(Translated by https://www.hiragana.jp/)
ヘッケルフォーン - Wikipedia コンテンツにスキップ

ヘッケルフォーン

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヘッケルフォーン
かく言語げんごでの名称めいしょう
えい heckelphone
どく Heckelphon
ふつ heckelphone
heckelfono
ヘッケルフォーン
分類ぶんるい

木管もっかん楽器がっき - ダブルリードぞく楽器がっき

関連かんれん楽器がっき

オーボエ

ヘッケルフォーンドイツ: Heckelphon)は、20世紀せいきはじめに発明はつめいされたダブルリード木管もっかん楽器がっきオーボエより1オクターブひく音域おんいきつ。バリトンオーボエ[ちゅう 1]音域おんいきおなじだがかんふとく、音色ねいろはかなりことなる。

かなりめずらしい楽器がっきで、1904ねんから2020ねんまでに製作せいさくされた楽器がっきかずは175だい以下いか推測すいそくされている[1]

概要がいよう

[編集へんしゅう]

ヘッケルフォーンはかん直径ちょっけいがオーボエの2ばいあり、ゆたかで充実じゅうじつした音色ねいろ[2]リードはファゴットのものとおなじぐらいのおおきさである[2]。リードのつけられるかん金属きんぞくせいのクルック(きょくかん)になっている。管長かんちょうは120センチメートルあまりあり、そのさきコーラングレ同様どうよう球根きゅうこんがたのベルがついている。その先端せんたんにはエンドピンがあり、ゆかいて演奏えんそうする[2]

Cかんヘッケルフォーンは「い」(A2)から「2てんト」(G5)までの音域おんいき[3]。ほかにたん3たかいEかんヘッケルフォーンと、完全かんぜん4たかいFかんのピッコロヘッケルフォーンもつくられた[3]

通常つうじょうのオーボエより1オクターブひく楽器がっきは1700年代ねんだいごろから時々ときどき製造せいぞうこころみられてきたが、ダブルリードの低音ていおん楽器がっきとしてすでにファゴットがあったこともあり、ひろ使つかわれることはなかった。1825ねんごろにフランスのトリエベールがバリトン・オーボエをつくったが、これは底部ていぶかんがファゴットのようにまがっていた。オーボエと同様どうようちょくかんがたのバリトン・オーボエは1839ねんにF.ロレによって製造せいぞうされた[4][5]。バリトン・オーボエは内径ないけいだん面積めんせき通常つうじょうのオーボエのやく2ばいあったが、音色ねいろ弱々よわよわしいという不満ふまんがあった[2]

ヘッケルフォーンは1904ねんドイツ楽器がっき製作せいさくしゃであるヴィルヘルム・ヘッケルによって発明はつめいされた。ヘッケルは1879ねんリヒャルト・ヴァーグナーったが、そのときにオーケストラがバリトン音域おんいきのダブルリード楽器がっきいていることをヴァーグナーがなげいていたことから作成さくせいおもち、試行錯誤しこうさくごすえに1904ねんにCかんヘッケルフォーンの最初さいしょのモデルを完成かんせいした[3]

使用しよう

[編集へんしゅう]

ヘッケルフォーンは発明はつめいされるとすぐにリヒャルト・シュトラウスマックス・フォン・シリングスエンゲルベルト・フンパーディンクらの注目ちゅうもくあつめた[6]なかでもリヒャルト・シュトラウスは『サロメ』(1905)で重要じゅうようなパートをヘッケルフォーンにりあてた[3]。リヒャルト・シュトラウスはほかに『エレクトラ』(1909)や『アルプス交響曲こうきょうきょく』(1915)でもヘッケルフォーンをもちいている[2]

フレデリック・ディーリアスは『人生じんせいのミサ』(1905)、『ダンス・ラプソディだい1ばん』(1908)において「バス・オーボエ」を指定していしているが、のちにヘッケルフォーンを使つかいたかったとしている[2]

バリトン・オーボエの代用だいようとしてヘッケルフォーンを使つかうこともある[3][2]

室内楽しつないがくきょく使つかわれることはすくないが、パウル・ヒンデミットは『ピアノ、ヴィオラ、およびヘッケルフォーンのための三重奏さんじゅうそうきょく』(1929)をいている[2](ただし、ヘッケルフォーンのかわりにテナーサクソフォーン使つかうこともできる)。

だい世界せかい大戦たいせんうしろではカレヴィ・アホがヘッケルフォーンを使つかった管弦楽かんげんがくきょく数多かずおおいている[2][7]

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく

[編集へんしゅう]
  1. ^ バリトン・オーボエとバス・オーボエの2つのかたり使つかかた文献ぶんけんによってことなるが、ほん記事きじでは通常つうじょうよりオーボエより1オクターブひく楽器がっきをバリトン・オーボエとぶ。

出典しゅってん

[編集へんしゅう]
  1. ^ All the heckelphones ever made, heckelphone.org, https://heckelphone.org/list.html 
  2. ^ a b c d e f g h i フィリップ・ウィルキンソン ちょ大江おおえ聡子さとこ やく「ヘッケルフォン」『50の名器めいきとアイテムで図説ずせつ 楽器がっき歴史れきしはら書房しょぼう、2015ねん、198-199ぺーじISBN 9784562051236 
  3. ^ a b c d e Philip Bate ちょ玉生たまにゅう雅男まさお やく「ヘッケルフォーン」『ニューグローヴ世界せかい音楽おんがくだい事典じてん』 16かん講談社こうだんしゃ、117ぺーじ 
  4. ^ Philip Bate ちょ奥田おくだ恵二けいじ やく「バリトン・オーボエ」『ニューグローヴ世界せかい音楽おんがくだい事典じてん』 13かん講談社こうだんしゃ、444ぺーじ 
  5. ^ Philip Bate ちょ奥田おくだ恵二けいじ やく「オーボエ」『ニューグローヴ世界せかい音楽おんがくだい事典じてん』 3かん講談社こうだんしゃ、555-564ぺーじ 
  6. ^ Heckelphone, Wilhelm Heckel, https://heckel.de/en/chronicle/instruments/##instruments/heckelphone 
  7. ^ Heckelphone / Bass Oboe Repertoire, heckelphone.org, https://heckelphone.org/PHRL/phrl-h.html 

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]