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トンファー

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トンファー
トンファー

トンファーえいTonfa)は、沖縄おきなわ琉球りゅうきゅう武術ぶじゅつにおいて使用しようされる武器ぶきけん防具ぼうぐである。旋棍(せんこん)ともばれる。

概要がいよう[編集へんしゅう]

およそ45センチメートルのながさのぼう片方かたがたはしちかくに、にぎりになるよう垂直すいちょくみじかぼうけられている。基本きほんてきに2つ1くみで、左右さゆうにそれぞれってあつかう。にぎ部分ぶぶんった状態じょうたいで、自分じぶんうでからひじおおうようにしてかまえ、空手からて要領ようりょう相手あいて攻撃こうげきけたり、そのまましたり、または攻撃こうげきけたままいているりをして攻撃こうげきすることが可能かのうなが部位ぶい相手あいてほうけて棍棒こんぼうのようにあつかこと出来できる。それらは手首てくびかえすことではん回転かいてんさせて瞬時しゅんじえられ、さらには回転かいてんさせていきおいをけつつ相手あいてなぐりつけることも出来できる。それだけでなく、ぎゃくながぼう部分ぶぶんち、にぎ部分ぶぶん相手あいてにむけてかまじゅつ要領ようりょうあつかうことも可能かのうおもかたなてきたたかうためにつくられた、攻防こうぼう一体いったい武器ぶきである。

起源きげんについては諸説しょせつあるが、中国ちゅうごく武術ぶじゅつの「拐」(かい)とばれるトンファーよりもおおきい武器ぶき琉球りゅうきゅうつたわって小型こがたされたというせつ石臼いしうすぼうから発明はつめいされたというせつの2つが有力ゆうりょくであるとされる。

漫画まんがアニメーションなどのフィクション作品さくひんにおいても、トンファーやそれをモチーフにした武器ぶき、またトンファーをあつかうキャラクターが数多かずおお登場とうじょうする。

警棒けいぼうとして[編集へんしゅう]

本来ほんらい右上みぎうえ写真しゃしんのような角柱かくちゅうちかかたちをしているが、伝播でんぱさきアメリカヨーロッパでは武器ぶきとしての使つか勝手がっていため、角柱かくちゅうから円柱えんちゅうえた「トンファーバトン」を警棒けいぼうとして採用さいようしているという。警棒けいぼうとしてのトンファーはSide Handle Batonづけ警棒けいぼう)ともばれる。げる相手あいてあしめがけてブーメラン要領ようりょうげ、あしからんでころんだところをさえる“警棒けいぼうげ”という技法ぎほうおしえられている(ドラマ『パトカーアダム30』で登場とうじょうする)。アメリカにトンファーをみ、ひろめたのは日本にっぽん空手からていえである。

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく警察けいさつおしえられているものは、刃物はものなどへの防御ぼうぎょりょくすぐれた「にぎ警棒けいぼう」としての意味合いみあいがつよく、にぎりを一瞬いっしゅんゆるめて回転かいてんさせて技法ぎほうは、格闘技かくとうぎひいでた一部いちぶもの以外いがい省略しょうりゃくされている場合ばあいおおい。暴動ぼうどう暴漢ぼうかん鎮圧ちんあつ無力むりょくもちいる攻守こうしゅ一体いったい装備そうびとしてトンファーバトンは、「つ」「く」「はらう」「からめる」などの様々さまざま用法ようほう習熟しゅうじゅくすることにより、きわめて合理ごうりてきかつ有効ゆうこう装備そうびであるらしい。

トンファーにせよほか武器ぶきにせよ、勤務きんむちゅう携行けいこうするためには警察けいさつ機関きかんによる訓練くんれん修了しゅうりょうしなければならない。たとえばニューヨーク警察けいさつ規則きそくであるパトロールガイド(Patrol Guide)の「204-09 16 "Baton (Side Handle)"」では、制式せいしき警棒けいぼうをトンファーがたのモナドノックPR-24 STSとさだめたうえで、警察けいさつ学校がっこう訓練くんれん修了しゅうりょうした制服せいふく警察官けいさつかんのみが携行けいこうできることがさだめられている[1]。またどう規定きていではつぎ事柄ことがらさだめられているという。

  • 1988ねん12月以降いこう雇用こようされた警察官けいさつかんはPR-24 STSのみを携行けいこうできる
  • 1988ねん12月までに雇用こようされつトンファーの訓練くんれんけていない警察官けいさつかんは、ながさ24~26インチ、直径ちょっけい1.5インチ以内いない直線ちょくせんがた警棒けいぼう携行けいこうみとめられる
  • 直線ちょくせんがた警棒けいぼう材質ざいしつニセアカシアヒッコリーアメリカトネリコ紫檀したんとする
  • 直線ちょくせんがた警棒けいぼう携行けいこう資格しかくしゃであっても、警察けいさつ学校がっこうでトンファーの訓練くんれんけたものはトンファーを携行けいこうしなければならない

警官けいかんとうほう執行しっこう機関きかん職員しょくいんよう携帯けいたい装備そうびとして依然いぜんおおくの機関きかん採用さいようされてはいる[2]。しかし近年きんねん秘匿ひとくせい携帯けいたいせいすぐれた伸縮しんしゅくしき警棒けいぼうなどにわる傾向けいこうにあるという。理由りゆうひとつは、いかにも武器ぶきしかとした外観がいかん人々ひとびと威圧いあつかんあたえること。もうひとつの理由りゆうは、ロス暴動ぼうどうのきっかけになった「ロドニー・キング事件じけん」など多数たすう警官けいかんによる市民しみんたいする集団しゅうだん暴行ぼうこう、つまりはアメリカばん特別とくべつ公務員こうむいん暴行ぼうこう陵虐りょうぎゃく事件じけん頻発ひんぱつなどにより、警察官けいさつかん威力いりょくたか鈍器どんき携行けいこう使用しようすることにたいして市民しみん不信ふしんかんつよまったことである。これらの影響えいきょうはトンファーにまらない。ロサンゼルス警察けいさつなどでは2007ねん以降いこう夜間やかんのパトロールのさい必要ひつよう懐中かいちゅう電灯でんとうを、全長ぜんちょう20センチほどちょうこう輝度きど携帯けいたいよう照明しょうめい器具きぐ(ペリカンライト・7060タクティカルライト)に更新こうしんしていった。理由りゆうは、それ以前いぜん使用しようされていた「ストリームライト」や「マグライト」は威力いりょくたか鈍器どんきとして使用しようすることが可能かのうであり、トンファーにたいするのとおなじく不信ふしんかんがあったことから。現在げんざいのライトは鈍器どんきとして使用しようすることにはてきさないが、強烈きょうれつ発光はっこうによっておおきな眩惑げんわく効果こうかをもたらし、暴漢ぼうかんなどの対象たいしょうしゃ短時間たんじかんながらも無力むりょくすることが可能かのうとなっている。

トンファーとばれる武具ぶぐのうち、武道ぶどうもちいられるものの材質ざいしつ赤樫あかがしなどの高密度こうみつどこう硬度こうど木材もくざいおもだが、警棒けいぼう採用さいようされているものには特殊とくしゅ合金ごうきんポリカーボネートなどのたい衝撃しょうげきすぐれた合成ごうせい樹脂じゅし使用しようされることおおい。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ NYPD Patrol Guide 204-09 REQUIRED EQUIPMENT/ FIREARMS
  2. ^ LAPD Manual:622.45(ロサンゼルス警察けいさつ規定きてい622.45こう。LAPDの規定きていでは、警棒けいぼうとしてみとめられているのは全長ぜんちょう24インチのトンファー(side handle baton)、伸縮しんしゅくしきトンファー、特殊とくしゅ警棒けいぼう(Collapsible Baton)のさん種類しゅるい

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 外間ほかま哲弘てつひろ金城きんじょう政和まさかず 共著きょうちょ沖縄おきなわ武道ぶどう鍛錬たんれん道具どうぐ』 1989ねん3がつ2にち 琉球新報りゅうきゅうしんぽうしゃ出版しゅっぱん
  • 宮城みやぎあつしただし ちょ空手からて歴史れきし』 1987ねん9がつ15にち ひるぎしゃ発行はっこう
  • 仲本なかもと政博まさひろ ちょ沖縄おきなわ伝統でんとう武道ぶどう』 1989ねん4がつ5にち 文武ぶんぶかん発行はっこう

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]