大宝たいほう (日本にっぽん)

大宝たいほう（たいほう、（だいほう、旧きゅう字体じたい：大寶たいほう）は、日本にっぽんの元号げんごうのひとつ。朱鳥あすかの後のち、慶けい雲くもの前まえ。701年ねんから704年ねんまでの期間きかんを指さす。この時代じだいの天皇てんのうは文武ぶんぶ天皇てんのう。

概要がいよう

大宝たいほう年間ねんかんには完成かんせいした大宝たいほう律令りつりょうが施行しこうされ、都城みやこのじょうとしての藤原ふじわら京きょう遷都せんとや遣唐使けんとうし派遣はけんと並ならんで、元号げんごう制定せいていも律令りつりょう国家こっか建設けんせつの一環いっかんとして行おこなわれた。

『日本書紀にほんしょき』に拠よれば、大宝たいほう以前いぜんにも大化たいか（645年ねん - 650年ねん）、白しろ雉（650年ねん - 654年ねん）、1年ねんだけ存在そんざいした朱鳥あすか（686年ねん）の三みっつの元号げんごうがあったとされ、『続ぞく日本にっぽん紀き』は白鳳はくほうと朱雀すじゃくの存在そんざいを記しるすが、日本にっぽんにおける元号げんごう制度せいどは断絶だんぜつ状態じょうたいにあり、「大宝たいほう」の改元かいげんにより元号げんごう使用しようは再開さいかいされる。ただし大だい宝たから以前いぜんの木簡もっかんや金石かねいし文あやで元号げんごうが使つかわれた例れいはなく、大宝たいほうが最初さいしょの元号げんごうとする説せつもある^[1]。

以降いこう、元号げんごう制度せいどは途切とぎれることなく現在げんざいの「令れい和わ」に至いたるまで続つづいている。

改元かいげん

文武ぶんぶ天皇てんのう5年ねん3月21日にち（ユリウス暦れき701年ねん5月3日にち）：対たい馬嶋まじまからの金かねの献上けんじょうにより大宝たいほうに改元かいげん。ただし、後のちに、この金かねの献上けんじょうは対馬つしま産さんではないと指摘してきされる（続ぞく日本にっぽん紀き）^[2]。
大宝たいほう4年ねん5月がつ10日とおか（ユリウス暦れき704年ねん6月16日にち）：藤原ふじわら京きょうにおける瑞雲ずいうんの発現はつげんにより慶けい雲くもに改元かいげん。

典拠てんきょ

『易えき経けい』繋辞けいじ下か
- 「天地てんち之の大徳だいとく曰生、聖人せいじん之の大宝たいほう曰位」

大宝たいほう年間ねんかんの出来事できごと

元年がんねん（701年ねん）
- 大宝たいほう律令りつりょうを撰せん定じょうし、新令しんれいを明あかり法ほう博士はかせに講義こうぎさせる。地方ちほう行政ぎょうせい区画くかくも国くに評ひょう制せいから国くに郡ぐん里さと制せいへと改あらたまった。
2年ねん（702年ねん）
- 6月がつ：粟田あわた真人まさと、高橋たかはし笠間かさまら大宝たいほうの遣唐使けんとうしを唐とうへ派遣はけん。
- 12月：持もち統すべ太上天皇だじょうてんのう崩御ほうぎょ。
- この年とし
  - 大宝たいほう律令りつりょうを施行しこう。
  - 諸国しょこくに度量どりょう器きを頒布はんぷ。
3年ねん（703年ねん）
- 刑部親王おさかべしんのう（忍壁皇子おさかべのみこ）を知ち太政官だじょうかん事ごとに任にんずる。庚午こうご年ねん籍せきを造みやつこ籍せきする。
4年ねん（704年ねん） - 全国ぜんこくの国くに印しるしが一斉いっせいに鋳造ちゅうぞうされた。それを機会きかいに国名こくめいに用もちいる文字もじが改定かいていされた（例れい、科か野の→信濃しなの）。

大宝たいほう年間ねんかん（701年ねん - 704年ねん）
- 讃岐さぬき守道もち守もり、那珂なか郡ぐん万まん濃こ（満濃まんのう）池いけを築きずく。

死去しきょ

2年ねん
- 12月22日にち - 持もち統すべ太上天皇だじょうてんのう

西暦せいれきとの対照たいしょう表ひょう

※は小しょうの月つきを示しめす。

大宝たいほう元年がんねん（辛からし丑うし）	一いち月がつ※	二に月がつ	三さん月がつ	四よん月がつ※	五月ごがつ※	六ろく月がつ	七なな月がつ※	八はち月がつ※	九きゅう月がつ	十じゅう月がつ※	十一月じゅういちがつ	十二月じゅうにがつ
ユリウス暦れき	701/2/13	3/14	4/13	5/13	6/11	7/10	8/9	9/7	10/6	11/5	12/4	702/1/3
大宝たいほう二に年ねん（壬みずのえ寅とら）	一いち月がつ※	二に月がつ	三さん月がつ	四よん月がつ※	五月ごがつ	六月ろくがつ※	七なな月がつ	八はち月がつ※	九きゅう月がつ	十じゅう月がつ※	十一月じゅういちがつ※	十二月じゅうにがつ
ユリウス暦れき	702/2/2	3/3	4/2	5/2	5/31	6/30	7/29	8/28	9/26	10/26	11/24	12/23
大宝たいほう三さん年ねん（癸みずのと卯う）	一いち月がつ	二に月がつ※	三さん月がつ	四よん月がつ※	閏うるう四よん月がつ	五月ごがつ	六月ろくがつ※	七なな月がつ	八はち月がつ※	九きゅう月がつ	十じゅう月がつ※	十一月じゅういちがつ※	十二月じゅうにがつ
ユリウス暦れき	703/1/22	2/21	3/22	4/21	5/20	6/19	7/19	8/17	9/16	10/15	11/14	12/13	704/1/11
大宝たいほう四よん年ねん（甲きのえ辰たつ）	一いち月がつ※	二に月がつ	三さん月がつ	四よん月がつ※	五月ごがつ	六月ろくがつ※	七なな月がつ	八はち月がつ	九きゅう月がつ※	十じゅう月がつ	十一月じゅういちがつ※	十二月じゅうにがつ
ユリウス暦れき	704/2/10	3/10	4/9	5/9	6/7	7/7	8/5	9/4	10/4	11/2	12/2	12/31

出典しゅってん

『続ぞく日本にっぽん紀き』巻まき2 文武ぶんぶ天皇てんのう2

対馬つしま島とう貢みつぐ金きん。建けん元もと為ため大宝たいほう元年がんねん。

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

^ 『神かみ皇すめらぎ正統せいとう記き』中ちゅう　第だい四よん二に代だいには、「大宝たいほうと云うんこれよりさきに孝徳たかのりの御代みよに大化たいか白しろ雉天智てんじの御ご時どき白鳳はくほう天武てんむの御代みよに朱雀すざく朱鳥あすかなんと云うん号ごうありしかと大宝たいほうより後のちにそたえぬことにはなりぬるよりて大だい宝たからを年号ねんごうの始はじめとする也」とある。
^ 瀬野せの精一郎せいいちろう『長崎ながさき県けんの歴史れきし』山川やまかわ出版しゅっぱん社しゃ、1972年ねん、28頁ぺーじ