ブレイクダウン

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

ブレイクダウンえい: a breakdown)は、楽曲がっきょくちゅうにおいて、ひとつの楽器がっきでリズムのみを演奏えんそうするパートのことをう。ポピュラー音楽おんがくなどで、とりわけヴァース‐コーラス形式けいしき楽曲がっきょくでしばしもちいられる。

ブレイクダウンは、とくにブルーグラスで人気にんきのある音楽おんがくスタイルであり、アール・スクラッグスの「フォギー・マウンテン・ブレイクダウン英語えいごばん」やビル・モンローの "Bluegrass Breakdown"などの注目ちゅうもくすべきれいがある。

ディスコおよびそののダンス・ミュージック[編集へんしゅう]

ディスコミュージシャンのトム・モールトン1970年代ねんだいディスコ・ブレイクという手法しゅほうしたのがはじまりとされる。かれ楽曲がっきょくちゅう旋律せんりつ構成こうせいされたパートを分離ぶんりさせることにした。かれはドラムパートのみをしたものをつくり、その個性こせいてき手法しゅほうおおくのダンサーたちに衝撃しょうげきあたえた。この手法しゅほうはクラブのDJたちにひろれられ、きょく終了しゅうりょう部分ぶぶんおよびつぎながれるきょく開始かいし部分ぶぶんをリズムのみのパートでつなげるという手法しゅほうされた。

モールトン自身じしんはこの手法しゅほうについて、偶然ぐうぜん産物さんぶつだったとかたっている。この手法しゅほうのポピュラー音楽おんがくにもさかんにれられており、とくばんのコーラス(サビ)以降いこうのブリッジ(Bメロ)にってわられた。顕著けんちょれいアン・ヴォーグの「My Lovin'」がある。そのきょくちゅうでは、サンプリングされた男性だんせいの「and now it's time for a breakdown.(ブレイクダウンの時間じかんだ)」のごえ同時どうじ女性じょせいボーカルによるブレイクダウンがはじまる。ながいトラックではきょくちゅうに2~3かい以上いじょうのブレイクダウンがこることもめずらしくない。

上記じょうきのように、当初とうしょはブレイクダウンへの移行いこう演奏えんそう唐突とうとつ静止せいしまるものだったが、Hi-NRGなどのジャンルではがいしてブレイクダウン移行いこうまでのあいだフィルインによってつなわせるといったわかりやすい手法しゅほうもちいるようになり、のジャンルでは徐々じょじょ演奏えんそうする楽器がっきらしていくといった工夫くふうられる。すべてのジャンルにおいて楽器がっきやボーカルなどを静止せいしさせていく手法しゅほうは、楽曲がっきょくつよいコントラストを役割やくわりっており、ブレイクダウンととも楽曲がっきょくのクライマックスをげる手法しゅほうとして重要じゅうようされている。おおくのダンスミュージックでは、ブレイクダウンはしばしメロディをかなでる楽器がっき静止せいしと、パーカッションなどで構成こうせいされる。とく旋律せんりつのノイズエフェクトちゅうおこなわれることもある。このノイズは演奏えんそううつわりまえのビートの静止せいしちゅうなどに挿入そうにゅうされることがおおい。ブレイクダウンのほかにクライマックスをげる要素ようそとしては、残響ざんきょうおん転調てんちょうなどがげられる。

ヘヴィメタルおよびパンクロック[編集へんしゅう]

メタルコアデスコアのような積極せっきょくてきヴァース‐コーラス形式けいしきもちいないジャンルでもブレイクダウンはられる。これらのジャンルにおいてブレイクダウンはしばしモッシュやスラミングなどをこし、おな文脈ぶんみゃくかたられることがある。

おおくのメタルコア、デスコアに分類ぶんるいされるバンドは、重厚じゅうこうかん演出えんしゅつするためにブレイクダウンを導入どうにゅうしている。ギタリストはバスドラムにわせてチャグばれるブリッジミュートによるじゅう低音ていおんのリフをきざむことがおおい。この場合ばあいバスドラムはチャグの音圧おんあつ底上そこあげするための要素ようそとしての役割やくわりつよい。ギタリストはより楽曲がっきょくはばたせるために、ブレイクダウンとともにリズミカルで調和ちょうわれたリフや、つるをミュートさせて高音こうおんのアタックノイズを発生はっせいさせることがある。ときにこれらは、とも半音はんおんトライトーン、ピンチ・ハーモニクスなどの不協和音ふきょうわおんとの対比たいひ使つかわれる。ギターはドロップDやドロップC#などのドロップチューニングほどこされている場合ばあいおおい。とくにデスコアなどの非常ひじょう攻撃こうげきてきなサウンドを演奏えんそうするバンドのギタリストにはドロップAのチューニングをおこなっているものもいる(ホワイトチャペルカーニフェックスなど)。

アスキング・アレクサンドリアアタック・アタック!エンター・シカリFear, and Loathing in Las Vegasなどのように、ブレイクダウンにシンセサイザーをフィーチャリングしてダンスビート要素ようそくわえるバンドもいる(エレクトロニコア)。

パンク・ロックでは、ブレイクダウンはアップテンポになる傾向けいこうにあり、フロア・タムやスネアによって疾走しっそうかんのあるテンポをつくげる。そこでもしばしスカダンスやモッシュ、サークルピットなどが発生はっせいする。

ブルーグラス[編集へんしゅう]

ブルーグラス・ミュージックでは、ブレイクダウンはきょくのセクションあいだ演奏えんそうされるみじかいインストゥルメンタル・ソロであり、通常つうじょうきょくのメロディのバリエーションとなってえる。その内容ないようはそれぞれがことなる楽器がっきによる一連いちれんのブレイクダウンを特徴とくちょうとするインストゥルメンタルの形式けいしきである。この形式けいしきれいとしてはビル・モンローの "Bluegrass Breakdown" や、アール・スクラッグスいた "Earl's Breakdown"、「フォギー・マウンテン・ブレイクダウン英語えいごばん」などがある。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]