ズニ族ぞく

ズニ族ぞくは（ズニぞく、Zuñi）は、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくのニューメキシコ州しゅうに住すむインディアン（ネイティブ・アメリカン）の部族ぶぞくである。ツニ、ズーニーとも表記ひょうきされる。

「ズニ」は近ちかくのケレスの部族ぶぞくによる呼称こしょうだが、意味いみは不明ふめいである。

概要がいよう

部族ぶぞくの起源きげんや歴史れきしについては詳くわしいことはわかっていない。生業せいぎょうはトウモロコシやカボチャ、豆まめの農耕のうこうである。母系ぼけい制せい社会しゃかいで、カチナという神かみ々（精霊せいれい）を信仰しんこうしている^[1]。カチナは村むらを訪おとずれ、雨あめの恵めぐみをもたらすとされており、カチナの訪問ほうもんを祝いわう儀式ぎしきが守まもられている。

1877年ねんにズニ族ぞくの保留ほりゅう地ちが設もうけられた。

人類じんるい学者がくしゃのフランク・ハミルトン・クッシングは1879年ねんから1884年ねんまで部族ぶぞくと一緒いっしょに暮くらし、神話しんわや習俗しゅうぞくについて報告ほうこくを残のこしている。

ルース・ベネディクトは著書ちょしょ『文化ぶんかの型かた』の中なかで、穏おだやかなズニ族ぞくの文化ぶんかを「アポロ型がた」、競争心きょうそうしんが旺盛おうせいなクワキウトゥル族ぞくの文化ぶんかを「ディオニソス型がた」と定義ていぎした（「アポロ型がた」「ディオニソス型がた」はニーチェ『悲劇ひげきの誕生たんじょう』の所論しょろんを援用えんようしたもの）。

現在げんざいのズニ族ぞく

20世紀せいきには保留ほりゅう地ちの範囲はんいが削減さくげんされており、現在げんざい割わり当あてられている土地とちは本来ほんらいの3%であるという^[2]。1630年ねんの人口じんこうは1万まんだったが、1937年ねんには2000人にん、1980年代ねんだいには約やく2500人にん^[3]。

ズニ族ぞくの銀ぎん細工ざいくの工芸こうげい品ひん（インディアンジュエリー）が知しられている。元もとは19世紀せいきにナバホ族ぞくが作つくり始はじめ、ズニ族ぞくやホピ族ぞくも作つくるようになった。

言語げんご

ズニ語ご - 孤立こりつした言語げんごである。

文献ぶんけん

N・Y・デイビス、吉田よしだ禎ただし吾われ、白川しらかわ琢磨たくま『ズニ族ぞくの謎なぞ』（ちくま学芸がくげい文庫ぶんこ、2004年ねん） - 日本にっぽん文化ぶんかとズニ族ぞくの文化ぶんかの類似るいじ点てんを論ろんじ、13世紀せいきに日本人にっぽんじんが太平洋たいへいようを渡わたったという仮説かせつを提示ていじしている。

脚注きゃくちゅう

^ 『文化ぶんか人類じんるい学がく事典じてん』（弘文こうぶん堂どう、1987年ねん）p401。
^ デイヴィッド・M.ジョーンズ、ブライアン・L.モリノー『世界せかいの神話しんわ百科ひゃっかアメリカ編へん』（原はら書房しょぼう、2002）p76。
^ 『文化ぶんか人類じんるい学がく事典じてん』p401。

外部がいぶリンク

牧田まきた満知子まちこ「環境かんきょうとの共生きょうせいをめざすアメリカ先住民せんじゅうみん族ぞく文化ぶんか　ズニ族ぞく環境かんきょう保護ほごプロジェクト（ニューメキシコ州しゅう／アメリカ）の現状げんじょうについての一いち考察こうさつ」[1]（『環境かんきょう社会しゃかい学がく研究けんきゅう』6号ごう(2000.10)

[1] 『文化ぶんか人類じんるい学がく事典じてん』（弘文こうぶん堂どう、1987年ねん）p401。

[2] デイヴィッド・M.ジョーンズ、ブライアン・L.モリノー『世界せかいの神話しんわ百科ひゃっかアメリカ編へん』（原はら書房しょぼう、2002）p76。

[3] 『文化ぶんか人類じんるい学がく事典じてん』p401。

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