フェルミ接触せっしょく相互そうご作用さよう

フェルミ接触せっしょく相互そうご作用さよう（フェルミせっしょくそうごさよう、英えい: Fermi contact interaction）は、電子でんしが原子核げんしかくの内部ないぶにある場合ばあいの電子でんしと原子核げんしかくとの間あいだの磁気じき相互そうご作用さようである。フェルミの接触せっしょく相互そうご作用さようとも呼よばれる。

パラメータは通常つうじょう記号きごうAで記述きじゅつされ、単位たんいは通常つうじょうメガヘルツである。Aの大おおきさは以下いかの関係かんけいによって与あたえられる。

$A=-{\frac {8}{3}}\pi \left\langle {\boldsymbol {\mu }}_{n}\cdot {\boldsymbol {\mu }}_{e}\right\rangle |\Psi (0)|^{2}\qquad {\mbox{(cgs)}}$

および

$A=-{\frac {2}{3}}\mu _{0}\left\langle {\boldsymbol {\mu }}_{n}\cdot {\boldsymbol {\mu }}_{e}\right\rangle |\Psi (0)|^{2}\qquad {\mbox{(SI)}}$

この時とき、Aは相互そうご作用さようのエネルギー、μみゅー_nは核かく磁気じきモーメント、μみゅー_eは電子でんし磁気じき双極そうきょく子こモーメント、Ψぷさい(0) はその核かくにおける電子でんしの波動はどう関数かんすうである。

これについては標準ひょうじゅん公式こうしきが、核かくが常つねに持もってはいない磁気じき双極そうきょく子こモーメントを仮定かていしているため、不良ふりょう定義ていぎ（ill-defined）問題もんだいであると指摘してきされている。

磁気じき共鳴きょうめい分光ぶんこう法ほうにおける使用しよう

原子げんし内部ないぶでは、s軌道きどうのみが核かくにおいて電子でんし密度みつどがゼロではないため、s電子でんしについてのみこの接触せっしょく相互そうご作用さようが起おこる。この相互そうご作用さようが主おもに現あらわれるのは電子でんしスピン共鳴きょうめいおよび核かく磁気じき共鳴きょうめい分光ぶんこう法ほうにおいてであり、等ひとし方かた性せい超ちょう微細びさいカップリングが現あらわれる原因げんいんである。おおよそ、Aの大おおきさは不ふ対たいスピンが原子げんしにおいて存在そんざいする範囲はんいを示しめしている。ゆえに、Aの値ねを知しることで単独たんどくで占有せんゆうされた分子ぶんし軌道きどうの位置いちを描えがくことが可能かのうとなる。

歴史れきし

この相互そうご作用さようは1930年ねんにエンリコ・フェルミによって初はじめて導みちびき出だされた。この項こうの古典こてん的てき導出どうしゅつはJ. D. Jacksonの著書ちょしょに含ふくまれている。要約ようやくすると、古典こてん的てきエネルギーは一方いっぽうの磁場じばB(r)中なかのもう一方いっぽうの磁気じき双極そうきょく子こモーメントのエネルギーの観点かんてんから書かくことができる。この場ばでは、2つのモーメント間あいだの距離きょりrがゼロとなる時ときに単純たんじゅんな表現ひょうげんを得える。

$\int _{S(r)}B(r)d^{3}r=-{\frac {2}{3}}\mu _{0}{\boldsymbol {\mu }}$