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わら

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
いねわらたば
ベーラーでまとめられた飼料しりょうようわら

わら(わら)とは、いね小麦こむぎなどイネ植物しょくぶつおもくき乾燥かんそうさせたもの稲作いなさく麦作むぎさく農業のうぎょうにおいて発生はっせいする副産物ふくさんぶつであり、燃料ねんりょう飼料しりょう工芸こうげいひん藁葺わらぶき屋根やね生活せいかつ用具ようぐなどの原料げんりょうとして利用りようされてきた。

概要がいよう

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わら野焼のや

わらはかつては多方面たほうめんからの需要じゅようすくなくなかったが、現代げんだいとく先進せんしんこくおいては近代きんだいすすんだため需要じゅよう飼料しりょう分野ぶんやサイレージ)に集中しゅうちゅうしている。需要じゅよう自体じたいおおく、日本にっぽんわら外国がいこくから輸入ゆにゅうしている。日本にっぽん農業のうぎょうでもわら大量たいりょう排出はいしゅつされているが、有効ゆうこう利用りようには成功せいこうしていない。農林水産省のうりんすいさんしょうわら利用りよう支援しえんしている[1]種々しゅじゅ理由りゆうのために需給じゅきゅうわず、結果けっかてき大半たいはん廃棄はいきぶつとして、すきみまたは野焼のや処分しょぶんとなっている。「#いねわらの需要じゅよう状況じょうきょう」「野焼のや」も参照さんしょう

いねわらの需要じゅよう状況じょうきょう

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わらべるうし

2003年度ねんど平成へいせい15年度ねんど)、国産こくさんいねわらはやく871まんt生産せいさんされているが、利用りようじょうきょうをみると飼料しりょうようやく1わりにとどまっており、やく8わりいねわらは、すきみ・焼却しょうきゃくとう処分しょぶんされている。飼料しりょうよういねわらそう供給きょうきゅうりょうは119まんtであり、このうち、国内産こくないさんいねわらは85%、輸入ゆにゅういねわらは15%[2]

地域ちいき主力しゅりょく農産物のうさんぶつによる需給じゅきゅうちがいもあり、こめどころの宮城みやぎけんから畜産ちくさんさかんな鹿児島かごしまけんいねわらはこんで飼料しりょうとして活用かつようし、畜産ちくさん副産物ふくさんぶつ堆肥たいひペレットを鹿児島かごしまけんから宮城みやぎけん提供ていきょうする広域こういき連携れんけい実証じっしょう実験じっけんが、りょうけん農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあいにより2023ねんはるからおこなわれている[3]

最近さいきん研究けんきゅうでは本田ほんだ技術ぎじゅつ研究所けんきゅうじょからバイオマスエタノール製造せいぞう実験じっけん発表はっぴょうされている[4]

茨城いばらきけん水戸みと地元じもと水戸みと納豆なっとう各社かくしゃは、納豆なっとう容器ようき使つかいねわら確保かくほのための協議きょうぎかい設立せつりつした[5]

用途ようと

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わら納豆なっとう

各国かっこくのわら文化ぶんか

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日本にっぽん

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歴史れきし

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稲木いなぎ
わらづか
わら仕事しごと効率こうりつのため明治めいじ終盤しゅうばん考案こうあんされた足踏あしぶせいなわ(せいじょうき)

むぎ収穫しゅうかくでは、道具どうぐ使つかわずにくびったり、くきごと方法ほうほう収穫しゅうかくぼう各々おのおの一端いったんひもしばった2つのぼう)で穂先ほさきはさんでしごき方法ほうほうもある。ふるくは、石器せっきかま動物どうぶつ直線ちょくせんてきほねかくいちれつけたかま直線ちょくせんがま)による収穫しゅうかくはじまり、しん石器せっき時代じだい前半ぜんはんわりころ石器せっきかま曲線きょくせんてきほねかくけた湾曲わんきょくがま出現しゅつげんした[6]石器せっき湾曲わんきょくがまのち同様どうよう形状けいじょうをした鉄器てっきってわられていった。

稲刈いねか当初とうしょ石器せっきいし庖丁ぼうちょうによるつまみでなされていたが、てつせいかま普及ふきゅうによってかぶ基部きぶ切断せつだんする方式ほうしき変化へんかした[7]

麦作むぎさくにおける湾曲わんきょくがま稲作いなさくにおける鉄製てつせいがま出現しゅつげんは、イネ植物しょくぶつたばにしていちることを可能かのうにし、かたちととのったわら大量たいりょう発生はっせいつながったとかんがえられる。わら十分じゅうぶん乾燥かんそうさせるとくさりにくく、保存ほぞんしやすい。ほそわり強度きょうどもある。このため家畜かちくべさせる飼料しりょうのほか、そのまま燃料ねんりょう緩衝かんしょうざい断熱だんねつざいとして使用しようしたり、んだり、なわにしてさらにそのなわ加工かこうしたりして様々さまざまにち用品ようひん寝具しんぐつくられるようになった。

日本にっぽんにおいてたとえば、『万葉集まんようしゅう』のなかでもられる住宅じゅうたくわらいてるというスタイルは古代こだいから地域ちいきによっては江戸えど時代じだいまでつづいた。住宅じゅうたく板敷いたじきになっても藁布団わらぶとんもちいたり、茣蓙ござむしろのような敷物しきものたたみ円座えんざといったわら製品せいひんうえすわったりする風習ふうしゅうながつづいた。また、伝統でんとうてき日本にっぽん家屋かおくでもわら利用りようおおく、木舞こまいとしてかべんだり[8]重要じゅうよう部分ぶぶんわらなわむすんだりした。

衣服いふくとしてはかさみの草鞋わらじわら手袋てぶくろ雪国ゆきぐににおけるふかくつなどが製作せいさくされた。食生活しょくせいかつではなべじきなべ束子たわし容器ようきるいなど、そのほうきたわらふごなわとべようなどのなわわら製品せいひん代表だいひょうれいである。わらえやすいためかまど風呂ふろき、屋外おくがいでの焚火たきびたきぎとともにくべられた。とりわけ平野へいや水田すいでん地帯ちたいたきぎられる山林さんりんからとおいため、手近てぢかられるわら炊事すいじ燃料ねんりょうとして大切たいせつだった。わらうしうまえさ(飼料しりょう)になったほか、あまったわら不要ふようになったわら製品せいひん堆肥たいひとしても使つかわれ、近代きんだい以前いぜん農村のうそんでは使つかくされた。また、注連縄しめなわわらわら人形にんぎょうなどの神事しんじにもかせなかった。

わら細工ざいくおこなうにはハカマとばれるしもるワラスグリをはじめワラり、ワラちなどの加工かこう[9]さらくさじゅく防止ぼうしするために囲炉裏いろり乾燥かんそうさせるとともにけむり微粒子びりゅうしける作業さぎょう重要じゅうようであった。とはいえ、これらの作業さぎょう以外いがい基本きほんてきにはひねり・たばね・み・み・巻上まきあげ・りといった比較的ひかくてき習熟しゅうじゅくしやすい作業さぎょうおおく、農作業のうさぎょう出来できないふゆなどに老若男女ろうにゃくなんにょわずに現金げんきん収入しゅうにゅうるためのわら仕事しごとおこなわれた。

イギリス

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イングランドではかつてほとんどの農村のうそん住居じゅうきょむぎ藁葺わらぶきであった[10]住居じゅうきょちがや葺材としては、麦藁むぎわら(Long Straw)、あし(WaterReed)、いたしょう麦藁むぎわら(Combed WheatReed)が主要しゅようなものであるが、麦藁むぎわらざいもっと熟練じゅくれん技術ぎじゅつようする[10]

1940ねん以前いぜんは、かや葺用の麦藁むぎわら穀物こくもつ生産せいさん副産物ふくさんぶつ利用りようしたものであった[10]。しかし、1940ねん以降いこうになると農業のうぎょう変化へんかにより、穀物こくもつ生産せいさん茅葺かやぶよう麦藁むぎわら生産せいさんはなされ、かや葺用の麦藁むぎわら特別とくべつ作物さくもつとしてそだてられるようになった[10]。さらに1994ねん以降いこう海外かいがいから輸入ゆにゅうおこなわれている[10]

ベラルーシ

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2022ねん国際こくさい連合れんごう教育きょういく科学かがく文化ぶんか機関きかん(ユネスコ)の無形むけい文化ぶんか遺産いさんにベラルーシのわら細工ざいく文化ぶんか登録とうろくされた[11]

関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ いねわらについて 農林水産省のうりんすいさんしょう(2023ねん5がつ16にち閲覧えつらん
  2. ^ 農林水産省のうりんすいさんしょう生産せいさんきょく畜産ちくさん畜産ちくさん振興しんこう/ 「いねわらをめぐる状況じょうきょう平成へいせい17ねん3がつ (PDF) [リンク]
  3. ^ 宮城みやぎいねわら⇔鹿児島かごしま堆肥たいひあまった資源しげん広域こういき連携れんけい高騰こうとう対策たいさく だっ輸入ゆにゅう依存いぞんへ/コスト検証けんしょう 25ねんまで実証じっしょう実験じっけん読売新聞よみうりしんぶん朝刊ちょうかん2023ねん5がつ1にち社会しゃかいめん)2023ねん5がつ16にち閲覧えつらん
  4. ^ 本田ほんだ技術ぎじゅつ研究所けんきゅうじょ (2006ねん9がつ14にち). “RITEとHonda、セルロースけいバイオマスからのエタノール製造せいぞうしん技術ぎじゅつ共同きょうどう開発かいはつ”. 2008ねん10がつ5にち閲覧えつらん
  5. ^ “わら納豆なっとう安定あんてい供給きょうきゅうへ、水戸みと生産せいさんしゃ協議きょうぎかい. 『日本経済新聞にほんけいざいしんぶん』ニュース. (2017ねん6がつ7にち). https://www.nikkei.com/article/DGXLZO17377320W7A600C1L60000/ 
  6. ^ 有村ありむらまことだいII 畑作はたさく農耕のうこうはじまりとむぎ起源きげん : だい5しょう 西にしアジア先史せんし時代じだいのムギ農耕のうこう道具どうぐ北海道大学ほっかいどうだいがく出版しゅっぱんかい佐藤さとう洋一郎よういちろう, 加藤かとうかまむぎ自然しぜん : ひと自然しぜんはぐくんだムギ農耕のうこう』の一部いちぶ〉、2010ねん3がつhdl:2297/37070ISBN 9784832981904https://hdl.handle.net/2297/37070 
  7. ^ あけてみよう! 歴史れきしのとびら 「いし庖丁ぼうちょう(いしぼうちょう)」稲刈いねかりの道具どうぐ 大野城おおのじょう
  8. ^ この方法ほうほう存在そんざい7世紀せいき遺跡いせきから確認かくにんすることができる。
  9. ^ ワラスグリをされた「スグリワラ」はわら悍にある程度ていどかたさを必要ひつようとするもの、ワラちをされた「ウチワラ(タタキワラ)」はしなやかさと緻密ちみつせい強靭きょうじんせいのあるわら繊維せんい必要ひつようとするもの、わらりをされた「キリワラ」は一定いっていながさにそろえられたわらたば原料げんりょうとするものをつくるためにもちいられた。
  10. ^ a b c d e 田中たなか麻里まりイギリスの茅葺かやぶ民家みんか茅葺かやぶきトレーニング」『群馬大学ぐんまだいがく教育きょういく学部がくぶ紀要きよう. 芸術げいじゅつ技術ぎじゅつ体育たいいく生活せいかつ科学かがくへんだい40かん群馬大学ぐんまだいがく教育きょういく学部がくぶ、2005ねん、187-199ぺーじCRID 1050845762590702592hdl:10087/565ISSN 0533-6627 
  11. ^ ベラルーシ公開こうかい情報じょうほうとりまとめ ちょざいベラルーシ日本国にっぽんこく大使館たいしかん

参考さんこう文献ぶんけん

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