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プラハの戦 たたか い (ドイツ語 ご : die Schlacht von Prag, Schlacht bei Šterboholy , チェコ語 ご : bitva u Štěrbohol, bitvou u Prahy )は、1757年 ねん 5月6日 にち にプラハ 城 しろ 外 がい で行 おこな われた、七 なな 年 ねん 戦争 せんそう におけるプロイセン 軍 ぐん とオーストリア 軍 ぐん との会戦 かいせん である。プロイセン軍 ぐん が勝利 しょうり した。
前年 ぜんねん に始 はじ まった七 なな 年 ねん 戦争 せんそう は、この年 とし から各国 かっこく ともに本格 ほんかく 的 てき な交戦 こうせん に入 はい った。プロイセンは先制 せんせい 攻撃 こうげき の有利 ゆうり を得 え て、前年 ぜんねん 中 ちゅう に全 ぜん ザクセン を占領 せんりょう して兵站 へいたん 基地 きち 化 か し、オーストリアはその救援 きゅうえん に失敗 しっぱい したが、そのかわり自国 じこく での防備 ぼうび を固 かた める時間 じかん を得 え た。プロイセンはシュレージェン とザクセンで、オーストリア軍 ぐん はベーメン とメーレン でそれぞれ冬営 とうえい に入 はい った。
オーストリア軍 ぐん の総 そう 司令 しれい 官 かん は皇帝 こうてい フランツ1世 せい の弟 おとうと カール・アレクサンダー公子 こうし であった。その後見 こうけん 役 やく であるマクシミリアン・ユリシーズ・フォン・ブラウン は、フリードリヒ大王 だいおう は必 かなら ずや攻勢 こうせい を仕掛 しか けてくるから、その前 まえ にこちらから攻 せ め込 こ んで主導 しゅどう 権 けん を握 にぎ り、ベーメンではなくザクセンを戦場 せんじょう とすべきだと進言 しんげん した。しかしカールはこれを用 もち いなかった。
この春 はる に大王 だいおう が行 おこな った機動 きどう は、ナポレオニック な戦争 せんそう のやり方 かた の先行 せんこう 例 れい として知 し られる。すなわち、大王 だいおう はオーストリア軍 ぐん が広 ひろ く分散 ぶんさん 宿営 しゅくえい していることを利用 りよう して、自軍 じぐん では冬営 とうえい を畳 たた むと同時 どうじ に、これを1箇所 かしょ に集結 しゅうけつ させず4個 こ 軍団 ぐんだん が東西 とうざい 2方向 ほうこう から同時 どうじ にプラハ目指 めざ して前進 ぜんしん するという求心 きゅうしん 作戦 さくせん を用 もち いた。大王 だいおう 直 じき 率 りつ 軍団 ぐんだん とアンハルト=デッサウ 軍団 ぐんだん がザクセンから、シュヴェリーン 軍団 ぐんだん とベーヴェルン 軍団 ぐんだん がシュレージェンからそれぞれ侵攻 しんこう した。
またしても先手 せんて を取 と られたオーストリア軍 ぐん は、分散 ぶんさん されたままの部隊 ぶたい を急遽 きゅうきょ 退却 たいきゃく させ、捕捉 ほそく されないようにするのが精 せい いっぱいで、プロイセン軍 ぐん の進撃 しんげき を阻止 そし することができなかった。4月 がつ 21日 にち にはライヘンベルクの戦 たたか い で双方 そうほう の軍団 ぐんだん が交戦 こうせん し、オーストリアが敗北 はいぼく した。
こうして両 りょう 軍 ぐん はプラハに集結 しゅうけつ した。オーストリア軍 ぐん はプラハ城内 じょうのうち に1万 まん 5千 せん の兵 へい を入 い れて守 まも らせると、残 のこ り6万 まん でその東 ひがし に陣 じん を敷 し いた。一方 いっぽう プロイセン軍 ぐん も、ヤーコプ・フォン・カイト を分派 ぶんぱ してヴルタヴァ川 がわ 左岸 さがん からプラハを抑 おさ えさせ、主力 しゅりょく をオーストリア軍 ぐん に向 む けて決戦 けっせん を望 のぞ んだ。その兵力 へいりょく は6万 まん 4千 せん であった。
プラハの戦 たたか い前半 ぜんはん
プラハの戦 たたか い後半 こうはん
七 なな 年 ねん 戦争 せんそう において大王 だいおう は敵 てき 片 へん 翼 つばさ への集中 しゅうちゅう 攻撃 こうげき を行 おこな うことが多 おお く、今回 こんかい もシュヴェリーンにオーストリア軍 ぐん 右翼 うよく への攻撃 こうげき を命 めい じた。これに対 たい してシュヴェリーンは地形 ちけい の偵察 ていさつ が必要 ひつよう と答 こた え、ハンス・カール・フォン・ヴィンターフェルト がこれを行 おこな った結果 けっか 、敵 てき 右翼 うよく 前面 ぜんめん には草地 くさち が広 ひろ がっていて攻撃 こうげき に適 てき すと報告 ほうこく した。
こうしてプロイセン軍 ぐん は攻撃 こうげき に着手 ちゃくしゅ した。シュヴェリーンが主 しゅ 攻 おさむ を担 にな い、その左翼 さよく をハンス・ヨアヒム・フォン・ツィーテン の騎兵隊 きへいたい が援護 えんご したのだったが、実際 じっさい にその場所 ばしょ に着 つ いてみると、ヴィンターフェルトは丘 おか の斜面 しゃめん しか見 み ておらず、地形 ちけい の凹凸 おうとつ でそれが見 み えなかったのだが、オーストリア軍 ぐん 陣地 じんち の前 まえ に広 ひろ がっていたのは草地 くさち どころか沼地 ぬまち で、オーストリア軍 ぐん はその向 む こう側 がわ で丘 おか に陣取 じんど って有利 ゆうり な位置 いち を占 し めていた。
ブラウンはプロイセン軍 ぐん による右翼 うよく への攻撃 こうげき に対 たい し急 いそ いで部隊 ぶたい を移動 いどう させ、相対 あいたい させた。結果 けっか として陣形 じんけい はL字 じ 型 がた になった。プロイセン軍 ぐん は沼地 ぬまち を越 こ えるまでにオーストリア軍 ぐん の強力 きょうりょく な砲撃 ほうげき を受 う け、丘 おか を登 のぼ ろうとしてオーストリア軍 ぐん の猛 もう 射 しゃ を浴 あ びた。ヴィンターフェルトは撃 う たれて後送 こうそう され、部隊 ぶたい には動揺 どうよう が走 はし って前進 ぜんしん が止 と まった。シュヴェリーンは兵士 へいし たちを奮 ふる いたせるために軍旗 ぐんき を掲 かか げて最 さい 前列 ぜんれつ に立 た ち、再 ふたた び前進 ぜんしん させようとしたが、銃弾 じゅうだん を受 う けて戦死 せんし した。オーストリア軍 ぐん でもブラウンが撃 う たれて重傷 じゅうしょう を負 お い、プラハに送 おく られた。
右翼 うよく のオーストリア軍 ぐん はプロイセン軍 ぐん の攻撃 こうげき を防 ふせ ぎ、反撃 はんげき によって逆 ぎゃく に圧迫 あっぱく しつつあった。しかし同時 どうじ にその過程 かてい で、右翼 うよく と中央 ちゅうおう とのあいだに間隙 かんげき を生 しょう じさせていた。大王 だいおう は左翼 さよく 部隊 ぶたい を立 た て直 なお すとともに、第 だい 二 に 戦列 せんれつ を投入 とうにゅう してオーストリア軍 ぐん を攻撃 こうげき させた。ベーヴェルンや、ブラウンシュヴァイク 、ハインリヒ王子 おうじ らが、オーストリア軍 ぐん 左翼 さよく を攻撃 こうげき しつつ、中央 ちゅうおう の間隙 かんげき に向 む かって攻勢 こうせい に出 で てオーストリア軍 ぐん を分断 ぶんだん した。ツィーテンの騎兵 きへい 部隊 ぶたい はオーストリア軍 ぐん の最右翼 さいうよく を突破 とっぱ して後方 こうほう に傾 なだ れ込 こ み、オーストリア軍 ぐん の混乱 こんらん を助長 じょちょう した。
ついにオーストリア軍 ぐん は崩 くず れ、大 だい 部分 ぶぶん がプラハ城内 じょうのうち に逃 に げ込 こ み、プラハに逃 に げられなかった残 のこ りの部隊 ぶたい は遠 とお くの友軍 ゆうぐん 目指 めざ して敗走 はいそう した。
プロイセン軍 ぐん は、カールと4万 まん の軍隊 ぐんたい をプラハに囲 かこ むこととなった。大王 だいおう はカールに対 たい して降伏 ごうぶく を勧告 かんこく したが、カールはメーレンのダウン 軍 ぐん の救援 きゅうえん を期待 きたい してこれを拒否 きょひ した。
オーストリア軍 ぐん は1万 まん 7千 せん の兵 へい を失 うしな ったが、プロイセン軍 ぐん も側面 そくめん 攻撃 こうげき の失敗 しっぱい により1万 まん 4千 せん を失 うしな った。したがって戦術 せんじゅつ 的 てき には小 しょう 勝利 しょうり といえる。しかし、戦略 せんりゃく 的 てき にはその勝利 しょうり は大 おお きいものであった。オーストリア軍 ぐん の主将 しゅしょう のカールと主力 しゅりょく たる4万 まん もの軍隊 ぐんたい を包囲 ほうい 下 か に置 お くことができたからである。そしてそれをもたらしたのは大王 だいおう の優 すぐ れた機動 きどう であった。もしこの軍団 ぐんだん が降伏 ごうぶく すれば、オーストリアの権威 けんい と戦力 せんりょく は決定的 けっていてき 打撃 だげき を受 う け、ウィーン 進軍 しんぐん も困難 こんなん ではなくなったであろう[ 1] 。
「…その結果 けっか オーストリア軍 ぐん は会戦 かいせん に敗 やぶ れて完全 かんぜん な破局 はきょく に陥 おちい ったのである。軍 ぐん の三 さん 分 ぶん の二 に と総 そう 司令 しれい 官 かん とが、プラハで合 ごう 囲 かこえ されねばならなかったのだから、破局 はきょく と称 しょう せられても仕方 しかた があるまい。」[ 2]
村岡 むらおか 晢『フリードリヒ大王 だいおう 啓蒙 けいもう 専制 せんせい 君主 くんしゅ とドイツ 』(清水 しみず 書院 しょいん 、1984年 ねん )
飯塚 いいづか 信雄 のぶお 『フリードリヒ大王 だいおう 啓蒙 けいもう 君主 くんしゅ のペンと剣 けん 』(中公新書 ちゅうこうしんしょ 、1993年 ねん )
S.フィッシャー=ファビアン 著 ちょ \尾崎 おざき 賢治 けんじ 訳 やく 『人 ひと はいかにして王 おう となるか』Ⅰ、Ⅱ(日本工業新聞社 にほんこうぎょうしんぶんしゃ 、1981年 ねん )
クラウゼヴィッツ 著 ちょ \篠田 しのだ 英雄 ひでお 訳 わけ 『戦争 せんそう 論 ろん 』(岩波 いわなみ 文庫 ぶんこ 、1968年 ねん )
林 はやし 健太郎 けんたろう 、堀米 ほりごめ 雇 やとい 三 さん 編 へん 『世界 せかい の戦史 せんし 6 ルイ十 じゅう 四 よん 世 せい とフリードリヒ大王 だいおう 』(人物 じんぶつ 往来 おうらい 社 しゃ 、1966年 ねん )
伊藤 いとう 政之助 まさのすけ 『世界 せかい 戦争 せんそう 史 し 6』(戦争 せんそう 史 し 刊行 かんこう 会 かい 、1939年 ねん )
久保田 くぼた 正 ただし 志 こころざし 『ハプスブルク家 か かく戦 せん えり ヨーロッパ軍事 ぐんじ 史 し の一 いち 断面 だんめん 』(錦 にしき 正 せい 社 しゃ 、2001年 ねん )
有坂 ありさか 純 じゅん 著 ちょ 「戦史 せんし 分析 ぶんせき 七 なな 年 ねん 戦争 せんそう 」『歴史 れきし 群 ぐん 像 ぞう 』N0.64 (学習研究社 がくしゅうけんきゅうしゃ 、2008年 ねん )
preussenweb [1]
^ クラウゼヴィッツ 著 ちょ \岩田 いわた 英雄 ひでお 訳 やく 『戦争 せんそう 論 ろん 』 下 した 269頁 ぺーじ 。
^ 同上 どうじょう 、下 した 349頁 ぺーじ 。