サッカーのポジション

サッカーのポジションでは、サッカーにおけるポジションの概要がいようと歴史れきしについて解説かいせつする。

概要がいよう

サッカーのポジションは、後うしろからゴールキーパー (GK) 、ディフェンダー (DF) （CB：センターバック・SB：サイドバック・SW：スウィーパー)、ミッドフィールダー (MF) （DMF：ディフェンシブミッドフィルダー・WB：ウイングバック・CMF：セントラルミッドフィルダー・SMF：サイドミッドフィルダー・OMF：オフェンシブミッドフィルダー）、フォワード (FW) （WG：ウイング・ST：セカンドトップ・CF：センターフォワード）、の4種類しゅるいに分わけられる。なおこれらの名称めいしょうについては現在げんざい日本にっぽんで用もちいられているもので、中なかでもオフェンシブミッドフィルダーとセカンドトップは和製わせい英語えいごであり、本来ほんらいの英語えいご圏けんではそれぞれアタッキングミッドフィルダー (Attacking Midfielder, AMF) 、セカンドストライカー (Second Striker, SS) などと呼よぶのが一般いっぱん的てきである。また、歴史れきし的てきには別べつの名称めいしょうで呼よばれていたこともある。GKを除のぞく3つのポジションについては、さらに細分さいぶん化かすることができる。また、ゴールキーパーを除のぞくプレイヤーをフィールドプレーヤーと呼よぶ。各かくポジションはさらに細こまかい位置いちや役割やくわりによって細分さいぶん化かされるが、細分さいぶん化かについては国こくごとにポジションに対たいする認識にんしきや分わけ方かたが異ことなる。

一般いっぱん的てきにシステム論議ろんぎで用もちいられる、3-5-2や4-4-2といった全体ぜんたいのフォーメーションについては、これらのポジションを後うしろから、DF-MF-FWの順じゅんにその人数にんずうを数かぞえたものである。すなわち3-5-2といった場合ばあいはDFが3人にん、MFが5人にん、FWが2人ふたり、4-4-2の場合ばあいは、DFが4人にん、MFが4人にん、FWが2人にんという具合ぐあいである。また、4-2-3-1のようにDF-後方こうほうのMF-前方ぜんぽうのMF-FWと、MFを2つに分わけて表あらわすこともある。GKを数かぞえないのは、ルールによって必かならず1人ひとりだけと決きまっているからである。ただし、スペインでは1-4-4-2などのようにGKの1を含ふくめて表記ひょうきする、3バックは5バックとして考かんがえられ、1-5-3-2のように表記ひょうきされる、などの特徴とくちょうがある。また、日本にっぽんではポジションを図示ずししたときは、図ずの上うえがフィールドの前まえになり、上うえからFW・MF・DF・GKの順じゅんに表示ひょうじするので、3-5-2などの表記ひょうきがわかりにくいが、ヨーロッパでは上うえからGK・DF・MF・FWの順じゅんに表示ひょうじすることも多おおく、こちらに慣なれていれば3-5-2などの表記ひょうきもわかりやすい。

サッカー用語ようごには「定義ていぎがはっきりしている用語ようご」が非常ひじょうに少すくないということに注意ちゅういする必要ひつようがある。。同おなじ用語ようごを使つかっていてもその使つかう人間にんげんによって全まったく異ことなる意味いみで使つかわれている場合ばあいがあり、そこを踏ふまえておかないと大おおきな誤あやまりを犯おかす可能かのう性せいがある。

歴史れきし

フットボール・アソシエーションが1863年ねんに誕生たんじょうし、最初さいしょのサッカーのルール"Law of the Game"が規定きていされた時ときのルールは現在げんざいと比較ひかくして以下いかの点てんにおいて大おおきな違ちがいがあった。

1. プレーヤーの人数にんずうに関かんする規定きていが設もうけられていない。
2. ゴールキーパーに関かんする規定きていが設もうけられていない。
3. ボールより前まえのポジションはアウト・オブ・プレーとされ、プレーに関与かんよできない。

という点てんである。このため、ポジションについては以下いかの特徴とくちょうが生うまれる事ことになった。ポジションのほとんどがフォワードのみであったという事ことである。この当時とうじのゲームの基本きほん的てきな戦術せんじゅつは、ドリブル中心ちゅうしんのゲーム展開てんかいで、時々ときどき、前まえに大おおきく蹴けり込こんで、そこに走はしりこむ「キック・アンド・ラッシュ」が展開てんかいされていた。現在げんざいのラグビーの基本きほん戦術せんじゅつとさほど変かわりが無ないと理解りかいして、大おおきな相違そういは無ない。

このスタイルは1866年ねんにアウト・オブ・プレーに関かんする規定きていが大幅おおはばに見直みなおされて3人にん制せいオフサイドに移行いこうすると、従来じゅうらいのポジションよりやや後うしろに位置いちする選手せんしゅが現あらわれ始はじめた。ただし、この従来じゅうらいのポジションよりやや後うしろに位置いちするポジションの概念がいねんとして明確めいかくにバック、バックスという概念がいねんがあったかどうかは疑問ぎもんである。イングランドでは1870年代ねんだいの初頭しょとうまで、ドリブル中心ちゅうしんのゲームにキック・アンド・ラッシュが時折ときおり混まざるという展開てんかいのされ方かたがされており、フィールド全体ぜんたいに選手せんしゅが散ちらばるという発想はっそうは未いまだ一般いっぱん的てきではなかった。

ただし、この期間きかんにフォワードのみのポジションの概念がいねんに新あらたに加くわわったポジションが誕生たんじょうした。1871年ねんにルール上じょうに規定きていされたゴールキーパーである。

さらに、ゴールキーパーとフォワードのみという概念がいねんに大おおきな変化へんかがもたらされるのが、1872年ねんに行おこなわれた、最初さいしょの国際こくさい親善しんぜん試合しあい、イングランド対たいスコットランドである。この試合しあいでイングランドは、従来じゅうらい通どおりのドリブルゲームと、キック・アンド・ラッシュを展開てんかいしたが、スコットランドはパスを繋つないでゴールの前まえに迫せまるという戦術せんじゅつを展開てんかいした。これが「パス・ゲーム」の始はじまりである。パス・ゲームの登場とうじょうはフィールド全体ぜんたいに選手せんしゅを散ちらばらせるという概念がいねんを生うみ出だした。こうした概念がいねんの中なかで生うみ出だされたのが、ゴールの前まえで守備しゅびを行おこなうバック、バックスというポジションと、バックとフォワードの間あいだを埋うめるハーフバックのポジションで1870年代ねんだい中ちゅうごろまでには、この4つのポジションを配置はいちする事ことが一般いっぱん的てきになった。

これによって現在げんざいに連つらなる、ゴールキーパー、バック（＝ディフェンダー）、ハーフバック（＝ミッドフィールダー）、フォワードの基本きほん的てきな4分類ぶんるいが出揃でそろった事ことになる。

関連かんれん項目こうもく

• サッカーのフォーメーション

参考さんこう文献ぶんけん

• アルフレッド・ヴァール「サッカーの歴史れきし」2002年ねん創はじめ元もと社しゃ ISBN 4-422-21161-7