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水蒸気すいじょうき

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水蒸気すいじょうき(すいじょうき、スチームともいう)は、みず気化きかした蒸気じょうき空気くうきちゅう水蒸気すいじょうきりょうとく飽和ほうわ水蒸気すいじょうきりょうたいする水蒸気すいじょうきりょう割合わりあいのことを湿度しつどという。

水蒸気すいじょうき湯気ゆげ[編集へんしゅう]

水蒸気すいじょうき湯気ゆげ状態じょうたい性質せいしつことなり、水蒸気すいじょうき気体きたいえないのにたいし、湯気ゆげ液体えきたいえる状態じょうたいである[1]きりかわきり温泉おんせん湯煙ゆけむりかしているやかんくちから湯気ゆげさむあさしろいきなどは、みず蒸発じょうはつのち冷却れいきゃくされ凝結ぎょうけつしたもので、そのしょうじた液体えきたい直後ちょくご蒸発じょうはつして瞬時しゅんじえてしまうことがおお[2]

なお、「蒸気じょうき」は科学かがく時代じだいになってまれた概念がいねんであるため、ほとんどのくに湯気ゆげから派生はせいした言葉ことばてている[3]たとえばタイでは「アイナム」といい蒸気じょうき水蒸気すいじょうき湯気ゆげ区別くべつがない[3]一方いっぽう英語えいごではsteam(湯気ゆげ)とvapor(蒸気じょうき)があり、後者こうしゃのほうが意味いみてきには揮発きはつちかみずからははなれているとされる[3]

みず蒸気じょうき[編集へんしゅう]

一定いってい圧力あつりょく常温じょうおんみずをゆっくり加熱かねつすると[注釈ちゅうしゃく 1]、ある温度おんど大気たいきあつ 760 mmHg のもとでは 100 )で蒸気じょうきわる[注釈ちゅうしゃく 2]加熱かねつともなってみず蒸発じょうはつ全体ぜんたい体積たいせき増加ぞうかするが、そのあいだ温度おんど一定いっていのままわらない。すべてのみず蒸発じょうはつして気体きたいとなったのち、ゆっくりとさらに加熱かねつすると、蒸気じょうき温度おんどふたた増加ぞうかはじめる。

みずの P-v せん

蒸気じょうきとなったみず冷却れいきゃくすると、おな経路けいろぎゃくにたどって、蒸気じょうき凝縮ぎょうしゅくして液体えきたいみずになる。以上いじょう変化へんかは、みずかぎらず一般いっぱん物質ぶっしつ共通きょうつうしている。一部いちぶみず液体えきたい)が蒸発じょうはつはじめる温度おんどを、その圧力あつりょくにおける飽和ほうわ温度おんどとよび[注釈ちゅうしゃく 3]ぎゃくにその圧力あつりょくを、その温度おんどにおける飽和ほうわ圧力あつりょく飽和ほうわ蒸気じょうきあつとよぶ。標準ひょうじゅん大気たいきあつみず飽和ほうわ温度おんどは 100 ℃ であり、100 ℃ のみず飽和ほうわ圧力あつりょくは 760 mmHg = 1013.25 hPa である。飽和ほうわ温度おんど圧力あつりょく上昇じょうしょうするととも上昇じょうしょうする。

飽和ほうわ温度おんどみず液体えきたい)を飽和ほうわすいみず以外いがいでは飽和ほうわえき)、蒸気じょうき飽和ほうわ蒸気じょうきとよび、飽和ほうわ温度おんど以下いか温度おんどみず液体えきたい)をサブクールすいみず以外いがいではサブクールえき)、飽和ほうわ温度おんど以上いじょう温度おんど蒸気じょうき気体きたい)を過熱かねつ蒸気じょうきみず以外いがいでもおなじ)とよぶ。サブクールすいまたは過熱かねつ蒸気じょうきねつ力学りきがくてき状態じょうたいは、ふたつの状態じょうたいりょう通常つうじょう圧力あつりょく温度おんど)で指定していすることができる。

みずの T-s せん

蒸気じょうきあわふくんだみず水滴すいてきふくんだ蒸気じょうき一般いっぱん湿しめ蒸気じょうきとよばれる。みず蒸気じょうきねつ力学りきがくてき平衡へいこう圧力あつりょく温度おんどがあいひとしい)であれば、飽和ほうわすいえき)と飽和ほうわ蒸気じょうき混合こんごうぶつである。湿しめ蒸気じょうきであれば圧力あつりょく飽和ほうわ圧力あつりょくであり、温度おんど飽和ほうわ温度おんどである。湿しめ蒸気じょうきねつ力学りきがくてき状態じょうたい圧力あつりょくまたは温度おんどくわえて、つぎしきかわたび英語えいごばん χかいもちいて指定していすることができる。

:気体きたい質量しつりょう:全体ぜんたい質量しつりょう
みずの h-s せん

圧力あつりょくたかくなると、気体きたい飽和ほうわ蒸気じょうき体積たいせき単位たんい質量しつりょうあたりの体積たいせき)はちいさくなり、一方いっぽう飽和ほうわすい体積たいせき飽和ほうわ温度おんどたかくなるためすこしずつおおきくなり、ある圧力あつりょく飽和ほうわすい飽和ほうわ蒸気じょうき状態じょうたいいちてん合体がったいする。この状態じょうたい臨界りんかいてんとよばれ、臨界りんかいてん以上いじょう圧力あつりょくでは液体えきたい気体きたい区別くべつをつけることはできなくなる(⇒ちょう臨界りんかい流体りゅうたい)。みず臨界りんかいてんは、圧力あつりょく 220.64バール (22.064 MPa; 217.75 atm) 、温度おんど 373.95 °C (647.10 K) 、体積たいせき 0.0031700 m3/kg である。

湿しめ蒸気じょうき密閉みっぺい容器ようきなかでゆっくり冷却れいきゃくすると、蒸気じょうき一部いちぶ凝縮ぎょうしゅくするととも温度おんど圧力あつりょく低下ていかする。湿しめ蒸気じょうき維持いじしたままある温度おんどたっすると、湿しめ蒸気じょうき一部いちぶこおりしょうじ、温度おんど圧力あつりょく変化へんかしなくなる。この状態じょうたい三重みえてんとよび、みず場合ばあいは、温度おんど 0.01 °C (273.16 K)、圧力あつりょく 0.006112バール (0.0006112 MPa; 0.006032 atm) である。みず三重みえてん国際こくさい単位たんいけい温度おんど定義ていぎ基準きじゅんてんもちいられている。

三重みえてんみずをさらに冷却れいきゃくすると、みずこおり変化へんか凝固ぎょうこ)し、みずがなくなると温度おんど圧力あつりょくふたた低下ていかはじめ、蒸気じょうきこおり変化へんか固体こたい気体きたいあいだ状態じょうたい変化へんかそうじて昇華しょうかという)する。液体えきたいみずは、三重みえてん臨界りんかいてんあいだかぎられた圧力あつりょく範囲はんい存在そんざいすることになる。これらのことがらは、みずかぎらず一般いっぱん物質ぶっしつ共通きょうつうした性質せいしつである。

水蒸気すいじょうき利用りよう[編集へんしゅう]

食品しょくひん分野ぶんやではふるくから料理りょうり澱粉でんぷんせい食品しょくひん加工かこう焼成しょうせいもちいられてきた[4][5]業務ぎょうむよう厨房ちゅうぼう機器きき食品しょくひん加工かこう装置そうちスチームコンベクションオーブンなど)や調理ちょうり家電かでん炊飯すいはんなど)にも利用りようされている[4]圧力あつりょくがまオートクレーブもほぼこれを利用りようしている。

また、水蒸気すいじょうき利用りようした蒸気じょうき機関きかんは、おも産業さんぎょう革命かくめい以降いこうねつエネルギーから運動うんどうエネルギーへ変換へんかんする動力どうりょくげんとして重要じゅうよう役割やくわりになった[4]汽力発電はつでん火力かりょく発電はつでん原子力げんしりょく発電はつでん)で蒸気じょうきタービン駆動くどう利用りようされている。

このほか、水蒸気すいじょうきねつなかだちとした蒸気じょうき暖房だんぼう風呂ぶろ高温こうおん利用りようした清掃せいそう用具ようぐ(スチームクリーナー)がある。

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ みず全体ぜんたい温度おんど均一きんいつになる程度ていどにゆっくりと加熱かねつするとする。つよ加熱かねつすると加熱かねつめんちかくのみず温度おんど上昇じょうしょうし、場合ばあいによってはそこから蒸気じょうきあわしょうじる。えきちゅうから蒸気じょうきあわしょうじる蒸発じょうはつ沸騰ふっとうとよぶ。
  2. ^ 気体きたいめる部分ぶぶん空気くうきとう除去じょきょし、液体えきたいおな圧力あつりょく水蒸気すいじょうきだけとする。
  3. ^ 標準ひょうじゅん大気たいきあつ 760 mmHg での飽和ほうわ温度おんどとく沸点ふってんとよび区別くべつする。みず沸点ふってんは 100 ℃(正確せいかくには 99.9743 ℃)である。沸点ふってんという用語ようごは、圧力あつりょく標準ひょうじゅん大気たいきあつ限定げんていせずに、ひろ飽和ほうわ温度おんど意味いみもちいられる場合ばあいもある。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 渡辺わたなべ勇三ゆうぞう1P1-C2 面白おもしろ科学かがく実験じっけん数量すうりょうてき議論ぎろんする(インタラクティブ(1),インタラクティブセッション,次世代じせだい科学かがくりょくそだてる-社会しゃかいとのグラウンディングをもとめて-)」『日本にっぽん科学かがく教育きょういく学会がっかい年会ねんかいろん文集ぶんしゅうだい34かん日本にっぽん科学かがく教育きょういく学会がっかい、2010ねん、455-456ぺーじdoi:10.14935/jssep.34.0_455ISSN 2186-3628 
  2. ^ 山下やましたあきら手作てづく実験じっけんあれこれ――教育きょういく現場げんばからPart 3 (1)」『可視かし情報じょうほう学会がっかいだい18かんだい70ごう可視かし情報じょうほう学会がっかい、1998ねん、192-197_1、doi:10.3154/jvs.18.70_192ISSN 09164731 
  3. ^ a b c 石田いしだ博幸ひろゆき, 木村きむら久美子くみこC-08 ブラジルとアジア諸国しょこく科学かがく用語ようご比較ひかく(日本にっぽん理科りか教育きょういく学会がっかい だい53かい東海とうかい支部しぶ大会たいかい)」『日本にっぽん理科りか教育きょういく学会がっかい東海とうかい支部しぶ大会たいかい研究けんきゅう発表はっぴょう要旨ようししゅう』、日本にっぽん理科りか教育きょういく学会がっかい東海とうかい支部しぶ大会たいかい事務じむきょく、2006ねん11月、55ぺーじNDLJP:10417043 
  4. ^ a b c 伊與田いよだ浩志ひろし食品しょくひん加工かこうにおける過熱かねつ水蒸気すいじょうき利用りようかんする研究けんきゅう」『日本にっぽん食品しょくひんこう学会がっかいだい25かんだい1ごう日本にっぽん食品しょくひんこう学会がっかい、2024ねん3がつ、1-7ぺーじdoi:10.11301/jsfe.23641ISSN 1345-7942 
  5. ^ 小野おの和広かずひろ過熱かねつ水蒸気すいじょうき」『日本にっぽん食品しょくひん科学かがくこう学会がっかいだい55かんだい3ごう日本にっぽん食品しょくひん科学かがくこう学会がっかい、2008ねん3がつ、121-121ぺーじdoi:10.3136/nskkk.55.121ISSN 1341-027X 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]