ボイラー整備せいび

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ボイラー整備せいび(ボイラーせいびし)とは、労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせいほうさだめられた日本にっぽん国家こっか資格しかく労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせいほうによる免許めんきょしょう)のひとつで、ボイラー整備せいび免許めんきょ試験しけん合格ごうかくし、免許めんきょ交付こうふけたものをいう。

概要がいよう[編集へんしゅう]

労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせいほう昭和しょうわ47ねん法律ほうりつだい57ごうだい61じょうでは、事業じぎょうしゃは、政令せいれいさだめる一定いってい業務ぎょうむについては、都道府県とどうふけん労働ろうどう局長きょくちょう当該とうがい業務ぎょうむかか免許めんきょけたものまた都道府県とどうふけん労働ろうどう局長きょくちょう登録とうろくけたものおこな当該とうがい業務ぎょうむかか技能ぎのう講習こうしゅう修了しゅうりょうしたものその厚生こうせい労働ろうどう省令しょうれいさだめる資格しかくゆうするものでなければ、当該とうがい業務ぎょうむかせてはならないとしている。

そして、就業しゅうぎょう制限せいげんかか業務ぎょうむひとつとして労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせいほう施行しこうれい昭和しょうわ47ねん政令せいれいだい318ごう)は「ボイラー小型こがたボイラーおよ小規模しょうきぼボイラーをのぞく)まただいろくじょうだいじゅうななごうだい一種いっしゅ圧力あつりょく容器ようき整備せいび業務ぎょうむ」について就業しゅうぎょう制限せいげんもうけており(労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせいほう施行しこうれいだい20じょうだい5ごう)、当該とうがい業務ぎょうむについては労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせい施行しこう規則きそく昭和しょうわ47ねん労働省ろうどうしょうれいだい32ごう)により、ボイラー整備せいび免許めんきょけたものでなければ、当該とうがい業務ぎょうむかせてはならないとしている(労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせい施行しこう規則きそく別表べっぴょうだいさん)。

例外れいがい[編集へんしゅう]

労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせいほう施行しこうれいだい20じょうだい5ごうは「ボイラー(小型こがたボイラーおよつぎかかげるボイラーをのぞく)まただいろくじょうだいじゅうななごうだい一種いっしゅ圧力あつりょく容器ようき整備せいび業務ぎょうむ」とさだめており、小型こがたボイラーと労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせいほう施行しこうれいだい20じょうだい5ごうに「つぎかかげるボイラー」としてかかげられているボイラー(一般いっぱんには小規模しょうきぼボイラーと呼称こしょうされている)の整備せいび業務ぎょうむについては就業しゅうぎょう制限せいげんもうけていない。

小型こがたボイラー(労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせいほう施行しこうれいだい1じょうだい4ごう定義ていぎ
  1. ゲージ圧力あつりょく0.1MPa以下いか使用しようする蒸気じょうきボイラーで、つてねつ面積めんせきが1㎡以下いかのものまたどう内径ないけいが300mm以下いかで、かつ、そのながさが600mm以下いかのもの
  2. つてねつ面積めんせきが3.5㎡以下いか蒸気じょうきボイラーで、大気たいき開放かいほうした内径ないけいが25mm以上いじょう蒸気じょうきかんけたものまたはゲージ圧力あつりょく0.05MPa以下いかで、かつ、内径ないけいが25mm以上いじょうのUかたちりつかん蒸気じょうきけたもの
  3. ゲージ圧力あつりょく0.1MPa以下いか温水おんすいボイラーで、つてねつ面積めんせきが8㎡以下いかのもの
  4. ゲージ圧力あつりょく0.2MPa以下いか温水おんすいボイラーで、つてねつ面積めんせきが2㎡以下いかのもの
  5. ゲージ圧力あつりょく1MPa以下いか使用しようする貫流かんりゅうボイラー(かんせの内径ないけいが150mmをえるかんしきのものをのぞく)で、つてねつ面積めんせきが10㎡以下いかのもの(すい分離ぶんりゆうするものにあっては、当該とうがいすい分離ぶんり内径ないけいが300mm以下いかで、かつ、その内容ないようせきが0.07㎥以下いかのものにかぎる。)
小規模しょうきぼボイラー(労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせいほう施行しこうれいだい20じょうだい5ごうで「つぎかかげるボイラー」として定義ていぎ
  1. どう内径ないけいが750mm以下いかで、かつ、そのながさが1300mm以下いか蒸気じょうきボイラー
  2. つてねつ面積めんせきが3㎡以下いか蒸気じょうきボイラー
  3. つてねつ面積めんせきが14㎡以下いか温水おんすいボイラー
  4. つてねつ面積めんせきが30㎡以下いか貫流かんりゅうボイラー(すい分離ぶんりゆうするものにあっては、当該とうがいすい分離ぶんり内径ないけいが400mm以下いかで、かつ、その内容ないようせきが0.4㎥以下いかのものにかぎる。)

ボイラー技士ぎし・ボイラー溶接ようせつとの関係かんけい[編集へんしゅう]

なお、特級とっきゅう一級いっきゅうきゅうかくボイラー技士ぎし免許めんきょとは上位じょうい下位かいでなくべつ系統けいとう資格しかくである。このため、たとえ特級とっきゅうボイラー技士ぎし免許めんきょっていてもボイラー整備せいび免許めんきょがなければ、(整備せいび指示しじけて整備せいび補助ほじょはできるが)みずか整備せいびおこなうことはできない。また、溶接ようせつともな場合ばあいには、(特別とくべつ普通ふつうボイラー溶接ようせつ資格しかく必要ひつようとなる。

免許めんきょ交付こうふ要件ようけん[編集へんしゅう]

ボイラー整備せいび免許めんきょ試験しけん合格ごうかくし、以下いかのいずれかに該当がいとうするまん18さい以上いじょうものは、東京とうきょう労働ろうどうきょくちょう申請しんせいすることによって免許めんきょ交付こうふけ、ボイラー整備せいびとなることができる。

  • ボイラー(小規模しょうきぼボイラーおよ小型こがたボイラーをのぞく)まただい一種いっしゅ圧力あつりょく容器ようき小規模しょうきぼだい一種いっしゅ圧力あつりょく容器ようきおよ小型こがた圧力あつりょく容器ようきのぞく)の整備せいび補助ほじょ業務ぎょうむに6かげつ以上いじょう従事じゅうじした経験けいけんゆうするもの
  • 自己じこあつかうボイラーまただい一種いっしゅ圧力あつりょく容器ようき整備せいび補助ほじょ業務ぎょうむに3ねん以上いじょう従事じゅうじした経験けいけんゆうするものあつかい1ねんにつき2かげつ整備せいび補助ほじょ業務ぎょうむ従事じゅうじしたものとみなす)
  • 小規模しょうきぼボイラーまた小規模しょうきぼだい一種いっしゅ圧力あつりょく容器ようき整備せいび業務ぎょうむに6かげつ以上いじょう従事じゅうじした経験けいけんゆうするもの
  • 自己じこあつか小規模しょうきぼボイラーまた小規模しょうきぼだい一種いっしゅ圧力あつりょく容器ようき整備せいびに3ねん以上いじょう従事じゅうじした経験けいけんゆうするものあつかい1ねんにつき2かげつ従事じゅうじしたものとみなす)
  • 準則じゅんそく訓練くんれん職業しょくぎょう訓練くんれん)のうち整備せいび管理かんり運転うんてんけいのボイラー運転うんてん修了しゅうりょうしたもの
  • 専修せんしゅう訓練くんれん職業しょくぎょう訓練くんれん)のうちボイラー運転うんてん修了しゅうりょうしたもの

これらの要件ようけんは2012ねん平成へいせい24ねん)3がつ31にちまでボイラー整備せいび受験じゅけん資格しかく要件ようけんとしてさだめられていたが、ほう改正かいせいにより、2012ねん平成へいせい24ねん)4がつ1にち以降いこう免許めんきょ交付こうふ要件ようけんあらためられている[1]

免許めんきょ試験しけん[編集へんしゅう]

ボイラー整備せいび免許めんきょ試験しけん労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせいほうもとづき、厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじん指定していする試験しけん機関きかんとなっている公益こうえき財団ざいだん法人ほうじん安全あんぜん衛生えいせい技術ぎじゅつ試験しけん協会きょうかい実施じっしする試験しけんである。

  • 5月、10月、2がつごろとし3かい全国ぜんこく安全あんぜん衛生えいせい技術ぎじゅつセンターおこなわれる。学科がっかのみで実技じつぎはない。
  • きゅうボイラー技士ぎし免許めんきょゆうするなど、一定いってい条件じょうけん該当がいとうする場合ばあい申請しんせいにより試験しけん科目かもく一部いちぶ下記かき試験しけん科目かもく1)が免除めんじょされる。
  • 試験しけん時間じかんは4科目かもくわせて150ふん前号ぜんごう科目かもく免除めんじょ場合ばあいは3科目かもく100ふんおこなわれる。
  • 合格ごうかく基準きじゅんかく科目かもく40%以上いじょうかつ合計ごうけい60%以上いじょう

 なお、科目かもく免除めんじょ場合ばあいはその科目かもく配点はいてんのぞかれて計算けいさんされる。

近年きんねん試験しけん結果けっか
実施じっし年度ねんど 受験じゅけんしゃすう 合格者数ごうかくしゃすう 合格ごうかくりつ
2001年度ねんど 2,820にん 1,478にん 52.4%
2002年度ねんど 2,803にん 1,813にん 64.7%
2003年度ねんど 2,677にん 1,595にん 59.6%
2004年度ねんど 3,107にん 1,698にん 54.7%
2005年度ねんど 3,397にん 2,123にん 62.5%
2006年度ねんど 3,647にん 2,378にん 65.2%
2007年度ねんど 3,443にん 2,338にん 67.9%
2008年度ねんど 3,586にん 2,352にん 65.6%
2009年度ねんど 3,817にん 2,233にん 58.5%
2010年度ねんど 3,673にん 2,001にん 54.5%
2011年度ねんど 3,397にん 2,138にん 62.9%
2012年度ねんど 4,338にん 2,598にん 59.9%
2013年度ねんど 4,299にん 2,511にん 58.4%
2016年度ねんど 3,429にん 2,395にん 69.8%
2017年度ねんど 3,522にん 2,375にん 67.4%
2018年度ねんど 3,226にん 2,068にん 64.1%
2019度度どど 3,124にん 1,902にん 60.9%
2020年度ねんど 1,726にん 1,219にん 70.6%
2021年度ねんど 2,837にん 1,686にん 59.4%
2022年度ねんど 2,968にん 2,009にん 67.7%
2023年度ねんど 2,762にん 1,921にん 69.6%

試験しけん科目かもく[編集へんしゅう]

  1. ボイラーおよだい一種いっしゅ圧力あつりょく容器ようきかんする知識ちしき(10もん 配点はいてん30てん)
  2. ボイラーおよだい一種いっしゅ圧力あつりょく容器ようき整備せいび作業さぎょうかんする知識ちしき(10もん 配点はいてん30てん)
  3. ボイラーおよだい一種いっしゅ圧力あつりょく容器ようき整備せいび作業さぎょう使用しようする器材きざい薬品やくひんとうかんする知識ちしき(5もん 配点はいてん20てん)
  4. 関係かんけい法令ほうれい(5もん 配点はいてん20てん)

受験じゅけん資格しかく[編集へんしゅう]

  • なし。だれでも受験じゅけんできる。2012ねん平成へいせい24ねん)3がつ31にちまでボイラー整備せいび免許めんきょ試験しけん受験じゅけん資格しかく要件ようけんとしてさだめられていたものは、ほう改正かいせいにより、2012ねん平成へいせい24ねん)4がつ1にち以降いこう先述せんじゅつ免許めんきょ交付こうふ要件ようけんあらためられている。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ きゅうボイラー技士ぎしとうの6免許めんきょについて”. 厚生こうせい労働省ろうどうしょう (2012ねん5がつ24にち). 2024ねん3がつ28にち閲覧えつらん

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]