ナチスの黄金おうごん列車れっしゃ

ナチスの黄金おうごん列車れっしゃ（Nazi gold train）、あるいはヴァウブジフの黄金おうごん列車れっしゃ（Wałbrzych gold train）は、ポーランドで語かたられた都市とし伝説でんせつの1つで、これによると第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん末期まっきの1945年ねん1月がつ、ナチス・ドイツが下しもシレジア（ドルヌィ・シロンスク）の地下ちかトンネルに黄金おうごんを積つみ込こんだ列車れっしゃを埋うめたとされる。当該とうがいの地域ちいきは現在げんざいのポーランド南西なんせい部ぶ、大戦たいせん当時とうじのドイツ南東なんとう部ぶにあたる。終戦しゅうせん以降いこう、多おおくの研究けんきゅう者しゃが捜索そうさくを行おこなったものの、これまでに手てがかりは発見はっけんされていない。歴史れきし家かによれば、列車れっしゃの実在じつざい自体じたいが未いまだに証明しょうめいされていないという。

2015年ねんから2018年ねんに実施じっしされた調査ちょうさは、ポーランド軍ぐん、ポーランド政府せいふおよび地方ちほう行政ぎょうせい当局とうきょく、個人こじん的てきな出資しゅっし者しゃなどが関かかわった大だい規模きぼなもので、各国かっこくのメディアから広ひろく注目ちゅうもくを集あつめたものの、重要じゅうような発見はっけんはなかった。

都市とし伝説でんせつ

リース計画けいかくの一環いっかんとしてゾヴィー山脈さんみゃくに建設けんせつされた未み完成かんせいのトンネルの一部いちぶ

列車れっしゃはポーランドの都市としヴァウブジフ（1945年ねんまではドイツ領りょうヴァルデンブルク）近ちかくに存在そんざいするとされている。

現地げんちで語かたられるところによれば、列車れっしゃは金塊きんかいやその他たの財宝ざいほうを満載まんさいしてブレスラウ（現在げんざいのヴロツワフ）を出発しゅっぱつし、リース計画けいかくの一環いっかんとしてゾヴィー山脈さんみゃくの下したに建設けんせつ中ちゅうだったヴァルデンブルク近ちかくの未み完成かんせいのトンネルへと向むかった。

そして、この列車れっしゃがドイツ当局とうきょくが構築こうちくした坑道こうどうおよびトンネル網もうのどこかに埋うめられたという。積荷つみには300トンもの黄金おうごん、宝石ほうせき、武器ぶき、美術びじゅつ品ひんなどであると噂うわさされた。

歴史れきし家かによれば、この列車れっしゃが実在じつざいしたという証明しょうめいは未いまだに成なされていない。

調査ちょうさ

ポーランド人民じんみん共和きょうわ国こく時代じだい（1947年ねん - 1989年ねん）、軍部ぐんぶによる列車れっしゃの捜索そうさくが行おこなわれたものの、成果せいかは皆無かいむであった。

コペルとリヒターの調査ちょうさ（2015年ねん - 2018年ねん）

黄金おうごん列車れっしゃが埋うめられていると主張しゅちょうされた場所ばしょ

黄金おうごん列車れっしゃが埋うめられているとされた地点ちてんである"ゾーン65"内ない、ウチニョフスカ通どおり交差点こうさてん近ちかくの鉄道てつどう盛土もりつち

"ゾーン65"近ちかくの廃はい線せん跡あと

2015年ねん8月がつ末まつ、「身元みもと不ふ詳しょうの男性だんせい2人にんが、かつて黄金おうごん列車れっしゃを埋うめたという臨終りんじゅうの告白こくはく（Deathbed confession）を得えた」と報ほうじられた。この2人ふたりは後のちにポーランド人じんピオトル・コペル（Piotr Koper）とドイツ人じんアンドレアス・リヒター（Andreas Richter）と特定とくていされた。彼かれらは鉱山こうざん調査ちょうさ会社かいしゃXYZ S.C.の共同きょうどうオーナーだった。弁護士べんごしの仲介ちゅうかいのもと、2人ふたりはポーランド政府せいふを相手あいてに、列車れっしゃの価値かちの10％を「発見はっけん者しゃ手当てあて」として受うけ取とり、引ひき換かえに列車れっしゃの位置いちを知しらせるという契約けいやくを結むすぶための秘密ひみつ交渉こうしょうを開始かいしした。彼かれらはこの契約けいやくに署名しょめいされた後のちに列車れっしゃの正確せいかくな位置いちを明あかすとした 。

8月がつ28日にち、ポーランド文化ぶんか次官じかんピオトル・ジュホフスキは、コペルとリヒターが撮影さつえいした地中ちちゅうレーダー探査たんさ画像がぞうは、全長ぜんちょう100mの列車れっしゃを発見はっけんしたことを99％の可能かのう性せいで示しめすものであると発表はっぴょうした。しかし8月がつ31日にち、ドルヌィ・シロンスク県けん知事ちじトマシ・スモラシが記者きしゃ団だんに対たいし、「長年ながねん成なされてきた類似るいじの主張しゅちょうと比くらべても、この疑うたがわしい発見はっけんの証拠しょうこは極きわめて少すくない」、「その発見はっけんが提出ていしゅつされた文書ぶんしょに基もとづく地点ちてんに本当ほんとうに存在そんざいするとの主張しゅちょうはありえない」と述のべた。

9月4日にち、それまで匿名とくめいを保たもっていたコペルとリヒターは初はじめて身元みもとを明あかした。彼かれらは列車れっしゃの正確せいかくな位置いちがポーランド政府せいふ当局とうきょくへと伝達でんたつされた旨むねを公表こうひょうし、KS-700地中ちちゅうレーダーシステムを用もちいて撮影さつえいした画像がぞうを公開こうかいした。この画像がぞうは、何なにかが入はいっている人工じんこうの縦坑たてこうが地下ちか50mの地点ちてんに存在そんざいする可能かのう性せいを示しめしていた。コペルとリヒターは、黄金おうごん列車れっしゃがポーランド国鉄こくてつヴロツワフ＝ヴァウブジフ線せんの61 - 65km地点ちてんにあたる4-キロメートル (2.5-マイル)分ぶんの線路せんろに隣接りんせつした地域ちいき（ゾーン65）に埋うめられていると信しんじていた。

黄金おうごん列車れっしゃを求もとめ、探査たんさ装置そうちを手てにして押おし寄よせたトレジャーハンターらの侵入しんにゅうを防ふせぐべく、ポーランド政府せいふ当局とうきょくはゾーン65周辺しゅうへんの森林しんりんに立入たちいり制限せいげん区域くいきを設置せっちし、警察官けいさつかんや警備けいび員いんを派遣はけんした。9月末まつ、県知事けんちじの要請ようせいのもと派遣はけんされたポーランド軍ぐん部隊ぶたいが樹木じゅもくの除去じょきょおよびブービートラップや地雷じらいなどの捜索そうさくを開始かいしした。10月4日にち、軍部ぐんぶは少すくなくとも深ふかさ1mまでは爆発ばくはつ物ぶつやその他たの危険きけん物ぶつが存在そんざいしないことを確認かくにんした旨むねを報告ほうこくした。

10月がつ半なかば、ヴァウブジフ市し当局とうきょくは2つのチームに対象たいしょう地域ちいきの非ひ侵おかせ襲かさね的てき調査ちょうさを行おこなう認可にんかを与あたえた。第だい1チームはコペルとリヒターらで、第だい2チームはJanusz Madejに率ひきいられたクラクフ鉱業こうぎょう大学だいがくの専門せんもん家からだった。12月15日にち、第だい2チームは調査ちょうさの結果けっかとして列車れっしゃの痕跡こんせきは発見はっけんされず、崩落ほうらくしたトンネルが存在そんざいする可能かのう性せいのみ示唆しさされたと発表はっぴょうした。これを受うけ、コペルとリヒターは「人間にんげんとは過あやまちを犯おかすものだが、それにしがみつくのは馬鹿ばかげている」と述のべた

2016年ねん5月がつ、外部がいぶの専門せんもん家かから列車れっしゃは存在そんざいしないとの意見いけんが寄よせられていたにもかかわらず、コペルとリヒターは対象たいしょう地域ちいきの所有しょゆう者しゃであるポーランド国鉄こくてつから掘削くっさくを開始かいしする許可きょかを得えた。8月15日にち、掘削くっさく作業さぎょうが開始かいしされた。作業さぎょうチームは技術ぎじゅつ者しゃ、地質ちしつ学者がくしゃ、化学かがく者しゃ、考古こうこ学者がくしゃ、軍ぐんの発破はっぱ作業さぎょう専門せんもん家かなど64人にんから構成こうせいされていた。報ほうじられたところによれば、作業さぎょう費用ひようの総額そうがくは116,000ユーロで、民間みんかんからの資金しきん提供ていきょうやボランティアからの支援しえんを得えて資金しきん調達ちょうたつが行おこなわれたという。

7日にち後ご、線路せんろ、トンネル、列車れっしゃなどの痕跡こんせきが一切いっさい発見はっけんされなかったため、掘削くっさく作業さぎょうは中断ちゅうだんされた。また、地中ちちゅうレーダー探査たんさ画像がぞうで列車れっしゃと思おもわれていたものは、自然しぜんの氷こおり層そうであることが明あきらかになった。地元じもと自治体じちたい職員しょくいんは、年間ねんかん観光かんこう客きゃくが44%増加ぞうかしたことを認みとめ、「世界中せかいじゅうのメディアによる報道ほうどうで得えられた宣伝せんでん効果こうかは2億おくドルにも相当そうとうする。我々われわれに割わり当あてられた年間ねんかんの宣伝せんでん予算よさんは38万まんドルであることを考かんがえれば、探検たんけん家かが何なにかを見みつけようが見みつけまいが、我々われわれの黄金おうごん列車れっしゃはすでに到着とうちゃくしているのだ」と述のべた。地元じもと市長しちょうはラウンドアバウトにコペルとリヒターの名なを冠かんすることを検討けんとうした。

2016年ねん12月がつ初頭しょとう、コペルとリヒターは20m地下ちかまでの掘削くっさく作業さぎょうのための資金しきん確保かくほを目的もくてきとした基金ききんを立たち上あげる方針ほうしんを発表はっぴょうした。2017年ねん6月がつ、ワルシャワの地球ちきゅう物理ぶつり学がく業者ぎょうしゃの協力きょうりょくを受うけた3回かい目めの調査ちょうさの最中さいちゅう、鉄道てつどうのトンネルと思おぼしき7つの空洞くうどうが発見はっけんされた。掘削くっさく業者ぎょうしゃによれば、この空洞くうどうの本格ほんかく的てきな調査ちょうさや関連かんれんする自治体じちたいの許可きょかを得えるため、最低さいていでも10万まんズウォティ（23,000ユーロ程度ていど）の追加ついか費用ひようが発生はっせいする見込みこみとなった。さらなる掘削くっさくは2018年ねん春はるあるいは夏なつと予定よていされ、それまでに新あらたなスポンサーが募集ぼしゅうされることとなった。

2018年ねん8月がつ、リヒターがチームを離はなれたが、コペルは調査ちょうさを継続けいぞくすると発表はっぴょうした。

レプリカ

2016年ねん、愛好あいこう家か団体だんたいがコペルとリヒターの掘削くっさく作業さぎょう現場げんばからおよそ15kmに位置いちする古ふるい製紙せいし工場こうじょう前まえにて、ナチス・ドイツ時代じだいの装甲そうこう列車れっしゃのフルサイズレプリカの制作せいさくを開始かいしした。これは観光かんこう資源しげんとして利用りようすることを目的もくてきとしていた.。

関連かんれん項目こうもく

• ハンガリーの黄金おうごん列車れっしゃ
• 南みなみ軍ぐんの黄金おうごん
• 山下やました財宝ざいほう

外部がいぶリンク

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