫(流行 り病 )が追 い打 ちをかけた。しかし世 は戦国 の只 中 で、朝廷 (大和 朝廷 )・幕府 (室町 幕府 )・戦国 大名 (細川 政権 )による政治 的 ・経済 的 救済 は皆無 も同然 であった。
近世
[江戸 時代 全般 -広 く日本 各地 の農村 で虫送 りが行 われていた[24]。寛文 元年 (1661年 、江戸 時代 初頭 ) -小豆島 の伝法 川 流域 で虫送 りが始 まる/香川 県 小豆 郡 土庄 町 肥土山 の自治 会 の史料 による。寛文 10年 (1670年 ) -筑前 国 (現在 の福岡 県 北西 部 地域 )にて、鯨油 を使 った稲 虫 の注油 駆除 法 が考案 される[24]。享 保 17年 夏 (1732年 夏 、江戸 時代 前期 ) -享 保 の大 飢饉 が発生 /梅雨 入 りから2か月 も続 く長雨 による深刻 な冷夏 と稲 虫 (ウンカ)の大 発生 で西日本 全域 が大 凶作 に見舞 われる。とりわけ瀬戸内 の被害 は甚大 であった。稲 虫 の大 発生 については前年 の暖冬 も影響 している。稲 虫 の大 きく関 わる飢饉 としては日本 史上 最大 のものとなった。慶応 4年 5月26日 (1868年 7月 15日 、幕末 ) -鹿子 原 の虫送 り踊 (島根 県 邑智 郡 邑南町 矢上 鹿子 原 の虫送 り)の虫送 り当日 の献上 物 の記載 あり。
明治 ・大正 時代
[明治維新 以降 -稲 虫 の注油 駆除 法 で用 いられる油 が、鯨油 から石油 に置 き換 わる[24]。- 1898
年 (明治 31年 ) -正岡子規 が句集 『俳句 稿 』を刊行 。その「秋 の部 」に虫送 りの一句 「火 や鉦 や遠里小野 の虫 送 」あり。
昭和 時代
[第 二 次 世界 大戦 終戦 後 間 もなく -有機 合成 殺虫 剤 であるDDTやBHCが登場 し[24]、稲 虫 の注油 駆除 法 は約 280年 もの長 きに亘 る役割 を終 えた[24]。昭和 30年代 (1955~64年 ) -滋賀 県 下 でプロパンガスが普及 し、従来 の自家 燃料 としての菜種 殻 の需要 が無 くなる。菜種 栽培 の急速 な衰退 は虫送 りに欠 かせない松明 の材 としての菜種 殻 の調達 が困難 になったことを意味 し、これを機 に儀式 そのものが一気 に廃 れていった。- 1964
年 (昭和 39年 ) -横江 の虫送 り(石川 県 白山 市 横江 町 の虫送 り)が、白山 市 指定 無形 民俗 文化財 となる。最 も早期 の例 。 - 1967
年 (昭和 42年 )5月30日 -鹿子 原 の虫送 り踊 (島根 県 邑智 郡 邑南町 矢上 鹿子 原 の虫送 り)が、島根 県 指定 無形 民俗 文化財 となる。早期 の一 例 。 - 1973
年 (昭和 48年 ) -青森 県 五所川原 町 (現 ・五所川原 市 内 )にて「奥津 軽 虫 と火 まつり」の誕生 /地元 の青年 会議 所 が地域 の虫送 りに火祭 りの要素 を取 り入 れたことで成立 した。
平成 時代
[- 1991
年 (平成 3年 )2月 2日 -祖父江 の虫送 り(愛知 県 稲沢 市 祖父江 町 の虫送 り)が、国 の選択 無形 民俗 文化財 に選択 される。 - 2010
年 (平成 22年 )7月 -廃 れていた中山 虫送 り(香川 県 小豆 郡 小豆島 町 中山 の虫送 り)が、松竹 映画 『八日 目 の蝉 』の撮影 用 に再現 される。 - 2011
年 (平成 23年 )7月 -中山 虫送 りの復活 。
指定 文化財 等
[- ※
丸 括弧 内 の数字 は、指定 または選択 された年 。指定 の早 いものを先 に記載 する。数字 の無 いものは指定 された年 を確認 できないもので、最後 に記載 する。
国 の重要 無形 民俗 文化財 -該当 なし。国 の選択 無形 民俗 文化財 -祖父江 の虫送 り (1991)。都道府県 指定 重要 無形 民俗 文化財 - (福島 県 三島 町 の)虫送 り。都道府県 選択 無形 民俗 文化財 -該当 なし、もしくは未 確認 。都道府県 指定 無形 民俗 文化財 -鹿子 原 の虫送 り踊 (1967)。尾張 の虫送 り行事 (矢田 ) (1984)。尾張 の虫送 り行事 (祖父江 ) (1984)。北浦 地方 のサバー送 り (2009)。相内 の虫送 り (2011)。市町村 指定 重要 無形 民俗 文化財 -高橋 の虫送 り。市町村 選択 無形 民俗 文化財 -犬石 の虫送 り行事 (1983)。先達 の虫送 り (2010)。東横田 の虫送 り行事 (2016)。市町村 指定 無形 民俗 文化財 -横江 の虫送 り (1964)。肥土山 の虫送 り (1970)。中山 虫送 り (1970)。木 境 大物 忌 神社 の虫除 け祭 り (1992)。野田 の虫送 り (1998)。南山田 の虫送 り (2005)。(福井 県 鯖江 市 の)虫 おくり (2006)。善 願 の虫送 り (2015)。(岐阜 県 美濃 市 の)虫送 り。山田 町 虫送 り。奥津 軽 虫 と火 まつり。日吉 の御 鍬 祭 り。(愛媛 県 西 予 市 城川 町 の)実 盛 送 り。
各地 の虫送 り
[- ここでは、
存続 している(あるいは廃絶 した)虫送 りを、地方 別 ・都道府県 別 (※基準 は全国 地方 公共 団体 コード)で列記 する。なお、学術 調査 が全国 規模 で行 われた記録 は無 く、保存 状態 の全容 は掴 めない[26]。 近代 や近世 以前 にまで時代 を遡 れるものは、当時 の慣習 地名 (○国 〈形骸 化 した令 制 国 〉△郡 □村 など)や行政 地名 (○州 △藩 知行 □村 、○県 △郡 □村 など)をなるべく併記 する。
東北 地方
[参考 資料 - (外部 リンク)文化庁 文化財 部 伝統 文化 課 (2014年 3月 31日 ). “青森 県 南部 地方 の虫送 り ─調査 報告 書 ─” (PDF).公式 ウェブサイト.文化庁 . 2018年 5月 29日 閲覧 。
青森 県 の虫送 り
虫送 り
-
青森 県 五所川原 市 (旧 ・北津軽 郡 五所川原 村 界隈 。江戸 時代 における陸奥 国 津軽 郡 の喰 川村 ・平井 村 ・柏原 村 界隈 、幕 藩 体制 下 の弘前 藩 知行 喰 川村 ・平井 村 ・柏原 村 界隈 )に伝 わる。五所川原 市 指定 無形 民俗 文化財 。1964年 (昭和 39年 )、常陸宮 正 仁 親王 と旧 弘前 藩 津軽 家 出身 の津軽 華子 (華子 妃 )が、結婚 の報告 のために五所川原 を訪 れた際 、各 集落 ごとに実施 されていた虫送 りを中心 市街地 に集 めて盛大 に執 り行 ったことをきっかけに、虫送 りは市 の祭 りとして実施 されるようになった[34]。さらに1973年 (昭和 48年 )、五所川原 青年 会議 所 が地域 の虫送 りに火祭 りの要素 を取 り入 れたことで現在 の「奥津 軽 虫 と火 まつり」が誕生 した[34]。
秋田 県 の虫送 り
山形 県 の虫送 り
蝗 除 祭 (こうじょさい、俗称 :虫送 り)
福島 県 の虫送 り
虫送 り
-
高橋 の虫送 り
虫送 り
関東 地方
[埼玉 県 の虫送 り
千葉 県 の虫送 り
神奈川 県 の虫送 り
川和 の虫送 り(かわわのむしおくり)
南山田 の虫送 り
神奈川 県 横浜 市 都筑 区 南山田 (旧 ・都筑 郡 中川 村 山田 。江戸 時代 における武蔵 国 都筑 郡 山田 村 、幕 藩 体制 下 の御料 もしくは旗本 領 武 州 山田 村 )に、江戸 時代 より伝 わる[48]。横浜 市 指定 無形 民俗 文化財 [49](2005年 〈平成 17年 〉指定 [48])。戦後 (第 二 次 世界 大戦 後 )は途絶 えていたが、1976年 (昭和 51年 )に復活 した[49]。新暦 時代 の現在 は7月 の土用 入 り後 の最初 の土曜日 に行 われている[49]。視点 は氏神 である山田 神社 [49]。獅子頭 、独自 の囃子 「虫送 りの曲 」、空 き缶 に火 を灯 した松明 、囃子 連 によるひょっとこ踊 と獅子 舞 など、多 くの独自 性 が見 られる[49]。地域 は宅地 化 されて往時 の農村 風景 を失 っているが、保存 会 (虫送 り行事 保存 会 )と町内 会 を主催 とし[48]、地域 の夏 の恒例 行事 として伝承 されている[49]。松明 の数 を、200本 であった2015年 (平成 27年 )に対 して翌 2016年 (平成 28年 )は250本 に増 やすなどしている[48]。
中部 地方 ・東海 地方 ・北陸 地方
[新潟 県 の虫送 り
善 願 の虫送 り(ぜんがのむしおくり)[50]
下田 の虫送 り(しただのむしおくり)
富山 県 の虫送 り
床鍋 の虫送 り(とこなべのむしおくり、別名 :虫送 り大 松明 火祭 り)
富山 県 氷見 市 床鍋 [* 13](1896年 〈明治 29年 〉以前 の氷見 郡 速 川村 床鍋 、1889年 〈明治 22年 〉以前 の射水 郡 床鍋 村 。江戸 時代 における越 中国 射水 郡 床鍋 村 、幕 藩 体制 下 の加賀 藩 知行 越中 床鍋 村 )に伝 わる[52]。約 130年 前 (2017年 時点 )に始 まり、一時 途絶 えたが、1990年 (平成 2年 )に復活 した[52]。現在 は新暦 6月 中旬 に行 われる[53]。幣帛 を立 てて[53]竹 と藁 を主 材 に作 られた直径 約 1メートル・長 さ約 8メートルの円筒 形 の大 松明 に村 外 れで火 を点 けた後 [52][53]、山道 や畦 道 を曳 き廻 し[52]、鉦 や太鼓 を打 ち鳴 らしながら「泥 虫 どろむしほーい、泥 虫 ほい」の囃子 文句 と共 に練 り歩 き[52]、最後 に大 松明 を(現在 は1992年 〈平成 4年 〉に廃校 した旧 床鍋 小学校 跡 のグラウンドに[53])立 て、一気 に燃 え上 がる炎 で稲 虫 を追 い払 う[52]。2004年 (平成 16年 )に富山 県 教育 委員 会 主催 で選定 された「とやまの祭 り百 選 」の選定 物件 の一 つ(選定 名称 :床鍋 の虫送 り)[54]。
除 蝗 祭 (じょこうさい)
石川 県 の虫送 り
横江 の虫送 り
石川 県 白山 市 横江 町 [* 15](旧 ・石川 郡 横江 村 。江戸 時代 における加賀 国 石川 郡 横江 村 、幕 藩 体制 下 の加賀 藩 知行 加州 横江 村 )に、江戸 時代 より伝 わる[56]。白山 市 指定 無形 民俗 文化財 (1964年 〈昭和 39年 〉11月1日 指定 )[56]。起源 については、加州 郡代 (郡 奉行 )に願 い出 たという江戸 時代 の史料 等 が残 っている程度 で、いつごろ始 められたかなどは不明 [56]。新暦 時代 において以前 は毎年 7月 21日 の夜 に行 われてきたが、現在 7月 の海 の日 の前日 に行 われている[56]。起点 であるなど、関連 社 として宇佐 八幡 神社 (横江 町 1に所在 )[3]が大 きな役割 を果 たす[56]。横江 の虫送 りは、伝承 の古 さと規模 の大 きさも特徴 といえる[56]。- なお、
日本 各地 と同様 、現 ・白山 市域 でも山麓 部 から平野 部 まで農村 で古 くから広 く行 われていたが、農薬 が普及 するに連 れてほとんどの集落 で廃 れ、今 では極 わずかな集落 でしか見 ることができない[56]。
福井 県 の虫送 り
長野 県 の虫送 り
東横田 の虫送 り行事 (ひがしよこたのむしおくりぎょうじ)
先達 の虫送 り(せんだつのむしおくり)
- cf.
日吉 の御 鍬 祭 り(ひよしのおくわまつり)
岐阜 県 の虫送 り
虫送 り
愛知 県 の虫送 り
矢田 の虫送 り行事 (やたのむしおくりぎょうじ)
祖父江 の虫送 り(そぶえのむしおくり)[67]
虫送 り
蝗 除 祭 (こうじょさい)
三重 県 の虫送 り
近畿 地方
[滋賀 県 の虫送 り
- いもち
送 り
虫送 り
滋賀 県 蒲生 郡 竜王 町 の6集落 (岡屋 [* 30]、小口 おぐち、薬師 、山之上 、田中 、綾戸 。※全 て大字 )で存続 、11集落 (鏡 、山面 やまづら、西川 、須恵 すえ、橋本 、弓削 ゆげ、信濃 、庄 、川上 、林 、駕輿丁 かよちょう。※全 て大字 )で廃絶 [26][* 31]。地域 性 から「竜王 町 の虫送 り」と呼 んで差 し支 えないと思 えるが、固有 の公式 名称 は無 い。滋賀 県 下 ではどこも同 じで、プロパンガスが普及 することで従来 の自家 燃料 としての菜種 殻 の需要 が無 くなったがゆえに菜種 栽培 が急速 に衰退 した昭和 30年代 (1955~64年 )に、虫送 りに欠 かせない松明 の材 としての菜種 殻 の調達 が困難 になったことを機 に、儀式 そのものが急激 に衰退 したという[26]。[74][75]
蝗 除 祭 (こうじょさい、俗称 :いもち送 り)[76]
京都 府 の虫送 り
虫送 り
奈良 県 の虫送 り
中国 地方
[島根 県 の虫送 り
島根 県 邑智 郡 邑南町 矢上 やかみ鹿子 原 [* 37](江戸 時代 における石見 国 邑智 郡 矢上 村 鹿子 原 、幕 藩 体制 下 の石見 浜田 藩 知行 矢上 村 鹿子 原 )に伝 わる。島根 県 指定 無形 民俗 文化財 (1967年 〈昭和 42年 〉5月30日 指定 [84])[85]。太平洋戦争 中 も中止 することなく続 けられた[4]。古形 を残 す虫送 り行事 として全国 でも数少 ないものの一 つ[86][4][87]で、斎藤 実 盛 由来 の虫送 りである実 盛 送 りに、安芸 国 芸北 地方 (現 ・広島 県 芸北 地方 )より習 い伝 えられた太鼓 踊 が附随 するという全国 でもほとんど例 が無 い希少 性 でも高 く評価 されている[4]。1937年 (昭和 12年 )に編纂 された『邑智 郡 誌 』(森脇 太一 編 )によれば、慶応 4年 5月26日 (新暦 換算 :1868年 7月 15日 )に行 われた虫送 り当日 の献上 物 の記載 があり、少 なくともこの頃 には行 われていたことが分 かっている[4]。保存 会 は1963年 (昭和 38年 )に結成 された[4]。虫送 り踊 が奉納 される諏訪 神社 は、平安 時代 中期 にあたる承 和 2年 (835年 )、荒地 を開拓 するために信濃 国 の諏訪 大社 から農業 神 を分霊 した社 で、健 御名 方 神 (タケミナカタノカミ)と八坂 刀 売 神 (ヤサカトメノカミ)という夫婦 神 を祭神 とする[4]。
広島 県 の虫送 り
虫送 り
風 祈祷 (かぜきとう)
蝗 除 祭 (こうじょさい)
蟲送 り神事 (むしおくりしんじ)
虫送 り
山口 県 の虫送 り
山口 県 長門 市 の深川湾 に面 した地域 (かつての大津 郡 深川 村 および日置 村 。江戸 時代 における長門 国 大津 郡 深川 村 および日置 3か村 、幕 藩 体制 下 の長州 藩 知行 深川 村 および日置 3か村 )を核 として今 に伝 えられる。古来 、地元 では「サバー送 り」と通称 されるが、山口 県 指定 無形 民俗 文化財 (2009年 〈平成 21年 〉4月 14日 指定 [96])としての指定 名称 は「北浦 地方 のサバー送 り」である[93]。北浦 地区 (長 北 地区 )の名 を冠 してはいるが、行 われているのはその一角 。現在 は新暦 7月 1日 に行 われる[94]。当 地域 では、藁 を主 材 として作 られた2躯 の実 盛 人形 を長門 市 東深川 藤中 ふんじゅうから下関 市 豊北 町 粟野 まで送 り継 ぐことで稲 虫 の災禍 を追 い払 う[93][94]。2躯 の実 盛 人形 は共 に長 さ約 2メートル・高 さ約 1メートルの騎馬 武者 姿 で[94]、それぞれに「サバーサマ」「サネモリサマ」と呼 ばれるが[94]、前者 はウンカである稲 虫 の化身 であり、後者 は斎藤 実 盛 の霊 を指 すという[94][95]。実 盛 人形 の基 となる藁 人形 は、東深川 藤 中 にある飯山 八幡宮 社務 所 [* 43]で、8名 の氏子 によって送 り継 ぎの始 まるおよそ1週間 前 に作成 される[93][94]。その藁 人形 は八幡宮 宮司 に引 き継 がれ[93]、送 り継 ぎ開始 前々 日 までに、和紙 に書 いた顔 、和紙 で作成 された兜 、羽織 の代 わりとされる和紙 、木 の刀 が着 けられ、騎馬 武者 姿 に仕立 てられる[93]。兜 と羽織 には毛 利家 の印 である「一 ○」が記 される[93]。この後 、送 り継 ぎ開始 当日 までの2日間 、八幡宮 で虫除 けの神事 が行 われる[93]。送 り継 ぎは先 の藤中 から中山 ・江 良 ・上郷 の順 に二 十 数 か所 の集落 で行 われる[94]。その後 は年 によって違 うが、人形 は送 り継 いだ地域 の住民 によって抱 えられ、西深川 境川 を経由 した後 、日置上 長崎 へきかみ ながさこ[* 44](旧 ・大津 郡 日置上 村 長崎 )まで運 ばれる[94](※2010年代 現在 は経路 の多 くで軽 トラックが使 われる[95])。その後 は、各 自治 会 や子供 会 などの手 で数 週間 かけて各 地域 を送 り継 ぎ、下関 市 豊北 町 粟野 [* 45](かつての豊浦 郡 粟野 村 。江戸 時代 における長門 国 豊浦 郡 粟野 2か村 、幕 藩 体制 下 の長門 府中 藩 知行 粟野 2か村 )まで運 ばれる[93][94]。粟野 以降 の順路 は決 まっていないものの、最後 は、多 くの場合 は海 (油谷湾 )に流 され[93][94]、時 には燃 やされる[94]。
- サバー
送 り
四国 地方
[徳島 県 の虫送 り
実 盛 さんの虫送 り(さねもりさんのむしおくり)
香川 県 の虫送 り
虫送 り
中山 虫送 り(別名 :中山 の虫送 り、稲 虫送 り)[99]
香川 県 小豆 郡 小豆島 町 中山 [* 51](江戸 時代 における讃岐 国 小豆 郡 中山 村 、幕 藩 体制 下 の讃 州 津山 藩 知行 中山 村 )に、350年 以上 前 から伝 わる(※2010年代 時点 )[107][* 50]。小豆島 町 指定 無形 民俗 文化財 (1970年 〈昭和 45年 〉指定 )[105]。少子 高齢 化 による後継 者 不足 のために2005年 (平成 17年 )以降 行 われていなかったが、松竹 映画 『八日 目 の蝉 』の撮影 で2010年 (平成 22年 )に再現 され、翌 2011年 (平成 23年 )にはそれを受 けて再開 された[108][109]。元来 は半夏生 (夏至 から11日 目 )の日 に、現在 では新暦 7月 の第 1土曜日 に行 われる行事 で、火手 (ほて)と呼 ばれる竹 製 の松明 を携 え、中山 千 枚 田 と呼 ばれる棚田 の畦道 を歩 き、害虫 駆除 と豊作 を願 う[109]。
愛媛 県 の虫送 り
実 盛 送 り
愛媛 県 西 予 市 城川 町 の田穂 たお・魚成 うおなし地区 [* 52](旧 ・東宇和 郡 の田穂 村 ・魚成 村 界隈 。江戸 時代 における伊予 国 宇和 郡 田穂 村 ・魚成 村 界隈 、幕 藩 体制 下 の予 州 宇和島 藩 知行 田穂 村 ・魚成 村 界隈 )に伝 わる。300年 以上 の歴史 があるという(2010年代 時点 )。西 予 市 指定 無形 民俗 文化財 [110]。田穂 地区 は農林水産省 の「日本 の棚田 百 選 」にも選定 されている「堂 の坂 の棚田 」を擁 し、実 盛 送 りでもここを練 り歩 く[111]。当 地域 の実 盛 送 りは、田穂 で木 と紙 を主 材 に作 られる実 盛 人形 を魚成 へ送 り継 いでゆき[112][110]、最後 に道 と交 わる黒瀬川 [* 53]の川辺 に着 くと河原 に人形 を置 いて、これが大水 で流 された年 は豊作 になるという[112]。
九州 地方
[福岡 県 の虫送 り
虫 追 い祭 り
大分 県 の虫送 り
小松 明 火祭 り(こだいひまつり、別名 :おがた小松 明 火祭 り)
宮崎 県 の虫送 り
虫 追 い
除 蝗 祈願 祭 (じょこうきがんさい)
地名
[脚注
[注釈
[- ^
季語 の分類 では「人 が行 う事柄 」を「行事 」「人事 」「生活 」などという語 で表 す。歳時記 等 によって名称 が異 なる。 - ^
同様 の事象 を表 す複数 の季語 があるとき、その中 で最 も重要 な季語 とそれ以外 の季語 の関係 を親 と子 に譬 えて「親 季語 」「子 季語 」という。なお、子 季語 を「傍題 」ともいうが、本来 、傍題 は「季題 」の対義語 であって「季語 」とは対 義 関係 にない。 - ^ weblio
季語 ・季題 辞典 は、「虫 追 い」を夏 の季語 としながら「虫追 」を秋 の季語 としていて、混乱 しているようにもとれる。 - ^
和 暦 の大宝 元年 8月 1日 と8月 29日 (同月 最終 日 )は、西暦 (ユリウス暦 )では701年 9月 7日 と10月 5日 。 - ^
五所川原 市 相内 (地図 - Google マップ) - ^
由利 本荘 市 八森 城跡 (地図 - Google マップ) - ^
鶴岡 市 三瀬 (地図 - Google マップ) - ^
大沼 郡 会津 美里 町 高田 (地図 - Google マップ) - ^
袖ケ浦 市 野田 (地図 - Google マップ) - ^
横浜 市 都筑 区 川和 町 (地図 - Google マップ) - ^
五泉 市 赤海 (地図 - Google マップ) - ^
三条 市 下田 (地図 - Google マップ) - ^
氷見 市 床鍋 (地図 - Google マップ) - ^
南 砺市利賀 村 百瀬 (地図 - Google マップ) - ^
白山 市 横江 町 (地図 - Google マップ) - ^
鯖江 市 莇生田 町 (地図 - Google マップ) - ^
長野 市 篠ノ井有旅 犬石 区 (地図 - Google マップ) - ^
長野 市 篠ノ井横田 東横田 区 (地図 - Google マップ) - ^
諏訪 郡 富士見 町 先達 (地図 - Google マップ) - ^
下伊那 郡 阿南 町 和合 日吉 (地図 - Google マップ) - ^
美濃 市 上野 (地図 - Google マップ) - ^
美濃 市 御手洗 (地図 - Google マップ) - ^
常滑 市 矢田 (地図 - Google マップ) - ^
稲沢 市 祖父江 町 (地図 - Google マップ) - ^
犬山 市 城東 地区 (地図 - Google マップ) - ^
犬山 市 五郎丸 (地図 - Google マップ) - ^
四日市 市 富田 (地図 - Google マップ) - ^
近江八幡 市島 町 (地図 - Google マップ) - ^
近江八幡 市 北津田 町 (地図 - Google マップ) - ^
竜王 町 岡屋 (地図 - Google マップ) - ^
服部 (1978) が示 す、竜王 町 で存続 させている集落 と廃絶 した集落 のリストは、同 資料 内 で一部 に食 い違 っている箇所 がある。本 項 には最初 に示 されているリストを反映 させた。 - ^
野洲 市 大篠原 (地図 - Google マップ) - ^ 2015
年 4月 に記 された資料 で「15年 ほど前 」と言及 していることを論拠 に換算 。 - ^
京都 市 左京 区 久 多 (地図 - Google マップ) - ^
京都 市 左京 区 久 多 (地図 - Google マップ) - ^
天理 市 山田 町 (地図 - Google マップ) - ^ 邑南
町 鹿子 原 (地図 - Google マップ) - ^
福山 市 神村 町 (地図 - Google マップ) - ^
福山 市 駅家町服部永谷 (地図 - Google マップ) - ^
広島 県 府中 市 栗柄 町 (地図 - Google マップ) - ^
三次 市 君田 町 西入君 (地図 - Google マップ) - ^
北広島 町 新庄 (地図 - Google マップ) - ^
飯山 八幡宮 (長門 市 東深川 藤中 1832)(地図 - Google マップ) - ^
長門 市 日置上 長崎 (地図 - Google マップ) - ^
下関 市 豊北 町 粟野 (地図 - Google マップ) - ^
阿南 市 長生 町 上荒井 (地図 - Google マップ) - ^ “
伝法 川 水系 ”.川 の名前 を調 べる地図 . 2018年 5月 29日 閲覧 。 - ^
肥土山 農村 歌舞伎 保存 会 会長 の話 によれば、この年 には日本 列島 で稲 虫 (※この時 の害虫 は、生物 学 的 にはワタリバッタと推定 される)が大 発生 し、農作物 を食害 されることによって全国 で100万 人 近 い餓死 者 を出 していて、伝法 川 流域 の虫送 りはこの惨事 に大 きく関係 しているということであるが、裏 が取 れないので、本文 に書 き込 まず、注釈 に留 める。出典 :タイマツの火 で水田 の害虫 を海 まで誘 いだす伝統 行事 「虫送 り」 - B&G財団 、2016年 7月 15日 。 - ^
土庄 町 肥土山 (地図 - Google マップ) - ^ a b
寛文 元年 (1661年 )に始 まったということで、2018年 時点 では 357年 前 ( 2018-1661=357 )。 - ^
小豆島 町 中山 (地図 - Google マップ) - ^
西 予 市 城川 町 (地図 - Google マップ) - ^ “
黒瀬川 ”.川 の名前 を調 べる地図 . 2018年 5月 29日 閲覧 。 - ^
久留米 市 田主丸 町 田主丸 (地図 - Google マップ) - ^
豊後 大野 市 緒方 町 原尻 (地図 - Google マップ) - ^
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関連 項目
[住吉 踊 り田植 え終了 後 にサナボリとなり、虫送 りが行 われる。九州 地方 では田植 え終了 はサノボリという。サナボリ・サノボリが訛 り実 盛 (サネモリ)という。「さ」は民俗 学的 には田園 の神 であり、田植 え前 には、「早 降 り、さ降 り」という田 んぼでの神降 ろし儀式 が行 われる。
外部 リンク
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