フードテック

フードテック（英語えいご: FoodTech）とは、生産せいさんから加工かこう、流通りゅうつう、消費しょうひなどへとつながる、食しょく分野ぶんやの新あたらしい技術ぎじゅつおよびその技術ぎじゅつを活用かつようしたビジネスモデルのことである。「Food（食しょく）」と「Technology（技術ぎじゅつ）」を組くみ合あわせた造語ぞうごで、最新さいしん技術ぎじゅつを用もちいて、食しょくに関かんする課題かだい解決かいけつや新あらたな食しょくの可能かのう性せいの拡充かくじゅうが期待きたいされている。

概要がいよう

農林水産省のうりんすいさんしょうによれば、世界せかいのフードテック市場いちば規模きぼは2020年ねん時点じてんの24兆ちょう円えんから、2050年ねんには279兆ちょう円えんと10倍ばい以上いじょうに拡大かくだいすると見込みこまれている。一方いっぽうで、2025年ねんには世界せかいのフードテック市場いちば規模きぼは700兆ちょう円えんに上のぼるという試算しさんもある。

世界せかいのフードテックへの投資とうしは活発かっぱつ化かしており、近年きんねんは合計ごうけいで年間ねんかん２兆ちょう円えんを超こえる金額きんがくが投資とうしされている。 ただし、米国べいこく、中国ちゅうごく、インド、英国えいこくなどの投資とうし額がくと比くらべて日本にっぽんの投資とうし額がくは小ちいさい。2020年ねん10月がつには、食しょくおよび農林のうりん水産すいさん業ぎょうの発展はってんや関連かんれん領域りょういきの課題かだい解決かいけつ、新しん市場いちばの開拓かいたく促進そくしんのため、産学さんがく官かん連携れんけいで「フードテック官民かんみん協議きょうぎ会かい」が立たち上あげられた。

国連こくれんサミットで採択さいたくされたSDGs（持続じぞく可能かのうな開発かいはつ目標もくひょう）との関連かんれん性せいが深ふかく、フードテックの発展はってんが直接ちょくせつ・間接かんせつを問とわず多おおくの目標もくひょう達成たっせいに貢献こうけんすると考かんがえられている。

なお、農業のうぎょう領域りょういきで最新さいしん技術ぎじゅつを活用かつようすることは、「Agriculture（農業のうぎょう）」と「Technology」を組くみ合あわせて、アグリテック（英語えいご: AgriTech）と呼よばれる。

解決かいけつが期待きたいされている主おもな課題かだい

フードテックの発展はってんにより、いくつかの食しょくに関かんする課題かだいの解決かいけつが期待きたいされている。

• 食糧しょくりょう不足ふそく・飢餓きが問題もんだい
• フードロス
• 食しょくの安全あんぜん性せいに関かんする問題もんだい
• 菜食さいしょく主義しゅぎ者しゃへの対応たいおう
• 労働ろうどう力りょく不足ふそく
• 地球ちきゅう温暖おんだん化か

導入どうにゅうが進すすむ主おもな領域りょういき

フードテックは食しょくに関かんする様々さまざまなビジネスへの活用かつようが期待きたいされている。

• 代替だいたい食品しょくひん開発かいはつ領域りょういき
• 調理ちょうり領域りょういき
• 生産せいさん領域りょういき
• 流通りゅうつう・配送はいそう領域りょういき
• 外食がいしょく・中食ちゅうじき領域りょういき
• 健康けんこう食品しょくひん領域りょういき

主おもな活用かつよう事例じれい

• 代替だいたい肉にく - 熊本くまもとのベンチャー企業きぎょう「DAIZ」は、大豆だいずそのものから旨味うまみ成分せいぶんや栄養えいよう価かを引ひき出だす独自どくじ技術ぎじゅつにより、従来じゅうらいの植物しょくぶつ肉にくが持もつ、味あじの違和感いわかんや臭くさみなどの課題かだいを解決かいけつする「ミラクルミート」を開発かいはつ。イオンや伊藤いとうハム、フレッシュネスバーガーなどの大手おおて企業きぎょうに採用さいようされている。

• 調理ちょうりロボット - 食しょく産業さんぎょう向むけロボットサービスの研究けんきゅう開発かいはつおよび販売はんばいを行おこなう「コネクテッドロボティクス」は「盛もり付つけロボット」「検品けんぴんロボット」などを開発かいはつ。AI画像がぞう認識にんしきなどの最新さいしん技術ぎじゅつを用もちいることで、作業さぎょうの自動じどう化かや効率こうりつ化かを行おこない、人手ひとで不足ふそくの解消かいしょうに役立やくだっている。

• 品種ひんしゅ改良かいりょうロボット - Googleが開発かいはつした農業のうぎょうAIロボット「Don Roverto」は、機械きかい学習がくしゅうにより農作物のうさくもつを1本ほんずつ高速こうそくスキャニングして個体こたい識別しきべつを行おこなった上うえで成長せいちょうを記録きろく。洪水こうずいや干かんばつなどの気候きこうを再現さいげんした厳きびしい環境かんきょう下かで耐たえられる苗なえを即座そくざに見みつけ出だし、品種ひんしゅ改良かいりょうの加速かそく化かに役立やくだっている。

• VR配達はいたつロボット - カリフォルニア発はつのスタートアップ企業きぎょう「Carbon Origins」は、VRによる遠隔えんかく操作そうさが可能かのうで、料理りょうりや食材しょくざいのデリバリーを行おこなうロボット「Skippy」を開発かいはつ。火星かせい探検たんけんロボットをベースにしており、階段かいだんの上のぼり下くだりやカーブにも対応たいおう可能かのう。機体きたいに設置せっちされたナビゲーション用ようカメラの映像えいぞうをもとに、オペレーターがVRを通とおしてリアルタイムで操作そうさする。本体ほんたいには冷温れいおん機能きのうや施錠せじょう機能きのうが備そなわっている。

• 価格かかく変動へんどうシステム - イスラエルの企業きぎょうが開発かいはつした「Wasteless」は、賞味しょうみ期限きげんごとに価格かかくを変動へんどうさせられるシステム。賞味しょうみ期限きげんが近付ちかづくと商品しょうひんの価格かかくは下さがり、客きゃくはカードに表示ひょうじされた価格かかくと賞味しょうみ期限きげんの両方りょうほうを比較ひかく検討けんとうした上うえで商品しょうひんを選択せんたくできるようになる。「見切みきり品ひん」や「おつとめ品ひん」などのシールが貼はられないため、客きゃくは恥はずかしさを感かんじずに商品しょうひんを購入こうにゅうでき、店舗てんぽ側がわはシールを貼はる作業さぎょうがなくなり、食品しょくひん廃棄はいきの削減さくげんと販売はんばい利益りえきの確保かくほにもつながる。

関連かんれん項目こうもく

• 農林水産省のうりんすいさんしょう
• 食糧しょくりょう問題もんだい
• 代替だいたい肉にく
• 分子ぶんしガストロノミー