セベ・バレステロス

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
この名前なまえは、スペイン語ご圏けんの人名じんめい慣習かんしゅうに従したがっています。第だい一いち姓せい（父方ちちかたの姓せい）はバジェステロス、第だい二に姓せい（母方ははかたの姓せい）はソタです。
　セベ・バレステロス　
Seve Ballesteros
基本きほん情報じょうほう
名前なまえ セベ・バレステロス
生年月日せいねんがっぴ (1957-04-09) 1957年ねん4月がつ9日にち
没ぼつ年月日ねんがっぴ (2011-05-07) 2011年ねん5月7日にち（54歳さい没ぼつ）
国籍こくせき スペインの旗 スペイン
出身しゅっしん地ち カンタブリア州しゅうペドレーニャ
経歴けいれき
成績せいせき
優勝ゆうしょう回数かいすう マスターズ: 2勝しょう (1980年ねん、1983年ねん)
ジ・オープン: 3勝しょう (1979年ねん、1984年ねん、1988年ねん)
日本にっぽんオープン: 2勝しょう (1977年ねん、1978年ねん) など
殿堂でんどう表彰ひょうしょう者しゃ
選出せんしゅつ年ねん 1997年ねん
選出せんしゅつ部門ぶもん 国際こくさい投票とうひょう
2009年ねん2月がつ26日にち現在げんざい
テンプレートを表示ひょうじ
セベ・バレステロス

セベ・バレステロス（Seve Ballesteros、本名ほんみょう: Severiano Ballesteros Sota (セベリアーノ・バジェステロス・ソタ) 、1957年ねん4月がつ9日にち - 2011年ねん5月7日にち）は、スペインのカンタブリア州しゅうペドレーニャ出身しゅっしんのプロゴルファー。「セベ」の愛称あいしょうで親したしまれ、欧州おうしゅうツアー50勝しょう(歴代れきだい1位い)[1]、米べいPGAツアー9勝しょう、日本にっぽんでも日本にっぽんオープン2年ねん連続れんぞく優勝ゆうしょう[2]など全ぜん世界せかいで91勝しょうを挙あげるなどし、ゴルフ史上しじょうに残のこる名めいプレーヤーの一人ひとりに数かぞえられる。

来歴らいれき[編集へんしゅう]

酪農らくのう家いえの家庭かてい[1][3]に男おとこばかり4人にん兄弟きょうだいの末すえっ子ことして生うまれる[2]。キャディのアルバイトをしていた兄あにの影響えいきょうでゴルフに触ふれ、7歳さいのときにもらった3番ばんアイアンのヘッドに枯かれ枝えだを取とり付つけてクラブに見立みたてて、小石こいしを打うつなどして遊あそぶことによりゴルファーとしての基礎きそを自然しぜんと身みに付つけた。8歳さいになると本物ほんものの3番ばんアイアンを手てに入いれ自分じぶんの体からだの一部いちぶのように終始しゅうし離はなさず、たった一いち個このボールが擦すり切きれて中なかのゴムが露出ろしゅつするまで打うち続つづけた彼かれは、12歳さいの頃ころにはスクラッチプレーヤーの腕前うでまえに達たっし、1974年ねんわずか16歳さいでプロとなる早熟そうじゅくぶりだった[2][3]。180cm・78kgのバランスの取とれた体格たいかくはゴルフをするために生うまれてきたと評ひょうされ[4]プロ転向てんこうしてから2年ねん後ごの1976年ねんに欧州おうしゅうツアー初はつ優勝ゆうしょう[2]、この年とし19歳さいの若わかさで欧州おうしゅうツアーの賞金しょうきん王おうに輝かがやいた[2][5]。1976年ねんのマスターズ直前ちょくぜんには米べいゴルフダイジェスト誌しが「史上しじょう初はじめての10代優勝ゆうしょうの可能かのう性せい」と特集とくしゅうを組くむほどの逸材いつざいだった。日本にっぽんツアーでも1977年ねんに日本にっぽんオープンでツアー史上しじょう最年少さいねんしょう優勝ゆうしょうを飾かざった。マスターズの初はつ優勝ゆうしょうは1980年ねんだったが[2]、当時とうじの最年少さいねんしょう優勝ゆうしょう記録きろくを更新こうしんする勝利しょうりだった（後のちにこの記録きろくはタイガー・ウッズに破やぶられた）[1]。その前年ぜんねん22歳さいでジ・オープンでメジャー大会たいかい初はつ優勝ゆうしょう[2]。メジャー大会たいかいでは通算つうさん5勝しょうしている。

また1997年ねんのライダーカップではキャプテンとしてホセ・マリア・オラサバル、ミゲル・アンヘル・ヒメネスらと共ともに[6]ヨーロッパチームを勝利しょうりに導みちびいた[7]。1999年ねんに世界せかいゴルフ殿堂でんどう入はいり[1]。 全盛期ぜんせいきの1980年代ねんだいには世界せかいランキング1位いを通算つうさん「61週しゅう」保持ほじ[1][8]するなどの強つよさを誇ほこり、マスターズ初はつ優勝ゆうしょう時じにはコメントを求もとめられたジャック・ニクラスが「彼かれの将来しょうらいにはたくさんのグリーンジャケットが待まっている」と語かたるなど期待きたいされていた。

しかし1991年ねんに6回かい目めの欧州おうしゅうツアー賞金しょうきん王おうを獲得かくとく以降いこう次第しだいにスランプへ陥おちいる。その後ごメタルウッドやチタンウッドが登場とうじょうした頃ころからスイング改造かいぞうの失敗しっぱいでさらに調子ちょうしを崩くずし世界せかいランキングは急降下きゅうこうか、腰痛ようつうや膝ひざ痛つうにも悩なやまされて全盛期ぜんせいきの輝かがやきを取とり戻もどすことなく2007年ねん7月がつ16日にちに競技きょうぎゴルフから退しりぞく事ことを表明ひょうめいした (最後さいごの欧州おうしゅうツアー優勝ゆうしょうは1995年ねん[2]) 。

2008年ねん10月6日にちにスペインのマドリード空港くうこうで倒たおれ、意識いしき不明ふめいのまま病院びょういんに搬送はんそうされた。精密せいみつ検査けんさの結果けっか、脳腫瘍のうしゅようと判明はんめい[2]。計けい4度どの腫瘍しゅよう摘出てきしゅつ手術しゅじゅつと化学かがく療法りょうほうにより[9]一旦いったんはゴルフができるまでに回復かいふくしたが2011年ねん5月7日にち、長ながい闘病とうびょう生活せいかつの末すえペドレニャの自宅じたくで亡なくなった[6]。54歳さい没ぼつ[2][10]。

プレースタイル[編集へんしゅう]

全盛期ぜんせいきには天才てんさいの名なをほしいままにし、圧倒的あっとうてきな存在そんざい感かんでライバルたちを恐おそれさせた。彼かれのゴルフスタイルはジーン・サラゼンの言葉ことばに代表だいひょうされる様ように飛とばし屋やの攻撃こうげき的てきゴルファーの典型てんけいだった。ドライバーの安定あんてい感かんはトップ選手せんしゅらしからぬものだったが、アイアンショットの切きれ味あじ鋭するどく、また多種たしゅ多様たようなショットを放はなつことができ、林はやしの中なかからなどグリーンを簡単かんたんには狙ねらえないような所ところからでもバーディーを奪うばったりすることから、「七なな色しょくのアイアンショット」と呼よばれた。

プレーを語かたるにあたり、非常ひじょうに有名ゆうめいなのが1979年ねんの全英ぜんえいオープンでの最終さいしゅう日びの“駐車ちゅうしゃ場じょうショット”である。16番ばんホールでティーショットを大おおきく右みぎに曲まげ臨時りんじ駐車ちゅうしゃ場じょうの車くるまの下したにボールを打うち込こんでしまったセベは、ルール上じょうの救済きゅうさいにより車くるまを移動いどうし打球だきゅう可能かのうな状態じょうたいにはなったが、優勝ゆうしょうを争あらそう立場たちばとしては苦くるしい状況じょうきょうとなった。ところがこの芝生しばふの生はえていない土どの上うえから、グリーンも見みえない中なか、ホールカップからわずか4mあまりの所ところにボールを乗のせ、まさかのバーディーを奪うばい自身じしん初はじめてのメジャータイトル獲得かくとくを手繰たぐり寄よせた。このプレーはジ・オープンの語かたり草ぐさとなっている。またアプローチやバンカーショットなどのショートゲームも巧たくみで、特とくにパッティングはゴルフ史上しじょうに残のこる名手めいしゅの一人ひとりと評ひょうされる。

評価ひょうか[編集へんしゅう]

彼かれの訃報ふほうに接せっして、タイガー・ウッズは独創どくそう性せいを評価ひょうか、ジャック・ニクラスは「情熱じょうねつを持もち、偉大いだいなエンターテイナーであった」、ニック・プライスは「ほとんどの選手せんしゅは30から40種類しゅるいの技術ぎじゅつしか持もっていないところ、1万まん通とおりの技術ぎじゅつを持もっていた」と語かたり[6]、「欧州おうしゅうPGAツアーはバレステロスの存在そんざいなくしてなかった」と述のべた[7]。日本にっぽんにおいても、中嶋なかじま常幸つねゆきは1986年ねんのマスターズでの思おもい出でを語かたりながらライバルの死しに涙なみだを流ながし[1]、青木あおき功いさおはフロリダ州しゅうの家いえに招待しょうたいされたこと、尾崎おざき将司まさしはトラブルからの神かみ懸かかり的てきな脱出だっしゅつショットについての思おもい出でを語かたった[11]。石川いしかわ遼りょうも「隣となりのホールや林はやしの中なかからのリカバリーショットなどの伝説でんせつに憧あこがれていた」と語かたった[12]。

生前せいぜんに寄よせられた論評ろんぴょう[編集へんしゅう]

日本にっぽんでの活躍かつやく[編集へんしゅう]

既すでに世界せかいのトッププレーヤーとなっていた1970年代ねんだい後半こうはんから1980年代ねんだいにかけて毎年まいとしのように来日らいにちし、1977年ねんには20歳さい7ヶ月かげつで日本にっぽんオープンに優勝ゆうしょうし日本にっぽんツアー最年少さいねんしょう優勝ゆうしょう記録きろくを作つくった（2007年ねんに石川いしかわ遼りょうが更新こうしんするまで最年少さいねんしょう記録きろくとして残のこった[13][14]）。1978年ねんの日本にっぽんオープンでも2連覇れんぱを果はたしたほか、1988年ねんにはVISA太平洋たいへいようクラブマスターズに勝かち、ダンロップフェニックストーナメントでは1977年ねんと1981年ねんの2度ど優勝ゆうしょうする等ひとし、たびたび上位じょういに顔かおを出だしたため日本人にっぽんじん選手せんしゅにとっても強敵きょうてき[15]だった。日本にっぽんツアーでの最後さいごの優勝ゆうしょうは、1991年ねんの国際こくさい招待しょうたいゴルフ・中日ちゅうにちクラウンズ。

またサッポロ「黒くろラベル」のCMに出演しゅつえんするなど、日本にっぽんでの人気にんきも高たかかった[1]。また2000年代ねんだいになってからも、ときおりゴルフ雑誌ざっしで特集とくしゅうが組くまれるなどしている。2011年ねん3月がつ11日にちの東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの5日にち後ご、3月16日にちには自身じしんのHPに「日本にっぽん、私わたしはあなたとある」と記しるしていた[1][6]。しかしながら、その僅わずか2ヶ月かげつ後ごに訃報ふほうに接せっすることとなり、日本にっぽんのゴルフ界かいが悲かなしみに包つつまれた。その死しを悼いたみ、この年とし11月がつのダンロップフェニックストーナメントでは、開催かいさい会場かいじょうの宮崎みやざきフェニックスカントリークラブで追悼ついとう展示てんじが行おこなわれ、その勇姿ゆうしに思おもいを馳はせるとともに、在ありし日ひのバレステロスを偲しのんだ。

メジャー大会たいかい優勝ゆうしょう[編集へんしゅう]

その他た[編集へんしゅう]

彼かれがコース監修かんしゅうに携たずさわったゴルフクラブは3ヵ所かしょある。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • ゴルフダイジェスト社しゃ『チョイス』2002年ねん5月がつ号ごう、2010年ねん11月号ごう
  • 『カンピオン―世界せかい最強さいきょうゴルファー、セベ・バレステロスのすべて』ハル常住じょうじゅう（日本にっぽん文化ぶんか出版しゅっぱん社しゃ、1989年ねん11月発行はっこう）

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]
  1. ^ a b c d e f g h “「さよなら、セベ」バレステロス氏し、54歳さいで死去しきょ…青木あおきも中嶋なかじまも涙なみだ”. スポーツ報知ほうち (2011年ねん5月がつ8日にち). 2011年ねん5月がつ12日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2022年ねん10月がつ29日にち閲覧えつらん。
  2. ^ a b c d e f g h i j “セベ・バレステロス氏し死去しきょ54歳さい早はやすぎるよ”. 日刊にっかんスポーツ. 2011年ねん5月がつ8日にち閲覧えつらん。
  3. ^ a b “メジャー5戦せんの天才てんさい・バレステロス氏し、死去しきょ (2/2ページ)”. サンケイスポーツ (2011年ねん5月がつ8日にち). 2011年ねん5月がつ8日にち閲覧えつらん。
  4. ^ 「生うまれつき左腕さわんに比くらべ右腕うわんが長ながいため、右肩みぎかたを下さげずにグリップできる」と語かたったことがあり、これはゴルフをするのに有利ゆうりとされる。
  5. ^ “遼りょう決きめた!世界せかい最年少さいねんしょう賞金しょうきん王おう/男子だんしゴルフ”. 日刊にっかんスポーツ (2009年ねん12月7日にち). 2011年ねん5月がつ8日にち閲覧えつらん。
  6. ^ a b c d “54歳さいの若わかさで…セベ・バレステロス氏し死去しきょ”. スポーツニッポン (2011年ねん5月がつ8日にち). 2011年ねん5月がつ8日にち閲覧えつらん。
  7. ^ a b “ニクラウスもウッズもセベ死去しきょ悼いたむ”. 日刊にっかんスポーツ (2011年ねん5月がつ8日にち). 2011年ねん5月がつ8日にち閲覧えつらん。
  8. ^ 世界せかいランキングを算出さんしゅつするようになったのは1983年ねん以降いこうの成績せいせきをもとに1986年ねんから。
  9. ^ “バレステロス氏し病状びょうじょう、深刻しんこくな状態じょうたいに”. 日刊にっかんスポーツ (2011年ねん5月がつ6日にち). 2011年ねん5月がつ8日にち閲覧えつらん。
  10. ^ “バレステロス氏し死去しきょ=メジャー5勝しょうの名手めいしゅ、54歳さい－男子だんしゴルフ”. 時事通信じじつうしん (2011年ねん5月がつ7日にち). 2011年ねん5月がつ7日にち閲覧えつらん。
  11. ^ “悲報ひほうに涙なみだ…中嶋なかじまが、尾崎おざきが、青木あおきが”. 日刊にっかんスポーツ (2011年ねん5月がつ7日にち). 2011年ねん5月がつ8日にち閲覧えつらん。
  12. ^ “遼りょう、セベ訃報ふほうに「ショック」/国内こくない男子だんし”. サンケイスポーツ (2011年ねん5月がつ8日にち). 2011年ねん5月がつ8日にち閲覧えつらん。
  13. ^ “カリスマ2世せい・遼りょう「ウッズと同時どうじに憧あこがれ」”. デイリースポーツ (2011年ねん5月がつ7日にち). 2011年ねん5月がつ8日にち閲覧えつらん。
  14. ^ “遼りょうセベ死去しきょに「ショック」も魂たましい継つぐ”. 日刊にっかんスポーツ (2011年ねん5月がつ8日にち). 2011年ねん5月がつ8日にち閲覧えつらん。
  15. ^ 1985年ねんにダンロップフェニックスを日本人にっぽんじん選手せんしゅとして初はじめて制せいした中嶋なかじま常幸つねゆきは、最終さいしゅう日び最終さいしゅう組ぐみをセベとラウンドすることになったことについて「本気ほんきになったセベとゴルフがやれる。待まち望のぞんだ戦たたかいだ」と語かたった。
  16. ^ セベバレステロスゴルフクラブ泉いずみコース
  17. ^ セベバレステロスゴルフクラブ
  18. ^ “BFRゴルフ倶楽部くらぶ経営けいえいの (株かぶ) ビイ・エフ・アールがRCCより会社かいしゃ更生こうせい法ほうの申もうし立たて”. 椿つばきゴルフ. 2011年ねん5月がつ8日にち閲覧えつらん。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

男子だんしゴルフ世界せかいゴルフランキング1位い（1986年ねん以後いご）

太字ふとじ★は2022年ねん10月がつ23日にち付づけで交代こうたいしたランク1位い

ヨーロピアンツアー歴代れきだい賞金しょうきん王おう/レース・トゥ・ドバイ総合そうごう優勝ゆうしょう者しゃ
1970年代ねんだい
1980年代ねんだい
1990年代ねんだい
2000年代ねんだい
2010年代ねんだい
2000年代ねんだい
マスターズ・トーナメント 歴代れきだい優勝ゆうしょう者しゃ
† プレーオフでの優勝ゆうしょう; ‡ 完全かんぜん優勝ゆうしょう
スタブアイコン

この項目こうもくは、ゴルフに関連かんれんした書かきかけの項目こうもくです。この項目こうもくを加筆かひつ・訂正ていせいなどしてくださる協力きょうりょく者しゃを求もとめています（ポータル スポーツ/プロジェクト ゴルフ）。

「https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=セベ・バレステロス&oldid=100495676」から取得しゅとく